JP2005205903A - 透明導電性フィルム、透明導電性シートおよびタッチパネル - Google Patents

透明導電性フィルム、透明導電性シートおよびタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】タッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性に優れ、特にポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で20万回の摺動試験後でも透明導電性薄膜が破壊されない、透明導電性フィルムまたは透明導電性シート、及びこれらを用いたタッチパネルを提供する。
【解決手段】透明プラスチックフィルム基材上に、透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムであって、前記透明導電性フィルムは透明導電性薄膜を設けた後、加熱処理することにより透明導電性薄膜面に形成された針状突起を有し、前記の針状突起は、突起径が10nm以上1μm以下で、かつ突起高さが(T−20)nm以上Tnm以下(Tは透明導電性薄膜の膜厚)であり、透明導電性薄膜面に1個/μm2以上100個/μm2以下の頻度で形成されていることを特徴とする透明導電性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明プラスチックフィルム基材上に透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムまたは透明導電性シート、及びこれらを用いたタッチパネルに関するものであり、特にペン入力用タッチパネルに用いた際にペン摺動耐久性に優れる透明導電性フィルムまたは透明導電性シート、及びこれらを用いたタッチパネルに関するものである。
透明プラスチックフィルム基材上に、透明でかつ抵抗が小さい薄膜を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどのようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極など、電気、電子分野の用途に広く使用されている。
近年、携帯情報端末やタッチパネル付きノートパソコンの普及により、従来以上にペン摺動耐久性に優れたタッチパネルが要求されるようになってきた。
タッチパネルにペン入力する際、固定電極側の透明導電性薄膜と可動電極(フィルム電極)側の透明導電性薄膜同士が接触するが、この際にペン荷重で透明導電性薄膜にクラック、剥離などの破壊が生じない、優れたペン摺動耐久性を有する透明導電性フィルムが要望されている。しかしながら、従来の透明導電性フィルムでは次のような問題があった。
厚さが120μm以下の透明プラスチックフィルム基材上に透明導電性薄膜を形成し、粘着剤層で他の透明基体と貼りあわせた透明導電性フィルムが開示されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、後述のペン摺動耐久性試験に記載のポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で20万回の直線摺動試験後には、透明導電性薄膜に剥離が生じ、ペン入力に対する耐久性は不十分であった。そのため、この剥離部の白化により、タッチパネル付きディスプレイ用に使用した際に表示品位が低下するという問題があった。
特開平2−66809号公報
また、透明プラスチックフィルム基材上に、有機ケイ素化合物の加水分解により生成させた下地層を設け、さらに結晶質の透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムが多数提案されている(例えば、特許文献2〜7を参照)。しかしながら、これらの透明導電性フィルムは非常に脆く、後述のペン摺動耐久性試験に記載のポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で20万回の直線摺動試験後には、透明導電性薄膜にクラックが発生する。
特開昭60−131711号公報 特開昭61−79647号公報 特開昭61−183809号公報 特開平2−194943号公報 特開平2−276630号公報 特開平8−64034号公報
すなわち、本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、タッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性に優れ、特にポリアセタール製のペンを使用し、5.0Nの荷重で20万回の摺動試験後でも透明導電性薄膜が破壊されない、透明導電性フィルムまたは透明導電性シート、及びこれらを用いたタッチパネルを提供することにある。
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた透明導電性フィルム、透明導電性シートおよびタッチパネルとは、以下の通りである。
すなわち、本発明の第1の発明は、透明プラスチックフィルム基材上に、透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムであって、前記透明導電性フィルムは透明導電性薄膜を設けた後、加熱処理することにより透明導電性薄膜面に形成された針状突起を有し、前記の針状突起は、突起径が10nm以上1μm以下で、かつ突起高さが(T−20)nm以上Tnm以下(Tは透明導電性薄膜の膜厚)であり、透明導電性薄膜面に1個/μm2以上100個/μm2以下の頻度で形成されていることを特徴とする透明導電性フィルムである。
第2の発明は、前記透明導電性薄膜がインジウム−スズ複合酸化物またはスズ−アンチモン複合酸化物からなることを特徴とする第1の発明に記載の透明導電性フィルムである。
第3の発明は、前記透明導電性フィルムの全光線透過率が80%以上、CIE表色系でのa値が−1〜1、b値が−1〜4.5であることを特徴とする第1または2の発明に記載の透明導電性フィルムである。
第4の発明は、前記透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面とは反対面に、ハードコート層が積層されていることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明に記載の透明導電性フィルムである。
第5の発明は、前記ハードコート層が防眩性を有することを特徴とする第4の発明に記載の透明導電性フィルムである。
第6の発明は、第1の発明に記載の透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面とは反対面に、粘着剤を介して透明樹脂シートを貼り合わせることを特徴とする透明導電性シートである。
第7の発明は、前記透明導電性薄膜を有する一対のパネル板を透明導電性薄膜が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、少なくとも一方のパネル板が第1〜6の発明のいずれかに記載の透明導電性フィルムもしくは透明導電性シートからなることを特徴とするタッチパネルである。
本発明の透明導電性フィルムは、透明導電性薄膜の表面に特定の形状を有する針状突起が特定の頻度で形成されているため、前記透明導電性フィルムを用いたペン入力用タッチパネルは、ペンの押圧で対向する透明導電性薄同士が接触しても、剥離、クラック等を生じることがないなど、ペン摺動耐久性に優れており、かつ位置検出精度や表示品位にも優れている。したがって、ペン入力タッチパネルとして好適である。
(作用)
本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上に、透明導電性薄膜を積層した構成を有し、前記透明導電性フィルムをタッチパネルなどの電極作製工程などの工程における加熱処理により、特定の径及び高さを有する針状突起が透明導電性薄膜面に特定の頻度で形成されるため、タッチパネルの電極として用いた際にペン摺動耐久性に優れる。
