JP4958485B2 - 6価クロムの生成を制御したクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。 - Google Patents
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Description
しかしながら、木質バイオマスにはクロムが含まれており、これ等クロムが含まれている有機物を燃料とするボイラ等の燃焼装置や廃棄物焼却処理炉から排出された燃焼残渣中には、有害物質である6価クロムが含まれていることが多くあり、環境保全を図る上で様々な問題が起生する。
フリーボード部3からの燃焼排ガスGはボイラ部4や節炭器6で熱回収をされたあと、マルチサイクロン7、バクフィルタ8等で飛灰の除去や浄化処理を行ったあと、大気中へ放散されて行く。
例えば、特許第3676768号では、6価クロム等有害重金属を含む焼却灰を酸化カルシウムや酸化マグネシウム等のアルカリ性物質の存在下で、酸素含有率1.5%以上及び温度600〜1000℃の第1反応域と、酸素含有率1.5%以下及び500〜1000℃の第2反応域との両高温域で2回反応させることにより、灰を無害化するようにしている。しかし、この発明では、焼却灰を600〜1000℃と500〜1000℃の両高温域で2回反応させることにより無害化するものであるため、エネルギー消費が大きく、しかも、各反応域間の縁切りが必要なために設備が複雑化するうえ、第2反応域では窒素ガスの吹込みを行うので、エネルギー消費が増大すると云う難点がある。
しかし、廃木材を無害な炭に転換するには相当の処理費用が掛かるため、廃木材を直接燃料として利用する場合とは経済性の点で比較にならないうえ、廃木材から生成した木炭に対しては需要そのものが極めて少ないという問題がある。
そのため、予め実験により、6価クロム溶出値と燃焼時のストーカ上のごみ層温度及び燃焼時間の関係を調査することにより、図7に示す如き特性グラフを作成する。そして、ストーカ式燃焼炉の運転に際しては、ごみ層内温度の時間積分値が、図7の6価クロム溶出値の基準値に対応する値以下となるように、ごみ投入量、ごみ移送速度及び一次空気供給量中の何れか一つ以上を調整する構成としたものである。
尚、上記焼却灰内の6価クロム溶出値の基準値は、所謂環境庁告示第13号規定に基づく値である。
しかし、ストーカ上の廃棄物は、現実にはストーカ上を複雑な運動を行いつつ下流へ向けて移動するうえ、ごみ層厚さ自体もごみ質に応じて大きく変動するため、廃棄物の層内温度を正確に検出することは著しく困難であって、結果として、6価クロムの生成をほぼ完全に基準値以下に制御した状態でストーカ式焼却炉を安定運転することは、現実には不可能に近いと云う問題がある。
において、流動層部における1次還元燃焼と、高温下での2次還元燃焼と、3次燃焼ゾーンにおける酸化燃焼との3段燃焼を採用すると共に、各燃焼ゾーンにおける燃焼温度と燃焼ガス中の酸素濃度を所望の範囲内に制御する構成としているため、流動層式燃焼炉の構造を特別に変更することなしに、安価に且つ確実に3価クロムの6価クロムへの転化と、ダイオキシン類等有害物質の生成とを同時に抑制することができる。
また、本願請求項1の発明においては、3価クロムが6価クロムに転化する割合を10〜13%(従前の20〜80%)に抑制することができ、燃焼残渣内の6価クロムの量を溶出基準を十分に満たす値にまで減少させることができると共に、ダイオキシン等有害物質の生成を抑制することができる。
尚、図1において、前記図6と同じ部位・部材には同じ参照番号が使用されている。
当該流動層部2への1次空気A1の供給量は、空気比で1.0以下(望ましくは0.9以下)になるように制御されており、これによって流動層部2は還元ゾーンを形成しており、供給されたクロムを含有する有機物燃料はここで所謂一次還元燃焼をされる。
当該2次還元燃焼ゾーン3aにおける燃焼ガスの所謂二次還元燃焼により、ダイオキシンやNOx等の有害物質の発生及び6価クロムへの転化を抑えつつ、燃焼排ガス内の可燃物の燃焼が行われる。
また、流動層部2、2次還元燃焼ゾーン3a及び3次燃焼ゾーン3bにおける燃焼温度及び酸素濃度は、熱電対等の温度検出器T1〜T3及びレーザー式酸素濃度検出器O1〜O3によって連続的に計測されており、燃焼制御Fへ入力されている。
更に、燃焼制御装置Fからは燃料供給装置5の駆動部、各ファン9、10、13の駆動部及び各制御ダンパD1〜D4の駆動部等へ制御信号が出力される。
尚、燃焼排ガスGの一部は、再循環ガスGoとして還元ゾーン3aへ吹き込まれる。
