JP2005187489A - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents

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隆治 吉田
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Abstract

【課題】 洗浄力及び泡立ち性に優れ、洗浄時のぬるつきを抑制し、濯ぎ時にはぬるつきを容易に除去できる液体洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】 (a)カルボン酸化合物、塩基及び水の存在下、アルキルグリシジルエーテルを加水分解する工程を経て得られた、(a1)一般式(1)の化合物の含有量が97質量%以上であるアルキルグリセリルエーテル混合物0.1〜10質量%、(b)炭素数10〜18の炭化水素基を有する陰イオン界面活性剤5〜50質量%、(c)アミンオキシド型界面活性剤等から選ばれる界面活性剤0.1〜30質量%、並びに水を含有する液体洗浄剤組成物。
R−OCHCH(OH)CHOH (1)〔式中、Rは3級炭素等を1つ以上有する炭素数8〜10のアルキル基である。〕
【選択図】 なし

Description

本発明は液体洗浄剤組成物、特に台所まわり、食器や調理器具等の硬質表面の洗浄に適した液体洗浄剤組成物に関する。
アルキルグリセリルエーテルと陰イオン界面活性剤及び/又はアミンオキシド型界面活性剤を組み合わせて用いる液体洗浄剤が知られており(特許文献1〜4)、またアルキルグリセリルエーテルの製造法は、特許文献5〜10に開示されている。
特開2001−19993号公報 特開2001−49291号公報 特開平11−310792号公報 特開2001−181700号公報 特開平7−25804号公報 特開昭56−205234号公報 特開2001−114719号公報 特開平10−36306号公報 特開2002−114727号公報 特開2000−212114号公報
食器洗い用洗浄剤等の液体洗浄剤組成物には、洗浄時に泡立ち性及び泡持ち性が要求され、これらの課題を解決する目的からは、アミンオキシド型界面活性剤を増泡剤として併用することが好ましい。アミンオキサイドは泡特性のみならず、陰イオン界面活性剤と併用することで洗浄力も向上させる。これはアミンオキサイドが、中・酸性領域において陽イオン性の性質を持つため、陰イオン界面活性剤の陰イオンとイオン性のコンプレックスを形成し、これにより油に対する乳化力が向上し、結果として洗浄力が向上するものと思われる。
また、近年、界面活性剤の濃度を高めることでコンパクト化した濃縮タイプの液体洗浄剤が好まれて使用されている。このような濃縮化の傾向があるにもかかわらず、食器洗い用洗浄剤の使用方法は、以前にも増してスポンジに洗浄剤を直接塗付して洗浄する方法が一般化してきており、硬質表面に高濃度の界面活性剤が接触しやすくなっている。
高濃度の界面活性剤と硬質表面の接触は、硬質表面に付着した油汚れを除去しやすくする一方で、過剰な界面活性剤が、特に濯ぎ時におけるぬるつきの問題を発生させる原因となる。ぬるつきとは、指や掌等の身体と洗浄対象表面との間で感じられるものであり、洗浄剤がまるで油膜として平滑な被洗浄表面に存在するような感触である。基本的にぬるつきは、濯ぎを充分に行なうこと(通常の濯ぎ時間よりも濯ぎ時間を長くすること)で解消できるが、濯ぎ時のなかなか拭えないぬるつき感は好ましいものではなく、濯ぎ時間の増加による濯ぎ水の浪費にも繋がる。
ぬるつきは、アミンオキサイド型界面活性剤を使用することでより顕著になる。原因としては、アミオキサイド型界面活性剤自体が他の界面活性剤と比較してぬるつき易い性質を示すことが挙げられるが、前記コンプレックスの形成も影響していることが推測される。アミンオキシド型界面活性剤の量を低減化すると濯ぎ時のぬるつきは改善されるものの、泡立ち性が損なわれる。
アルキルグリセリルエーテルは、特許文献1〜3に記載されているように、陰イオン界面活性剤及びアミンオキシド型界面活性剤と共に、泡立ち性や洗浄力増強を目的に液体洗浄剤に使用されている。また、特許文献2に記載のとおり、グリセリルエーテルの異性体や多量体がこれら効果に影響することも知られている。しかしながら、特定のアルキル構造を有するアルキルグリセリルエーテルが、食器等の洗浄時や濯ぎ時のぬるつきを抑制するという特有の効果については何ら示唆するものではない。
本発明の課題は、高い洗浄力と好ましい泡立ち性を損なうことなく、しかも洗浄時のぬるつきを抑制し、濯ぎ時にはぬるつきを容易に除去できる液体洗浄剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、これら課題に対し、特定製造工程により製造されたアルキルグリセリルエーテル混合物が、優れた洗浄力と泡立ち性を示し、かつ洗浄時及び濯ぎ時のぬるつき感を抑制することを見出した。
