JP4124584B2 - 廃棄物処理炉の排ガス中ダイオキシン類除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
廃棄物処理設備の廃棄物処理炉から排出される排ガスからダイオキシン類を除去する廃棄物処理炉の排ガス中ダイオキシン類除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物処理設備の廃棄物処理炉から排出される排ガスからダイオキシン類を除去する除去装置として触媒反応塔が用いられる。例えば、特許第2633316号公報には、図3の従来の排ガス処理のフロー図に示すように、焼却炉11で発生した燃焼排ガスをガス冷却塔12および空気予熱器13により冷却し、集じん器14で集じんした後、酸化チタン担体に五酸化バナジウムと三酸化タングステンを担持させた触媒が充填された触媒反応器15に導入して毒性の芳香族系塩素化合物(ダイオキシン類)を酸化分解して無害化し、ブロワー16により煙突17から放出する廃棄物焼却炉の排ガス処理方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
触媒反応塔の触媒反応では、ガス状のダイオキシン類は酸化分解されるが、油などに捕捉されたミスト状(粒子状)のダイオキシン類は分解することができない。ダイオキシン類は0.01ngTEQ/m3N以下の濃度レベルではミスト状のダイオキシン類の占める割合が比較的大きく、触媒反応でのダイオキシン類排出濃度には到達限界があった。
【0004】
ミスト状のダイオキシン類を除去するには吸着除去が有効であるが、吸着除去の場合はダイオキシン類を分解せず吸着剤にため込むのみであるので定常的に吸着剤の入れ替えを行う移動層とする必要があった。
【0005】
また、排ガスをバグフィルタへ導入する前に活性炭などの吸着剤を添加しダイオキシンを吸着除去するプロセスもあるが、ダイオキシンを吸着した活性炭は灰とともにバグフィルタで捕捉され、無害化のために加熱処理が必要となる。
【0006】
そこで、本発明は、ダイオキシン類の排出濃度をより低いレベルとする廃棄物処理炉の排ガス中ダイオキシン類除去方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の廃棄物処理炉の排ガス中ダイオキシン類除去方法は、廃棄物処理炉から排出された排ガスを170℃まで冷却し、消石灰で中和した後の排ガスを集じん器で集じんし、集じん後の排ガスを200℃まで加熱し、NH 3 を添加し、排ガス中のダイオキシン類を酸化分解する触媒層が形成されるとともに、触媒層の後流にミスト状のダイオキシン類を吸着する吸着層が一つの缶体に形成された触媒反応・吸着装置に導入して前記触媒層で触媒反応により酸化分解し、さらに触媒反応で酸化分解できなかったミスト状のダイオキシン類を前記吸着層の吸着剤により吸着除去することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
ミスト状のダイオキシン類は、個体または液体あるいは油などに捕捉されたもので、ダイオキシン濃度の測定の際にろ紙に残ったものである。
【0010】
本発明において、触媒は、従来の排ガス装置の触媒反応装置に使用されているもので、例えば前記の酸化チタン担体に五酸化バナジウムと三酸化タングステンを担持させた触媒を使用する。吸着装置あるいは触媒反応・吸着装置の吸着層には吸着剤として活性炭または活性コークスを使用する。
【0011】
触媒は高温の方が、吸着は低温の方が、それぞれダイオキシン類除去に有利であるが、本発明による運転温度は150〜230℃が適当であり、望ましくは170〜200℃でそれぞれの特性を十分に発揮することができる。
排ガスを蝕媒反応装置へ導入する前にNH3を吹き込み、脱硝を同時に行ってもよい。
【0012】
【実施例】
参考例
図1は排ガス中ダイオキシン類除去方法の参考例を示すフロー図である。
【0013】
廃棄物焼却炉や廃棄物溶融炉等の廃棄物処理炉から排出される高温の排ガスは冷却されてバグフィルタ1の使用温度(170℃)まで温度が下げられ、反応助剤(消石灰)を加えて中和し、バグフィルタ1に導入されて集じんされる。
【0014】
