ところが、特許文献2ないし5の電気掃除機は、ブラシアタッチメントが単体で、手元ハンドル部または延長管の先端部の周面に、回動可能かつ着脱可能に保持される構成であり、ブラシアタッチメントの上記先端部への取り付け機能および回動機能の両者を、ブラシアタッチメント単体に持たせた構成である。このため、上記先端部に対するブラシアタッチメントの取り付けおよびブラシアタッチメントの回動を両方とも安定して行うことができず、ブラシアタッチメントの利用がしにくいという問題が生ずる。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ブラシアタッチメントの上記先端部への取り付け機能およびブラシアタッチメントの回動機能をそれぞれ別部材に持たせることにより、ブラシアタッチメントの上記先端部への着脱および回動を確実にかつ安定して行うことができ、これによって、ブラシアタッチメントの利用を容易にすることができる電気掃除機を提供することにある。
(1)本発明の電気掃除機は、掃除機本体に内蔵された電動送風機の運転により吸引される空気の流路に配置される握持可能な手元ハンドル部とこれに接続される延長管とのうち、少なくとも一方の空気流入口側端部の周面に着脱可能に配置されるブラシ部を備えた電気掃除機であって、上記ブラシ部は、上記端部の周面に係止されるブラシ台と、複数のブラシ糸を支持し、上記ブラシ台に対して回動するブラシ支持部とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、手元ハンドル部と延長管とのうちの少なくとも一方の空気流入側端部の周面に、ブラシ部が着脱可能に配置される。このブラシ部は、ブラシ台とブラシ支持部とで構成されている。ブラシ台は、上記端部の周面に係止されるもので、ブラシ部の上記端部への取り付け機能を有している。一方、ブラシ支持部は、ブラシ糸を支持しながらブラシ台に対して回動する回動機能を有している。
このように、上記構成では、ブラシ部を、従来のように単体で構成するのではなく、ブラシ台とブラシ支持部とで構成し、これらに別々の機能を持たせている。これにより、一方の機能だけを確実に実現できるように(他方の機能の実現のための制約を受けることなしに)、それぞれの部材を構成することができる。したがって、端部へのブラシ部の取り付けと、ブラシ支持部の回動動作とのそれぞれを確実にかつ安定して行うことができ、ブラシ部の利用を容易にすることができる。
(2)本発明の電気掃除機において、上記ブラシ支持部は、上記ブラシ糸が上記端部への空気の流入を案内する第1の位置とその案内が解除される第2の位置との間で回動する構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ支持部を第1の位置または第2の位置に回動させることができるので、ブラシ糸によるブラシ清掃の必要の有無に応じて、第1の位置または第2の位置にブラシ支持部を回動させることにより、清掃対象に応じた清掃作業を行うことができる。
(3)本発明の電気掃除機において、上記ブラシ台は、上記端部の周面の周方向の一部に沿う形状(例えばU字状)で形成されている構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ台の上記周方向に開口部が形成されるため、ブラシ台を上記周面に嵌めやすくすることができる。また、上記周面の周方向の全周に沿う形状でブラシ台を形成する場合に比べて、ブラシ台を小型化することもできる。
(4)本発明の電気掃除機において、上記ブラシ支持部は、その内面が上記ブラシ台の周面に沿う形状(例えばU字状)で形成されている構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ支持部の内面は、上記端部の周面の周方向の一部に沿う形状(例えばU字状)のブラシ台の周面に沿う形状(例えばU字状)となっているため、ブラシ台を挟持するようにブラシ支持部を構成することができる。これにより、ブラシ支持部をブラシ台に対して確実に回動させることができ、ブラシ支持部を第1の位置と第2の位置との間で確実に変位させることができる。
(5)本発明の電気掃除機において、上記端部には、回転ブラシを有する吸込口体への電源供給を行うための電気接続部が形成されており、上記ブラシ支持部には、上記第1の位置に回動したときに上記電気接続部を塞ぐ閉塞部が設けられている構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ支持部の第1の位置への回動時には、ブラシ支持部の閉塞部が、端部の電気接続部を塞ぐので、ブラシ清掃時における電気接続部への塵埃の付着を防止することができる。これにより、非ブラシ清掃時、すなわち、次にブラシ支持部を第2の位置に回動させて電気接続部と被接続部(例えば延長管の接続部)とを接続して吸込口体による清掃を行う際における、上記電気接続部での電気的な接続不良を防止することができる。
(6)本発明の電気掃除機において、上記ブラシ台には、上記ブラシ支持部を上記第1の位置または上記第2の位置にて係止するための回動係止部がそれぞれ設けられており、上記ブラシ支持部には、上記各回動係止部にて係止される回動被係止部がそれぞれ設けられている構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ支持部の回動時に、各回動被係止部がブラシ台の各回動係止部にてそれぞれ係止されることで、ブラシ支持部を第1の位置または第2の位置で確実に保持させることができ、より安定した清掃作業を行うことができる。
(7)本発明の電気掃除機において、上記端部の周面には、上記ブラシ台を位置決めするための位置決め部が形成されており、上記ブラシ台には、上記位置決め部に嵌合する嵌合部が形成されている構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ台の嵌合部が端部周面の位置決め部に嵌合することで、ブラシ台(ブラシ部)を所定位置で確実に端部に保持させることができる。