本発明は、課題の解決手段として、
(a)炭素数が1〜12の炭化水素基を有する1〜3価のカルボン酸化合物又はその塩、塩基及び水の存在下、アルキルグリシジルエーテルを加水分解する工程を経て得られた、(a1)下記一般式(1)の化合物の含有量が97質量%以上であるアルキルグリセリルエーテル混合物 0.1〜10質量%、
R−OCHCH(OH)CHOH (1)
〔式中、Rは3級炭素及び/又は4級炭素を1つ以上有する炭素数8〜10のアルキル基である。〕
(b)炭素数10〜18の炭化水素基を有する陰イオン界面活性剤 5〜50質量%、
(c)炭素数8〜18の炭化水素基を有するアミンオキシド型界面活性剤、両性界面活性剤、及びアルカノールアミド型界面活性剤から選ばれる界面活性剤 0.1〜30質量%、並びに水を含有する液体洗浄剤組成物を提供する。
本発明の液体洗浄剤組成物によれば、洗浄力と泡立ち性が良く、食器や調理器具等の洗浄時のぬるつきを抑制することができ、濯ぎ時には容易にぬるつきが取り除かれる。
<(a)成分>
本発明の(a)成分は、炭素数が1〜12の炭化水素基を有する1〜3価のカルボン酸化合物又はその塩、塩基及び水の存在下、アルキルグリシジルエーテルを加水分解する工程を経て得られた、(a1)下記一般式(1)の化合物の含有量が97質量%以上であるアルキルグリセリルエーテル混合物である。
R−OCHCH(OH)CHOH (1)
〔式中、Rは3級炭素及び/又は4級炭素を1つ以上有する炭素数8〜10のアルキル基である。〕
一般式(1)においてRは、好ましくは2−エチルヘキシル基、iso−ノニル基、iso−デシル基を挙げることができ、泡立ち性及びぬるつき抑制効果の点から、特に2−エチルヘキシル基が好適である。
(a)成分のアルキルグリセリルエーテル混合物は、モノアルキルグリシジルエーテルをアルカリ加水分解して得られるものである。しかしながら、単にモノアルキルグリシジルエーテルをアルカリ加水分解する方法で得たアルキルグリセリルエーテル混合物は、洗浄剤中の(a1)成分の濃度をいかに調整しても、本発明の効果である洗浄力、起泡性及びぬるつき感の抑制効果を得ることができない。これはモノアルキルグリシジルエーテルのアルカリ加水分解に際して、グリシジルエーテルが2個連結した、例えば一般式(2)の化合物が形成され、これが本発明の効果を阻害しているものと推測される。
R-OCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHO-R (2)
〔式中、Rは上記と同じ〕
そこで、本発明者らは、アルキルグリシジルエーテルを加水分解する工程において、特定のカルボン酸塩存在下で反応させることで、(a1)成分の優れた効果を十分に発揮できる混合物が得られることを見出したものである。
(a)成分のアルキルグリセリルテール混合物において、(a1)成分は97質量%以上であるが、更に好ましくは98〜99.99質量%である。なお、(a)成分中の(a1)成分とその他の化合物の濃度は、ガスクロマトグラフィーにて定量分析することで求めることができる。
なお、本発明では、(a1)成分を含むアルキルグリセリルエーテル混合物を得た後、必要に応じて生成物に対して蒸留処理をして、(a1)成分濃度を高めてもよい。
炭素数が1〜12の炭化水素基を有する1〜3価のカルボン酸化合物としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和のカルボン酸を挙げることができ、このようなカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、トリアコンタン酸、2- エチルヘキサン酸、3,5- ジメチルヘキサン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸;シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の2価の脂肪酸;安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸;グリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸;クロロ酢酸等のハロゲノカルボン酸を挙げることができる。本発明では、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、クエン酸から選ばれる化合物が好適である。
カルボン酸の添加量は、グリシジルエーテルに対して、0.002〜0.5001当量、特に0.02〜0.31当量が好ましい。
