JP2005194176A - 炭素球状粒子およびその製造方法 - Google Patents

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重則 濱岡
Shoji Nagaoka
昭二 永岡
Masaru Morita
賢 森田
Takao Sato
崇雄 佐藤
Masanori Nagata
正典 永田
Hirotaka Ihara
博隆 伊原
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Abstract

【課題】有害な有機物の吸着能に優れ、光触媒機能による有機物の分解能を有すると共に、所要の赤色を呈することで、脱臭剤、抗菌剤、またはコーティング材等の広範囲な用途に好適に使用し得る、酸化チタンおよび酸化鉄が固定化された炭素球状粒子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】酸化チタン14および酸化鉄16を予め機械的に混合した金属混合物を、有機物原料に混合して所要径の球状物となし、この球状物を加熱して有機物原料を炭化させて、その表面および内部に酸化チタン14および酸化鉄16が分散して存在する炭素粒子12とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、炭素球状粒子およびその製造方法に関し、更に詳細には、有害な有機物の吸着能に優れ、光触媒機能による有機物の分解能を有すると共に、所要の赤色を呈することで、脱臭剤、抗菌剤、またはコーティング材等の広範囲な用途に好適に使用し得る、酸化チタンおよび酸化鉄が固定化された炭素球状粒子およびその製造方法に関するものである。
従来公知の気体または有機物等の吸着剤としては、シリカゲル、活性炭、ゼオライトまたはモレキュラーシーブス等の比表面積が高い物質が挙げられる。この中で特に活性炭は、例えば環境ホルモン等の有害物を筆頭とする有機物に対する吸着力は優れている一方で、これらの有害な有機物を吸着した状態の活性炭の処理は、活性炭が有する吸着物の濃縮効果もあり、非常に困難であることが知られている。これは吸着される環境ホルモン等の有害有機物自体の処理が、高温での焼却処理、高温高圧水を用いる、所謂スクラバー装置等による処理またはプラズマ等の特殊な技法を用いた大がかりかつ高度な処理を行なうことでしか対応ができないことに起因する。
このような課題を解決すべく、活性炭と光触媒機能を有する酸化チタンとを複合することにより、活性炭の有機物に対する吸着能と酸化チタンの有機物に対する分解能とを共有する材料が提案されている。例えば特許文献1に示す発明「汚染物質の除去方法及び浄化材」として、二酸化チタンまたは二酸化チタンと活性炭との混合物を主成分とする光触媒をフッ素樹脂などを用いて固定した浄化材を構成し、太陽光中の近紫外線により光触媒を活性化させて汚染物質を除去する旨が記載されているが、その形状が球状ではないため、コーティング等を実施する際の均質な付与が困難で施工性が悪く、コーティングされた対象物の意匠性が劣っている。また二酸化チタンと活性炭とが、混合物の状態で別々に存在しているため、二酸化チタンの光触媒機能を充分に生かすことが困難で、炭特有の濃縮効果により高濃度に濃縮された有機物を効率的に分解できない。
そこで特許文献2〜4に示す如く、酸化チタンを担持した複合活性炭に係る発明が提案されている。これらは活性炭または活性炭製造プロセス時に酸化チタンを混合し、活性炭の表面に酸化チタンが化学的に結合して一体的に存在しているため、活性炭および酸化チタンが夫々発現する有機物に対する吸着能および分解能を相乗的に生かし得る。しかし、やはり使用に供される活性炭自体の形が不定形であるため、前述([0003])した如く意匠性が乏しく、更にはその表面積や、充填密度が小さくなる問題を内在している。これらの問題を解決すべく本願発明の発明者は、特許文献5に記載の発明「酸化チタン・炭素複合粒子及びその製造方法」において、有機物の吸着能を発現すると共に、ベースとなる炭素粒子の表面および内部に有機物の分解能を発現する酸化チタンを強固に固定化し、かつその形状を球状とすることで、表面積および意匠性の問題を解決し得るようにしている。
しかし活性炭等の炭素は黒の単一色であるため、色合いをカラフルなものとして商品性を向上させることはできない。また色も黒のために、塗料等を塗布したとしても発色性が著しく劣り、簡単にカラーバリエーションを増やすことはできない。また白色の酸化チタンを混合した場合であっても、多少白っぽくなった濃い灰色になるに過ぎず、商品性の高いカラフルな色合いとすることは不可能であった。これに対して、特許文献6に記載の発明「光触媒活性炭、着色光触媒活性炭、呈色活性炭及びこれらを用いた消臭・吸着製品並びに土壌浄化方法」には、活性炭のデザイン性および意匠性を向上させるために、真空系の蒸着によって活性炭にクロム酸鉛、塩化コバルト水和物等を蒸着して着色した活性炭が開示されている。
しかし、特許文献6に開示の発明においては、活性炭の形が不定形であるため、前述([0003])した如く、意匠性等が乏しく、また有機物の吸着能および分解能を大きく設定し得ない問題が指摘される。実際、更に本発明者らの調査では、これらの複合活性炭の担持量は小さく、活性炭の吸着能を生かしているとは言い難い。
特開平6−315614号公報 特開平8−208211号公報 特開平9−20509号公報 特開平9−67113号公報 特開2001−321677号公報 特開2003−226512号公報
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る炭素球状粒子は、酸化チタンおよび酸化鉄を予め機械的に混合した金属混合物を、有機物原料に混合して所要径の球状物となし、
この球状物を加熱して前記有機物原料を炭化させることで得た炭素粒子の内部に、前記酸化チタンおよび酸化鉄が分散して存在すると共に、該炭素粒子の表面に分散して部分的に露出していることを特徴とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の別の発明に係る炭素球状粒子は、pH13におけるゼータ電位の上限値が25mV以下になっている酸化チタンおよび酸化鉄を予め機械的に混合した金属混合物を、有機物原料に混合して所要径の球状物となし、
この球状物を加熱して前記有機物原料を炭化させることで得た炭素粒子の表面内側近傍に、前記酸化チタンおよび酸化鉄が偏在し、
前記炭素粒子の外表面に、前記酸化チタンおよび酸化鉄が分散して部分的に露出していることを特徴とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の更に別の発明に係る炭素球状粒子は、所要のゼータ電位を有する酸化チタンおよび酸化鉄を予め機械的に混合した金属混合物を、有機物原料に混合して所要径の球状物となし、
