JP2005183472A - 磁気抵抗センサ素子 - Google Patents

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Naoki Yasuda
直紀 保田
Yuji Kawano
裕司 川野
Tatsuya Fukami
達也 深見
Motohisa Taguchi
元久 田口
Shinichi Hosomi
眞一 細見
Ikuya Kawakita
生也 川喜多
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Abstract

【課題】 表面が平坦性に優れ、封止樹脂からの応力で変形を受けず、耐熱性と耐クラック性とに優れた硬化樹脂膜を、制御回路と磁気抵抗薄膜との間の絶縁膜に用いた信頼性の高い磁気抵抗センサ素子を得る。
【解決手段】 絶縁膜が、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)の各化学構造ユニットが結合したシリコーン系ポリマーの硬化膜である磁気抵抗センサ素子。
[Si(O1/2) (1)
[RSi(O1/2) (2)
[RSi(O1/2) (3)
[RSiO1/2 (4)
(k≧1、l≧1、m≧1n≧1であり、R1、R2、R、R、R、Rはアリール基、水素原子、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基であり、同種でも異種でもよい。)
【選択図】 図1

Description

この発明は、細線パターンを有する磁気抵抗センサ素子に関するものである。
磁気抵抗センサ素子は、磁性金属細線からなる磁気抵抗薄膜を有し、磁性金属の磁気抵抗効果を利用して磁界の大きさや方向の変化を検出できるように構成されている。
磁気抵抗センサ素子は小形化を図るため、制御回路上に制御回路表面の急峻な凹凸を埋めるシリコーン系ポリマーの絶縁膜を設け、この絶縁膜上に磁気抵抗薄膜を積層する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、上記シリコーン系ポリマーとして、特許文献1に記載の一般式(1)で表わされ、且つ重量平均分子量が1000以上のシリコーン系ポリマー、および、特許文献1に記載の一般式(2)で表わされ、且つ重量平均分子量が1000以上のシリコーン系ポリマーが開示されている。
国際公開01/88482号パンフレット(第4−5頁)
しかしながら、上記絶縁膜に、汎用性のあるシリコーン樹脂として知られているポリジメチルシロキサンなどの鎖状構造のシリコーンポリマーを硬化した樹脂膜Tを用いると、磁気抵抗薄膜との密着性が悪く、磁気抵抗薄膜と上記樹脂膜Tの界面で剥れが生じる場合がある。また、上記樹脂膜Tの耐熱性が200℃前後であるため、磁気抵抗センサ素子の製造における熱プロセスに制限を設ける必要があり、製造プロセスの処理条件に尤度が少ない。また、磁気抵抗センサ素子の高温での耐久性試験で、上記樹脂膜Tが劣化して、磁気抵抗薄膜を汚染する場合があるという問題があった。
また、上記樹脂膜Tは柔らかいため、磁気抵抗薄膜形成後の配線工程や磁気抵抗薄膜の保護膜形成、あるいは、磁気抵抗センサ素子の樹脂封止において、樹脂膜Tが変形して、直上の磁気抵抗薄膜が歪み、センサ特性が劣化する場合があるという問題があった。
また、上記絶縁膜に、特許文献1に記載の一般式(1)で表わされるシリコーン系ポリマーのうち、Si−Si結合やO−O結合を有するポリマーを硬化した樹脂膜Uを用いると、磁気抵抗センサ素子の製造工程における350℃の熱処理や、レジスト写真製版時での紫外線照射、レジスト除去工程のアッシング工程で、これらの結合が開裂し、上記絶縁膜の分解が起こる場合があり、熱処理温度条件や写真製版時の露光波長の選択、低パワーによるアッシングなど、磁気抵抗センサの製造工程の条件が狭くなるとの問題があった。
また、上記絶縁膜に、特許文献1に記載の一般式(2)で表わされるシリコーン系ポリマーを硬化した樹脂膜Vを用いると、制御回路の段差が大きい場合、上記絶縁膜Vにクラックが発生する場合があり、磁気抵抗センサ素子の歩留まりが低下するとの問題があった。
この発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、その表面が平坦性に優れ、製造プロセスに耐え得る耐熱性を備え、封止樹脂から受ける応力で変形を受けず、耐クラック性に優れた、硬化樹脂膜を制御回路と磁気抵抗薄膜との間の絶縁膜に用いた信頼性の高い磁気抵抗センサ素子を提供するものである。
この発明に係る磁気抵抗センサ素子は、センサ基板と、このセンサ基板の表面に形成された制御回路と、この制御回路上に形成されたシリコーン系ポリマーの硬化膜からなる樹脂膜と、この樹脂膜上に形成された磁気抵抗薄膜の細線パターンとからなる磁気抵抗センサ素子であって、上記シリコーン系ポリマーが、下記一般式(1)で表される化学構造ユニットAおよび下記一般式(2)で表される化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと、下記一般式(3)で表される化学構造ユニットCと、下記一般式(4)で表される化学構造ユニットDとが結合してなるシリコーン系ポリマーであることを特徴とする磁気抵抗センサ素子である。
[Si(O1/2) (1)
(k≧1である。)
[RSi(O1/2) (2)
(l≧1であり、Rはアリール基、水素原子、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基である。)