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物を挙げることができるが、経済面からは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。
塩基の添加量は、グリシジルエーテルに対して、0.001〜0.5当量、特に0.01〜0.3当量が好ましい。
カルボン酸と塩基の比率を、カルボン酸のカルボキシ基が塩基に対し過剰とすることにより、グリセリルエーテルの反応収率を高くすることができる。なお、ここでいう反応収率とは、グリシジルエーテルに対する生成されたグリセリルエーテルとグリセロールカルボン酸モノエステルの和のモル比率を指す。グリセロールカルボン酸モノエステルは、反応終了した液のカルボン酸に対する塩基のモル比を等量以上とすることにより、容易にグリセリルエーテルへ変換することができる。
カルボン酸の過剰度としては、グリシジルエーテルの総供給量に対するカルボン酸の当量数から塩基の当量数を減じた値が0.001〜0.5当量、特に0.01〜0.3当量となることが好ましい。
水の使用量は、グリシジルエーテルに対し、1〜100モル当量、特に1〜10モル当量が好ましい。水の使用量が多いと反応液が不均一化しやすく、塩基濃度が希薄となるため反応速度が遅れる、単位容量あたりのグリセリルエーテルの生産性が低下するといった問題が生じる。また、水は反応液の均一化を助長する目的で、反応中にグリシジルエーテルの供給に並行して任意量を追加供給してもよい。
反応温度は、60〜300℃、特に80〜200℃が好ましい。温度が低すぎると反応に長時間を要することとなり、温度が高すぎると水蒸気圧により高圧化し設備的な負荷が大きくなる。
本発明では、特に炭素数が1〜12の炭化水素基を有する1〜3価のカルボン酸化合物又はその塩、塩基及び水を含有する混合物に、アルキルグリシジルエーテルを供給する方法が好適である。アルキルグリシジルエーテルの供給方法は、時間的に連続に一定供給速度で行う方法、間欠的に供給速度を変化させる方法等を挙げることができる。供給位置についても、反応液中、反応液気液界面、反応液気液界面上のいずれでもよい。
アルキルグリシジルエーテルの供給は、供給するアルキルグリシジルエーテルが反応液中で速やかに反応消費され、濃度的な蓄積を及ぼさない速度で行うことが好ましく、また、アルキルグリセリルエーテルの供給に伴って発熱反応が起こるため、冷却しながら反応することが好ましく、反応温度を上記範囲に制御しながら反応を行う方法が、好ましいアルキルグリセリルエーテル混合物を得る上で好適である。
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、炭素数10〜18の炭化水素基を有する陰イオン界面活性剤であり、好ましい具体例としては炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、炭素数10〜16のモノアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜16のアルキル基を有し炭素数2又は3のオキシアルキレン基が平均1.0〜4.0モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、炭素数8〜16のα−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸(炭素数8〜16)低級アルキル(炭素数1〜3)エステル塩を挙げることができる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アルカノールアミン塩が挙げられ、特に粘度の点からナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
本発明では、特に炭素数10〜14のアルキル基を有し、炭素数2又は3のオキシアルキレン基、好ましくはオキシエチレン基が平均1.0〜3.0モル、特に好ましくは1.5〜3.0モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、又はマグネシウム塩を用いることが洗浄効果の点から好ましく、また、高濃度の陰イオン界面活性剤を含有する組成物の低温又は高温における貯蔵安定性を改善できるため好ましい。
