JP2006263651A - 炭化物の炭酸化処理物、その製造方法、焼却炉飛灰からの亜鉛の回収方法および焼却炉における排ガス中の酸性ガスの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ロータリーキルンなどの高温加熱用の炭化装置1に、雑多な一般ごみ、下水汚泥、産業廃棄物などのカルシウムを含有する有機物を投入し、燃焼設備2からの燃焼排ガス、更には、焼却施設や自家発電設備で発生した排ガスなどを炭化装置1に供給し、有機物を温度300〜700℃で蒸し焼きして炭化物を得る。炭化装置1で得られた炭化物を、ロータリーキルンなどの高温加熱用の炭酸化装置4に供給し、燃焼設備2からの燃焼排ガス、更には、焼却施設や自家発電設備で発生した排ガスなど、すなわち、二酸化炭素を含むガスを供給し、炭化装置1で得られた炭化物に二酸化炭素を含むガスを供給した状態で700〜1,000℃で加熱処理し、アルカリ機能を有する炭酸カルシウムと吸着能を有する炭素とを含んだ炭化物の炭酸化処理物を製造する。
【選択図】 図1
Description
焼却炉飛灰に塩酸水溶液あるいは硝酸水溶液を添加し、その後に苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリまたはその水溶液を添加し、鉛、亜鉛などを水酸化物として沈殿させ、カルシウムを含む排水を除去している。その後、硫酸水溶液を添加して鉛を硫酸鉛として沈殿分離させ、しかる後、硫化剤を添加し、さらにアルカリ剤を添加することで硫化亜鉛を析出させている(特許文献2参照)。
また、従来の焼却炉で焼却処理する際に発生する飛灰の処理の場合、亜鉛の回収に、苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ剤を必要とし、それらの薬剤消費に起因して処理コストが高価になり、大きな負担となっていた。
更に、焼却炉で処理する際に、焼却炉内で塩化水素ガスや硫化水素ガスといった有害ガスが発生し、排ガスを炉外に排出するにはそれらを処理する必要があった。そのため、ガスを処理するためのコストが大きな負担となっていた。
カルシウム成分を含有する有機物を加熱処理して得られた炭化物に二酸化炭素を含むガスを供給した状態で加熱処理して得られたものであることを特徴としている。
カルシウム成分を含有する有機物の代表的なものとしては、雑多な一般ごみ、生活排水を処理した下水汚泥、産業廃棄物などが挙げられるが、カルシウム成分を含む有機性物質、カルシウム成分を含む無機物質と有機性物質の混合物、または、カルシウム成分を含む有機性物質と有機性物質の混合物など、カルシウム成分と有機性成分を含む物質、または、カルシウム成分を含む物質(有機性物質を含む)と有機性成分を含む物質の混合物であっても良い。
カルシウム成分を含有する有機物を加熱処理して得られた炭化物とは、カルシウム成分を含有する有機物を炭化処理、ガス化処理または熱分解した後の炭化物のことをいう。
請求項1に係る発明の炭化物の炭酸化処理物の構成によれば、カルシウム成分を含有する有機物中にカルシウム成分が含まれていることに着目し、カルシウム成分を含有する有機物を加熱処理し、得られた炭化物を二酸化炭素を含むガスと混合して加熱処理することにより、炭化物中に含まれる酸化カルシウムが二酸化炭素と結合して炭酸カルシウムを生成させることができ、また、炭化物中の炭素成分が賦活されて吸着能を有する炭素を生成することができ、アルカリ機能を有する炭酸カルシウムと吸着能を有する炭素とを含んだ炭酸化処理物を得ることができる。
したがって、アルカリ機能を有する炭酸カルシウムの性能を利用し、得られた炭酸化処理物を用いて、亜鉛回収の際のpH調整剤であるアルカリ剤であるとか、排ガス中の有害酸性ガスの処理剤として利用することができ、更には、吸着能を有する炭素の吸着機能を利用して、亜鉛回収の際に硫化亜鉛を捕捉することができ、専用の薬剤を使用する消費量を低減できるから、亜鉛の回収や排ガスの処理が効果的に行えるものを提供できる。
請求項1に記載の炭化物の炭酸化処理物において、
炭素を20〜50重量%、炭酸カルシウム(CaCO3)を1〜20重量%、その他の酸化物を20〜50重量%含有しているものである。
その他の酸化物としては、二酸化ケイ素(SiO2)および酸化アルミニウム(Al2O3)などが挙げられる。
請求項2に係る発明の炭化物の炭酸化処理物の構成によれば、炭酸カルシウムおよび吸着能を有する炭素の含有量が十分であり、アルカリ剤などの処理剤として有効に活用できるから、亜鉛の回収や排ガスの処理が効果的に行えるものを提供できる。
カルシウム成分を含有する有機物を温度300〜700℃で加熱処理した後、得られた炭化物に二酸化炭素を含むガスを供給した状態で700〜1,000℃で加熱処理し、アルカリ機能を有する炭酸カルシウムと吸着能を有する炭素とを含んだ炭化物の炭酸化処理物を製造することを特徴としている。
