JP2017087099A - 廃棄物焼却における排ガス処理装置および排ガス処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 飛灰に含まれるダイオキシン類を除去し、重金属類の含有率を維持して、ダイオキシン類を含まない脱塩残渣物のリサイクルが容易となる排ガスの処理方法およびその装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、ボイラとエコノマイザーを備える焼却炉からの排ガスを処理する排ガス処理装置であって、ボイラおよびエコノマイザーの後流であって、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の第1段目の集塵手段およびダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流の第2段目の集塵手段とを有し、第2段目の集塵手段で捕集された集塵灰は焼却炉に再投入され、焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ボイラからのボイラ飛灰、エコノマイザーからのエコノマイザー飛灰および第1段目の集塵手段で捕集される飛灰の合計回収率が50%以上であることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明は、ボイラとエコノマイザーを備える焼却炉からの排ガスを処理する排ガス処理装置であって、ボイラおよびエコノマイザーの後流であって、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の第1段目の集塵手段およびダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流の第2段目の集塵手段とを有し、第2段目の集塵手段で捕集された集塵灰は焼却炉に再投入され、焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ボイラからのボイラ飛灰、エコノマイザーからのエコノマイザー飛灰および第1段目の集塵手段で捕集される飛灰の合計回収率が50%以上であることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、一般廃棄物あるいは産業廃棄物を焼却処理した際に発生する飛灰の処理に関し、排ガス中の飛灰に含まれるダイオキシン類を除去し、重金属類の含有率を維持して、脱塩残渣物のリサイクルを容易とする排ガス処理装置および排ガス処理方法に関する。
都市ごみや下水汚泥等の一般廃棄物または各種工場から排出される産業廃棄物は、減量化および無害化のために焼却により処理される。高温の燃焼ガスは、ボイラやエコノマイザーあるいは減温塔によって200〜170℃に冷却され、バグ集塵機や脱硝装置を通して、除塵の他、ダイオキシン類、HCl、SOx、NOxなどの有害成分が除かれ、クリーン化される。
クリーンに処理されたガスは、誘引通風機を介して煙突から排出される。一般にバグ集塵機手前で粒子状活性炭を吹き込み、ダイオキシン類を吸着させて焼却由来飛灰と共に回収される。
乾式脱塩方式の場合は、消石灰などのアルカリも同時に吹き込み、排ガス中の酸性ガス(HClやSOx)を中和反応によって固定化させて、脱塩残渣物として他の飛灰成分とともに回収される。
また、窒素酸化物についてはバグ集塵機の後流で、選択触媒還元脱硝(SCR)法による浄化が一般である。なお、近年ごみ発電が積極的に行われるようになり、熱エネルギーの損失低減のため、脱硝のための排ガスの再加熱が不要な乾式脱塩法の採用が多くなってきている。
したがって、乾式脱塩方式のごみ焼却施設から排出される飛灰には焼却由来飛灰の他に、ダイオキシン類の吸着のための活性炭と塩化水素など酸性ガスの除去のための消石灰等の大気汚染制御残渣物が含まれており、飛灰全体に対する大気汚染制御残渣物の質量割合は50〜70%を占めている。
特許文献1では、焼却炉から排出される排ガス中の飛灰を前段側集塵装置で集塵し、この集塵した飛灰と焼却主灰を混合・溶融して、その飛灰を山元還元に回し、前段側集塵装置の後流で活性炭を吹き込んでダイオキシン類を吸着し、その後でダイオキシン類を吸着した活性炭を飛灰とともに後段側集塵装置で集塵して、その集塵灰を、キレート・セメント固化装置を用いて安定化処理をする方法が開示されている。
また、特許文献2では、焼却炉から排出される燃焼排ガス中の飛灰を集塵機で捕集した後、この捕集された飛灰を灰固形化装置で固形化し、集塵機の後流で活性炭を吹き込んでダイオキシン類を吸着し、その後でダイオキシン類を吸着した活性炭を活性炭捕集用集塵機で捕集し、捕集されたダイオキシン類吸着活性炭を焼却炉に再投入して、ダイオキシン類を除去する方法が開示されている。
