JP3876360B2 - 汚染土壌等の無害化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイオキシン類等の有機塩素化合物または水銀で汚染された土壌ないしは粉体の無害化方法に関する。
【0002】
工業跡地やごみ焼却場周辺、廃棄物埋め立て処分場等においてダイオキシン類等の有機塩素化合物や水銀による土壌汚染が問題となっている。間接加熱方式または直接加熱方式はこういった汚染土壌の浄化方法の1つであり、高濃度の汚染にも対応できる技術である。本発明はこのような熱処理技術とりわけ間接加熱方式において土壌に水を添加して混合することで塊化した土壌を解きほぐし、土壌中の異物を効率よく除去し、土壌を加熱し、発生したガスを処理し、ほとんど排ガスが発生せず、冷却過程におけるダイオキシン類の再生成が防止でき、運転、メンテナンスも容易な方法となり、高効率な浄化を達成できる汚染土壌ないしは粉体の無害化方法に関する。
【0003】
【従来技術および解決すべき課題】
従来、加熱式による土壌浄化システムでは、土壌をそのまま乾燥機や加熱器に投入したため、団子状の土壌が生じ、土壌を完全に過熱するための熱伝達効率が低下していた。土壌には金属等の異物が混入して後処理工程の阻害要因になっていた。排ガス処理方法においては二次燃焼を行い、ガスを水噴霧や空気混入で冷却し、除塵して大気へ放出していた。そのため加熱で発生した排ガスが後工程で増大し、設備が大掛かりで高価なものとなっていた。
【0004】
土壌浄化の場合、オンサイトでの処理が主流であるため、設備を小型化する必要があり、従来の設備では処理費用が高い上に排ガス冷却工程でダイオキシン類が二次生成し、排ガスの温度が比較的高いため水銀が大気へ放出されるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述のような問題を解決することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による汚染土壌等の無害化方法は、
ダイオキシン類等の有機塩素化合物または水銀で汚染された土壌ないしは粉体を水でスラリー化し、得られたスラリーを湿式分級して小石や鉄等の異物を除去し、
スラリーを乾燥しついで加熱してダイオキシン類等の有機塩素化合物および水銀を蒸発または分解し、
土壌を急冷してダイオキシン類等の有機塩素化合物の再生成を防ぎ、
乾燥および加熱工程で生じた排ガスを水で直接的にまたは間接的に冷却して凝縮させ、生じた凝縮水にダイオキシン類等の有機塩素化合物、SS分、水銀等を集め、
凝縮水の少なくとも一部を濾過して沈殿水銀を除去し、その濾液をさらに濾過してダイオキシン類等の有機塩素化合物をSS分と共に除去し、濾過水を処理して溶解性水銀を除き、
処理水を加熱後の土壌に添加して土壌の急冷に利用するか、または急冷後の浄化土壌に添加して浄化土壌の含水率調整に利用し、
凝縮後の排ガスは土壌の乾燥および加熱工程へ循環する
ことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明を図1に示す実施例により具体的に説明する。
【0008】
ダイオキシン類等の有機塩素化合物や水銀で汚染された土壌をミキサー車(11)で水と混合してスラリー状にする。このように土壌をスラリー状にすることにより、後続の振動篩(12)での異物除去が容易になり、汚染土壌の飛散が防止でき、土壌塊が崩れ、粒子が分散できるので下流の乾燥機や加熱キルンでの熱伝達効率が向上する。またこれは流動化物としてハンドリングし易い状態となり、ポンプ等での搬送が可能となる。スラリーを振動篩(12)に通し小石や金属等の異物を除去した後、スラリーを貯泥槽(13)に投入する。貯泥槽(13)からポンプ(14)でスラリーを乾燥機(15)に送り、乾燥させる。乾燥機(15)は蒸気ボイラ(27)で加熱するが、蒸気以外に、後述の間接式加熱キルン(17)から出た排ガスを利用することもある。乾燥後のスラリーをコンベヤ(16)で間接式加熱キルン(17)に送る。間接式加熱キルン(17)における加熱によりダイオキシン類は蒸発または分解される。間接式加熱キルン(17)における加熱媒体は加熱炉(28)で加熱されたガスである。加熱された土壌は土壌冷却クーラ(18)を通過させることにより急冷される。土壌冷却クーラ(18)は間接または直接的に水や気体等の冷媒により、加熱土壌を300〜200℃間で冷却速度70℃/分以上で急冷するものであり、この急冷によりダイオキシン類の再生成が防止できる。
【0009】
乾燥機(15)と間接式加熱キルン(17)から発生した排ガスは主として水蒸気、空気、希ガスからなる。乾燥機(15)から発生した排ガスをスクラバー(19)に送り、ここで排ガスを噴霧水で冷却して凝縮させ、間接式加熱キルン(17)から発生した排ガスをサイクロン(32)に通して除塵した後スクラバー(20)に送り、ここで排ガスを噴霧水で冷却して凝縮させる。こうして生じた凝縮水は汚泥物質であるダイオキシン類、SS分、水銀等を含む。スクラバー(19)(20)から出た凝縮水を熱交換器(21)(22)で冷却しスクラバー(19)(20)へ再循環する。熱交換器(21)に送る媒体は冷却器(23)で冷やす。循環凝縮水の一部を砂濾過器(24)に通して沈殿した水銀を除去し、濾液を平膜濾過器(25)に通す。濾液中のダイオキシン類はSS分にその殆どが吸着している為、濾液中のダイオキシン類はSS分と共に平膜濾過器(25)で除去できる。平膜濾過器(25)を通過した濾過水を水処理装置(26)に通し、濾過水中の溶解性水銀を除くように処理する。処理水を間接式加熱キルン(17)から出た浄化土壌に添加して土壌の急冷に利用するか、または急冷後の浄化土壌に添加して浄化土壌の含水率調整に利用する。したがって、排水が発生しない。平膜濾過器(25)で生じた泥分は貯泥槽(13)へ戻す。