この球状物を加熱して前記有機物原料を炭化させることで得た炭素粒子の表面内側近傍に、pH13におけるゼータ電位の上限値が25mV以下になっている前記酸化チタンまたは酸化鉄の何れか一方の酸化物が偏在すると共に、該ゼータ電位の上限値が25mVを超える他方の酸化物が該炭素粒子の内部に分散して存在し、
前記炭素粒子の外表面に、前記酸化チタンおよび酸化鉄が分散して部分的に露出していることを特徴とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の更に別の発明に係る炭素球状粒子の製造方法は、酸化チタンおよび酸化鉄を予め機械的に混合することで金属混合物を準備し、
前記金属混合物と、炭素化することで炭素粒子となる有機物原料とを混合して所要径の球状混合原料となし、
この球状混合原料を加熱することで、有機物原料を炭化させて球状の炭素粒子とし、
これにより前記酸化チタンおよび酸化鉄は、前記炭素粒子の内部に分散して存在すると共に、該炭素粒子の表面に分散して部分的に露出するようにしたことを特徴とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の更に別の発明に係る炭素球状粒子の製造方法は、pH13におけるゼータ電位の上限値が25mV以下になっている酸化チタンおよび酸化鉄を予め機械的に混合することで金属混合物を準備し、
前記金属混合物と、炭素化することで炭素粒子となる有機物原料とを混合して所要径の球状混合原料となし、
この球状混合原料を加熱することで、有機物原料を炭化させて球状の炭素粒子とし、
これにより前記酸化チタンおよび酸化鉄は、前記炭素粒子の表面内側近傍に偏在すると共に、該炭素粒子の外表面に部分的に露出するようにしたことを特徴とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の更に別の発明に係る炭素球状粒子の製造方法は、所要のゼータ電位を有する酸化チタンおよび酸化鉄を予め機械的に混合することで金属混合物を準備し、
前記金属混合物と、炭素化することで炭素粒子となる有機物原料とを混合して所要径の球状混合原料となし、
この球状混合原料を加熱することで、有機物原料を炭化させて球状の炭素粒子とし、
これによりpH13におけるゼータ電位の上限値が25mV以下になっている前記酸化チタンまたは酸化鉄の何れか一方の酸化物は、前記炭素粒子の表面内側近傍に偏在すると共に、該ゼータ電位の上限値が25mVを超える他方の酸化物は該炭素粒子の内部に分散して存在し、
更に前記炭素粒子の表面に、前記酸化チタンおよび酸化鉄が分散して部分的に露出するようにしたことを特徴とする。
以上に説明した如く、本発明に係る酸化チタン・酸化鉄が固定化された炭素球状粒子の製造方法によれば、予め酸化チタンおよび酸化鉄を、例えばメカニカルアロイング法等によって機械的に混合して金属混合物とすることで、酸化チタンおよび酸化鉄の双方を有機物原料中に均質に分散させ、これを乾燥、炭化することで、これらがその表面および内部に強固に固定化し、高い有機物の吸着能、分解能並びに赤色への呈色機能または強磁性を発現する炭素粒子を製造し得る。またこの炭素粒子は球状であるため、分級によって粒度分布の広狭を容易に調製可能であり、塗料等で使用する場合に、不定形粒子と比較して取り扱い時の均質性および流動性が高く、良好な延び、隠ぺい性および再現性を持って塗布することが可能となっている。更に球状故に充填密度も高くでき、単位体積当たりの重量、有機物の吸着能、分解能および呈色機能を高め得る。
そして酸化チタンおよび/または酸化鉄として、pH13におけるゼータ電位の上限値が、例えば25mV以下になっているものを選択し、かつ炭素粒子を球状化させるために、酸化チタンおよび酸化鉄からなる金属混合物と有機物原料との混合物の電荷をマイナスとし、更にマイナス電荷を有する官能基を備える液体中に投入することで生じる電荷的反発力および凝集力を利用すれば、酸化チタンおよび酸化鉄が球状化している炭素粒子の粒子表面の近傍に偏在して、内部(コア)が炭素、外部(殻)が酸化チタンおよび酸化鉄で構成される、所謂コア−シェル構造を形成することとなるため、該酸化チタンおよび酸化鉄の混合量を少なくしても外部(殻)に酸化チタンおよび酸化鉄がリッチとなって、充分に高い有機物の吸着能、分解能並びに赤色への呈色機能または強磁性を発現する炭素粒子を製造し得る。
次に、本発明に係る炭素球状粒子およびその製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本願の発明者は、光触媒機能により有機物の分解能を発現する酸化チタンと、赤色を呈する酸化鉄とを、例えばメカニカルアロイング法に代表される機械的な混合方法によって予め金属混合物とし、この金属混合物の混合・分散を可能とする、例えば所定の溶媒に溶解された有機物と混合、球状化させた後に炭素化処理することによって、その内部に酸化チタンおよび酸化鉄が分散、好適には平均的に分散、すなわち均質に存在すると共に、その表面にも均質な分散状態で部分的に露出された球状の炭素粒子が得られることを見出した。こうして得られた炭素球状粒子は、その表面および内部に酸化チタンと酸化鉄(FeまたはFe等)とが固定化され、更に炭素化処理による粒子自体の収縮で、炭素を核(コア)とし、酸化チタンおよび酸化鉄の双方がその表面に多く露出して殻(シェル)をなす、所謂コア−シェル型構造となるため、酸化チタンに由来する光触媒機能の活性および酸化鉄に由来する赤色の発色性(以下、赤色度と云う)の双方が高い(赤色度は、具体的にはa*(後述[0016])が少なくとも10以上の材料となっている)ことを見出した。また製造工程において、所定の酸化処理を実施すれば、酸化鉄を完全に三酸化鉄(Fe)の状態とし得るため、炭素球状粒子を良好な赤色に呈色させ得る。なお本発明においては炭素粒子の表面を、場合によって粒子内部における表面内側近傍との違いを明確化するため、外表面とも呼称する。
なお本発明において炭素球状粒子の色彩、具体的には赤色度は、国際照明委員会が定めるL*a*b*表示系におけるa*およびb*で定義される。このL*a*b*表示系は、XYZ表色系に基礎をおく表色系で、知覚的にほぼ均等な歩度をもつ色空間(均等色空間)の一つであり、色差を好適に表す表色系である。そしてL*値は明るさを0(暗い)〜100(明るい)の範囲で表し、色みはa*b*で表し、a*b*共に0の場合には無彩色を表し、a*はマイナスで緑みが、プラスで赤みが強くなり、またb*はマイナスで青みが、プラスで黄みが強くなる。
実施例に係る炭素球状粒子10は、図1に示す如く、基本的に炭素球状粒子10の表面に吸着された有機物の分解をなす酸化チタン14と、赤色を発現する酸化鉄16と、この酸化チタン14および酸化鉄16が強固に固定化(担持)されるマトリクスをなし、該有機物の吸着を司る球状の炭素粒子12(炭化後の有機物原料M)とから構成される。ここで炭素粒子12の表面に存在する酸化チタン14および酸化鉄16は、図2に示す如く、炭素粒子12に対して一部埋没して部分的に露出した状態となっており、これにより強固に固定化されている。