これらの方法により、廃棄物焼却における飛灰の無害化と一部の飛灰から重金属等のリサイクル処理を行っている。
特許文献1記載の方法においては、ダイオキシン類を吸着した活性炭を飛灰とともに後段側集塵装置で回収し、セメントやキレート剤などによる安定化処理が行われている。安定化処理を行った後の活性炭や飛灰は、通常埋め立て処分されることになるが、埋め立て処分場が枯渇しつつある状況で、これら処理対象物の更なる減量化が強く求められている。
また、前段側集塵装置で集塵された飛灰を焼却主灰と混合・溶融して、溶融飛灰を山元還元に回しているため溶融のための大掛かりな設備が必要となり、余分なコストが掛かっていた。
特許文献2記載の方法においては、ダイオキシン類を吸着した活性炭を活性炭捕集用集塵機で捕集し、焼却炉に再投入しているため吹き込んだ活性炭については減量化されているが、焼却炉から排出される燃焼排ガス中の飛灰は、集塵機で捕集されて灰固形化装置で固形化されるだけなので、引用文献1の場合と同じく、埋め立て処分場が枯渇しつつある状況で、これら処理対象物の更なる減量化が強く求められている。
飛灰には重金属類および塩類が混在し、さらにダイオキシン類を含むためにそのリサイクルは困難であり、かつその処理に高額のコストが掛かっている。
このような上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は飛灰に含まれるダイオキシン類を除去し、重金属類の含有率を維持して、ダイオキシン類を含まない脱塩残渣物のリサイクルが容易となる排ガスの処理方法およびその装置を提供する。
本発明者は、このような上記従来技術の問題点に鑑み、飛灰に含まれるダイオキシン類を除去し、重金属類やダイオキシン類を含まない脱塩残渣物のリサイクルが容易となる排ガスの処理装置およびその方法を完成するに至った。
都市ごみや有機汚泥などの焼却炉1にて発生した一部の焼却由来飛灰は、ボイラやエコノマイザーなどの伝熱面に堆積するため、周期的にスートブローやハンマリングなどによって払い落とされ、ボイラ飛灰6やエコノマイザー飛灰7として回収される。その量は全焼却由来飛灰の30〜50%を占める。残りの焼却由来飛灰は、ダイオキシン類を吸着した活性炭と共にバグ灰9として回収される。
ダイオキシン類を無害化するためにバグ灰9を焼却炉に再投入すると、焼却由来飛灰もバグ灰に含まれるため、焼却炉内の焼却由来飛灰濃度が増加する。
例えば、図1に示す排ガス処理装置の構成において、最初に焼却炉で発生する焼却飛灰を1とし、ボイラ、エコノマイザーおよびサイクロンで捕集されない飛灰をXとすると、焼却炉内の飛灰の濃度は下記式のような無限級数となる。
焼却炉内の飛灰の濃度=1+X+X2+X3+・・・
この無限級数は、1/(1-X)となるので、焼却炉内の飛灰の濃度は、1/(1-X)となり、結局、ボイラ、エコノマイザーおよびサイクロンによる回収率である(1-X)の逆数となる。
焼却炉内の飛灰の濃度=1+X+X2+X3+・・・
この無限級数は、1/(1-X)となるので、焼却炉内の飛灰の濃度は、1/(1-X)となり、結局、ボイラ、エコノマイザーおよびサイクロンによる回収率である(1-X)の逆数となる。
仮にサイクロンが設置されておらず、ボイラ飛灰6およびエコノマイザー飛灰7として40%の飛灰が分離回収されるのみであったとすると、焼却炉内の飛灰の濃度は、1/0.4となり、その値は2.5で、焼却由来飛灰の濃度は再投入前の2.5倍になる。
これは、伝熱面へ堆積する飛灰の除去を目的としたスートブローやハンマリングの頻度を上げる必要があるほか、炉壁へのクリンカの付着や輻射量の増加に伴い耐火煉瓦の温度上昇の原因となるため、再投入による弊害も大きく、飛灰中の重金属類の含有率の低下を招き、リサイクルの障害となってしまう。
そこで、エコノマイザーの後流で、かつ活性炭を吹き込む手前の位置にサイクロン4を設置し、サイクロン飛灰8として焼却由来飛灰の回収を行い、ボイラ飛灰6とエコノマイザー飛灰7と合わせて50%以上の焼却由来飛灰を回収できれば、再投入による焼却由来飛灰の濃度の増加を抑えることができる。
例えば60%の回収率であれば、再投入後の濃度を再投入前の約1.7倍に抑えることができる。70%の回収率なら約1.4倍に、80%の回収率なら1.25倍に、90%の回収率なら約1.1倍に抑えることができる。この程度の焼却由来飛灰濃度の増加であれば、再投入を行わない場合とほぼ変わらない燃焼状態を保った上で、飛灰中のダイオキシン類の排出を阻止できる。
