JP2009082861A - 灰中の6価クロムを含む重金属類の溶出抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 クロムや鉛を含有する有機物を燃料として燃焼させる燃焼炉や燃焼装置から排出された灰に有機酸と加湿用の水又は有機酸の水溶液を添加し、有機酸の持つ還元作用により、灰からの6価クロム等の重金属類の溶出を抑制する。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、木質バイオマスにはクロムが3価の形態で含有されており、このクロムを含有している有機物を燃料として燃焼させた場合、3価クロムが6価クロムに転化される。そのため、クロムを含有する有機物を燃料として燃焼させる流動層炉等の燃焼炉やボイラ等の燃焼装置等から排出された焼却灰や飛灰中には、有害物質である6価クロムが多量に含まれていることが多くあり、環境保全を図る上で様々な問題が起生する。灰中の6価クロムは、一般にキレート剤等の薬剤による還元作用により3価クロムとすることにより、6価クロムとしての溶出を抑制する方法が採られている。
又、解体廃材等を燃料とした場合には、焼却灰や飛灰中に有害物質である鉛が含まれていることがある。灰中の鉛の溶出抑制には、通常キレート剤が用いられているが、鉛対応のキレート剤では6価クロムの溶出抑制に効果がない。そのため、鉛に対して効果の高い有機キレート剤と6価クロムに対して効果がある酸性還元剤を併用すると、二硫化炭素が発生すると云う別の問題が発生することになる。
尚、流動層炉1による燃焼は、一般に全空気比が1.3〜1.7程度で且つ一次空気比が0.7〜1.0の下で行われ、燃焼ガス等のベッド部2(還元ゾーン)に於ける滞留時間は約2秒程度、又、燃焼ガスのフリーボード部3(酸化ゾーン)に於ける滞留時間は約5秒程度である。
しかし、この技術は、焼却灰を600℃〜1000℃と500℃〜1000℃の両高温域で2回反応させることにより無害化するものであるため、エネルギー消費が大きく、然も、各反応域間の縁切りが必要なため、設備が複雑化すると云う問題がある。又、第2処理反応域では窒素ガスの吹込みを必要としており、エネルギー消費が増大すると云う難点がある。
しかし、前者にあっては、薬剤(還元剤)を必要とするうえ、処理後の焼却灰(飛灰)は埋立て廃棄を必要とし、灰の有効利用を図れないと云う問題がある。
又、後者にあっては、キレートへの封じ込めであり、長期安定性に問題があり、結果として、灰の有効利用が阻害されると云う難点がある。
しかし、廃木材を無害な炭に転換するには相当の処理費用が掛かり、低価格の輸入木炭に経済性の点で太刀打ちできないうえ、廃木材から生成した木炭に対しては需要そのものが無いのが現状である。
即ち、廃棄物(燃料)中に多く含有されている3価クロムは、高温雰囲気に長時間晒されることにより、有害な6価クロムに酸化されることが判っている。
従って、複数の温度検出手段により廃棄物層内の温度を連続的に検出し、これらの温度検出手段により取得された複数の時系列的温度変化パターンを比較して廃棄物の温度履歴を取得し、予め求めた温度及び時間に対する灰中重金属類濃度の関係に基づき前記温度履歴から重金属類濃度を推測し、当該重金属類濃度が基準値以下となるように廃棄物投入量、ストーカ速度及び一次空気供給量のうち少なくとも何れか一つを制御し、排出される灰中の重金属類を抑制するようにしたものである。
ところで、特開2005−321182号公報では、ストーカ上の廃棄物層内温度の検出値を制御の基準とするものであるため、廃棄物層内温度の正確且つ安定した検出が不可欠となる。
しかし、ストーカ上の廃棄物は、ストーカ上を複雑な運動を行いつつ下流へ向って移動するうえ、廃棄物層の厚さ自体も廃棄物の性状に応じて大きく変動するため、廃棄物層内の温度を正確に検出することが著しく困難である。その結果、6価クロムの生成を略完全に基準値以下に制御した状態でストーカ炉を安定運転することは、現実には不可能に近いと云う問題がある。