そして炭素球状粒子10を製造する工程は、図3に示す如く、炭素粒子12に固定化するべき酸化チタン14および酸化鉄16に、予め機械的な混合を施して金属混合物18を得る金属混合工程S1、炭素粒子12の原料となる有機物原料Mと、金属混合物18とを混合する混合工程S2、更に所要径の球状混合原料20とする球状化工程S3、球状混合原料20を乾燥等させる乾燥工程S4、加熱を施して乾燥済みの球状混合原料20を炭化させる炭化工程S5および炭素粒子12の表面および内部に固定化された酸化鉄16を三酸化鉄(Fe)として赤色に呈色する炭素球状粒子10を得る呈色工程S6とから構成される。なお、ここで混合工程S2、球状化工程S3、乾燥工程S4および炭化工程S5については、同様の内容が先願である特開2001−321677号公報に記載の発明「酸化チタン・炭素複合粒子及びその製造方法」にも記載されているため、詳細な説明を省略するが、球状化工程S3については本願発明と密接に関係する内容も含むため、必要に応じて詳細に説明する。
酸化チタン14および酸化鉄16が固定化されるマトリクス、すなわちベースとなる球状の炭素粒子12は、前述の如く、加熱することで炭化する有機物原料Mから製造される。この有機物原料Mには、セルロース系、フェノール樹脂系、アクリル樹脂系またはポリエチレン系等の天然物または合成物等の炭素化可能な有機物が何れの物質でも採用可能である。そしてこれらの有機物原料Mは、混合工程S2および球状化工程S3を経ることで所要量の酸化チタン14および酸化鉄16が混合され、球状の炭素粒子12を得るための球状粒子状態(球状混合原料20)とされる。この有機物原料Mとしては、特に炭素化し易いセルロースの使用が好適であるため、以下の実施例については有機物原料Mとして、セルロースを使用した場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。またセルロースとして、パルプなどのセルロース原料を一旦溶媒に溶解し、凝固剤によってセルロースに凝固した再生セルロースを使用した場合、その形状および構造を高度に制御できる利点があり、本発明に好適に利用し得る。
酸化チタン14としては、アナターゼ型またはルチル型の何れの結晶型のものも使用でき、特に限定されず使用状況により適宜選択できる。但し、一般にアナターゼ型の方が光触媒機能が高いため好適である。一般に酸化チタン14の粒子径は、0.001〜1.0μm程度であり、光触媒機能、例えば塗料として付与する際の施工性および前述([0003])した意匠性等の観点からできるだけ小さい方が好ましく、この観点から近年開発が進んでいる2〜200nmの超微粒子状の酸化チタン14の利用が特に好ましい。また実際に使用する酸化チタン14は、製造される炭素球状粒子10の目的粒径(後述([0021]))の1/20以下、好ましくは1/50以下に設定される。粒径が1/20より大きいと、炭素球状粒子10の形態が不安定となり球状とならず、特に炭素球状粒子10の表面に部分的に露出している酸化チタン14の固定力も弱くなる。
また酸化鉄16は、特に限定されず鉄酸化物であれば、FeO(OH)、FeまたはFeといった結合形態または六面体、針状、六角盤状または球状といった結晶構造であっても、適宜選択して使用し得る。また酸化鉄16の粒子径は、0.001〜5.0μm程度であり、特に意匠性(([0003]参照))の観点からできるだけ小さい方が好ましく、近年開発が進んでいる2〜200nmの超微粒子状の酸化鉄16の使用が特に好ましい。また実際に使用する酸化鉄16は、製造される炭素球状粒子10の目的粒径(後述([0021]))の1/20以下、好ましくは1/50以下に設定される。粒径が1/20より大きいと、炭素球状粒子10の形態が不安定となり球状とならず、特に炭素球状粒子10の表面に部分的に露出している酸化鉄16の固定力も弱くなる。
炭素球状粒子10に含有される酸化チタン14および酸化鉄16の量は、球状混合原料20内に含まれる酸化チタン14および酸化鉄16の含有量によって大まかに制御されるため、予め目的とする含有量や、炭化条件等を考慮して決定する必要がある。そして球状混合原料20中の酸化チタン14および酸化鉄16を合わせた総含有量は、1重量の炭素粒子12に対して99重量部以下となるように設定される。この含有量が99重量部を越えると、球状混合原料20の形態が不安定となり好適な粒形とならず、酸化チタン14および酸化鉄16の炭素粒子12に対する固定力が弱くなって脱落し易くなり、また炭素球状粒子10の物理的強度が弱くなったり、充填時の密度が小さくなったりして好ましくない。また酸化チタン14の含有量と、酸化鉄16の含有量との比率については以下のように設定される。すなわち酸化チタン14:酸化鉄16=1:5〜99:1(1重量の酸化鉄16に対して、酸化チタン14が0.2〜99重量部)の範囲に設定される。なお酸化チタン14または酸化鉄16の含有量が少ない場合は、その量の減少に比例して酸化チタン14の光触媒機能や、酸化鉄16の呈色機能が低下するため、以下にその含有量について個別に述べる。
一般に酸化チタン14の場合は、固定化される炭素粒子12の吸着能に対応し得るだけの分解能が求められ、この観点から1重量の炭素粒子12(炭化後のセルロース(有機物原料M))に対して、少なくとも0.67重量部以上に設定される。この値未満では、製造される炭素球状粒子10の光触媒機能による有機物の分解能が乏しくなり、炭素粒子12の有機物の吸着能が飽和・平衡状態となってしまい、長期間に亘る有機物の吸着・分解作用の保持が困難となる。
そして酸化鉄16の含有量は、1重量の炭素粒子12(炭化後のセルロース(有機物原料M))に対して、少なくとも0.04重量部以上に設定される。この含有量が、0.04重量部未満では、製造される炭素球状粒子10が充分な呈色機能を発現しなくなる。具体的には、本発明で定義する赤色度の指標となっている国際照明委員会が定めるL*a*b*表示系におけるa*の値が10未満となってしまう。また炭素粒子12に対する酸化チタン14および酸化鉄16の含有量は前述([0022])の如く、その上限が設定されているため、赤色度を高めようと酸化鉄16の含有量を大きくすることは、酸化チタン14の含有量の低下、すなわち有機物の分解能の低下に繋がる。しかし本願発明者は、酸化鉄16にも若干の可視光触媒効果が認められ、これにより酸化チタン14の含有量減少による光触媒効果の低下を相殺し得ることを確認している。