(8)本発明の電気掃除機において、上記端部の周面には、上記ブラシ台の上記端部への装着を案内するための案内部材が設けられており、上記ブラシ台には、上記案内部材と摺動する摺動部材が設けられている構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ台の端部への装着の案内は、ブラシ台の摺動部材が端部の案内部材と摺動することにより行われる。これにより、ブラシ台の端部への装着を、より容易にかつ確実に行うことができる。
(9)本発明の電気掃除機において、上記案内部材は、上記ブラシ支持部の回動方向とは異なる方向に延びるように、上記端部の周面に形成されている構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ支持部の回動方向と、案内部材と摺動部材との摺動方向とが異なるので、ブラシ支持部の回動時に、案内部材と摺動部材とが摺動してブラシ台が端部から抜けるのを抑えることができる。
(10)本発明の電気掃除機において、上記端部の周面には、上記ブラシ台の案内の完了時に上記ブラシ台を係止するためのブラシ台係止部が設けられており、上記ブラシ台には、上記ブラシ台係止部にて係止されるブラシ台被係止部が設けられている構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ台の端部への案内完了時に、ブラシ台被係止部がブラシ台係止部に係止されることで、ブラシ台が端部に係止されるので、ブラシ台の端部からの抜けを確実に防止することができる。
(11)本発明の電気掃除機において、上記手元ハンドル部または上記延長管と、上記ブラシ台とのうちの一方には、レバー操作により他方に対して係止およびその解除を行うためのレバー操作部が設けられており、他方には、上記レバー操作部にて係止されるレバー用被係止部が設けられている構成であってもよい。
上記の構成によれば、レバー操作部とレバー用被係止部との係止またはその解除動作により、ブラシ台を手元ハンドル部または延長管に確実に着脱させることができ、ブラシ台の係止機構を確実に実現することができる。
(12)本発明の電気掃除機において、上記ブラシ台は、軟質材により構成されるとともに、上記端部よりも空気の流入方向上流側に突出するように上記端部に装着される構成であってもよい。
ブラシ台が端部よりも空気の流入方向上流側に突出していると、ブラシ清掃時に被清掃部に接触するのは、端部ではなく、ブラシ台となる可能性が高い。このブラシ台が軟質材で構成されているので、ブラシ台と被清掃部との接触時における被清掃部への傷つきを低減することができる。
(13)本発明の電気掃除機において、上記ブラシ台は、上記端部よりも空気の流入方向上流側に突出するように、上記端部に装着され、上記ブラシ台における上記端部からの突出部には、被清掃部との接触時における当該被清掃部への衝撃を緩和する緩衝材が設けられている構成であってもよい。
ブラシ台が端部よりも空気の流入方向上流側に突出していると、ブラシ清掃時に被清掃部に接触するのは、端部ではなく、ブラシ台となる可能性が高い。このブラシ台における端部からの突出部には、緩衝材が設けられているので、この緩衝材により、被清掃部との接触時における衝撃が緩和され、被清掃部への傷つきを低減することができる。
(14)本発明の電気掃除機において、上記緩衝材は、軟質材、キモウフ、植毛のいずれかで構成されてもよい。この場合、被清掃部への傷つきを低減する効果を確実に得ることができる。
(15)本発明の電気掃除機において、上記緩衝材が植毛である場合に、上記植毛は、上記ブラシ糸が上記端部への空気の流入を案内する第1の位置に上記ブラシ支持部が回動したときに、上記ブラシ糸と上記植毛とで空気の流入経路の全周を形成するように、上記端部よりも空気の流入方向上流側に突出して上記ブラシ台に設けられている構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ支持部のブラシ糸とブラシ台の植毛とで、上記端部への空気の流入経路の全周が形成されるので、空気流入経路の外部への空気の漏れを無くすことができ、電気掃除機の吸引能力および清掃能力を向上させることができる。
(16)本発明の電気掃除機において、上記植毛および上記ブラシ糸の毛先を連ねて形成される面が、上記端部における上記流入口が位置する端面に対して傾斜している構成であってもよい。
上記の構成によれば、被清掃部の被清掃面に対して手元ハンドル部または延長管を傾けた状態で、被清掃部をブラシ清掃することができるので、使用者は楽にブラシ清掃を行うことができ、手元ハンドル部を握持する手首への疲労を軽減することができる。
(17)本発明の電気掃除機において、上記ブラシ台は、上記端部の周面の周方向の全周を覆う形状(略オフセット形状)で形成されている構成であってもよい。
この構成の場合、ブラシ台が、手元ハンドル部または延長管の端部の外観形状に対して筒状の略オフセット形状となり、上記端部に挿抜可能となる開口部を有することになる。これにより、ブラシ台の上記端部に対する装着および離脱を、上記開口部を介して容易に行うことができ、着脱性に優れたブラシ部を実現することができる。
(18)本発明の電気掃除機において、上記ブラシ支持部は、その内面が上記ブラシ台の周面の周方向の一部に沿う形状で形成されている構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ支持部は、例えばU字状となるため、ブラシ台を挟持するようにブラシ支持部を構成することができる。これにより、ブラシ支持部をブラシ台に対して確実に回動させることができ、ブラシ支持部を第1の位置と第2の位置との間で確実に変位させることができる。
(19)本発明の電気掃除機において、上記端部の周面には、上記ブラシ台の上記端部への係止およびその解除を行うための係止解除部が設けられている構成であってもよい。
上記の構成によれば、係止解除部による係止状態では、ブラシ台を上記端部周面に安定して保持させることができる。一方、係止解除部による非係止状態では、ブラシ台を上記端部周面から確実に外すことができる。
