JP4958485B2 - 6価クロムの生成を制御したクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。 - Google Patents

6価クロムの生成を制御したクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。 Download PDF

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本発明は、クロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法に関するものであり、燃焼中に薬剤等を一切添加することなしに燃焼条件の制御のみにより、有害物質である6価クロムの生成を大幅に抑制することを可能としたクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法に関するものである。
バガスや廃木材等の木質バイオマスは、所謂バイオマスエネルギーの有効利用を図ると云う観点からエネルギー源として注目されている。
しかしながら、木質バイオマスにはクロムが含まれており、これ等クロムが含まれている有機物を燃料とするボイラ等の燃焼装置や廃棄物焼却処理炉から排出された燃焼残渣中には、有害物質である6価クロムが含まれていることが多くあり、環境保全を図る上で様々な問題が起生する。
図6は、クロムを含有する有機物を燃料とする公知の流動層式燃焼炉Kの一例を示すものであり、図6において、1は炉本体、2は流動層部(1次燃焼ゾーン)、3はフリーボード部、4はボイラ部、5は燃料供給装置、6は節炭器、7はマルチサイクロン、8はバグフィルタ、9は燃焼用空気供給ファン、10は誘引ファン、11は煙突である。
炉本体1の流動層部2へ供給された燃料は、1次空気A1の供給により流動層が形成されている流動層部2で所謂流動層燃焼(1次燃焼)されたあと、フリーボード部3で2次空気A2を供給することにより2次燃焼される。
フリーボード部3からの燃焼排ガスGはボイラ部4や節炭器6で熱回収をされたあと、マルチサイクロン7、バクフィルタ8等で飛灰の除去や浄化処理を行ったあと、大気中へ放散されて行く。
前記ボイラ部4やマルチサイクロン7、バグフィルタ8等で回収されたボイラ飛灰には、使用する燃料によって前述の如く、有害な重金属類が多量に含まれる場合がある。特に、6価クロムについては、バフフィルタ8で捕集された飛灰中に比較的多く含まれることが判明しており、例えば、バグフィルタ8で捕集されたボイラ飛灰1kg内の全クロム重量を20〜200mgとすると、その内の15〜60%が6価クロムであることが判明している。
而して、従前のクロムを含有する有機物を燃料とする燃焼炉や燃焼処理炉では、主として排出された燃焼残渣や飛灰に薬剤を加えることにより、6価クロムやその他の有害な重金属類を除去処理している(特許第3676768号、特開2005−296731号、特開2005−336128号等)。
例えば、特許第3676768号では、6価クロム等有害重金属を含む焼却灰を酸化カルシウムや酸化マグネシウム等のアルカリ性物質の存在下で、酸素含有率1.5%以上及び温度600〜1000℃の第1反応域と、酸素含有率1.5%以下及び500〜1000℃の第2反応域との両高温域で2回反応させることにより、灰を無害化するようにしている。しかし、この発明では、焼却灰を600〜1000℃と500〜1000℃の両高温域で2回反応させることにより無害化するものであるため、エネルギー消費が大きく、しかも、各反応域間の縁切りが必要なために設備が複雑化するうえ、第2反応域では窒素ガスの吹込みを行うので、エネルギー消費が増大すると云う難点がある。
同様に、特開2005−976731号では、6価クロムを含む焼却灰(飛灰)を硫酸第一鉄(還元剤)を用いて処理することにより、また、特開2005−336128号では、6価クロム等の有害重金属を含む飛灰にキレート剤を混練して固化させることにより、焼却灰(飛灰)を夫々無害化するようにしている。しかし、前者にあっては、薬剤(還元剤)を必要とするうえ、処理後の焼却灰は埋立廃棄を必要とし、灰の有効利用が図れないと云う問題がある。また、後者には、キレートへの封じ込めの長期安定性の点に問題があり、結果として灰の有効利用が阻害されると云う難点がある。
