JP2005199577A - 多色画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 AMスクリーニング方式で2値化された画像のみならず、FMスクリーニング方式やAM/FM複合方式でも良好な印刷物近似性が得られる多色画像形成方法の提供。
【解決手段】 受像層を有する受像シートと、支持体上に光熱変換層と画像形成層を有するY、M、C、Kを含む4種類以上の色の熱転写インクシートを用い、各画像形成層と受像層とを対向して重ね合わせ、マルチチャンネルレーザー光照射装置により画像露光し、画像形成層のレーザー光照射領域を受像層上へ転写して画像記録する工程を有する多色画像形成方法において、前記光熱変換層よりレーザー光源側に位置する層の積層状態でのヘーズ値が0.3〜10%であり、かつマルチチャンネルレーザーの全チャンネルを点灯した際の(最大光量/最小光量)が1.0〜3.0であるレーザー光を照射することで、少なくとも1色分の画像形成層を受像層上に転写することを特徴とする多色画像形成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は多色画像形成方法に関する。更に、本発明は、すくなくともイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックを含む少なくとも4種類以上の色の異なる熱転写インクシートと受像シートを用い、レーザー光を用いて高解像度のフルカラー画像を形成する多色画像形成方法に関する。特に、本発明はデジタル画像信号からレーザー記録により、印刷分野におけるカラープルーフあるいはマスク画像を作製するのに有用な多色画像形成方法に関する。
近年、デジタルデータからの画像形成技術が普及したことに伴い、特に印刷の分野ではDDCP(ダイレクト・デジタル・カラープルーフ)のニーズが高まっている。
かかるDDCPにおいては、印刷物の色再現、安定性再現が求められ、レーザー熱転写技術が採用されている。具体的には光熱変換層と色材層を有するレーザー熱転写インクシートと、該インクシートのインク層を受容する受像層を有するレーザー熱転写用受像シートを用い、前記インクシートのインク層面と前記受像シートの受像層面を対面させ、該インクシート側から像状にレーザー露光を行い、光熱変換してインク層を受像層側に熱転写し、更に、画像を坦持した受像シートから最終記録媒体へ熱転写する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
画像形成技術においては、画像の2値化方式、即ちスクエアドットやチェーンドット等の網点の形状やスクリーン線数に依存することなく、常に印刷物と同等の2値画像再現性が求められる。近年、この画像の2値化方式において、従来の一定周期(周波数)で網点を発生させ、網点1個当たりの面積を変化させて階調を表現するAMスクリーニング方式に加え、網点の発生周期(周波数)を変化させて同一の大きさの網点の分布密度で階調を表現するFMスクリーニング方式(原理的にはAMスクリーニングで屡々問題となる各色の干渉ムラが発生しない)や両方式を組み合わせて階調を表現するAM/FM複合方式が多用されるようになって来た(例えば特許文献2参照)。
しかしながら、実際印刷に用いられるCTP(コンピュータ・ツゥ・プレート)による印刷物と熱転写方式による多色画像形成材料により得られた多色画像では、その光学特性や画像形成原理が異なるため、AMスクリーニング方式で2値化された画像では良好な印刷物近似性を有する多色画像形成方法でも、FMスクリーニング方式やAM/FM複合方式により2値化された画像では印刷物近似性が低下する場合があった。
特開2003−200672号公報 特開平11−289465号公報
本発明が解決しようとする課題は、これまで主に用いられてきたAMスクリーニング方式で2値化された画像のみならず、FMスクリーニング方式やAM/FM複合スクリーニング方式でも良好な印刷物近似性が得られる多色画像形成方法を提供することにある。
上記本発明の課題は以下の構成によって達成される。
(請求項1)
受像層を有する受像シートと、支持体上に少なくとも光熱変換層と画像形成層とを有するイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックを含む少なくとも4種類以上の色の異なる熱転写インクシートを用い、各熱転写インクシートの画像形成層と前記受像シートの受像層とを対向して重ね合わせ、1回の主走査で複数チャンネルが記録可能なマルチチャンネルレーザー光照射装置により画像露光を行い、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シートの受像層上へ転写して画像記録する工程を有する多色画像形成方法において、該熱転写インクシートの光熱変換層よりレーザー光源側に位置する層の積層状態でのヘーズ値(JIS K 7136−2000)が0.3〜10%であり、かつマルチチャンネルレーザーの全チャンネルを点灯した際の最大光量部と最小光量部の比(最大光量/最小光量)が1.0〜3.0であるレーザー光を照射することにより、少なくとも1色分の画像形成層を受像シートの受像層上に転写することを特徴とする多色画像形成方法。
(請求項2)
画像露光に用いられる画像がFMスクリーニング方式を利用して2値化された画像であることを特徴とする請求項1記載の多色画像形成方法。
本発明の多色画像形成方法により、AM方式でスクリーニングした画像のみならず、FM方式によりスクリーニングした画像においても良好な印刷物近似性が得られるようになった。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明におけるヘーズ値は光熱変換層が塗設されない側を光源側に配置し、JIS K 7136に記載された方法により測定される。測定に当たっては、JIS K 7136に準拠した測定装置、具体的には例えばNDH 2000(日本電色工業社製)等を用いて測定することが出来る。
本発明はマルチチャンネルレーザーの1チャンネル当たりの描画線幅が3〜20μmの場合に大きな効果を発揮する。
本発明における1チャンネル当たりの描画線幅とは、マルチチャンネルレーザーヘッドの主走査1回当たりの副走査移動距離をチャンネル数で除した値を言う。例えば主走査1回当たりのレーザーヘッド副走査移動距離が338.66μmでレーザーヘッドのチャンネル数が32チャンネルであれば、描画線幅は10.58μmとなる。
この線幅は、レーザービームのスポット径やレーザーヘッドにおける各チャンネルの物理的なビーム間隔とは無関係に、前記定義によってのみ決定される。従って、前述の32チャンネルのレーザーヘッドを用い、主走査1回当たりの副走査移動距離を169.33μmとしてインターレース方式により記録を行えば、描画線幅は5.29μmとなる。
又、マルチチャンネルレーザーの全チャンネルを点灯した際の最大光量部と最小光量部とは、画像記録に用いる出力値で全チャンネルのレーザーを点灯した時の光量分布を主走査方向に積分した時の、描画領域内における最大光量及び最小光量を指す。
画像記録に用いる出力値とは各チャンネル毎及び/又はレーザーヘッド全体の出力制御値を指す。画像記録の出力値を単色部分、2次色部分、3次色部分、特色部分等の画像条件により変化させて記録を行う方式の場合には、単色部分の画像条件で用いられる出力値を指す。