(b)成分としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を用いる場合、直鎖1−アルケンをヒドロホルミル化して得られたアルコールを原料にして製造された分岐鎖1級アルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好適である。ここで、ヒドロホルミル化とは、鉄、コバルト又はニッケル等のカルボニル錯体を触媒として用い、直鎖1−アルケンに一酸化炭素を付加させてアルコールを得る方法であり、直鎖アルキル基とメチル分岐アルキル基を含有するアルコールが得られる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩はこのようなアルコールに、更にアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシド(以下、POと表記する)又はエチレンオキシド(以下、EOと表記する)、より好ましくはEOを付加させ、更に三酸化イオウ又はクロルスルホン酸でスルホン化し、アルカリ剤で中和して得ることができる。平均付加モル数は、洗浄効果の点から、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.5〜3.0、特に好ましくは1.5〜2.5である。中和に用いるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウムが好ましく、更に好ましくは水酸化ナトリウム、、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムである。
このようにして得られたポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は分岐鎖アルキル基を含むものであり、全ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩に対するポリオキシアルキレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステル塩の質量比は5〜80質量%、更に10〜70質量%が優れた洗浄効果を達成するために好ましい。
特にポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を、組成物中に10質量%を超えて配合する場合(例えば、15〜40質量%の濃度で配合する場合)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩中のポリオキシアルキレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステル塩の含有量は、上記含有量の範囲を満たすことが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩自体は、他の界面活性剤よりもぬるつき感の少ない性質を示すが、アミンオキサイド型界面活性剤との併用によるぬるつき感の上昇とともに、高濃度化による増粘やゲル化によって被洗浄表面に残留しやすくなることから、ぬるつき感の増大が懸念されるが、上記した分岐鎖物の含有量範囲を満たすことにより、ぬるつき感が低減されるので好ましい。
<(c)成分>
本発明の(c)成分は、炭素数8〜18の炭化水素基を有するアミンオキシド型界面活性剤、両性界面活性剤、及びアルカノールアミド型界面活性剤から選ばれる界面活性剤であり、具体的には下記一般式(3)〜一般式(5)の化合物を挙げることができる。
Figure 2005187489
〔式(3)中、R1aは炭素数8〜16のアルキル基又はアルケニル基であり、R1bは炭素数1〜6のアルキレン基であり、Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−から選ばれる基である。aは0又は1の数であり、R1c、R1dは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。〕
Figure 2005187489
〔式(4)中、R2aは炭素数9〜17のアルキル基又はアルケニル基であり、R2bは炭素数1〜6のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、bは0又は1の数である。R2c、R2dは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R2eはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5のアルキレン基である。Dは−SO 、−OSO 、−COOから選ばれる基である。〕
Figure 2005187489
[式(5)中、R3a−CO−は炭素数8〜20の飽和又は不飽和のアシル基であり、R3bはメチル基、エチル基又は−(CO)−Hである。また、R3cは−(CO)−Hである。c、dはそれぞれ0〜5の数であり、c+dは1〜6である。]
一般式(3)において、R1aは、好ましくは炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基であり、特に好ましくはラウリル基(又はラウリン酸残基)及び/又はミリスチル基(又はミリスチン酸残基)である。Aは、好ましくは−COO−又は−CONH−であり、最も好ましくは−CONH−である。R1bの炭素数は、好ましくは2又は3であり、R1c、R1dは、好ましくはメチル基である。
