以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態において同一又は同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
図1は、第1実施形態に係る車両用通信装置の概略構成図である。まず、図1に示すように、本実施形態に係る車両用通信装置1は、自車両に搭載され、通信先と無線にて通信するものである。通信先としては、例えば自車両の周囲を走行する他車両及び路上等に設置された路上機が該当する。
この車両用通信装置1は、無線通信端末(無線通信手段)10と、車載情報端末20とを備えている。無線通信端末10は、複数設けられており、それぞれが異なる周波数帯で通信先と無線通信可能なものである。具体的に、無線通信端末10は、n個(nは2以上の整数)設けられており、それぞれが5.2GHz帯や2.4GHz帯など、異なる周波数帯にて通信する構成とされている。
また、車載情報端末20は、n個の無線通信端末10から、通信に用いるべき無線通信端末10を選択し、選択した無線通信端末により無線通信を行うものである。この車載情報端末20は、無線通信に適切な通信周波数を算出する機能を備えており、算出された通信周波数に従って、n個の無線通信端末101〜10nからいずれか1つを選択する構成となっている。
次に、n個の無線通信端末101〜10n及び車載情報端末20の具体的構成を説明するが、n個の無線通信端末101〜10nは通信周波数帯域が異なる点を除いて構成が同一であるため、第1無線通信端末101を例に説明することとする。
第1無線通信端末101は、第1データ通信装置111及び第1通信インターフェース121を備えている。第1データ通信装置111は、データの送受信を行う主装置として機能しており、車両のイグニッションスイッチがオンされることにより、電源が入るようになっている。なお、第1データ通信装置111は、小型バッテリーを内蔵して常時、オン状態を保つ構成であってもよい。この場合、第1データ通信装置111は、小型バッテリーの消耗を防ぐため、走行している間に小型バッテリーを充電する構成とすることが望ましい。
第1通信インターフェース121は、車載情報端末20との接続を行うものである。また、車載情報端末20も同様に、通信インターフェース21を備えており、これら両者により第1データ通信装置111と車載情報端末20との接続が為されるようになっている。
ここでの接続は、携帯電話通信や無線LAN(802.11a、802.11b、802.11g等)、DSRC等により行われるようになっている。具体的には、Bluetoothや赤外線(IrDA)等の無線、又はRS-232C(シリアル・インターフェース)やUSB(Universal Serial Bus)、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等の有線によって、接続が行われるようになっている。
なお、他の無線通信端末102〜10nの構成は、上記した如く、第1無線通信端末101と同様で、それぞれがデータ通信装置112〜11nと通信インターフェース122〜12nとを備えており、通信インターフェース122〜12nにより車載情報端末20との接続が為されるようになっている。
車載情報端末20の通信インターフェース21は、通信方式変更レディ部21aを備えている。通信方式変更レディ部21aは、n個の無線通信端末101〜10nが電気信号を受信できる状態としておくものである。すなわち、通信方式変更レディ部21aは、n個の無線通信端末101〜10nからいずれか1つを選択できる状態としておくものである。
また、上記車載情報端末20は、通信インターフェース21の他に、データ格納メモリ22と、周波数算出部(周波数算出手段)23と、通信方式選択部(選択手段)24と、通信方式変更部(状態変更手段)25とを具備している。
データ格納メモリ22は、周波数とスループットとの相関データを記憶したものである。ここで、周波数とスループットとの相関データについて説明する。図2は、周波数とスループットとの相関データの一例を示す説明図である。
同図に示すように、スループットは周波数によって異なるものである。具体的にスループットは、2.4GHz帯で11Mbpsであり、5.2GHz帯で54Mbpsである。なお、この相関データは、自車両と通信先との相対距離が0mで、自車両と通信先との相対速度が0kmである場合のものである。
再度、図1を参照して車載情報端末20の構成を説明する。周波数算出部23は、データ格納メモリ22に記憶された周波数とスループットとの相関データ(以下、基準相関データという)に基づいて、通信先と無線通信する際の通信周波数を算出するものである。具体的に、周波数算出部23は、最もスループットが高くなる周波数を通信周波数として算出するものである。従って、自車両と通信先との相対距離が0mで、自車両と通信先との相対速度が0kmである場合、周波数算出部23は、図2に示すデータに基づいて、5.2GHz以上を通信周波数として算出し、2.4GHzを通信周波数として算出しないこととなる。
通信方式選択部24は、周波数算出部23にて算出された通信周波数に基づいて、n個の無線通信端末101〜10nから無線通信に用いるべき1の無線通信端末10を選択するものである。例えば、自車両と通信先との相対距離が0mで、自車両と通信先との相対速度が0kmである場合、上記の如く周波数算出部23は、5.2GHz以上の周波数を通信周波数として算出する。このため、n個の無線通信端末101〜10nのうち、最も無線通信の周波数帯域が高いものが5.2GHzにて通信するものであるとすると、通信方式選択部24は、5.2GHzにて無線通信可能な無線通信端末10を選択することとなる。
通信方式変更部25は、通信方式選択部24にて選択された無線通信端末10を無線通信可能状態とし、選択されなかった無線通信端末10を無線通信不可状態とするものである。すなわち、5.2GHzにて無線通信可能な無線通信端末10を選択した場合、5.2GHzの無線通信端末10を無線通信可能状態とし、他の2.4GHzなどの無線通信端末10を無線通信不可状態とすることとなる。なお、通信方式変更部25は、無線通信端末10の通信可能状態及び不可状態の変更を、通信インターフェース21を通じて行うようになっている。