[RSi(O1/2) (3)
(m≧1であり、R、Rはアリール基、水素原子、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基であり、同種でもよく、異種でもよい。)
[RSiO1/2 (4)
(n≧1であり、R、R、Rはアリール基、水素原子、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基であり、同種でもよく、異種でもよい。)
この発明に係る磁気抵抗センサ素子は、センサ基板およびこのセンサ基板の表面に形成された制御回路と、磁気抵抗薄膜との間に上記一般式(1)で表される化学構造ユニットAおよび上記一般式(2)で表される化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと、上記一般式(3)で表される化学構造ユニットCと、上記一般式(4)で表される化学構造ユニットDとが結合してなるシリコーン系ポリマーの硬化膜からなる樹脂膜を介在させるので、高いクラック耐性と高耐熱性を併せ持ち、表面が平坦化した樹脂膜上に磁気抵抗薄膜を形成することができ、信頼性が優れた磁気抵抗センサ素子を得ることができる。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における磁気抵抗センサ素子を説明する断面模式図である。
本実施の形態の磁気抵抗センサ素子10は、基板1の表面に制御回路2が設けられており、さらに、制御回路2の表面には、凹凸な制御回路表面を覆い平坦化する硬化樹脂膜3が設けられている。そして、この樹脂膜3上に磁気抵抗効果を示す磁性金属からなる細線6が形成されている。そして、制御回路2は、通常バイポーラICが用いられ、基板1の表面側に形成された下層配線2aと、下層絶縁膜2bと、下層絶縁膜2b上に形成された上層配線2cと、これらの表面に形成された無機膜からなる層間絶縁膜2dとで構成されている。
また、サージ電流に対する電源およびトランジスタの保護のためのAlSiからなるサージ抵抗7もこの樹脂膜3上に形成される。細線6と制御回路の上層配線2c、サージ抵抗7と制御回路の上層配線2cとは接続金属8によって接続される。これらの表面には、スパッタリング法やCVD法で形成された無機膜(シリコン窒化膜、シリコン酸化膜等)からなるパッシベーション膜9が形成されている。
図2は、本実施の形態に係る磁気抵抗センサ素子の製造方法の一例を説明する断面模式図である。
まず、センサ基板1の表面側に通常のバイポーラICの製造プロセスにより制御回路2を形成する(図2a)。
この制御回路2上に、シリコーン系ポリマーを有機溶剤に溶解させたワニスを0.3〜10μmの膜厚で塗布し、ホットプレート上で100℃〜400℃で熱処理を行い、シリコーン系ポリマーを硬化して、樹脂膜3を制御回路2上に形成する(図2b)。
次に、樹脂膜3の表面に膜厚が100nmから5μmのi線用ポジレジスト4を塗布し(図2c)、制御回路2の上層配線2cのコンタクト部、ボンディングパッド(図示せず)あるいはダイシングライン(図示せず)などを露出するためのコンタクトホールパターンを有するマスク(図示せず)を用いて、上方より紫外光(i線)を照射し、コンタクトホール部のi線用ポジレジスト4を露光する。
次に、露光後ベークを行った後、現像処理を行い、所望のパターンを有するi線用ポジレジスト4のパターン5を得る(図2d)。
このi線用ポジレジストのパターン5をマスクとして、反応性イオンエッチング装置あるいはイオンビームエッチング装置を用いて樹脂膜3と層間絶縁膜2dを連続的にドライエッチング法により除去し、コンタクトホールを得る。反応性イオンエッチングで用いるエッチング用ガスは、樹脂膜3をエッチングできるガス種なら特に限定しないが、CF、CHF、C、N、H、Ar、Oなどからなる混合ガスが好ましく用いることができる。このように、樹脂膜3の除去をドライエッチング法により行うと、樹脂膜3と層間絶縁膜2dを連続的に除去できるため、プロセスの簡略化ができる。
次に、樹脂膜3上のi線用ポジレジストのパターン5をウエット除去、あるいは反応性イオンエッチング装置、イオンビームエッチング装置、アッシング装置などを用いてドライ除去し、所定の部分が開口され、表面が平坦化した樹脂膜3が得られる(図2e)。
この樹脂膜3上に細線6およびサージ抵抗7を形成する。細線6およびサージ抵抗7は樹脂膜3に設けられた開口部を介してそれぞれ制御回路2の上層配線2cのコンタクト部などと接続金属8によって接続される。最後にこの細線6およびサージ抵抗7を保護するシリコン窒化膜などからなるパッシベーション膜9を形成することにより磁気抵抗センサ素子10が得られる(図2f)。
本実施の形態における磁気抵抗センサ素子10に用いる樹脂膜3は、主骨格がシロキサン結合(−Si−O−)からなり、下記一般式(1)で表される化学構造ユニットAと、
[Si(O1/2) (1)
(k≧1である。)
下記一般式(2)で表される化学構造ユニットBと、
[RSi(O1/2) (2)
(l≧1であり、Rはアリール基、水素原子、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基である。)
下記一般式(3)で表される化学構造ユニットCと、
[RSi(O1/2) (3)
(m≧1であり、R、Rはアリール基、水素原子、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基であり、同種でもよく、異種でもよい。)