従って、流動層部2とフリーボード部の2次還元燃焼ゾーン3aと3次燃焼ゾーン3bとに於ける燃焼温度及び酸素濃度を連続的に検出して、流動層部2、フリーボード3の2次還元燃焼ゾーン3a及び3次燃焼ゾーン3bにおける燃料及び燃焼ガスの燃焼を、前記図2に示したような温度及び酸素温度条件で行うことにより、ボイラ部4、マルチサイクロン7及びバグフィルタ8から回収された飛灰や流動層部2から排出された灰は、所謂安全な灰として再利用に供したり、或いは安全に埋立処理することが可能となる。
図1に示す如き構成の小型流動層炉を用いて、木質バイオマス燃料を燃焼させた。流動層部2の燃焼温度を800℃とし、燃焼ガス中の酸素量を4〜10vol%dryで変化させた。
捕集した飛灰中の含有全クロムに対する6価クロムへの転化割合を測定した結果は、表1の通りであった。また、図3は、表1の結果をグラフ化したものである。燃焼ガスの酸素量を減少させると、3価クロムの6価クロムへの転化割合が下がり、燃焼ガスの酸素量4.5vol%dry以下にすることで、転化割合が10%以下となった。
図1に示す如き構成の小型流動層炉を用いて、クロムを含有する有機物燃料を燃焼させた。燃焼ガス中の酸素量を9vol%dryとし、流動層部2の燃焼温度を600〜800℃で変化させた。
捕集した飛灰中の含有全クロムに対する6価クロムへの転化割合を測定した結果は、表2の通りである。また、図4は表2の結果をグラフ化したものである。燃焼温度を下げると、3価クロムの6価クロムへの転化割合が下がり、燃焼温度680℃以下にすることで転化割合が10%以下となった。
また、本願発明はストーカ式燃焼炉等へも適用することが可能である。
P・・3価クロムから6価クロムへの転化率(%)
T・・燃焼温度(℃)
E・・酸素濃度(%)
X・・CO抑制に必要な最低酸素濃度(%)
D・・ダイオキシン等の抑制に必要な最低温度(℃)
A1・・1次燃焼用空気
A2・・2次燃焼用空気
A3・・3次燃焼用空気
G・・燃焼排ガス
Go・・再循環ガス
O1〜O3・・酸素濃度検出器
F・・燃焼制御装置
D1〜D4・・制御ダンパ
T1〜T3・・温度検出器
1・・炉本体
2・・流動層部(還元ゾーン)
3・・フリーボード部
3a・・2次還元燃焼ゾーン(還元ゾーン)
3b・・3次燃焼ゾーン(酸化ゾーン)
3bo・・酸化ゾーン3bの燃焼制御範囲
3ao・・還元ゾーン3aの燃焼制御範囲
4・・ボイラ部
5・・燃料供給装置
6・・節炭器
7・・マルチサイクロン
8・・バグフィルタ
9・・燃焼用空気供給ファン
10・・誘引ファン
11・・煙突
12・・再循環ライン
13・・再循環ファン
14・14a・・空気供給ライン
Claims (4)
- クロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉において、流動層式燃焼炉の炉本体部に、クロムを含有する有機物を1次還元燃焼させる流動層部と、前記流動層部の下流側で再循環ガスの吹き込み下で流動層部からの燃焼ガスを高温下で2次還元燃焼させる2次還元燃焼ゾーンと、前記2次還元燃焼ゾーンの下流側で3次燃焼空気の吹き込み下で2次還元燃焼ゾーンからの燃焼ガスを完全燃焼させる3次燃焼ゾーンを形成し、前記流動層部の燃焼温度を800℃〜860℃とすると共に流動層部の空気比を1.0以下及び炉本体出口の空気比を1.2〜1.4とするようにし、また、2次還元燃焼ゾーンの燃焼温度を950℃以下とすると共に燃焼ガス中の酸素濃度を1%以下とするようにし、更に、3次燃焼ゾーンの燃焼温度を800℃〜860℃とすると共に3次燃焼ゾーン出口の燃焼ガス中の酸素濃度を4.0〜6.0%とするようにし、燃料内に含まれる3価クロムが6価クロムに転化するのを抑制すると共にダイオキシン類等の有害物質の生成を抑制するようにしたことを特徴とするクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。
- 流動層部の燃焼温度を800℃〜815℃とすると共に流動層部の空気比を0.9以下とするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。
- 2次還元燃焼ゾーンの燃焼温度を900℃以下とすると共に燃焼ガス中の酸素濃度を1%以下とするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。
- 3次燃焼ゾーンの燃焼温度を800℃〜815℃とすると共に3次燃焼ゾーン出口の燃焼ガス中の酸素濃度を4.0〜4.5%とするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。
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