第1発明の排ガス処理装置は、ボイラとエコノマイザーを備える焼却炉からの排ガスを処理する排ガス処理装置であって、ボイラおよびエコノマイザーの後流であって、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の第1段目の集塵手段およびダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流の第2段目の集塵手段とを有し、第2段目の集塵手段で捕集された集塵灰は焼却炉に再投入され、焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ボイラからのボイラ飛灰、エコノマイザーからのエコノマイザー飛灰および第1段目の集塵手段で捕集される飛灰の合計回収率が50%以上であることを特徴とする。
ここで、第1段目および第2段目の集塵手段としてサイクロンやバグ集塵機等があり、集塵機は単数でも2以上であってもよい。
第2発明の排ガス処理装置は、ボイラとエコノマイザーを備える焼却炉からの排ガスを処理する排ガス処理装置であって、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流の集塵手段および該集塵手段で捕集された集塵灰を、ダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰とダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰とに分級する分級手段とを有し、ダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰は焼却炉に再投入され、焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ボイラからのボイラ飛灰、エコノマイザーからのエコノマイザー飛灰および分級手段で分級されるダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰の合計回収率が50%以上であることを特徴とする。
第3発明の排ガス処理装置は、第1発明の第2段目の集塵手段の後流または第2発明の集塵手段の後流にさらに脱塩手段を備えることを特徴とする。
第4発明の排ガス処理装置は、第1発明の排ガス処理装置に、さらに、第2段目の集塵手段で捕集された集塵灰をダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰とダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰とに分級する分級手段とを有し、ダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰は焼却炉に再投入され、焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ボイラからのボイラ飛灰、エコノマイザーからのエコノマイザー飛灰、第1段目の集塵手段で捕集される飛灰および分級手段で分級されるダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰の合計回収率が50%以上であることを特徴とする。
第5発明の排ガス処理装置は、第1〜4発明のいずれかの排ガス処理装置であって、焼却炉に再投入される集塵灰が焼却主灰と混ざらないように焼却炉に再投入されることを特徴とする。
第6発明の排ガス処理方法は、焼却炉からの排ガスを処理する方法であって、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の飛灰を捕集する工程と、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流で捕集した集塵灰を焼却炉に再投入する工程とを有し、焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の飛灰の回収率が50%以上であることを特徴とする。
第7発明の排ガス処理方法は、焼却炉からの排ガスを処理する方法であって、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の飛灰を捕集する工程と、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流で集塵する工程と、該集塵された集塵灰をダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰とダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰とに分級する工程と、ダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰を焼却炉に再投入する工程とを有し、焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の飛灰および分級手段で分級されるダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰の合計回収率が50%以上であることを特徴とする。