下記一般式(4)で表される化学構造ユニットDとが結合してなるシリコーン系ポリマーS1の硬化膜が用いられる。
[RSiO1/2 (4)
(n≧1であり、R、R、Rはアリール基、水素原子、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基であり、同種でもよく、異種でもよい。)
または、上記化学構造ユニットAと上記化学構造ユニットCと上記化学構造ユニットDとが結合してなるシリコーン系ポリマーS2の硬化膜が用いられる。
または、上記化学構造ユニットBと上記化学構造ユニットCと上記化学構造ユニットDとが結合してなるシリコーン系ポリマーS3の硬化膜が用いられる。
すなわち、本実施の形態では樹脂膜3に、上記各シリコーン系ポリマーの硬化膜のいずれかを用いるものであるが、異なる複数種のシリコーン系ポリマーの混合物の硬化膜であってもよい。
上記各化学構造ユニットA〜DにおけるR〜Rにおいて、アリール基としてはフェニル基が好ましく、脂肪族アルキル基としては炭素数が4以下のものが好ましく、不飽和結合を有する官能基としてはビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などで、炭素数8以下のものが、加水分解性が高いので特に好ましい。
上記一般式(1)で表される化学構造ユニットAは、下記4官能ユニット(4つのOと結合しているSi)を有し、
Figure 2005183472
上記一般式(2)で表される化学構造ユニットBは、下記3官能ユニット(3つのOと結合しているSi)を有し、
Figure 2005183472
上記一般式(3)で表される化学構造ユニットCは、下記2官能ユニット(2つのOと結合しているSi)を有し、
Figure 2005183472
上記一般式(4)で表される化学構造ユニットDは下記1官能ユニット(1つのOと結合しているSi)を有している。
Figure 2005183472
本実施の形態の樹脂膜3は、主骨格がシロキサン結合(−Si−O−)からなり、柔軟性の高い構造の2官能ユニットと、剛直な構造の3官能ユニットと4官能ユニットの少なくとも一種類のユニットとを含む共重合体のため、高いクラック耐性と高耐熱性を併せ持つ材料である。本実施の形態のシリコーン系ポリマーは、熱処理時の脱ガスが少ないため、樹脂膜3の形成時に磁気抵抗薄膜あるいはその制御回路などを汚染する可能性が小さく、膜形成時の応力も低い。
また、これらのシリコーン系ポリマーは、硬化膜が200℃以上の耐熱性を有し、特に、化学構造ユニットA、化学構造ユニットB、または、化学構造ユニットA+化学構造ユニットBの構造単位の構成比率が50%以上のものは、顕著な3次元的な網目状構造を有するため、得られる樹脂膜3は、耐熱性が特に向上し、高い耐電圧性を有している。
かかるシリコーン系ポリマーは、主骨格がシロキサン結合(Si−O)のみから構成されるため、結合力が低いSi−Si結合とO−O結合を含むシリコーン系ポリマーより耐熱性が優れており、本実施の形態の樹脂膜3は高温での熱処理プロセスにおける耐性が高い。また、樹脂膜上に磁気抵抗薄膜を形成する際、樹脂膜は、スパッタリング法による金属膜の形成工程、この金属膜をパターニングするためのエッチング工程および レジスト除去工程に曝されるが、本実施の形態の樹脂膜3は、これらのプロセスに対する耐性も高い。
また、樹脂膜に開口部を形成する場合の、樹脂膜のドライエッチングレートの均一性が優れ、ドライエッチング後のアッシング工程に対する耐性も高い。
また、シロキサン結合を梯子状に有するシリコーン系ポリマーは構造が剛直のため、その硬化膜は、外的や熱的なストレスで、クラックを発生しやすいが、本発明のシリコーン系ポリマーは鎖状や梯子状などが混在する枝分かれの化学構造を有するため、本実施の形態の樹脂膜3は、柔軟性が高く、クラック耐性が著しく優れている。このため、厚膜化してもクラックが生じにくい。
上記シリコーン系ポリマーにおいて、各化学構造ユニットA〜Dの置換基R〜Rに不飽和結合を有する官能基が用いられるが、置換基の1〜50mol%が不飽和結合を有する官能基であると、紫外光等の光により架橋して硬化させることができる。不飽和結合を有する官能基は、樹脂分子同士が架橋反応やラジカル反応により架橋させるための反応基であり、アルケニル基、アルキルアクリロイル基、アルキルメタクリロイル基もしくはスチリル基などが好ましいが、これらに限定されるものではない。これらの不飽和結合を有する官能基は、単独で導入してもよく、2種類以上混合して導入してもよい。
かかる光架橋性のシリコーン系ポリマーは、単独あるいは感光性架橋剤、光重合開始剤、光増感剤と組み合わせることで、光をドライビングフォースとしてより低温で硬化反応を進行させることができ、樹脂膜3形成時に、樹脂膜の下方に形成されている制御回路などにかかる温度を低減することができる点、あるいは、樹脂膜3をレジストを用いない自己パターニングができる点で、磁気抵抗センサ素子製造上での利点を備えている。
また、樹脂膜3に、各化学構造ユニットA〜Dの置換基R〜Rの全てを水素原子あるいは脂肪族アルキル基、アリール基、アルケニル基にしたシリコーン系ポリマーを用いることにより、樹脂膜3の平坦性が向上し、樹脂膜3と磁気抵抗薄膜との相性がよくなりセンサ特性を向上させることができる。特に、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基が好ましい。
