JP2005183701A - 圧電素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電磁器層の結晶粒子が配向した良好な特性を有する圧電素子、及び該圧電素子を効率よく製造することが可能な圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】圧電磁器材料層の両面側に電極材料層が配設された構造体を一体焼成することにより形成され、圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する素子本体を備え、圧電磁器層が、主としてペロブスカイト構造を有する圧電磁器から形成されているとともに、圧電磁器層を構成する圧電磁器の、積層方向から見た平均結晶粒径が、圧電磁器層の一層の厚みよりも大きく、かつ、結晶粒の方位が配向した構造とする。
また、積層方向に、圧電磁器の結晶の<001>面が配向しており、その配向度がロッドゲーリング法にて18%以上である構成とする。
圧電磁器層が、ガラス成分を含む構成とする。
【選択図】図3
【解決手段】圧電磁器材料層の両面側に電極材料層が配設された構造体を一体焼成することにより形成され、圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する素子本体を備え、圧電磁器層が、主としてペロブスカイト構造を有する圧電磁器から形成されているとともに、圧電磁器層を構成する圧電磁器の、積層方向から見た平均結晶粒径が、圧電磁器層の一層の厚みよりも大きく、かつ、結晶粒の方位が配向した構造とする。
また、積層方向に、圧電磁器の結晶の<001>面が配向しており、その配向度がロッドゲーリング法にて18%以上である構成とする。
圧電磁器層が、ガラス成分を含む構成とする。
【選択図】図3
Description
本願発明は、発振子やフィルタあるいは圧電トランスや圧電アクチュエータなどの、電気信号と機械信号を変換する圧電素子に関し、特に圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する圧電素子及びその製造方法に関する。
従来、圧電材料としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を主成分とするセラミックスや、水晶、ニオブ酸アルカリなどの単結晶、あるいは、ZnO膜などが主に用いられている。そして、最近ではPbの環境に対する汚染などの問題からBi層状化合物やBaTiO3などの種々の材料が見直され研究が盛んになってきている。
材料の形態としては、工業的生産性の高さからセラミックスが広く用いられている。また、セラミックスは、粉体を成形して焼成を行うため、得られる成形体の形状の自由度が高いという特徴を有している。
例えば、圧電材料としてセラミックスを用い、セラミックスと電極を交互に積層した積層体を一体焼成することにより、製品の小型化や高機能化を図ることが可能になる。
例えば、圧電材料としてセラミックスを用い、セラミックスと電極を交互に積層した積層体を一体焼成することにより、製品の小型化や高機能化を図ることが可能になる。
しかしながらセラミックスは多結晶体であり、ランダムな方位を向いた結晶の総和としての特性を示す。したがって、セラミックスでは、単結晶において得られるような、理想的な高い特性を得ることは困難である。例えば、単結晶材料では、分極方向に平行あるいは垂直に電界を印加することで、例えば33モードや15モードの出力を最大とすることが可能になるのに対し、セラミックスを用いた場合には、異方性を有する結晶がそれぞれランダムな方向に向いているため、全ての結晶から最大の特性を引き出すことはできないのが実情である。
そこでセラミックス粒子を配向させることにより、単結晶の特性値に近づけるための研究開発が鋭意行われており、いくつかの提案が行われている。
セラミックスの粒子を配向させる方法としては、例えば、柱状や板状などの異方性を有する原料粉体を、テープ整形などの方法で整列させて焼成することにより結晶を配向させる方法や、圧電材料用の原料粉体以外の、異方性を持つテンプレート粒子を圧電材料用の原料粉体に混合することにより結晶を配向させる方法 などが提案されている。
