JP4632374B2 - 水銀を含む焼却灰の水銀除去方法とその装置及び水銀を含む排ガスの処理装置 - Google Patents
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一方、金属形態の水銀である金属水銀は、煤煙及び他の粒子には固着せず、大気温度に近い温度であっても、気相中に残留する。800℃程度の高温下HClが共存する場合には、塩化第二水銀に移行するが200℃程度の低温では気相中に移行しない。よって、金属水銀を従来の電気集塵装置やバグフィルタなどの除塵装置で除去することは困難である。今回新たな知見として、水銀を含む物質が混入した焼却灰を乾燥した場合には排ガス中に金属水銀が多く含まれることが分かった。この金属水銀を効果的に除去する技術が必要である。
また、特許文献2に開示された発明では、焼却炉が必須であり、焼却ごみがないと成立しないので、設備容量が増大する。さらに、熱処理装置から排出された排ガスを各自処理しなければならず効率的ではない。
さらにまた、特許文献3に開示された発明では、灰を乾燥する乾燥機がないため、複数の焼却炉から得られた焼却灰を収集し、粉塵防止を図った湿灰の形で搬送してきても乾燥処理を行なうことができない。また灰処理した場合でもNOxを除去する触媒反応塔のようなNOx除去手段がない。
ここで、低温とは、100〜277℃(水の沸点から塩化第二水銀の融点)である。
さらに、前記水銀捕集手段が、灰乾燥機の排ガスライン若しくは灰溶融炉から排出される溶融排ガスを減温してなるHCl含有低温排ガスラインの後流側に設けられた活性炭含有集塵機若しくは吸着器であることを特徴とする。
このように、水銀捕集手段をHCl含有低温排ガスラインの後流側に設けることにより、HCl存在下金属水銀を活性炭上で酸化させ、吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着させ効率的に水銀を除去することができる。
前記第2の排ガス処理ラインでは二次燃焼後の排ガス中のCl系の塩を含む固形粒子を捕集する第1の集塵部と、消石灰と活性炭及び集塵部を保護する助剤が投入されている第2の集塵部とを直列に接続するとともに、前記Hgを含む排ガスを処理する第1のガス処理ラインを第1の集塵部と第2の集塵部の間の水の沸点から塩化第二水銀の融点の温度域に降温させた域に投入若しくは合流させたことを特徴とする。
これにより、廃棄物分別が適正になされていない等の理由により廃棄物中に水銀を含む場合であっても、水銀を効果的に除去することが可能となる。また、第1の集塵部までの排ガス処理設備の容量が小さいままで第2の集塵部以降の排ガス処理設備での排ガス処理容量を上昇させることで、排ガス中の水銀を処理することができる。更に第2の集塵部では活性炭によりダイオキシン等の有害物質を除去できる。また、SOxや水銀以外の重金属類も除去できる。
なお、前記Hgを含む排ガスを処理する第1のガス処理ラインは、一部を分割して減温塔や二次燃焼炉に導入させることもできる。
また、第1の集塵部若しくは第2の集塵部の本発明を構成する集塵部には、全て集塵部を保護する助剤が投入されている。また、以下に述べる集塵部については説明を省略する。
さらに、その洗煙塔の下流に排ガスを加熱する再加熱器が設けられ、更にその後段にNH3供給設備とその後段に触媒脱硝塔が設けられていることを特徴とする。
これにより、第2の集塵部で捕集できずに流れてしまった塩化第二水銀も除去することが可能となる。さらに金属水銀を除去するため第2の集塵部出口で存在させるHClを除去できる。洗煙塔の後段には、上流側より排ガスを昇温する再加熱器、NH3供給設備、触媒脱硝塔が設けられ、排ガスを200℃程度まで加熱した後NOxを除去することができる。ここでの触媒ではダイオキシンも除去することができる。
このように、バイパスラインを設けて灰溶融炉より排出された排ガスの少なくとも一部を第2の集塵部入口側に導入させることにより、第2の集塵部入口側における排ガス中のCl量を一定量確保することが可能となる。よって、金属水銀を塩化第二水銀へと反応させることができHgを含む排ガスを処理することができる。
また、Cl含有排ガスが溶融炉に投入される飛灰由来であるので、焼却炉を付設することなく溶融炉単独で運転することが可能となり、設備容量が大型にならない。
さらに、廃棄物分別が適正になされていない等の理由により廃棄物中に水銀を含む場合であっても、水銀を効果的に除去することが可能となる。また、溶融炉単独で運転することができるので、複数の焼却炉から得られた焼却灰の集約処理を行なうことができる。