また、樹脂膜3に、各化学構造ユニットA〜Dの置換基R〜Rに水素原子を多く導入したシリコーン系ポリマーを用いることにより、下地膜との密着性を向上することができる。尚、5μm以上の厚膜を形成する場合、置換基R〜Rのうち20%以上がフェニル基などのアリール基であることが好ましい。
本実施の形態において、樹脂膜3は、上記シリコーン系ポリマーS1、シリコーン系ポリマーS2およびシリコーン系ポリマーS3のうちの少なくとも一種類のシリコーン系ポリマーの溶液、いわゆるワニスを塗布した後、加熱硬化することにより形成することができる。かかるシリコーン系ポリマー溶液に用いる溶剤としては、アルコール系、ケトン系、エーテル系、ハロゲン系、エステル系、ベンゼン系、アルコキシベンゼン系、環状ケトン系の溶剤が適している。
このシリコーン系ポリマーの溶液中には、磁気抵抗薄膜の表面との接着性を向上するためのシランカップリング剤、硬化膜の密度を向上させるための重合性モノマーあるいは重合開始剤、架橋剤、増感剤や、保存安定性を向上させるための重合禁止剤等が添加されていてもよい。特に、光架橋性のシリコーン系ポリマーを用いる場合には、前述のごとく感光性の架橋剤、光重合開始剤、光増感剤等が添加されていてもよい。感光性架橋剤や光重合開始剤は、ラジカル反応あるいは架橋反応による膜硬化を引き起こすための添加剤であり、感光性架橋剤としては、芳香族アジド化合物、芳香族ビスアジド化合物、イミノキノンジアジド化合物、芳香族ジアゾ化合物や有機ハロゲン化合物などの光照射によりラジカル活性種を生成する感光性化合物が挙げられ、光重合開始剤としては、カルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン、ベンゾインエーテル、アシルフォスフィンオキシド、チオキサンソン、アミノカルボニル化合物、含窒素化合物などが挙げられる。
上記磁気抵抗センサ素子の磁気抵抗薄膜(細線6)は、センサの種類により異なるが、Au、Al、Ag、Bi、Ce、Cr、Cu、Co、C、Fe、Hf、In、Mo、Mg、Ni、Nb、Pb、Pt、Si、Sn、Ti、Ta、V、W、Zn、Zrなどの金属や、これらの金属からなる合金、酸化物、窒化物、珪化物、硫化物、炭化物、フッ化物などが用いられる。例えば、合金としては、Al−Cu、Al−Si、Cu−Cr、Cu−Ni、Ni−Cr、Ni−Fe、Al−Si−Cu、Ni−Cr−Si、Al−Sc、Co−Crなど、酸化物としては、Al、CeO、CuO、Fe、HfO、MgO、Nb、SiO、SiO、TiO、TiO、Ta、ZrOなど、窒化物としては、AlN、CrN、Si、TiN、ZrNなど、珪化物としては、CrSi、MoSi2.5、WSi、WSi0.4など、硫化物としては、ZnS、炭化物としては、SiC、TiC、WCなど、フッ化物としては、MgFなどが用いられるが、上記に限定されるものではなく、磁気抵抗センサ素子を作製する上で必要な材料であれば、何でもよい。
巨大磁気抵抗薄膜の材料としては、特に、上記のうち、磁性体であるNi、Co、Feの金属や、これらの金属からなる合金、酸化物、窒化物、珪化物、硫化物、炭化物、フッ化物、非磁性体であるCu、Ag、Crの金属や、これらの金属からなる合金、酸化物、窒化物、珪化物、硫化物、炭化物、フッ化物が挙げられる。
また、巨大磁気抵抗薄膜は、上記磁性体からなる磁性層と上記非磁性体からなる非磁性層が交互に積層された薄膜を好ましく用いる。
上記磁気抵抗センサ素子は、その磁気抵抗薄膜を上記樹脂膜3上に形成することにより、センサ特性の劣化、あるいは細線6やサージ抵抗7などの位置ずれを防止することができ、さらに、制御回路2の上層配線2cなどの位置ずれも防止することも可能である。
また、この樹脂膜3は、大きな耐電圧性をもつため、制御回路2上に磁気抵抗薄膜を形成した場合、制御回路2に起因する電界によるセンサ特性の劣化を防止でき、さらに、制御回路2上にサージ抵抗7を形成した場合、サージ抵抗7に起因する電界による制御回路2の誤動作を防止できる。
また、この樹脂膜3は、残留応力が低い上、緩衝作用を有するので、磁気抵抗センサ素子全体を封止樹脂で封止する場合には、封止樹脂からの応力を緩衝し、細線6やサージ抵抗7などの位置ずれや、これによる磁気抵抗センサ素子の誤作動を防ぐことができる。
また、この樹脂膜3は、磁気抵抗センサ素子の製造プロセスの高熱処理(400℃)に耐えうる耐熱性を有しており、また紫外線による分解もない。耐環境性に優れているので、制御回路2の保護膜としても有効である。さらに、ヒートサイクルテストによるセンサ特性評価でも、特性上の異常は認められない。
本実施の形態では、表面に層間絶縁膜2dが形成された制御回路2上に樹脂膜3を形成し、応力緩衝膜や平坦化膜として機能させているが、本実施の形態のシリコーン系ポリマーは高純度であるので、これらのポリマーからなる樹脂膜3を、表面に層間絶縁膜2dを設けず、制御回路2上に直接形成し、応力緩衝膜および 平坦化膜の機能に加えて保護膜の機能も持たせることができる。この場合には、樹脂膜3は、回転塗布で樹脂膜3を形成するため、プラズマ照射による制御回路2の放射線ダメージも回避することができる。
本実施の形態では、樹脂膜3は、制御回路2を表面に形成したセンサ基板上に形成されているが、樹脂膜3を絶縁膜が形成されたセンサ基板上に形成してもよく、またガラス基板やシリコン基板などからなるセンサ基板上に直接形成してもよい。これらの場合もその樹脂膜上に磁気抵抗薄膜が形成される。
実施の形態2.