第8発明の排ガス処理方法は、第6発明または第7発明の排ガス処理方法に、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流で集塵された後の排ガスをさらに脱塩処理をする工程を有することを特徴とする。
第9発明の排ガス処理方法は、第6発明の排ガス処理方法に、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流で捕集した集塵灰をダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰とダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰とに分級する工程と、ダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰を焼却炉に再投入する工程とを有し、焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の飛灰および分級されるダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰の合計回収率が50%以上であることを特徴とする。
第10発明の排ガス処理方法は、第6〜9発明のいずれかの排ガス処理方法であって、焼却炉に再投入する集塵灰を焼却主灰と混ざらないように焼却炉に再投入することを特徴とする。
回収されたボイラ飛灰、エコノマイザー飛灰、および第1段目の集塵手段で集塵された飛灰は大気汚染制御残渣物を含まないことから、従来の飛灰に比べて重金属成分濃度が高く、排出量も従来の飛灰排出量の30〜50%となる。
したがって、山元還元によるリサイクルでは、その輸送コストを削減できる。また、既設のごみ焼却施設においてボイラ飛灰およびエコノマイザー飛灰のダイオキシン類濃度は非常に低いことが確認されている。A工場では、ボイラ飛灰32pg/g、エコノマイザー飛灰32pg/gで、B工場では、ボイラ飛灰150pg/g、エコノマイザー飛灰610pg/gであり、本発明の第1段目の集塵手段で集塵された飛灰もダイオキシン濃度はボイラ飛灰やエコノマイザー飛灰と同レベルであるので、管理上の制約が緩和されるほか、リサイクル時の前処理が不要など、処理コストの削減に寄与することができる。
また、活性炭用バグ集塵機の後流で脱塩処理を行うことにより、脱塩残渣がダイオキシン類をほとんど含まないことから、乾式脱塩の場合は、工業塩や融雪剤へのリサイクルが容易であるほか、湿式脱塩の場合は、脱塩助剤を再生することによってクローズド化された脱塩システムの構築や次亜塩素酸などの有価物へのリサイクルを促進できる。
第1発明および第6発明によれば、飛灰の排出量を抑え、飛灰中のダイオキシン類の濃度が非常に低いため飛灰のリサイクル時の前処理が不要となり、処理コストの削減に寄与できる。
第2発明および第7発明によれば、飛灰の排出量を抑え、飛灰中のダイオキシン類の濃度が非常に低いため飛灰のリサイクル時の前処理が不要となり、処理コストの削減に寄与でき、第1段目の集塵手段を不要とすることができる。
第3発明および第8発明によれば、飛灰の排出量を抑え、飛灰中のダイオキシン類の濃度が非常に低いため飛灰のリサイクル時の前処理が不要となり、処理コストの削減に寄与でき、かつ、脱塩残渣がダイオキシン類をほとんど含まないことから、乾式脱塩の場合は、工業塩や融雪剤へのリサイクルが容易であるほか、湿式脱塩の場合は、脱塩助剤を再生することによってクローズド化された脱塩システムの構築や次亜塩素酸などの有価物へのリサイクルを促進できる。
第4発明および第9発明によれば、第1発明および第6発明に比べてさらに飛灰の排出量を抑えることができ、飛灰中のダイオキシン類の濃度が非常に低いため飛灰のリサイクル時の前処理が不要となり、処理コストの削減に寄与できる。
第5発明および第10発明によれば、焼却炉に再投入される集塵灰が焼却主灰と混ざらないため、焼却主灰の処分が容易となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
比較例1(従来例)
図5は、通常用いられる焼却炉における排ガスの処理を示している。
図5は、通常用いられる焼却炉における排ガスの処理を示している。
ごみピットに集積されたごみは、ごみクレーンによってストーカ式焼却炉に投入され、焼却処理がなされる。焼却炉で発生した排ガスは、ボイラおよび過熱器を通って低温エコノマイザーまたは減温塔(減温器ともいう)を通った後に、バグフィルタ(バグ集塵機ともいう)等の集塵機にかけられ、飛灰と通過ガスにわけられて、飛灰は処分に回され、通過ガスは脱塩装置(例えば、湿式洗煙塔等)にかけられる。
脱塩装置を通過したガスは、脱硝装置(例えば、触媒脱硝塔等)にかけられ、脱硝装置を通過したガスは、誘引通風機で煙突から大気中に排出される。