また、第1の集塵部までの排ガス処理設備の容量が小さいままで第2の集塵部以降の排ガス処理設備での排ガス処理容量を上昇させることで、排ガス中の金属水銀を処理することができる。
さらにまた、前記第2の集塵部の後流側に、洗煙塔を設けることにより、第2の集塵部で捕集できずに流れてしまった塩化第二水銀も除去することが可能となる。
また、Hgを含む排ガス中にHClを添加する手段を設けることにより、積極的にHCl存在下金属水銀を活性炭上で酸化させ、吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着させることで、水銀が除去される。
図1は実施例1に係る水銀除去方法を示すフロー図、図2は実施例2に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図、図3は実施例3に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図、図4は実施例4に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図、図5は灰乾燥機に投入された灰の水銀揮発状態を示す図、図6は金属水銀の除去試験の結果を示す図、図7は実施例5に係る水銀を含む排ガスの処理装置を示す全体構成図である。
なお、本発明で用いる焼却灰として、主灰と飛灰の両方を用いることが可能であるが、ここでは主灰のみを用いる。この灰は、各ごみ焼却施設から収集されたものであるので、必然的に水分を含有して粉塵防止を図った湿灰の形で搬入される。
また、灰溶融炉に供給する灰は、上記灰乾燥機を用いて乾燥させた主灰と飛灰を混合した混合灰を用いた。
図5に示すように、主灰1kgに対して揮発した水銀量は、80℃では0.005mgであるのに対し、200℃では1.0mg、400℃では1.5mgであり、200℃以上になると揮発水銀量が増大する。また、揮発した水銀中に含まれる金属水銀の割合は、80℃では63%であるのに対し、200℃では99%であった。
よって、灰乾燥機から排出される排ガス中への水銀の揮散は100℃以上で起こり、水銀の形態は、金属水銀が多いことがわかった。
以上のことから、灰乾燥機から多く排出される金属水銀を、HCl存在下で活性炭に捕集させて除去する方法及び装置を、以下に述べる実施例に示した。
なお、以下に述べる本発明を構成する集塵機(バグフィルタ)には、全て集塵機を保護する助剤が投入されているが説明を省略する。
図5より、ここで排出されるHgは金属水銀が主である。このHg含有排ガス6を、100℃(水の沸点)〜277℃(塩化第二水銀の融点)の温度範囲に設定したHCl含有低温排ガス4の処理ラインに投入し、Hg含有排ガス6中に含まれたHgをHCl存在下噴霧された活性炭上で酸化させ吸着しやすい塩化物の形態で活性炭に吸着させ、Hg含有排ガス6とHCl含有低温排ガス4の合流部よりも後流側に備えられた集塵機2によって捕集される。なお、図示しないが、水銀捕集手段として吸着器を用いても好適に行なわれる。
図2に示した水銀を含む排ガスの処理装置は、Hgを含む乾燥排ガスラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスラインとで構成されている。Hgを含む乾燥排ガスラインは、灰乾燥機11と、灰乾燥機の後流側に設けられたバグフィルタ12と、誘引ファン22よりなる。また、灰溶融炉の排ガスラインは、主灰および飛灰を混合して投入する灰溶融炉13と、灰溶融炉13に付設された二次燃焼室14と、減温塔15と、バグフィルタ16よりなる。主灰はごみ焼却炉で発生する燃え殻、飛灰はごみ焼却炉の排ガス処理で捕集された塩類を多く含む灰である。その他の構成として、バグフィルタ16の後流に備えられたバグフィルタ17と、誘引ファン23と、洗煙塔18と、排ガス再加熱器19と、NH3注入設備と、触媒反応塔20と、煙突21とで構成されている。実線矢印は、排ガスの流れを示している。
なお、灰乾燥機11の熱源は別系統であり、化石燃料やバーナとする。
なお、湿灰を乾燥させることによって発生するおそれがあるダイオキシンは、活性炭33を噴霧してバグフィルタ12で除去することができる。
また、ここでは活性炭により、バグフィルタ12で除去しきれないダイオキシン等の有害物質についても除去することができる。
なおHg含有排ガス36は、一部を減温塔や二次燃焼炉に分割して導入することもできる。
なお、洗煙塔18は、スクラバ(排気ガス洗浄装置)を含む。