描画領域とは、レーザー光量分布中、副走査位置において「最もHome側(記録開始側)のチャンネル描画中心位置から描画線幅の1/2分、更にHome側の位置」より、「前記開始位置から主走査1回当たりの副走査移動距離分Away側(記録終了側)の位置」迄を指す。つまり、前記の様に32チャンネルのレーザーヘッドで主走査1回当たりの副走査移動距離を338.66μmとして記録を行う場合、描画線幅は10.58μmとなり、最もホーム側に配置された1チャンネル目の描画線幅中心を0.00μmの副走査座標位置としてAway側に軸を取ると、−5.29μm〜333.37μmの範囲が描画領域となり、−5.29μmの位置よりマイナス側や333.37μmの位置よりプラス側の光量は考慮しない。(図1参照)
本発明における描画領域内の光量分布は、各光源波長に適した周知のビームプロファイラー、パワーメーターにより測定される。その測定解像度には特に制限はないが、最大光量部と最小光量部を的確に測定するため、1チャンネルの描画線幅内に少なくとも5点、好ましくは10点、更に好ましくは20点以上の測定点が存在するような条件・機器を用いて測定することが好ましい。測定器の解像度が充分な測定点数を得るに至らないものの場合には、常法による拡大光学系を用い、その倍率や光学系に由来する光量の補正を行って測定を行う方法を採用してもよい。具体的なビームプロファイラーの例としては、CCDビームプロファイラーWinCamD(DataRay社)、CCDビームプロファイラーBeamStar(Ophir社)等が挙げられるが、これ等に限定されるものではない。
又、本発明の最大光量値/最小光量値の比は、上記の条件により測定した値をmJに換算した後に算出される。
最大光量/最小光量比を1.0〜3.0とする具体的な方法としては、各チャンネルの綿密な光軸調整によりビームオーバーラップ部を調整する、各レーザーチャンネル間の発光効率個体差の違いによる出力変動をチャンネル毎の駆動エネルギー補正機構により平均化する、光量分布に対応したパターンを有する減光フィルターを光学系内に配置してビームプロファイルを平坦化する等が挙げられるが、これ等に限定されるものではない。
本発明の目的は、熱転写インクシートの光熱変換層よりレーザー光源側に位置する層の積層状態でのヘーズ値(JIS K 7136−2000)が0.3〜10%であり、かつマルチチャンネルレーザーの全チャンネルを点灯した際の最大光量部と最小光量部の比、最大光量/最小光量を1.0〜3.0とすることにより達成される。
ヘーズ値が10%よりも大きいと記録光の光熱変換層到達時S/N比が低下し、網点が周期的に発生するAMスクリーニング画像では画像形成層等の他の物性の最適化により良好な印刷物近似性が得られるよう調整可能であるが、決まった周期で網点が発生しないFMスクリーニングによる画像ではS/N比が不充分で良好な印刷物近似性が得られない。対して、ヘーズ値が0.3%より小さいと僅かな光源出力や焦点のぶれ、機器の回転振動等の機器ノイズの影響を受け易くなり、安定した出力が困難となる。
又、ヘーズ値が上記範囲内であっても、前記の最大光量/最小光量の比が3.0を超えると、1ないし数チャンネル分の記録幅で記録されるような小点を露光する際、マルチチャンネルヘッドのどのチャンネルで露光が行われるかによって小点の画像品質が変化し、非周期的に発生する多数の小点から構成されるFMスクリーニング画像の場合に特に印刷物近似性が損なわれてしまう。即ち、本発明の効果は、ヘーズ値と最大光量/最小光量の比の双方が本発明の範囲に制御された場合に初めて得られるものである。
本発明は、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色からなる多色画像形成方法の全色に対して適用してもよいが、要求品質や画像形成層の光学特性や物理特性に応じ、1〜3色の画像形成時に部分的に適用してもよい。
本発明におけるFMスクリーニング方式とは、非周期的に画像部を生成するFM変調方式を利用して2値化されたハーフトーン画像生成方式を言い、表現濃度値によってFM方式と従来のAM方式を切り替える等の複合方式であってもよい。具体的には、FAIRDOT(大日本スクリーン製造社製;商標)、Staccato(Creo社;商標)等が挙げられる。
次に、本発明の多色画像形成方法に用いる受像シート及び熱転写インクシートについて説明する。
(受像シート)
本発明の受像シートは支持体上に受像層を設けてなるが、必要に応じて熱軟化層、中間層を有してもよい。
本発明の受像シートに用いられる支持体としては、従来公知の支持体を特に制限なく使用することができる。例えば、紙、コート紙、合成紙(ポリプロピレン、ポリスチレン、もしくは、それらを紙と貼り合わせた複合材料)等の各種紙類、塩化ビニル系樹脂シート、ABS樹脂シート、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリエーテルイミドスフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、延伸ナイロンフィルム、ポリアセテートフィルム等の単層あるいはそれらを2層以上積層した各種プラスチックフィルム又はシート、各種の金属で形成されたフィルム又はシート、各種のセラミックス類で形成されたフィルム又はシート、更には、アルミニウム、ステンレス、クロム、ニッケル等の金属板、樹脂コーティングした紙に金属の薄膜をラミネートまたは蒸着したものが挙げられる。
これら支持体の厚みは30〜200μmが好ましく、更に好ましくは50〜125μmである。
支持体には、寸法安定化、帯電防止等の各種加工を施すこともできる。帯電防止剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子の他、「11290の化学商品」化学工業日報社,875〜876頁等に記載の化合物などを広く用いることができる。又、従来公知の表面改質技術も好適に使用できる。
受像層は、バインダーと必要に応じて添加される各種添加剤から成る。本発明の受像層は、露光特性や光沢保存性に大きく寄与する層である。
受像層に用いられるバインダーは、TMA測定による軟化点が40℃以上のものが好ましく、より好ましくは40〜80℃、特に好ましくは40〜70°である。受像層バインダーの具体例としては、ポリ酢酸ビニルエマルジョン系接着剤、クロロプレン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤、天然ゴム、クロロプレンゴム系、ブチルゴム系、ポリアクリル酸エステル系、ニトリルゴム系、ポリサルファイド系、シリコンゴム系、石油系樹脂などの粘着材、再生ゴム、塩化ビニル系樹脂、SBR、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルエーテル、アイオノマー樹脂、SIS、SEBS、アクリル樹脂、エチレン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA)、塩ビグラフトEVA樹脂、EVAグラフト塩ビ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、各種変性オレフィン、ポリビニルブチラール等が挙げられる。本発明において特に好ましいバインダーは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン共重合体、酢酸ビニル共重合体である。上記バインダーを単独で使用してもよく、又2種以上混合して使用してもよい。