(20)本発明の電気掃除機において、上記係止解除部は、上記端部と上記延長管または吸込口体との接続固定およびその解除を行うために上記端部に設けられているロック操作部で兼用されている構成であってもよい。
上記の構成によれば、すでに上記端部に設けられているロック操作部を利用して係止解除部を構成することができるので、ロック操作部を有効活用することができる。また、ブラシ台を上記端部に係止する専用の係止解除部を別途設ける場合に比べて、部品点数の削減を図り、製品コストの低減を図ることができる。
(21)本発明の電気掃除機において、上記係止解除部は、上記ブラシ台の上記端部への係止を解除する際に押圧される押圧操作部を有している一方、上記ブラシ台は、上記押圧操作部が嵌合可能な開口部を有しており、上記押圧操作部は、その非押圧時には上記開口部に嵌合する一方、その押圧時には上記開口部から外れる構成であってもよい。
上記の構成によれば、押圧操作部の非押圧時には、押圧操作部がブラシ台の開口部に嵌合することでブラシ台が上記端部に係止される。これにより、ブラシ台を上記端部に確実に保持、固定することができる。一方、押圧操作部の押圧時には、押圧操作部が上記開口部から外れることでブラシ台の係止が解除されるので、ブラシ台(ブラシ部)を上記端部から引き抜くことができる。
(22)本発明の電気掃除機において、上記ブラシ台は、上記端部よりも空気の流入方向上流側に突出するように上記端部に装着される構成であってもよい。
上記の構成によれば、ブラシ台の上記端部からの突出により、ブラシ部の使用状態、不使用状態に関係なく、上記端部における接続部を隠すことができる。なお、上記の接続部とは、上記端部と他の部材(例えば延長管や吸込口体)との接続部を指している。これにより、上記端部付近の美観が損なわれるのを回避することができる。また、上記端部(例えば手元ハンドル部)への他の部材(例えば延長管)の取り付け方が不十分のために、上記接続部に隙間が生じていても、ブラシ台が上記接続部を覆っていることで、その隙間を介して内部の電極(吸込口体への電源供給のための電極)が外部に露出するのを防ぐことができ、上記電極への塵埃の付着を防止することができる。
本発明によれば、ブラシ部をブラシ台とブラシ支持部とで構成し、個々に別々の機能(取り付け機能、回動機能)を持たせているので、一方の機能だけを確実に実現できるように、ブラシ台およびブラシ部をそれぞれ構成することができる。したがって、端部へのブラシ部の取り付けと、ブラシ支持部の回動動作とのそれぞれを確実にかつ安定して行うことができ、ブラシ部の利用を容易にすることができる。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について、図1(a)(b)ないし図8(a)(b)に基づいて説明すれば、以下の通りである。
(1.全体構成)
図2は、本実施形態の電気掃除機の概略の構成を示す斜視図である。本電気掃除機は、後述するブラシアタッチメントとしてのブラシ部11(図1(a)(b)参照)を装着して使用できるものであり、掃除機本体1と、吸込口体2と、接続ホース3と、手元ハンドル部4と、延長管5とを有して構成されている。
掃除機本体1には、図示しない電動送風機と集塵装置とが内蔵されている。なお、集塵装置は、例えばサイクロン集塵装置であってもよいし、紙パックやフィルタであってもよい。吸込口体2は、電動送風機の運転により、床面上の塵埃を含む空気を吸引する。接続ホース3は、掃除機本体1と手元ハンドル部4とを接続する。
手元ハンドル部4は、使用者によって握持される部分である。この手元ハンドル部4と吸込口体2とを延長管5を介して接続したときには、手元ハンドル部4を操作することにより、吸込口体2を移動させることができる。一方、手元ハンドル部4にブラシ部11を装着したり、手元ハンドル部4に延長管5を接続し、この延長管5にブラシ部11を装着した場合には、手元ハンドル部4を操作することで、ブラシ部11による窓の桟等に対する清掃作業を行うこともできる。延長管5は、手元ハンドル部4の先端を延長するための管である。
上記の構成により、掃除機本体1内の電動送風機が駆動されると、吸込口体2から空気が吸引される。吸引された空気は、延長管5、手元ハンドル部4および接続ホース3を介して掃除機本体1内の集塵装置に送られる。集塵装置では、空気中の塵埃が除去され、塵埃除去後の空気が掃除機本体2から外部に排出される。
このような構成から、掃除機本体1に内蔵された電動送風機の運転により吸引される空気の流路に、握持可能な手元ハンドル部4とこれに接続される延長管5とを配した電気掃除機が実現されている。
(2.ブラシアタッチメントの構成)
次に、本発明の特徴部分であるブラシアタッチメントについて説明する。なお、本実施形態のブラシアタッチメントは、手元ハンドル部4の先端部(空気流入口側端部)に着脱させることもできるし、延長管5の空気流入口側端部に着脱させることもできる。そこで、以下では、説明の便宜上、上記前者の場合を例として説明する。
図1(a)(b)は、ブラシアタッチメントとしてのブラシ部11を装着した手元ハンドル部4の側面図であって、図1(a)は、非清掃状態にあるブラシ部11の一部を破断して示すものであり、図1(b)は、清掃状態にあるブラシ部11の一部を破断して示すものである。
ブラシ部11は、手元ハンドル部4の空気流入口6側の端部4aの周面に着脱可能に配置されるものであり、ブラシ支持部12と、ブラシ台13とを有して構成されている。ブラシ支持部12は、複数のブラシ糸12aを支持し、ブラシ台13に対して回動するものである。ブラシ台13は、ブラシ支持部12を回動可能に支持しながら、端部4aの周面に係止されるものである。このように、ブラシ支持部12にはその回動機能を持たせ、それとは別部材のブラシ台13に端部4aへの取り付け機能を持たせるようにした点に、本発明の大きな特徴がある。以下、これらの詳細について説明する。
(2−1.ブラシ支持部)
