JP2008128539A - クロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置及びこれを用いたクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法 - Google Patents

クロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置及びこれを用いたクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 クロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置において、燃焼装置から排出される灰や飛灰に処理用薬剤を添加することなしに、燃料の燃焼条件や飛灰の捕集条件を制御することにより、有害な6価クロムやダイオキシン等が生成されるのを仰制する。
【解決手段】 燃焼装置本体内でクロムを含有する有機物燃料を還元燃焼させ、還元燃焼により生じた未燃ガス中のダストを高温フィルタ装置で捕集すると共に捕集した高温ダストを急冷却して外部へ排出させ、更に前記ダストを除去した後の未燃ガスを完全燃焼させることにより、燃料中の3価クロムの6価クロムへの転化及び熱分解後のダイオキシンの再合成を防止する。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、クロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置及びこれを用いたクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法に関するものであり、有機物燃料の燃焼により生じた未燃ガス内のダスト類の捕集及び捕集したダスト類の冷却条件等の制御により、薬剤等を一切添加することなしに燃料中の3価クロムの6価クロムへの転化及び捕集ダスト内における熱分解後のダイオキシン類など有機塩素化合物の再合成を防止するようにした有機物を燃料とする燃焼装置と有機物燃料の燃焼方法に関するものである。
バガスや廃木材等の木質バイオマスは、所謂バイオマスエネルギーの有効利用を図ると云う観点からエネルギー源として注目されている。しかし、木質バイオマスを燃料とするボイラ等の燃焼装置や木質バイオマスを含んだ廃棄物の焼却炉から排出された燃焼残渣は、有害物質である6価クロムを含む場合が多くあり、環境保全を図る上で様々な問題が起生する。
図2は、従前のこの種木質バイオマスを燃料とする流動層式燃焼装置の一例を示すものであり、図2において、21は流動層炉本体、22は流動層部(還元ゾーン)、23はフリーボード部(酸化ゾーン)、24はボイラ部、25は燃料供給装置、26は節炭器、27はマルチサイクロン、28はバグフィルタ、29は燃焼用空気供給ファン、30は誘引ファン、31は煙突、A1は1次空気、A2は2次空気である。
流動層炉本体21の流動層部22へ供給された木質バイオマス(以下、燃料と呼ぶ)は、1次空気A1の供給により流動層が形成されている流動層部(還元ゾーン)22で所謂流動層燃焼(還元燃焼)されたあと、フリーボード部(酸化ゾーン)23で2次空気A2を供給することにより2次燃焼される。
フリーボード部23からの燃焼排ガスGはボイラ部24や節炭器26で熱回収をされたあと、マルチサイクロン27、バクフィルタ28等で飛灰の除去や浄化処理を行ったあと、大気中へ放散されて行く。
前記ボイラ部24やマルチサイクロン27、バグフィルタ28等で回収されたボイラ飛灰には、使用する燃料によって前述の如く有害な重金属類が含まれる場合がある。特に、木質バイオマス燃料中に比較的安全な3価クロムの形態で含有されているクロムが、燃焼により酸化されて有害な6価クロムに転化されることが判明しているが、この転化された6価クロムは、バフフィルタ28で捕集された飛灰中に比較的多く含まれていることになる。例えば、バグフィルタ28で捕集されたボイラ飛灰1kg内の全クロム重量を20〜200mgとすると、その内の15〜60%が6価クロムであることが判明している。
