JP2005199112A - 木材の資源化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 重金属を含む廃木材から、重金属が有害な形態で溶出するのを防止しつつ、このような廃木材を資源化することを目的とする。
【解決手段】 重金属を含む木材に消石灰を添加して、還元雰囲気下で加熱するステップを含む木材の資源化方法、及び、外気吸入遮断機構2と、間接加熱式の炭化炉3とを備え、木材を還元雰囲気、消石灰存在下で加熱する、木材資源化装置1を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、木材の資源化方法に関する。特には、本発明は、砒素、クロムなどの環境に有害となりうる重金属を含む廃木材から、これらの重金属を溶出させることなく処理し、炭化物として資源化する、木材の資源化方法に関する。
CAA(Cupper Chromated Arsenate)処理木材は、防腐加工の目的で銅(Cu)、クロム(Cr)、砒素(As)を含む処理剤を木材に含浸させたものとして知られている。このようなCAA処理木材に代表される重金属汚染木材は、耐用年数が過ぎた後は、通常、廃木材として処理されるが、有毒な重金属類を含むため、適切に廃木材として処理することは困難であると考えられている。
CAA処理木材を焼却処理した場合、木材中の砒素など、比較的融点の低い金属類が排ガスとともに揮散し、系外に排出される危険性が高いという問題がある。また、このような焼却処理においては、重金属類が焼却灰に高濃度で濃縮され、焼却灰から溶出する危険性もある。さらには、通常、木材中で三価の状態で存在するクロムが焼却により酸化されてより有害な六価クロムの形態で焼却灰中に蓄積されるという問題があった。
一方、焼却せずに重金属を含む廃木材を処理する場合には、キレート剤やその他の方法で固定処理を行い、有害な重金属が廃木材から溶出することを防止することができる。しかし、この方法では木材の持つ高い熱量を有効利用することができず、埋め立て処理すべき廃木材を増加させることとなる。
また、炭化処理することにより、重金属汚染木材から、重金属を散逸しにくい形態で保持する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この技術においては、チップ化したCCA処理木材を炭化し、有用微生物群を付与することで残留クロムや砒素成分を散逸しにくくしている。このように炭化処理するときは、焼却する場合に比べてCCA処理木材からの重金属の溶出量は低減しているものの、かかる方法でもなお、基準値以上の重金属の溶出がみられるため、さらなる溶出量の低減を図る必要がある。
炭化物に酸を加えて処理溶液を調製し、アルカリ土類金属塩を添加してpHを調整する工程により、炭化物からリン、アルミニウム、重金属を除去回収する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。しかし、この方法では炭化処理に加えて、さらなる工程が必要とされる比較的煩雑な処理方法であり、比較的低いコストで大量に処理することは難しい。
特開平10−88157号公報 特開2002−1259号公報
本発明は、重金属を含む廃木材から、重金属が有害な形態で溶出するのを防止しつつ、このような廃木材を資源化することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、木材の資源化方法であって、重金属を含む木材に消石灰を添加して、還元雰囲気下で加熱するステップを含む。
前記木材100質量部に対して、前記消石灰が1〜7質量部となるように消石灰を添加することが好ましい。前記木材100質量部に対して、前記消石灰が3〜5質量部となるように消石灰を添加することがさらに好ましい。
前記還元雰囲気では、酸素濃度が2体積%以下であることが好ましい。酸素濃度が、1.5体積%以下であることがさらに好ましい。
前記加熱するステップが、300〜700℃で実施されることが好ましい。前記加熱するステップが、400〜650℃で実施されることがさらに好ましい。