一方、上述の如き薬剤を用いた処理における問題を解決するものとして、6価クロムを含む木材そのものを安全な燃料資源に転換する技術(特開2005−199112号等)や6価クロムの生成を抑制するようにした廃棄物の燃焼制御方法(特開2005−321182号等)の開発が進められている。
即ち、前者の特開2005−199112号では、銅、クロム、砒素(CCA処理剤)等の重金属類を含む廃木材に消石灰を添加し、還元雰囲気下で加熱して無害な炭化物を生成することにより、炭として再資源化するようにしたものである。
しかし、廃木材を無害な炭に転換するには相当の処理費用が掛かるため、廃木材を直接燃料として利用する場合とは経済性の点で比較にならないうえ、廃木材から生成した木炭に対しては需要そのものが極めて少ないという問題がある。
また、前記特開2005−321182号では、ストーカ式ごみ燃焼炉の一般廃棄物(燃料)の燃焼方法に改良を加えることにより、燃料内に含まれている無害な3価クロム化合物から有害な6価クロム化合物が、燃焼中に生成されるのを抑制するようにしている。
即ち、廃棄物(燃料)中に多く含有されている3価クロムは、高温雰囲気に長時間晒されることにより、有害な6価クロムに酸化されることが判っている。
そのため、予め実験により、6価クロム溶出値と燃焼時のストーカ上のごみ層温度及び燃焼時間の関係を調査することにより、図7に示す如き特性グラフを作成する。そして、ストーカ式燃焼炉の運転に際しては、ごみ層内温度の時間積分値が、図7の6価クロム溶出値の基準値に対応する値以下となるように、ごみ投入量、ごみ移送速度及び一次空気供給量中の何れか一つ以上を調整する構成としたものである。
尚、上記焼却灰内の6価クロム溶出値の基準値は、所謂環境庁告示第13号規定に基づく値である。
上記特開2005−321182号の技術は、ストーカ上の廃棄物層内温度の検出値を制御の基準とするものであるため、廃棄物層内温度の正確且つ安定した検出が不可欠となる。
しかし、ストーカ上の廃棄物は、現実にはストーカ上を複雑な運動を行いつつ下流へ向けて移動するうえ、ごみ層厚さ自体もごみ質に応じて大きく変動するため、廃棄物の層内温度を正確に検出することは著しく困難であって、結果として、6価クロムの生成をほぼ完全に基準値以下に制御した状態でストーカ式焼却炉を安定運転することは、現実には不可能に近いと云う問題がある。
また、ストーカ式焼却炉では、焼却中にストーカの隙間からストーカ下方のホッパ内へ落下する燃焼残渣が相当にあり、これ等のストーカ下方のホッパより抜き出した6価クロム等の比重の大きな重金属を含む灰は、別途に処理する必要がある。そのため、特開2005−321182号に記載の技術のみでは、排出されてくる全ての焼却残渣について、その6価クロムを有効に低減させることができないと云う問題がある。
特許第3676768号公報 特開2005−976731号公報 特開2005−336128号公報 特開2005−199112号公報 特開2005−321182号公報
本発明は、従前のこの種のクロムを含有する有機物を燃料とする燃焼炉や燃焼装置等から排出される燃焼残渣の無害化処理、特に6価クロムの除去処理に於ける上述の如き問題、即ちイ)薬剤を使用して燃焼残渣を処理する方法にあっては、処理コストやエネルギー消費が増大するだけでなく、灰の有効利用が困難なこと、ロ)廃木材等を炭化させることにより無害化する方法は、経済性に欠けて実用的でないこと、及びハ)クロムを含有する有機物燃料の燃焼方法自体に改良を加えることにより、6価クロムを含む重金属類の発生を抑制する方法は、ストーカ式燃焼炉のみを適用の対象とするものであるうえ、廃棄物層内の燃焼温度の正確な検出が困難なため、安定した6価クロムの削減を図った燃焼が困難なこと、等の問題を解決せんとするものであり、流動層式燃焼炉におけるクロムを含有する有機物燃料の燃焼条件(燃焼温度や燃焼ガス内の酸素濃度等)を制御することにより、6価クロムやダイオキシン類等有害物質の生成の仰制を図りつつ安定したクロムを含有する有機物燃料の燃焼を可能とした、流動層式燃焼炉の燃焼制御方法を提供するものである。