セラミックスの粒子を配向させる方法としては、例えば、柱状や板状などの異方性を有する原料粉体を、テープ整形などの方法で整列させて焼成することにより結晶を配向させる方法や、圧電材料用の原料粉体以外の、異方性を持つテンプレート粒子を圧電材料用の原料粉体に混合することにより結晶を配向させる方法 などが提案されている。
しかしながら、前者の方法の場合には、異方性の高い材料を用いることが必要になるが、PZTなどのペロブスカイト構造を有する材料の場合には、十分に異方性の高い原料粉体を用意することは困難であり、また、後者の方法の場合には、圧電材料用の原料粉体以外のテンプレート粒子を混入させているので、特性の低下を招くという問題点がある。
また、圧電材料からなる薄膜を形成する場合においては、圧電結晶の格子定数とマッチングの良い単結晶基板あるいは配向度の高い基板に、圧電体結晶をエピタキシャル成長させることにより配向膜を得る方法が知られている。
しかし、この方法の場合には、その圧電材料にあわせた基板を選択することが必ずしも容易ではなく、薄膜の形成プロセスが複雑になるなどの理由から、工業的生産性が低下するという問題点がある。
しかし、この方法の場合には、その圧電材料にあわせた基板を選択することが必ずしも容易ではなく、薄膜の形成プロセスが複雑になるなどの理由から、工業的生産性が低下するという問題点がある。
以上のように結晶粒子を配向させて、セラミックスの特性を向上させるためには多くの制約があり、プロセスの複雑化を伴うという問題点がある。
また、積層変位素子に関する従来の技術の一つとして、チタン酸バリウムを主成分とし、平均粒径が3.5m以上の平均粒径を有しているとともに、セラミック層一層中に一のセラミック粒子で形成されている一層一粒子の部分の割合が、二次元的に断面で観察したときに10%以上(最高40%)であるようなセラミック層と、内部電極層とを積層した積層変位素子が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、上記特許文献1のような構成の積層変位素子では、一層一粒子の部分の割合を二次元的に断面で観察したときに40%にまで増やした場合においても、近年求められるに至っているような高特性を実現することは困難で、さらに高い特性を備えた圧電素子が求められているのが実情である。
特開2001−230147号公報
しかしながら、上記特許文献1のような構成の積層変位素子では、一層一粒子の部分の割合を二次元的に断面で観察したときに40%にまで増やした場合においても、近年求められるに至っているような高特性を実現することは困難で、さらに高い特性を備えた圧電素子が求められているのが実情である。
本願発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、圧電磁器層の結晶粒子が配向しており、良好な特性を備えた圧電素子、及び該圧電素子を、特に複雑な製造プロセスを必要とすることなく、効率よく製造することが可能な圧電素子の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)の圧電素子は、
圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する圧電素子であって、
圧電磁器材料層の両面側に電極材料層が配設された構造体を一体焼成することにより、圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する素子本体が形成され、
前記圧電磁器層が、主としてペロブスカイト構造を有する圧電磁器から形成され、
圧電磁器層を構成する圧電磁器の、積層方向から見た平均結晶粒径が、圧電磁器層の一層の厚みよりも大きく、かつ、結晶粒の方位が配向していること
を特徴としている。
圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する圧電素子であって、
圧電磁器材料層の両面側に電極材料層が配設された構造体を一体焼成することにより、圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する素子本体が形成され、