本実施の形態における磁気抵抗センサ素子は、実施の形態1の磁気抵抗センサ素子と同じ構造で、樹脂膜3に、実施の形態1で用いたのと同じ化学構造のシリコーン系ポリマーで、重量平均分子量が10万未満の第1のシリコーン系ポリマーの膜と、重量平均分子量が10万以上の第2のシリコーン系ポリマーの膜とを積層し、硬化した膜を用いるものである。
まず、重量平均分子量が10万未満の第1のシリコーン系ポリマーのワニスを制御回路2上、すなわち層間絶縁膜2d上に塗布する。次に、重量平均分子量が10万以上の第2のシリコーン系ポリマーのワニスを上記重量平均分子量が10万未満の第1のシリコーン系ポリマーの塗布膜状に塗布する。
ワニスを塗布後に融点付近(即ちポリマーの溶融温度以上でかつ硬化温度未満)で熱処理すると、重量平均分子量10万未満の第1のシリコーン系ポリマーの膜は段差の低い方向へ溶融流動(リフロー)し、穴部を樹脂膜で効率よく埋め込むことができる。特に、重量平均分子量が1,000〜10,000のポリマーはリフロー性が非常に高いので、好ましく用いることができる。
また、重量平均分子量10万以上の第2のシリコーン系ポリマーは熱処理時の流動性(リフロー性)が低いので、穴埋め性は悪いが、段差被覆性は良く、さらに段差の矩形形状を滑らかにすることができる。特に、樹脂膜3上に形成する細線6やサージ抵抗7などの配線が、下地の矩形形状により断線する恐れがある場合は、この超高分子量のポリマーからなる樹脂膜を用いると効果が大きい。
即ち、まず、リフロー性が高く、穴埋め性が良好な重量平均分子量が低いポリマーからなる樹脂膜を形成することで段差の矩形部の形状は残るが、段差部分をある程度樹脂膜で埋め込むことができる。次にこの表面に段差被覆性が良好な重量平均分子量が高いポリマーからなる樹脂膜を積層することにより、矩形部を滑らかにし、さらに残存の段差を埋め込むことでより平坦な状態にすることができる。
また、重量平均分子量が低いポリマーからなる樹脂膜はクラック耐性がより低く、厚膜形成が困難なため、重量平均分子量が10万以上の第2のシリコーン系ポリマーからなる樹脂膜を先に形成して、段差を多少減らして重量平均分子量が10万未満の第1のシリコーン系ポリマーからなる樹脂膜をクラック発生限界以下の膜厚で形成しても良い。
本実施の形態では、重量平均分子量が10万未満の第1のシリコーン系ポリマーとして、300℃未満に融点を有するポリマーが用いられ、重量平均分子量が10万以上の第2のシリコーン系ポリマーとして、300℃以上に融点を有するポリマーを用いても良い。
実施の形態3.
本実施の形態における磁気抵抗センサ素子は、実施の形態1の磁気抵抗センサ素子と同じ構造で、樹脂膜3に、実施の形態1で用いたのと同じ化学構造のシリコーン系ポリマーで、重量平均分子量が10万未満の第1のシリコーン系ポリマーと、重量平均分子量が10万以上の第2のシリコーン系ポリマーとを混合したシリコーン系ポリマーの硬化膜を用いるものである。
すなわち、リフロー性の高いシリコーン系ポリマーとリフロー性の低いシリコーン系ポリマーとの混合物を用いることで、耐クラック性と穴埋め性を併せ持つ樹脂膜3を形成することができ、一度の塗布で高い平坦度を得ることができる。穴埋め性が必要な場合は、重量平均分子量が10万未満の第1のシリコーン系ポリマーを、50%以上90%以下含む混合物が好ましく、耐クラック性が必要な場合は重量平均分子量が10万以上の第2のシリコーン系ポリマーを、50%より多く90%以下含む混合物を用いれば良い。
本実施の形態では、重量平均分子量が10万未満の第1のシリコーン系ポリマーとして、300℃未満に融点を有するポリマーが用い、重量平均分子量が10万以上の第2のシリコーン系ポリマーとして、300℃以上に融点を有するポリマーを用いても良い。
次に、実施例により、本発明の効果をさらに詳細に説明する。
実施例1.
本実施例の磁気抵抗センサ素子10は、シリコンウエハからなるセンサ基板1の表面に制御回路2が設けられており、さらに、制御回路2の表面には、凹凸な制御回路表面を覆い平坦化する硬化樹脂膜3が設けられている。そして、この樹脂膜3上に磁気抵抗効果を示す磁性金属からなる細線6が形成されている。また、細線6の表面にはパッシベーション膜9が形成されている。
制御回路2は、通常バイポーラICによって構成され、シリコンウエハからなるセンサ基板1の表面側に形成された下層配線2aと下層絶縁膜2bと上層配線2cと、これらの表面にスパッタリング法やCVD法により形成されたシリコン窒化膜の層間絶縁膜2dから構成される。
細線6は、Coの磁性金属膜とCuの非磁性金属膜の積層構造から構成される巨大磁気抵抗薄膜の磁気抵抗センサ素子本体である。
細線6の表面のパッシベーション膜9は、スパッタリング法で形成されたシリコン窒化膜である。
本実施例の樹脂膜3は以下の方法で形成した。
まず、重量平均分子量が3万であり、k:l:m:n=10:60:25:5の比率であるシリコーン系ポリマーS1であって、Rがフェニル基、RとRとがメチル基、RとRとRとがすべて水素原子であり、分子の末端が水酸基(シラノール基:Si-OH)であり、融点が200℃であるシリコーン系ポリマーを、N−メチルピロリドンに溶かしたワニスを調製する。
次に、このワニスを上記シリコン窒化膜の層間絶縁膜2d表面に毎分2000回転の速度で回転塗布し、ホットプレート上で150℃/5分間熱処理して乾燥した。さらに、クリーンオーブン中で、窒素気流下で、室温から300℃まで昇温し、さらに300℃で1時間ポストベークを行い、完全に硬化させ、約1μmの膜厚の樹脂膜3を形成した。
次に、通常のフォトリソグラフィーを行い、i線用ポジレジストパターン5を得、このi線用ポジレジストパターン5をマスクとして、樹脂膜3をドライエッチングして、樹脂膜3の所定の部分が開口を設けた。
次に、この樹脂膜3上に磁気抵抗効果を示す磁性金属からなる細線6を形成する。次に、細線6と制御回路の上層配線2cとを接続し、細線6の表面を、スパッタリング法で形成したシリコン窒化膜のパッシベーション膜9を形成し、磁気抵抗センサ素子10を作製した。
このようにして得られた磁気抵抗センサ素子10をエポキシ樹脂で樹脂封止した後、センサ感度(初期)と耐ヒートサイクル性とを評価して、得られた結果を表1に示した。
センサの感度(MR)は、磁束密度変化に対する抵抗増加率として表されるので、下記の式から求めた。
MR=(Rmax−Rmin)×100/Rmin (%)
Rmax:磁界をかけていない時の抵抗
Rmin:1200ガウスの磁界をかけた時の抵抗
耐ヒートサイクル性は、液層ヒートショック試験装置を用い、140℃に5分間の保持と40℃に5分間の保持とを1サイクルとして、20000サイクルのヒートサイクル試験を行った後、上記センサ感度を示すMR値(ヒートサイクル試験後)を求めた後、磁気抵抗センサ素子を開封し、樹脂膜3におけるクラック発生の有無を顕微鏡で観察して評価した。
本実施例で得られた磁気抵抗センサ素子は、センサ感度を示すMR値が38%と、比較例1に示すセンサ素子本体を無機膜上に作製したもののMR値の26%に比べてかなり大きく、センサ感度が大幅に向上した。また、上記20000サイクルのヒートサイクル試験後も、MR値の低下もなく、樹脂膜にクラックの発生も認められず、耐ヒートサイクル性が優れていた。
これは、磁気抵抗薄膜と密着性が優れ靭性が高いシリコーン系樹脂膜を下層に設けることで、封止樹脂から受ける応力を樹脂膜が大きく変形をすることなしに緩和することにより、磁気抵抗薄膜の細線の位置ずれがなくなったためである。
また、本実施例のシリコーン樹脂膜が、靭性が高く耐光性や耐熱性が優れているので、従来の樹脂膜で見られたような、成膜後の製造工程の処理中における分解や、ヒートサイクル試験によるクラックが発生がないためである。
実施例2.
