JP2006055679A - 揮発性有機化合物に汚染された土壌を効率的に浄化する方法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】 揮発性有機化合物(VOC)に汚染された土壌を効率的にVOCを脱着させて浄化する方法を提供する。
【解決手段】 揮発性有機化合物(VOC)に汚染された土壌に対し、前処理として土壌中の粘土およびシルトを選択的に破砕し、次いでこの前処理した揮発性有機化合物(VOC)に汚染された土壌を過熱水蒸気処理装置1を使用して、過熱水蒸気発生装置2からの過熱水蒸気の雰囲気下で加熱することにより土壌からVOCを脱着させて浄化する。
【選択図】 図1
【解決手段】 揮発性有機化合物(VOC)に汚染された土壌に対し、前処理として土壌中の粘土およびシルトを選択的に破砕し、次いでこの前処理した揮発性有機化合物(VOC)に汚染された土壌を過熱水蒸気処理装置1を使用して、過熱水蒸気発生装置2からの過熱水蒸気の雰囲気下で加熱することにより土壌からVOCを脱着させて浄化する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、汚染された土壌を加熱して有害成分を揮散させ、土壌を無害化する間接加熱式装置による土壌の浄化に関する。
従来、揮発性有機化合物(以下、揮発性有機化合物を「VOC」という。)を含む土壌などを浄化するため、加熱装置を使用してVOCを揮散、分離させる場合に、局部的なVOCの残留を避けるために、必要以上の条件で処理する必要があった。例えば、ロータリーキルンを使用してVOCの加熱による脱着を行う場合に、その前処理として処理する土壌の材料の全てを破砕することを条件としたり、必要以上の高温で処理することを条件とするなどしていた。
さらに、土壌の加熱処理する温度を、含有されるVOCの沸点を超える温度に設定して土壌を無害化する発明が出願されている(例えば、特許文献1参照。)。また、土壌の材料を全量を破砕してから薬剤処理をしてVOCを処理する発明が出願されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平8−33882号公報
特開2000−157962号公報
本発明が解決しようとする課題は、VOCに汚染された土壌を効率的に浄化する方法を提供することである。従来の加熱装置による方法では、局部的な残留を避けるため、土壌の材料全てを破砕して粒径を揃えたり、数百度以上の高温にして、材料を均一に加熱する必要があった。
本発明は、1.過熱水蒸気の特性を生かして、より低温度で加熱すること、2.前処理で土壌の材料の選別を行い、必要な材質のみ破砕することにより、土壌を安価に浄化するシステムからなる方法を提供すること、3.シルトおよび粘土よりも硬く、衝突により塊状のシルトおよび粘土を解砕させることのできる物質を前記の土壌の材料に混合することにより、加熱処理中により解砕をを進行させ、また、造粒の進行を防止してVOCの浄化を促進させることを課題とするものである。
上記の課題を解決するための手段は、請求項1の発明の手段では、間接加熱式装置を使用して、過熱水蒸気の下でVOCに汚染された土壌を加熱し、VOCを脱着させることを特徴とする。なお、ここでいう過熱水蒸気は、圧力0.2MPa以下で、400〜500℃に過熱されているものである。
実証テストによれば、土壌中のVOCの濃度は、含有水分量と相関関係にあり、しかも粘土中の濃度が砂やれきよりも極めて高いことが分かった。表1にその値を示す。この表1では、処理される土壌中に含有されるVOCとしては、第1種特定有害物質中で最も気化温度の高いテトラクロロエチレンの値でもって代表して示している。
上記の表1に示す実証テストの結果から、土壌中のVOCを浄化するためには、土壌中の水分を蒸発させて、水分量を減少させればよいことが分かる。
通常の熱風による乾燥では、粘土やシルトの塊の表面が中心部からの水分移動速度より早く乾燥するため、表面に断熱層を形成して伝熱を阻害して、中心部まで熱が伝わりにくくなる。しかし、過熱水蒸気中で高湿度乾燥を行うと、前記のような表面乾燥が起きず、中心部まで熱が伝わりやすくなるため、中心部から水分の移動が速やかに行われる。その結果、過熱水蒸気中では、通常の熱風より乾燥速度が大きくなり、中心部まで充分に乾燥されることとなる。
また、加熱脱着に寄与する過熱水蒸気の特徴として、不純物の追い出し効果を有することと熱放射性ガスであることの2点が上げられる。追い出し効果とは過熱水蒸気が凝縮を伴って対象物質に深く浸透し、再び蒸発する過程において、不純物を持ち出す効果であり、飛灰からのダイオキシンの除去や醤油滓の乾燥脱臭などにおいてその効果は確認されている。これらの過熱水蒸気の無い乾燥空気中で処理した材料と比較すると、乾燥空気中では、中心部の不純物が脱着しにくいのに対し、過熱水蒸気中では均一に脱着している。また、過熱水蒸気は、二酸化炭素と同じく熱容量の大きいガス体であり、逆転点温度と呼ばれる温度以上の雰囲気では、ガス放射熱の影響が大きく、空気中より乾燥速度が速いことも知られている。