受像層はマット剤を含有することが好ましい。マット剤の素材としては、前述の中間層で使用したものが同様に好適に使用できる。マット剤の数平均粒径は、受像層のマット剤の存在しない部分の平均膜厚より0.3〜10.0μm大きいことが好ましく、更に好ましくは0.3〜8.0μm大きいものが良い。中でも1〜5.5μm大きいものが有効で特に好ましい。0.3μm未満のものではカブリ及びガス除去性に対する効果が小さく、逆に10.0μmを超えるものでは感度が劣化する。尚、数平均粒径の2倍以上の粒子質量が20%以下である分布を有するものが好ましく、数平均粒径の2倍以上の粒子質量が5%以下である分布を有するものがより好ましい。数平均粒径の2倍以上の粒子質量が20%以下である分布を有するものは、圧力が均一に緩和されるので、ブロッキングなどの保存性劣化が防止される。数平均粒径の2倍以上の粒子質量が5%以下である分布を有するものを用いると、保存性の点で更に好ましい。このようなマット材を選択した場合、受像層のバインダー膜厚を3.0μmより厚くすると、マット剤が多すぎて黄色味を帯びた画像になってしまうため、受像層のバインダー膜厚は0.8〜3.0μmが好ましい。
受像層には、必要に応じて酸化防止剤、UV吸収剤、防腐剤、活性剤、帯電防止剤など公知の添加剤を用いることが出来る。
凝集破壊型の受像層を実現するためには、後記中間層の光沢を下げる形態4)と同様の手段を採ればよい。受像層はインク受容性が必要とされるため、添加剤の添加量は、1〜50質量%が好ましく、2〜40質量%がより好ましく、3〜30質量%が特に好ましい。又、凝集破壊するためには、下層(中間層)及びインクとの接着力が十分であることが必要であり、下層及びインクと親和性の良い樹脂を選択することがポイントである。
凝集破壊型の受像層における好ましい膜厚は0.8〜10μmであり、1.2〜8μmが更に好ましく、1.6〜6μmが特に好ましい。
次に好ましく用いられる熱軟化層に付いて説明する。受像シートは各種の最終記録媒体の凹凸に追従することが必要である。このため熱軟化層には、加熱又は加圧下での高い流動性が必要となる。
この様な特性を満足するために、熱軟化層は熱軟化性又は弾性を有する(以下、クッション性と称する場合もある)層であり、加熱により十分に軟化変形し得るもの、又は低弾性率を有する材料あるいはゴム弾性を有する材料が使用される。
熱軟化層に使用される素材としては、常温では流動性はなく弾性を示し、軟化温度を超えるような高温領域では、顕著な流動性を示すものが好ましい。
熱軟化層はTMA軟化点が40℃以上であることが好ましく、より好ましくは40〜80℃である。TMA軟化点とは、TMA(Thermomechanical Analysis)により測定する。即ち、測定対象物を一定の昇温速度で、一定の荷重を掛けながら昇温し、測定対象物の位相を観測することにより求める。本発明においては、測定対象物の位相が変化し始める温度を以てTMA軟化点と定義する。TMAによる軟化点の測定は、Thermoflex(理学電気社製)等の装置を用いて行うことができる。
熱軟化層の好ましい特性は必ずしも素材の種類のみで規定できるものではないが、素材自身の特性が好ましいものとしては、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、ポリイソプレン樹脂(IR)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)、アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ブチルゴム、ポリノルボルネン等が挙げられる。これらの中でも、比較的低分子量のものが本発明の要件を満たし易いが、素材との関連で必ずしも限定できない。熱軟化層は溶剤塗布により設けることができるが、ラテックスやエマルジョンのような水系の分散物の状態で塗布形成することも可能である。この他、水溶性樹脂も使用できる。これらの樹脂は、必要によって単独または混合して用いることができる。
又、上記以外の素材でも、各種添加剤を加えることにより熱軟化層に好ましい特性が付与できる。このような添加剤としては、ワックス等の低融点物質、可塑剤、熱溶剤、タッキファイヤー等が挙げられる。ワックス類としては、具体的には、カルナウバ蝋、木蝋、オウリキュリー蝋、エスパル蝋等の植物蝋;蜜蝋、昆虫蝋、セラック蝋、鯨蝋等の動物蝋;パラフィンワックス、マイクロクリスタルワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、酸ワックス等の石油蝋;並びにモンタン蝋、オゾケライト、セレシン等の鉱物蝋等のワックス類を挙げることができ、更にこれらのワックス類などの他に、パルミチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸;パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、マルガニルアルコール、ミリシルアルコール、エイコサノール等の高級アルコール;パルミチン酸セチル、パルミチン酸ミリシル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ミリシル等の高級脂肪酸エステル;アセトアミド、プロピオン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アミドワックス等のアミド類;並びにステアリルアミン、ベヘニルアミン、パルミチルアミン等の高級アミン類などが挙げられる。これらの中で常温固体のものが好ましく、中でも融点が40〜130℃であるものが特に好ましく、更に好ましくは70〜110℃のものである。
可塑剤、熱溶剤、タッキファイヤーとしては、具体的にはフタル酸エステル、アジピン酸エステル、グリコールエステル、脂肪酸エステル、燐酸エステル、塩素化パラフィン等が挙げられる。又、例えば「プラスチック及びゴム用添加剤実用便覧」,化学工業社(昭和45年発行)等に記載の各種添加剤を添加することができる。
これら添加剤の添加量等は、ベースとなる熱軟化層素材との組合せで好ましい物性を発現させるのに必要な量を選択すればよく、特に限定されないが、一般的に、熱軟化層素材量の10質量%以下、更に5質量%以下が好ましい。
熱軟化層の形成方法としては、前記素材を溶媒に溶解又はラテックス状に分散したものを、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター等により塗布する方法があり、ホットメルトによる押出しラミネーション法なども適用できる。又、特殊な熱軟化層として熱軟化性あるいは熱可塑性の樹脂を発泡させたボイド構造の樹脂層を用いることも可能である。
熱軟化層の好ましい膜厚は5μm以上であり、更に好ましくは10μm以上である。熱軟化層の膜厚が5μm未満だと、最終記録媒体への再転写の際、抜けや欠けが発生する場合がある。
次に、中間層について説明する。中間層は光沢調整に大きく寄与する層である。中間層で光沢を調整する実施形態として以下の4方法がある。
1)バインダーにマット材を含有させる。
2)バインダーとして不相溶樹脂をブレンドして用いる。
3)平滑樹脂層を形成し、物理的に表面をエンボス化する。
4)中間層の凝集力を、他の層の凝集力/層間接着力に比べて低くし、中間層を凝集破壊する。
以下、順次説明する。
1)バインダーとしては、具体的にポリオレフィン、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリパラベン酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、エチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ウレタン樹脂、弗素系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン等のスチレン類及びこれら樹脂を架橋したもの、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アラミド等の熱硬化性樹脂及びそれら樹脂の硬化物が挙げられる。硬化剤としてはイソシアナート、メラミン等の一般的硬化剤を使用することができる。これらの中で、Tg(ガラス転移温度)65℃以上の樹脂及びこれら樹脂の架橋物が好適である。好ましい樹脂として、ポリカーボネート、アセタール、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースが挙げられる。
