JP2005179578A - 生分解性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生分解性のポリ乳酸樹脂を含有しながらも成型時に優れた加工性を示す生分解性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸樹脂を含有しながらも成形時に優れた加工性を示す生分解性樹脂組成物は、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)とポリブチレンサクシネート樹脂(B)とから、(A)/(B)=10/90〜90/10の重量割合で構成される。この生分解性樹脂組成物は、動的機械特性(引張振動)の温度依存性に関する試験(JIS K 7244−4)での引張貯蔵弾性率(E´)が、少なくとも30℃以上の温度範囲にわたって10〜10Paの範囲内で安定している。ここで、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)としては、光学純度が90%未満のものが例示される。また、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)について、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K 7121)での吸熱ピークを示す温度が70℃以下であり、その吸熱ピークにおける吸熱熱量が15J/g以下であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、低結晶性ポリ乳酸樹脂を含有しながらも優れた加工性を示す生分解性樹脂組成物に関する。
使用後のコンポスト化や土中の微生物による炭酸ガスと水への完全分解が可能な生分解性樹脂は、近年、自然環境保護の立場から様々な分野で研究の対象となっている。このような生分解性樹脂としては、天然素材のほか、その構成成分からポリ乳酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリヒドロキシブチレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂が知られている。これらの生分解性樹脂の中で、ポリ乳酸樹脂は、地球温暖化の原因となる石油を原料とせずに製造可能なため、自然環境保護の観点からその利用が広く望まれている。
ところで、ポリ乳酸樹脂は、光学活性中心炭素を有する乳酸モノマーの重合体であるため、原料乳酸モノマーの光学異性体(D体、L体)の含有割合に応じて光学純度が変化し、光学純度が高くなると結晶性も高くなり、逆に光学純度が低くなると結晶性も低くなることが知られている。また、結晶性が変化することにより熱的性質も変化することも知られている(特許文献1)。
例えば、一般に、ポリ乳酸樹脂は、ガラス転移温度以下(例えば50℃以下)の領域ではガラス状態で高い弾性率を示し、ガラス転移温度を超えるとゴム状態に変化し、弾性率が低下する。しかし、光学純度が90%以上あるような高結晶性のポリ乳酸樹脂の場合、ガラス転移温度を更に超えて加熱されると、結晶化し始め、再び弾性率が上昇するようになる。このため、安定なゴム状態を示す温度域が狭くなり、十分な加工性が得られないという問題がある。一方、光学純度が90%未満であるような低結晶性のポリ乳酸樹脂の場合、ガラス転移温度を更に超えて加熱されると、流動化し始め、大きく弾性率が低下するようになる。このため、ゴム状態を維持できず、劣った加工性しか得られないという問題がある。
特開平11−302521号公報
本発明は、生分解性のポリ乳酸樹脂を含有しながらも成形時に優れた加工性を示す生分解性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、動的機械特性(引張振動)の温度依存性に関する試験(JIS K 7244−4)で得られる引張貯蔵弾性率(E´)の温度依存性曲線上に現れる「ゴム状平坦部」に関し、加工性の良好な樹脂組成物が温度領域の広いゴム状平坦部を有することに着目した。
「ゴム状平坦部」に関し、低結晶性ポリ乳酸樹脂は、前述の特許文献1に記載されているように、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K 7121)では70℃以下に吸熱ピークを示すものの、融点を持たず、その吸熱ピーク温度以上では動的機械特性(引張振動)の温度依存性に関する試験(JIS K 7244−4)におけるその引張貯蔵弾性率(E´)が急激に低下し、引張貯蔵弾性率(E´)の温度依存性曲線上にいわゆるゴム状平坦部が現れない、加工性の劣る樹脂であることが知られている。