本発明では、R1aは単独のアルキル(又はアルケニル)鎖長でもよく、異なるアルキル(又はアルケニル)鎖長を有する混合アルキル基(又はアルケニル基)であってもよい。後者の場合には、ヤシ油、パーム核油から選ばれる植物油から誘導される混合アルキル(又はアルケニル)鎖長を有するものが好適である。具体的にはラウリル基(又はラウリン酸残基)/ミリスチル基(又はミリスチン酸残基)のモル比が95/5〜20/80、好ましくは90/10〜30/70であることが洗浄効果、及び泡立ち性の点から好ましい。
一般式(4)において、R2aは、好ましくは炭素数9〜15、特に9〜13のアルキル基であり、R2bは、好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基である。Bは−CONH−が好ましく、bは0又は1が好適である。R2c、R2dはメチル基、又はヒドロキシエチル基が好ましい。Dは−SO 、又は−COOが好ましく、Dが−SO の場合にはR2eは−CHCH(OH)CH が好ましく、Dが−COO-の場合にはR4eはメチレン基が好ましい。
一般式(5)の化合物において、R3a−CO−は炭素数8〜17の飽和又は不飽和のアシル基が好ましい。好ましい具体的例としては、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、2−エチルヘキサン酸、2−オクチルウンデカン酸、イソステアリン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基を挙げることができ、特に好ましくは、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸から誘導されるアシル基である。
一般式(5)の化合物においてR3bは、メチル基、エチル基又は−(CO)−Hであり、洗浄効果の持続性の点から好ましくはメチル基又は水素原子(c=0)である。また、R3cは−(CO)−Hであり、dは洗浄効果の持続性の点から好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3の数である。
一般式(5)の化合物の好ましい具体的例としては、一般式(5−1)及び一般式(5−2)を挙げることができる。
Figure 2005187489
[式中3b及びdは前述と同等の意味である。]
<その他の成分>
本発明では、洗浄力を強化する目的から(b)成分及び(c)成分以外の界面活性剤〔以下、(d)成分という〕を含有することが好ましく、特に(c)成分以外の非イオン界面活性剤を併用することが好適である。
(d)成分の好ましい非イオン界面活性剤としては、下記一般式(6)の化合物が好適である。
4a−O−(R4bO)−H (6)
〔式中、R4aは、炭素数11〜18、好ましくは11〜15のアルキル基又はアルケニル基であり、R4bは炭素数2又は3のアルキレン基、好ましくはエチレン基である。eは6〜100、好ましくは6〜20の数を示す。〕
本発明では、(b)成分の乳化力を向上させ、洗浄効果を強化する目的から、マグネシウム〔以下、(e)成分という〕を配合することが好ましく、マグネシウムは塩又は遊離したイオンとして系中に存在するものであり、(b)成分の対イオンとして配合してもよく、また水溶性のマグネシウム化合物として配合することができる。水溶性マグネシウム化合物としては、化学便覧基礎編II(改定3版),166頁,表8.42、及び190頁,表8.47に記載のマグネシウム化合物において20℃における水への溶解度が1g/100g以上、好ましくは10g/100g以上の化合物が好適である。これらの中でも本発明では、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムが最も好適である。
本発明では、貯蔵安定性を向上させる目的で、ハイドロトロープ剤〔以下、(f)成分という〕を含有することが好ましい。ハイドロトロープ剤としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸及びこれらのナトリウム、カリウムあるいはマグネシウム塩が良好であり、特にp−トルエンスルホン酸が良好である。
本発明では、貯蔵安定性を改善する目的、及び粘度調節剤として、(a)成分以外の溶剤〔以下、(g)成分という〕を含有することができる。溶剤の具体的例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる水溶性有機溶媒が好ましい。
<液体洗浄剤組成物>
本発明の液体洗浄剤組成物中における(a)〜(d)成分の含有量は、以下のとおりである。