金属混合工程S1は、酸化チタン14および酸化鉄16に予め機械的な混合を施して金属混合物18を得る工程である。炭素球状粒子10の構造内における酸化チタン14および酸化鉄16の存在状態は、球状混合原料20(球状粒子形状とされ、酸化チタン14および酸化鉄16が含有されたセルロース(有機物原料M))中の酸化チタン14および酸化鉄16の存在状態に大きく依存する。従って、酸化チタン14および酸化鉄16が均質に分散した球状混合原料20を使用すれば、酸化チタン14および酸化鉄16が、炭素粒子12の内部に均質に分散して存在すると共に、炭素粒子12の表面に均質に分散して部分的に露出され、強固に固定化されている炭素球状粒子10が得られる。すなわち、この金属混合工程S1で酸化チタン14および酸化鉄16の充分な混合がなされないと、後の混合工程S2において金属混合物18がセルロース(有機物原料M)中で酸化チタン14および酸化鉄16に相分離した状態で混合されてしまい、夫々酸化チタン14または酸化鉄16が集まった形となり、良好な有機物の分解能および赤色度が得られなくなってしまう。具体的には、メカニカルアロイング法に準じた金属の混合や、スタンプミルによる混合が好適に採用される。また一般に酸化チタン14および酸化鉄16としては、その機能発現性とコストとを考えて、酸化チタン14については粒径のできる限り細かいもの(6〜30nm程度)を、酸化鉄16についてはある程度大きなもの(0.1〜0.7μm程度)を使用することが通例である。このような場合、大きな粒子である酸化鉄16の周囲を取り囲むように、小さな粒子である酸化チタン14が密集してしまうことが経験的に知られており、このような現象回避のためにも、本金属混合工程S1は必須不可欠なものとなっている。なお前述の如く、本金属混合工程S1は酸化チタン14および酸化鉄16による夫々の作用、すなわち高い有機物の分解能並びに赤色への呈色機能または強磁性を発現するために必須不可欠であるが、その混合の程度を制御することで、酸化チタン14および酸化鉄16の分散の状態を任意に偏在気味にすることも可能である。
混合工程S2は、先の金属混合工程S1により得られた金属混合物18と、液状であるセルロース(有機物原料M)を混合する工程である。本混合工程S2での混合は、例えばスリーワンモーターの如きホモジナイサー等を使用した従来公知の混合方法であれば、如何なる方法でも採用可能であり、例えば特開昭63−92603号公報等に記載されている方法によりなされる。この方法によれば、適当な製造条件の選択によって、平均粒径が600〜1000μmといった大きいものから、平均粒径が3〜10μmの微小な酸化チタン14および酸化鉄16が混合された球状混合原料20を得ることが可能であり、その粒度は必要に応じて分級等により適宜揃えられる。
球状化工程S3は、混合工程S2で得られた金属混合物18およびセルロース(有機物原料M)の混合物を球状粒子形状の球状混合原料20とする工程である。具体的には金属混合物18が混合された状態のセルロース(有機物原料M)と、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液とを混合し、セルロース(有機物原料M)がその表面に備えるCOO(カルボキシル基)と、ポリアクリル酸ナトリウムが有するCSS(ザンデート基)との間に生じる電荷的反発力および凝集力を利用することで、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液中で金属混合物18が混合された状態のセルロース(有機物原料M)を球状の液滴とする工程である。すなわち有機物原料Mが組成的に備える官能基の電荷と同じ電荷の官能基を有する液体中に、有機物原料Mを投入することで、本球状化工程S3は達成される。ここでは有機物原料MにCOO(カルボキシル基)を有するセルロースを使用し、このセルロースを投入する液体としてCSS(ザンデート基)を有するポリアクリル酸ナトリウム水溶液を使用して、夫々が有する官能基のマイナス電荷による反発を利用して混合物を球状化しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、この他のマイナス電荷を有する官能基を備える物質の使用や、何れの官能基もプラス電荷を備える物質を使用した方法も好適に採用し得る。更に混合工程S2で得られた金属混合物18および有機物原料Mの混合物を、所要のノズルを使用して高温環境化に噴霧して微細な液滴とし、これを瞬時に乾燥させることで球状混合原料20を得る方法も採用し得る、。この場合、有機物原料Mの粘度、使用するノズルの吐出孔口径および吐出圧等によって、球状混合原料20の粒径は任意に制御可能である。なおここで球状混合原料20の粒径は特に限定されないが、炭素球状粒子10が目的とする粒径や、セルロース(有機物原料M)および金属混合物18(酸化チタン14および酸化鉄16)の量を考慮して選定される。
なおセルロース等の有機物原料Mは、後述の乾燥・炭化によってその重量を減じて炭素粒子12となる。従って前述([0022]〜[0024])の酸化チタン14または酸化鉄16の含有量、すなわち混合量は、その重量の減少を織り込んだ形で算出する必要がある。例えば本実施例の如く、有機物原料Mとしてセルロースを選択した際には、重量100のセルロースが重量6程度の炭素粒子12となる。また混合工程S2および球状化工程S3において、必要に応じて球状混合原料20に多孔化処理を実施してもよい。多孔化処理を実施した場合、得られる炭素球状粒子10の構造も概ね同様の粗なものを形成して、表面積が向上して嵩比重が低減する。多孔化処理の方法は特に限定されないが、例えば特開昭63−90501号公報や特開昭63−92602号公報に記載されている方法を使用することができる。
次に実施される乾燥工程S4は、基本的に予備乾燥段階S41、拘束水除去段階S42、脱水縮合段階S43および洗浄段階S44の4段階からなる。予備乾燥段階S41は、球状混合原料20を単に予備的に乾燥させて、後の段階で悪影響が出ない程度、具体的には表面に吸着した水分を除去して水分率を3〜10重量%程度とすることで、球状混合原料20の流動性を低いものとして球状粒子の形状を維持し得る状態とする段階である。乾燥方法は特に限定されず、熱風乾燥方法、円筒乾燥機の使用、赤外線乾燥、高周波乾燥、凍結乾燥、有機溶媒からの乾燥、減圧乾燥または風乾等を適宜使用できる。なお球状化工程S3を噴霧によって実施した場合は不要となる。
拘束水除去段階S42は、拘束水、すなわち化学構造的に含有されるまたは分子間力によって構造内に拘束されている水分を除去することで、セルロース(有機物原料M)を炭化して球状混合原料20から炭素球状粒子10を得る際のタールによる炭素球状粒子10の凝集の発生を低減するための工程である。具体的には、100℃〜250℃、好ましくは150℃〜220℃の温度により真空下で加熱することで実施される。脱水縮合段階S43は、炭素粒子12となるセルロース(有機物原料M)を構成する各物質を脱水させつつ縮合させてタール自体を低減させ、これにより炭素球状粒子10の凝集の発生を低減する工程である。具体的には、乾燥空気または酸素通気下250℃〜350℃、好ましくは270℃〜330℃の温度下で実施される。洗浄段階S44は、脱水縮合段階S43で球状混合原料20中に副生する多くのタール物質を、水、メタノール或いはエーテル、エタノール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはヘキサン等の有機溶媒で連続的に洗浄する工程である。すなわち拘束水除去段階S42、脱水縮合段階S43および洗浄段階S44は、セルロース(有機物原料M)から、後述する炭化工程S5の実施により発生し、複数の炭素球状粒子10を凝集させてしまう中分子量の有機揮発分、すなわちタールの量を抑制するために実施される段階である。従って、有機物原料Mとして、このような成分が含まれない物質を使用した場合、これらの段階S23〜S44は省略可能となる。なお球状化工程S3を噴霧によって実施され、かつその乾燥温度が拘束水の除去を可能とする温度である場合には、前述の予備乾燥段階S41と同様に本拘束水除去段階S42も不要となる。