バグフィルタ1から排出された排ガスは、ブロワー2で触媒層3aが形成された触媒反応装置3に導入され、触媒反応により排ガス中のガス状のダイオキシン類を酸化分解する。
【0015】
触媒反応装置3から排出された排ガスは、吸着剤からなる吸着層4aが形成された吸着装置4に導入されて、触媒反応装置3で酸化分解できなかったミスト状のダイオキシン類を吸着除去する。吸着装置4から排出された排ガスは煙突から放出する。
【0016】
実施例
図2は本発明の排ガス中ダイオキシン類除去方法の別実施例を示すフロー図である。
【0017】
比較例と同様に、バグフィルタ1から排出された排ガスはブロワー2で触媒反応・吸着装置5に導入される。なお、本実施例では、排ガスを触媒反応・吸着装置5に導入する前に触媒反応を促進させる温度に加熱するために、加熱装置6がバグフィルタ1と触媒反応・吸着装置5との間に設置されている。
【0018】
触媒反応・吸着装置5は、一つの缶体に排ガス中のダイオキシン類を酸化分解する触媒層5aが形成されるとともに、触媒層5aの後流に吸着層5bが組み込まれている。触媒反応・吸着装置5では、触媒層5aにおいて触媒反応により排ガス中のガス状のダイオキシン類を酸化分解し、次いで後流の吸着層5bで触媒層5aで酸化分解しなかったミスト状のダイオキシン類を吸着除去する。
【0019】
表1は各実施例のダイオキシン濃度を示すもので、比較例はバグフィルタの後流に触媒反応装置のみを設置した例である。
【0020】
いずれの例も廃棄物溶融炉で溶融処理する例であり、廃棄物溶融炉から排出される高温の排ガスは、燃焼室で燃焼され、温水発生器で熱回収され、排ガス温度調節器で170℃に冷却してバグフィルタの使用温度まで温度を下げ、消石灰で中和され、バグフィルタで集じんされ、触媒反応塔に導入される。
【0021】
【表1】
表1から明らかなとおり、触媒反応で酸化分解できないミスト状のダイオキシン類を吸着層で吸着除去でき、排ガス中のダイオキシン類の排出濃度を極低濃度にすることができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、集じん器の後流に触媒反応装置と吸着装置を直列に設置あるいは既設触媒反応装置の最後流部を吸着層に置き換えて触媒反応・吸着装置とすることにより、触媒で分解できないミスト状のダイオキシン類を吸着層で吸着除去することができるので、排ガス中ダイオキシン類の排出濃度を極低濃度にすることができる。
【0023】
また、本発明は、触媒でダイオキシン類を二酸化炭素、塩化水素まで分解した後に吸着層を設置することで、吸着剤の使用量削減および破過までの時間を延長することができ、吸着塔設備をコンパクトにすることができる。
【0024】
また、缶体に触媒層と吸着層とを一体化して触媒反応・吸着装置とすることで簡易な設備とすることができる上に、ダクト長さを短くできることでダイオキシン類の極低濃度レベルでの合成を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の排ガス中ダイオキシン類除去方法のフロー図である。
【図2】 本発明の排ガス中ダイオキシン類除去方法の別実施例のフロー図である。
【図3】 従来の排ガス処理のフロー図である。
【符号の説明】
1:バグフィルタ
2:ブロワー
3:触媒反応装置
4:吸着装置
5:触媒反応・吸着装置
5a:触媒層
5b:吸着層
11:焼却炉
12:ガス冷却塔
13:空気予熱器
14:集じん器
15:触媒反応器
16:ブロワー
17:煙突
Claims (1)
- 廃棄物処理炉から排出された排ガスを170℃まで冷却し、消石灰で中和した後の排ガスを集じん器で集じんし、集じん後の排ガスを200℃まで加熱し、NH 3 を添加し、排ガス中のダイオキシン類を酸化分解する触媒層が形成されるとともに、触媒層の後流にミスト状のダイオキシン類を吸着する吸着層が一つの缶体に形成された触媒反応・吸着装置に導入して前記触媒層で触媒反応により酸化分解し、さらに触媒反応で酸化分解できなかったミスト状のダイオキシン類を前記吸着層の吸着剤により吸着除去することを特徴とする廃棄物処理炉の排ガス中ダイオキシン類除去方法。
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