樹脂膜3を形成するために調製されたワニスに、重量平均分子量が3万であり、k:m:n=10:25:5の比率であるシリコーン系ポリマーS2であって、RとRとがメチル基、RとRとRとがすべて水素原子であり、分子の末端が水酸基(シラノール基:Si-OH)であり、融点が200℃であるシリコーン系ポリマーを、N−メチルピロリドンに溶かしたワニスを用いた以外、実施例1と同様にして、磁気抵抗センサ素子10を作製した。
このようにして得られた磁気抵抗センサ素子10をエポキシ樹脂で樹脂封止した後、実施例1と同様にして、センサ感度(初期)と耐ヒートサイクル性とを評価して、得られた結果を表1に示した。
本実施例で得られた磁気抵抗センサ素子は、MR値が39%と、比較例1に示すセンサ素子本体を無機膜上に作製したものよりかなり大きく、センサ感度が大幅に向上した。また、上記20000サイクルのヒートサイクル試験後も、MR値の低下もなく、樹脂膜にクラックの発生が認められず、耐ヒートサイクル性が優れていた。
実施例3.
樹脂膜3を形成するために調製されたワニスに、重量平均分子量が3万であり、l:m:n=60:25:5の比率であるシリコーン系ポリマーS3であって、Rがフェニル基、RとRとがメチル基、RとRとRとがすべて水素原子であり、分子の末端が水酸基(シラノール基:Si-OH)であり、融点が200℃であるシリコーン系ポリマーを、N−メチルピロリドンに溶かしたワニスを用いた以外、実施例1と同様にして、磁気抵抗センサ素子10を作製した。
このようにして得られた磁気抵抗センサ素子10をエポキシ樹脂で樹脂封止した後、実施例1と同様にして、センサ感度(初期)と耐ヒートサイクル性とを評価して、得られた結果を表1に示した。
本実施例で得られた磁気抵抗センサ素子は、MR値が35%と、比較例1に示すセンサ素子本体を無機膜上に作製したものよりかなり大きく、センサ感度が大幅に向上した。また、上記20000サイクルのヒートサイクル試験後も、MR値の低下もなく、樹脂膜にクラックの発生が認められず、耐ヒートサイクル性が優れていた。
実施例4.
樹脂膜3を形成するために調製されたワニスに、重量平均分子量が3万であり、k:l:m:n=10:60:25:5の比率であるシリコーン系ポリマーS1であって、Rがメチル基、RとRとがフェニル基、RとRとRとがすべて水素原子であり、分子の末端が水酸基(シラノール基:Si-OH)であり、融点が200℃であるシリコーン系ポリマーを、N−メチルピロリドンに溶かしたワニスを用いた以外、実施例1と同様にして、磁気抵抗センサ素子10を作製した。
このようにして得られた磁気抵抗センサ素子10をエポキシ樹脂で樹脂封止した後、実施例1と同様にして、センサ感度(初期)と耐ヒートサイクル性とを評価して、得られた結果を表1に示した。
本実施例で得られた磁気抵抗センサ素子は、MR値が37%と、比較例1に示すセンサ素子本体を無機膜上に作製したものよりかなり大きく、センサ感度が大幅に向上した。また、上記20000サイクルのヒートサイクル試験後も、MR値の低下もなく、樹脂膜にクラックの発生も認められず、耐ヒートサイクル性が優れていた。
実施例5.
樹脂膜3を形成するために調製されたワニスに、重量平均分子量が3万であり、k:l:m:n=10:60:25:5の比率であるシリコーン系ポリマーS1であって、Rが水素原子、RとRとがメチル基、RとRとRとがすべてビニル基であり、分子の末端が水酸基(シラノール基:Si-OH)であり、融点が200℃であるシリコーン系ポリマーを、N−メチルピロリドンに溶かしたワニスを用いた以外、実施例1と同様にして、磁気抵抗センサ素子10を作製した。
このようにして得られた磁気抵抗センサ素子10をエポキシ樹脂で樹脂封止した後、実施例1と同様にして、センサ感度(初期)と耐ヒートサイクル性とを評価して、得られた結果を表1に示した。
本実施例で得られた磁気抵抗センサ素子は、MR値が36%と、比較例1に示すセンサ素子本体を無機膜上に作製したものよりかなり大きく、センサ感度が大幅に向上した。また、上記20000サイクルのヒートサイクル試験後も、MR値の低下もなく、樹脂膜にクラックの発生も認められず、耐ヒートサイクル性が優れていた。
実施例6.