(a)成分の含有量は、洗浄時や濯ぎ時のぬるつき改善の点から、0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜7質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
(b)成分及び(c)成分は洗浄基剤であり、高い洗浄力を得る目的から、(b)成分の含有量は5〜50質量%、好ましくは10〜45質量%、より好ましくは10〜40質量%であり、(c)成分の含有量は、0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
更に、洗浄力の観点から、(b)及び(c)成分を(b)成分/(c)成分で定められる質量比で、好ましくは30/1〜1/5、より好ましくは10/1〜1/3、最も好ましくは5/1〜1/2となるように含有することができる。
本発明では、(d)成分は洗浄効果の増強、及び貯蔵安定性を改善する目的から含有することが好ましいが、多量配合は食器洗浄時のぬるつきを助長し、(a)成分及び(b)成分の効果を減じる傾向にある。このために組成物中の(d)成分の含有量は、0.1〜20質量%、更に0.5〜15質量%、特に1.0〜15質量%が好適である。
本発明の(e)成分は任意ではあるが、(b)成分との相互作用により高い洗浄効果を得ることができ、さらに(a)成分と併用することでぬるつきをより低減化することができるため含有することが好ましい。本発明では、(e)成分をマグネシウムとして0.01〜2質量%、更に0.05〜1質量%、特に0.1〜1質量%含有することが好ましい。また、(d)成分と(e)成分を(d)成分/(e)成分(マグネシウムとして)で定められるモル比で、300/1〜1/1、更に100/1〜1/1、特に50/1〜2/1であることが好ましい。
(f)成分は、貯蔵安定性の点から含有することが好ましく、(f)成分の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜6質量%である。
(g)成分は、貯蔵安定性の向上の点で好ましく、また粘度調節剤としても有効である。(g)成分の含有量は、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。
本発明の組成物は、上記した成分を水に溶解又は分散させた液状の形態であり、水の含有量は、貯蔵安定性の点から、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜60質量%、更に好ましくは40〜60質量%、特に好ましくは45〜55質量%である。
本発明の組成物の20℃におけるpHは、好ましくは6〜8、より好ましくは6.5〜7.5にすることが貯蔵安定性や皮膚への安全性の点から好ましい。
pH調整剤としては、塩酸や硫酸等無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸等の有機酸等の酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩等、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ剤を単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。いずれの化合物も、粘度特性に対し大きな影響のない範囲で配合される。
本発明の組成物は、使い勝手の点から、20℃における粘度は、好ましくは10〜1000mPa・s、より好ましくは30〜700mPa・s、特に好ましくは50〜500mPa・sである。このような粘度の範囲は、例えば上記(g)成分等を用いて調整することができる。
本発明でいう粘度は、以下のようにして測定する。まずTOKIMEC.INC製B型粘度計モデルBMに、ローター番号No.2のローターを備え付けたものを準備する。試料をトールビーカーに充填し、恒温槽内にて20℃に調整する。恒温に調整された試料を粘度計にセットする。ローターの回転数を60r/mに設定し、回転を始めてから60秒後の粘度を本発明の粘度とする。
その他の成分としては、粘度特性に影響のない限り、通常液体洗浄剤に配合されている成分、例えば、香料成分、除菌成分、防腐剤、濁り剤、着色剤を配合することができる。
本発明の液体洗浄剤組成物は、食器、調理器具の洗浄、台所回りの洗浄等の硬質表面用(特に台所用)の液体洗浄剤組成物として好適である。
本発明の液体洗浄剤組成物は、スポンジ等の可撓性材料(好ましくは水を含む)に染み込ませ、直接食器や調理用器具等の硬質表面に接触させて洗浄を行う方法において、洗浄力、泡立ち性に優れ、洗浄時の食器や調理用器具のぬるつきを抑制することができ、濯ぎ時にはぬるつきが速やかに除去できる。
合成例1