図3に示した金属水銀を含む排ガスの処理装置は、実施例2と同様に、Hgを含む乾燥排ガスラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスラインとで構成されている。Hgを含む乾燥排ガスラインは、灰乾燥機11と、灰乾燥機の後流側に設けられたバグフィルタ12と、誘引ファン22よりなる。また、灰溶融炉の排ガスラインは、灰溶融炉13と、灰溶融炉13に付設された二次燃焼室14と、減温塔15と、バグフィルタ16よりなる。その他の構成として、バグフィルタ16の後流に備えられたバグフィルタ17と、誘引ファン23と、洗煙塔18と、排ガス再加熱器19と、NH3注入設備と、触媒反応塔20と、煙突21とで構成されている。実線矢印は、排ガスの流れを示している。
なお、湿灰を乾燥させることによって発生するおそれがあるダイオキシンは、活性炭33を噴霧してバグフィルタ12で除去することができる。更に除去しきれないダイオキシンについてはバグフィルタ17でも除去できる。
なお、バイパス24を介して導入される排ガスは、バグフィルタ16で除塵されないので煤塵ごと導入されてしまうが、バグフィルタ17で除塵されるので煤塵による悪影響を考慮しなくて良い。
なおHg含有排ガス36は、一部を減温塔や二次燃焼炉に分割して導入することもできる。
図4に示した金属水銀を含む排ガスの処理装置は、実施例2と同様に、Hgを含む乾燥排ガスラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスラインとで構成されている。Hgを含む乾燥排ガスラインは、灰乾燥機11と、灰乾燥機の後流側に設けられたバグフィルタ12と、誘引ファン22よりなる。また、灰溶融炉の排ガスラインは、灰溶融炉13と、灰溶融炉13に付設された二次燃焼室14と、減温塔15と、バグフィルタ16よりなる。その他の構成として、バグフィルタ16の後流に備えられたバグフィルタ17と、誘引ファン23と、洗煙塔18と、排ガス再加熱器19と、NH3注入設備と、触媒反応塔20と、煙突21とで構成されている。実線矢印は、排ガスの流れを示している。
実施例2,3と異なる構成は、バグフィルタ16で消石灰34が噴霧されないことである。
なお、湿灰を乾燥させることによって発生するおそれがあるダイオキシンは、活性炭33を噴霧してバグフィルタ12で除去することができる。除去しきれないダイオキシンについてはバグフィルタ17でも除去できる。
ここで、実施例4ではバグフィルタ16で消石灰を噴霧せずに処理している。バグフィルタ16では、消石灰を噴霧しなくても集塵能力が劣ることはない。
また、バグフィルタ16から排出される排ガスは、金属水銀と十分に反応できる過剰量のHClが含まれていればいいので、消石灰でHClを除去してHCl量を調節するという操作を省略することができ装置を簡略化できる。なお、図示しないが、実施例3のバイパス24を設けた金属水銀を含む排ガスの処理装置でも、同様に消石灰34の噴霧を省略することができる。
以下、その後の排ガス処理は、実施例2,3と同様であるので省略する。実施例4においても、排ガス中の金属水銀を除去できるとともに、NOx処理、ダイオキシン除去も可能となる。
図7に示した金属水銀を含む排ガスの処理装置は、実施例2と同様に、Hgを含む乾燥排ガスラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスラインとで構成されている。Hgを含む乾燥排ガスラインは、灰乾燥機11と、灰乾燥機の後流側に設けられたバグフィルタ12と、誘引ファン22よりなる。また、灰溶融炉の排ガスラインは、灰溶融炉13と、灰溶融炉13に付設された二次燃焼室14と、減温塔15と、バグフィルタ16よりなる。その他の構成として、バグフィルタ16の後流に備えられたバグフィルタ17と、誘引ファン23と、洗煙塔18と、排ガス再加熱器19と、NH3注入設備と、触媒反応塔20と、煙突21とで構成されている。実線矢印は、排ガスの流れを示している。
実施例2〜4と異なる構成は、Hgを含む乾燥排ガスラインを減温塔15に接続し、冷却ガスとして用いることで、HCl含有ガスと水銀を300℃以上の高温下で合流することでガス中での塩化第二水銀化反応を促進し、さらに活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集することで水銀の除去効率を向上している。
図7には、図2でのHgを含む乾燥排ガスラインを減温塔15に接続し、冷却ガスとして用いた例を示したが、同様に図3、4でも冷却ガスとして用いることが可能である。
また、図示しないが、図2〜図4及び図7の金属水銀を含む排ガスの処理装置において、Hg含有排ガス36は、一部減温塔や二次燃焼炉に分割して導入することもできる。
2 集塵機
3 焼却灰
4 HCl含有低温排ガス
6、36 Hg含有排ガス
12 バグフィルタ(灰乾燥機側バグフィルタ)
13 灰溶融炉