そこで、本発明者は、広い温度範囲に「ゴム状平坦部」を有する生分解性樹脂を低結晶性ポリ乳酸樹脂にブレンドすることで、ポリ乳酸樹脂の加工性を改善できるのではないかと仮定し、その仮定に基づき種々の生分解性樹脂を検索したが、そのような改善効果を示す生分解性樹脂を低コストで入手することはできなかった。ところが、動的機械特性(引張振動)の温度依存性に関する試験(JIS K 7244−4)における引張貯蔵弾性率(E´)がガラス転移温度を超えると急激に低下し、一旦僅かに上昇するがゴム状態を維持できず、「ゴム状平坦部」を有さない生分解性ポリブチレンサクシネート樹脂を低結晶性ポリ乳酸樹脂にブレンドしたところ、全く予想外にも、「ゴム状平坦部」を持たない同士をブレンドしたにも関わらず、得られたブレンド物である生分解性樹脂組成物が安定な「ゴム状平坦部」を有し、優れた加工性を示すことを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)とポリブチレンサクシネート樹脂(B)とを、(A)/(B)=10/90〜90/10の重量割合で含有する生分解性樹脂組成物、並びにそれから形成された成形品を提供する。
本発明の生分解性樹脂組成物は、生分解性の低結晶性ポリ乳酸樹脂と生分解性のポリブチレンサクシネート樹脂とを所定の重量割合でブレンドしているので、動的機械特性(引張振動)の温度依存性に関する試験(JIS K 7244−4)における引張貯蔵弾性率(E´)の温度依存性曲線上に広い温度範囲で安定したゴム状平坦部を有し、従って、良好な加工性を示す。
本発明の生分解性樹脂組成物は、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)とポリブチレンサクシネート樹脂(B)とを含有する。両者をブレンドすることにより、得られた樹脂組成物に、動的機械特性(引張振動)の温度依存性に関する試験(JIS K 7244−4)における引張貯蔵弾性率(E´)の温度依存性曲線上に、少なくとも30℃以上の広い温度範囲にわたって、10〜10Pa、好ましくは10〜10Paの範囲内に「ゴム状平坦部」を持たせることができる。
本発明においては、前述したように、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)を使用するが、ここで、ポリ乳酸樹脂の結晶性に関し、ポリ乳酸樹脂が、L−乳酸及びD−乳酸のいずれかにに由来するモノマー単位のみからなる場合には高い結晶性を示し、融点も高くなる。一方、L−乳酸とD−乳酸由来の混合モノマー単位からなる場合には、その比率[L体/D体]に応じて、結晶性が低下し、融点も低下し、更に明確な融点が存在しなくなる。従って、生分解性樹脂組成物の使用目的を考慮して比率を変化させることにより、ポリ乳酸樹脂(A)の低結晶性のレベルや融点を調整することが可能となる。
また、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)の結晶性を、ポリ乳酸樹脂を構成する乳酸モノマーの光学純度という面から見た場合には、好ましくは光学純度90%未満であり、より好ましくは光学純度80%未満であり、更に好ましくは光学純度70%未満である。ここで、ポリ乳酸樹脂の光学純度(以下OPと略称する)は次式で定義される。
[数1]
OP(%) = 100×|[L体]−[D体]|/([L体]+[D体])

(式中、[L体]はポリ乳酸樹脂中のL−乳酸モル濃度であり、[D体]はポリ乳酸樹脂中のD−乳酸モル濃度を表わす。)
また、ポリ乳酸樹脂の結晶性は、プラスチックの転移温度測定方法(JIS−K7121)による吸熱ピーク(あるいは融点)における吸熱熱量(或いは吸熱融解熱量)にも関係しており、本発明で使用する低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)について、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K 7121)での吸熱ピークを示す温度(即ち、ガラス転移温度)が70℃以下であることが好ましく、40〜60℃であることがより好ましい。吸熱ピークを示す温度が70℃を超えると、ポリ乳酸樹脂の結晶性が高くなりすぎ、100℃以上に明確な融点を持つようになり、その結果、加工性が低下するので、好ましくない。
また、本発明で使用する低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)について、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K 7121)での70℃以下の吸熱ピークにおける吸熱熱量が15J/g以下であることが好ましい。
更に、本発明で使用する低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)について、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K 7121)での融点が100℃以上には存在しないことが好ましい。100℃以上に融点を有するポリ乳酸樹脂は、その結晶性が高くなりすぎ、好ましくない。