2L容量の4つ口フラスコに、酢酸43.4g、水酸化ナトリウム28.6g及びイオン交換水128gを入れ、700r/mで攪拌しながら、200℃まで昇温した。次いで、200℃に保ちながら、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル680gを一定流量にて2時間連続的にオートクレーブ内に滴下し、熟成のため1時間恒温保持した後、80℃まで冷却した。更に反応生成物に水酸化ナトリウムを1.6g添加し、1時間攪拌保持した後、最終的な反応生成物をガスクロマトグラフィーにて定量分析を行った。2−エチルヘキシルグリセリルエーテルの含有量は98質量%であった。
合成例2
合成例1で得られた粗2−エチルヘキシルグリセリルエーテルを4つ口フラスコに667g入れ、減圧下(0.89kPa=50Torr)、140℃に保ちながら脱水を行った。得られた脱水化物508gをナス型フラスコに入れ、表1に示す条件の精留により精製し、精製2−エチルヘキシルグリセリルエーテル467gを得た。このものをガスクロマトグラフィーにて定量分析を行ったところ、含有量は99質量%であった。
Figure 2005187489
合成例3
合成例1において、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、酢酸、水酸化ナトリウム及びイオン交換水を一括して仕込み、800r/mで攪拌しながら、200℃で3時間保持した後に冷却する以外は同様に操作を行った。2−エチルヘキシルグリセリルエーテルの含有量は94質量%であった。
合成例4
合成例3で得られた粗2−エチルヘキシルグリセリルエーテルに対して、合成例2と同様の条件で脱水及び精留を行い精製2−エチルヘキシルグリセリルエーテルを得た。このものをガスクロマトグラフィーにて定量分析を行ったところ、含有量は99質量%であった。
合成例5
500ml容量の4つ口フラスコに、2−エチルヘキサノール130gを入れた後、ナトリウムメチラート2.7gを入れ、減圧下(26.67kPa=200Torr)、60〜70℃でメタノールを留去した。その後、95℃まで昇温し、グリシドール74gを2時間かけて滴下した。滴下終了後、6時間かけて熟成した。反応終了品に20gの吸着剤(キョーワード700,協和化学製)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、濾過により吸着剤を除き、粗2−エチルヘキシルグリセリルエーテル溶液を得た。このものをガスクロマトグラフィーにて定量分析を行ったところ、含有量は30質量%であった。
<液体洗浄剤組成物>
表2、表4に示す成分を用いて液体洗浄剤組成物を調製した。これら組成物の泡立ち性、感触、洗浄力、貯蔵安定性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。また、表3に本発明の効果を有する台所用液体洗浄剤組成物の配合例を示す。
<泡立ち性の測定>
市販の新品スポンジ(可撓性吸収体、キクロン)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が10gになるまで絞る。表1の組成物の1質量%水溶液30gをスポンジに染み込ませ陶器皿上に置く。スポンジと同じ大きさのプラスチックプレートをスポンジ上に置き、手でプラスチックプレートを2回圧縮する。スポンジから出た泡をメスシリンダーに回収し泡の体積(ml)を測定する。
<感触評価>
サラダ油に0.1質量%の色素(スダンレッド)を均一に混ぜ込んだモデル油汚れ1gを陶器皿に均一に塗り広げ、更に水道水5gをのせたものをモデル汚染食器とした。
市販の新品スポンジ(可撓性吸収体、キクロン)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が10gになるまで絞った後、表1の組成物1gと水道水20gを染み込ませる。モデル汚染食器上で上記スポンジを2〜3回手でもみ泡立たせた後、モデル汚染食器5枚を擦り洗いし、洗っている最中のぬるつきを下記基準で官能評価を行った。次に、擦り洗いしたモデル汚染食器を水道水ですすぎ、すすぎ最中のぬるつきのとれやすさを下記基準で官能評価を行った。
[洗浄時のぬるつきの基準]
○:あまりぬるつかない。
△:ややぬるつく。
×:非常にぬるつく。
[濯ぎ時のぬるつきのとれやすさの基準]
○:すぐにぬるつきがとれる。
△:ぬるつきがとれるまでにやや時間がかかる。
×:ぬるつきがとれるまでに時間がかかる。
<洗浄力試験>
サラダ油に0.1質量%の色素(スタンレッド)を均一に混ぜ込んだモデル油汚れ1gをポリプロピレン製の皿に均一に塗り広げ、更に水道水5gをのせたものをモデル汚染食器とした。