さらに、車載情報端末20は、位置情報取得部(位置情報取得手段)26、距離算出部(距離算出手段)27、速度情報取得部(速度情報取得手段)28、相対速度算出部(相対速度算出手段)29、地図データベース(地図記憶手段)30、建造物検出部31、電波到達推定部(通信可否推定手段)32、及び算出情報取得部33を備えている。
位置情報取得部26は、自車両の位置情報及び通信先の位置情報を取得するものであり、距離算出部27は、位置情報取得部26により取得された自車両の位置情報及び通信先の位置情報に基づいて、両者間の距離を算出するものである。
具体的に位置情報取得部26は、GPSやジャイロセンサー等により自車両の位置情報を取得する構成となっている。また、位置情報取得部26は、通信先に位置情報を要求して、通信先の位置情報を取得する構成となっている。
速度情報取得部28は、自車両の速度情報及び通信先の速度情報を取得するものであり、相対速度算出部29は、速度情報取得部28により取得された自車両の速度情報及び通信先の速度情報に基づいて、通信先に対する自車両の相対速度を算出するものである。
具体的に速度情報取得部28は、車速センサからのパルス信号等に基づいて自車両の速度を取得する構成となっている。また、速度情報取得部28は、位置情報取得部26と同様に、通信先に速度情報を要求して、通信先の速度情報を取得するようになっている。
地図データベース30は、少なくとも建造物の情報を含む地図情報を記憶したものである。また、建造物検出部31は、地図データベース30に記憶された建造物のスケールを検出するものである。すなわち、建造物検出部31は、地図データベース30に記憶された建造物の高さ、横幅、奥行きなどを検出するものである。
電波到達推定部32は、位置情報取得部26により取得された自車両の位置情報及び通信先の位置情報、並びに、地図データベース30により記憶された建造物の情報に基づいて、自車両が通信先と無線通信可能か否かを推定するものである。具体的に電波到達推定部32は、n個の無線通信端末101〜10nの通信周波数毎に、無線通信が可能か否かを推定するものである。すなわち、電波到達推定部32は、「5.2GHz帯の通信では無線通信できないが、2.4GHz帯の通信では無線通信可能である」などを推定するように構成されている。
算出情報取得部33は、上記距離算出部27、相対速度算出部29及び電波到達推定部32から、距離情報、相対速度情報、及び推定結果の情報を取得するものである。また、算出情報取得部33は、これらの情報を周波数算出部23に送信するものである。
ここで、上記データ格納メモリ22は、基準相関データの他に、距離とスループットとの相関データ(以下、距離相関データという)と、速度とスループットとの相関データ(以下、速度相関データという)とを記憶している。
また、周波数算出部23は、データ格納メモリ22に予め記憶された距離相関データと、距離算出部27により算出された距離に基づいて、新たな基準相関データを求める第1機能を有している。また、周波数算出部23は、距離だけでなく、データ格納メモリ22に予め記憶された速度相関データと、相対速度算出部29により算出された相対速度に基づいて、新たな基準相関データを求める第2機能を有している。さらに、周波数算出部23は、無線通信が不可能な場合にスループットを0Mbpsとするなどして、新たな基準相関データを求める第3機能を有している。
以下、上記3つの機能について説明する。まず、距離相関データは以下のようなものである。図3は、距離相関データの一例を示す説明図である。同図に示すように、スループットは通信距離によって異なるものである。具体的に2.4GHz帯と5.2GHz帯と比較すると、スループットは、距離が短い(約17m以下)場合、5.2GHz帯の方が高くなり、距離が長い(約17mを超える)場合、2.4GHz帯の方が高くなる。なお、この距離相関データは、通信先に対する自車両の相対速度が0kmである場合のものである。
このように、スループットは、通信距離により異なるものであり、図2に示した基準相関データのみでは、最もスループットが高くなる通信周波数を算出できない可能性がある。このため、周波数算出部23は、第1機能を備え、距離相関データと、現在の自車両と通信先との距離とから、現在における自車両と他車両との距離に適合した新たな基準相関データを求めるようになっている。
また、速度相関データについて図示しないが、スループットは通信する二者間の速度によっても異なるものであり、相対速度が高くなるほど低くなる傾向にある。このため、第1機能と同様に、周波数算出部23は、第2機能を備え、現在における自車両の相対速度に適合した新たな基準相関データを求めるようになっている。
さらに、第3機能は以下のものである。上記した如く、電波到達推定部32は、「5.2GHz帯の通信では無線通信できないが、2.4GHz帯の通信では無線通信可能である」などを推定するようになっている。このような場合、周波数算出部23は、通信周波数を5.2GHz以上と算出すべきでない。このため、周波数算出部23は、第3機能を備え、5.2GHz以上のスループットを0Mbpsとする新たな基準相関データを求めるようになっている。
次に、本実施形態に係る車両用通信装置1の動作の概略を説明する。まず、周波数算出部23は、図2に示すような基準相関データをロードする。そして、算出情報取得部33からの距離情報等の送信を待つ待機状態となる。
この待機状態の間において、まず、位置情報取得部26は、自車両及び通信先の位置情報を取得する。そして、位置情報取得部26は、取得した位置情報を距離算出部27に送信する。その後、距離算出部27は、自車両と通信先との距離を算出して、距離情報を算出情報取得部33に送信する。
また、速度情報取得部28は、自車両及び通信先の速度情報を取得し、取得した速度情報を相対速度算出部29に送信する。そして、相対速度算出部29は、通信先に対する自車両の相対速度を算出して、相対速度情報を算出情報取得部33に送信する。
さらに、建造物検出部31は、地図データベース30に記憶された建造物のスケールを検出し、その建造物の位置及びスケールの情報を電波到達推定部32に送信する。また、上記位置情報取得部26は、距離算出部27だけでなく、電波到達推定部にも自車両及び通信先の位置情報を送信する。