而して、従前の木質バイオマスを燃料とする燃焼装置や燃焼処理炉では、排出された燃焼残渣や飛灰に薬剤を添加することにより、6価クロムやその他の有害な重金属類を処理する方法が主として用いられており、例えば特許第3676768号、特開2005−336128号、特開2005−334730号、特開2005−296731号等の技術が開示されている。また、前記各技術の他に、6価クロムを含む木材の資源化を図る技術(特開2005−199112号)や廃棄物の燃焼制御によって6価クロムの生成を抑制する技術(特開2005−321182号等)が開示されている。
例えば、特許第3676768号では、6価クロム等有害重金属を含む焼却灰を酸化カルシウムや酸化マグネシウム及びそれ等の前駆物質から成る群から選ばれた少なくとも一種のアルカリ性物質の存在下で、酸素含有率1.5%以上及び温度600〜1000℃の第1反応域と、酸素含有率が1.5%以下及び温度が500〜1000℃の第2反応域との両高温域で2回反応させることにより、灰を無害化するようにしている。しかし、この発明は、焼却灰を600〜1000℃と500〜1000℃の両高温域で2回反応させることにより無害化するものであるため、エネルギー消費が大きく、しかも、各反応域間の縁切りが必要なため、設備が複雑化する。また、第2反応域では窒素ガスの吹込みを必要とし、エネルギー消費が増大すると云う難点がある。
同様に、特開2005−296731号や特開2005−334730号では、6価クロムを含む焼却灰(飛灰)を硫酸第一鉄(還元剤)を用いて還元処理することにより、また、特開2005−336128号では、6価クロム等有害重金属を含む飛灰にキレート剤を混練して固化させることにより、焼却灰(飛灰)を夫々無害化するようにしている。しかし、前者にあっては、薬剤(還元剤)を必要とするうえ、処理後の焼却灰は埋立廃棄を必要とし、灰の有効利用が図れないと云う問題がある。また、後者には、キレートへの封じ込めの長期安定性の点に問題があり、結果として、灰の有効利用が阻害されると云う難点がある。
一方、上述の如き薬剤を用いた処理上の問題を解決するものとして、6価クロムを含む木材そのものを安全な燃料資源に転換する技術(特開2005−199112号等)や6価クロムの生成を抑制するようにした廃棄物の燃焼制御方法(特開2005−321182号等)の開発が進められている。
即ち、前者の特開2005−199112号では、銅、クロム、砒素(CCA処理剤)等の重金属類を含む廃木材に消石灰を添加し、還元雰囲気下で加熱して無害な炭化物を生成することにより、炭として再資源化するようにしたものである。
しかし、廃木材を無害な炭に転換するには相当の処理費用が掛かり、低価格の輸入木炭に経済性の点で太刀打ち出来ないうえ、廃木材から生成した木炭に対しては、需要そのものが極めて少ないという問題がある。
また、後者の特開2005−321182号では、ストーカ式ごみ燃焼炉における一般廃棄物の燃焼方法に改良を加えることにより、廃棄物内に含まれている無害な3価クロム化合物から有害な6価クロム化合物が燃焼中に生成されるのを抑制するようにしている。
即ち、廃棄物(燃料)中に多く含有されている3価クロムは、高温雰囲気に長時間晒されることにより、有害な6価クロムに酸化されることが判っている。
そのため、予め実験により、6価クロム溶出値と燃焼時のストーカ上のごみ層の温度及び時間との関係を調査することにより、図3に示す如き特性グラフを作成する。そして、ストーカ式燃焼炉の運転に際しては、ごみ層内温度の時間積分値が、図3の6価クロム溶出値の許容基準値に対応する値以下となるように、ごみ投入量、ごみ移送速度及び一次空気供給量の中の何れか一つ以上を調整構成としたものである。
尚、上記焼却灰内の6価クロム溶出値の基準値は、所謂環境庁告示第13号規定に基づく値である。
上記特開2005−321182号の技術は、ストーカ上の廃棄物層内温度の検出値を制御の基準とするものであるため、廃棄物層内温度の正確且つ安定した検出が不可欠となる。
しかし、ストーカ上の廃棄物は、現実にはストーカ上を複雑な運動を行いつつ下流へ向って移動するうえ、ごみ層厚さ自体もごみ質に応じて大きく変動するため、廃棄物の層内温度を正確に検出することは著しく困難である。その結果、6価クロムの生成をほぼ完全に基準値以下に制御した状態でストーカ式焼却炉を安定運転することは、著しく困難なことであり、現実には不可能に近いと云う問題がある。
特許第3676768号公報 特開2005−296731号公報 特開2005−334730号公報 特開2005−336128号公報 特開2005−199112号公報 特開2005−321182号公報