図3(a)は、ブラシ支持部12の側面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるA−A’線矢視断面図であり、図3(c)は、図3(a)のブラシ支持部12の縦断面図である。ブラシ支持部12は、断面略U字形で構成されており、その内面がブラシ台13(図5(a)参照)の周面に沿う形状(略オフセット形状)で形成されている。したがって、ブラシ支持部12にて支持されるブラシ糸12aも、ブラシ台13の周面に沿って略U字状に配されることになる。
ブラシ支持部12が上記の形状で形成されていることにより、U字状のブラシ支持部12がブラシ台13を挟持するような形で、ブラシ支持部12をブラシ台13に支持させることができる。これにより、その挟持している部分同士を結ぶ線を回動軸としてブラシ部12を回動させることが可能となり、ブラシ支持部12の位置を後述する第1の位置と第2の位置との間で変位させることができる。また、ブラシ支持部12はブラシ台13に対して略オフセット形状であり、ブラシ支持部12がブラシ台13よりも外側にくる形状であるので、ブラシ台13の端部4aの周面への係止に何ら支障を生じさせることなく、ブラシ支持部12を自由に回動させることができる。
ここで、上記した第1の位置とは、図1(b)に示すように、ブラシ糸12aが端部4aへの空気の流入を案内するようなブラシ支持部12の位置のことであり、ブラシ部11による清掃位置に対応している。つまり、この第1の位置では、ブラシ支持部12は、ブラシ糸12aが端部4aの空気流入口6に対して空気流入方向の上流側に位置し、ブラシ部11による清掃が可能となる。
一方、上記した第2の位置とは、図1(a)に示すように、ブラシ糸12aによる端部4aへの空気の流入の案内が解除されるようなブラシ支持部12の位置のことであり、ブラシ部11による非清掃位置に対応している。つまり、この第2の位置では、ブラシ支持部12は、ブラシ糸12aが端部4aの空気流入口6に対して空気流入方向の下流側に位置し、端部4aの周面に沿うように位置する。この場合、ブラシ支持部12が収納された状態となり、ブラシ部11による清掃が行えないようになる。
図3(b)(c)に示すように、ブラシ支持部12の内面には、嵌合部12bと、リブ12c・12dとが形成されている一方、ブラシ支持部12の外面には、閉塞部12eが形成されている。これらの各部材は、略U字形のブラシ支持部12の底部(最も窪んだ部分)を通る縦断面B−B’で左右対称となるように設けられている。
嵌合部12bは、ブラシ台13の軸13b(図5(a)参照)に嵌合する部分である。この嵌合部12bが軸13bに嵌合することにより、ブラシ支持部12は、ブラシ糸12aを支持したまま、第1の位置と第2の位置との間を回動することができる。
なお、本実施形態では、ブラシ台13の軸13bが凸部で形成されているため、嵌合部12bは、それに嵌る凹部となっているが、ブラシ台13に凹部が設けられている場合には、嵌合部12bをこれに嵌合する凸部で形成し、この凸部を回動軸とする構成であってもよい。
リブ12c・12dは、ブラシ台13の後述する凸部13c・13d(図5(b)参照)にてそれぞれ弾性嵌合により係止される回動被係止部である。ブラシ支持部12の回動時に、リブ12cが凸部13cにて係止されることにより、ブラシ支持部12は、上記した第1の位置にて保持されることになる。一方、ブラシ支持部12の回動時に、リブ12dが凸部13dにて係止されることにより、ブラシ支持部12は、上記した第2の位置にて保持されることになる。
閉塞部12eは、図4に示すように、ブラシ支持部12が第1の位置まで回動したときに、端部4aに形成された電気接続部7を塞ぐための突起である。上記の電気接続部7は、回転ブラシを有する吸込口体2(図2参照)への電源供給を行うための接続部であり、本来、例えば延長管5を介して吸込口体2と電気的に接続される。これにより、電気接続部7を介して掃除機本体1から吸込口体2に電源を供給することができ、吸込口体2の回転ブラシを回転させることができる。
手元ハンドル部4から延長管5を外した状態では、上記の電気接続部7がむき出しの状態となり、電気接続部7に空気中の塵埃が侵入、付着する可能性がある。しかし、手元ハンドル部4から延長管5を外した状態であっても、ブラシ支持部12を第1の位置に回動させることによって閉塞部12eが電気接続部7を塞ぎ、電気接続部7への塵埃の付着を防止することができる。したがって、次に電気接続部7と延長管5との接続時における電気的な接触不良を防止することができる。
(2−2.ブラシ台)
図5(a)は、ブラシ台13の断面図であり、図5(b)は、ブラシ台13の側面図であり、図5(c)は、図5(a)のC−C’線矢視断面図である。ブラシ台13は、端部4aの周面の周方向の一部に沿う形状で形成されており、本実施形態では断面略U字形となっている。
ブラシ台13がこのような形状であれば、ブラシ台13における上記周方向に開口部が形成されるため、端部4aの大きさ(内径)に合わせて、ブラシ台13を上記周方向に若干広げることができる。これにより、ブラシ台13を端部4aの周面に嵌めやすくすることができる。また、端部4aの上記周方向の全周に沿う形状でブラシ台13を形成する場合に比べて、ブラシ台13を小型化することもできる。さらに、端部4aの大きさに多少のばらつきがあっても、1個のブラシ台13で容易に対応することができる。
ブラシ台13の内面には、凹部13aが形成されている一方、ブラシ台13の外面には、軸13bと、凸部13c・13dとが形成されている。これらの各部材は、略U字形のブラシ台13の底部(最も窪んだ部分)を通る縦断面(C−C’線で切られるの断面)で左右対称となるように設けられている。
ここで、図6(a)は、手元ハンドル部4の端部4aの断面図を示しており、図6(b)は、手元ハンドル部4の側面図を示している。上記した凹部13aは、端部4aの周面に形成された嵌合用凸部8に弾性嵌合可能な嵌合部である。嵌合用凸部8は、ブラシ台13を位置決めするための位置決め部である。凹部13aが嵌合用凸部8に嵌合するようにブラシ台13を端部4aに装着することで、ブラシ台13の端部4aに対する位置決めが適切になされる。