そして、電波到達推定部32は、自車両及び通信先の位置情報、並びに、地図データベース30により記憶された建造物の位置及びスケールに基づいて、自車両が通信先と無線通信可能か否かを推定する。
具体的に、電波到達推定部32は、図4に示すようにして、自車両と通信先との無線通信が可能か否かを推定するものである。図4は、電波到達推定部32による推定方法の一例を示す説明図である。なお、図4において通信先として他車両を例に説明するが、通信先は路上機であっても同様の処理が行われる。
まず、同図に示すように、電波到達推定部32は、位置情報取得部26により取得された自車両の位置情報及び通信先の位置情報により両者の位置O,P1〜P3を特定する。その後、電波到達推定部32は、建造物検出部31からの情報に基づいて、建造物の位置P4,P5及びスケールS1〜S6を特定する。
その後、電波到達推定部32は、シミュレートを行う。シミュレートにあたって電波到達推定部32は、まず、通信する周波数を特定する。特定後、電波到達推定部32は、建造物の種別から反射率及び透過率を推定する。その後、電波到達推定部32は、建造物への電波の入射角及び反射角を算出する。
次いで、電波到達推定部32は、建造物の反射後の電波強度を求める。そして、電波強度が「0」となるまで、上記処理を繰り返し、電波が他車両まで到達するか否かを推定する。推定後、電波到達推定部32は、特定した周波数と異なる周波数にて上記のシミュレートを繰り返し行い、各周波数について電波が他車両まで到達するか否かを推定する。
このように推定した後、電波到達推定部32は、推定結果の情報を算出情報取得部33に送信する。そして、算出情報取得部33は、距離情報、相対速度情報、推定結果の情報を周波数算出部23に送信する。
その後、周波数算出部23は、第1〜第3機能により、新たな基準相関データを求める。図5は、距離相関データを利用して求められた新たな基準相関データの一例を示す説明図である。
まず、第1機能において、周波数算出部23は、データ格納メモリ22に予め記憶された距離相関データを読み出し、算出情報取得部33からの距離情報を入力する。そして、周波数算出部23は、距離情報及び距離相関データに基づいて、新たな基準相関データを求める。
具体的に周波数算出部23は、距離が0mである場合、図5に示すように、2.4GHz帯で約11Mbps、5.2GHz帯で約54Mbpsとなる新たな基準相関データを求める。また、距離が10mである場合には、2.4GHz帯で約9Mbps、5.2GHz帯で約10.5Mbpsとなる新たな基準相関データを求める。さらに、距離が20mである場合には、2.4GHz帯で約6Mbps、5.2GHz帯で約2Mbpsとなる新たな基準相関データを求める。
このように、周波数算出部23は、第1機能において、自車両から通信先までの距離に適合した新たな基準相関データを求める。
また、周波数算出部23は、第2機能によって新たな基準相関データを求める。図6は、速度相関データを利用して求められた新たな基準相関データの一例を示す説明図である。
まず、第2機能において、周波数算出部23は、データ格納メモリ22に予め記憶された速度相関データを読み出し、算出情報取得部33からの相対速度情報を入力する。そして、周波数算出部23は、相対速度情報及び速度相関データに基づいて、新たな基準相関データを求める。
具体的に周波数算出部23は、速度が0km/hである場合、図6に示すように、2.4GHz帯で約11Mbps、5.2GHz帯で約54Mbpsとなる新たな基準相関データを求める。また、速度が100km/hである場合には、2.4GHz帯で約2Mbps、5.2GHz帯で約12Mbpsとなる新たな基準相関データを求める。さらに、速度が200km/hである場合には、2.4GHz帯で約0Mbps、5.2GHz帯で約2Mbpsとなる新たな基準相関データを求める。
このように、周波数算出部23は、第2機能において、通信先に対する自車両の速度に適合した新たな基準相関データを求める。
また、周波数算出部23は、第3機能によっても新たな基準相関データを求める。第3機能においては、周波数算出部23が、算出情報取得部33からの推定結果の情報を入力する。そして、周波数算出部23は、推定結果の情報データに基づいて、新たな基準相関データを求める。例えば、周波数算出部23は、5.2GHzにて通信が不能であるという結果が得られている場合には、5.2GHzのスループットを0Mbpsとする新たな基準相関データを求める。
なお、上記では、理解を容易にするために、第1〜第3機能を個別に説明して、それぞれが新たな基準相関データを求める処理を説明した。ところが、実際に周波数算出部23は、これら3機能を総合的に行って、自車両から通信先までの距離、通信先に対する自車両の速度、及び電波の到達具合に適合した新たな基準相関データを求めることとなる。
そして、第1〜第3機能により新たな基準相関データを求めた後、周波数算出部23は、新たな基準相関データに基づいて、通信周波数を算出する。この際、周波数算出部23は、周波数算出部23は、最もスループットが高くなる周波数を通信周波数として算出する。
例えば、第1〜第3機能を総合的に行って得られた新たな基準相関データが図5に示すものであるとする。そして、自車両と通信先との距離が20mであるとすると、周波数算出部23は、スループットが2.4GHzで最も高くなっていることから、2.4GHzを通信周波数として算出することとなる。一方、自車両と通信先との距離が10mである場合、スループットは5.2GHzで最も高くなっている。このため、周波数算出部23は、5.2GHzを通信周波数として算出することとなる。
そして、周波数算出部23は、算出した周波数の情報を通信方式選択部24に送信する。通信方式選択部24は、周波数算出部23にて算出された通信周波数に基づいて、n個の無線通信端末101〜10nのうちいずれか1つを選択する。この際、通信方式選択部24は、算出された通信周波数に最も近い周波数にて通信可能な無線通信端末10を選択する。そして、通信方式選択部24は、選択した無線通信端末10の情報を通信方式変更部25に送信する。
その後、通信方式変更部25は、通信方式選択部24にて選択された無線通信端末10を無線通信可能状態とし、選択されなかった無線通信端末10を無線通信不可状態とする。これにより、本装置1は、通信品質の1つである通信速度が適切とされた無線通信端末10により、通信を行うことができる。
