JP2008128539A - クロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置及びこれを用いたクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 燃焼装置本体内でクロムを含有する有機物燃料を還元燃焼させ、還元燃焼により生じた未燃ガス中のダストを高温フィルタ装置で捕集すると共に捕集した高温ダストを急冷却して外部へ排出させ、更に前記ダストを除去した後の未燃ガスを完全燃焼させることにより、燃料中の3価クロムの6価クロムへの転化及び熱分解後のダイオキシンの再合成を防止する。
【選択図】 図1
Description
フリーボード部23からの燃焼排ガスGはボイラ部24や節炭器26で熱回収をされたあと、マルチサイクロン27、バクフィルタ28等で飛灰の除去や浄化処理を行ったあと、大気中へ放散されて行く。
即ち、前者の特開2005−199112号では、銅、クロム、砒素(CCA処理剤)等の重金属類を含む廃木材に消石灰を添加し、還元雰囲気下で加熱して無害な炭化物を生成することにより、炭として再資源化するようにしたものである。
しかし、廃木材を無害な炭に転換するには相当の処理費用が掛かり、低価格の輸入木炭に経済性の点で太刀打ち出来ないうえ、廃木材から生成した木炭に対しては、需要そのものが極めて少ないという問題がある。
即ち、廃棄物(燃料)中に多く含有されている3価クロムは、高温雰囲気に長時間晒されることにより、有害な6価クロムに酸化されることが判っている。
そのため、予め実験により、6価クロム溶出値と燃焼時のストーカ上のごみ層の温度及び時間との関係を調査することにより、図3に示す如き特性グラフを作成する。そして、ストーカ式燃焼炉の運転に際しては、ごみ層内温度の時間積分値が、図3の6価クロム溶出値の許容基準値に対応する値以下となるように、ごみ投入量、ごみ移送速度及び一次空気供給量の中の何れか一つ以上を調整構成としたものである。
尚、上記焼却灰内の6価クロム溶出値の基準値は、所謂環境庁告示第13号規定に基づく値である。
しかし、ストーカ上の廃棄物は、現実にはストーカ上を複雑な運動を行いつつ下流へ向って移動するうえ、ごみ層厚さ自体もごみ質に応じて大きく変動するため、廃棄物の層内温度を正確に検出することは著しく困難である。その結果、6価クロムの生成をほぼ完全に基準値以下に制御した状態でストーカ式焼却炉を安定運転することは、著しく困難なことであり、現実には不可能に近いと云う問題がある。
即ち、クロムを含有する有機物燃料中のクロムは、3価クロムの形態で含有されているが、燃焼により6価クロムに転化される。3価クロムが6価クロムに転化する反応は酸化反応であって、炉内の酸素濃度が高いほど及び酸化燃焼ゾーンの滞留時間が長いほど酸化反応が促進される。また、通常の燃焼温度700℃〜1000℃の範囲では、高温になるほど前記酸化反応が促進される。
一方、ダイオキシン類等の有機塩素化合物を分解するためには燃焼温度が800℃以上(850℃以上2秒が望ましい)必要である。そこで、燃焼装置本体(例えば流動層炉本体)内で燃焼温度、空気比及び滞留時間を制御しつつ有機物燃料を還元燃焼させると共に燃焼装置の後段に設置した高温フィルタ装置(例えばセラミックフィルタ)により高温でダストを捕集する。還元燃焼後に高温下でダストを捕集することにより、燃料中の3価クロムが2次燃焼の高温化下で酸化し、6価クロムになることを仰制できる。さらに、捕集した高温ダストを急冷することにより、高温域で3価クロムが6価クロムに転化することを仰制すると共に、一旦熱分解をされたダイオキシン類等の有機塩素化合物が、再合成されるのを仰制する。そして、高温フィルタ装置(セラミックフィルタ装置)を通過してダストが除去された未燃ガス内へ2次空気を吹き込み、これを完全燃焼させる。このシステムでは、有害物質の生成の仰制と共に燃焼装置本体(流動層炉本体)では還元燃焼のみを行うため、装置本体の高さを抑えることが出来る。更に、高温フィルタ装置により高温下でダストを除去できるため、ボイラ装置の過熱器をより高温部に設置することが可能となり、エネルギー効率を上げることができる。また、ダストの融着などが無いためボイラ水管の間隔を狭めることができ、ボイラ装置をコンパクトにすることが可能となる。
また、高温フィルタ装置で捕集したダストを200℃まで急冷して外部へ排出するようにしているため、ダスト中の3価クロムが高温下で6価クロムに転化することを抑制できると共に、捕集した高温ダストを200℃まで急冷することにより、一旦熱分解されたダイオキシン類が再合成されるのを抑制することができる。
更に、高温フィルタ装置の下流で2次空気を吹き込むことにより、ダストが除去された未燃ガスを完全燃焼することができると共に、2次燃焼後の燃焼排ガス内には前記高温フィルタ装置によるダストの捕集によりダスト類が殆ど存在しないため、金属類の高温腐食が大幅に減少する。そのため、ボイラ装置の過熱器をより高温部に配置することができ、エネルギー効率を上げることができると共に、ダスト類の融着が無くなることにより、ボイラ水管の間隔を狭めることができ、ボイラ設備をコンパクトにできる。