本発明は、従前のこの種木質バイオマスを燃料とする焼却炉や燃焼装置等から排出される燃焼残渣の無害化処理、特に飛灰中に含まれる有害な6価クロムの処理に於ける上述の如き問題、即ち(イ)薬剤を使用して燃焼残渣を処理する方法にあっては、処理コストやエネルギー消費が増大するだけでなく、灰の有効利用が困難なこと、(ロ)廃木材等を炭化させることにより無害化する方法は、経済性に欠けて実用的でないこと、(ハ)木質バイオマス燃料の燃焼方法自体に改良を加えることにより6価クロムを含む重金属類の発生を抑制する方法は、ストーカ式燃焼炉のみを適用の対象とするものであるうえ、廃棄物層内の燃焼温度の正確な検出が困難なため、6価クロムを安定して削減しつつ燃焼装置を運転することが困難なこと、等の問題を解決せんとするものであり、クロムを含有する木質バイオマス等の有機物燃料を還元燃焼させ、燃焼により生じた高温未燃ガス内のダストを捕集すると共に、捕集した高温ダストを急冷して外部へ排出し、更に前記ダストを除却した後の未燃ガスを完全燃焼させることにより、有機物燃料内の3価クロムの6価クロムへの転化及び熱分解後の有機塩素化合物の再合成を有効に防止できるようにしたクロム含有有機物の燃焼装置とクロム含有有機物の燃焼方法を提供することを発明の主目的とするものである。
即ち、クロムを含有する有機物燃料中のクロムは、3価クロムの形態で含有されているが、燃焼により6価クロムに転化される。3価クロムが6価クロムに転化する反応は酸化反応であって、炉内の酸素濃度が高いほど及び酸化燃焼ゾーンの滞留時間が長いほど酸化反応が促進される。また、通常の燃焼温度700℃〜1000℃の範囲では、高温になるほど前記酸化反応が促進される。
一方、ダイオキシン類等の有機塩素化合物を分解するためには燃焼温度が800℃以上(850℃以上2秒が望ましい)必要である。そこで、燃焼装置本体(例えば流動層炉本体)内で燃焼温度、空気比及び滞留時間を制御しつつ有機物燃料を還元燃焼させると共に燃焼装置の後段に設置した高温フィルタ装置(例えばセラミックフィルタ)により高温でダストを捕集する。還元燃焼後に高温下でダストを捕集することにより、燃料中の3価クロムが2次燃焼の高温化下で酸化し、6価クロムになることを仰制できる。さらに、捕集した高温ダストを急冷することにより、高温域で3価クロムが6価クロムに転化することを仰制すると共に、一旦熱分解をされたダイオキシン類等の有機塩素化合物が、再合成されるのを仰制する。そして、高温フィルタ装置(セラミックフィルタ装置)を通過してダストが除去された未燃ガス内へ2次空気を吹き込み、これを完全燃焼させる。このシステムでは、有害物質の生成の仰制と共に燃焼装置本体(流動層炉本体)では還元燃焼のみを行うため、装置本体の高さを抑えることが出来る。更に、高温フィルタ装置により高温下でダストを除去できるため、ボイラ装置の過熱器をより高温部に設置することが可能となり、エネルギー効率を上げることができる。また、ダストの融着などが無いためボイラ水管の間隔を狭めることができ、ボイラ装置をコンパクトにすることが可能となる。
上記課題を解決するため、本願請求項1の発明では、燃焼装置本体内でクロムを含有する有機物燃料を還元燃焼させ、還元燃焼により生じた未燃ガス中のダストを高温フィルタ装置で捕集すると共に捕集した高温ダストを急冷却して外部へ排出させ、更に前記ダストを除去した後の未燃ガスを完全燃焼させることにより、燃料中の3価クロムの6価クロムへの転化及び熱分解後のダイオキシンの再合成を防止するようにしたことを発明の基本構成としている。
本願請求項2の発明は、請求項1の発明において、有機物燃料を還元燃焼させ、還元ゾーンの燃焼温度を800〜860℃、空気比を1.0以下及び未燃ガスの滞留時間を2秒以上とするようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、高温フィルタ装置の出口における未燃ガスの温度を700℃以上とするようにしたものである。
請求項4の発明は、請求項1の発明において、完全燃焼をした後の燃焼排ガス内の酸素濃度を6%以下とするようにしたものである。
請求項5の発明は、請求項1の発明において、高温フィルタ装置をセラミックフィルタとし、当該セラミックフィルタで捕集した高温ダストを200℃まで急冷するようにしたものである。