本願発明者等は、永年に亘る流動層式燃焼炉の開発並びに実機燃焼試験を通して、クロムを含有する有機物燃料に含まれるクロムは、3価クロムの形態で含有されており、これが燃焼中に酸化されることにより有害な6価クロムに転化されること、一般的な700℃〜1000℃の燃焼温度範囲では、高温になるほど6価クロムの生成が促進させること、及びダイオキシン類等の有機塩素化合物を分解するためには、800℃以上(望ましくは850℃以上・2秒間)の燃焼温度が必要であること等を知得すると共に、そこから、酸素濃度と燃焼温度の両方を同時に制御することにより、3価クロムが6価クロムへ転化するのを抑制しつつ、ダイオキシン類等の有機塩素化合物の分解と未燃ガスの完全燃焼を行なえるようにすることを着想した。
そのため、先ず、本願発明者等は、3価クロムから6価クロムへの転化率(P=10%及びP=13%)と、流動層燃焼における燃焼ガスの燃焼温度(T℃)と、燃焼ガスの酸素濃度(E%)との関係を実動機の作動試験結果から求めると共に、これにCO抑制に必要な最低酸素濃度(X=4%)、ダイオキシン等有害物質抑制に必要な最低温度(D=800℃)を加味することにより、図2に示す如き燃焼制御特性図を作成し、当該燃焼制御特性図から、6価クロムへの転化やダイオキシン等有害物質の生成を抑制するためには、燃焼温度Tが800〜860℃及び燃料供給量に対する燃焼ガス中の酸素濃度Xが4.0〜6.0%の範囲の燃焼状態に制御することが好ましく、また、燃焼温度Tが800〜815℃及び燃焼ガスの酸素濃度Xが4.0〜4.5%の範囲の燃焼状態に制御することが、さらに好ましいことを見出した。
本願発明は、上記着想及びこれに基づく実機を用いた各種試験の結果を基に創作されたものであり、請求項1の発明は、クロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉において、流動層式燃焼炉の炉本体部に、クロムを含有する有機物を1次還元燃焼させる流動層部と、前記流動層部の下流側で再循環ガスの吹き込み下で流動層部からの燃焼ガスを高温下で2次還元燃焼させる2次還元燃焼ゾーンと、前記2次還元燃焼ゾーンの下流側で3次燃焼空気の吹き込み下で2次還元燃焼ゾーンからの燃焼ガスを完全燃焼させる3次燃焼ゾーンを形成し、前記流動層部の燃焼温度を800℃〜860℃とすると共に流動層部の空気比を1.0以下及び炉本体出口の空気比を1.2〜1.4とするようにし、また、2次還元燃焼ゾーンの燃焼温度を950℃以下とすると共に燃焼ガス中の酸素濃度を1%以下とするようにし、更に、3次燃焼ゾーンの燃焼温度を800℃〜860℃とすると共に3次燃焼ゾーン出口の燃焼ガス中の酸素濃度を4.0〜6.0%とするようにし、燃料内に含まれる3価クロムが6価クロムに転化するのを抑制すると共にダイオキシン類等の有害物質の生成を抑制するようにしたことを発明の基本構成とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明に於いて、流動層部の燃焼温度を800℃〜815℃とすると共に流動層部の空気比を0.9以下とするようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項1の発明に於いて、2次還元燃焼ゾーンの燃焼温度を900℃以下とすると共に燃焼ガス中の酸素濃度を1%以下とするようにしたものである。
請求項4の発明は、請求項1の発明に於いて、3次燃焼ゾーンの燃焼温度を800℃〜815℃とすると共に3次燃焼ゾーン出口の燃焼ガス中の酸素濃度を4.0〜4.5%とするようにしたものである。
本願請求項1の発明においては、クロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉
において、流動層部における1次還元燃焼と、高温下での2次還元燃焼と、3次燃焼ゾーンにおける酸化燃焼との3段燃焼を採用すると共に、各燃焼ゾーンにおける燃焼温度と燃焼ガス中の酸素濃度を所望の範囲内に制御する構成としているため、流動層式燃焼炉の構造を特別に変更することなしに、安価に且つ確実に3価クロムの6価クロムへの転化と、ダイオキシン類等有害物質の生成とを同時に抑制することができる。
また、本願請求項1の発明においては、3価クロムが6価クロムに転化する割合を10〜13%(従前の20〜80%)に抑制することができ、燃焼残渣内の6価クロムの量を溶出基準を十分に満たす値にまで減少させることができると共に、ダイオキシン等有害物質の生成を抑制することができる。
本願請求項2乃至請求項4の発明においては、3価クロムが6価クロムに転化する割合の大幅な抑制をより確実に達成できるだけでなく、ダイオキシン等有害物質の生成の大幅な抑制もより確実に達成できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施に使用する流動層式燃焼炉の構成系統図であり、図6に示した従前の流動層式燃焼炉と異なる点は、燃焼排ガスGoの再循環ライン12を設け、誘引ファン10の出口側から分岐した燃焼排ガスGの一部Goを再循環ファン13を通してフリーボード部3の下方の2次還元燃焼ゾーン(還元ゾーン)3aへ供給すると共に、必要に応じて当該再循環ガスGo内へ2次空気A2を混合供給できるようにした点と、後述するようにフリーボード部3の下方部を2次還元燃焼ゾーン(還元ゾーン)3aに、また、その上方部を3次燃焼ゾーン(酸化ゾーン)3bとして燃焼を行うようにした点と、燃焼温度検出器T1、T2、T3及び酸素濃度検出器O1、O2、O3を各燃焼ゾーン2,3a,3bに夫々配設するようにした点のみである。
尚、図1において、前記図6と同じ部位・部材には同じ参照番号が使用されている。
図1を参照して、燃料供給装置5から供給されたクロムを含有する有機物燃料例えば木質バイオマス燃料は、1次空気A1の吹き込みにより流動層を形成している流動層部2へ供給される。
当該流動層部2への1次空気A1の供給量は、空気比で1.0以下(望ましくは0.9以下)になるように制御されており、これによって流動層部2は還元ゾーンを形成しており、供給されたクロムを含有する有機物燃料はここで所謂一次還元燃焼をされる。
また、当該流動層部2の燃焼温度は燃料供給量と一次空気A1の供給量との制御により800℃〜860℃に制御されており、より望ましくは800〜815℃の温度に制御される。尚、流動層部2での燃焼温度を800℃〜860℃とするのは、図2の燃焼特性図からも明らかなように、6価クロムへの転化率を13%以下に抑えると共に、ダイオキシン等の有害物質の生成の抑制を行うためである。
流動層部2で形成された可燃性の未燃物を含有する燃焼ガスは、引き続きフリーボード部3の下方の2次還元燃焼ゾーン3aへ流入し、ここで2次空気A2を含んだ再循環ガスGo(又は2次空気A2を含まない再循環ガスGo)の吹き込みにより、酸素濃度を押え乍ら950℃以下の温度で高温燃焼をされる。具体的には、2次還元燃焼ゾーン3aに於いて、図2の還元ゾーン3aの燃焼制御範囲3aoに示す如く、酸素濃度は1%以下及び燃焼温度は950℃以下とするのが望ましく、より望ましくは、酸素濃度1%以下及び燃焼温度900℃以下の図2の斜線領域内とすることである。
当該2次還元燃焼ゾーン3aにおける燃焼ガスの所謂二次還元燃焼により、ダイオキシンやNOx等の有害物質の発生及び6価クロムへの転化を抑えつつ、燃焼排ガス内の可燃物の燃焼が行われる。
前記2次還元燃焼ゾーン3aからの燃焼ガスは、引き続きフリーボード3の上部の3次燃焼ゾーン3bに導され、ここで燃焼用空気供給ファン9から3次空気A3が吹き込みされることにより800〜860℃の比較的低温下で3次燃焼され、燃焼ガス内の未燃物が完全燃焼される。
具体的には、前記3次燃焼ゾーン3bに於ける燃焼は、図2の3次燃焼ゾーン3bの燃焼制御範囲3boに示す如く、酸素濃度4.0〜6.0%及び燃焼温度800〜860℃にするのが望ましく、より望ましくは酸素濃度4.0〜4.5%、燃焼温度800〜815℃とすることである。