本発明において、針状突起とは、針を横たえたような形状を有しており、具体的には、突起の形状を楕円形に見立てた場合、突起のアスペクト比(長径(突起径と称す、すなわち突起の最も長い辺)と短径(突起の最も短い辺)の比;長径/短径)が10以上である突起を意味する。
前記の針状突起は、長径が10〜1000nmである。針状突起の長径が10nm未満の場合には、ペン摺動耐久性の改善効果が小さくなる。また、針状突起の長径が1μmを超える場合には、透明導電性フィルムの透明性が悪化し、視認性の点から好ましくない。また、前記の針状突起の高さは、(T−20)nm以上Tnm以下(Tは透明導電性薄膜の膜厚)である。針状突起の高さが(T−20)nm未満の場合には、ペン摺動耐久性の改善効果が不十分となる。また、針状突起の高さがTnmを超える場合は、突起が脱落しやすくなる。さらに、前記の針状突起の数は、1〜100個/μm2の頻度で透明導電性薄膜面に形成される。前記の針状突起の数が1個/μm2未満であると、ペン摺動耐久性の改善効果が不十分となる。また、針状突起の数が100個/μm2を超えると、透明導電性フィルムの透明性が悪化するため、視認性の点から好ましくない。前記の針状突起の形状及び個数を上記範囲内とすることにより、透明性を維持しながら、ペン摺動耐久性を向上させることができる。
(透明プラスチックフィルム)
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材とは、有機高分子を溶融押出し又は溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
これらの有機高分子のなかで、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレートなどが好適である。また、これらの有機高分子は他の有機重合体の単量体を少量共重合してもよいし、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材の厚みは、10μmを越え、300μm以下の範囲であることが好ましく、70〜260μmの範囲が特に好ましい。プラスチックフィルムの厚みが10μm以下では機械的強度が不足し、特にタッチパネルに用いた際のペン入力に対する変形が大きくなる傾向があり、耐久性が不十分となりやすい。一方、厚みが300μmを越えると、タッチパネルに用いた際に、フィルムを変形させるためのペン荷重が大きくなりやすく、好ましくない。
(下地層)
また、本発明で用いる透明プラスチックフィルム基材は透明導電性薄膜との密着性を向上させるために、透明プラスチックフィルム基材の透明導電性薄膜を設ける面に、(1)硬化型樹脂、または(2)イオン性基を含有する樹脂、からなる下地層を設けることが好ましい。
(1)硬化型樹脂
硬化型樹脂は、加熱、紫外線照射、電子線照射などのエネルギー印加により硬化する樹脂であれば特に制限はなく、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。生産性の観点からは、紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどから合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。必要に応じて、これらの多官能性の樹脂に単官能性の単量体、例えば、ビニルピロリドン、メチルメタクリレート、スチレンなどを加えて共重合させることができる。
前記の紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤は、それぞれに共通の溶剤に溶解して塗布液を調製する。使用する溶剤には特に制限はなく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのようなアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのようなエステル系溶剤、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのようなエーテル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのようなケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ソルベントナフサなどのような芳香族炭化水素系溶剤などを単独で、あるいは混合して使用することができる。
塗布液中の樹脂成分の濃度は、コーティング法に応じた粘度などを考慮して適切に選択することができる。例えば、塗布液中に紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤の合計量が占める割合は、通常は20〜80質量%である。また、この塗布液には、必要に応じて、その他の公知の添加剤、例えば、シリコーン系界面活性剤をレベリング剤として添加してもよい。
本発明において、調製された塗布液は透明プラスチックフィルム基材上にコーティングされる。コーティング法には特に制限はなく、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法などの従来から知られている方法を使用することができる。
コーティングされた塗布液は、次の乾燥工程で溶剤が蒸発除去される。塗膜を乾燥した後、プラスチックフィルムに紫外線を照射することにより、紫外線硬化型樹脂が架橋・硬化して硬化物層を形成する。硬化物層の厚みは、生産性の観点から、15μm以下であることが好ましい。
(2)イオン性基を有する樹脂
また、イオン性基を有する樹脂は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、メタクリル樹脂、ウレタンアクリル樹脂、シリコーンアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリシロキサン樹脂などが好ましい。これらのうち、その生産性の観点から、ポリエステル樹脂が好ましい。
樹脂中のイオン性基の含有量は、20〜1000eq/tonの範囲が好ましい。イオン性基の含有量が20eq/ton未満では付着力が低下しやすく、1000eq/tonを越える場合は耐湿熱性等が低下しやすくなる。また、架橋構造を有しない場合には耐熱性が不足する場合があるので、前記のイオン性基を有する樹脂を架橋剤で架橋させることが好ましい。架橋剤としては、使用する樹脂のイオン性基の種類に応じて、適切なものを選択すればよい。例えば、架橋剤としては、多官能性エポキシ化合物、多官能性イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、オキサゾリン化合物などが一般的である。
透明導電性薄膜の下地層として好適である前記ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸類と多価アルコール類からなる。ポリエステル樹脂の構成成分である多価カルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、スルホテレフタル酸、およびまたはそれらの金属塩、アンモニウム塩などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、等の不飽和脂肪族、および、脂環族ジカルボン酸等を、また多価カルボン酸としては他にトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸等を例示できる。
ポリエステル樹脂の他の構成成分である多価アルコール類としては、脂肪族多価アルコール類、脂環族多価アルコール類、芳香族多価アルコール類等を例示できる。
脂肪族多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエルスリトール等のトリオールおよびテトラオール類等を例示できる。