又、好ましく用いられる樹脂は引張り強度として1〜1000MPa、より好ましくは2〜500MPaの強度が必要である。引張り強度が1MPaより低いと熱軟化層の軟化に追従できず、生産上使用が困難である。又、1000MPaより大きいと最終記録媒体への転写阻害が大きく好ましくない。樹脂の伸び率は0.1〜100%のものが好ましく、0.1%より小さいと熱軟化層の軟化に追従できず、100%より大きいと凹凸の大きい紙へ転写した際の剥離力が大きくなり、好ましくない。ただし、好ましい樹脂の特性は、最終的には中間層としての特性であり、種々の添加剤との混合で実現すればよい。
バインダーに添加されるマット材としては、有機又は無機の微粒子が使用できる。有機系マット剤としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、その他のラジカル重合系ポリマーの微粒子、ポリエステル、ポリカーボネートなど縮合ポリマーの微粒子、弗素系樹脂、シリコン樹脂の微粒子などが挙げられる。粒子の強度、耐溶剤性などを増すために、架橋した有機微粒子が更に好ましい。
中間層の付量は0.1〜10g/m2、より好ましくは0.1〜5g/m2、特に好ましくは0.2〜5g/m2である。
マット材の付量は0.3〜10g/m2が好ましく、0.3〜5g/m2が更に好ましい。0.3μm以上の粒子が5mg/m2以上含有されることが必要で、6〜600mg/m2がより好ましい。マット材の粒径分布の分散係数(σ)は0.5以下が好ましく、0.3以下が更に好ましく、0.15以下が特に好ましい。
マット剤の添加量は、粒径と付量の関係で一概には規定できないが、好ましくは0.1〜50質量%の範囲で使用することが好ましく、特に好ましくは0.5〜40質量%である。
中間層には、必要に応じて離型剤、導電剤、界面活性剤、酸化防止剤、UV吸収剤等を添加することが好ましい。中でも、離型剤は重要で、マット剤添加により剥離表面積が増大した分、剥離力は大きくなる方向にあり、最適な剥離力になるように従来公知の各種離型剤を中間層に添加することは好ましい態様である。離型剤は、受像層を設ける際に受像層に移行性の少ないものが好ましい。これにより、移行によるインク転写性の変化を防げる。
2)の形態としては、不相溶樹脂を30/70〜50/50(質量比)の割合でブレンドするのが好ましい。又、SP値が1以上、好ましくは2以上離れた樹脂同士のブレンドが好ましく、樹脂の分子量は1万以上、好ましくは5万以上のものがよい。
又、溶液と、その類似溶剤を用いた高分子エマルジョンの組合せも、本発明の不相溶を実現するのに有効である。
3)の形態において、使用する樹脂は前記樹脂の中で熱可塑性を有するものが好ましい。ただし、熱軟化層の処でも触れたTMA軟化点は100℃以上のものが好ましく、より好ましくは120℃以上、特に好ましくは140〜200℃である。100℃未満であると保存性の点で好ましくなく、又、200℃を超えるものだとエンボス化処理が困難である。
エンボス化の方法としては、加熱処理、加圧処理を行うことが有効であり、加熱/加圧ローラー等により表面性を変化させることが好適である。
4)の形態としては、露光後、最終記録媒体に2次転写する過程において、中間層自体が凝集剥離すればよく、この様な構成を採り得る従来公知の技術が特に制限なく使用できる。
例えば、中間層に過冷却物質を含有させ、加熱直後に剥離する方法、2)の構成で述べた如く不相溶な樹脂ブレンドにより膜の凝集力を下げる方法、樹脂にワックス等の低融点化合物を添加し、膜の凝集力を下げる、又はワックスをブリードアウトさせ凝集破壊剥離層を設ける方法、露光により解重合を開始する樹脂系を用い露光後、剥離により凝集破壊を生じさせる方法等が挙げられる。
過冷却物質としては、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオキシエチレン、ベンゾトリアゾール、トリベンジルアミン、バニリン等が挙げられる。更に、別の構成の中間層では、受像層との接着性を低下させるような化合物を含有させる。このような化合物としては、シリコーンオイルなどのシリコン系樹脂;テフロン(R)、弗素含有アクリル樹脂等の弗素系樹脂;ポリシロキサン樹脂;ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール等のアセタール系樹脂;ポリエチレンワックス、アミドワックス等の固形ワックス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤等を挙げることができる。ワックスとしては、熱軟化層に記載の化合物が好適に使用できる。
又、凝集破壊するためには、下層(熱軟化層)及び受像層との接着力が十分であることが必要で、下層及び受像層と親和性の良い樹脂を選択することがポイントである。
中間層の形成方法としては、前記素材を溶媒に溶解又はラテックス状に分散したものをブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター等の塗布法、ホットメルトによる押出しラミネーション法などが適用できる。又、仮ベース上に、前記素材を溶媒に溶解又はラテックス状に分散したものを上記の方法で塗布したものと、熱軟化層とを貼り合わせた後に仮ベースを剥離して形成する方法がある。
本発明では、前記支持体の裏面(受像層を設けた表面とは反対側の面)に、搬送性、耐熱性、帯電防止等の機能を付与するために、バックコート層を設けることが好ましい実施態様である。又、バックコート層を設けることで画像欠陥、画像の品質安定性にも効果がある。
バックコート層は、バインダー樹脂を溶媒中に溶解した、あるいはバインダー樹脂と粒径2〜30μmのマット剤を溶媒中に溶解又は分散したバックコート層塗布液を支持体裏面に塗布することにより形成できる。
バックコート層に用いられるバインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、芳香族ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、弗素樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、テフロン(R)樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアセテート、ポリカーボネート、有機硼素化合物、芳香族エステル類、フッ化ポリウレタン、ポリエーテルスルホンなど汎用ポリマーを使用することができる。バックコート層のバインダーとして架橋可能な水溶性バインダーを用い架橋させることは、マット剤の粉落ち防止やバックコートの耐傷性の向上に効果がある。また、保存時のブロッキングにも効果が大きい。この架橋手段は、用いる架橋剤の特性に応じて、熱、活性光線、圧力の何れか一つ又は組合せなどを特に限定なく採用することができる。場合によっては、支持体への接着性を付与するため、支持体のバックコート層を設ける側に任意の接着層を設けてもよい。
次に、熱転写インクシート(以下、インクシートとも称す)について説明する。
インクシートは、光熱変換機能及びインク(色材)転写機能を有するフィルムであり、支持体の一方の面に、少なくとも光熱変換機能を有する光熱変換層及び画像形成層(以下、インク層とも称す)を有して成り、この両機能を同一の層に付与することも可能である。又、必要に応じてこれらの層と支持体との間にクッション層、剥離層を、光熱変換層とインク層の間に中間層を、又、支持体の反対側の面(裏面)にバックコート層を有することができる。