前記圧電磁器層が、主としてペロブスカイト構造を有する圧電磁器から形成され、
圧電磁器層を構成する圧電磁器の、積層方向から見た平均結晶粒径が、圧電磁器層の一層の厚みよりも大きく、かつ、結晶粒の方位が配向していること
を特徴としている。
また、請求項2の圧電素子は、積層方向に、圧電磁器の結晶の<001>面が配向しており、その配向度がロッドゲーリング法にて18%以上であることを特徴としている。
また、請求項3の圧電素子は、前記圧電磁器層が、ガラス成分を含むものであることを特徴としている。
また、本願発明(請求項4)の圧電素子の製造方法は、
ガラス成分を添加した圧電磁器材料を主たる成分とする圧電磁器材料層の両面側に、電極材料を主たる成分とする電極材料層が配設された構造体を形成する工程と、
前記構造体を一体焼成する工程と
を具備することを特徴としている。
ガラス成分を添加した圧電磁器材料を主たる成分とする圧電磁器材料層の両面側に、電極材料を主たる成分とする電極材料層が配設された構造体を形成する工程と、
前記構造体を一体焼成する工程と
を具備することを特徴としている。
本願発明(請求項1)の圧電素子においては、圧電磁器材料層と電極材料層を備えた構造体を一体焼成することにより、圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する素子本体が形成されており、圧電磁器層が、主としてペロブスカイト構造を有する圧電磁器から形成され、圧電磁器層を構成する圧電磁器の、積層方向から見た平均結晶粒径が、圧電磁器層の一層の厚みよりも大きく、かつ、結晶粒の方位が配向しているので、通常のセラミック材料を用いた圧電素子に比べて、結晶粒の方位の配向性が大きく、それだけ良好な特性を実現することが可能になる。
すなわち、電極層を構成する金属結晶とのマッチングの影響を受けた状態で、圧電磁器層を構成する圧電磁器の結晶粒子を成長させることにより、配向が促進される。また、結晶粒子が層厚みよりも大きく成長することでさらに配向が促進され、特性の良好な圧電素子を得ることが可能になる。
すなわち、電極層を構成する金属結晶とのマッチングの影響を受けた状態で、圧電磁器層を構成する圧電磁器の結晶粒子を成長させることにより、配向が促進される。また、結晶粒子が層厚みよりも大きく成長することでさらに配向が促進され、特性の良好な圧電素子を得ることが可能になる。
なお、図1は、本願発明の圧電素子を構成する圧電磁器の結晶粒子のモデルを示す斜視図である。図1に示すように、本願発明の圧電素子6aによれば、電極層2a,2aにより挟まれた圧電磁器層1aにおいて、電極層2aの影響により、圧電磁器層1aを構成する圧電磁器の配向が促され、層厚みよりも結晶粒子10が大きくなることでさらに配向が進み、優れた特性を有する圧電素子を得ることが可能になる。
なお、本願発明の圧電素子においては、圧電磁器材料層の両面側に電極材料層が配設された構造体を一体焼成する過程で、電極材料が圧電磁器材料層よりも先に結晶化、焼結することにより、圧電磁器との界面において圧電磁器が結晶化し、格子定数のマッチングなどが配向を促す有効な因子となり、焼結に対して配向の影響を与えることによるものと考えられる。
また、この場合において、圧電磁器の結晶粒を成長させると、電極層に挟まれた圧電磁器層内の結晶の配向度を効果的に向上させることが可能になる。これは粒成長により、個々の粒子に対する電極格子の影響が大きくなることによるものと考えられる。
また、この場合において、圧電磁器の結晶粒を成長させると、電極層に挟まれた圧電磁器層内の結晶の配向度を効果的に向上させることが可能になる。これは粒成長により、個々の粒子に対する電極格子の影響が大きくなることによるものと考えられる。
また、本願発明においては、ペロブスカイト構造を有する圧電磁器材料として、例えば、PZTやBTなどを用いることが可能である。なお、本願発明の圧電素子に用いられる材料としては、粒成長しやすい組成のものを用いることが望ましく、また、粒成長を促すことができるような焼結助剤を添加することが好ましい。