次に、本実施形態に係る車両用通信装置1の詳細動作の一例を説明する。図7は、第1実施形態に係る車両用通信装置1の動作の一例を示すフローチャートである。同図に示すように、まず、本装置1はイニシャライズを行う(ST10)。図8は、図7に示したステップST10の詳細な処理を示すフローチャートである。同図に示すように、イニシャライズにあたっては、まず、車載情報端末20とn個の無線通信端末101〜10nとの物理的接続が行われる(ST20)。この接続処理は、イグニッションオン時に自動で行われてもよいし、手動で行われてもよい。
手動にて行われる例としては、例えば、互いをコネクタ接続する方法や、n個の無線通信端末101〜10nと車載情報端末20と双方にスイッチが設けられており、これらスイッチを操作して特定動作を行わせることにより接続する方法がある。また、ここでの物理的接続は有線であっても無線であってもよい。
接続処理後、車載情報端末20は、無線通信端末101〜10nと物理的に接続されているか否かを判断する(ST21)。この際、車載情報端末20は、例えば電気信号(ATコマンド等)をn個の無線通信端末101〜10nに送信し、応答があったか否かにより判断する。
ここで、物理的に接続されていないと判断した場合(ST21:NO)、車載情報端末20は、接続を検出できない時間が規定時間を超えるものであるか否かを判断する(ST22)。規定時間を超えると判断した場合(ST22:YES)、処理はステップST20に戻り、再度物理的接続処理が行われる。
一方、規定時間を超えないと判断した場合(ST22:NO)、処理はステップST21に戻り、再度接続されているか否かが判断されることとなる。一方、接続されていると判断した場合(ST21:YES)、通信方式変更レディ部21aは、n個の無線通信端末101〜10nを選択可能な状態にする(ST23)。すなわち、通信方式変更レディ部21aは、接続されているすべての無線通信端末101〜10nに対して、電気信号を受けられる状態にしておく。
その後、通信方式変更部25は、初期値として登録された無線通信端末10を電気的に接続する(ST24)。そして、電気的接続の後、処理は図7のステップST11に戻ることとなる。
ここで、例えばn個の無線通信端末101〜10nのうちいずれかが車載情報端末20に内蔵されている場合、その内蔵されているものが初期値として登録されているものとする。また、内蔵された無線通信端末10が存在しない場合、物理的に接続された最初の無線通信端末10が初期値として登録されているものとする。さらには、特定ポートに接続された無線通信端末10を初期値として登録されるようにしてもよい。
再度、図7を参照する。イニシャライズの後、周波数算出部23は、データ格納メモリ22から基準相関データをロードする(ST11)。その後、車載情報端末20は、新たな基準相関データを算出する(ST12)。
図9は、図7に示したステップST12の詳細な処理を示すフローチャートである。同図に示すように、新たな基準相関データは、データ格納メモリ22に記憶された基準相関データを補正することにより求められる。具体的には以下のように求められる。
まず、位置情報取得部26が自車両の位置情報を取得し、速度情報取得部28が自車両の速度情報を取得する(ST30)。その後、通信先が他車両である場合、車載情報端末20は、相手車両に自車両の位置情報及び速度情報を送信する(ST31)。また、車載情報端末20は、これと同時に、相手車両の位置情報及び速度情報の要求信号を送信する。
そして、車載情報端末20は、相手車両の位置情報及び速度情報を受信できたか否かを判断する(ST32)。相手車両の位置情報及び速度情報を受信できなかった場合(ST32:NO)、車載情報端末20は受信できるまで、この処理を繰り返すこととなる。一方、相手車両の位置情報及び速度情報を受信できた場合(ST32:YES)、距離算出部27は自車両と通信先との距離を算出し、相対速度算出部29は通信先に対する自車両の相対速度を算出する(ST33)。そして、距離算出部27及び相対速度算出部29は、算出した情報を算出情報取得部33に送信する。
その後、建造物検出部31は、地図データベースから地図情報をロードする(ST34)。ここでロードする地図情報は、メモリの容量が限られている場合には、メモリの容量にあわせて、必要最低限の情報量分だけ切り出すようにするとよい。また、メモリの容量に余裕がある場合には、すべての地域の地図情報をロードするようにしてもよい。
ロード後、建造物検出部31は、建造物の高さ、横幅、奥行きなどのスケールを検出し(ST35)、スケールの情報等を電波到達推定部32に送信する。そして、電波到達推定部32は、地図上に自車両、通信先、及び建造物等をマッピングする(ST36)。マッピング後、電波到達推定部32は、通信先に電波が到達するか否かを判断すべく、シミュレーションを行う。すなわち、電波の干渉及び回折等を考慮して、電波が到達するか否かを推定する(ST37)。そして、電波到達推定部32は、推定結果の情報を算出情報取得部33に送信する。
その後、算出情報取得部33は、上記距離情報、相対速度情報、及び推定結果の情報を周波数算出部23に送信し、周波数算出部23は、図2を参照して説明した基準相関データを補正して、新たな基準相関データを算出する(ST38)。そして、処理は図7のステップST13に移行する。
再度、図7を参照する。新たな基準相関データを算出した後、周波数算出部23は、新たな基準相関データに基づいて、通信すべき周波数を算出する(ST13)。そして、通信方式選択部24は、n個の無線通信端末101〜10nから、いずれか1つを選択する(ST14)。具体的に、通信方式選択部24は、通信すべき周波数が2.4GHzである場合、802.11b又は802.11gの無線通信端末10を選択し、通信すべき周波数が5.2GHzである場合、802.11aの無線通信端末10を選択することとなる。
その後、通信方式変更部25は、通信方式選択部24にて選択された無線通信端末10を無線通信可能状態とし、選択されなかった無線通信端末10を無線通信不可状態とする。そして、車載情報端末20は、無線通信可能状態となった無線通信端末10により、通信先と無線通信を行う(ST15)。これにより、通信品質の1つである通信速度が適切とされた無線通信端末10により、通信が行うことができる。