3次燃焼ゾーン3bを出た燃焼ガスGは、ボイラ部4で熱回収をされたあと、節炭器6、マルチサイクロン7、バグフィルタ8及び誘引ファン10を経て大気中へ放出されて行く。
また、流動層部2、2次還元燃焼ゾーン3a及び3次燃焼ゾーン3bにおける燃焼温度及び酸素濃度は、熱電対等の温度検出器T1〜T3及びレーザー式酸素濃度検出器O1〜O3によって連続的に計測されており、燃焼制御Fへ入力されている。
更に、燃焼制御装置Fからは燃料供給装置5の駆動部、各ファン9、10、13の駆動部及び各制御ダンパD1〜D4の駆動部等へ制御信号が出力される。
尚、燃焼排ガスGの一部は、再循環ガスGoとして還元ゾーン3aへ吹き込まれる。
試験の結果によれば、木質バイオマス燃料中の全クロムの6価クロムへの転化割合を13%以下に抑えると、バグフィルタ8で捕集された飛灰中の6価クロムの溶出量を0.2〜1.5mg/lとすることができ、前記環境庁告示第13号に規定の埋立基準を満たすことができることが判明している。尚、6価クロムへの転化割合は10%以下とするのが望ましい。
従って、流動層部2とフリーボード部の2次還元燃焼ゾーン3aと3次燃焼ゾーン3bとに於ける燃焼温度及び酸素濃度を連続的に検出して、流動層部2、フリーボード3の2次還元燃焼ゾーン3a及び3次燃焼ゾーン3bにおける燃料及び燃焼ガスの燃焼を、前記図2に示したような温度及び酸素温度条件で行うことにより、ボイラ部4、マルチサイクロン7及びバグフィルタ8から回収された飛灰や流動層部2から排出された灰は、所謂安全な灰として再利用に供したり、或いは安全に埋立処理することが可能となる。
以下に、本願発明の基礎を成す各種試験並びに実験の結果を示す。
[実験例1]
図1に示す如き構成の小型流動層炉を用いて、木質バイオマス燃料を燃焼させた。流動層部2の燃焼温度を800℃とし、燃焼ガス中の酸素量を4〜10vol%dryで変化させた。
捕集した飛灰中の含有全クロムに対する6価クロムへの転化割合を測定した結果は、表1の通りであった。また、図3は、表1の結果をグラフ化したものである。燃焼ガスの酸素量を減少させると、3価クロムの6価クロムへの転化割合が下がり、燃焼ガスの酸素量4.5vol%dry以下にすることで、転化割合が10%以下となった。
Figure 0004958485
[実験例2]
図1に示す如き構成の小型流動層炉を用いて、クロムを含有する有機物燃料を燃焼させた。燃焼ガス中の酸素量を9vol%dryとし、流動層部2の燃焼温度を600〜800℃で変化させた。
捕集した飛灰中の含有全クロムに対する6価クロムへの転化割合を測定した結果は、表2の通りである。また、図4は表2の結果をグラフ化したものである。燃焼温度を下げると、3価クロムの6価クロムへの転化割合が下がり、燃焼温度680℃以下にすることで転化割合が10%以下となった。
Figure 0004958485
図1に示した小型の流動層式燃焼炉を用いて、クロムを含有する有機物燃料を燃焼させ、燃焼部2の燃焼ガス中の酸素濃度(O3の酸素濃度)を6%、燃焼温度(T3の温度)を800℃、2次燃焼ゾーン3aの燃焼温度(T2の温度)930℃とし、1次空気A1及び2次空気A2の供給比を変化させて1次空気比を0.7〜1.4にし、1次及び2次還元燃焼の6価クロムへの転換率に対する効果を確認した。
表3は、上記燃焼中にバグフィルタ8で捕集した飛灰中の含有全クロムに対する6価クロムへの転化率を測定したものであり、2次還元燃焼ゾーン3a及び1次還元燃焼部2の空気比が低く且つ当該2次還元燃焼ゾーン3a及び1次還元燃焼部2での滞留時間の長い方が、6価クロムへの転化をより有効に抑制できることが示されている。
Figure 0004958485
尚、図5は、前記表3のデータをグラフ化したものであり、流動層部2及び2次還元燃焼ゾーン3aの空気比が0.7以下で燃焼ガスの滞留時間が3秒以上の場合には、6価クロムへの転化率が10%以下になることが判る。
本願発明は流動層式燃焼炉のみならず、流動層式の各種燃焼装置へ適用することができる。
また、本願発明はストーカ式燃焼炉等へも適用することが可能である。