また、本願発明の圧電素子の構造には特別の制約はなく、電極層と圧電磁器層を交互に積層するとともに、各電極層を交互に異なる側面側に引き出して、素子の側面に形成された外部電極に接続した一般的な積層型構造を有する圧電素子、外部電極に接続されないダミー電極として素子の内部に電極を配設した構造の圧電素子、一層の圧電磁器層の両面に電極層が配設されたいわゆる単板型構造の圧電素子などの種々の圧電素子に本願発明を適用することが可能である。
また、電極層は圧電磁器層の全面に形成されている必要はなく、所定の形状にパターン化した部分電極であってもよい。また、積層される複数の電極は同じ形状である必要はなく、一部または全部が異なる形状のものであってもよい。
なお、本願発明の圧電素子においては、圧電磁器層を構成する圧電磁器材料として、BaTiO3を主成分とするものを用い、電極を構成する電極材料として、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、及びCuからなる群より選ばれる1種以上の金属を主成分とするものを用いることにより、格子定数のマッチングによる圧電磁器の結晶粒の成長を促すことが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。
なお、BaTiO3の格子定数は0.4nm程度であり、上述の金属も格子定数が0.4nm程度の面心立方構造を有しており、良好な格子マッチングが得られる。
また、結晶粒径が圧電磁器層の一層の厚みよりも大きく成長すると、結晶の配向が顕著になる。
なお、BaTiO3の格子定数は0.4nm程度であり、上述の金属も格子定数が0.4nm程度の面心立方構造を有しており、良好な格子マッチングが得られる。
また、結晶粒径が圧電磁器層の一層の厚みよりも大きく成長すると、結晶の配向が顕著になる。
また、請求項2の発明は、例えばCaで変成したBaTiO3を主成分とする圧電磁器と、該圧電磁器のBaTiO3の<100>面とよいマッチングを示す結晶格子を持つAu、Pt、Pd、Ag、Ni、Cuから選ばれる1以上の金属を主成分とする金属材料の組み合わせにより構成される圧電素子においては、格子定数のマッチングにより、圧電磁器の結晶の<001>面の積層方向への配向度を、ロッドゲーリング法にて18%以上にまで向上させることが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。
なお、ロッドゲーリング法による配向度(F)とは、XRD測定結果より、下記の数式2で求められるピーク強度比(無配向時のピーク強度比と配向時のピーク強度比)から、数式1により求められる値である。
なお、上記の数式1により求められる配向度F(%)の値は、無配向時には0%となり、完全に配向しているときには100%となる。
また、請求項3の発明は、圧電磁器層にガラス成分を含ませるようにしているので、圧電磁器の結晶粒の成長を促進させることが可能になり、さらに効率よく特性を向上させることが可能になる。
すなわち、ガラス成分を添加することにより液相焼結させることが可能になり、圧電磁器材料の結晶粒の成長を促進させて、圧電磁器の結晶粒子を、その両面側に配設された電極間距離(=圧電磁器層の厚み)よりも大きく成長させることが可能になる。したがって、圧電磁器の結晶粒子を効率よく配向させて、得られる圧電素子の特性を向上させることが可能になる。
但し、ガラス成分の種類により液相焼結に適した温度が異なるため、適切な温度制御を行うことが望ましい。
すなわち、ガラス成分を添加することにより液相焼結させることが可能になり、圧電磁器材料の結晶粒の成長を促進させて、圧電磁器の結晶粒子を、その両面側に配設された電極間距離(=圧電磁器層の厚み)よりも大きく成長させることが可能になる。したがって、圧電磁器の結晶粒子を効率よく配向させて、得られる圧電素子の特性を向上させることが可能になる。
但し、ガラス成分の種類により液相焼結に適した温度が異なるため、適切な温度制御を行うことが望ましい。
なお、ガラス成分としては、例えば、Si−B−O系ガラス、Si−Li−O系ガラスなどを用いることが可能であり、さらにその他のガラスを用いることも可能である。