炭化工程S5は、乾燥工程S4の実施により、その形状が崩れないようにして球状保持をなし得る状態とされ、かつ凝集の原因となるタール分を低減させた球状混合原料20を加熱してセルロース(有機物原料M)を炭化させる工程であり、この炭化工程S5を経ることで炭素球状粒子10が得られる。この炭化工程S5は、350℃〜1300℃、好ましくは500℃〜900℃の温度により、窒素等の不活性ガス雰囲気下で所定時間の加熱により実施される。この際、光触媒機能のより高いアナターゼ結晶型となる酸化チタン14が多くなるように、550〜650℃といった炭化条件を選ぶことが好ましい。また本炭化工程S5を経ることで球状混合原料20の大きさは収縮し、酸化チタン14および酸化鉄16が炭素粒子12の表面に多く出現することになる。これは、酸化チタン14および酸化鉄16によって夫々発現される光触媒機能および呈色機能が高い水準で達成されることを意味する。なお球状化工程S3を噴霧によって実施され、かつその乾燥温度が有機物原料Mの炭化を可能とする温度であり、かつ有機物原料Mとして複数の炭素球状粒子10を凝集させてしまう中分子量の有機揮発分(タール)が含まれない物質を使用した場合には、前述の乾燥工程S4および拘束水除去段階S42と同様に本2も不要となる。
呈色工程S6は、酸化鉄16の構造を赤色を呈する三酸化鉄(Fe)の状態とする工程である。基本的に酸化鉄16は、その種類に限らず、先の炭化工程S5を経ることで還元された三酸化鉄(Fe)以外の四酸化三鉄(Fe)の状態とされるため、これを酸化することで赤色に呈色する三酸化鉄(Fe)に戻す必要がある。従って本呈色工程S6は、先の炭化工程S5を経ることで得られた炭素球状粒子10を、COガスやOガスによる酸化雰囲気下で200℃〜1300℃、好ましくは400℃〜1000℃で加熱することで実施される。この呈色工程S6についても、炭化工程S5と同様に、酸化チタン14の構造が光触媒機能の高いアナターゼ結晶型を維持する、またはアナターゼ結晶型に転位する条件を選ぶことが好ましい。
また本呈色工程S6を実施しない場合、炭素球状粒子10には四酸化三鉄(Fe)が含有されることになる。この四酸化三鉄(Fe)は、FeO・Feとも表されるように、Fe2+とFe3+とが1:2の比率で含有され、強磁性を有する物質であるため、本発明に係る炭素球状粒子10に強磁性を与えることが可能となる。
このようにして得られた炭素球状粒子10は、炭素粒子12、すなわち活性炭による有機物の吸着能や濃縮機能と、酸化チタン14の光触媒機能による有機物の分解能と、酸化鉄16による赤色の呈色機能とを併有する。このため、例えば塗料としての用途等に好適に使用される。しかし本発明では、これらに限定されるものではない。本発明で得られた炭素球状粒子10は、赤色に呈色し、カラーリングに都合がよい。具体的には、室内やトイレ、冷蔵庫内、自動車内等のいやな臭いを長期間に亘って吸着・分解を維持できる消臭剤や水槽内の水質浄化剤等の素材として好適に利用し得る。また均質かつ微小な球状の粒子構造を有するため均一で良好な塗布性も備え、紙または樹脂等のフィルム、シートに担持させた障子紙、壁紙或いはふすま紙等の建材等への応用、更にはインテリア製品や生活雑貨等の室内装飾品の表面に担持させるコーティング剤用途にも対応し得る。
また本発明に係る炭素球状粒子10は、その表面および内部に均質に分散された状態の酸化チタン14および酸化鉄16を含有する(図2参照)。ところで酸化チタン14については、前述した如く、光触媒機能による有機物の分解能を有する。このため炭素球状粒子10は、その経年変化により、図4に示す如く、ベースである炭素粒子12自体が酸化チタン14によって次第に分解されてしまう(図4(a)参照)。しかし本発明に係る炭素球状粒子10は、前述の如く、その内部にも酸化チタン14および酸化鉄16が均質に分散されているため、分解によって表面が剥離するようになくなっても、常にその表面に酸化チタン14および酸化鉄16が均質に分散して存在する状態を維持し得る(図4(b)参照)。すなわち経年変化によって、酸化チタン14および酸化鉄16による有機物の分解能および赤色の呈色等が低下することがない特徴も併有する。
(別の実施例)
前述の実施例では、酸化チタン14および酸化鉄16として、その粒径および混合量を規定しているが、この他、そのゼータ電位を所要の値となっているものを使用することで、図5に示す如く、有機物原料M内に混合された酸化チタン14および酸化鉄16が、炭素粒子12の内部においては、炭素粒子12の表面内側近傍に偏在した状態となっている炭素球状粒子10、すなわち内部(コア)が炭素、外部(殻)が酸化チタン14および酸化鉄16で構成された、所謂コア−シェル構造となった炭素球状粒子10を製造することも可能である。なお炭素球状粒子10の外表面(表面)における酸化チタン14および酸化鉄16の存在量も、前述の実施例に較べて増大する。このような構造となった炭素球状粒子10は、有機物の分解能および赤色への呈色機能または強磁性を夫々発現する酸化チタン14および酸化鉄16が、炭素粒子12の表面内側近傍(炭素粒子12の中心を通る円形断面において外縁部近傍)に偏在、すなわち集中しているため、酸化チタン14および酸化鉄16の有機物原料Mへの混合量を少なくしても、前述の作用を高い水準で維持し得る。酸化チタン14および酸化鉄16の混合量は、前述([0022])の如く、球状形態の不安定化、酸化チタン14および酸化鉄16の炭素粒子12に対する固定力の低下および炭素球状粒子10の物理的強度の低下等を抑制するため、1重量の炭素粒子12に対して99重量部以下となるように設定されているが、本実施例の採用によってこれらの全てを満足しつつ、かつ高い水準で酸化チタン14および酸化鉄16の作用を享受し得る。