実施例1
図1は、本実施例1に係る排ガス処理の全体構成図であり乾式脱塩方式を有する場合である。都市ごみ、汚泥、産業廃棄物等のごみ32は、ストーカ式焼却炉1にて焼却処理される。本実施例では、一例としてストーカ式焼却炉1につき記載したが、これに限定されるものではなく、流動床式焼却炉、回転キルン式焼却炉等、他の焼却炉であっても良い。
図1は、本実施例1に係る排ガス処理の全体構成図であり乾式脱塩方式を有する場合である。都市ごみ、汚泥、産業廃棄物等のごみ32は、ストーカ式焼却炉1にて焼却処理される。本実施例では、一例としてストーカ式焼却炉1につき記載したが、これに限定されるものではなく、流動床式焼却炉、回転キルン式焼却炉等、他の焼却炉であっても良い。
焼却炉1から排出された排ガスは、ボイラ2やエコノマイザー3などの熱交換器を経由して第1段目の集塵手段4(本実施例ではサイクロン)に導かれる。排ガス中の焼却由来飛灰の一部は、ボイラ2およびエコノマイザー3の伝熱面に堆積した後、スートブローやハンマリングなどによって払い落とされ、それぞれボイラ飛灰6およびエコノマイザー飛灰7として排ガスから分離・回収される。第1段目の集塵手段4では、ボイラ2およびエコノマイザー3で分離・回収されなかった焼却由来飛灰のうち、さらに一部の飛灰8が捕集される。第1段目の集塵手段4で捕集された飛灰8は、ボイラ飛灰6やエコノマイザー飛灰7と共に回収され、山元還元やセメント原料などに再利用される。
その後、排ガス中にダイオキシン類吸着剤5(本実施例では活性炭)を吹き込み、サイクロン4で分離・回収されなかった焼却由来飛灰とともに、ダイオキシン類を吸着した活性炭を第2段目の集塵手段10(本実施例ではバグ集塵機)で捕集された集塵灰9(バグ灰)として回収する。活性炭の代わりに、活性コークスなどダイオキシン類の吸着効果を有する物質を吹き込んでも良い。
ダイオキシン類を無害化するために、この集塵灰9は焼却炉に再投入される。図1ではごみ投入口に再投入されるが、2次空気供給口など主灰と混合することがない位置に再投入して、主灰が特別管理廃棄物の扱いとならないようにすることも有益である。
排ガスはバグ集塵機10の後流で脱塩処理のため、消石灰などのアルカリ性の脱塩剤20を投入し、排ガス中の塩酸ガスと反応させて、塩として脱塩のための集塵手段23(本実施例ではバグ集塵機)によって回収する。
その後、誘引通風機30を介して煙突31から排ガスが排出される。なお、必要に応じて選択触媒還元脱硝(SCR)装置が設置される場合があるが、近年は低空気比燃焼とNSCR(無触媒脱硝)により、十分な脱硝効果が得られるため、この場合選択触媒還元脱硝装置は設置しなくても良い。
実施例2
図2は、本実施例2に係る排ガス処理の全体構成図であり乾式脱塩方式を有する場合である。焼却炉1から排出された排ガスは、ボイラ2やエコノマイザー3などの熱交換器を経由して第1段目の集塵手段14(本実施例ではバグ集塵機)に導かれる。排ガス中の焼却由来飛灰の一部は、ボイラ2およびエコノマイザー3の伝熱面に堆積した後、スートブローやハンマリングなどによって払い落とされ、それぞれボイラ飛灰6およびエコノマイザー飛灰7として排ガスから分離・回収される。第1段目の集塵手段14では、ボイラ2およびエコノマイザー3で分離・回収されなかった焼却由来飛灰のうち、さらに一部の飛灰8が捕集される。第1段目の集塵手段14で捕集された飛灰8は、ボイラ飛灰6やエコノマイザー飛灰7と共に回収され、山元還元やセメント原料などに再利用される。
図2は、本実施例2に係る排ガス処理の全体構成図であり乾式脱塩方式を有する場合である。焼却炉1から排出された排ガスは、ボイラ2やエコノマイザー3などの熱交換器を経由して第1段目の集塵手段14(本実施例ではバグ集塵機)に導かれる。排ガス中の焼却由来飛灰の一部は、ボイラ2およびエコノマイザー3の伝熱面に堆積した後、スートブローやハンマリングなどによって払い落とされ、それぞれボイラ飛灰6およびエコノマイザー飛灰7として排ガスから分離・回収される。第1段目の集塵手段14では、ボイラ2およびエコノマイザー3で分離・回収されなかった焼却由来飛灰のうち、さらに一部の飛灰8が捕集される。第1段目の集塵手段14で捕集された飛灰8は、ボイラ飛灰6やエコノマイザー飛灰7と共に回収され、山元還元やセメント原料などに再利用される。
その後、排ガス中にダイオキシン類吸着剤5(本実施例では活性炭)を吹き込み、ダイオキシン類を吸着した活性炭が第2段目の集塵手段10(本実施例ではバグ集塵機)で捕集された集塵灰9として回収される。活性炭5の代わりに、活性コークスなどダイオキシン類の吸着効果を有する物質を吹き込んでも良い。
ダイオキシン類を無害化するために、この集塵灰9は焼却炉に再投入される。図2ではごみ投入口に再投入されるが、2次空気供給口など主灰と混合することがない位置に再投入して、主灰が特別管理廃棄物の扱いとならないようにすることも有益である。