支持体としては、剛性を有し、寸法安定性が良く、平滑性に優れ、画像形成の際の熱に耐えるものならば何でもよく、具体的には、紙、コート紙、合成紙(ポリプロピレン、ポリスチレン、もしくは、それらを紙と貼り合せた複合材料)等の各種紙類、塩化ビニル系樹脂シート、ABS樹脂シート、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、シンジオタクチックポリスチレン、延伸ナイロンフィルム、ポリアセテートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム等の単層あるいは、それらを2層以上積層した各種プラスチックフィルム又はシート、各種の金属で形成されたフィルム又はシート、各種のセラミックス類で形成されたフィルム又はシート、更には、アルミニウム、ステンレス、クロム、ニッケル等の金属板、樹脂コーティングした紙に金属の薄膜をラミネート又は蒸着したものが挙げられる。
これらの支持体には、寸法安定化、帯電防止等の各種加工を施すこともできる。帯電防止剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子の他、「11290の化学商品」化学工業日報社,875〜876頁等に記載の化合物などが広く用いられる。
更に、これらの支持体には従来公知の表面改質処理を行ってもよい。これらの表面改質処理としては、火焔放射処理、硫酸処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理などが挙げられる。又、後述の各層が良好に支持体上に塗布されるために前記支持体の上に接着層を設けてもよい。
レーザー光をインクシート側から照射して画像を形成する場合、支持体は透明であることが望ましい。重ね合せの容易さから、インクシートの支持体の厚みは受像シートのそれより薄いことが好ましく、一般には30〜150μm程度が好ましく、更に好ましくは50〜100μmである。
光熱変換層は光熱変換機能を有する層のことである。インク層中に光熱変換物質を添加できる場合は、特に光熱変換層を必要としないが、光熱変換物質が実質的に透明でない場合、転写画像の色再現性を考慮してインク層とは別に光熱変換層を設けることが望ましい。光熱変換層は、支持体とインク層との間、より好ましくはクッション層とインク層との間に設けるのが好ましい。光熱変換層におけるバインダーとしては、ガラス転移点(Tg)が高く熱伝導率の高い樹脂、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アラミド等の一般的な耐熱性樹脂や、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレン・スルフィド類、ポリピロール類、及び、これらの誘導体又は、これらの混合物からなるポリマー化合物を使用することができる。又、光熱変換層におけるバインダーとしては、水溶性ポリマーも用いることができる。水溶性ポリマーはインク層との剥離性も良く、又、レーザー照射時の耐熱性が良く、過度な加熱に対しても飛散が少ない点で好ましい。水溶性ポリマーを用いる場合には、光熱変換物質を水溶性に変性(スルホ基の導入等)したり、水系分散することが望ましい。又、光熱変換層へ各種の離型剤を含有させることで、光熱変換層とインク層との剥離性を上げ、感度を向上することもできる。離型剤としては、シリコーン系の離型剤(ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイルなど)、弗素系の界面活性剤(パーフルオロ燐酸エステル系界面活性剤)、その他、各種界面活性剤等が有効である。光熱変換物質を使用する場合、光源によっても異なるが、光を吸収し効率良く熱に変換する物質が良く、例えば半導体レーザーを光源として使用する場合、近赤外に吸収帯を有する物質が好ましく、近赤外光吸収剤としては、例えばカーボンブラックやシアニン系、ポリメチン系、アズレニウム系、スクワリウム系、チオピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン系色素等の有機化合物、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系の有機金属錯体などが好適に用いられ、具体的には特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−97589号、同3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光熱変換層の膜厚は0.1〜3μmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.0μmである。光熱変換層における光熱転換物質の含有量は、通常、画像記録に用いる光源の波長での吸光度が0.3〜3.0、更に好ましくは0.7〜2.5になるように決めることができる。光熱変換層としてカーボンブラックを用いた場合、光熱変換層の膜厚が1μmを超えると、インク層の過熱による焦付きが起こらない代わりに感度が低下する傾向にあるが、照射するレーザーのパワーや光熱変換層の吸光度により変化するため適宜選択すればよい。
光熱変換層としては、この他にも蒸着層を使用することも可能であり、カーボンブラック、特開昭52−20842号に記載の金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、アンチモン、テルル、ビスマス、セレン等のメタルブラックの蒸着層の他、周期表の4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16族の金属元素、並びにこれらの合金、又はこれらの元素と1、2及び3族の元素との合金、あるいはこれらの混合物の蒸着層が挙げられ、特に望ましい金属にはAl、Bi、Sn、In又はZn及びこれらの合金、又はこれらの金属と周期表の1、2及び3族の元素との合金、又はこれらの混合物が含まれる。適当な金属酸化物又は硫化物には、Al、Bi、Sn、In、Zn、Ti、Cr、Mo、W、Co、Ir、Ni、Pb、Pt、Cu、Ag、Au、Zr又はTeの化合物、又はこれらの混合物がある。又、更に、金属フタロシアニン類、金属ジチオレン類、アントラキノン類の蒸着層も挙げられる。蒸着層の膜厚は、500オングストローム以内が好ましい。尚、光熱変換物質はインク層の色材そのものでもよく、又、上記のものに限定されず、様々な物質が使用できる。光熱変換層が支持体下層との接着性に劣る場合は、光照射時あるいは熱転写後に、受像シートから転写材料を剥離する際、膜剥がれを起こし、色濁りを起こすことがあるので、支持体下層との間に接着層を設けることも可能である。
インク層は主として着色剤とバインダーから成る。レーザー溶融熱転写法において、インク層は、加熱時に溶融又は軟化して着色剤とバインダー等を含有する層毎転写可能である層であり、完全な溶融状態で転写しなくてもよい。
上記着色剤としては、例えば無機顔料(二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄ならびに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸塩等)及び有機顔料(アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料及びその誘導体、キナクリドン顔料等)などの顔料ならびに染料(酸性染料、直接染料、分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料又は昇華性色素等)を挙げることができる。例えばカラープルーフ材料とする場合、イエロー、マゼンタ、シアンがそれぞれ、C.I.21095又はC.I.21090,C.I.15850:1,C.I.74160の顔料が好ましく用いられる。