また、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)の分子量としては、小さすぎると機械特性等が不十分となり、大きすぎると加工性が低下する傾向があるので、重量平均分子量で10,000〜500,000の範囲が好ましく、50,000〜300,000の範囲がより好ましい。
本発明で使用する低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)は、公知の重合方法に従って製造することができる。例えば、L−乳酸及びD−乳酸のそれぞれの無水環状二量体であるラクチドを開環重合する方法(ラクチド法)により製造することができる、乳酸を直接縮合重合させても製造することができる。これらの重合反応には、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物を触媒として使用することができる。
以上説明した低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)の具体例としては、(株)島津製作所製のOP=54.0%の「ラクティ」等を挙げることができる。
本発明で使用する生分解性のポリブチレンサクシネート樹脂(B)の結晶性については、特に限定されない。従って、動的機械特性(引張振動)の温度依存性に関する試験(JIS K 7244−4)における引張貯蔵弾性率(E´)の温度依存性曲線上に「ゴム状平坦部」を有するものも使用してよいが、本発明の効果の点から、ゴム状平坦部を有さないものを使用することが好ましい。
また、ポリブチレンサクシネート樹脂(B)の分子量としては、小さすぎると機械特性等が不十分となり、大きすぎると加工性が低下する傾向があるので、重量平均分子量で5,000〜1,000,000の範囲が好ましく、10,000〜500,000の範囲がより好ましい。
本発明で使用するポリブチレンサクシネート樹脂(B)は、公知の重合方法に従って製造することができる。
以上説明したポリブチレンサクシネート樹脂(B)の具体例としては、昭和高分子(株)の「ビオノーレ#1001」等を挙げることができる。
本発明の生分解性樹脂組成物における、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)とポリブチレンサクシネート樹脂(B)の含有割合は、重量割合で(A)/(B)=10/90〜90/10、好ましくは30/70〜70/30である。(A)/(B)=10/90〜90/10の範囲を外れると、成形時に十分な加工性が得られない。
本発明の生分解性樹脂組成物は、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)とポリブチレンサクシネート樹脂(B)とを、常法により均一に混合することにより製造することができる。例えば、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)とポリブチレンサクシネート樹脂(B)とを、同時に単軸又は二軸押出し混練機に供給し溶融混合した後、ペレット化することにより製造することができる。このときの溶融押出し温度としては、使用する低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)及びポリブチレンサクシネート樹脂(B)のガラス転移温度、融点、混合比率等を考慮して、適宜選択できるが、通常100〜250℃の範囲である。
本発明の生分解性樹脂組成物には、必要に応じて、従来公知の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌・抗カビ剤、核形成剤等の各種添加剤を配合しても良い。また、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)およびポリブチレンサクシネート樹脂(B)以外の樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。例えば、高結晶性ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、ポリエチレンサクシネート樹脂等を配合することができる。
本発明の生分解性樹脂組成物は透明性に優れており、例えば、キャスト法等により50μm厚のフィルムに成形した場合には、波長470nmの光の透過率を50%以上、好ましくは60%以上とすることができる。
本発明の生分解性樹脂組成物は、上述したようにペレット化した後、射出成形法、押出し成形法、真空成形法、圧空成形法、ブロー成形法等の公知の成形方法により、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、各種部品、その他の成形品に加工することができる。あるいは、ペレット化することなく、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)とポリブチレンサクシネート樹脂(B)とを溶融混合した後、直接成形することも可能である。また、接着剤又は粘着剤として用いることもできる。