その後、処理は、ステップST12に戻り、例えばイグニッションスイッチがオフされるまで、繰り返されることとなる。
このようにして、第1実施形態に係る車両用通信装置1によれば、周波数とスループットとの相関データに基づいて、通信先と無線通信する際の通信周波数を算出するので、通信品質の1つである通信速度を考慮した通信周波数を算出することができる。そして、算出された通信周波数に基づいて、複数の無線通信端末10から無線通信に用いるべき無線通信端末10を選択しているので、複数の無線通信端末10から、通信速度の面で好適な無線通信端末10を選択することができる。
また、選択された無線通信端末10を無線通信可能状態とし、選択されなかった無線通信端末10を無線通信不可状態としている。このため、複数の無線通信端末10のうち、通信速度の面で好適な無線通信端末10にて無線通信が行われることとなる。従って、通信品質の向上を図ることができる。
また、記憶された情報に基づいて、周波数とスループットとの相関データを求めている。ここで、スループットは、周囲環境等の走行環境により変わってくるものである。故に、周波数とスループットとの相関データについても走行環境により変わってくることとなる。このため、周波数とスループットとの相関データを予め固定のものとして1つだけ記憶しておくよりも、記憶された情報に基づいて、走行環境の変化に対応し得るように、周波数とスループットとの新たな相関データを求めることで、精度良く通信周波数を算出することができる。
また、予め記憶した情報としての距離相関データと、算出した距離とに基づいて、新たな基準相関データを求めている。このため、自車両と通信先との距離に応じて適切な基準相関データを求めることとなり、通信品質の面で一層適切な通信周波数を求めることができる。
また、予め記憶した情報としての速度相関データと、算出した相対速度とに基づいて、新たな基準相関データを求めている。このため、通信先に対する自車両の速度に応じて適切な基準相関データを求めることとなり、通信品質の面で一層適切な通信周波数を求めることができる。
また、予め記憶した情報としての建造物の情報と、取得した自車両及び通信先の位置情報から、通信先と通信可能か推定し、推定結果に基づいて、新たな基準相関データを求めている。このため、通信の可否に応じて適切な基準相関データを求めることとなり、通信品質の面で一層適切な通信周波数を求めることができる。
また、基準相関データに基づいて最もスループットが高くなる周波数を通信周波数として算出しているので、無線通信にあたり、通信品質の1つである通信速度を最も好適なものとすることができる。
なお、本実施形態では、距離相関データ、速度相関データ及び地図情報等を記憶しておき、新たな基準相関データを算出するようにしているが、これに限らず、試験通信を行って得られた基準相関データにより、通信周波数を算出するようにしてもよい。この場合、周波数算出部23は、予め記憶された情報として試験通信をする際の通信周波数等のデータを記憶しておき、この記憶データに基づいて、新たな基準相関データを求めることとなる。
また、n個の無線通信端末101〜10nは、デフォルト状態で少なくとも1つが物理的及び電気的に車載情報端末20に接続されていることが望ましい。これにより、初期状態において、最低限の情報のやり取りをすることができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る車両用通信装置2は、第1実施形態のものと同様であるが、車載情報端末20の構成及び処理内容の一部が第1実施形態のものと異なっている。
以下、第2実施形態に係る車両用通信装置2について説明する。図10は、第2実施形態に係る車両用通信装置2の概略構成図である。同図に示すように、本実施形態に係る車両用通信装置2は、新たに推奨スループット記憶部(推奨スループット記憶手段)34を備えている。
推奨スループット記憶部34は、アプリケーションを実行するために必要な情報量を得るための推奨スループットを記憶したものである。例えば、動画を再生する場合、少なくとも約1Mbpsのスループットが必要となる。つまり、推奨スループット記憶部34は、「動画再生時には1Mbpsのスループットが必要である」などの情報を記憶していることとなる。
また、推奨スループット記憶部34は、周波数算出部23に接続されており、周波数算出部23により推奨スループットの情報が読み込まれるようになっている。このため、周波数算出部23は、基準相関データに加えて、推奨スループット記憶部34により記憶された推奨スループットに基づいて、通信周波数を算出することとなる。
ここで、周波数算出部23の算出方法について詳細に説明する。図11は、新たな基準相関データ及び推奨スループットの一例を示す説明図である。端的に周波数算出部23は、推奨スループットを超えるように通信周波数を算出する。推奨スループットは上記の如く或る一定の値として記憶されている。すなわち、図11に示す例にあっては、約7.5Mbpsとして記憶されている。故に、周波数算出部23は、7.5Mbpsを超える周波数を通信周波数として算出することとなる。
より具体的に周波数算出部23は、推奨スループットを超えるものの、超えすぎない範囲(例えば、推奨スループット+α(αは正の値)まで、又は推奨スループット×β(βは1を超える数)までなど)で、通信周波数を求めるようになっている。
例えば、自車周辺にいる他車両すべてが最も高いスループットを実現可能な通信周波数にてデータ通信を行ったとする。この場合、1台あたりの通信帯域が狭くなり、結果として、スループットが低くなる可能性がある。このため、第2実施形態において、周波数算出部23は、推奨スループットに基づき最低限必要なスループットが確保されるように通信周波数を求める。従って、図11に示す例にあっては、自車両と通信先との距離が10mである場合、周波数算出部23は、最大のスループットを示す5.2GHzでなく、約2.0GHzを通信周波数として求めることとなる。
なお、自車両と通信先との距離が20mである場合、通信周波数は約7.5Mbpsを超えることはない。この場合、周波数算出部23は、推奨スループットを超えるように、無線通信する情報の種別を変更することとなる。例えば、動画を再生せずに、静止画を表示するように変更すると、推奨スループットは低くなる。例えば、図11に示す例において、推奨スループットが7.5Mbpsから数Mbps低くなったとすると、2.4GHz帯が推奨スループットを超えることとなる。そして、推奨スループットを超える通信周波数のうちから、上記と同様にして通信周波数を算出することとなる。