【0010】
乾燥機(15)と加熱キルン(17)から出た排ガスはほとんどスクラバー(19)(20)で凝縮されるので、ガス排出量が極めて少ない。スクラバー(19)から出た排ガスは間接式加熱キルン(17)へ循環しそのパージガスないしはキャリヤガスとして用い、スクラバー(20)から出た排ガスは活性炭吸着塔(29)ついでHEPAフィルタ(30)を経て完全に無害化されている。このガスの一部は乾燥機(15)へ循環しそのパージガスないしはキャリヤガスとして用い、残部は系外へ排出する。このガスは水分をほとんど含まず、ほぼ常温で排出されるので、気温が低い冬季においても白煙を発生する恐れがない。このように、乾燥機(15)と間接式加熱キルン(17)から出た排ガスを乾燥機(15)と間接式加熱キルン(17)に循環してスクラバー(19)(20)で冷却することにより、凝縮水として回収できる。これにより排ガス量を一層減少できる。
【0011】
平膜濾過器によるダイオキシン類除去効果を表1に示す。
【0012】
【表1】
Figure 0003876360
【0013】
土壌の加熱によるダイオキシン類の除去効果を表2に示す。
【0014】
【表2】
Figure 0003876360
【0015】
土壌の加熱による水銀の除去効果を表3に示す。
【0016】
【表3】
Figure 0003876360
【0017】
水銀の飽和濃度を表4に示す。
【0018】
【表4】
Figure 0003876360
【0019】
300〜200℃の間における冷却速度と除去率の関係を図2のグラフに示す。同図から、300〜200℃の間における冷却速度を70℃/分以上にした場合、高い除去率が得られることがわかる。
【0020】
【発明の効果】
本発明方法によれば、汚染された土壌ないしは粉体を水でスラリー状にすることにより、土壌を解砕できると共に流動状態とすることができてハンドリングが容易となる。よって、後続の湿式分級での小石や金属などの異物の除去が容易になり、保管や搬送等の作業中における汚染土壌微粒子分の飛散が防止できる。
【0021】
さらには、土壌を流動状態とすることで土壌粒子が分散し、乾燥工程および加熱工程での粒子への熱伝達効率を向上させることができる。
【0022】
乾燥および加熱工程で生じた排ガスを水で直接的にまたは間接的に冷却して凝縮水として回収できるため、排気量を低減することができる。さらには、凝縮後の排ガスは土壌の乾燥および加熱工程へ循環することにより排気量を一層低減することができる。
【0023】
濾過によりダイオキシン類等の有機塩素化合物をSS分と共に除去した後の処理水を加熱後の土壌に添加して土壌の急冷に利用するか、または急冷後の浄化土壌に添加して浄化土壌の含水率調整に利用することができる。
【0024】
土壌を加熱してダイオキシン類等の有機塩素化合物および水銀を蒸発または分解した後、土壌を急冷することで、ダイオキシン類等の有機塩素化合物の再生成を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示すフローシートである。
【図2】 冷却速度と除去率の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
(11) : ミキサー車
(12) : 振動篩
(13) : 貯泥槽
(15) : 乾燥機
(17) : 加熱キルン
(18) : 土壌冷却クーラ
(19)(20) :スクラバー
(23) : 冷却器
(24) : 砂濾過器
(25) : 平膜濾過器
(26) : 水処理装置
(32) : サイクロン

Claims (1)

  1. ダイオキシン類等の有機塩素化合物または水銀で汚染された土壌ないしは粉体を水でスラリー化し、得られたスラリーを湿式分級して小石や鉄等の異物を除去し、
    スラリーを乾燥しついで加熱してダイオキシン類等の有機塩素化合物および水銀を蒸発または分解し、
    土壌を急冷してダイオキシン類等の有機塩素化合物の再生成を防ぎ、
    乾燥および加熱工程で生じた排ガスを水で直接的にまたは間接的に冷却して凝縮させ、生じた凝縮水にダイオキシン類等の有機塩素化合物、SS分、水銀等を集め、
    凝縮水の少なくとも一部を濾過して沈殿水銀を除去し、その濾液をさらに濾過してダイオキシン類等の有機塩素化合物をSS分と共に除去し、濾過水を処理して溶解性水銀を除き、
    処理水を加熱後の土壌に添加して土壌の急冷に利用するか、または急冷後の浄化土壌に添加して浄化土壌の含水率調整に利用し、
    凝縮後の排ガスは土壌の乾燥および加熱工程へ循環する
    ことを特徴とする汚染土壌等の無害化方法。
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