請求項6の発明は、請求項2の発明において、燃焼温度を800〜815℃及び空気比を0.8〜0.95とするようにしたものである。
請求項7の発明は、燃料を還元燃焼させる還元ゾーンと、還元ゾーンからの未燃ガス中のダストを除去する高温フィルタ装置と、高温フィルタ装置からのダストを除去した未燃ガスを完全燃焼させる酸化ゾーンと、前記酸化ゾーンからの燃焼排ガスの熱を回収する廃熱ボイラと、廃熱ボイラからの燃焼排ガスを清浄化する浄化処理装置とから構成され、燃料中の3価クロムの6価クロムへの転化を防止するようにしたことを発明の基本構成とするものである。
請求項8の発明は、請求項7の発明において、高温フィルタ装置を、捕集された高温のダストを急冷排出する水冷排出装置を備えたセラミックフィルタ装置とし、捕集ダスト内の3価クロムの6価クロムへの転化及び熱分解されたダイオキシン類の再合成を夫々防止するようにしたものである。
請求項9の発明は、請求項7の発明において、燃料を木質バイオマスとすると共に、燃料を1次燃焼させる還元ゾーンを流動層式の還元ゾーンとしたものである。
本願発明では、還元ゾーンに於ける1次燃焼で発生した未燃ガス中のダストを高温フィルタで除去したあと、これを酸化ゾーンで2次燃焼させるようにしているため、燃料中の3価クロムが酸化燃焼により6価クロムに転化することを抑制できる。
また、高温フィルタ装置で捕集したダストを200℃まで急冷して外部へ排出するようにしているため、ダスト中の3価クロムが高温下で6価クロムに転化することを抑制できると共に、捕集した高温ダストを200℃まで急冷することにより、一旦熱分解されたダイオキシン類が再合成されるのを抑制することができる。
更に、高温フィルタ装置の下流で2次空気を吹き込むことにより、ダストが除去された未燃ガスを完全燃焼することができると共に、2次燃焼後の燃焼排ガス内には前記高温フィルタ装置によるダストの捕集によりダスト類が殆ど存在しないため、金属類の高温腐食が大幅に減少する。そのため、ボイラ装置の過熱器をより高温部に配置することができ、エネルギー効率を上げることができると共に、ダスト類の融着が無くなることにより、ボイラ水管の間隔を狭めることができ、ボイラ設備をコンパクトにできる。
加えて、還元ゾーン(例えば流動層炉)で還元燃焼のみを行ない未燃ガスの滞留時間を約2秒程度の短時間に設定できるため、還元ゾーン(例えば流動層炉)の高さを大幅に抑えることが可能となる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明に係る燃焼装置の全体系統図であり、図1において1は還元ゾーン、2は高温フィルタ装置、3は酸化ゾーン、4は燃料供給装置、5は水冷排出装置、6はボイラ装置、6aは過熱器、7は節炭器、8はマルチサイクロン、9は燃焼用空気供給ファン、10は誘引ファン、11は煙突、12は燃焼装置本体、13は高温ガス通路、A1は1次燃焼空気、A2は2次燃焼空気、Fは有機物燃料、Gは未燃ガス、G0は燃焼排ガス、Dは高温ダスト、Doは低温ダストである。
本発明に係る燃焼装置は、前記各部材1乃至11等から構成されており、また、本発明の要部を為す燃焼装置本体12は還元ゾーン1、高温フィルタ装置2、酸化ゾーン3及び燃料供給装置4、水冷排出装置5等から形成されている。
前記還元ゾーン1は、チップ状の木質バイオマス燃料を還元性雰囲気下で1次燃焼(還元燃焼)させる部分であり、本実施形態に於いては公知の流動層炉が使用されている。
また、前記高温フィルタ装置2は、燃料Fの1次燃焼(還元燃焼)により生じた未燃ガス(燃焼ガス)Go内のダストDを除去するものである。本実施形態では、高温フィルタ装置2としてセラミックフィルタ装置を使用しており、約700〜1000℃の高温未燃ガスGo中から高温のダストDを捕集する。
また、当該高温フィルタ装置2には、水冷排出装置5が設けられており、高温フィルタ装置2により捕集した700〜1000℃の高温ダストDを約200℃程度にまで水冷方式によって急冷(望ましくは約10分以下の時間内)し、冷却後の低温ダストDoを外部へ排出する。
酸化ゾーン3は、前記高温フィルタ装置2からのダストDを除去した未燃ガスGを2次燃焼させる領域であり、従前の所謂フリーボード部に相当するものである。当該酸化ゾーン3では2次燃料空気A2が供給されることにより未燃ガスGが完全燃焼され、燃焼排ガスGoは後段の廃熱ボイラ装置6へ供給されて行く。