なお、周波数算出部23は、無線通信する情報の種別を変更せずに、単純に最もスループットが高くなる周波数を通信周波数として算出し、スループットが推奨スループットに達していない旨を運転者に通知するようにしてもよい。
次に、第2実施形態に係る車両用通信装置2の詳細動作の一例を説明する。図12は、第2実施形態に係る車両用通信装置2の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図12においてステップST40〜ST42,ST44,ST45に示す処理は、図7に示すステップST10〜ST12,ST14,ST15に示す処理と同様であるため、説明を省略する。
新たな基準相関データを算出した後(ST42の後)、周波数算出部23は、新たな基準相関データと、推奨スループットとから通信周波数を算出する(ST43)。この際、周波数算出部23は、図11を参照して説明したように、通信周波数を算出する。
そして、処理はステップST44,ST45を経て、ステップST42に戻ることとなる。その後、例えばイグニッションスイッチがオフされるまで、図12に示す処理が繰り返されることとなる。
このようにして、第2実施形態に係る車両用通信装置2によれば、第1実施形態と同様に、通信品質の向上を図ることができる。また、精度良く通信周波数を算出することができ、通信品質の面で一層適切な通信周波数を求めることができる。また、無線通信にあたり、通信品質の1つである通信速度を最も好適なものとすることができる。
さらに、第2実施形態によれば、基準相関データに加え、アプリケーションを実行するために必要な情報量を得るための推奨スループットに基づいて、通信周波数を算出している。ここで、自車周辺にいる他車両すべてが最も高いスループットを実現可能な通信周波数にてデータ通信を行ったとすると、1台あたりの通信帯域が狭くなり、結果として、スループットが低くなる可能性がある。ところが、第2実施形態では、推奨スループットに基づいて、最低限必要なスループットが確保されるように通信周波数を求めるため、1台あたりの通信帯域が狭くなり難く、通信品質の向上を図ることができる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係る車両用通信装置3は、第1実施形態のものと同様であるが、車載情報端末20の構成及び処理内容の一部が第1実施形態のものと異なっている。
以下、第3実施形態に係る車両用通信装置3について説明する。図13は、第3実施形態に係る車両用通信装置3の概略構成図である。同図に示すように、本実施形態に係る車両用通信装置3は、車載情報端末20の構成として、新たにリーダ車両決定部(リーダ車両決定手段)35と、主催者特定部(主催者特定手段)36と、走行環境認識部(走行環境認識手段)37と、タイミング算出部38とを備えている。
リーダ車両決定部35は、複数の車両からリーダ車両を決定するものである。ここで、リーダ車両とは、自車両の通信周波数のみならず、他車両の通信周波数をも決定する車両をいう。すなわち、リーダ車両とならなかった車両は、リーダ車両から指示された通信周波数に従って、n個の無線通信端末101〜10nから通信に用いるべきものを選択することとなる。
このリーダ車両決定部35は、位置情報取得部26に接続されている。このため、リーダ車両決定部35は、位置情報取得部26から自車両及び他車両の位置情報を取得して、複数の車両からなる車群の先頭を走行する先導車両などをリーダ車両として決定することとなる。また、リーダ車両決定部35は、先導車両に限らず、車群の最後尾を走行する最後尾車両、及び車群の中央付近を走行する中央車両をリーダ車両と決定するようにしてもよい。
また、リーダ車両決定部35は、通信方式選択部24に接続されている。このため、通信方式選択部24は、自車両がリーダ車両となったか否かに基づいて、通信に用いるべき無線通信端末10を決定するか否かを判断することとなる。すなわち、通信方式選択部24は、自車両がリーダ車両である場合、自車両にて通信周波数を算出して無線通信端末10を選択し、自車両がリーダ車両でない場合、リーダ車両から送信される通信周波数に基づいて無線通信端末10を選択することとなる。
主催者特定部36は、各車両間におけるメールの送受信の情報に基づいてドライブ主催者を特定するものである。また、主催者特定部36は、リーダ車両決定部35に接続されている。このため、リーダ車両決定部35は、主催者特定部36により特定されたドライブ主催者が乗車する車両をリーダ車両と決定するようにも構成されている。
走行環境認識部37は、自車両周囲の走行環境を認識するものである。また、タイミング算出部38は、走行環境認識部37により認識された走行環境の情報を入力し、運転負荷が高くなるタイミングを求めるものである。
また、タイミング算出部38は、通信方式変更部25に接続されている。このため、第3実施形態の通信方式変更部25は、タイミング算出部38にて算出されたタイミング(運転負荷が高くなるタイミング)で、無線通信端末10を無線通信可能状態、及び無線通信不可状態とするようになっている。
さらに、タイミング算出部38は、自車両がリーダ車両である場合に、他車両に通信周波数の情報を送信するタイミングを制御するようになっている。すなわち、タイミング算出部38は、運転負荷が高くなるタイミングで、他車両に通信周波数の情報を送信すべく、車載情報端末20を制御するようになっている。
次に、第3実施形態に係る車両用通信装置3の動作の概略を説明する。まず、車両用通信装置3にあっては、リーダ車両決定部35が位置情報取得部26からの情報、又は主催者特定部36により特定されたドライブ主催者の情報に基づいて、リーダ車両を決定する。
図14は、リーダ車両決定部35が位置情報取得部26からの情報に基づいて、リーダ車両を決定する場合の処理を説明する図であり、(a)は先導車両をリーダ車両と決定する場合を示し、(b)は最後尾車両をリーダ車両と決定する場合を示し、(c)は中央車両をリーダ車両と決定する場合を示している。