請求項2の発明の手段では、請求項1の発明の手段において、その前処理として、材料の選別を行って、この選別した材料を破砕するもので、すなわち、汚染された土壌のうち、土壌を構成するシルトや粘土分のみを選択的に破砕する前処理工程を間接加熱式装置を使用して浄化する前に行うことを特徴とするものである。この場合、破砕したシルトや粘土分の大きさは直径で略50mm前後のものとする。処理のために掘削した土壌には、砂、れき、シルトおよび粘土が含まれている。このうち、砂やれきは塊になりにくく、また流動性も良好で、内部に、VOCを保持しにくいため、比較的低温で容易にVOCを脱着することが可能である。しかし、シルトや粘土は水分を含んで塊となり、外部から加熱しても分解しにくく、より高温で長時間加熱処理しなければVOCを脱着することができない。このことを表2により示す。表2は同じ条件で加熱処理した後の、粘土塊の未破砕のもの粘土塊の破砕したもの、および砂とれきの3種について、VOCの濃度をその中の代表的な1種であるテトラクロロエチレンの濃度により処理前と処理後を比較して示すものである。
そのため、前処理でシルトや粘土の塊を分離し、それらを適当な大きさに破砕する工程を設けることにより、より低温で、短時間にVOCの脱着を行うことができることが分かり、請求項2の発明は、この事象を利用するものである。
請求項3の発明では、前記の破砕したシルトおよび粘土分は、これらのシルトおよび粘土分よりも硬く、かつ、衝突により塊状のシルトおよび粘土分を解砕することができる物質を混合していることを特徴とする。このようなシルトや粘土分よりも硬く、衝突により塊状のシルトや粘土分を解砕することができる物質として、例えば、金属や岩石などが適用できる。この場合、この金属や岩石の物質は粒状として処理するシルトおよび粘土分に適用するものである。シルトや粘土分は、過熱水蒸気処理装置内で、装置の回転による撹拌作用のため破砕がより進行して単に砕かれるのではなく、金属や岩石などの衝突によりバラバラに解きほぐされる状態の解砕に至る。しかし、材料の水分量が多い場合、操業条件によっては造粒してしまい、逆に乾燥が阻害される。そこで、前記前処理後に粒状で粘土分より硬度の高い物質である金属や岩石、例えばれきを混合すれば、それらによるシルトや粘土分の塊との衝突による解砕が期待できる。その物質として上記の請求項2の方法で分離した「れき」を使用することができる。そのれきの量が少ない場合は、VOCを揮散した後の処理済みの土壌かられきを分離し循環して再使用する工程を追加してもよく、また「れき」がない場合は、金属球などを循環使用することも可能である。
本発明は、請求項1の発明では、過熱水蒸気雰囲気下でVOCに汚染された土壌を浄化するので、通常の熱風と比較して、低温で、短時間にVOCの浄化が行え、請求項2の発明では、処理する土壌のうちシルトおよび粘土分のみを選択的にVOCの脱着を行うことで、時間とエネルギーの無駄な消費をおさえることができ、低コストでVOCの浄化が行え、請求項3の発明では、処理する土壌にシルトや粘土分より硬度の高い物質を混合することで、加熱処理中にシルトや粘土分との衝突による解砕が行われ、VOCの脱着がより効果的に行われるものである。
本発明を実施するための最良の形態を以下に図面を参照して説明する。図1は本発明を実施するための工程をブロックで示す工程図である。
図1に示すように、本発明を実施する装置である間接加熱式装置として過熱水蒸気処理装置1を使用する。この過熱水蒸気処理装置1は、外筒1−1と内筒1−2からなる間接加熱式の2重筒ロータリーキルンである。請求項1の発明の実施の形態を示すと、処理する土壌は投入装置4によって内筒1−2へ供給される。内筒1−2の内部には、図示しないが、撹拌羽根が設置されており、処理する材料を滞留なく均一に内筒1−2の内壁に接触させながら昇温させる構造になっている。一方、ボイラー3で発生させた飽和水蒸気は過熱水蒸気発生装置2で高温の過熱水蒸気とされて内筒1−2に導入され、VOCに汚染された材料が過熱水蒸気により加熱処理され浄化される。加熱処理された材料の土壌は、排出バルブ5から排出装置6を経由してストックされる。このとき排出バルブ5から出た土壌のうち、れきは分離された後、上記の投入装置4へ戻される。加熱処理後の材料温度は100℃以下であるため、冷却は大気冷却で充分で、特に水による冷却装置を必要としない。
上記に示す処理工程において、請求項2の発明の実施の形態では、図1に示すように、処理する土壌のうち、シルトおよび粘土分が塊状である場合に適用するもので、この塊状のシルトおよび粘土分を前処理装置7で破砕して粒径を揃え、投入装置4によって内筒1−2へ供給する。このように、前処理装置7で塊状のシルトおよび粘土分を破砕して粒径を揃えることで、上記の表2に示したように間接加熱式2重筒ロータリーキルンの過熱水蒸気処理装置1で、より低温で、かつ、より短時間でVOCの脱着を行うことができる。