加えて、還元ゾーン(例えば流動層炉)で還元燃焼のみを行ない未燃ガスの滞留時間を約2秒程度の短時間に設定できるため、還元ゾーン(例えば流動層炉)の高さを大幅に抑えることが可能となる。
本発明に係る燃焼装置は、前記各部材1乃至11等から構成されており、また、本発明の要部を為す燃焼装置本体12は還元ゾーン1、高温フィルタ装置2、酸化ゾーン3及び燃料供給装置4、水冷排出装置5等から形成されている。
また、還元ゾーン1の燃焼温度は、燃料供給量と一次燃焼空気A1の供給量との制御により800〜860℃(より望ましくは800〜815℃)に制御されている。尚、還元ゾーン1での燃焼温度を800℃〜860℃とするのは、高温燃焼下において3価クロムが6価クロムへ転化するのを仰制するためである。
当該流動層部における燃料の所謂還元燃焼により、ダイオキシンやNOx等の有害物質の発生及び6価クロムへの転化が、有効に仰制されることになる。
また、還元ゾーン1、高温フィルタ装置2及び酸化ゾーン3における燃焼温度や酸素濃度は、熱電対等の温度検出器及びレーザー式酸素濃度検出器によって連続的に計測されており、燃焼制御へ入力されている(図示省略)。
更に、燃焼制御装置からは燃料供給装置5の駆動部、各ファン9、10の駆動部及び各燃焼空気A1、A2の制御ダンパの駆動部等へ制御信号が出力される(図示省略)。
尚、酸化ゾーン3に於いて完全燃焼をした燃焼排ガスGoにはダスト等が殆ど含まれていないため、加熱器6aを燃焼排ガスGoの高温側に設置しても容易に高温腐食を受けることは無く、高温・高圧の蒸気が容易に得られることになる。
A2・・2次燃焼空気
F・・有機物燃料
G・・未燃ガス
G0・・燃焼排ガス
D・・高温捕集ダスト
D0・・低温捕集ダスト
1・・還元ゾーン(1次燃焼ゾーン)
2・・高温フィルタ装置
3・・酸化ゾーン(2次燃焼ゾーン)
4・・燃料供給装置
5・・水冷ダスト排出装置
6・・廃熱ボイラ装置
6a・・過熱器
7・・炭節器
8・・マルチサイクロン
9・・燃焼用空気供給ファン
10・・誘引ファン
11・・煙突
12・・燃焼装置本体
13・・高温未燃ガス通路
Claims (9)
- 燃焼装置本体内でクロムを含有する有機物燃料を還元燃焼させ、還元燃焼により生じた未燃ガス中のダストを高温フィルタ装置で捕集すると共に、捕集した高温ダストを急冷却して外部へ排出させ、更に、前記ダストを除去した後の未燃ガスを完全燃焼させることにより、燃料中の3価クロムの6価クロムへの転化及び熱分解後のダイオキシンの再合成を防止するようにしたことを特徴とするクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
- クロムを含有する有機物燃料を還元燃焼させると共に、還元ゾーンの燃焼温度を800〜860℃、空気比を1.0以下及び未燃ガスの滞留時間を2秒以上とするようにした請求項1に記載のクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
- 高温フィルタ装置の出口における未燃ガスの温度を700℃以上とするようにした請求項1に記載のクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
- 完全燃焼をした後の燃焼排ガス内の酸素濃度を6%以下とするようにした請求項1に記載のクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
- 高温フィルタ装置をセラミックフィルタとし、当該セラミックフィルタで捕集した高温ダストを200℃まで急冷するようにした請求項1に記載のクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
- 燃焼温度を800〜815℃及び空気比を0.8〜0.95とするようにした請求項2に記載のクロムを含有する有機物燃料の燃焼方法。
- 燃料を還元燃焼させる還元ゾーンと、還元ゾーンからの未燃ガス中のダストを除去する高温フィルタ装置と、高温フィルタ装置からのダストを除去した未燃ガスを完全燃焼させる酸化ゾーンと、前記酸化ゾーンからの燃焼排ガスの熱を回収する廃熱ボイラと、廃熱ボイラからの燃焼排ガスを清浄化する浄化処理装置とから構成され、燃料中の3価クロムの6価クロムへの転化を防止するようにしたことを特徴とするクロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置。
- 高温フィルタ装置を、捕集された高温のダストを急冷排出する水冷排出装置を備えたセラミックフィルタ装置とし、捕集ダスト内の3価クロムの6価クロムへの転化及び熱分解されたダイオキシン類の再合成を夫々防止するようにした請求項7に記載のクロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置。
- 燃料を木質バイオマスとすると共に、燃料を1次燃焼させる還元ゾーンを流動層式の還元ゾーンとした請求項7に記載のクロムを含有する有機物を燃料とする燃焼装置。
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