同図に示すように、車群が4台の車両101〜104にて構成されており、それぞれの車両の座標が(x1,y1)(x2,y2)(x3,y3)(x4,y4)であるとする。
そして、先導車両をリーダ車両と決定する場合、リーダ車両決定部35は、図14(a)に示すように、x軸に座標値が最も小さいものを先導車両と特定して、リーダ車両と決定する。
また、最後尾車両をリーダ車両と決定する場合、リーダ車両決定部35は、図14(b)に示すように、x軸に座標値が最も大きいものを最後尾車両と特定して、リーダ車両と決定する。
さらに、中央車両をリーダ車両と決定する場合、リーダ車両決定部35は、図14(c)に示すように、各座標値から重心の座標値(xg,yg)を求める。そして、重心の座標値(xg,yg)に最も近い位置に存する車両を中央車両と特定して、リーダ車両と決定する。
また、リーダ車両決定部35が、主催者特定部36により特定されたドライブ主催者の情報に基づいてリーダ車両を決定する場合、例えば以下のようにしてドライブ主催者が特定されて、リーダ車両が決定される。
すなわち、ドライブが行われる当日までに、グループ内の誰かがドライブ開催のメール等をドライブに参加して欲しい人たちに送信したとする。この場合、主催者特定部36は、そのメールの送受信情報を取得し、その送信元のアドレスから、ドライブ主催者を特定する。
その後、主催者特定部36は、特定したドライブ主催者に基づいてリーダ車両を特定する。この際、主催者特定部36は、例えば予め記憶したメールアドレスと、車両情報とを関連づけて記憶しておき、車両情報に基づいてリーダ車両を決定する。また、IPアドレスに基づいてリーダ車両を決定するようにしてもよい。
そして、リーダ車両決定部35は、上記の如く決定したリーダ車両の情報を通信方式選択部24に送信する。ここで、リーダ車両が自車両である場合、周波数算出部23は、前述した各部22〜33からの信号により、通信周波数を求める。そして、通信方式選択部24は、周波数算出部23により算出された通信周波数に基づいて、無線通信に用いるべき無線通信端末10を選択する。
また、リーダ車両が自車両である場合、走行環境認識部37は、走行環境の認識を開始する。その後、タイミング算出部38は、運転負荷が高くなるタイミングを求める。そして、車載情報端末20は、タイミング算出部38により求められた運転負荷が高くなるタイミングにおいて、算出した通信周波数の情報を他車両に送信する。
そして、送信後に、通信方式変更部25は、通信方式選択部24により選択された無線通信端末10を通信可能状態とし、選択されなかった無線通信端末10を通信不可状態とする。
一方、リーダ車両が自車両でない場合、周波数算出部23は、通信周波数を求めることなく、通信方式選択部24は、無線通信に用いるべき無線通信端末10を選択しない。すなわち、通信方式選択部24は、リーダ車両から通信周波数の情報が送信されるまで待機状態となり、送信されてきた段階で、その情報に基づいて無線通信に用いるべき無線通信端末10を選択する。
以上により、快適な通信状態を確保しつつ、通信品質の向上を図ることができる。すなわち、各車両がバラバラに通信周波数を変更してしまうと、通信周波数に統一が取れず、却って無線通信を阻害することとなる。ところが、第3実施形態では、リーダ車両が通信周波数を算出し、各車両に送信しているため、通信周波数の統一を取ることができる。
また、運転負荷が高くなるタイミングで、無線通信端末10の変更を行うため、運転者にとって無線通信端末10の変更が認識されにくくなっている。すなわち、運転負荷が高い場合、運転者は、無線通信端末10の変更を認識し難くなっており、無線通信端末10の変更によりデータ通信が一時中断したとしても、快適性を損なうことがないようになっている。
次に、第3実施形態に係る車両用通信装置3の詳細動作の一例を説明する。図15は、第3実施形態に係る車両用通信装置3の動作の一例を示すフローチャートである。同図に示すように、まず、車載情報端末20は、通信周波数を変更する必要があるか否かを判断する(ST50)。例えば、合流地点や交差点等で車両の台数が増加するような場合や、ビル等の建物により電波が遮断されて通信が行えなくなる場合や、取得するコンテンツや実行するアプリケーションが変更になる場合に、車載情報端末20は通信周波数を変更する必要があると判断する。
通信周波数を変更する必要があると判断した場合(ST50:YES)、車載情報端末20は、位置関係からリーダ車両を決定するか否かを判断する(ST51)。ここで、位置関係からリーダ車両を決定すると判断した場合(ST51:YES)、リーダ車両決定部35は、位置情報に基づいてリーダ車両を決定する(ST52)。
図16は、図15に示したステップST52の詳細な処理を示すフローチャートである。なお、図14に示した例では、各車両の座標値からリーダ車両を決定していたが、図16では、各車両間の距離からリーダ車両を決定するものとする。
同図に示すように、位置情報に基づいてリーダ車両を決定する場合には、まず、位置情報取得部26が自車両の位置情報を取得する(ST60)。その後、車載情報端末20は、相手車両に自車両の位置情報を送信する(ST61)。また、車載情報端末20は、これと同時に、相手車両の位置情報の要求信号を送信する。
そして、車載情報端末20は、相手車両の位置情報を受信できたか否かを判断する(ST62)。相手車両の位置情報を受信できなかった場合(ST62:NO)、車載情報端末20は受信できるまで、この処理を繰り返すこととなる。一方、相手車両の位置情報を受信できた場合(ST62:YES)、距離算出部27は自車両と相手車両との距離を算出する(ST63)。そして、距離算出部27は、算出した情報をリーダ車両決定部35に送信する。
その後、リーダ車両決定部35は、距離算出部27にて算出された距離の情報に基づいて、リーダ車両を決定する(ST64)。この際、リーダ車両決定部35は、例えば、自車両との距離関係から、先導車両、最後尾車両又は中央車両を特定し、リーダ車両と決定することとなる。決定後、処理は図15に示したステップST54に移行することとなる。
ところで、ステップST51において、位置関係からリーダ車両を決定しないと判断した場合(ST51:NO)、リーダ車両決定部35は、ドライブの主催者に基づいてリーダ車両を決定する(ST53)。