また、ガラス成分の添加量としては、圧電磁器中の割合が、0.02〜4重量%となるような範囲で添加することが好ましい。これはガラス成分の添加量が 0.02重量%未満になると粒成長しないこと、また、4重量%を超えると圧電体の特性が劣化することによる。
また、本願発明(請求項4)の圧電素子の製造方法は、ガラス成分を添加した圧電磁器材料を主たる成分とする圧電磁器材料層の両面側に、電極材料を主たる成分とする電極材料層が配設された構造体を形成し、この構造体を一体焼成しているので、圧電磁器材料を液相焼結させることが可能になり、圧電磁器の結晶粒の成長を促進させて、圧電磁器の結晶粒子を、その両面側に配設された電極間距離(=圧電磁器層の厚み)よりも十分に大きく成長させることが可能になる。その結果、圧電磁器の結晶粒子を効率よく配向させることが可能になり、特性の良好な圧電素子を、特に複雑な製造工程を必要とせずに、確実に製造することが可能になる。
すなわち、例えばCaで変成したBaTiO3を主成分とし、かつ、ガラスを含有する材料からなる圧電磁器層の両面側に、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、Cuから選ばれる1種以上の金属を主成分とする電極層が配設された構造を有する構造体を、一体に焼結するようにした場合、BaTiO3の<100>面と良好なマッチングを示す結晶格子を持つ電極材料により、圧電磁器の結晶粒の成長を促すことが可能になるとともに、圧電磁器材料がガラス成分を含有していることから圧電磁器の焼結の態様が液相焼結となり、結晶粒の成長が促されることになる。したがって、圧電磁器の結晶粒の方位の配向性を大きくすることが可能になり、それだけ良好な特性を備えた圧電素子を製造することが可能になる。
すなわち、例えばCaで変成したBaTiO3を主成分とし、かつ、ガラスを含有する材料からなる圧電磁器層の両面側に、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、Cuから選ばれる1種以上の金属を主成分とする電極層が配設された構造を有する構造体を、一体に焼結するようにした場合、BaTiO3の<100>面と良好なマッチングを示す結晶格子を持つ電極材料により、圧電磁器の結晶粒の成長を促すことが可能になるとともに、圧電磁器材料がガラス成分を含有していることから圧電磁器の焼結の態様が液相焼結となり、結晶粒の成長が促されることになる。したがって、圧電磁器の結晶粒の方位の配向性を大きくすることが可能になり、それだけ良好な特性を備えた圧電素子を製造することが可能になる。
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
(1)まず、原料として各元素の酸化物あるいは炭酸化合物(BaCO3、CaCO3、TiO2、SiO2)を用意し、これらの所定量を秤量して、ボールミル中で16時間湿式混合を行った。
そして、混合された原料をステンレスバット上で乾燥し、整粒した後、アルミナさやに入れて1100℃で仮焼を行った。
また、同様の方法により、ガラス成分として、SiO2を、焼成後の圧電磁器中の含有率が0.2重量%となるような割合で添加した原料を調製した。
そして、混合された原料をステンレスバット上で乾燥し、整粒した後、アルミナさやに入れて1100℃で仮焼を行った。
また、同様の方法により、ガラス成分として、SiO2を、焼成後の圧電磁器中の含有率が0.2重量%となるような割合で添加した原料を調製した。
(2)このようにして得られた仮焼原料に、バインダー及び分散剤を添加し、ボールミルにて16時間湿式混合を行い、スラリーを得た。
(3)このスラリーをドクターブレード法により、厚み20μmのシート状に成形してセラミックグリーンシートを得た。
(4)それから、このセラミックグリーンシートに、印刷機を用いてPtを導電成分とする導電ペーストを所定のパターンで印刷した後、セラミックグリーンシートを印刷された電極パターンに沿って所定の大きさにカットすることにより、図2に示すように、セラミックグリーンシート1の表面に所定の電極パターン2が配設された電極配設シート3を得た。