排ガスはバグ集塵機10の後流で脱塩処理のため、消石灰などのアルカリ性の脱塩剤20を投入し、排ガス中の塩酸ガスと反応させて、塩として脱塩のための集塵手段23(本実施例ではバグ集塵機)によって回収する。
その後、誘引通風機30を介して煙突31から排ガスが排出される。なお、必要に応じて選択触媒還元脱硝(SCR)装置が設置される場合があるが、近年は低空気比燃焼とNSCR(無触媒脱硝)により、十分な脱硝効果が得られるため、この場合選択触媒還元脱硝装置は設置しなくても良い。
実施例3
図3は、本実施例3に係る排ガス処理の全体構成図であり乾式脱塩方式を有する場合である。焼却炉1から排出された排ガスは、ボイラ2やエコノマイザー3などの熱交換器を経由して、ダイオキシン類吸着剤5(本実施例では活性炭)が吹き込まれた後、集塵手段15(本実施例ではバグ集塵機)に導かれる。集塵手段15では、ボイラ2やエコノマイザー3で分離・回収されなかった焼却由来飛灰とともに、ダイオキシン類を吸着した活性炭が集塵灰16として捕集される。
図3は、本実施例3に係る排ガス処理の全体構成図であり乾式脱塩方式を有する場合である。焼却炉1から排出された排ガスは、ボイラ2やエコノマイザー3などの熱交換器を経由して、ダイオキシン類吸着剤5(本実施例では活性炭)が吹き込まれた後、集塵手段15(本実施例ではバグ集塵機)に導かれる。集塵手段15では、ボイラ2やエコノマイザー3で分離・回収されなかった焼却由来飛灰とともに、ダイオキシン類を吸着した活性炭が集塵灰16として捕集される。
集塵灰16は分級手段11(本実施例では分級機)によって焼却由来飛灰13と活性炭12に分離され、活性炭12はダイオキシン類を無害化するために、焼却炉に再投入される。一般に活性炭と焼却由来飛灰では粒子径や密度が異なるため、ふるいによる分級や遠心力を用いた分級が可能である。また、図3ではごみ投入口に再投入されるが、2次空気供給口など主灰と混合することがない位置に再投入して、主灰が特別管理廃棄物の扱いとならないようにすることも有益である。
ダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰13(焼却由来飛灰)はボイラ飛灰6やエコノマイザー飛灰7と共に回収され、山元還元やセメント原料などに再利用される。活性炭5の代わりに、活性コークスなどダイオキシン類の吸着効果を有する物質を吹き込んでも良い。
排ガスは集塵手段15の後流で脱塩処理のため、消石灰などのアルカリ性の脱塩剤20を投入し、排ガス中の塩酸ガスと反応させて、塩として脱塩のための集塵手段23(本実施例ではバグ集塵機)によって回収する。
その後、誘引通風機30を介して煙突31から排ガスが排出される。なお、必要に応じて選択触媒還元脱硝(SCR)装置が設置される場合があるが、近年は低空気比燃焼とNSCR(無触媒脱硝)により、十分な脱硝効果が得られるため、この場合選択触媒還元脱硝装置は設置しなくても良い。
実施例4
図4は本実施例4に係る灰処理の全体構成図である。焼却由来飛灰の回収とダイオキシン類の無害化のための構成は図1のサイクロン4とバグ集塵機10を用いる場合と同じであり、排ガスの脱塩を湿式脱塩方式とする場合の実施例である。
図4は本実施例4に係る灰処理の全体構成図である。焼却由来飛灰の回収とダイオキシン類の無害化のための構成は図1のサイクロン4とバグ集塵機10を用いる場合と同じであり、排ガスの脱塩を湿式脱塩方式とする場合の実施例である。
排ガスはバグ集塵機10の後流で脱塩処理のため、湿式洗煙塔21で脱塩溶液(水酸化ナトリウムなどのアルカリ性の脱塩剤20の水溶液)によって中和される。その後、誘引通風機30を介して煙突31から排ガスが排出される。
この脱塩溶液は、ダイオキシン類や飛灰成分を含んでいないことから、電気分解によって脱塩剤に再生できるほか、消毒剤である次亜塩素酸等の有価物へのリサイクルが容易である。脱塩剤に再生する場合はクローズド化された脱塩システムを構築することが可能となる。なお、必要に応じて選択触媒還元脱硝(SCR)装置が設置される場合があるが、近年は低空気比燃焼と無触媒脱硝(NSCR)法により、十分な脱硝効果が得られるため、選択触媒還元脱硝装置は設置しなくても良い。この場合、排ガスの再加熱が不要であることから、ごみ発電などによるエネルギーの回収の損失とはならない。
図4に示した湿式脱塩方式は、図2または図3に示す脱塩のための集塵手段23にも有効である。
飛灰に含まれるダイオキシン類を除去し、飛灰中の重金属類の含有率を維持して経済的リサイクルが可能となり、ダイオキシン類を含まない脱塩残渣物のリサイクルも容易となるので利用価値が高い。
1:焼却炉
2:ボイラ
3:エコノマイザー
4、14:第1段目の集塵手段
5:ダイオキシン類吸着剤
6:ボイラ飛灰
7:エコノマイザー飛灰
8:第1段目の集塵手段で捕集された飛灰