特に、本発明の生分解性樹脂組成物は、前述したように、透明性に優れているので、透視性が商品価値を左右する商品、特に不織布タイプやシートタイプのティーバッグ用フィルタ材料として有用である。このティーバッグ用フィルタ材料から作成した袋体に、被抽出物、例えば、紅茶葉、緑茶葉、コーヒー粉等を入れ、公知のティーバッグ形状に加工する。これにより、内容物の視認性に優れたティーバッグが得られる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は実施例によって何ら制限を加えられるものではない。なお、以下の実施例で採用した試験項目と試験方法は次の通りである。
引張貯蔵弾性率(E´)の測定
引張貯蔵弾性率(E´)は、JIS K 7244−4(プラスチック−動的機械特性の試験方法、第4部)に規定されている引張振動−非共振法に準じて測定を行った。
吸熱ピーク、融点、吸熱熱量(吸熱融解熱量)の測定
吸熱ピーク、融点、吸熱熱量(吸熱融解熱量)は、JIS K 7121(プラスチックの転移温度測定方法)に規定されている方法に準じ、走査型示差熱量計(DSC)を用い、窒素気流中昇温速度10℃/分の条件下で測定した。
実施例1
生分解性の低結晶性ポリ乳酸樹脂((株)島津製作所製「ラクティ」、ガラス転移温度60.0℃、その温度における吸熱熱量7.6J/g、融点示さず)70重量部と、生分解性ポリブチレンサクシネート(昭和高分子(株)製「ビオノーレ#1001」、ガラス転移温度−32℃、融点114.2℃、融点における吸熱融解熱量59.3J/g)30部とを、145℃の二軸混練押出機で10分間混練した後に押出して試料ペレットを得た。
得られた試料ペレットのDSCによるガラス転移温度を測定した結果、ガラス転移点温度61.5℃、融点113.1℃、吸熱融解熱量15.1J/gであった。
また、得られた試料ペレット1を50℃で真空乾燥に付し、絶乾状態にした後、120℃で熱プレス加工し、0.5mm厚さのプレート1を得た。このプレート1を5mm×30mmの短冊状に切り出し、動的機械特性(引張振動)の温度依存性に関する試験(JIS K 7244−4)により引張貯蔵弾性率(E´)を測定した。得られた結果を表1に示し、その結果を図1にプロットした。図1に示されているように、実施例1のプレート1は、75℃付近から120℃付近の温度範囲で引張貯蔵弾性率が4×10Pa付近で安定しており、いわゆるゴム状平坦部が観察された。
また、新たにプレート1を5mm×30mmの短冊状に切り出し、30mm側の上端下端からそれぞれ5mmの位置(20mm間隔)に印線を付し、上端を固定、下端に1gfの荷重をかけて乾熱110℃で10分間熱処理したところ、予め付した印線の間隔は20mmのままであった。
以上の結果から、実施例1の生分解性樹脂組成物は、熱安定性に優れており且つ加工性にも優れていることがわかった。
比較例1
実施例1で用いた低結晶性ポリ乳酸樹脂そのものを、50℃で真空乾燥に付して絶乾状態にした後、120℃で熱プレス加工して0.5mm厚さのプレート2を得た。このプレート2を5mm×30mmの短冊状に切り出し、実施例1と同様に引張貯蔵弾性率(E´)を測定した。得られた結果を表1に示し、その結果を図1にプロットした。比較例1のプレート2は、引張貯蔵弾性率が10〜10Paの範囲で安定しておらず、いわゆるゴム状平坦部は観察されなかった。
また、新たにプレート2を5mm×30mmの短冊状に切り出し、30mm側の上端下端からそれぞれ5mmの位置(20mm間隔)に印線を付し、上端を固定、下端に1gfの荷重をかけて乾熱110℃で10分間熱処理したところ、予め付した印線の間隔は107mmに拡がった。
以上の結果から、比較例1の生分解性樹脂組成物は、熱安定性が不十分であり、加工性にも問題があることがわかった。
比較例2
実施例1で用いたポリブチレンサクシネート樹脂そのものを、50℃で真空乾燥に付して絶乾状態にした後、120℃で熱プレス加工して0.5mm厚さのプレート3を得た。このプレート3を5mm×30mmの短冊状に切り出し、実施例1と同様に引張貯蔵弾性率(E´)を測定した。得られた結果を表1に示し、その結果を図1にプロットした。比較例2のプレート3は、引張貯蔵弾性率が10〜10Paの範囲で安定しておらず、いわゆるゴム状平坦部は観察されなかった。
また、新たにプレート3を5mm×30mmの短冊状に切り出し、30mm側の上端下端からそれぞれ5mmの位置(20mm間隔)に印線を付し、上端を固定、下端に1gfの荷重をかけて乾熱110℃で10分間熱処理したところ、予め付した印線の間隔は45.2mmに拡がった。