インク層における着色剤の含有率は、所望の塗布膜厚で所望の濃度が得られるように調整すればよく、特に限定されないが、通常、5〜70質量%の範囲内にあり、好ましくは10〜60質量%である。
インク層のバインダーとしては、熱溶融性物質、熱可塑性樹脂等を挙げることができる。熱溶融性物質は、通常、柳本MJP−2型を用いて測定した融点が40〜150℃の範囲内にある固体又は半固体の物質である。具体的には、カルナウバ蝋、木蝋、オウリキュリー蝋、エスパル蝋等の植物蝋;蜜蝋、昆虫蝋、セラック蝋、鯨蝋等の動物蝋;パラフィンワックス、マイクロクリスタルワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、酸ワックス等の石油蝋;並びにモンタン蝋、オゾケライト、セレシン等の鉱物蝋等のワックス類を挙げることができ、更にこれらのワックス類などの他に、パルミチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸;パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、マルガニルアルコール、ミリシルアルコール、エイコサノール等の高級アルコール;パルミチン酸セチル、パルミチン酸ミリシル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ミリシル等の高級脂肪酸エステル;アセトアミド、プロピオン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アミドワックス等のアミド類;並びにステアリルアミン、ベヘニルアミン、パルミチルアミン等の高級アミン類などが挙げられる。
又、熱可塑性樹脂としては、エチレン系共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ロジン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アイオノマー樹脂、石油系樹脂、及び特開平6−312583号に記載のインク層バインダー用樹脂等が挙げられ、特に、融点又はTMA軟化点が70〜150℃の樹脂が好ましく用いられる。
又、上記の熱可塑性樹脂以外に天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ジエン系コポリマー等のエラストマー類;エステルガム、ロジンマレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、水添ロジン等のロジン誘導体;並びにフェノール樹脂、テルペン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂等の高分子化合物などを用いることもできる。
上記熱溶融性物質及び熱可塑性物質を適宜に選択することにより、所望の熱軟化点あるいは熱溶融点を有する熱転写性を有するインク層を形成することができる。
本発明においては、熱分解性の高いバインダーを使用することにより、アブレーション転写により画像形成も可能である。かかるバインダーとしては、平衡条件下で測定された時に望ましくは200℃以下の温度で急速な酸触媒的部分分解を起こすポリマー物質が挙げられ、具体的にはニトロセルロース類、ポリカーボネート類及びJ.M.J.フレチェット(Frechet)、F.ボーチャード(Bouchard)、J.M.ホーリハン(Houlihan)、B.クリクズク(Kryczke)及びE.エイクラー(Eichler)、J.イメージング・サイエンス(Imaging Science),30(2),59〜64頁(1986)に報告されているタイプのポリマー類、及びポリウレタン類、ポリエステル類、ポリオルトエステル類、及びポリアセタール類、並びにこれらの共重合体が含まれる。又、これらのポリマーは、その分解メカニズムと共に、上述のホーリハン等の報告書により詳細に示されている。
顔料の粒径を揃えることで高濃度が得られることは特開昭62−158092号に開示されているが、顔料の分散性を確保し、良好な色再現を得るために、各種分散剤を使用することが有効である。
その他の添加剤としては、インク層の可塑化により感度アップを図る可塑剤の添加、インク層の塗布性を向上させる界面活性剤の添加、インク層のブロッキングを防止するサブミクロンからミクロンオーダーの粒子(マット剤)の添加が可能である。
好ましいインク層の厚さは0.2〜2μm、更に好ましくは0.3〜1.5μmである。特に、0.8μm以下とすることで高感度が得られることが確認されているが、使用するバインダーや着色剤の種類、その混合比などによりインク層の薄膜転写性が異なるので、最適な膜厚範囲は感度と解像度のバランス、その他所望の画像再現性能により選択する。
光熱変換層とインク層の間に好ましく設けられる中間層は、バインダー及び必要に応じて架橋剤、増感剤、界面活性剤などから構成される。
中間層は、光熱変換層に含有される光熱変換色素(光源として赤外線レーザーを使用する場合には赤外線吸収色素)が、中間層あるいはインク層まで塗布や乾燥時及びインクシートとして製造された後の経時で拡散することを防止することにより、インクシートの高感度化及び感度の経時変化を小さくしていると考えられる。更に、中間層に増感剤又は沸点が100〜400℃の化合物を添加することにより、高感度化が達成できる。
中間層に使用するバインダーは、光熱変換層の構成にもよるが、使用する光熱変換色素の溶解度が0.1%以下の溶媒に可溶な樹脂を用いることができる。
次に、本発明の画像形成方法について説明する。
本発明の画像形成方法は、熱エネルギーによりインクシートのインク層の一部又は全部を像様に受像シートに移行させる方法、例えばサーマルヘッドによって直接熱エネルギーを与えて画像形成を行う方法でも、赤外線等の輻射線を光熱変換層等により熱エネルギーに変換して画像形成を行う方法の何れにも適用可能だが、熱エネルギー源としてレーザー光を使用するレーザー熱転写記録材料に用いられることが特に好ましい。
その一例を示すと、受像シート及びインクシートを順に露光ドラムに巻設して減圧密着により保持し、インクシートの裏面(バックコート層塗布面側)から画像データーに応じてレーザービームを照射し、該インクシートにてレーザービームを吸収して熱に変換し、変換した熱によりインクシートから受像シートに画像を転写形成するものである。
本発明の画像形成は二つのプロセスから成る。即ち、
1)受像シートとインクシートとを密着し、レーザー露光によりインクシート側から像様に画像を転写する工程。
2)上記工程を複数回繰り返し、受像シート上にカラー画像を形成し、そのカラー画像と最終記録媒体とを対面し、熱及び/又は圧力を加えて受像シートと記録媒体とを貼合した後、受像シートを剥離することで画像を受像層と共に最終記録媒体に移行させる工程。
本発明の受像シートは、既に発売されている大判プルーファー(コニカ社製:カラーデシジョン1型,2型、富士フイルム社製:ファイナルプルーフ)等に搭載可能であり、これらでの使用は好ましい態様である。この様な市販の大判プルーファーを用いた場合には、レーザー記録後、別途最終被転写媒体への転写及び剥離の工程が必要である。印刷用紙などを最終記録媒体として用いる場合には、コニカ社製のEV−Laminator、EV−LaminatorII、イメーション社製のマッチプリントラミネータ447等のラミネータを用い、所望の記録媒体に転写が可能である。このようにして転写した後、中間転写受像シートを剥離することにより、印刷物に非常に近似した記録物を得ることができる。