市販の新品スポンジ(可撓性吸収体、キクロン)を水道水でもみ洗いし、水道水の含有量が10gになるまで絞った後、表1の組成物1gと水道水20gを染み込ませる。モデル汚染食器上で上記スポンジを2〜3回手でもみ泡立たせた後、モデル汚染食器を擦り洗いし、洗浄(食器に付着した色が消えることにより確認)できた皿の枚数を求めた。
Figure 2005187489
Figure 2005187489
(注)表中の記号は以下のものを表す。
・GE−2EH(1):合成例1で合成された化合物
・GE−2EH(2):合成例2で合成された化合物
・GE−2EH(3):合成例3で合成された化合物
・GE−2EH(4):合成例4で合成された化合物
・GE−2EH(5):合成例5で合成された化合物
・ES−I:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム〔原料アルコールは、1−デセン及び1−ドデセン50/50(質量比)を原料にヒドロホルミル化して得られたアルコールである。このアルコールにEOを平均2モル付加させた後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和した。全ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム中の全ポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムの割合は42質量%であった。〕
・ES−II:ポリオキシエチレンココナッツアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム(EO平均付加モル数2モル)
・ES−III:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルアンモニウム(EO平均付加モル数4モル)
・AO−I:N−デシル−N,N−ジメチルアミンオキシド/N−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキシド/N−ミリスチル−N,N−ジメチルアミンオキシド=25/50/25(質量比)
・AO−II:N−ラウリン酸アミドプロピル−N,N−ジメチルアミンオキシド
・スルホベタイン:N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−1−スルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン
・DEA−I:パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド
・ノニオン−I:炭素数12、13混合アルキル2級アルコールに、EOを平均7モル付加させたもの(ソフタノール70H、日本触媒株式会社製)
・ノニオン−II:アルキル基の組成が炭素数12/炭素数14=60/40(モル比)混合アルキルで、グルコシド平均縮合度1.5のアルキルグルコシド
・p−TS:p−トルエンスルホン酸ナトリウム
・PG:プロピレングリコール
・防腐剤:プロキセルBDN(アビシア株式会社製)
・香料:表4の香料成分
・pH:1N−硫酸水溶液又は1N−水酸化ナトリウムを用いて調整した。
Figure 2005187489

Claims (2)

  1. (a)炭素数が1〜12の炭化水素基を有する1〜3価のカルボン酸化合物又はその塩、塩基及び水の存在下、アルキルグリシジルエーテルを加水分解する工程を経て得られた、(a1)下記一般式(1)の化合物の含有量が97質量%以上であるアルキルグリセリルエーテル混合物 0.1〜10質量%、
    R−OCHCH(OH)CHOH (1)
    〔式中、Rは3級炭素及び/又は4級炭素を1つ以上有する炭素数8〜10のアルキル基である。〕
    (b)炭素数10〜18の炭化水素基を有する陰イオン界面活性剤 5〜50質量%、
    (c)炭素数8〜18の炭化水素基を有するアミンオキシド型界面活性剤、両性界面活性剤、及びアルカノールアミド型界面活性剤から選ばれる界面活性剤 0.1〜30質量%、並びに水を含有する液体洗浄剤組成物。
  2. (a)成分が、炭素数1〜12の炭化水素基を有する1〜3価のカルボン酸化合物又はその塩、塩基及び水を含有する混合物に、アルキルグリシジルエーテルを供給する工程を経て得られたアルキルグリセリルエーテル混合物である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。

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WO2007114061A1 (ja) * 2006-03-31 2007-10-11 Kao Corporation (ポリ)グリセリルエーテルの製造方法

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