以上の方法において、間接加熱式2重筒ロータリーキルンの内筒1−2から出た排ガスは、揮散したVOCを含んでいるが、この揮散したVOCは次工程の再燃焼装置8で800℃以上の温度に燃焼されて高温熱分解する。この再燃焼装置8からの排ガスは800℃以上の温度を有する熱風である。そこで、この熱風は経路を通じて送給される間に50〜100℃放熱される結果、700℃以上で間接加熱式2重筒ロータリーキルンの外筒1−1に導入され、内筒1−2に上記のように供給された材料を加熱するための熱源として利用される。この場合、外筒1−1の他方の出口から出る排ガスを熱風循環ファン13によりダンパー13−1を開けて吸引することで上記の熱風は加熱式2重筒ロータリーキルンの外筒1−1に導入される。
外筒1−1で材料の加熱に利用した排ガスは熱交換器12によって再燃焼装置8へ導入される燃焼空気と熱交換され、加熱された燃焼空気は押し込みファン14によって再燃焼装置8へ導入される。一方、熱交換された排ガスは、冷水を噴霧する急冷装置9で200℃以下に冷却された後、集塵装置10に送給され、集塵装置10で含有の飛灰と分離され、清浄な状態とされて排気ファン15によって排気筒11から大気へ放出される。分離された飛灰は回収され、投入装置4から再び過熱水蒸気処理装置1の内筒1−2へ戻される。
過熱水蒸気処理装置1の内筒1−2は、過熱水蒸気発生装置2で発生させた、高温の過熱水蒸気雰囲気となり、上記に述べた過熱水蒸気の特徴である不純物の追い出し効果と熱放射性ガスであることを利用して、空気中より速い速度で土壌を乾燥させながらVOCを効果的に追い出すことができる。
前処理装置7によって、処理する土壌である材料の選択と破砕を行う。この場合、シルトおよび粘土分は、上記のように、過熱水蒸気処理装置1内で塊となりVOCを脱着しにくいので、前処理としてシルトおよび粘土のみを選別して破砕した後、請求項3の発明の実施の形態として、これらを、砂およびれき分と混合して投入装置4へ供給する工程を設ける。また、れきが少ない場合、過熱水蒸気処理装置1から排出した材料の内かられきを分離し、このれきを投入装置4へ戻して循環使用する工程を追加する。必要十分な量のれきをシルト及び粘土分に加えることで過熱水蒸気処理装置1の内筒1−2における衝突による解砕は達成される。すなわち、上記したように加熱水蒸気処理装置1の内筒1−2には、シルトおよび粘土よりも硬く衝突により塊状のシルトおよび粘土を解砕することができる物質を混合して、それらの解砕を進行させ、VOCの浄化を促進させるものである。
1 過熱水蒸気処理装置
1−1 外筒
1−2 内筒
2 過熱水蒸気発生装置
3 ボイラー
4 投入装置
5 排出バルブ
6 排出装置
7 前処理装置
8 再燃焼装置
9 急冷装置
10 集塵装置
11 排気筒
12 熱交換器
13 熱風循環ファン
13−1 ダンパー
14 押し込みファン
15 排気ファン
1−1 外筒
1−2 内筒
2 過熱水蒸気発生装置
3 ボイラー
4 投入装置
5 排出バルブ
6 排出装置
7 前処理装置
8 再燃焼装置
9 急冷装置
10 集塵装置
11 排気筒
12 熱交換器
13 熱風循環ファン
13−1 ダンパー
14 押し込みファン
15 排気ファン
Claims (3)
- 間接加熱式装置を使用して過熱水蒸気雰囲気下で揮発性有機化合物に汚染された土壌を浄化することを特徴とする揮発性有機化合物汚染土壌の浄化方法。
- 上記の浄化方法は、汚染された土壌のうち、土壌を構成するシルトおよび粘土のみを選択的に破砕する前処理工程を間接加熱式装置を使用して浄化する前に行うことを特徴とする請求項1に記載の揮発性有機化合物汚染土壌の浄化方法。
- 上記の土壌を構成するシルトおよび粘土は該シルトおよび粘土よりも硬く衝突により塊状のシルトおよび粘土を解砕することができる物質を混合していることを特徴とする請求項1または2に記載の揮発性有機化合物汚染土壌の浄化方法。
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JP2004236931A JP2006055679A (ja) | 2004-08-17 | 2004-08-17 | 揮発性有機化合物に汚染された土壌を効率的に浄化する方法。 |
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---|---|---|---|---|
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2004
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