炭化物を得るための加熱処理温度を300〜700℃とするのは、300℃未満では、揮発成分を十分放出できず、一方、700℃を超えると、揮発されすぎて炭化物を十分残すことができないからである。
また、二酸化炭素を含むガスを供給した状態での加熱処理温度を700〜1,000℃とするのは、700℃未満では、炭化物中の酸化カルシウムと二酸化炭素との結合反応が不十分になって炭酸カルシウムを十分生成できず、一方、1000℃を超えると、処理物がスラグ化し、炭酸化処理物として後利用できないからである。
請求項3に係る発明の炭化物の炭酸化処理物の製造方法の構成によれば、カルシウム成分を含有する有機物を温度300〜700℃で加熱処理することにより、揮発成分を放出して炭化物を得ることができる。また、炭化物を温度700〜1,000℃で加熱処理することにより、炭化物中の酸化カルシウムと二酸化炭素とを十分結合させてアルカリ機能を有する炭酸カルシウムを生成することができるとともに、炭化物中の炭素成分を賦活して吸着能を有する炭素を生成することができる。
したがって、炭酸カルシウムおよび吸着能を有する炭素を良好に得ることができて、アルカリ剤などの処理剤として有効に活用できるから、亜鉛の回収や酸性ガスの処理が効果的に行えるものを提供できる。
請求項3に記載の炭化物の炭酸化処理物の製造方法において、
カルシウム成分を含有する有機物の加熱処理における熱源または雰囲気ガスとして、廃棄物焼却施設で発生した排ガス、廃棄物焼却施設で発生した可燃性ガスの燃焼設備、加熱処理で発生した可燃性ガスの燃焼設備、下水処理場で発生した消化ガスの燃焼設備、自家発電設備の少なくともひとつからの排ガスを用いるように構成する。
請求項4に係る発明の炭化物の炭酸化処理物の製造方法の構成によれば、カルシウム成分を含有する有機物の加熱処理を、排ガスを利用して行うから、排熱を有効に回収できて省エネルギー性を向上できるとともに安価にできる。
請求項3または4に記載の炭化物の炭酸化処理物の製造方法において、
カルシウム成分を含有する有機物の加熱処理における燃焼排ガス生成用の燃焼設備に対する燃焼用空気を、廃棄物焼却施設で発生した排ガス、廃棄物焼却施設で発生した可燃性ガスの燃焼設備、加熱処理で発生した可燃性ガスの燃焼設備、下水処理場で発生した消化ガスの燃焼設備、自家発電設備の少なくともひとつからの排ガスによって加熱するように構成する。
請求項5に係る発明の炭化物の炭酸化処理物の製造方法の構成によれば、カルシウム成分を含有する有機物の加熱処理における燃焼排ガス生成用の燃焼設備に対する燃焼用空気の予熱を、排ガスを利用して行うから、排熱を有効に回収できて省エネルギー性を向上できるとともに安価にできる。
請求項3、4、5のいずれかに記載の炭化物の炭酸化処理物の製造方法において、
二酸化炭素を含むガスとして、廃棄物焼却施設で発生した排ガス、廃棄物焼却施設で発生した可燃性ガスの燃焼設備、加熱処理で発生した可燃性ガスの燃焼設備、下水処理場で発生した消化ガスの燃焼設備、自家発電設備の少なくともひとつからの排ガスを用いるように構成する。
請求項6に係る発明の炭化物の炭酸化処理物の製造方法の構成によれば、二酸化炭素を含むガスとして排ガスを利用するから、炭酸ガスを発生させる設備を必要とせず、排熱を有効に回収できて省エネルギー性を向上できるとともに安価にできる。
また、排ガス中の二酸化炭素を反応させて炭酸カルシウムを生成するから、二酸化炭素の排出量を減少できて温室効果ガスの削減に貢献できる。
請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載の炭酸化処理物を、重金属成分を含んだ焼却炉飛灰を酸性溶液によって処理した後に得られる重金属溶出液にアルカリ剤として供給するとともに硫化剤を供給して混合攪拌処理し、硫化亜鉛を析出させて回収することを特徴としている。
請求項7に係る発明の焼却炉飛灰からの亜鉛の回収方法の構成によれば、カルシウム成分を含有する有機物を利用して生成した炭酸化処理物を利用し、炭酸化処理物中の炭酸カルシウムをアルカリ剤として機能させて硫化亜鉛を析出させるとともに、その析出した硫化亜鉛を、炭酸化処理物中の吸着能を有する炭素に捕捉させることができるから、専用の薬剤の使用量を減少でき、亜鉛の回収を効果的に行える。
請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載の炭酸化処理物を焼却炉内に投入し、塩化水素ガスおよび硫化水素ガスを処理することを特徴としている。
請求項8に係る発明の焼却炉における排ガス中の酸性ガスの処理方法の構成によれば、カルシウム成分を含有する有機物を利用して生成した炭酸化処理物を利用し、炭酸化処理物中の炭酸カルシウムを焼却炉内で発生する排ガス中の有害な塩化水素ガスおよび硫化水素ガスに反応させ、酸性ガスを処理することができる。