脂環族多価アルコール類としては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール等を例示できる。
芳香族多価アルコール類としては、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等を例示できる。
さらに、ポリエステルポリオールとして、ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られる、ラクトン系ポリエステルポリオール類等を例示することができる。
これらのほかに、ポリエステル高分子末端の極性基を封鎖するために、単官能単量体をポリエステルに導入してもよい。
単官能単量体としては、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、ターシャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリル酸、およびこれらの低級アルキルエステル、等のモノカルボン酸類、あるいは脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環族アルコール等のモノアルコールを用いることができる。
本発明において、透明導電性薄膜の下地層として、イオン性基を有するポリエステル樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂は、前記の不飽和単量体を必須成分とし、他の成分はポリエステル樹脂のガラス転移温度、モノマーとの相溶性、等により適宜選択される。
ポリエステルに導入されるイオン性基としては、スルホン酸アルカリ金属塩基、あるいはスルホン酸アンモニウム塩基を有するモノあるいはジカルボン酸等を好ましく用いることができる。また、その他に、例えばカルボン酸アルカリ金属塩基あるいはカルボン酸アンモニウム塩基を有する単量体、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基もしくはそれらのアンモニウム塩、金属塩等のアニオン性基、または第1級ないし第3級アミン基等のカチオン性基単量体などを用いることができる。
カルボン酸アルカリ金属塩基あるいはカルボン酸アンモニウム塩基を導入する場合には、ポリエステルの重合末期にトリメリット酸等の多価カルボン酸を系内に導入することにより高分子末端にカルボキシル基を付加し、さらにこれをアンモニア、水酸化ナトリウム等にて中和することによりカルボン酸塩の基に交換する方法を用いることができる。
また、スルホン酸アルカリ金属塩基あるいはスルホン酸アンモニウム塩基を有するモノあるいはジカルボン酸を含有することによりこれらのイオン性基をポリエステル樹脂に導入することができる。塩としてはアンモニウム系イオン、Li、Na、K、Mg、Ca、Cu、Fe等の塩があげられ、特に好ましいものはK塩またはNa塩である。これらのなかで、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、あるいはメタナトリウムスルホ安息香酸を用いることが好ましい。また、カルボン酸塩の基とスルホン酸塩の基を使用しても良い。
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、以下に示すポリエステル樹脂が挙げられる。
a)芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類と、エチレングリコールを0〜90mol%、プロピレングリコールを100〜10mol%とから得られるポリエステル樹脂
b)芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類と、2,3−ブタンジオールを5〜80mol%、エチレングリコールを95〜20mol%とから得られるポリエステル樹脂
c)芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類と、C2〜C4の脂肪族系グリコール類を70〜95mol%、トリシクロデカン骨格を有するモノあるいは多価アルコール類5〜30mol%とから得られるポリエステル樹脂
d)芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類と、C2〜C4の脂肪族系グリコール類を70〜95mol%、ヒドロキシメチルトリシクロデカンを5〜30mol%とから得られるポリエステル樹脂
e)芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類と、C2〜C4の脂肪族系グリコール類を70〜95mol%、トリシクロデカンジメタノールを5〜30mol%とから得られるポリエステル樹脂
f)芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類と、C2〜C4の脂肪族系グリコール類を70〜95mol%、シクロヘキサン骨格を有するモノあるいは多価アルコール類を5〜30mol%とから得られるポリエステル樹脂
g)芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類と、C2〜C4の脂肪族系グリコール類を70〜95mol%、シクロヘキサンジオールを5〜30mol%とから得られるポリエステル樹脂
h)芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類と、C2〜C4の脂肪族系グリコール類を70〜95mol%、水添ビフェノールを5〜30mol%とから得られるポリエステル樹脂
i)芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類と、C2〜C4の脂肪族系グリコール類を70〜95mol%、水添ビスフェノールAを5〜30mol%とから得られるポリエステル樹脂
j)ナフタレン骨格を有するモノあるいは二価以上のカルボン酸1〜20mol%を含む芳香族系単量体を80mol%以上含有する多価カルボン酸類と、C2〜C4の脂肪族系グリコール類を70〜100mol%、脂環族系単量体0〜30mol%を含有する多価アルコール類、とから得られるポリエステル樹脂
さらに、前記の芳香族系単量体は、テレフタル酸及びイソフタル酸であることが好ましい。テレフタル酸とイソフタル酸の組成比は、90/10〜40/60[mol%]が好ましく、さらに好ましくは80/20〜50/50[mol%]であり、特に好ましくは85/15〜60/40[mol%]である。
イオン性基含有単量体をポリエステル樹脂に導入し、ポリエステル樹脂にイオン性基を与えた場合、透明導電性薄膜との付着力が強固なものとなる。イオン性基含有単量体としては、前述したスルホン酸アルカリ金属塩基あるいはスルホン酸アンモニウム塩基を有するモノあるいはジカルボン酸等を好ましく用いることができる。さらに、例えば、カルボン酸アルカリ金属塩基あるいはカルボン酸アンモニウム塩基を有する単量体、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基もしくはそれらのアンモニウム塩、金属塩等のアニオン性基、または第1級ないし第3級アミン基等のカチオン性基単量体などを用いることができる。
カルボン酸アルカリ金属塩基あるいはカルボン酸アンモニウム塩基を導入する場合には、ポリエステルの重合末期にトリメリット酸等の多価カルボン酸を系内に導入することにより高分子末端にカルボキシル基を付加し、さらにこれをアンモニア、水酸化ナトリウム等にて中和することによりカルボン酸塩の基に交換する方法を用いることができる。
これらイオン性基の含有量は、スルホン酸基およびまたはその塩の基を含め、前記ポリエステル樹脂に対し、20〜1000eq/tonの範囲が好ましい。前記イオン性基の含有量の下限は、付着力(透明導電性薄膜と透明プラスチックフィルム基材間との密着性)を安定して確保する観点から決められたものである。一方、前記イオン性基の含有量の上限は、耐湿熱性を安定して確保する観点から決められたものであり、さらに好ましくは500eq/tonであり、特に好ましくは200eq/tonである。また、架橋構造を有しない場合には耐熱性が不足する場合があるので、前記イオン性基を導入したポリエステル樹脂を、例えばイソシアネート系の架橋剤で架橋させることが好ましい。