9:第2段目の集塵手段で捕集された集塵灰
10:第2段目の集塵手段
11:分級手段
13:ダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰
15:集塵手段
16:集塵手段で捕集された集塵灰
20:脱塩剤
21:湿式洗煙塔
23:脱塩のための集塵手段
30:誘引通風機
31:煙突
32:ごみ
2:ボイラ
3:エコノマイザー
4、14:第1段目の集塵手段
5:ダイオキシン類吸着剤
6:ボイラ飛灰
7:エコノマイザー飛灰
8:第1段目の集塵手段で捕集された飛灰
9:第2段目の集塵手段で捕集された集塵灰
10:第2段目の集塵手段
11:分級手段
13:ダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰
15:集塵手段
16:集塵手段で捕集された集塵灰
20:脱塩剤
21:湿式洗煙塔
23:脱塩のための集塵手段
30:誘引通風機
31:煙突
32:ごみ
Claims (10)
- ボイラとエコノマイザーを備える焼却炉からの排ガスを処理する排ガス処理装置であって、
ボイラおよびエコノマイザーの後流であって、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の第1段目の集塵手段およびダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流の第2段目の集塵手段とを有し、
第2段目の集塵手段で捕集された集塵灰は焼却炉に再投入され、
焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ボイラからのボイラ飛灰、エコノマイザーからのエコノマイザー飛灰および第1段目の集塵手段で捕集される飛灰の合計回収率が50%以上であることを特徴とする排ガス処理装置。 - ボイラとエコノマイザーを備える焼却炉からの排ガスを処理する排ガス処理装置であって、
ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流の集塵手段および該集塵手段で捕集された集塵灰を、ダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰とダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰とに分級する分級手段とを有し、
ダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰は焼却炉に再投入され、
焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ボイラからのボイラ飛灰、エコノマイザーからのエコノマイザー飛灰および分級手段で分級されるダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰の合計回収率が50%以上であることを特徴とする排ガス処理装置。 - 請求項1の第2段目の集塵手段の後流または請求項2の集塵手段の後流にさらに脱塩手段を備える排ガス処理装置。
- 請求項1の排ガス処理装置に、さらに、第2段目の集塵手段で捕集された集塵灰をダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰とダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰とに分級する分級手段とを有し、
ダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰は焼却炉に再投入され、
焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ボイラからのボイラ飛灰、エコノマイザーからのエコノマイザー飛灰、第1段目の集塵手段で捕集される飛灰および分級手段で分級されるダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰の合計回収率が50%以上であることを特徴とする排ガス処理装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の排ガス処理装置であって、焼却炉に再投入される集塵灰が焼却主灰と混ざらないように焼却炉に再投入されることを特徴とする排ガス処理装置。
- 焼却炉からの排ガスを処理する方法であって、
ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の飛灰を捕集する工程と、
ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流で捕集した集塵灰を焼却炉に再投入する工程とを有し、
焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の飛灰の回収率が50%以上であることを特徴とする排ガス処理方法。 - 焼却炉からの排ガスを処理する方法であって、
ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の飛灰を捕集する工程と、
ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流で集塵する工程と、
該集塵された集塵灰をダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰とダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰とに分級する工程と、
ダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰を焼却炉に再投入する工程とを有し、
焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の飛灰および分級手段で分級されるダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰の合計回収率が50%以上であることを特徴とする排ガス処理方法。 - 請求項6または請求項7の排ガス処理方法に、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流で集塵された後の排ガスをさらに脱塩処理をする工程を有する排ガス処理方法。
- 請求項6の排ガス処理方法に、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より後流で捕集した集塵灰をダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰とダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰とに分級する工程と、
ダイオキシン類吸着剤由来の集塵灰を焼却炉に再投入する工程とを有し、
焼却炉で発生した焼却由来飛灰に対する、ダイオキシン類吸着剤吹き込み位置より上流の飛灰および分級されるダイオキシン類吸着剤由来以外の飛灰の合計回収率が50%以上であることを特徴とする排ガス処理方法。 - 請求項6〜9のいずれか1項に記載の排ガス処理方法であって、焼却炉に再投入する集塵灰を焼却主灰と混ざらないように焼却炉に再投入することを特徴とする排ガス処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015216664A JP2017087099A (ja) | 2015-11-04 | 2015-11-04 | 廃棄物焼却における排ガス処理装置および排ガス処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015216664A JP2017087099A (ja) | 2015-11-04 | 2015-11-04 | 廃棄物焼却における排ガス処理装置および排ガス処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017087099A true JP2017087099A (ja) | 2017-05-25 |
Family
ID=58769869
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015216664A Pending JP2017087099A (ja) | 2015-11-04 | 2015-11-04 | 廃棄物焼却における排ガス処理装置および排ガス処理方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017087099A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019027672A (ja) * | 2017-07-31 | 2019-02-21 | 日立造船株式会社 | 燃焼排ガスの処理装置 |
CN113262602A (zh) * | 2021-06-03 | 2021-08-17 | 北京基亚特环保科技有限公司 | 一种垃圾焚烧烟气处理装置 |
CN118106328A (zh) * | 2024-03-10 | 2024-05-31 | 浙江大学 | 一种垃圾焚烧飞灰多级过滤及分级资源化利用系统及方法 |
-
2015
- 2015-11-04 JP JP2015216664A patent/JP2017087099A/ja active Pending
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