したがって、酸性ガスの処理を、専用の薬剤の使用量少なく効果的に行うことができる。
また、炭酸化処理物中に含まれる吸着能を有する炭素を補助燃料として利用でき、燃料面でも有利にして酸性ガスを処理できる。
したがって、アルカリ機能を有する炭酸カルシウムの性能を利用し、得られた炭酸化処理物を用いて、亜鉛回収の際のpH調整剤であるアルカリ剤であるとか、排ガス中の有害酸性ガスの処理剤として利用することができ、更には、吸着能を有する炭素の吸着機能を利用して、亜鉛回収の際に硫化亜鉛を捕捉することができ、専用の薬剤を使用する消費量を低減できるから、亜鉛の回収や排ガスの処理を効果的に行えるものを提供できる。
ロータリーキルンなどの高温加熱用の炭化装置1に燃焼設備2が接続されている。炭化装置1には、雑多な一般ごみ、生活排水を処理した下水汚泥、産業廃棄物などのカルシウム成分を含有する有機物が投入されるようになっている。
炭酸化装置4で発生した廃熱は予熱器3に供給されるようになっている。
その反応式は下記の通りである。
NaSH+Zn2+→ZnS+Na++H+
その反応式は下記の通りである。
CaCO3→CaO+CO2
2HCl+CaO→CaCl2+H2O
H2S+CaO+2O2→CaSO4+H2O
炭化装置1および炭酸化装置4で炭酸化処理物を得る工程は実施例1と同じであり、同一図番を付すことによりその説明は省略する。
また、一般ごみで、厨芥ごみ等の含水率50〜80%の原料にあっては、乾燥処理によって含水率を40%以下に低下させた後、加熱処理で炭化物を得るようにされる。
表中において、炭化物中におけるカルシウムは主として酸化カルシウムであり、炭酸化処理物中におけるカルシウムは主として炭酸カルシウムである。
2…燃焼設備
4…炭酸化装置
6…硫化装置
11…焼却炉
Claims (8)
- カルシウム成分を含有する有機物を加熱処理して得られた炭化物に二酸化炭素を含むガスを供給した状態で加熱処理して得られたものであることを特徴とする炭化物の炭酸化処理物。
- 請求項1に記載の炭化物の炭酸化処理物において、
炭素を20〜50重量%、炭酸カルシウム(CaCO3)を1〜20重量%、その他の酸化物を20〜50重量%含有しているものである炭化物の炭酸化処理物。 - カルシウム成分を含有する有機物を温度300〜700℃で加熱処理した後、得られた炭化物に二酸化炭素を含むガスを供給した状態で700〜1,000℃で加熱処理し、アルカリ機能を有する炭酸カルシウムと吸着能を有する炭素とを含んだ炭化物の炭酸化処理物を製造することを特徴とする炭化物の炭酸化処理物の製造方法。
- 請求項3に記載の炭化物の炭酸化処理物の製造方法において、
カルシウム成分を含有する有機物の加熱処理における熱源または雰囲気ガスとして、廃棄物焼却施設で発生した排ガス、廃棄物焼却施設で発生した可燃性ガスの燃焼設備、加熱処理で発生した可燃性ガスの燃焼設備、下水処理場で発生した消化ガスの燃焼設備、自家発電設備の少なくともひとつからの排ガスを用いる炭化物の炭酸化処理物の製造方法。 - 請求項3または4に記載の炭化物の炭酸化処理物の製造方法において、
カルシウム成分を含有する有機物の加熱処理における燃焼排ガス生成用の燃焼設備に対する燃焼用空気を、廃棄物焼却施設で発生した排ガス、廃棄物焼却施設で発生した可燃性ガスの燃焼設備、加熱処理で発生した可燃性ガスの燃焼設備、下水処理場で発生した消化ガスの燃焼設備、自家発電設備の少なくともひとつからの排ガスによって加熱する炭化物の炭酸化処理物の製造方法。 - 請求項3、4、5のいずれかに記載の炭化物の炭酸化処理物の製造方法において、
二酸化炭素を含むガスとして、廃棄物焼却施設で発生した排ガス、廃棄物焼却施設で発生した可燃性ガスの燃焼設備、加熱処理で発生した可燃性ガスの燃焼設備、下水処理場で発生した消化ガスの燃焼設備、自家発電設備の少なくともひとつからの排ガスを用いる炭化物の炭酸化処理物の製造方法。 - 請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載の炭酸化処理物を、重金属成分を含んだ焼却炉飛灰を酸性溶液によって処理した後に得られる重金属溶出液にアルカリ剤として供給するとともに硫化剤を供給して混合攪拌処理し、硫化亜鉛を析出させて回収することを特徴とする焼却炉飛灰からの亜鉛の回収方法。
- 請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載の炭酸化処理物を焼却炉内に投入し、塩化水素ガスおよび硫化水素ガスを処理することを特徴とする焼却炉における排ガス中の酸性ガスの処理方法。
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