さらに、前記イオン性基を有する樹脂を含む塗布層の厚さは、接着性の点から、0.005〜0.2μmとすることが好ましい。また、塗布層の厚さの下限値は、透明導電層薄膜との付着力の点から0.01μmとすることがさらに好ましい。一方、塗布層の厚さの上限値は、接着性の点から0.15μmとすることがさらに好ましい。前記塗布層の厚さが、0.2μmを超えると、接着性が低下しやすくなる。また、0.005μm未満では、連続した膜になりにくいため透明導電層薄膜の付着力が不足する傾向がある。
イオン性基を有する樹脂を含む塗布層を基材に形成することで、透明導電性薄膜と下地の前記塗布層との付着力を10g/15mm以上とすることが可能となる。
イオン性基の含有量が20〜1000eq/tonである樹脂を透明なプラスチックフィルム上に積層するためには、コーティング法を用いることが好ましい。コーティング法としては、エアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などが用いられる。架橋構造を付与する場合には、コーティング後に加熱もしくは紫外線、電子線照射によりエネルギーを印加する。
また、長手方向および幅方向に二軸延伸後、冷却、熱固定を行って得た透明なプラスチックフィルム上に、イオン性基を含有する樹脂を積層するには、二つの延伸段階の間、すなわち二軸延伸操作の長手方向および幅方向への延伸の間で、コーティングする、いわゆるインラインコーティング法を適用してもよい。
また、硬化性樹脂またはイオン性基を含有する樹脂をコーティングするに先立ち、本発明の目的を損なわない範囲で、密着性をさらに高めるために、プラスチックフィルムにコロナ放電処理、グロー放電処理などの表面処理を施してもよい。
また、タッチパネルに用いた際に透明導電性薄膜の黄色味を打ち消すために前記透明プラスチック基材を構成する少なくとも1つの層に色素を含有させることが好ましい。
色素としては、染料および顔料を用いることができる。前記色素としては、例えば、アントラキノン系、フタロシアニン系、インジゴイド系、チアジン系、オキサジン系、アジン系、インダミン系、インドフェノール系、トリフェニルメタン系などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐光性、色彩等の観点から、フタロシアニン系およびアントラキノン系が好ましい。
また、前記色素の吸収ピークは、500〜650nmに存在することが好ましく、さらに好ましくは530〜630nmであり、特に好ましくは570〜620nmである。吸収ピークが500nm未満の場合、ディスプレイに組み込んだ際、赤色が強くなり好ましくない。また、色素の吸収ピークが650nmを超える場合、緑色が強くなり好ましくない。
また、タッチパネルに用いた際に可視光線の透過率をさらに向上させ、かつ透明導電性薄膜の黄色味を打ち消すために前記透明プラスチックの片面もしくは両面に低反射処理を施すことが好ましい。透明導電性フィルムのコストを考慮し、ペン摺動耐久性を十分に満足するという観点から前記透明プラスチック基材と透明導電性薄膜の間に低反射処理を施すことが好ましい。この低反射処理は下地層(透明プラスチックフィルムまたは硬化型樹脂層またはイオン性基を含有する樹脂層)の屈折率とは異なる屈折率を有する材料を単層もしくは2層以上に積層することが好ましい。
単層構造の場合、下地層(透明プラスチックフィルムまたは硬化型樹脂層またはイオン性基を含有する樹脂層)よりも小さな屈折率を有する材料を用いるのが好ましい。また、2層以上の多層構造とする場合は、下地層と隣接する層は、下地層よりも大きな屈折率を有する材料を用い、この上の層にはこれよりも小さな屈折率を有する材料を選ぶのがよい。このような低反射処理を構成する材料としては、有機材料でも無機材料でも上記の屈折率の関係を満足すれば特に限定されない。例えば、CaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd23、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In23、などの誘電体を用いるのが好ましい。
この低反射処理は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法などのドライコーティングプロセスでも、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式などのウェットコーティングプロセスでもよい。
本発明で用いる透明導電性薄膜としては、透明性及び導電性をあわせもつ材料であれば特に制限はないが、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム−スズ複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物、銀および銀合金、銅および銅合金、金等が単層もしくは2層以上の積層構造したものが挙げられる。これらのうち、環境安定性や回路加工性の観点から、インジウム−スズ複合酸化物またはスズ−アンチモン複合酸化物が好適である。
透明導電性薄膜の膜厚は4〜200nmの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜100nmである。透明導電性薄膜の膜厚が4nmよりも薄い場合、連続した薄膜になりにくく良好な導電性を示しにくい傾向がある。一方、200nmよりも厚い場合、透明性が低下しやすくなる。
本発明における透明導電性薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法などが知られており、必要とする膜厚に応じて、前記の方法を適宜用いることができる。
例えば、スパッタリング法の場合、酸化物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよい。
本発明で、透明導電性薄膜の表面に針状の突起を形成させるのはタッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性試験において、ガラス基板との摩擦が生じる真の接触面積を小さくし、滑り性を良くすることで導電性膜表面にかかる負荷を小さくするためである。
本発明において、透明導電性薄膜の表面に針状の突起を特定の個数を形成させる好適な方法として、透明導電性薄膜を成膜する前に、鉄元素を50%以上含有するターゲットを用いて、下記に示す条件(1)または(2)の少なくとも1つの手段を用いて基材の表面処理を行い、次いで加熱処理する方法が挙げられる。前記の加熱処理は、透明導電性フィルムをタッチパネルなどの電極作製工程で行ってもよい。
(1)前処理雰囲気中の水分や有機物などの不純物の除去
(2)投入電力:0.01〜1W/cm2
鉄元素を含有するターゲットとしては、ターゲットを構成する全元素に対し、鉄元素が50%以上であることが好ましい。鉄元素の含有量が50%未満であると加熱処理後に針状突起を有する透明導電性薄膜を得ることが困難となる。
鉄元素を含有するターゲットとしては、例えば、SUS304(Cr:18.2%、Ni:8.7%含有)、SUS310S(Cr:20.9%、Ni:21.2%含有)などのステンレスが好適である。
また、加熱処理後に針状の突起を有する透明導電性薄膜を得るためには、表面改質処理雰囲気中の水や有機物などの不純物をできるだけ除去することも重要なポイントである。これらの不純物を除去するためには、フィルム中の揮発成分を30ppm以下にすることが好ましい。
例えば、表面改質処理を行う前に、表面処理槽内の圧力を0.001Pa以下の真空度まで排気した後に、Arなどの不活性ガスを表面処理槽内に導入し、0.01〜10Paの圧力範囲において放電を発生させ、表面処理を行うことが好ましい。