また、端部4aの周面には、その円周方向に嵌合用リブ9・9が形成されている。しかも、この嵌合用リブ9・9は、端部4aの軸方向に所定間隔おいて形成されている。凹部13aが嵌合用凸部8に嵌合するようにブラシ台13を端部4aに装着したときには、ブラシ台13が嵌合用リブ9・9間に嵌るようになっており、これによって、ブラシ台13の端部4aの軸方向への抜けが確実に防止される。
なお、端部4aの周面に凹部を形成する一方、ブラシ台13の内面に上記凹部に嵌合する凸部を設け、これらを嵌合させることでブラシ台13の端部4aに対する位置決めを行う構成でも構わない。また、端部4aの周面の円周方向に嵌合用溝部を形成する一方、ブラシ台13の内面に上記嵌合用溝部に嵌合する凸部を設け、これらを嵌合させることでブラシ台13の端部4aの軸方向への抜けを防止するようにしてもよい。
図5(a)(b)に示す軸13bは、ブラシ支持部12の回動軸となる部分であり、ブラシ台13の外面から突出して設けられている。この軸13bにブラシ支持部12の嵌合部12bが嵌合することで、ブラシ台13は、第1の位置と第2の位置との間でブラシ支持部12が移動できるように、ブラシ支持部12を回動可能に支持することができる。
凸部13c・13dは、ブラシ支持部12を第1の位置または第2の位置にてそれぞれ係止するための回動係止部である。つまり、凸部13cは、ブラシ支持部12が回動によって第1の位置にきたときに、ブラシ支持部12のリブ12cを弾性嵌合により係止する。これによって、ブラシ支持部12が第1の位置にて保持される。一方、凸部13dは、ブラシ支持部12が回動によって第2の位置にきたときに、ブラシ支持部12のリブ12dを弾性嵌合により係止する。これによって、ブラシ支持部12が第2の位置にて保持される。
なお、ブラシ台13に凸部13c・13dを設ける代わりに、その凸部13c・13dに相当する部材を端部4aに設け、その部材にてブラシ支持部12のリブ12c・12dが係止されることで、ブラシ支持部12を第1の位置または第2の位置にて保持する構成であっても構わない。
(3.取り付け方法)
次に、ブラシ部11の端部4aへの取り付け方法について説明する。
図7(a)の左半分は、図7(b)におけるD−D’線矢視断面図を示し、右半分は、図7(b)におけるE−E’線矢視断面図を示している。また、図7(b)は、ブラシ部11の側面図を示している。まず、ブラシ台13の軸13bにブラシ支持部12の凹部12bを嵌合させ、ブラシ台13にブラシ支持部12を回動可能に取り付ける。このとき、ブラシ支持部12のリブ12dが、ブラシ台13の凸部13dにて係止されており、ブラシ支持部12がむやみに回動することはない。
この状態で、ブラシ台13の内面の凹部13a(図5(c)参照)を、手元ハンドル部4の端部4aの嵌合用凸部8(図6(b)参照)に嵌合させるとともに、ブラシ台13を嵌合用リブ9・9間に嵌合させる。これにより、図8(a)(b)に示すように、ブラシ台13はブラシ支持部12を保持したまま端部4aに装着されることになり、ブラシ部11の端部4aへの装着が完了する。
なお、最初にブラシ部11をブラシ台13とブラシ支持部12とに分離しておき、先にブラシ台13を端部4aに装着した後、ブラシ支持部12をブラシ台13に装着するようにしても構わない。また、上記とは逆の経路をたどることにより、ブラシ部11を端部4aから外すことができる。
(4.ブラシ支持部の回動動作)
次に、ブラシ部11が端部4aに装着された状態におけるブラシ支持部12の回動動作について、図1(a)(b)および図2に基づいて説明する。
ブラシ部11による非清掃時、すなわち、手元ハンドル部4が延長管5を介して吸込口体2と接続されているときは、図1(a)のように、ブラシ支持部12が第2の位置となるように、ブラシ部11が端部4aにて保持されている。この場合、ブラシ支持部12は、端部4aの周面に沿って配置されるため、ブラシ支持部12が吸込口体2による清掃作業の邪魔になることはない。
一方、ブラシ部11による清掃時は、手元ハンドル部4から延長管5を外し、図1(b)に示すように、ブラシ台13の軸13bを中心としてブラシ支持部12を第1の位置まで回動させる。この第1の位置では、ブラシ支持部12のリブ12cがブラシ台13の凸部13cにて係止されることで、ブラシ支持部12がブラシ台13にて保持される。
このとき、ブラシ支持部12のブラシ糸12aが、端部4aの空気流入口6よりも空気流入方向の上流側に位置し、空気流入口6への空気の流入を案内する。したがって、この状態では、ブラシ糸12aによるブラシ清掃が可能となる。このようにして、ブラシ支持部12を第1の位置と第2の位置とで回動させることにより、清掃目的に応じた清掃作業が可能となる。
(5.効果)
以上のように、本実施形態の電気掃除機では、手元ハンドル部4の端部4aの周面に着脱可能に配置されるブラシ部11を、従来のように単体で構成するのではなく、ブラシ台13とブラシ支持部12とで構成し、これらに別々の機能を持たせている。すなわち、ブラシ台13には、端部4aへの取り付け機能を持たせ、ブラシ支持部12には、その回動機能を持たせている。
このように、取り付け機能と回動機能とを別々の部材に持たせることにより、一方の機能だけを確実に実現できるように、それぞれの部材を構成することができる。本実施形態で言えば、端部4aへの取り付け機能だけを持つようにブラシ台13を構成することができ、回動機能だけを持つようにブラシ支持部12を構成することができる。これにより、端部4aへのブラシ部11の取り付けと、ブラシ支持部12の回動動作とのそれぞれを確実にかつ安定して行うことができ、上記両方の機能をともに満足させることができる。その結果、ブラシ部11の利用がしやすくなり、ひいては、本電気掃除機の利用を促進させることができる。