前記加熱するステップが、30〜90分にわたって実施されることが好ましい。前記加熱するステップが、45〜60分にわたって実施されることがさらに好ましい。
本発明は、別の側面によれば、木材資源化装置であって、外気吸入遮断機構と、間接加熱式炭化炉とを備え、重金属を含む木材を還元雰囲気、消石灰存在下で加熱する装置である。
本発明の効果として、重金属に汚染された木材から、重金属を有害な形態で溶出させることなく、木材の持つ高い熱量を有効利用し、廃木材を資源化することができることが挙げられる。
本発明の木材の資源化方法によれば、通常の焼却処理、炭化処理では、飛灰または炭化物からの溶出が問題となる砒素を含む木材を、還元雰囲気、消石灰の存在下で熱分解することで、木炭の吸着効果により砒素が熱分解ガス側に揮散することを防止し、かつ、砒素を水に不溶性の砒素化合物に変化させて、溶出量を低く抑えることができる。いっぽう、木材に含まれているクロムについては、還元雰囲気下で加熱することにより、三価クロムが、人体や環境に有害な六価クロムに酸化することを抑制し、かつ、六価クロムを還元して無害化することができる。
このように、木材を焼却せず炭化する方法は、廃木材に金属類などの木材以外の不純物が混入した場合であっても、炭化処理後には炭化物と不燃物とは分かれた状態になるという利点がある。炭化物と不燃物とが分かれた状態からは、磁選機、アルミ選別機、比重差選別機等を用いることにより、炭化物と不燃物とを容易に分離することができる。
また、本発明にかかる方法によれば、焼却による処理方法と比較して、飛灰発生量の低減、ダイオキシン類の抑制、ランニングコストの低下といった利点が得られる。
さらに、本発明にかかる木材資源化装置によれば、コストを抑えた比較的単純な装置で、上述のような有利な効果が得られる木材の資源化処理を実施することができる。
以下に、本発明を図面を参照してさらに詳細に説明する。しかしながら、以下の説明は本発明を制限するものではない。
本発明において資源化される対象となる、「木材」または「重金属汚染木材」とは、基準値を超える量の重金属を含み、処理をされる段階にある木材をいう。特には、基準値を超える量の砒素、クロムを含有するCCA処理木材をいう。また、本明細書中において、基準値とは、「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」(環境庁告示第13号)に基づいた試験における判定基準参照値をいい、金属を含むばいじん、汚泥に係る判定基準は、砒素が0.3mg/L以下であり、六価クロムが1.5mg/L以下である。
図1は本発明の一実施の形態にかかる木材資源化装置1を示すプロセスフロー図である。図1において、木材資源化装置1は、外気吸入遮断機構2、炭化炉3、投入装置4、分離抜き出し手段5、サイクロン6、および排ガス処理装置を備える。
外気吸入遮断機構2は、還元雰囲気に保持することが必要な炭化炉3の中へ、重金属汚染木材と消石灰とを、還元雰囲気を保ったまま供給するための装置である。外気吸入遮断機構2としては、スライドゲート装置を用いることができる。スライドゲート装置は、投入シュートを遮断する平板と、これを保持し、スライド時に摺動部からの外気吸入を遮断する為のシール部と、平板を水平方向に移動させシュート部を開閉させるために平板を駆動する駆動装置とから構成される。図示するように、二つのスライドゲートを用いて外気をシールする場合、二つのスライドゲートのうち、投入口側のゲートのバルブが開いており、スライドゲート装置は、炭化炉3側のゲートのバルブが閉まった状態で、重金属汚染木材と消石灰とを投入して、投入口側のゲートのバルブを閉め、炭化炉3側のゲートのバルブを開けた状態で、重金属汚染木材と消石灰とを投入装置4へと導入するように作用する。このように、外気吸入遮断機構2では二つのゲートのバルブを同時に開くことはなく、大気が木材資源化装置1の内部へ流通しにくい構造となっている。