このようにして形成したプラスチックフィルム、硬化型樹脂またはイオン性基を含有する樹脂からなる下地層、または低反射処理層の上に、スパッタリングなどの真空プロセスにより表面改質処理を行うが、プラスチックフィルム、硬化型樹脂またはイオン性基を含有する樹脂からなる下地層、または低反射処理層、の内部または表面に揮発成分を含んでいると、真空プロセスに悪影響を与える。
プラスチックフィルム、硬化型樹脂またはイオン性基を含有する樹脂からなる下地層、または低反射処理層、の内部または表面に揮発成分を含んでいると、例えば、スパッタリング法で鉄元素を含有するターゲットを用いてフィルム基板を表面改質させる場合、スパッタリングされた鉄原子とプラスチックフィルム、硬化型樹脂またはイオン性基を含有する樹脂からなる下地層、または低反射処理層層から揮発したガスが気相中で衝突して、鉄原子のエネルギーが低下する。この結果、プラスチックフィルム、硬化型樹脂またはイオン性基を含有する樹脂からなる下地層、または低反射処理層の表面改質効果が不十分となり、この上に透明導電性薄膜を成膜して得た透明導電性フィルムを加熱処理した場合、針状突起が形成されにくくなる。
このような針状突起の少ない透明導電性薄膜が形成された透明導電性フィルムをタッチパネルに用いると、5.0Nの荷重で20万回の直線摺動試験を行った際に、透明導電性薄膜の摩耗劣化が顕著になるため好ましくない。
例えば、硬化物層中に存在する揮発成分としては、前述した硬化物層の塗工に用いた塗工液の溶剤や紫外線硬化反応に寄与しなかった、残留の光重合開始剤およびその副生成物などが挙げられる。
前記の揮発成分を減少させるためには、紫外線照射による架橋反応の後に加熱処理を施すのが好適である。このときの加熱処理温度は100〜200℃の範囲であることが好ましい。100℃未満の温度では揮発成分を減少させる効果が不十分となりやすく、200℃を越える温度では、フィルムの平面性を保つのが難しくなる傾向にある。
また、スパッタリング等を行う真空チェンバーの中でフィルムを真空暴露することで揮発成分を減少させることも有効な手段である。真空暴露の際にフィルムに接触するロール温度を高くすること、あるいは赤外線ヒーターによるフィルム加熱を併用することで揮発成分をより減少させることが可能となる。
前記のように、成膜雰囲気中の水分や有機物などの不純物を可能な限り除去し、表面改質処理を行った基板に透明導電性薄膜を成膜した透明導電性フィルムは加熱処理により、表面に針状突起が形成された透明導電性薄膜を有する透明導電性フィルムが得られる。そのため、この透明導電性薄膜をタッチパネルに用いると、ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)を用いて、5.0Nの荷重で20万回の直線摺動試験を行った後でも透明導電性薄膜の劣化が見られない。
さらに、表面処理は0.01〜1W/cm2の範囲の電力で行うことが好ましい。0.01W/cm2未満の電力では表面改質効果が不十分であり、透明導電性薄膜の表面に針状突起が形成されず、良好なペン摺動耐久性が得られない。また、1W/cm2を超える電力では、針状突起の突起径および高さが大きくなり、ペン摺動耐久性が悪化する。
また、タッチパネルとした際の最外層(ペン入力面)の耐擦傷性をさらに向上させるために、透明プラスチックフィルムの透明導電性薄膜を形成させた表面とは反対面(タッチパネルとした際の最外層のペン入力面)に、ハードコート層を設けることが好ましい。前記ハードコート層の硬度は、鉛筆硬度で2H以上であることが好ましい。2H未満の硬度では、透明導電性フィルムのハードコート層としては耐擦傷性の点で不十分である。
前記ハードコート層の厚みは0.5〜10μmであることが好ましい。厚みが0.5μm未満では、耐擦傷性が不十分となりやすく、10μmよりも厚い場合には生産性の観点から好ましくない。
前記ハードコート層に用いられる硬化型樹脂組成物は、アクリレート系の官能基を有する樹脂が好ましく、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリート等のオリゴマーまたはプレポリマーなどが挙げられる。
また、反応性希釈剤としては、エチル(メタ)アクリート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を使用することができる。
本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合することが好ましい。
また、前記ハードコート層に用いられる硬化型樹脂組成物としては、ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートとの混合物が特に好適である。ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコート層として適している。しかしながら、ポリエステルアクリレート単独の塗膜では耐衝撃性が低く脆くなりやすいという問題がある。そこで、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるために、ポリウレタンアクリレートを併用することが好ましい。すなわち、ポリエステルアクリレートにポリウレタンアクリレートを併用することで、塗膜はハードコート層としての硬度を維持しながら、耐衝撃性及び柔軟性という機能を具備することができる。
両者の配合割合は、ポリエステルアクリレート樹脂100質量部に対し、ポリウレタンアクリレート樹脂を30質量部以下とするのが好ましい。ポリウレタンアクリレート樹脂の配合割合が30質量部を超えると、塗膜が柔らかくなりすぎて耐衝撃性が不十分となる傾向がある。
前記の硬化型樹脂組成物の硬化方法は、通常の硬化方法、すなわち、加熱、電子線または紫外線の照射によって硬化する方法を用いることができる。例えば、電子線硬化の場合は、コックロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用される。また、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハイライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
さらに、電離放射線硬化の場合には、前記の硬化型樹脂組成物中に光重合開始剤や光増感剤を含有させることが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類などが挙げられる。また、光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が好ましい。
ハードコート層に防眩性を付与するためには、硬化型樹脂中にCaCO3やSiO2などの無機粒子を分散させたり、ハードコート層の表面に凹凸形状を形成させることが有効である。例えば、凹凸を形成するためには、硬化型樹脂組成物を含む塗液を塗工後、表面に凸形状を有する賦形フィルムをラミネートし、この賦形フィルム上から紫外線を照射し硬化型樹脂を硬化させた後に、賦形フィルムのみを剥離することにより得られる。
前記の賦型フィルムには、離型性を有するポリエチレンテレフタレート(以後、PETと略す)等の基材フィルム上に所望の凸形状を設けたもの、あるいは、PET等の基材フィルム上に繊細な凸層を形成したもの等を用いることができる。その凸層の形成は、例えば、無機粒子とバインダー樹脂からなる樹脂組成物を用いて基材フィルム上に塗工することにより得ることができる。
前記バインダー樹脂は、例えば、ポリイソシアネートで架橋されたアクリルポリオールを用い、無機粒子としては、CaCO3やSiO2などを用いることができる。また、この他にPET製造時にSiO2等の無機粒子を練込んだマットタイプのPETも用いることができる。