図17は、図15に示したステップST53の詳細な処理を示すフローチャートである。同図に示すように、ドライブの主催者に基づいてリーダ車両を決定する場合には、まず、主催者特定部36が現在日時をGPS信号等から確認する(ST70)。その後、主催者特定部36は、変数iを「1」に初期化する(ST71)。
そして、主催者特定部36は、保有しているメールのうちi番目を参照する(ST72)。具体的に主催者特定部36は、i番目のメールのうち、受信(送信)日時、件名、及び送信元を参照する。
その後、主催者特定部36は、ドライブ開催メールの日時と、現在の日時とが一致するか否かを判断する(ST73)。ここで、ドライブ開催メールの日時は、メールの受信(送信)日時から判断することが可能であり、現在の日時はステップST70において取得した時刻情報から判断することが可能である。なお、ステップST73では、ある程度、時刻に幅を持って一致判断を行っており、多少の時刻のズレを許容するものである。
ここで、ドライブ開催メールの日時と現在の日時とが一致しないと判断した場合(ST73:NO)、主催者特定部36は、変数iをインクリメントし(ST74)、再度、ステップST72においてメールの参照を行うこととなる。
一方、ドライブ開催メールの日時と現在の日時とが一致すると判断した場合(ST73:YES)、主催者特定部36は、ドライブ開催のメールが規定のフォーマットに則っているか否かを判断する(ST75)。例えば、主催者特定部36は、件名に「〔ドライブ開催〕」等、最初に〔ドライブ〕の文字が入っているものであるか否かを判断して、規定のフォーマットに則っているか否かを判断することとなる。
ここで、ドライブ開催のメールが規定のフォーマットに則っていないと判断した場合(ST75:NO)、主催者特定部36は、変数iをインクリメントし(ST74)、再度、ステップST72においてメールの参照を行うこととなる。
一方、ドライブ開催のメールが規定のフォーマットに則っていると判断した場合(ST75:YES)、主催者特定部36は、送信元(ドライブ主催者)を認識する(ST76)。そして、主催者特定部36は、認識したドライブ主催者の情報をリーダ車両決定部35に送信する。リーダ車両決定部35は、主催者特定部36からの情報に基づいて、リーダ車両を決定する(ST77)。そして、処理は図15のステップST54に移行する。
ステップST54においては、走行環境認識部37が現在の走行環境を認識する(ST54)。そして、走行環境認識部37は、認識した走行環境の情報をタイミング算出部38に送信する。
その後、タイミング算出部38は、走行環境の情報から、現在の運転負荷が高いか否かを判断する(ST55)。ここで、運転負荷は、例えば、車速が高いとき、交差点の中にいるとき、合流の最中、カーブを曲がっている途中、天気が悪いときなどに、高いものとされる。
そして、運転負荷が高くないと判断した場合(ST55:NO)、処理はステップST54に戻り、再度、走行環境の認識及び運転負荷が高いか否かの判断が繰り返されることとなる。
一方、運転負荷が高いと判断した場合(ST55:YES)、リーダ車両により自車両及び相手車両の通信方式が変更される(ST56)。すなわち、リーダ車両は、自車両にて通信周波数を求め、求めた通信周波数に従って、n個の無線通信端末101〜10nから通信に用いるべき無線通信端末10を選択及び状態変更し、且つ通信周波数の情報を他車両に送信する。また、リーダ車両とならなかった車両は、リーダ車両から指示された通信周波数に従って、n個の無線通信端末101〜10nから通信に用いるべきものを決定して状態変更することとなる。なお、リーダ車両は、通信周波数の情報に、何秒(何分)以内に変更するかについての情報を加えて、情報送信するようになっている。
その後、車載情報端末20は、無線通信可能状態となった無線通信端末10により、他車両と無線通信を行う(ST57)。これにより、快適な通信状態を確保しつつ、通信品質の向上を図ることとなる。
そして、処理はステップST50に戻ることとなる。なお、ステップST50において、通信周波数を変更する必要がないと判断した場合(ST50:NO)、車載情報端末20は、通信周波数の変更を行うことなく、他車両と無線通信を行うこととなる(ST57)。
このようにして、第3実施形態に係る車両用通信装置3によれば、第1実施形態と同様に、通信品質の向上を図ることができる。また、精度良く通信周波数を算出することができ、通信品質の面で一層適切な通信周波数を求めることができる。また、無線通信にあたり、通信品質の1つである通信速度を最も好適なものとすることができる。
さらに、第3実施形態によれば、リーダ車両が通信周波数を算出して、無線通信に用いるべき無線通信端末10を選択すると共に、各車両に通信周波数の情報を送信している。そして、リーダ車両でない車両は、リーダ車両から送信された通信周波数に従って、無線通信に用いるべき無線通信端末10を選択している。このため、通信周波数が統一されることとなり、各車両がバラバラに通信周波数を変更して、通信周波数に統一が取れず、無線通信を阻害されることがないようになっている。従って、快適な通信状態を確保しつつ、通信品質の向上を図ることができる。
また、先導車両、最後尾車両、又は中央車両をリーダ車両として決定しているため、先導車両や最後尾車両をリーダ車両として決定する場合、車群の端に位置する車両、すなわち最も電波環境の悪い車両を基準として、通信周波数の変更を行うことができる。また、中央車両をリーダ車両として決定する場合、車群の中央に位置する車両、すなわち電波環境が車群のなかで平均である車両を基準として、通信周波数の変更を行うことができる。
また、ドライブ開催のメール等からドライブの主催者を判断して、リーダ車両を決定するようにしている。このため、リーダ車両は、周囲環境等によらずに固定されることとなり、通信周波数の変更に際して、処理負荷の軽減を図ることができる。
また、運転負荷が高くなるタイミングで、通信周波数の変更を行うため、運転者にとって、無線通信に用いられている無線通信端末10の変更が認識されにくくなっている。従って、快適性を損なうことがないようになっている。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各実施形態を組み合わせてもよい。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。