本発明にかかる木材資源化装置において用いることのできる別の外気吸入遮断機構2としては、スライドゲート装置に代えてボールバルブやロータリーバルブを用いることもできる。その他にも、上述のスライドゲート装置やボールバルブ、ロータリーバルブと同様に作用して、木材資源化装置1の内部へ、酸素濃度の高い大気が流通するのを防ぐことができるものであれば、外気吸入遮断機構2として用いることができる。
投入装置4は、重金属汚染木材と消石灰とを炭化炉3に連続的に供給する装置である。この投入装置4は、破砕機及びスクリューフィーダにより構成することができる。投入装置4においては、重金属汚染木材を、消石灰との混合及び木材内部まで加熱(炭化)する理由で、30〜100mm以下の大きさにまで破砕することができる。
炭化炉3は、重金属汚染木材と消石灰とを還元雰囲気下で加熱し、重金属汚染木材を炭化する装置である。炭化炉3としては、内部に投入された重金属汚染木材に対し、炉鉄皮を介して外殻より熱を供給する間接加熱式ロータリーキルンを用いることができる。本発明において用いる間接加熱式ロータリーキルンは、例えば、1〜4rpmで回転可能な炉の周囲に加熱ジャケットを設け、加熱ジャケットに高温排ガスを流通させて炭化炉3内の重金属汚染木材と消石灰とを加熱するものである。間接加熱式ロータリーキルンのサイズは、処理される重金属汚染木材の量や、木材資源化装置1全体の構成に適するように、当業者が適宜決定することができる。間接加熱式ロータリーキルンは、飛灰をほとんど発生させずに重金属汚染木材を加熱し、炭化させることができる。また、間接加熱式であるために、重金属汚染木材が滞留するキルン内部に酸素濃度の高い大気が流通することはなく、炭化炉3内の酸素濃度を低い値に保持することができる。
分離抜き出し手段5は、炭化炉3における生成物である炭化物と、発生した熱分解ガスとを分離する。分離抜き出し手段5は、例えば、分解ガス排出配管、及び炭化物排出口である。分解ガス排出配管、及び炭化物排出口は、炭化炉3の終端側出口付近に設けられた固気分離ポートに接続するように設けることができる。炭化物排出口には排出用のスクリューコンベヤが付帯していてもよい。分離抜き出し手段5の下部には、炭化物の急冷手段として熱交換器を備えることが好適である。熱交換器の伝熱面積は限られた空間の中で大きい方がよい。冷却効率の点からである。したがって、例えば、管路の径を拡大して、その外部を囲緯した冷却ジャケットや、経路に挿入した多管式熱交換器、もしくはフィン付きチューブ等とすることができる。
炭化炉3の後段にあって、炭化炉3からの熱分解ガスが導入されるサイクロン6は、熱分解ガスに含まれることがある飛灰や粉化した炭化物を捕集して、固形分を取り出す。排ガス処理装置は、炭化炉3から出て、固形分が取り除かれた熱分解ガスの有する熱量を有効利用し、かつ熱分解ガスの有害成分を無害化して大気に放出する。排ガス処理装置は、燃焼炉7と、ボイラ8と、減温塔9と、バグフィルタ10と、IDF11と、煙突12と、空冷復水器13と、蒸気タービン発電機14とを備える。燃焼炉7は熱分解ガスを燃やして、高温にするものであって、例えば、炭化炉3より抜き出す熱分解ガスを導入する配管及び空気もしくは酸素富化空気送入配管に接続されている。燃焼炉7は、熱分解ガスを高温で燃焼させるバーナを備え、燃焼排ガスを排出する出口を有する。
本実施の形態にかかる木材資源化装置1によれば、上述のような構成要素により、重金属汚染木材と消石灰とを還元雰囲気下で加熱し、炭化することができる。それにより、重金属汚染木材は、有害物質を溶出させることなく炭化処理される。いっぽう、重金属汚染木材の炭化で生じた熱分解ガスは、排ガス処理装置で処理され、その過程で熱資源を供給する。
次に、図1のプロセスフロー図に従って、木材資源化装置1を用いた木材の資源化方法について説明する。本発明において、処理対象となるのは、重金属に汚染された木材である。特には、処理対象となるのは、基準値を超える量の砒素、クロムを含有するCCA処理木材である。具体的には、2〜5mg/Lの砒素、または0.05〜0.5mg/Lの六価クロムあるいはそれらの両方を含有する木材である。処理対象となる重金属汚染木材は、30〜100mm程度の大きさで木材資源化装置1に投入される。