この賦型フィルムを紫外線硬化型樹脂の塗膜にラミネートした後紫外線を照射して塗膜を硬化する場合、賦型フィルムがPETを基材としたフィルムの場合、該フィルムに紫外線の短波長側が吸収され、紫外線硬化型樹脂の硬化が不足するという欠点がある。したがって、紫外線硬化型樹脂の塗膜にラミネートする賦型フィルムの透過率が20%以上のものを使用することが必要である。
本発明の透明導電性フィルムを用い、透明導電性薄膜を形成していない面と粘着剤を介して透明樹脂シートと積層することで、タッチパネルの固定電極に用いる透明導電性積層樹脂シートが得られる。すなわち、タッチパネルの固定電極の基板をガラスから透明樹脂シートに変更することで、軽量かつ割れにくいタッチパネルを作製することができる。
前記粘着剤は透明性を有するものであれば特に制限はないが、例えばアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが好適である。この粘着剤の厚さは特に制限はないが、通常1〜100μmの範囲に設定するのが望ましい。粘着剤の厚みが1μm未満の厚さの場合、実用上問題のない接着性を得るのが難しく、100μmを越える厚さでは生産性の観点から好ましくない。
この粘着剤を介して貼合わせる透明樹脂シートは、ガラスと同等の機械的強度を付与するために使用するものであり、厚さは0.05〜5mmの範囲が好ましい。前記透明樹脂シートの厚みが0.05mm未満では、機械的強度がガラスに比べ不足する。一方、厚さが5mmを越える場合には、厚すぎてタッチパネルに用いるには不適当である。また、この透明樹脂シートの材質は、前記の透明プラスチックフィルムと同様のものを使用することができる。
図1に、本発明の透明導電性フィルムを用いた、タッチパネルの例を示す。これは、透明導電性薄膜を有する一対のパネル板を、透明導電性薄膜が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、一方のパネル板に本発明の透明導電性フィルムを用いたものである。
このタッチパネルは、ペンにより文字を入力した時に、ペンからの押圧により、対向した透明導電性薄膜同士が接触し、電気的にONの状態になり、タッチパネル上でのペンの位置を検出することができる。このペン位置を連続的かつ正確に検出することで、ペンの軌跡から文字を認識することができる。この際、ペン接触側の可動電極が本発明の透明導電性フィルムを用いると、ペン摺動耐久性に優れるため、長期にわたって安定なタッチパネルとすることができる。
なお、本発明の透明導電性フィルム及び透明導電性シートを使用して得た、ガラス基板を用いないプラスチック製のタッチパネルの断面図を図2に示した。このプラスチック製のタッチパネルは、ガラスを用いていないため、非常に軽量であり、かつ、衝撃により割れたりすることがない。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、透明導電性フィルムの性能および透明導電性薄膜表面観察、タッチパネルのペン摺動耐久性試験は、下記の方法により測定した。
(1)イオン性基含有量
樹脂0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定し、樹脂106g(1ton)当りの当量(eq/ton)を求めた。
(2)透明導電性薄膜中の組成分析
インジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化スズの重量%とは、薄膜中のインジウムとスズの組成を原子吸光分析で求め、インジウムとスズが薄膜中で完全酸化物であると仮定して、In23、SnO2の比重(In23は7.18、SnO2は6.95)を用いて算出した値である。
(3)全光線透過率及びヘイズ
JIS−K7105に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH−1001DP)を用いて、全光線透過率及びヘイズを測定した。
(4)カラー(a値、b値)
JIS−K7105に準拠し、色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用いて、標準の光C/2でカラーa、b値を測定した。なお、カラーa値は赤味を示す尺度であり、数値が高いほど赤色が強くなり、マイナスに数値が高くなるほど緑色が強くなることを意味する。また、b値は黄味を示す尺度であり、数値が高いほど黄色が強くなり、マイナスに数値が高くなるほど青色が強くなることを意味する。
(5)表面抵抗率
JIS−K7194に準拠し、表面抵抗計(三菱油化製、Lotest AMCP-T400)を用いて、4端子法にて測定した。
(6)針状突起の突起径、高さ及び個数
走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー製、SPI3800Nシステム/SPA300)を使用し、原子間力顕微鏡AFMにより評価した。スキャナーはFS−20Aを使用した。カンチレバーはシリコーン製のSI−DF20を使用した。ともに、エスアイアイ・ナノテクノロジー社から購入することができる。観察モードはダイナミックフォースモード(DFM)で行った。観察に用いるカンチレバーは探針汚染による分解能低下がないように常に新品を使用した。また、観察時における探針の磨耗劣化を防ぐために、分解能を犠牲にしない範囲で、できる限り探針にかかる負荷が小さい条件で行った。
透明導電性薄膜表面に存在する針状突起の評価は、AFMにより1×1μm2を分解能256×256ピクセル以上で観察することで行った。走査速度は0.5Hz以上で行ったが、分解能に支障がなければ、この速度にこだわる事はない。観察後付属のソフトウエアによりデータの傾斜を補正し、その後、付属のソフトウエアにより表面粗さ評価を行った。視野内において本発明を満足する突起径および突起高さを有する針状突起の個数をカウントし、10視野における平均突起数をもって針状突起の個数(個/μm2)とした。
(7)ペン摺動耐久性試験
ポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ、20万回(往復10万回)の直線摺動試験をタッチパネルに行った。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は60mm/秒とした。この摺動耐久性試験後に、まず、摺動部が白化しているかを目視によって観察した。さらに、ペン荷重0.5Nで上記の摺動部にかかるように20mmφの記号○印を筆記し、タッチパネルがこれを正確に読みとれるかを評価した。さらに、ペン荷重0.5Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。
(8)付着力測定
厚み40μmのアイオノマーフィルムをポリエステル系接着剤により、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにラミネートし、付着力測定用積層体を作製した。この付着力測定用積層体のアイオノマー面と透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面を対向させ、130℃でヒートシールした。この積層体を付着力測定用積層体と透明導電性フィルムとを180度剥離法で剥離し、この剥離力を付着力とした。この時の剥離速度は1000mm/分とした。
(9)揮発成分量
透明導電性フィルム3gを3cm×0.5cmに短冊状に切断し、固体パージ・アンド・トラップ装置(日本分析工業製、JHS−100)により、He中100℃で15分間加熱脱離させる。脱離成分を吸着材(石英ウール)に液体窒素でコールドトラップし、急速加熱によりGC−MS装置(ヒュレットパッカード製、HP6890およびHP5973)に導入し、透明導電性フィルム中の揮発成分量を定量した。
(10)視認性
作製した透明導電性フィルムをパーソナルコンピューター(NEC製、VALUESTAR NX VC26/3XC)の電源を入れて液晶モニター(14.1インチ)の画面を白くした状態で、該液晶モニターのLCD前面に本透明導電性フィルムを置き、LCD前面から目視観察し、下記の基準で評価する。なお、目視観察は透明導電性フィルムを変えて5回行う。