また、本実施形態では、ブラシ支持部12は、ブラシ糸12aによる清掃位置に対応する第1の位置と非清掃位置に対応する第2の位置との間で回動するので、清掃対象(用途)に応じた清掃作業を行うことができる。つまり、ブラシ支持部12を第1の位置に回動させれば、ブラシ糸12aによる窓の桟や隅部に対するブラシ清掃を行うことができる。一方、ブラシ支持部12を第2の位置に回動させれば、手元ハンドル部4を延長管5を介して吸込口体2と接続することで、床面などの通常の清掃作業を行うことができる。なお、第2の位置では、ブラシ糸12aによる端部4aへの空気の流入の案内が解除されるようにブラシ支持部12が位置しているので、空気の流路を構成する手元ハンドル部4と延長管5との接続をブラシ支持部12が妨げることはない。
また、ブラシ部11は、手元ハンドル部4の端部4aにて保持した状態にすることができるので、ブラシアタッチメントが別の場所(例えば掃除機本体1)に収納される従来の場合のような、アタッチメントの着脱の煩わしさもない。また、ブラシ支持部12の回動動作により、非ブラシ清掃時には、ブラシ支持部12を第2の位置に回動させて収納状態にできるので、ブラシ部11が大型化することもなく、デザイン性も良好にすることができる。
なお、以上では、ブラシ部11を手元ハンドル部4の端部4aに装着する例について説明したが、延長管5の端部に装着する場合についても、本発明の考え方を適用することは可能である。このことは、以下の実施の形態でも同様である。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図9(a)(b)(c)および図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
図9(a)は、本実施形態のブラシ部11の端部4aへの装着状態での断面図であり、図9(b)は、上記ブラシ部11の第2の位置での一部破断側面図であり、図9(c)は、上記ブラシ部11の第1の位置での一部破断側面図である。本実施形態では、実施の形態1の嵌合用凸部8および凹部13aの形成を不要としている代わりに、以下の構成を採用している。
すなわち、手元ハンドル部4の端部4aの周面に、レール21と、係止部22とが設けられている。レール21は、ブラシ台13の端部4aへの装着を案内するための案内部材であり、ブラシ支持部12の回動方向とは異なる方向(本実施形態では、端部4aの軸方向(空気流入方向))に溝状に設けられている。係止部22は、ブラシ台13の案内の完了時に、ブラシ台13を係止するためのブラシ台係止部であり、端部4aの周方向(レール21の形成方向とは異なる方向)に凸状に形成されている。
一方、ブラシ台13には、リブ31と、係止突起32とが設けられている。リブ31は、端部4aのレール21に嵌りながら摺動する摺動部材である。係止突起32は、ブラシ台13の案内完了時に端部4aの係止部22にて係止されるブラシ台被係止部である。
このような構成により、ブラシ台13のリブ31を端部4aのレール21に摺動させながら、ブラシ台13を端部4aの軸方向に挿入することで、ブラシ台13の挿入が案内される。したがって、ブラシ台13の端部4aへの装着を、より容易にかつ確実に行うことができる。しかも、レール21の形成方向、すなわち、レール21とリブ31との摺動方向が、ブラシ支持部12の回動方向とは異なっているため、ブラシ支持部12の回動時にレール21とリブ31とが摺動してブラシ台13が端部4aから抜けるのを防止することができる。
また、ブラシ台13の案内完了時には、係止突起32が端部4aの係止部22に係止されることで、ブラシ台13が端部4aに係止されるので、ブラシ台13の端部4aからの抜けを防止することができる。
なお、本実施形態では、案内部材を溝状のレール21で形成し、摺動部材をレール21に嵌るリブ31としたが、案内部材を凸状に形成し、摺動部材をこれと摺動する形状(例えば溝状)に形成するようにしても構わない。また、本実施形態では、ブラシ台係止部を凸状の係止部22で形成する一方、ブラシ台被係止部を係止突起32としたが、これらのうちの一方を凹状に形成するとともに他方を凸状に形成し、他方が一方に嵌合することでブラシ台13が端部4aにて係止される構成であっても勿論構わない。
ところで、端部4aに上記の係止部22を設け、ブラシ台13に上記の係止突起32を設ける代わりに、図10に示す構成としてもよい。図10は、他の係止機構を備えたブラシ部11の一部破断側面図である。同図では、手元ハンドル部4にロックレバー23が設けられており、ブラシ台13に嵌合穴33が設けられている。
ロックレバー23は、レバー操作によりブラシ台13に対して係止およびその解除を行うためのレバー操作部である。嵌合穴33は、ロックレバー23にて係止されるレバー用被係止部である。
上記のロックレバー23は、レバー本体23aと、ツメ部23bと、付勢手段23cとで構成されている。レバー本体23aは、回動軸23dを中心に回動可能に設けられている。ツメ部23bは、レバー本体23aにおけるブラシ台13との接触側端部に設けられており、嵌合穴33に嵌合可能となっている。付勢手段23cは、例えばバネで構成されており、レバー本体23aにおいて、回動軸23dに対してツメ部23bとは反対側の端部を、端部4aの周面を支点として外方向に付勢している。これにより、レバー本体23aの先端のツメ部23bは、回動軸23dを支点として、端部4aの周面に向かう方向に付勢されることになる。なお、レバー本体23a自体に弾性を持たせることにより、付勢手段23cを不要とすることもできる。
上記の構成において、ブラシ台13のリブ31を端部4aのレール21と摺動させながらブラシ台13を端部4aに案内し、挿入していく。ブラシ台13の案内が完了する直前には、ブラシ台13におけるロックレバー23のツメ部23bとの接触部が、ツメ部23bをその付勢方向に抗して押し上げる。そして、ブラシ台13の案内が完了する時点では、レバー本体23aに働く付勢力により、ツメ部23bがブラシ台13の嵌合穴33に嵌り、ブラシ台13が端部4aに係止される。