木材資源化装置1への投入に先立って、重金属汚染木材には消石灰が添加される。消石灰は、後続の炭化炉3において、還元雰囲気下で重金属汚染木材に含有される砒素を、水に溶け難い砒酸カルシウム(Ca3(AsO42)とする働きをするためである。消石灰は、重金属汚染木材100質量部に対し、1〜7質量部となるように混合することが好ましく、3〜6質量部となるように混合することがさらに好ましい。これより少ないと、砒素溶出抑制効果が得にくく、これより多いと、消石灰存在下での加熱によってクロムの酸化が促進され、六価クロムの溶出量が増加するためである。消石灰は、粉状の形態で添加されることが好ましい。
重金属汚染木材と、消石灰とは、外気吸入遮断機構2から木材資源化装置1に投入される。このとき、外気吸入遮断機構2がスライドゲートの場合には、木材資源化装置1内部に酸素が流入する量を最小限に抑えるように、スライドゲートのバルブを操作する。次に、重金属汚染木材と消石灰とは、投入装置4により連続的に炭化炉3内に投入される。
炭化炉3内は、炭化炉3の出口酸素濃度が5体積%以下となる還元雰囲気に保つことが好ましい。炭化炉3の出口酸素濃度は、好ましくは2体積%以下で、理想的には酸素が存在しないことが最も好ましい。しかしながら、実機を用いて還元雰囲気とする場合の実用的な出口酸素濃度は、1〜1.5体積%である。このような出口酸素濃度は、炭化炉3内を還元雰囲気として、木材中に含まれる三価クロムの六価クロムへの酸化を防止し、かつ既に木材中に存在する六価クロムの三価クロムへの還元を促進するためである。また、木材中に含まれる砒素を、消石灰の存在下で砒酸カルシウムとする反応を促進するためである。炭化炉3内の酸素濃度は間接加熱式キルンと外気吸入遮断機構により上記濃度を達成可能であるが、窒素もしくは水蒸気を供給することによって、さらに濃度を下げることができる。
また、炭化炉3内の出口温度が300〜700℃となるように炭化炉3を加熱することが好ましい。さらに好ましくは、400〜650℃で、最も好ましくは550℃で加熱する。炭化物の収量を上げる一方で、ダイオキシン類が発生しにくい温度とするためである。経時的な温度変化は、炭化炉3に投入された重金属汚染木材を徐々に所定の温度、例えば600℃程度まで加熱し、そのままの温度で所定の時間だけ保持することが好ましい。具体的には、30〜40分で常温から500〜550℃まで加熱し、そのままの温度で15〜20分にわたって保持することが好ましい。炭化炉3の加熱は、炭化炉3の加熱ジャケット中に高温排ガスを流通することで実施することができる。高温排ガスは、炭化炉3から生じた熱分解ガスを後段の燃焼炉7で燃焼し、加熱ジャケットに導いて再利用するものである。
炭化炉3における加熱時間は、30分〜90分とすることが好ましく、45〜60分とすることがさらに好ましい。充分に木材の炭化反応を進行させ、重金属汚染木材の処理時間を必要最小限にとどめるためである。
重金属汚染木材は消石灰の存在下で、炭化炉3において、上述の温度、時間、酸素濃度条件で加熱され、炭化されるが、この過程で炭化炉3には、水蒸気、触媒等をさらに添加することができる。触媒は、遊離ハロゲンを無機物(金属塩)として固定化し、有毒な有機ハロゲン化合物の生成を抑制する為や、炭素鎖の切断を促進する目的で添加することができる。触媒を添加するときには、炭酸ナトリウム、酸化鉄などを、重金属汚染木材100質量部に対し、0.1〜1質量部となるように混合することができ、触媒の投入は、木材投入の時点で行うことができる。しかし、このような触媒の投入は本発明に必須のものではない。
水蒸気の添加は、炭化炉3内の酸素分圧を低下することによって、激しい酸化反応を抑制し、さらに水蒸気を系内の炭素と反応して、一酸化炭素や水素を生成して、還元性ガス雰囲気とする目的で行うことができる。還元性ガス雰囲気では、上述のように重金属の固定化、無毒化を促進する反応が進行するとともに、有毒な有機ハロゲン化化合物の生成を抑制し、原料中の炭素分の固定に寄与しうるからである。また、金属の炭酸塩、酸化物、ケイ酸塩、硫酸塩、水酸化物の添加は炭素鎖の切断を助長する触媒作用や、反応系内の遊離ハロゲンを無機物(金属塩)として固定する作用があることが判明しており、重金属汚染木材の炭化を低温で速やかに進行させるのに有効である。水蒸気は、重金属汚染木材100質量部に対し50〜100の量で、炭化炉3の入り口部より供給することができる。しかし、このような水蒸気等の添加は、本発明に必須のものではない。