◎:白色表示が極めてよい
○:白色表示が少し黄色味を帯びている
×:白色表示が黄色味を帯びている
実施例1
光重合開始剤含有アクリル系樹脂(大日精化工業製、セイカビームEXF−01J)100質量部を、溶剤としてトルエン/MEK(8/2:質量比)の混合溶媒を用いて、固形分濃度が50質量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。
両面に易接着層を有する二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績製、A4340、厚み188μm)に、塗膜の厚みが5μmになるようにマイヤーバーを用いて、前記で調製した塗布液を塗布した。80℃で1分間乾燥を行った後、紫外線照射装置(アイグラフィックス製、UB042−5AM−W型)を用いて紫外線を照射(光量:300mJ/cm2)し、塗膜を硬化させた。次いで、180℃で1分間の加熱処理を施して、揮発成分の低減を行なった。
また、この硬化物層を積層した二軸配向透明PETフィルムを真空暴露するために、真空チェンバー中で巻き返し処理を行なった。このときの圧力は0.002Paであり、暴露時間は10分とした。また、センターロールの温度は40℃とした。
次に、表面改質を行う槽内の圧力を0.001Paとし、この硬化物層上に透明導電性薄膜を成膜する前にターゲットとしてSUS304(Fe−Cr(18.2%)−Ni(8.7%))を用いて0.2W/cm2のRF電力を印加した。また、Arガスを50sccmの流速で流し、RFマグネトロンスパッタリング法により、0.1Paの雰囲気下で表面処理を行った。
さらに、この表面改質した硬化物層上にインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を成膜した。このとき、スパッタリング前の圧力を0.0007Paとし、ターゲットとして酸化スズを5質量%含有する酸化インジウム(三井金属鉱業製、密度7.1g/cm3)を用いて、2W/cm2のDC電力を印加した。また、Arガスを130sccm、O2ガスを10sccmの流速で流し、DCマグネトロンスパッタリング法を用いて0.4Paの雰囲気下で成膜した。ただし、通常のDCではなく、アーク放電を防止するために、日本イーエヌアイ製RPG−100を用いて5μs幅のパルスを50kHz周期で印加した。また、センターロール温度は50℃として、スパッタリングを行った。
また、雰囲気の酸素分圧をスパッタプロセスモニター(伯東製、SPM200)にて常時観測しながら、インジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化度が一定になるように酸素ガスの流量計およびDC電源にフィートバックした。以上のようにして、厚さ22nmのインジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を堆積した。
<加熱処理>
上記透明導電性フィルムを、タッチパネル製造工程での銀ペースト印刷時の加熱処理を想定して、130℃で20分間熱処理をした。
<タッチパネルの作製>
この透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にプラズマCVD法を用いて厚み20nmのインジウム−スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)を形成させた透明導電性ガラス(日本曹達製、S500)を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して配置し、タッチパネルを作製した。
実施例2
ポリエステル樹脂(東洋紡績製、バイロンRV280;イオン性基量120eq/ton)2.5質量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業製、コロネートL)2.0質量部、溶剤として、メチルエチルケトン67質量部、トルエン28.5質量部、及びアントラキノン系染料(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、ORACET VIOLET TR、Color Index Solvent Violet 13)0.25質量部、を混合し塗布液を得た。次に、上記で調整した塗布液を、両面に易接着層を有する厚さ188μmの二軸配向透明PETフィルム(東洋紡績製、コスモシャインA4350)の片面に、バーコート法(ワイヤーバー:No.3)を用いてコーティングし、180℃で1分間熱処理を施した。アントラキノン系染料を含有する塗布層の厚みは、乾燥後で0.3μmであった。
上記フィルムの染料含有塗布層面側に、実施例1と同様にして表面改質およびインジウム−スズ複合酸化物薄膜を成膜した。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例3
実施例1において、表面改質を行う際に用いるターゲットを、SUS310S(Fe−Cr(20.9%)−Ni(21.1%))に変更する以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを作製した。さらに、この導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを製作した。
実施例4
実施例1において、二軸配向透明PETフィルム基材/硬化物層からなる積層体の、硬化物層面とは反対面にハードコート層樹脂としてポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートとの混合物からなる紫外線硬化型樹脂(大日精化工業製、EXG)を、乾燥後の膜厚が5μmになるようにグラビアリバース法により塗布し、溶剤を乾燥させた。この後、160Wの紫外線照射装置の下を10m/分の速度で通過させ、紫外線硬化型樹脂を硬化させ、ハードコート層を形成させた。次いで、180℃で1分間の加熱処理をおこない、揮発成分の低減を行った。
このハードコート層/二軸配向透明PETフィルム基材/硬化物層からなる積層体の硬化物層上に、実施例1と同様にしてインジウム−スズ複合酸化物薄膜を成膜した。さらに、この透明導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例5
実施例1と同様にして、二軸配向透明PETフィルム基材/硬化物層からなる積層体を作製した。この積層体の硬化物層面とは反対面に、ハードコート層樹脂としてポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートとの混合物からなる紫外線硬化型樹脂(大日精化工業製、EXG)を、乾燥後の膜厚が5μmになるようにグラビアリバース法により塗布し、溶剤を乾燥した。その後、表面に微細な凸形状が形成されたPETフィルムのマット賦形フィルム(東レ製、X)をマット面が紫外線硬化型樹脂と接するようにラミネートした。このマット賦形フィルムの表面形状は、平均表面粗さ0.40μm、山の平均間隔160μm、最大表面粗さ25μmである。
このようにラミネートしたフィルムを160Wの紫外線照射装置の下を10m/分の速度で通過させ、紫外線硬化型樹脂を硬化させた。次いで、マット賦形フィルムを剥離して、表面に凹形状加工が施され防眩効果を有するハードコート層を形成させた。次いで、180℃で1分間の加熱処理をおこない、揮発成分の低減を行った。
この防眩性ハードコート層/二軸配向透明PETフィルム基材/硬化物層からなる積層体の硬化物層上に、実施例1と同様にしてインジウム−スズ複合酸化物薄膜を透明導電性薄膜として成膜した。さらに、この透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例6