(5)次に、所定の大きさにカットされた電極配設シート3を、厚さが約1mmになるまで、図2に示すように、電極パターン2が交互に逆側に引き出されるような態様で複数枚積層し、プレス機により圧着して一体化することにより、積層圧着体(未焼成の素子本体)4a(図3)を得た。
(6)この積層圧着体(未焼成の素子本体)4aを、大気中にて400℃で脱脂した後、表1に示すような条件(時間条件及び温度条件)で、大気中にて焼成することにより焼結体(素子本体)4(図3)を得た。
(7)それから、焼結体(素子本体)4の両端面を含む所定の領域に外部電極用の導電ペーストを塗布して、焼き付けることにより、図3に示すように、焼結体(素子本体)4の両端面に、所定の電極層2aと導通するように外部電極5が配設された圧電素子6を得た。なお、この圧電素子は、圧電磁器層1aと電極層2aとが交互に積層されており、圧電磁器層1aの両面側には電極層2aが配設された構造を有している。
上記の工程を経て得られた圧電素子について、積層方向に対してXRD測定を行い、ロッドゲーリング法により圧電磁器の結晶の配向度を調べた。また、圧電磁器の結晶粒径は、積層方向に対し垂直方向から観察し、インターセプト法により求めた。
表1に、圧電材料の種類、ガラス成分の添加の有無、圧電磁器の平均粒径、圧電磁器層一層あたりの厚み、電極材料の種類、圧電磁器の結晶の配向度、及び焼成条件を示す。
表1に、圧電材料の種類、ガラス成分の添加の有無、圧電磁器の平均粒径、圧電磁器層一層あたりの厚み、電極材料の種類、圧電磁器の結晶の配向度、及び焼成条件を示す。
なお、表1において試料番号12は、電極層を備えていないセラミックグリーンシートのみを積層した本願発明の範囲外の試料(比較例)である。
このセラミックグリーンシートのみを積層した、電極層を備えていない試料番号12の場合、電極からの配向の影響を受けることがなく、配向が認められない。この試料番号12の試料を基準として、ロッドゲーリング法により配向度を算出していることから、この試料番号12の試料では配向度が0%となっている。
このセラミックグリーンシートのみを積層した、電極層を備えていない試料番号12の場合、電極からの配向の影響を受けることがなく、配向が認められない。この試料番号12の試料を基準として、ロッドゲーリング法により配向度を算出していることから、この試料番号12の試料では配向度が0%となっている。
また、圧電磁器の結晶の平均粒径が圧電磁器層の厚みより大きい試料番号1〜6の試料においては、いずれも配向度が18%以上になっていること、および、圧電磁器層の厚みに対する、圧電磁器の結晶の平均粒径の割合が大きくなるにつれて、配向度が高くなっていることがわかる。これは電極から配向の影響を受けた粒子が成長したため、配向度が向上したものと考えられる。
また、試料番号1〜6の試料において、ガラス成分を添加した試料(試料番号1,3,5)は、ガラス成分を添加していない試料(試料番号2,4,6)と圧電磁器の結晶の平均粒径が同等で、かつ配向度が大きくなっていることがわかる。これは、ガラス成分を含有する試料の場合、焼結が液相焼結となり、結晶粒の成長が促進されることから、ガラス成分を添加していない試料に比べて、配向性が向上することによるものと考えられる。
一方、圧電磁器の結晶の平均粒径が圧電磁器層の厚みより小さい試料番号7〜11の試料においては、配向度が18%未満と低くなることがわかる。また、圧電磁器層の厚みに対する、圧電磁器の結晶の平均粒径の割合が小さくなるにつれて、配向度が低くなる傾向があること、およびガラス成分を添加している試料のほうが配向度が高くなる傾向があることがわかる。
なお、圧電磁器の結晶の平均粒径が圧電磁器層の厚みよりわずかに小さい試料番号7,8,9の場合、実際には、圧電磁器の結晶の粒径のばらつきにより、圧電磁器層の厚みよりも大きい圧電磁器の結晶が相当な割合で存在することになるが、その場合にも、平均粒径が圧電磁器層の厚みより小さい場合には、本願発明の要件を満たす場合に得られるような高い配向度を実現することができないことがわかる。