炭化炉3内では、酸素の存在量を制限することで、発熱を伴う酸化燃焼ではなく、緩やかな条件で起こる化学結合の切断を主体とする熱分解が支配的な反応となっている。吸熱反応である熱分解に必要な熱は上述のように外部から供給されている。炭化炉3内の5%以下、好ましくは2%以下という若干の酸素は、重金属汚染木材の酸化反応に関与するが、木材に含有される三価クロムの六価クロムへの酸化を低い程度に抑え、重金属汚染木材に含有される六価クロムを三価クロムに還元することができる。また重金属汚染木材に含有される砒素が、消石灰の存在下で、砒酸カルシウムとなる反応が進行する。このように酸素分圧の低い条件での木材の酸化速度は非常に緩慢で、若干の発熱反応によって内部から熱を与える面では寄与するものの、局部的な高温状態は達しえないので、毒性のある有機ハロゲン化物質の生成には至らない。
加熱過程を経て炭化した重金属汚染木材である炭化物は、炭化炉3の終端にある分離抜き出し手段5の下部から、有機性廃棄物の供給量とバランスして炭化炉3内のキルン内容量が定常状態になるように抜き出される。分離抜き出し手段5の下部にあってもよい熱交換器では、抜き出し途上の炭化物が熱交換器の伝熱面に接触して冷却される。伝熱面の他方の面は水などの低温媒体で冷却して除熱する。熱交換器では、炭化炉3から抜き出す炭素を主体とする炭化物を250℃以下に急冷して抜き出すことが望ましい。これは、前記熱分解で固相の方に移行した残存ハロゲン化物質があった場合、ダイオキシン等有毒ハロゲン化化合物に転化させないための手段である。炭化物が、高温状態で抜き出し空気中の酸素と触れないようにするためにこの操作が必要となる。
いっぽう発生した熱分解ガスは分離抜き出し手段の上部から取り出してサイクロン6へ供給される。炭化炉3から排出される熱分解ガスは飛散粒子を含んでいるので、サイクロン6で除塵した後、高温の燃焼炉7で燃焼させる。高温の燃焼炉7では、炭化炉3から抜き出す熱分解ガスを850〜1100℃で高温燃焼させる。例えば、高温の燃焼排ガスの用途によっては、もしくはバーナ摩耗防止の目的から、燃焼炉7の入り口の経路に設けてもよい除塵器で分解ガスに随伴する固体粒子を排除してから、燃焼炉7に供給することも可能である。
高温の燃焼炉7で得られた高温排ガスの一部は、炭化炉3の下部の加熱ジャケットに導かれ、炭化炉3の加熱に必要な熱を供給する。いっぽう、加熱ジャケットの出口から排出される未だ温度の高い、熱供給後のガスは高温の燃焼炉7から排出する高温ガスの一部と合流させて、ボイラ8加熱用ガスとすることができる。
高温のボイラ加熱用ガスはボイラ8に導かれ、ここで蒸気を発生する熱源として使用される。発生した蒸気は蒸気タービン式発電機14を駆動し、空冷復水機13により凝縮した水を再びボイラに戻し、循環させるようにしてもよい。ボイラ加熱用ガスはボイラ8で熱交換してボイラからの排ガスとなる。ボイラからの排ガスは、減温塔で温度が150〜200℃程度まで低減され、バグフィルタ10で除塵後、排ガス誘引のために設置されたIDFを経て、煙突12から排出することができる。重金属汚染木材を有毒な有機ハロゲン化化合物の生成を抑制して処理し、炭素を主体とする、資源として有効利用できる炭化物を取得し、発生する熱源によりボイラを稼動しタービン発電機を運転してもよく、エネルギーを有効に回収することができる。
炭化炉3において生成され、またはサイクロン6によって回収される炭化物及び不燃物は、溶出しにくい砒素化合物の状態で砒素を含有し、また、毒性の少ない三価クロムの状態でクロムを含有している。生成した炭化物から溶出する砒素、クロムの量はそれぞれ、砒素が0.3mg/L以下であり、六価クロムが1.5mg/L以下であり、許容値以下である。また、処理される重金属汚染木材がCCA処理木材の場合には、炭化物には銅が含まれているが、銅は通常、許容値を超えて溶出することはない。