又、ストーカ炉では、廃棄物の焼却中にストーカの隙間からストーカ下のホッパ内へ落下する焼却灰が相当にあり、ストーカ下のホッパより抜き出した6価クロム等の重金属類を含む灰は、別途に処理する必要がある。そのため、排出されて来る全ての焼却灰について、その6価クロムを有効に低減させることができないと云う問題がある。
しかし、廃棄物を空気比0.7以下で燃焼させた場合には、未燃炭素が多量に生成し、CO濃度は平均20ppmを超えるうえ、完全燃焼されないためにダイオキシン類が発生する可能性がある。
又、本発明は、加湿用の水又は水溶液の水を灰に対して10%〜40%とすると共に、クエン酸の添加量を灰に対して0.5%〜15%としているため、6価クロムの溶出基準を満たすことができる。特に、加湿用の水又は水溶液の水を灰に対して15%〜30%とすると共に、有機酸の添加量を灰に対して1%〜3%とした場合には、6価クロムの溶出基準を十分に満たす値まで減少させることができる。
更に、本発明は、燃焼炉や燃焼装置から排出された飛灰等の灰にクエン酸等の有機酸と共に還元作用を持つ硫酸第一鉄を添加するようにしているため、灰からの6価クロムの溶出を大幅に抑制することができると共に、重金属の種類によらず他の重金属類の溶出も抑制することができる。特に、硫酸第一鉄の添加量を灰に対して1%〜5%とした場合には、6価クロム等の重金属類の溶出を大幅に抑制することができる。
加えて、本発明は、有機酸として、工業用薬剤や梅干工場から排出される廃液、焼酎蒸留廃液、食品工場廃液に含まれるクエン酸を用いるようにしているため、灰処理にキレート剤等の特別な薬剤を用いることなく、6価クロム等の重金属類の溶出を抑制することができ、薬剤コストの上昇を抑えることができる。
図1は本発明を実施するための流動層炉(燃焼炉)を備えた流動層式燃焼装置の概略系統図であり、図1に於いて、1は流動層炉(燃焼炉)、2は一次燃焼ゾーンであるベッド部(還元ゾーン)、3は二次燃焼ゾーンであるフリーボード部3(酸化ゾーン)、4は燃料供給装置、5は押し込み送風機、6はボイラ、7は過熱器、8は節炭器、9はマルチサイクロン、10はバグフィルタ、11は薬剤等貯留槽、12は誘引ファン、13は煙突、14は加湿機又は混練機、14aはケーシング、14bはスクリュー軸、15は給水タンク、16は飛灰ピット、17はコンベヤ、18は薬剤貯留槽、19はバルブ、A1は一次空気、A2は二次空気である。
即ち、加湿機14又は混練機14は、何れもケーシング14a内にスクリュー軸14b等を回転自在に配設した構造となっており、ケーシング14a内に供給された灰と水とクエン酸(又はクエン酸と硫酸第一鉄)とをスクリュー軸14b等により撹拌、混合しつつ移送するようにしたものである。
又、加湿機14又は混練機14の上流側部分には、加湿機14又は混練機14へ加湿用の水を供給する給水タンク15が接続されている。この加湿用の水は、給水タンク15の出口側に設けたバルブ19により、その供給量が制御されている。
更に、加湿機14又は混練機14の最上流側部分には、加湿機14又は混練機14へ6価クロム等の重金属類の溶出を抑制するための薬剤を供給する薬剤貯留槽18が接続されている。この薬剤としては、クエン酸又はクエン酸と硫酸第一鉄の両方が使用されている。クエン酸又はクエン酸と硫酸第一鉄の添加量は、薬剤貯留槽18の出口側に設けたバルブ19により制御されている。
尚、クエン酸には、工業用薬剤としてのクエン酸や梅干工場から排出される廃液、焼酎蒸留廃液、食品工場廃液に含まれるクエン酸が使用されている。
又、ベッド部2の燃焼温度は、燃料の供給量と一次空気A1の供給量との制御により800℃〜860℃になるように制御されており、より望ましくは800℃〜815℃の温度になるように制御されている。尚、ベッド部2での燃焼温度を800℃〜860℃とするのは、6価クロムへの転化率を抑えると共に、NOx等の有害物質の生成を抑制するためである。