本発明の実施に用いた流動層式ボイラの構成系統図である。 流動層燃焼における燃焼ガスの燃焼温度と燃焼ガスの酸素濃度と3価クロムから6価クロムへの転化率等との関係を示す燃焼特性図である。 実験例1で得た表1のデータを図示したものであり、燃焼温度を800℃としたときの燃焼ガスの酸素濃度と、6価クロムへの転化率の関係を示す線図である。 実験例2で得た表2のデータを図示したものであり、燃焼ガスの酸素濃度を9vol%としたときの燃焼温度と、6価クロムへの転化率の関係を示す線図である。 実施例1で得た表3のデータを図示したものであり、還元ゾーン2、3aにおける燃焼ガスの滞留時間と6価クロムへの転化率との関係を示す線図である。 従前のクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の一例を示すものである。 特開2005−321182号に開示の焼却残渣からの6価クロムの溶出量とごみ層内最高温度の時間積分値との関係を示す線図である。
符号の説明
F・・流動層式燃焼炉
P・・3価クロムから6価クロムへの転化率(%)
T・・燃焼温度(℃)
E・・酸素濃度(%)
X・・CO抑制に必要な最低酸素濃度(%)
D・・ダイオキシン等の抑制に必要な最低温度(℃)
1・・1次燃焼用空気
2・・2次燃焼用空気
3・・3次燃焼用空気
G・・燃焼排ガス
Go・・再循環ガス
1〜O3・・酸素濃度検出器
F・・燃焼制御装置
1〜D4・・制御ダンパ
1〜T3・・温度検出器
1・・炉本体
2・・流動層部(還元ゾーン)
3・・フリーボード部
3a・・2次還元燃焼ゾーン(還元ゾーン)
3b・・3次燃焼ゾーン(酸化ゾーン)
3bo・・酸化ゾーン3bの燃焼制御範囲
3ao・・還元ゾーン3aの燃焼制御範囲
4・・ボイラ部
5・・燃料供給装置
6・・節炭器
7・・マルチサイクロン
8・・バグフィルタ
9・・燃焼用空気供給ファン
10・・誘引ファン
11・・煙突
12・・再循環ライン
13・・再循環ファン
14・14a・・空気供給ライン

Claims (4)

  1. クロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉において、流動層式燃焼炉の炉本体部に、クロムを含有する有機物を1次還元燃焼させる流動層部と、前記流動層部の下流側で再循環ガスの吹き込み下で流動層部からの燃焼ガスを高温下で2次還元燃焼させる2次還元燃焼ゾーンと、前記2次還元燃焼ゾーンの下流側で3次燃焼空気の吹き込み下で2次還元燃焼ゾーンからの燃焼ガスを完全燃焼させる3次燃焼ゾーンを形成し、前記流動層部の燃焼温度を800℃〜860℃とすると共に流動層部の空気比を1.0以下及び炉本体出口の空気比を1.2〜1.4とするようにし、また、2次還元燃焼ゾーンの燃焼温度を950℃以下とすると共に燃焼ガス中の酸素濃度を1%以下とするようにし、更に、3次燃焼ゾーンの燃焼温度を800℃〜860℃とすると共に3次燃焼ゾーン出口の燃焼ガス中の酸素濃度を4.0〜6.0%とするようにし、燃料内に含まれる3価クロムが6価クロムに転化するのを抑制すると共にダイオキシン類等の有害物質の生成を抑制するようにしたことを特徴とするクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。
  2. 流動層部の燃焼温度を800℃〜815℃とすると共に流動層部の空気比を0.9以下とするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。
  3. 2次還元燃焼ゾーンの燃焼温度を900℃以下とすると共に燃焼ガス中の酸素濃度を1%以下とするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。
  4. 3次燃焼ゾーンの燃焼温度を800℃〜815℃とすると共に3次燃焼ゾーン出口の燃焼ガス中の酸素濃度を4.0〜4.5%とするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のクロムを含有する有機物を燃料とする流動層式燃焼炉の燃焼制御方法。
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