16、17 バグフィルタ(灰溶融炉側バグフィルタ)
18 洗煙塔
20 触媒反応塔
21 煙突
Claims (12)
- 水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させた水銀含有排ガスを、水の沸点から塩化第二水銀の融点の温度域に降温させたHCl含有ガスラインに投入若しくは合流させ、該HCl含有ガスの投入若しくは合流により生成した塩化水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集することを特徴とする水銀を含む焼却灰の水銀除去方法。
- 水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して水銀を乾燥排ガス中に揮散させる水銀揮散手段と、該水銀揮散手段より得られた水銀含有排ガスを水の蒸発点から塩化第二水銀の融点の温度範囲に設定したHCl含有低温排ガスラインに投入若しくは合流して得られた塩化水銀を活性炭が投入された集塵機若しくは吸着器で捕集する水銀捕集手段とよりなることを特徴とする水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
- 前記水銀捕集手段が、灰溶融炉から排出される溶融排ガスを減温してなるHCl含有低温排ガスラインの後流側に設けられた活性炭含有集塵機若しくは吸着器であることを特徴とする請求項2記載の水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
- 前記水銀揮散手段は、水分を含有して粉塵防止を図った湿灰の形で搬入された水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させる湿灰乾燥手段である請求項2記載の焼却灰の水銀除去装置。
- 前記HCl含有ガスが、灰溶融炉から排出される溶融排ガスを減温してなるHCl含有低温排ガスであることを特徴とする請求項4記載の水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
- 前記灰溶融炉は二次燃焼室が付設され、還元性雰囲気で灰溶融して得られた熱分解ガスを二次燃焼室で二次燃焼してCl含有排ガスを排出する灰溶融炉であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1記載の水銀を含む焼却灰の水銀除去装置。
- 水銀を含む焼却灰を100℃以上に加熱して、水銀を乾燥排ガス中に揮散させる灰乾燥部と、前記揮散されたHgを含む排ガスを処理する第1の排ガス処理ラインと、Cl系の塩を含む灰を溶融する灰溶融炉の排ガスを処理する第2の排ガス処理ラインとを備え、
前記第2の排ガス処理ラインでは二次燃焼後の排ガス中のCl系の塩を含む固形粒子を捕集する第1の集塵部と、消石灰と活性炭及び集塵部を保護する助剤が投入されている第2の集塵部とを直列に接続するとともに、前記Hgを含む排ガスを処理する第1のガス処理ラインを第1の集塵部と第2の集塵部の間の水の沸点から塩化第二水銀の融点の温度域に降温させた域に投入若しくは合流させたことを特徴とする請求項2記載の焼却灰の水銀除去装置を含む排ガスの処理装置。 - 前記第2の集塵部の後流側に、洗煙塔が設けられていることを特徴とする請求項7記載の焼却灰の水銀除去装置を含む排ガスの処理装置。
- 前記洗煙塔の下流に排ガスを加熱する再加熱器が設けられ、更にその後段にNH3供給設備とその後段に触媒脱硝塔が設けられていることを特徴とする請求項8記載の焼却灰の水銀除去装置を含む排ガスの処理装置。
- 前記第1の集塵部に消石灰を投入若しくは添加したことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1記載の焼却灰の水銀除去装置を含む排ガスの処理装置。
- 前記第1の集塵部をバイパスするバイパスラインを設け、前記灰溶融炉より排出された排ガスの少なくとも一部を、前記バイパスラインを介して前記第2の集塵部入口側に導入させたことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1記載の焼却灰の水銀除去装置を含む排ガスの処理装置。
- 前記合流位置の上流側に位置する前記Hgを含む排ガスを処理する第1の排ガス処理ライン上に、前記Hgを含む排ガス中にHCl含有ガスを添加する手段を設けたことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1記載の焼却灰の水銀除去装置を含む排ガスの処理装置。
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