樹脂膜3を形成するワニスとして、まず、重量平均分子量が0.4万であり、k:l:m:n=5:50:40:5の比率であるシリコーン系ポリマーS1であって、RとRとRとRとRとRとがすべてメチル基であり、分子の末端が水酸基(シラノール基:Si-OH)であり、融点が100℃である第1のシリコーン系ポリマーを、メタノールに20重量%になるように溶解させた第1のワニスを調製した。次に、平均分子量が32万であり、l:m:n=90:9:1の比率であるシリコーン系ポリマーS3であって、Rの10mol%がビニル基で、90mol%がフェニル基であり、RとRとがフェニル基であり、RとRとRとがメチル基であり、分子の末端が水酸基(シラノール基:Si-OH)であり、融点が350℃である第2のシリコーン系ポリマーをメトキシベンゼンに10重量%になるように溶解させ、このポリマーに対して1重量%のγーアミノプロピルトリメトキシシランを添加した第2のワニスを調製した。
この第1ワニスを層間絶縁膜2dの表面に毎分2000回転の速度で回転塗布し、ホットプレート上で、第1のシリコーン系ポリマーを、その融点付近の100℃から250℃まで昇温させながら熱処理を行い、第1のシリコーン系ポリマーをリフローさせるとともに硬化させた後に、真空オーブンで350℃で1時間焼成して、膜厚0.3μmの第1の樹脂膜を形成した。しかし、この樹脂膜は十分な厚さを形成できないので、第1樹脂膜の表面には、まだ0.7μmの段差が残っている。
次に、第2のワニスを、第1の樹脂膜表面に毎分2500回転の速度で回転塗布し、ホットプレート上で250℃で5分間熱処理して、第2のシリコーン系ポリマーを固化した後に、真空オーブンで350℃で15分間の熱処理によりリフローさせるとともに硬化させた。さらに、この樹脂膜を、窒素雰囲気下のオーブン中で375℃で1時間ポストベークを行い完全に硬化させて、樹脂膜3とした。
樹脂膜3をこのような構成にすることにより、配線パターンの蜜な細線の段差を浸入性に優れた第1のシリコーン系ポリマーで埋め、次に第1のシリコーン系ポリマーから得られた第1樹脂膜の表面の段差を、段差被覆性が優れた第2のシリコーン系ポリマーで埋めるので、ボイドがなく平坦性に優れた表面の樹脂膜3を得ることができた。
上記のようにして樹脂膜3を形成した以外、実施例1と同様にして磁気抵抗センサ素子10を作製した。
このようにして得られた磁気抵抗センサ素子10をエポキシ樹脂で樹脂封止した後、実施例1と同様にして、センサ感度(初期)と耐ヒートサイクル性とを評価して、得られた結果を表1に示した。
本実施例で得られた磁気抵抗センサ素子は、MR値が39%と、比較例1に示すセンサ素子本体を無機膜上に作製したものよりかなり大きく、センサ感度が大幅に向上した。また、上記20000サイクルのヒートサイクル試験後も、MR値の低下もなく、樹脂膜にクラックの発生も認められず、耐ヒートサイクル性が優れていた。
実施例7.
実施例6で用いた第2のワニスを、層間絶縁膜2dの表面に毎分2500回転の速度で回転塗布し、ホットプレート上で250℃で5分間熱処理して、第2のシリコーン系ポリマーを固化させた後に、真空オーブンで350℃で15分間の熱処理によりリフローさせるとともに硬化させ、膜厚0.8μmの第2のシリコーン系ポリマーの硬化膜を形成した。この第2のシリコーン系ポリマーは段差被覆性がよいが、その硬化膜表面には、0.2μm段差が残る。
次に、この第2のシリコーン系ポリマーの硬化膜の表面に、実施例6で用いた第1ワニスを、毎分2000回転の速度で回転塗布し、ホットプレート上で、第1のシリコーン系ポリマーを、その融点付近の100℃から250℃まで昇温させながら熱処理を行い、第1のシリコーン系ポリマーをリフローさせるとともに硬化した。さらに、この2層構造の樹脂膜を、窒素雰囲気下のオーブン中で375℃で1時間ポストベークを行い完全に硬化させて、樹脂膜3とした。
樹脂膜3をこのような構成にすることにより、第2のシリコーン系ポリマーの硬化膜の表面の段差を完全に埋めることができ、平坦性に優れた樹脂膜3を形成できた。
上記のようにして樹脂膜3を形成した以外、実施例1と同様にして磁気抵抗センサ素子10を作製した。
このようにして得られた磁気抵抗センサ素子10をエポキシ樹脂で樹脂封止した後、実施例1と同様にして、センサ感度(初期)と耐ヒートサイクル性とを評価して、得られた結果を表1に示した。
本実施例で得られた磁気抵抗センサ素子は、MR値が40%と、比較例1に示すセンサ素子本体を無機膜上に作製したものよりかなり大きく、センサ感度が大幅に向上した。また、上記20000サイクルのヒートサイクル試験後も、MR値の低下もなく、樹脂膜にクラックの発生も認められず、耐ヒートサイクル性が優れていた。
実施例8
樹脂膜3を形成するために調製されたワニスとして、重量平均分子量が0.3万であり、l:m:n=90:40:5の比率であるシリコーン系ポリマーS3であって、Rがフェニル基であり、RとRとがビニル基、RとRとRとがメチル基であり、分子の末端が水酸基(シラノール基:Si-OH)であり、融点が100℃である第1のシリコーン系ポリマーの70重量部と、重量平均分子量が20万であり、k:l:m:n=3:72:23:2の比率であるシリコーン系ポリマーS1であって、Rがの25mol%がメチル基で、75mol%がフェニル基、RとRとRとRとRとがメチル基であり、分子の末端が水酸基(シラノール基:Si-OH)であり、融点が340℃である第2のシリコーン系ポリマーの30重量部とを混合した混合物を、メトキシベンゼンに30重量%になるように溶解させたワニスを用いた以外実施例1と同様にして磁気抵抗センサ素子10を作製した。
このようにして得られた磁気抵抗センサ素子10をエポキシ樹脂で樹脂封止した後、実施例1と同様にして、センサ感度(初期)と耐ヒートサイクル性とを評価して、得られた結果を表1に示した。
本実施例で得られた磁気抵抗センサ素子は、MR値が37%と、比較例1に示すセンサ素子本体を無機膜上に作製したものよりかなり大きく、センサ感度が大幅に向上した。また、上記20000サイクルのヒートサイクル試験後も、MR値の低下もなく、樹脂膜にクラックの発生も認められず、耐ヒートサイクル性が優れていた。
比較例1.