一方、ブラシ台13を端部4aから抜く場合には、ロックレバー23のレバー本体23aにおいて付勢手段23cにて付勢されている部分を押圧し、ツメ部23bの嵌合穴33への嵌合を解除すればよい。これにより、ブラシ台13の端部4aへの係止が解除されるので、ブラシ台13をレール21に沿って端部4aから抜き取ることができる。
このように、端部4aにロックレバー23を設け、ブラシ台13に嵌合穴33を設けることで、ブラシ台13の端部4aへの係止機構を、より確実に実現することができる。
なお、図10では、端部4aにレバー操作部としてのロックレバー23を設け、ブラシ台13にレバー用被係止部としての嵌合穴33を設けた構成としたが、端部4aにレバー用被係止部としての嵌合穴を設け、ブラシ台13にレバー操作部としてのロックレバーを設ける構成であっても構わない。
つまり、手元ハンドル部4または延長管5と、ブラシ台13とのうちの一方には、レバー操作により他方に対して係止およびその解除を行うためのレバー操作部が設けられており、他方には、上記レバー操作部にて係止されるレバー用被係止部が設けられている構成であってもよいと言える。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図11ないし図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1・2と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態のブラシ部11は、実施の形態1・2のブラシ台13の接触による被清掃部への傷つきを低減するために、図11ないし図14の構成を採用している。なお、被清掃部とは、例えば窓や障子の桟など、ブラシ部11による清掃対象となるものを指している。
図11は、本実施形態のブラシ部11および手元ハンドル部4の概略の構成を示す側面図である。ブラシ部11のブラシ台13は、軟質材により構成されており、手元ハンドル部4の端部4aよりも空気の流入方向上流側に突出するように端部4aに装着される構成となっている。
この構成では、ブラシ部11の端部4aへの装着時には、ブラシ台13が端部4aよりも空気の流入方向上流側に突出しているので、ブラシ清掃時、すなわち、ブラシ糸12aによる被清掃部の清掃時に、この被清掃部に接触する可能性が高いのは、端部4aではなく、ブラシ台13となる。本実施形態では、このブラシ台13が軟質材で構成されているので、ブラシ台13と被清掃部との接触時における被清掃部への傷つきを低減することができる。
ところで、上記のようにブラシ台13全体を軟質材で構成する代わりに、ブラシ台13における端部4aからの突出部に、被清掃部との接触時における当該被清掃部への衝撃を緩和する緩衝材を設ける構成であっても構わない。図12は、上記緩衝材として軟質材41をブラシ台13の上記突出部に設けたブラシ部11の概略の構成を示す一部破断側面図であり、図13は、上記緩衝材としてキモウフ42をブラシ台13の上記突出部に設けたブラシ部11の概略の構成を示す一部破断側面図である。また、図14は、上記緩衝材として植毛43をブラシ台13の上記突出部に設けたブラシ部11の概略の構成を示す一部破断側面図である。なお、植毛43は、ブラシ糸12aと同じ材質で構成されてもよい。
このような構成であっても、ブラシ清掃時に被清掃部に接触する可能性が高いのは、端部4aではなく、ブラシ台13の突出部に設けられた緩衝材となる。したがって、ブラシ部11と被清掃部とが接触しても、この緩衝材により、被清掃部への衝撃が緩和されるので、被清掃部への傷つきを低減することができる。特に、上記緩衝材が、軟質材41、キモウフ42、植毛43であれば、その効果を確実に得ることができる。
また、植毛43を用いる構成の場合、図14に示すように、植毛43は、ブラシ支持部12が第1の位置に回動したときに、ブラシ支持部12のブラシ糸12aと植毛43とで空気の流入経路の全周を形成するように、端部4aよりも空気の流入方向上流側に突出してブラシ台13に設けられているのが望ましい。この場合、植毛43が存在しないところから空気流入経路の外部への空気の漏れを無くすことができ、電気掃除機の吸引能力および清掃能力を向上させることができる。
しかも、植毛43およびブラシ糸12aの毛先を連ねて形成される面が、端部4aにおける空気流入口6が位置する端面に対して傾斜するようにすれば、被清掃部の被清掃面に対して手元ハンドル部4を傾けた状態で、被清掃部をブラシ清掃することができるので、使用者は楽にブラシ清掃を行うことができ、実使用において手元ハンドル部4を握持する手首への疲労を軽減することができる。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図15(a)(b)(c)ないし図17に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1ないし3と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態のブラシ部11は、実施の形態1ないし3のブラシ台13をブラシ台51に置き換えた以外は、実施の形態1ないし3と同様の構成である。ここで、図15(a)は、ブラシ台51を有するブラシ部11の正面からの断面図であり、図15(b)は、上記ブラシ部11の側面図であり、図15(c)は、上記ブラシ部11の一部破断断面図である。
本実施形態のブラシ台51は、実施の形態1ないし3のブラシ台13と機能は同じであるが、形状が異なっている。より詳しくは、ブラシ台51は、手元ハンドル部4の端部4a(図16、図17参照)の周面の周方向の全周を覆う形状となっており、端部4aの周面にほぼ沿うような筒状の略オフセット形状となっている。したがって、ブラシ台51には、その軸方向(端部4aの軸方向に対応)に2つの開口部51aが形成されることになる。ちなみに、ブラシ支持部12は、その内面がブラシ台51の周面の周方向の一部に沿う略U字状で形成されており、ブラシ台51を挟持して回動することが可能となっている。