本発明で使用できる好ましいラミネータとしては、圧力2〜98N/cmであることが好ましく、特に好ましくは9.8〜39.2N/cmである。2Nより小さいと十分な転写性が得られ難く、98Nより大きいと薄い紙の搬送性が悪くなる傾向にある。
ラミネート温度は80〜150℃が好ましく、特に好ましくは90〜130℃である。80℃より低いと受像シートの保存性が悪くなる傾向にあり、150℃より高いと転写性が得られ難い傾向にある。
ラミネート速度は2〜50mm/secが好ましく、特に好ましくは3〜30mm/secである。2mm/secより遅いとモーター負荷が大きく搬送性の点で好ましくなく、50mm/secより早いと薄紙のジャムが生じ易く好ましくない。
ラミネータのラミネートロール径は10〜300mmφが好ましく、特に好ましくは30〜150mmφである。10mmφより小さいと転写時の温度ムラが大きく好ましくなく、300mmφより大きいと熱容量が大きく加熱に時間が掛かり好ましくない。又、径の大きなロールを用いる場合ほど、伝熱性の高いロールにすることが好ましい。
又、本発明に用いられるラミネーターは、面内の熱均一性が高いことが要求され、特にラミネート長手方向での熱分布のバラツキが±5度以内であることが好ましく、特に好ましくは±3度以内である。この様な条件を満たす為に、ラミネータ装置内の強制排気を行わずに、フレッシュエアーの吸入口をできるだけ遮断することが好ましく、又、ラミネートは被転写体の短辺が搬送長手方向になるようにラミネートすることが好ましい。
本発明で用いるレーザー露光機の画像記録用レーザー光源としては、半導体レーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、ヘリウムネオンレーザー等が挙げられる。半導体レーザーの中では、光学効率を大幅に低下させることなく焦点において1/e2直径が数〜数十μmに絞り込み易いものとして、所謂シングルモードレーザーダイオードを用いることが好ましい。レーザー以外の光源としては、発光ダイオード(LED)が挙げられる。複数の発光素子を集積したアレイとして使用し易いものは、LED及び半導体レーザーである。本発明においては、記録材料の露光波長における吸収が最も大きくなるように設定した色を有するレーザー溶融熱転写記録媒体を最初に画像記録することが好ましい。本発明の属するレーザー熱転写記録では、熱転写記録媒体と被記録媒体とを密着(例えば減圧密着)させて像様にレーザー露光を行うが、吸収が大きいとレーザー露光時のガス(アブレーションの有無に関わらず発生)の発生量が増大するため、転写性が劣化し易い。単色画像を繰り返し記録して複数色を重ね合わせる場合には、ガスの発生量の多い色から転写する方が露光時の密着性を向上し、又、2色目以降の感度を安定化させるためにも好ましい。特に赤外域に吸収のあるブラックを先に転写することが特に好ましい。
レーザーの走査方法としては、円筒外面走査、円筒内面走査、平面走査などがある。円筒外面走査では、記録材料を外面に巻き付けたドラムを回転させながらレーザー露光を行い、ドラムの回転を主走査とし、レーザー光の移動を副走査とする。円筒内面走査では、ドラムの内面に記録材料を固定し、レーザービームを内側から照射し、光学系の一部又は全部を回転させることにより円周方向に主走査を行い、光学系の一部又は全部をドラムの軸に平行に直線移動させることにより軸方向に副走査を行う。平面走査では、ポリゴンミラーやガルバノミラーとfθレンズ等を組み合わせてレーザー光の主走査を行い、記録媒体の移動により副走査を行う。円筒外面走査及び円筒内面走査の方が光学系の精度を高め易く、高密度記録には適している。複数の発光素子を同時に使用する、所謂マルチチャンネル露光の場合、円筒外面走査が最も適している。又、露光出力の大きいYAGレーザーなどを用いる場合、円筒外面走査ではドラムの回転数を大幅にアップすることが難しいので、円筒内面走査が適している。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
実施例1
〈受像シートR1の作製〉
支持体1上に、下記条件で熱軟化層、中間層及び受像層の各塗布液を、順次ワイヤーバーにて塗布・乾燥して受像シートR1を得た。
熱軟化層:15g/m2,100℃・5分
中間層:2.0g/m2,80℃・1分
受像層:2.0g/m2,80℃・1分(膜厚=1.8μm)
(支持体1)
低比重白色PETフィルム(ルミラー130E58(厚さ130μm):東レ社製)
(熱軟化層塗布液1)
ポリエチレンラテックス(S3127:東邦化学製) 100部
(中間層塗布液1)
ポリエチレンラテックス(S3121:東邦化学製,樹脂分25%) 14部
PMMA樹脂粒子(MX300:平均粒径3.0μm、綜研化学製) 0.5部
コロイダルシリカ(IPA−ST:日産化学製,固形分20%) 5部
i−プロピルアルコール 15.5部
水 65部
(受像層塗布液1)
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−102:三菱レイヨン製) 18部
シリコーン樹脂微粒子(トスパールT−130:GE東芝シリコーン製) 1.5部
シリコーンオイル(X24−8300:信越シリコーン製,樹脂分25%) 2部
ブタノール 28.5部
メチルエチルケトン 50部
〈インクシートの作製〉
以下のようにして、インクシートY1,M1,C1,K1を作製した。
厚さ75μmのPETフィルム(三菱化学ポリエステル社製:T100)に、下記組成のバックコート層をワイヤーバーによって塗布・乾燥した。バックコート層は0.7g/m2の付量であった。
このバックコート層が塗布されたPETフィルムのヘーズをJIS Z 8721の方法によりバックコート層側が測定光源側になるように配置して測定したところ、そのヘーズ値は12.5%であった。
次いで、バックコート層と反対の面に、下記組成の光熱変換層塗布液1を塗布・乾燥し、808nmの吸光度が約1.2の光熱変換層を形成した。この光熱変換層の乾燥後の厚みは約0.3μmであった。次いでこの光熱変換層の上に、下記組成の中間層塗布液1をワイヤーバーにより塗布・乾燥して、厚みが約0.1μmの中間層を形成し、この塗布物を巻き取った。
(バックコート層塗布液)
ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−30:日本合成化学工業製) 79部
弗素化合物(ユニダインTG810:ダイキン工業製,樹脂分18%) 5部
帯電防止剤(エフコール214:松本油脂社製) 10部
PMMA樹脂粒子(体積平均粒径5.6μm) 13部
水 83部
(光熱変換層塗布液1)
ポリビニルブチラール(デンカブチラール#3000−4:電気化学工業社製)8部
赤外線吸収色素(IR−1) 2部
イソシアナート化合物(スミジュールN3300:住化バイエルウレタン社製)
0.8部
メチルエチルケトン(MEK) 60部
シクロヘキサノン 30部
(インク中間層塗布液1)
ゼラチン 3.96部
界面活性剤(FT−251:ネオス社製) 0.04部
水 86.4部
i−プロピルアルコール 9.6部
Figure 2005199577
〈インクシートM1の作製〉
前記の巻取り品を60℃で3日間保存した後、中間層の上に下記組成のマゼンタインク層塗布液をワイヤーバーにより塗布・乾燥し、乾燥後の厚みが0.6μmのインク層を形成し、インクシートM1を得た。このインク層は、マクベスTD−904のグリーンフィルター濃度が0.69であった。
(マゼンタインク層塗布液)
マゼンタ顔料分散物(MHIマゼンタ#8100M:御国色素社製) 20.8部