なお、本願発明は図3に示すような構造の圧電素子に限られるものではなく、例えば、図4に示すような、素子本体4中に電極パターン(内部電極)2が配設され、上面側及び下面側のそれぞれに外部電極5が配設された構造を有する3端子型の積層型圧電フィルタ素子にも適用することが可能であり、その場合にも、上記実施例の場合と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施例では、BaCaTiO3からなる圧電磁器と、Ptからなる電極の組み合わせを示しているが、圧電磁器の種類や電極の構成材料の種類はこれに限定されるものではなく、格子マッチングを得ることが可能な限りにおいて、種々の組み合わせとすることが可能であり、その場合にも、本願発明の効果を得ることができる。
本願発明は、さらにその他の点においても、上記実施例に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
本願発明の圧電素子においては、圧電磁器層を構成する圧電磁器の、積層方向から見た平均結晶粒径が、圧電磁器層の一層の厚みよりも大きく、かつ、結晶粒の方位が配向した構成としているので、通常のセラミック材料を用いた圧電素子に比べて、結晶粒の方位の配向性が大きく、それだけ良好な特性を実現することが可能になる。また、本願発明の圧電素子の製造方法においては、ガラス成分を添加した圧電磁器材料を主たる成分とする圧電磁器材料層の両面側に、電極材料を主たる成分とする電極材料層が配設された構造体を形成し、この構造体を一体焼成しているので、圧電磁器材料を液相焼結させることが可能になり、圧電磁器の結晶粒の成長を促進させて、圧電磁器の結晶粒子を、その両面側に配設された電極間距離(=圧電磁器層の厚み)よりも十分に大きく成長させることが可能になる。その結果、圧電磁器の結晶粒子を効率よく配向させることが可能になり、特性の良好な圧電素子を、特に複雑な製造工程を必要とせずに、確実に製造することが可能になる。
したがって、本願発明は、圧電トランスや圧電アクチュエータなどの、電気信号と機械信号を変換する圧電素子、特に圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する圧電素子及びその製造に関する産業分野に広く利用することが可能である。
したがって、本願発明は、圧電トランスや圧電アクチュエータなどの、電気信号と機械信号を変換する圧電素子、特に圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する圧電素子及びその製造に関する産業分野に広く利用することが可能である。
1 セラミックグリーンシート
1a 圧電磁器層
2 電極パターン
2a 電極層
3 電極配設シート
4 焼結体(素子本体)
4a 積層圧着体(未焼成の素子本体)
5 外部電極
6,6a 圧電素子
10 結晶粒子
1a 圧電磁器層
2 電極パターン
2a 電極層
3 電極配設シート
4 焼結体(素子本体)
4a 積層圧着体(未焼成の素子本体)
5 外部電極
6,6a 圧電素子
10 結晶粒子
Claims (4)
- 圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する圧電素子であって、
圧電磁器材料層の両面側に電極材料層が配設された構造体を一体焼成することにより、圧電磁器層の両面側に電極層が配設された構造を有する素子本体が形成され、
前記圧電磁器層が、主としてペロブスカイト構造を有する圧電磁器から形成され、
圧電磁器層を構成する圧電磁器の、積層方向から見た平均結晶粒径が、圧電磁器層の一層の厚みよりも大きく、かつ、結晶粒の方位が配向していること
を特徴とする圧電素子。 - 積層方向に、圧電磁器の結晶の<001>面が配向しており、その配向度がロッドゲーリング法にて18%以上であることを特徴とする請求項1記載の圧電素子。
- 前記圧電磁器層が、ガラス成分を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電素子。
- ガラス成分を添加した圧電磁器材料を主たる成分とする圧電磁器材料層の両面側に、電極材料を主たる成分とする電極材料層が配設された構造体を形成する工程と、
前記構造体を一体焼成する工程と
を具備することを特徴とする圧電素子の製造方法。
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