実施例1と同様にして二軸配向透明PETフィルム基材/硬化物層からなる積層体を作製し、次いで、この硬化物層上に順次TiO2薄膜層(屈折率:2.30、膜厚20nm)、SiO2薄膜層(屈折率:1.46、膜厚60nm)を形成した。TiO2薄膜層を形成するには、チタンをターゲットに用いて、直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Paとし、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流した。また、基板の背面には表面温度が0℃の冷却ロールを設けて、透明プラスチックフィルムを冷却した。このときのターゲットには7.8W/cm2の電力を供給し、ダイナミックレートは23nm・m/分であった。
SiO2薄膜を形成するには、シリコーンをターゲットに用いて、直流マグネトロンスパッタリング法で、真空度を0.27Pa、ガスとしてArガスを500sccm、O2ガスを80sccmの流速で流した。また、基板の背面には表面温度が0℃の冷却ロールを設けて、透明プラスチックフィルムを冷却した。このときのターゲットには7.8W/cm2の電力を供給し、ダイナミックレートは23nm・m/分であった。さらに、この透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例7
実施例1と同様にして作製した透明導電性フィルムを、アクリル系粘着剤を介して、厚み1.0mmのポリカーボネート製シートに貼り付けて、透明導電性積層シートを作製した。この透明導電性積層シートを固定電極として用い、実施例4の透明導電性フィルムを可動電極に用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
実施例8
表面改質を行う際の電力を0.8W/cm2とする以外は、実施例1と同様にして導電性フィルムを作製した。さらに、この導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを製作した。
実施例9
表面改質処理を行う時の圧力を0.0007Paとした以外は、実施例1と同様にして導電性フィルムを作製した。さらに、この導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを製作した。
比較例1
表面改質を行う際に用いるターゲットをチタンにする以外は、実施例1と同様にして導電性フィルムを作製した。さらに、この導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを製作した。
比較例2
表面改質を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして導電性フィルムを作製した。さらに、この導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを製作した。
比較例3
表面改質を行なう際の圧力を0.005Paにしたこと以外は実施例1と同様にして導電性フィルムを作製した。さらにこの導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを製作した。
比較例4
表面改質を行う際の電力を2W/cm2とした以外は実施例1と同様にして導電性フィルムを作製した。さらにこの導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを製作した。
比較例5
180℃、1分の熱処理および10分間の真空暴露をしないさらに透明導電性薄膜の膜厚を30nmにする以外は実施例1と同様にして導電性フィルムを作製した。さらにこの導電性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを製作した。
Figure 2005205903
表1の結果より、実施例1〜9記載の透明導電性フィルム及び透明導電性シートは、本発明で規定した突起形状を満足する針状突起を有する透明導電性薄膜が得られた。この透明導電性フィルムを用いたタッチパネルは、ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ20万回の摺動試験を行なった後でも白化もなく、ON抵抗にも異常がなかった。また、入力した記号○印も正確に認識していた。
一方、比較例1〜3および5記載の透明導電性フィルムまたは透明導電性シートは、本発明で規定した突起形状を満足する針状突起を有していなかった。比較例1〜3および5記載の透明導電フィルムを用いたタッチパネルは、ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ20万回の摺動試験を行なった後に白化が生じ、ON抵抗に異常が生じた。また入力した記号○印も正確に認識されなかった。
一方、比較例4記載の透明導電性フィルムを用いたタッチパネルでは、ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に5.0Nの荷重をかけ20万回の摺動試験を行なったところ、硬化物層の一部が剥がれ、タッチパネルとして機能しなくなった。
本発明の透明導電性フィルムを用いたタッチパネルは、ペン摺動耐久性に優れ、かつ位置検出精度や表示品位にも優れているため、ペン入力タッチパネルとして好適である。
本発明の透明導電性フィルムを用いた、タッチパネルの例の説明図である。 本発明の透明導電性フィルム及び透明導電性シートを用いた、ガラス基板を使用しないタッチパネルの例の説明図である。
符号の説明
10 透明導電性フィルム
11 透明プラスチックフィルム基材
12 硬化物層
13 透明導電性薄膜
14 ハードコート層
20 ビーズ
30 ガラス板
40 透明導電性シート
41 粘着剤
42 透明樹脂シート

Claims (7)

  1. 透明プラスチックフィルム基材上に、透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムであって、前記透明導電性フィルムは透明導電性薄膜を設けた後、加熱処理することにより透明導電性薄膜面に形成された針状突起を有し、前記の針状突起は、突起径が10nm以上1μm以下で、かつ突起高さが(T−20)nm以上Tnm以下(Tは透明導電性薄膜の膜厚)であり、透明導電性薄膜面に1個/μm2以上100個/μm2以下の頻度で形成されていることを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. 前記透明導電性薄膜が、インジウム−スズ複合酸化物またはスズ−アンチモン複合酸化物からなることを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム。
  3. 前記透明導電性フィルムの全光線透過率が80%以上、CIE表色系でのa値が−1〜1、b値が−1〜4.5であることを特徴とする請求項1または2記載の透明導電性フィルム。
  4. 前記透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面とは反対面に、ハードコート層が積層されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
  5. 前記ハードコート層が防眩性を有することを特徴とする請求項4記載の透明導電性フィルム。
  6. 請求項1記載の透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面とは反対面に、粘着剤を介して透明樹脂シートを貼り合わせることを特徴とする透明導電性シート。
  7. 前記透明導電性薄膜を有する一対のパネル板を透明導電性薄膜が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、少なくとも一方のパネル板が請求項1乃至6のいずれかに記載の透明導電性フィルムもしくは透明導電性シートからなることを特徴とするタッチパネル。
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