ブラシ台51を上記のように筒状の略オフセット形状とすることにより、ブラシ台51の開口部51aを介して、ブラシ台51またはブラシ部11全体を端部4aに挿抜することができる。この結果、ブラシ台51またはブラシ部11の端部4aへの装着および離脱を容易に行うことができる。
また、ブラシ台51が筒状となるので、U字状のブラシ台13に比べて、外部(例えば側方)から応力が加わったときでも変形しにくくなる。したがって、ブラシ部11を端部4aから外した状態で、ブラシ支持部12に外力が加わった場合でも、ブラシ台51の変形が抑えられる。これにより、ブラシ支持部12がブラシ台51から外れるのを抑えることができる。また、ブラシ部11を端部4aに装着した場合でも、ブラシ台51は外力によっては変形しにくいので、ブラシ部11を安定して端部4aにて保持させることができる。
次に、本実施形態のブラシ台51の端部4aへの係止機構について説明する。図16は、本実施形態のブラシ部11を端部4aに装着した状態でのブラシ部11および端部4aの断面図である。端部4aの周面には、係止解除部61が設けられている。係止解除部61は、ブラシ台51の端部4aへの係止およびその解除を行うためのものであり、押圧操作部62aを有する腕部62と、付勢手段63とを有して構成されている。
押圧操作部62aは、ブラシ台51の端部4aへの係止を解除する際に押圧される部分であり、その操作性を考慮して、端部4aの外面から突出するような形状となっている。付勢手段63は、例えばバネで構成され、押圧操作部62aを内側から上記突出方向に付勢している。
一方、ブラシ台51には、開口部52が設けられている。この開口部52は、係止解除部61の押圧操作部62aが嵌合可能な大きさとなっている。
上記の構成において、ブラシ台51(ブラシ部11)を開口部51a(図15(a)参照)を介して端部4aに挿入していくと、係止解除部61の押圧操作部62aがブラシ台51の内面と接触するが、ブラシ台51の内面によって内側に押され、軸64を支点として腕部62が回動する。この結果、押圧操作部62aは、付勢手段63の付勢力に抗して沈む。
引き続き、ブラシ台51を挿入していき、ブラシ台51の開口部52が押圧操作部62aを乗り越えると、押圧操作部62aは、ブラシ台51の内面との接触から開放されると同時に、腕部62は付勢手段63の付勢力によって元の位置に戻る方向に回動することが可能となり、押圧操作部62aが開口部52に嵌合する。この状態では、ブラシ台51を端部4aから引き抜こうとしても、開口部52の端部52aが押圧操作部62aにて係止された状態となるので、ブラシ台51が端部4aから離脱することはない。
一方、ブラシ台51を端部4aから離脱させる場合は、押圧操作部62aを押圧し、開口部52との嵌合を解除しながら、ブラシ台51を端部4aから引き抜く。この押圧操作により、ブラシ台51の押圧操作部62aによる係止状態が解除されるので、ブラシ台51をそのまま引き抜くことが可能となる。
以上のように、端部4aの周面に係止解除部61を設けることにより、係止解除部61による係止状態では、ブラシ台51を端部4aの周面に安定して保持させることができ、非係止状態では、ブラシ台51を端部4aの周面から確実に外すことができる。
しかも、係止解除部61の押圧操作部62aは、その非押圧時には開口部52に嵌合するので、ブラシ台51の端部4aからの抜けを防止しながら、ブラシ台51を端部4aに確実に保持、固定することができる。一方、押圧操作部62aは、その押圧時には開口部52から外れるので、ブラシ台51を端部4aから確実に引き抜くことができる。
ところで、上記した係止解除部61は、ロック操作部で兼用することができる。このロック操作部は、手元ハンドル部4の端部4aと延長管5(図2参照)との接続固定およびその解除を行うために、元々端部4aに設けられているものである。なお、ロック操作部は、延長管5と吸込口体2(図2参照)との接続固定およびその解除を行うものであってもよい。
このように、係止解除部61を、すでに端部4aに設けられているロック操作部を利用して構成することにより、ロック操作部を有効活用することができる。しかも、ブラシ台51を端部4aに係止する専用の係止解除部を別途設けなくても済み、そのような場合に比べて、部品点数の削減を図り、製品コストの低減を図ることができる。
次に、ブラシ台51の端部4aでの装着位置について、図17に基づいて説明する。図17は、ブラシ部11を端部4aに装着した手元ハンドル部4に延長管5を接続した場合の当該端部4aの断面図である。
本実施形態では、ブラシ台51は、端部4aよりも空気の流入方向上流側に突出するように、端部4aに装着されている。このようにブラシ台51を端部4aに装着することにより、端部4aにおける接続部、すなわち、端部4aと延長管5との接続部をブラシ台51で隠すことができる。したがって、上記接続部におけるつなぎ目を目立たなくして美観を向上させることができる。
また、延長管5には、吸込口体2への電源供給のために、端部4aの電気接続部7(図4参照)と電気的に接続される電極71が埋設されている。したがって、端部4aと延長管5との接続が不十分の場合には、上記接続部に隙間が生じ、電極71が上記隙間から露出することになる。しかし、上記のようにブラシ台51を端部4aから突出して設けることで上記接続部を隠す(覆う)ことができるので、上記接続部の隙間を介して電極71が外部に露出するのを防ぐことができ、電極71への塵埃の付着を防止することができる。
なお、ブラシ台51の突出量Pとしては、任意に設定することができるが、上述の効果を確実に得ようと思えば、おおよそ0.5mm以上であることが望ましい。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、ブラシ部11を手元ハンドル部4、延長管5に常時配設した状態で、通常の吸込口体2(パワーブラシ)での掃除を可能とし、さらには、手元ハンドル部4、延長管5への着脱性を向上させることができるとともに、掃除性能の向上を図ることができ、また、被掃除面への傷つきも低減することができる。
また、上述した各実施の形態の構成を適宜組み合わせて本発明の電気掃除機を構成することも勿論可能である。