本実施例は具体的には、有機物原料MとしてCOO(カルボキシル基)を有するセルロースを使用し、このセルロースを投入して液滴化する液体としてCSS(ザンデート基)を有するポリアクリル酸ナトリウム水溶液を使用し、更にこの双方の物質が有する官能基のマイナス電荷に反発する要素を内包する酸化チタン14および酸化鉄16を使用することでなされる。ここでマイナス電荷に反発する要素として、本実施例は粉体粒子表面がどれだけの電荷を持っているかを表す指標であるゼータ電位に着目し、これを用いて酸化チタン14および酸化鉄16を定義することとした。すなわち酸化チタン14および酸化鉄16として、セルロースをポリアクリル酸ナトリウム水溶液に投入して球状の液滴とする際の条件であるpH13におけるゼータ電位の上限値が25mV以下になっているものを使用することとした。一般に粉体のゼータ電位は、図6に示す如く、X軸にゼータ電位、Y軸にその強度をとったグラフにおいて、一定値にピークおよび幅を持つグラフで表される。そして本願の発明者は、その幅における上限値、すなわちゼータ電位の上限値が25mV以下の場合(図6(a)参照)に、前述のシェル−コア構造が好適に形成されることを知見したものである。この値が25mVを超えた場合(図6(b)参照)、酸化チタン14および酸化鉄16は図1に示すように炭素粒子12内に均質に分散した状態で存在することになる。そして図6に示すグラフにおいて、ピークにおけるゼータ電位値等はシェル−コア構造の形成にはあまり関連がない。なお本実施例においては、ゼータ電位はレーザードップラー(Laser Doppler)方式によって測定されている。
そして酸化チタン14および酸化鉄16(以下、単に酸化物17と省略する)は、図7に説明する機構によって、炭素球状粒子10の表面内側近傍に偏在した状態となる。すなわち有機物原料M中に混合された酸化物17には、その表面のマイナス電荷が有機物原料M内のマイナス電荷を備えるCOO(カルボキシル基)の存在によって、有機物原料Mの外部に排斥される力が働く(図7(a)参照)。そして有機物原料MがCSS(ザンデート基)を有するポリアクリル酸ナトリウム水溶液内に投入された場合、有機物原料MはCOO(カルボキシル基)とCSS(ザンデート基)との電荷的反発および凝集力([0027]参照)によって球状化されると共に、酸化物17はそのマイナス電荷故にCOO(カルボキシル基)およびCSS(ザンデート基)によって、有機物原料Mおよびポリアクリル酸ナトリウム水溶液の双方から排斥される力が働き、結果的に有機物原料Mおよびポリアクリル酸ナトリウム水溶液の境界面、すなわち球状混合原料20の表面内側近傍に集められてしまう(図7(b)参照)。そしてこの状態で前述の各工程4およびS5が実施されて球状混合原料20は収縮するため、球状混合原料20の表面内側近傍に多数存在する酸化物17が、炭素球状粒子10の外表面に前述の実施例に比較してより多量に出現することになる(図7(c)参照)。なお図7中で矢印は、酸化物17に電荷によって掛かる力を表している。
なお酸化チタン14および酸化鉄16については、その双方のゼータ電位の上限値を25mV以下にする必要はなく、必要に応じて一方だけのゼータ電位の上限値を25mV以下としてもよい。このように処置することで、酸化チタン14または酸化鉄16の何れか一方だけを炭素粒子12の表層部に偏在させ、他方を炭素粒子12の内部全体に分散させて存在した状態とし得る。また炭素粒子12の表層部への偏在の度合いは、ゼータ電位によって自在に制御できることも確認されている。この他、酸化チタン14および酸化鉄16に関わらず、他の粉体等であっても同様の条件を満たせば、炭素粒子12の内部において該粉体等を表面内側近傍に偏在させた炭素球状粒子10を製造し得る。
(実験例)
以下に本発明に係る炭素球状粒子を、その組成を変更した場合の実験例を説明するが、本発明は下記の各実験例により限定されるものではない。
(実験1:光触媒機能と赤色度とについて)
ここで述べる各実施例1〜6は、基本的に下記の表1に記載した組成となるように、有機物原料、酸化チタン(AまたはB)および酸化鉄が混合される。そして酸化チタン(AまたはB)および酸化鉄を、メカニカルアロイング装置を使用することで、1000回転/分、60分の条件で金属混合物(金属混合工程S1)とした。
そしてこの金属混合物と、有機物原料とをホモジナイザーにより1800回転/分で混合し(混合工程S2)、ここにポリアクリル酸ソーダ(平均分子量40,000、濃度10重量%)水溶液と、炭酸カルシウム粉末と、蒸留水とを混合し、室温下、回転数90回転/分で10分間混合し(球状化工程S3)、そして約30分かけて80℃に昇温、30分間保持した後(予備乾燥段階S41)、ガラスフィルターにて凝固物を濾別して5重量%塩酸にて中和、更に水洗して球状混合原料とし、次いでこれに拘束水除去段階S42、脱水縮合段階S43、洗浄段階S44、炭化工程S5および呈色工程S6を実施した。また実施例6は、実施例2と同様の組成であって、酸化チタンとしてpH13におけるゼータ電位の上限値が25mV以下(15mV)となる酸化チタンAの代えて、pH13におけるゼータ電位の上限値が25Vを超える(60mV)酸化チタンBを使用した実施例である。なお以下に、各段階・工程の詳細な条件を説明をする。
このようにして得た実施例1〜6に係る炭素球状粒子について、光触媒機能および赤色度を測定した。光触媒機能の測定は、光触媒製品技術協議会が定める光触媒性能評価試験法II(2000年度版)ガスバックA法によって実施した。また赤色度の測定は、国際照明委員会が定めるL*a*b*表示系に準じた評価をなすべく、正反射光除去法(SCE)によって実施した。またこれらの測定を実施した後の実施例1〜6に係る全ての炭素球状粒子について、3時間以上、1mW/cmの光を照射する前処理を実施して、その表面を清浄し、これに光を照射しないで同様の試験を実施して20時間放置する光触媒機能に関する測定を比較例として実施した。なお光触媒機能の測定については、以下に詳細な方法を開示する。
(使用原料)
・有機物原料:ビスコース(苛性ソーダ5.5重量%、セルロース8.9重量%;興人製)
・酸化チタンA:商品名 P−25;日本アエロジル製(pH13におけるゼータ電位の上限値:15mV)
・酸化チタンB:商品名 ST−01;日本アエロジル製(pH13におけるゼータ電位の上限値:60mV)
・酸化鉄:汎用の酸化鉄(FeO(OH))(pH13におけるゼータ電位の上限値:20mV)
(使用装置)
・機械的な混合装置:商品名 遊星型ボールミルP−5;フリッチェ製
・ホモジナイザー:スリーワンモーター(商品名 BL−3000;HEIDEN製)
・乾燥工程S4に使用した加熱装置:汎用のオイルバス
・炭化工程S5および呈色工程S6に使用した加熱装置:商品名 M1型;入江製作所製
・走査型電子顕微鏡(実験2):商品名 FE−SEMS−4000;日立製作所製
・X線回折装置(実験2):商品名 RINT2000;RIGAKU製
・分光光度計(実験2):商品名 Spec trophotometer CM−2002;Konica Minolta Sensing Inc製
・BET比表面積計(実験2):商品名 AUTOSORB−1;ユアサアイオニクス製
・電子線マイクロアナライザー(実験2):商品名 JXA?8900 WD/ED;JEOL製
(各工程・段階の条件)
・拘束水除去段階S42:真空度6.67Pa(0.05torr)、室温で30分保持し、その後200℃まで2時間で昇温して5時間保持した後に自然冷却する。
・脱水縮合段階S43:300℃まで5時間で昇温し、1時間保持する。
・洗浄段階S44:洗浄液として、水、アセトンおよびエーテルを、この順番に使用して洗浄する。