尚、図1の実施形態においては、還元ゾーン1を形成する流動層炉と、高温フィルタ装置2及び酸化ゾーン3とを切り離し、両者の間を高温ガス通路13により連通する構成としているが、流動層炉本体の高さ寸法を大きく取れる場合には、前記各部1〜3を一体化して、従前の流動層炉のフリーボード部の下方に高温フィルタ装置2を配設した構成としてもよいことは勿論である。
また、図1の実施形態においては、還元ゾーン1として流動層炉を用いているが、ストーカ式焼却炉の一次燃焼室を本発明における還元ゾーン1することも勿論可能である。
図1を参照して、燃料供給装置4へは、クロムを含有する有機物燃料、例えばチップ状の木質バイオマス燃料が外部から供給されており、当該バイオマス燃料Fは、一次燃焼空気A1の吹き込みにより流動層を形成している還元ゾーン1へその供給量を制御しつつ投入される。
当該還元ゾーン1への1次燃焼空気A1の供給量は空気比で1.0以下(望ましくは0.85〜0.95)になるように制御されており、また、酸化ゾーン3へ供給する2次燃焼用空気A2を含めた全空気比は、1.4以下に制御されている。還元ゾーン1は還元雰囲気となっており、供給された木質バイオマス燃料Fはここで所謂還元燃焼される。
また、還元ゾーン1の燃焼温度は、燃料供給量と一次燃焼空気A1の供給量との制御により800〜860℃(より望ましくは800〜815℃)に制御されている。尚、還元ゾーン1での燃焼温度を800℃〜860℃とするのは、高温燃焼下において3価クロムが6価クロムへ転化するのを仰制するためである。
当該流動層部における燃料の所謂還元燃焼により、ダイオキシンやNOx等の有害物質の発生及び6価クロムへの転化が、有効に仰制されることになる。
還元ゾーン1における燃料Fの一次還元燃焼により発生した未燃ガスG(燃焼ガスG)は、高温通路13を通して高温フィルタ装置(セラミックフィルタ装置)3へ導入され、ここで高温の未燃ガスG中のダストDが除去される。
尚、高温フィルタ装置3で捕集されたダストDは、未燃ガスGとほぼ同一の温度(約700〜1000℃)を有しており、捕集された高温ダストDが高温状態下に長時間保持されると、還元燃焼ゾーン1において6価クロムへの転化が仰制されたダスト中の3価クロムが、6価クロムに転換されることになる。また、還元ゾーン1に於いて熱分解されたダストD内のダイオキシンなど有機塩素化合物の分解物が、ダストDの冷却過程の温度域(300℃程度)に於いて結合反応をし、所謂ダイオキシン等の再合成が行われる。そのため、捕集された高温ダストDは、水冷却排出装置5に於いて200℃以下に急冷却され、その後外部へ順次排出されて行く。その結果、外部へ排出される低温の捕集ダストD0には、危険な6価クロムやダイオキシン等が含まれなくなり、安全な物質として再利用に供することができる。
高温フィルタ装置2でダストDが除去されたクリーンな未燃ガスは、約700℃以上の温度でもって高温フィルタ装置2のガス出口から後段の酸化ゾーン3へ導入され、ここで燃焼用空気ファン9から2次燃焼空気A2が吹き込みされることにより、850℃以上、2秒間以上で2次燃焼される。これにより、未燃ガスG内の未燃物が完全燃焼されると共に、ダイオキシン等の有機塩素化合物が熱分解される。
具体的には、酸化ゾーン3に於ける燃焼は、酸素濃度6.0%以下及び燃焼温度850℃以上にするのが望ましく、これによりダイオキシン等の有機塩素化合物が分解されることになる。尚、酸化ゾーン3の出口における燃焼排ガスD0内のO2濃度は6%以下であることが望ましい。
酸化ゾーン3を出た燃焼排ガスG0は、廃熱ボイラ装置6で熱回収をされたあと、節炭器7、マルチサイクロン8及び誘引ファン10を経て大気中へ放出されて行く。
また、還元ゾーン1、高温フィルタ装置2及び酸化ゾーン3における燃焼温度や酸素濃度は、熱電対等の温度検出器及びレーザー式酸素濃度検出器によって連続的に計測されており、燃焼制御へ入力されている(図示省略)。
更に、燃焼制御装置からは燃料供給装置5の駆動部、各ファン9、10の駆動部及び各燃焼空気A1、A2の制御ダンパの駆動部等へ制御信号が出力される(図示省略)。
尚、酸化ゾーン3に於いて完全燃焼をした燃焼排ガスGoにはダスト等が殆ど含まれていないため、加熱器6aを燃焼排ガスGoの高温側に設置しても容易に高温腐食を受けることは無く、高温・高圧の蒸気が容易に得られることになる。