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−105:三菱レイヨン社製) 6.7部
滑り剤(ケミスタット1100:三洋化成工業社製) 1.2部
弗素系界面活性剤(メガファックF−178K:大日本インキ化学工業社製)
0.03部
メチルエチルケトン 9.67部
シクロヘキサノン 61.6部
〈インクシートY1の作製〉
インクシートM1のマゼンタインク層塗布液を下記組成のイエローインク層塗布液に変えた以外は、インクシートM1と同様にしてインクシートY1を得た。インク層の厚みは約0.6μm、マクベスTD−904のブルーフィルター濃度が0.45であった。
(イエローインク層塗布液)
イエロー顔料分散物(MHIイエロー#8099M:御国色素社製) 27.7部
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−105:前出) 7.44部
滑り剤(ケミスタット1100:前出) 1.2部
弗素系界面活性剤(メガファックF−178K:前出) 0.03部
メチルエチルケトン 2.03部
シクロヘキサノン 61.6部
〈インクシートC1の作製〉
インクシートM1のマゼンタインク層塗布液を下記組成のシアンインク層塗布液に変えた以外は、インクシートM1と同様にしてインクシートC1を得た。インク層の厚みは約0.6μm、マクベスTD−904のレッドフィルター濃度が0.66であった。
(シアンインク層塗布液)
シアン顔料分散物(MHIシアン#8101M:御国色素社製) 8.75部
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−105:前出) 7.71部
滑り剤(ケミスタット1100:前出) 1.2部
弗素系界面活性剤(メガファックF−178K:前出) 0.03部
メチルエチルケトン 20.71部
シクロヘキサノン 61.6部
〈インクシートK1の作製〉
インクシートM1のマゼンタインク層塗布液を下記組成のブラックインク層塗布液に変えた以外は、インクシートM1と同様にしてインクシートK1を得た。インク層の厚みは約0.6μm、マクベスTD−904の可視光フィルター濃度が0.95であった。
(ブラックインク層塗布液)
ブラック顔料分散物(MHIブラック#8102M:御国色素社製) 9.1部
シアン顔料分散物(MHIシアン#8101M:前出) 1.2部
バイオレット顔料分散物(MHIバイオレット#8110M:御国色素社製)
1.7部
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−85:前出) 7.37部
滑り剤(ケミスタット1100:前出) 1.2部
弗素系界面活性(メガファックF−178K:前出) 0.03部
メチルエチルケトン 17.8部
シクロヘキサノン 61.6部
〈画像の形成〉
上記受像シートR1、インクシートY1,M1,C1,K1と下記に示したマルチチャンネルレーザーヘッド、露光条件でK,C,M,Yの順で画像露光を行って順次受像シートR1上に4色画像を形成し、次いで下記ラミネータを用いて、最終記録媒体(印刷用紙)に画像を転写した。
(露光条件)
露光波長:830nm
画像露光エネルギー量:230mJ/cm2
レーザーヘッドチャンネル数:32ch
描画線幅:10.58μm
最大光量/最小光量:3.35
画像内容:色管理標準チャートIT8.7/3(測定点数=593点)
画像スクリーニング方式:AMスクリーニング(175線/2.54cm)及びFMスクリーニング(Staccato:Creo社商標)
ラミネータ:Color Decision II EV−LaminatorII(コニカミノルタグラフィックイメージング社製)
最終記録媒体:特菱アート(三菱製紙社製,127.9g/m2
上記の様にして得られた多色画像を、同画像の印刷物とを各点について測色・比較し、CIE−Lab色空間上の距離である色差(ΔE)を各点について算出した。その時の最大色差と平均色差を表2に示す。尚、AMスクリーニング画像とFMスクリーニング画像の印刷物は、記録画像を変更した以外は全て同条件にて印刷を行ったものを使用した。
実施例2
実施例1のインクシート支持体、インクシートバックコート層を表1に示した内容に変更した以外は実施例1と同様にして受像シート、各色インクシートY2〜Y6、M2〜M6、C2〜C6、K2〜K6を作製した。
これらについても、表2及び表3に示した特性を有するレーザーヘッドを用いた以外は実施例1と同様して評価を行った。結果を同様に表2及び表3に示す。
Figure 2005199577
T100:75μm厚PET(三菱化学ポリエステル社製)
KC8UY:80μm厚TAC(トリアセテートセルロース:コニカミノルタオプト社製)
KC4UY:40μm厚TAC(トリアセテートセルロース:コニカミノルタオプト社製)
ポリビニルアルコール:ゴーセノールEG−30(日本合成化学工業社製)
弗素化合物:ユニダインTG810(ダイキン工業社製,樹脂分18%)
帯電防止剤:エフコール214(松本油脂社製)
マット材:体積平均粒径5.6μmのPMMA樹脂粒子
Figure 2005199577
Figure 2005199577
〈評価〉
色差ΔEと官能評価では一般に、以下の相関が概ねあることが知られている。
5.0<ΔE:色の違いが目立つ
3.0<ΔE≦5.0:色の違いが認識できる
2.0<ΔE≦3.0;一般の者であれば色の違いを認識することが困難
ΔE≦2.0:熟練者であっても色の違いを認識することが困難
表2及び表3に示されている通り、本発明ではその平均色差において、AMスクリーニング画像とFMスクリーニング画像の双方で、熟練者が違いを認識できないレベル(ΔE≦2.0)を達成し、更に最大色差においても双方でΔE≦5.0を達成しており、比較例に対して有意に印刷物近似性が良好であることが判る。
本発明のレーザー露光におけるレーザー光量分布と描画領域の関係を示す概念図。

Claims (2)

  1. 受像層を有する受像シートと、支持体上に少なくとも光熱変換層と画像形成層とを有するイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックを含む少なくとも4種類以上の色の異なる熱転写インクシートを用い、各熱転写インクシートの画像形成層と前記受像シートの受像層とを対向して重ね合わせ、1回の主走査で複数チャンネルが記録可能なマルチチャンネルレーザー光照射装置により画像露光を行い、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シートの受像層上へ転写して画像記録する工程を有する多色画像形成方法において、該熱転写インクシートの光熱変換層よりレーザー光源側に位置する層の積層状態でのヘーズ値(JIS K 7136−2000)が0.3〜10%であり、かつマルチチャンネルレーザーの全チャンネルを点灯した際の最大光量部と最小光量部の比(最大光量/最小光量)が1.0〜3.0であるレーザー光を照射することにより、少なくとも1色分の画像形成層を受像シートの受像層上に転写することを特徴とする多色画像形成方法。
  2. 画像露光に用いられる画像がFMスクリーニング方式を利用して2値化された画像であることを特徴とする請求項1記載の多色画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012135903A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Kao Corp 熱転写受像シート

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