・炭化工程S5:不活性ガス雰囲気下で600℃まで5時間で昇温し、4時間保持する。
・呈色工程S6:炭酸ガス雰囲気下で500℃で、24時間加熱する。
(光触媒機能および赤色度の測定方法)
・光触媒機能の試験方法:テドラーバッグの中に試料中の酸化チタンの量が500mgになるように入れて密封し、この中にアセトアルデヒドを封入し、試験試料に飽和になるまで吸着させる。その後、テドラーバックの中を80〜100mlのアセトアルデヒドガス3リットルで満たし、これに紫外線1mW/cmでの光を照射し、アセトアルデヒドの濃度を検知管で測定し、基本的にアセトアルデヒド濃度が0%に到達する時間を計測することで評価した。なお比較例1〜6については、20時間経過後の残留アセトアルデヒド濃度を検知管で測定した。
・赤色度の試験方法:測定対象物である各実施例に係る炭素球状粒子に光源から照明される所要の光成分の正反射光成分を光フィルタにより除去し、残った拡散光成分だけを分光光度計によって測定する。
(結果)
光触媒機能および赤色度の結果を下記の表1に併記する。この表1の結果から、酸化チタンの含有率によって、除去にかかる時間は変化するが、基本的にアセトアルデヒドは完全に除去可能であることが確認された。また赤色度についても、炭素粒子に対する含有量に比例的に高くなっていることが確認された。また実施例6については、実施例2と同様の組成であるが、ゼータ電位の差で炭素球状粒子の粒子表面の近傍に存在する酸化チタンの量が少なくなっているため、アセトアルデヒド0%到達時間(分)が実施例2に比較して3倍の120分と長くなっており、酸化チタンの作用の低下が確認された。
(実験2:各工程・段階における球状混合原料または炭素球状粒子の様子について)
また実施例1の球状混合原料および炭素球状粒子については、以下の段階で走査型電子顕微鏡(SEM)写真の撮影(図8(表面))、その表面を電子線マイクロアナライザー(以下、EPMAと云う)で表面元素(チタンおよび鉄)分析したマッピング画像(図9)、更に炭素球状粒子を半球となるように切断し、その切断面をEPMAで表面元素(チタンおよび鉄)分析したマッピング画像(図10)およびX線回折分析(図11)、更に必要に応じてBET比表面積測定による調査を実施した。
(1)球状混合原料(予備乾燥段階S41後):
・走査型電子顕微鏡(SEM)表面写真(図8(a))−真球状の粒子形状をなし、その表面に酸化チタンおよび酸化鉄が確認された。
・X線回折分析の結果を示すチャート(図11(a))−セルロースに由来するピークと二酸化チタン(アナターゼ型)と、酸化鉄(FeO(OH))に由来するピークが確認された。
(2)脱水縮合後の球状混合原料(脱水縮合段階S43後):
・X線回折分析の結果を示すチャート(図11(b))−セルロースに由来するピークが消失し、二酸化チタン(アナターゼ型)に由来するピークが確認され、更にFeO(OH)はFeとなり、部分的にFeに変化していることが確認された。
(3)炭素球状粒子(炭化工程S5後):
・走査型電子顕微鏡(SEM)表面写真(図8(b))−針状の酸化鉄と粒子状の酸化チタンとが炭素表面に存在しているのが確認された。
・X線回折分析の結果を示すチャート(図11(c))−二酸化チタン(アナターゼ型)に由来するピークと、黒色の四酸化三鉄Feのピークが確認された。
・更にBET比表面積は117.9m/gであり、磁石に反応し、強磁性を示すことが確認された。
(4)炭素球状粒子(呈色工程S6後):
・走査型電子顕微鏡(SEM)表面写真(図8(c))−酸化チタンおよび酸化鉄(Fe)が炭素球状粒子表面に多く存在して埋没した状態をとっており、強固に固定化されていることが確認された。
・炭素球状粒子の表面(図8(a)参照)におけるEPMAによるチタン(図9(a))および鉄(図9(b))の表面元素分析マッピング画像−酸化チタンおよび酸化鉄(Fe)が炭素球状粒子表面に均一に分布していることが確認された。なお図9に係る表面元素分析マッピング画像については、明度の高い部位程、対象元素(チタンまたは鉄)の存在割合が高いことを示している。またEPMAは、炭素球状粒子の表面に対して所要の光線を照射し、該表面からからの反射を利用した解析がなされるため、表面からの反射が光線照射方向からずれる炭素球状粒子の図上における縁部については、EPMAによる測定が困難となっている。このため図9においては、当該部位が黒く、あたかもチタン(図9(a))および鉄(図9(b))が存在しない状態として観察されるが、実際にはその他の部位と同様に均質にチタン(図9(a))および鉄(図9(b))が分散している。
・炭素球状粒子の断面におけるEPMAによるチタン(図10(a))および鉄(図10(b))の表面元素分析マッピング画像−酸化チタンおよび酸化鉄(Fe)が炭素球状粒子表面に密に分布した、所謂コア−シェル構造になっていることが確認された。なお図10においては、夫々の存在割合が高い方から低い方に向かって、当該部位の斜線(または格子)の間隔が密から疎となっており、最も対象元素(チタンまたは鉄)の存在割合が高い部位は、格子によって示されている。
・X線回折分析の結果を示すチャート(図11(d))−炭素、酸化チタン(アナターゼ型)および酸化鉄(Fe)に由来するピークが確認された。
・更にBET比表面積は、39.9m2/gであり、充分な吸着能が期待できる。
この際、実施例1〜5に係る各工程・段階を経る毎の状況は以下の通りであった。すなわち
・予備乾燥段階S41後:球状混合原料51.50g、後:50.10g、炭素含量21.10%
・拘束水除去段階S42後:球状混合原料48.08g、後:31.70g、炭素含量19.20%
・脱水縮合段階S43後:球状混合原料25.10g、後:19.80g
・炭化工程S5後:炭素球状粒子2.0g、後:2.0g
本発明の好適な実施例に係る炭素球状粒子の一部を切り欠いて示す斜視図である。 実施例に係る炭素球状粒子の表面を拡大して示す断面図である。 実施例に係る炭素球状粒子の製造工程を示す工程図である。 実施例に係る炭素球状粒子が経年変化する前後の表面の状態を示す断面図である。 別の実施例に係る炭素球状粒子の一部を切り欠いて示す斜視図である。 (a)その上限値が25mV以下となっている場合、(b)その上限値が25mVを超えている場合の夫々の酸化チタン等の粉体のゼータ電位を測定したグラフである。 別の実施例に係る球状混合原料内に混合された酸化物の状態を示す状態図である。 球状混合原料または炭素球状粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)の表面写真であって、予備乾燥段階S41後の球状混合原料の走査型電子顕微鏡写真である。 球状混合原料または炭素球状粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)の表面写真であって、炭化工程S5後の炭素球状粒子の表面の走査型電子顕微鏡写真である。 球状混合原料または炭素球状粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)の表面写真であって、呈色工程S6後の炭素球状粒子の表面の走査型電子顕微鏡写真である。 呈色工程S6後の炭素球状粒子の表面の状態を示す図であって、電子線マイクロアナライザーによる表面のチタンのマッピング画像である。 呈色工程S6後の炭素球状粒子の表面の状態を示す図であって、電子線マイクロアナライザーによる表面の鉄のマッピング画像である。 半球状に切断した呈色工程後の炭素球状粒子の切断した断面の状態を示す図であって、(a) 電子線マイクロアナライザーによる断面のチタンのマッピング画像の模式図と、(b) 電子線マイクロアナライザーによる断面の鉄のマッピング画像の模式図である。 球状混合原料または炭素球状粒子のX線回折分析の結果を示すチャート図であって、(a)予備乾燥段階S41後の球状混合原料のチャート図、(b)脱水縮合段階S43後の球状混合原料のチャート図、(c)炭化工程S5後の球状混合原料のチャート図および(d)呈色工程S6後の球状混合原料のチャート図である。