具体的には、フリーボード部3に於ける燃焼は、空気比が1.24〜1.40、燃焼温度が800℃〜860℃であることが望ましく、更に、空気比が1.24〜1.27、燃焼温度が800℃〜815℃であることがより望ましく、これによりダイオキシン類等の有機塩素化合物が分解されることになる。
バグフィルタ10より浄化されてクリーンなガスとなった排ガスは、誘引ファン12を経て煙突13から大気中へ排出されて行く。
即ち、加湿機14又は混練機14に供給された飛灰は、給水タンク15から加湿機14又は混練機14に供給された水と、薬剤貯留槽18から加湿機14又は混練機14に供給されたクエン酸又はクエン酸と硫酸第一鉄と撹拌、混合されつつ移送され、飛灰ピット16へ送られる。
更に、飛灰に有機酸と共に還元作用を持つ硫酸第一鉄を添加した場合には、灰からの6価クロムの溶出を大幅に抑制することができると共に、重金属の種類によらず他の重金属類の溶出も抑制することができる。特に、硫酸第一鉄の添加量を灰に対して1%〜5%とした場合には、6価クロム等の重金属類の溶出を大幅に抑制することができる。
又、クエン酸の水溶液又はクエン酸と硫酸第一鉄の水溶液を、6価クロムを多く含有する飛灰に添加して撹拌・混合した場合にも、上述した場合と同様の作用効果を奏することができる。この場合、水溶液の水の量、クエン酸の添加量、硫酸第一鉄の添加量は、上述した場合と同じである。
又、クエン酸と共に硫酸第一鉄を用いると、灰からの6価クロムの溶出を大幅に抑制することができる
Claims (9)
- クロムや鉛を含有する有機物を燃料として燃焼させる燃焼炉や燃焼装置から排出された灰に有機酸と加湿用の水又は有機酸の水溶液を添加して撹拌・混合し、有機酸の持つ還元作用により、灰からの6価クロムを含む重金属類の溶出を抑制するようにしたことを特徴とする灰中の6価クロムを含む重金属類の溶出抑制方法。
- 加湿用の水又は水溶液の水を灰に対して10%〜40%とすると共に、有機酸の添加量を灰に対して0.5%〜15%とするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の灰中の6価クロムを含む重金属類の溶出抑制方法。
- 加湿用の水又は水溶液の水を灰に対して15%〜30%とすると共に、有機酸の添加量を灰に対して1%〜3%とするようにしたことを特徴とする請求項2に記載の灰中の6価クロムを含む重金属類の溶出抑制方法。
- 有機酸として、クエン酸を用いるようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の灰中の6価クロムを含む重金属類の溶出抑制方法。
- 有機酸として、工業用薬剤や梅干工場から排出される廃液、焼酎蒸留廃液、食品工場廃液に含まれるクエン酸を用いるようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の灰中の6価クロムを含む重金属類の溶出抑制方法。
- 灰にクエン酸と硫酸第一鉄と加湿用の水又はクエン酸と硫酸第一鉄の水溶液を添加するようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の灰中の6価クロムを含む重金属類の溶出抑制方法。
- 硫酸第一鉄の添加量を灰に対して0.5%〜10%とするようにしたことを特徴とする請求項6に記載の灰中の6価クロムを含む重金属類の溶出抑制方法。
- 硫酸第一鉄の添加量を灰に対して1%〜5%とするようにしたことを特徴とする請求項7に記載の灰中の6価クロムを含む重金属類の溶出抑制方法。
- 灰が、飛灰、ボイラ下灰、サイクロン灰のうちの何れか一つ又はそれらの混合灰であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7又は請求項8に記載の灰中の6価クロムを含む重金属類の溶出抑制方法。
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