以上の結果から、比較例2の生分解性樹脂組成物は、熱安定性が不十分であり、加工性にも問題があることがわかった。
Figure 2005179578
実施例2〜5、比較例3〜4
実施例1で使用した低結晶性ポリ乳酸樹脂とポリブチレンサクシネート樹脂との重量割合を表2に示す割合とする以外は実施例1と同様に、試料ペレットを作成し、更にプレートを作成した。そして得られたプレートについて、実施例1と同様に引張貯蔵弾性率(E´)を測定した。得られた結果を表3に示し、その結果を図2にプロットした。図2からわかるように、低結晶性ポリ乳酸樹脂とポリブチレンサクシネート樹脂との重量割合が90:10〜10:90の場合に30℃以上の温度範囲でゴム状平坦部が形成されていることがわかる。特に、70:30〜30:70の重量割合の場合には、40℃以上の温度範囲でゴム状平坦部が形成されていることがわかる。
Figure 2005179578
Figure 2005179578
実施例6
実施例1で使用した低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)とポリブチレンスクシネート樹脂(B)とを、以下の表4の重量比でクロロホルムに溶解させた。各溶液を水平ガラス板上に流し拡げ、乾燥し、厚さ50μmのフィルムを作成した。得られたフィルムをガラス板から引き剥がし、波長470nmの光に対する透過率を、色測計(Colorimeter ANA-18A、東京光電(株))で測定した。得られた結果を表4に示す。表4の結果から、光透過率の面からは、低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)の好ましい配合割合が60重量%以上であることがわかる。
Figure 2005179578
表注
*1: 低結晶性ポリ乳酸樹脂
*2: ポリブチレンサクシネート樹脂
本発明の生分解性樹脂組成物は、動的機械特性(引張振動)の温度依存性に関する試験(JIS K 7244−4)における引張貯蔵弾性率(E´)の温度依存性曲線上に少なくとも30℃の温度範囲にわたって10〜10Paの範囲内で安定した「ゴム状平坦部」を有するので、生分解性を有するのみならず、成形加工性に優れる熱可塑性エラストマーとして、フィルム、成形品、接着剤などの用途にも適したものである。
実施例1、比較例1および2における引張貯蔵弾性率の測定結果を示すグラフである。 実施例1〜5、および比較例3〜4における引張貯蔵弾性率の測定結果を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)とポリブチレンサクシネート樹脂(B)とを、(A)/(B)=10/90〜90/10の重量割合で含有する生分解性樹脂組成物。
  2. 動的機械特性(引張振動)の温度依存性に関する試験(JIS K 7244−4)での引張貯蔵弾性率(E´)が、少なくとも30℃以上の温度範囲にわたって10〜10Paの範囲内で安定している請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
  3. 低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)の光学純度が90%未満である請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
  4. 低結晶性ポリ乳酸樹脂(A)について、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K 7121)での吸熱ピークを示す温度が70℃以下である請求項1又は2記載の生分解性樹脂組成物。
  5. 低結晶性ポリ乳酸樹脂について、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K 7121)での70℃以下の吸熱ピークにおける吸熱熱量が15J/g以下である請求項1又は2記載の生分解性樹脂組成物。
  6. 低結晶性ポリ乳酸樹脂について、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K 7121)での融点が100℃以上には存在しない請求項1又は2記載の生分解性樹脂組成物。
  7. 50μm厚のフィルム形状としたときの波長470nmの光の透過率が50%以上である生分解性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の生分解樹脂性組成物からなる成形品。
  9. 請求項7記載の生分解樹脂性組成物からなるティーバッグ用フィルタ材料。
  10. 請求項9のティーバッグ用フィルタ材料からなる袋体に、被抽出物が収められているティーバッグ。
  11. 被抽出物が紅茶葉である請求項10記載のティーバッグ。


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