本願発明は流動層炉を還元ゾーンとする燃焼装置のみならず、各種型式の燃焼炉を用いたクロムを含む有機物を燃料とする燃焼装置に適用することができる。
本発明の実施に用いた燃焼装置の一例を示す構成系統図である。 従前の木質バイオマスを燃料とする流動層式燃焼装置の一例を示すものである。 特開2005−321182号に開示の焼却残渣からの6価クロムの溶出量とごみ層内最高温度の時間積分値との関係を示す線図である。
符号の説明
1・・1次燃焼空気
2・・2次燃焼空気
F・・有機物燃料
G・・未燃ガス
0・・燃焼排ガス
D・・高温捕集ダスト
0・・低温捕集ダスト
1・・還元ゾーン(1次燃焼ゾーン)
2・・高温フィルタ装置
3・・酸化ゾーン(2次燃焼ゾーン)
4・・燃料供給装置
5・・水冷ダスト排出装置
6・・廃熱ボイラ装置
6a・・過熱器
7・・炭節器
8・・マルチサイクロン
9・・燃焼用空気供給ファン
10・・誘引ファン
11・・煙突
12・・燃焼装置本体
13・・高温未燃ガス通路

Claims (9)

  1. 燃焼装置本体内でクロムを含有する有機物燃料を還元燃焼させ、還元燃焼により生じた未燃ガス中のダストを高温フィルタ装置で捕集すると共に、捕集した高温ダストを急冷却して外部へ排出させ、更に、前記ダストを除去した後の未燃ガスを完全燃焼させることにより、燃料中の3価クロムの6価クロムへの転化及び熱分解後のダイオキシンの再合成を防止するようにしたことを特徴とするクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
  2. クロムを含有する有機物燃料を還元燃焼させると共に、還元ゾーンの燃焼温度を800〜860℃、空気比を1.0以下及び未燃ガスの滞留時間を2秒以上とするようにした請求項1に記載のクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
  3. 高温フィルタ装置の出口における未燃ガスの温度を700℃以上とするようにした請求項1に記載のクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
  4. 完全燃焼をした後の燃焼排ガス内の酸素濃度を6%以下とするようにした請求項1に記載のクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
  5. 高温フィルタ装置をセラミックフィルタとし、当該セラミックフィルタで捕集した高温ダストを200℃まで急冷するようにした請求項1に記載のクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
  6. 燃焼温度を800〜815℃及び空気比を0.8〜0.95とするようにした請求項2に記載のクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
  7. 燃料を還元燃焼させる還元ゾーンと、還元ゾーンからの未燃ガス中のダストを除去する高温フィルタ装置と、高温フィルタ装置からのダストを除去した未燃ガスを完全燃焼させる酸化ゾーンと、前記酸化ゾーンからの燃焼排ガスの熱を回収する廃熱ボイラと、廃熱ボイラからの燃焼排ガスを清浄化する浄化処理装置とから構成され、燃料中の3価クロムの6価クロムへの転化を防止するようにしたことを特徴とするクロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置。
  8. 高温フィルタ装置を、捕集された高温のダストを急冷排出する水冷排出装置を備えたセラミックフィルタ装置とし、捕集ダスト内の3価クロムの6価クロムへの転化及び熱分解されたダイオキシン類の再合成を夫々防止するようにした請求項7に記載のクロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置。
  9. 燃料を木質バイオマスとすると共に、燃料を1次燃焼させる還元ゾーンを流動層式の還元ゾーンとした請求項7に記載のクロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置。
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