炭化炉3において生成され、分離抜き出し手段5で抜き出された炭化物は、炭化物搬出装置15により運搬され、その後段で磁選機、アルミ選別機、比重差選別機等を用いることにより不燃物から分離し、埋め立て処理をすることができる。また、高熱量を有する資源として固体燃料などとして用いることができる。
砒素、六価クロムをそれぞれ、37mg/kg、0.5mg/kg以下の量で含有するCCA処理木材を、本発明の方法で資源化したのち、炭化物からの砒素、六価クロムの溶出量を測定した。CCA処理木材により当初から溶出した砒素、六価クロムの量は、4.91mg/L、0.21mg/Lであった。溶出量の測定は、「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」(環境庁告示第13号)に基づいて、検液(溶出液)を調整して、検液中の砒素、六価クロムの濃度を下水試験法に基づき、砒素は水素化原子吸光法で、六価クロムは原子吸光法により測定した。
[実験例]
直径40mm、長さが約1mの横型管状炉を外部より電気炉で間接的に加熱して、2rpmで回転させてCCA処理木材の資源化処理を行った。長手方向約30mm以下、断面方向約5mm以下の大きさに破砕したCCA処理木材100質量部に、消石灰を3質量部または6質量部添加して、間接加熱式ロータリーキルンに投入した。炭化炉における加熱温度はキルンの出口温度が700℃となるようにし、加熱時間は45分間とし、キルン出口の酸素濃度を1〜1.5体積%とした。砒素、六価クロムの溶出量を表1と図1のグラフに示す。本発明にかかる方法で資源化したCCA処理木材からの砒素、六価クロムの溶出量はいずれも、基準値以下であった。
Figure 2005199112
[比較例]
上述の間接加熱式ロータリーキルンを用いて、消石灰を添加せずにCCA処理木材の資源化を行った。加熱温度、加熱時間は、上述の実験例と同様とした。酸素濃度は、1.5体積%、または5体積%とした。砒素、六価クロムの溶出量を表2と図1のグラフに示す。消石灰を加えずに炭化した場合、砒素の溶出量が基準値を超え、良好な効果が得られなかった。
Figure 2005199112
本発明の活用例として、CCA処理木材、その他の重金属を含む廃木材を資源化する際に使用することができる。
本発明の木材資源化装置の一実施の形態を示すプロセスフロー図である。 実施例1の消石灰添加量と砒素およびクロムの溶出量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 木材資源化装置
2 外気吸入遮断機構
3 炭化炉
4 投入装置
5 分離抜き出し手段
6 サイクロン
7 燃焼炉
8 ボイラ
9 減温塔
10 バグフィルタ
11 IDF
12 煙突
13 空冷復水器
14 蒸気タービン発電機
15 炭化物搬出装置

Claims (6)

  1. 重金属を含む木材に消石灰を添加して、還元雰囲気下で加熱するステップを含む木材の資源化方法。
  2. 前記木材100質量部に対して、前記消石灰が1〜7質量部となるように消石灰を添加する請求項1に記載の方法。
  3. 前記還元雰囲気で、酸素濃度が2体積%以下である請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記加熱するステップが、300〜700℃で実施される請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記加熱するステップが、30〜90分にわたって実施される請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 外気吸入遮断機構と、間接加熱式炭化炉とを備え、重金属を含む木材を還元雰囲気、消石灰の存在下で加熱する、木材資源化装置。
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