符号の説明
12 炭素粒子
14 酸化チタン
16 酸化鉄
18 金属混合物
20 球状混合原料
M 有機物原料

Claims (14)

  1. 酸化チタン(14)および酸化鉄(16)を予め機械的に混合した金属混合物(18)を、有機物原料(M)に混合して所要径の球状物となし、
    この球状物を加熱して前記有機物原料(M)を炭化させることで得た炭素粒子(12)の内部に、前記酸化チタン(14)および酸化鉄(16)が分散して存在すると共に、該炭素粒子(12)の表面に分散して部分的に露出している
    ことを特徴とする炭素球状粒子。
  2. pH13におけるゼータ電位の上限値が25mV以下になっている酸化チタン(14)および酸化鉄(16)を予め機械的に混合した金属混合物(18)を、有機物原料(M)に混合して所要径の球状物となし、
    この球状物を加熱して前記有機物原料(M)を炭化させることで得た炭素粒子(12)の表面内側近傍に、前記酸化チタン(14)および酸化鉄(16)が偏在し、
    前記炭素粒子(12)の外表面に、前記酸化チタン(14)および酸化鉄(16)が分散して部分的に露出している
    ことを特徴とする炭素球状粒子。
  3. 所要のゼータ電位を有する酸化チタン(14)および酸化鉄(16)を予め機械的に混合した金属混合物(18)を、有機物原料(M)に混合して所要径の球状物となし、
    この球状物を加熱して前記有機物原料(M)を炭化させることで得た炭素粒子(12)の表面内側近傍に、pH13におけるゼータ電位の上限値が25mV以下になっている前記酸化チタン(14)または酸化鉄(16)の何れか一方の酸化物が偏在すると共に、該ゼータ電位の上限値が25mVを超える他方の酸化物が該炭素粒子(12)の内部に分散して存在し、
    前記炭素粒子(12)の外表面に、前記酸化チタン(14)および酸化鉄(16)が分散して部分的に露出している
    ことを特徴とする炭素球状粒子。
  4. 前記酸化鉄(16)は三酸化鉄(Fe)の状態とされ、これにより国際照明委員会が定めるL*a*b*表示系におけるa*が少なくとも10以上の赤色を呈する請求項1〜3の何れかに記載の炭素球状粒子。
  5. 炭素粒子(12)1重量に対する酸化チタン(14)および酸化鉄(16)を合わせた混合量は、99重量部以下に設定される請求項1〜4の何れかに記載の炭素球状粒子。
  6. 炭素粒子(12)1重量に対する酸化鉄(16)の混合量は、少なくとも0.04重量部以上に設定される請求項1〜5の何れかに記載の炭素球状粒子。
  7. 炭素粒子(12)1重量に対する酸化チタン(14)の混合量は、少なくとも0.67重量部以上に設定される請求項1〜6の何れかに記載の炭素球状粒子。
  8. 前記酸化チタン(14)と酸化鉄(16)との混合割合は、酸化チタン:酸化鉄=1:5〜99:1の範囲に設定される請求項1〜7の何れかに記載の炭素球状粒子。
  9. 前記有機物原料(M)として、セルロースが使用される請求項1〜8の何れかに記載の炭素球状粒子。
  10. 酸化チタン(14)および酸化鉄(16)を予め機械的に混合することで金属混合物(18)を準備し、
    前記金属混合物(18)と、炭素化することで炭素粒子(12)となる有機物原料(M)とを混合して所要径の球状混合原料(20)となし、
    この球状混合原料(20)を加熱することで、有機物原料(M)を炭化させて球状の炭素粒子(12)とし、
    これにより前記酸化チタン(14)および酸化鉄(16)は、前記炭素粒子(12)の内部に分散して存在すると共に、該炭素粒子(12)の表面に分散して部分的に露出するようにした
    ことを特徴とする炭素球状粒子の製造方法。
  11. pH13におけるゼータ電位の上限値が25mV以下になっている酸化チタン(14)および酸化鉄(16)を予め機械的に混合することで金属混合物(18)を準備し、
    前記金属混合物(18)と、炭素化することで炭素粒子(12)となる有機物原料(M)とを混合して所要径の球状混合原料(20)となし、
    この球状混合原料(20)を加熱することで、有機物原料(M)を炭化させて球状の炭素粒子(12)とし、
    これにより前記酸化チタン(14)および酸化鉄(16)は、前記炭素粒子(12)の表面内側近傍に偏在すると共に、該炭素粒子(12)の外表面に部分的に露出するようにした
    ことを特徴とする炭素球状粒子の製造方法。
  12. 所要のゼータ電位を有する酸化チタン(14)および酸化鉄(16)を予め機械的に混合することで金属混合物(18)を準備し、
    前記金属混合物(18)と、炭素化することで炭素粒子(12)となる有機物原料(M)とを混合して所要径の球状混合原料(20)となし、
    この球状混合原料(20)を加熱することで、有機物原料(M)を炭化させて球状の炭素粒子(12)とし、
    これによりpH13におけるゼータ電位の上限値が25mV以下になっている前記酸化チタン(14)または酸化鉄(16)の何れか一方の酸化物は、前記炭素粒子(12)の表面内側近傍に偏在すると共に、該ゼータ電位の上限値が25mVを超える他方の酸化物は該炭素粒子(12)の内部に分散して存在し、
    更に前記炭素粒子(12)の表面に、前記酸化チタン(14)および酸化鉄(16)が分散して部分的に露出するようにした
    ことを特徴とする炭素球状粒子の製造方法。
  13. 前記金属混合物(18)および有機物原料(M)の混合物は、該有機物原料(M)と同じ電荷を有する官能基を備える液体中に投入することによって生じる電荷的反発力および凝集力によって球状混合原料(20)とされる請求項10〜12の何れかに記載の炭素球状粒子の製造方法。
  14. 前記機械的な混合として、メカニカルアロイング法が採用される請求項10〜13の何れかに記載の炭素球状粒子の製造方法。
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