樹脂膜3の代わりに、スパッタリング法で形成したシリコン窒化膜を用いた以外実施例1と同様にして、磁気抵抗センサ素子10を作製した。
このようにして得られた磁気抵抗センサ素子10をエポキシ樹脂で樹脂封止した後、実施例1と同様にして、センサ感度(初期)と耐ヒートサイクル性とを評価して、得られた結果を表1に示した。
本比較例で得られた磁気抵抗センサ素子は、初期のMR値が26%と、実施例1〜8のセンサ素子より小さかった。また、上記20000サイクルのヒートサイクル試験後、その表面に磁気抵抗センサ素子を形成した上記シリコン窒化膜にクラックの発生が認められ、MR値は測定できなかった。
Figure 2005183472
本発明に係る磁気抵抗センサの構造を説明する断面図である。 本発明に係る磁気抵抗センサの製造方法を説明する断面図である。
符号の説明
1 基板、2 制御回路、3 樹脂膜、6 細線(磁気抵抗薄膜)、10 磁気抵抗センサ素子。

Claims (5)

  1. センサ基板と、このセンサ基板の表面に形成された制御回路と、この制御回路上に形成されたシリコーン系ポリマーの硬化膜からなる樹脂膜と、この樹脂膜上に形成された磁気抵抗薄膜の細線パターンとからなる磁気抵抗センサ素子であって、
    上記シリコーン系ポリマーが、下記一般式(1)で表される化学構造ユニットAおよび下記一般式(2)で表される化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと、下記一般式(3)で表される化学構造ユニットCと、下記一般式(4)で表される化学構造ユニットDとが結合してなるシリコーン系ポリマーであることを特徴とする磁気抵抗センサ素子。
    [Si(O1/2) (1)
    (k≧1である。)
    [RSi(O1/2) (2)
    (l≧1であり、Rはアリール基、水素原子、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基であり、同種でもよく、異種でもよい。)
    [RSi(O1/2) (3)
    (m≧1であり、R、Rはアリール基、水素原子、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基であり、同種でもよく、異種でもよい。)
    [RSiO1/2 (4)
    (n≧1であり、R、R、Rはアリール基、水素原子、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基であり、同種でもよく、異種でもよい。)
  2. 樹脂膜が、上記化学構造ユニットAおよび上記化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと上記化学構造ユニットCと上記化学構造ユニットDとが結合してなり、且つ重量平均分子量が10万未満の第1のシリコーン系ポリマーの硬化膜と、上記化学構造ユニットAおよび上記化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと上記化学構造ユニットCと上記化学構造ユニットDとが結合してなり、且つ重量平均分子量が10万以上の第2のシリコーン系ポリマーの硬化膜との積層膜であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗センサ素子。
  3. 樹脂膜が、上記化学構造ユニットAおよび上記化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと上記化学構造ユニットCと上記化学構造ユニットDとが結合してなり、且つ重量平均分子量が10万未満の第1のシリコーン系ポリマーと、上記化学構造ユニットAおよび上記化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと上記化学構造ユニットCと上記化学構造ユニットDとが結合してなり、且つ重量平均分子量が10万以上の第2のシリコーン系ポリマーとを溶解したワニスを用いて形成した混合シリコーン系ポリマーの硬化膜であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗センサ素子。
  4. 樹脂膜が、上記化学構造ユニットAおよび上記化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと上記化学構造ユニットCと上記化学構造ユニットDとが結合してなり、且つ300℃未満に融点を有する第1のシリコーン系ポリマーの硬化膜と、上記化学構造ユニットAおよび上記化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと上記化学構造ユニットCと上記化学構造ユニットDとが結合してなり、且つ300℃以上に融点を有する第2のシリコーン系ポリマーの硬化膜との積層膜であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗センサ素子。
  5. 樹脂膜が、上記化学構造ユニットAおよび上記化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと上記化学構造ユニットCと上記化学構造ユニットDとが結合してなり、且つ300℃未満に融点を有する第1のシリコーン系ポリマーと、上記化学構造ユニットAおよび上記化学構造ユニットBの内から選ばれた少なくとも1種類の化学構造ユニットと上記化学構造ユニットCと上記化学構造ユニットDとが結合してなり、且つ300℃以上に融点を有する第2のシリコーン系ポリマーとを溶解したワニスを用いて形成した混合シリコーン系ポリマーの硬化膜であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗センサ素子。
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