しかしながら従来の構成では、図14に示すように絶縁層2の上に直接配線3を形成し、次に感歪抵抗体4を形成することになる。この時配線3の上に所定の抵抗体ペーストを印刷して焼成することになるためこの配線3の凹凸によって抵抗体ペーストの印刷性が影響され、感歪抵抗体4のパターンが滲んだり、流れたり、厚みムラが発生しやすい課題があった。ここで配線3の厚みを5μm以下と薄くすれば、こうした感歪抵抗体4の形成時での課題は発生しにくいが、配線抵抗が高くなって荷重センサとしての特性に影響を与える可能性がある。またこの配線3の上に各種チップ電子部品を半田付けする際に配線3が薄いと半田喰われ(半田付けの際に、配線3の材料が溶解してしまい、配線3が無くなってしまうこと)しやすくなる。
また、感歪抵抗体4を焼成した後、配線3を印刷して焼成する際、感歪抵抗体4も再焼成(もしくは再加熱)され、感歪抵抗体4の抵抗値やTCR(温度特性)が変化してしまう可能性がある。
さらに、図16に示すように感歪抵抗体4を形成した後に配線3を形成する場合、感歪抵抗体4が焼成された後で配線3が形成されるために抵抗値が高くまたは低くなる場合、それに応じて配線3のパターンを調整して抵抗値を所定値に調整(あるいは命中)させる必要がある。そのため配線3のパターンを印刷する版を複数枚用意する必要があり、コストアップの要因になる。また配線3のパターンの調整の範囲内で対応できる場合は良いが、それで対応できない場合(例えば、抵抗体のTCRがずれてしまった場合等)では仕掛品を全数廃棄しなければならない場合がある。
本発明は絶縁層と配線を同一平面に凹凸を抑えて形成することができ、配線の段差等による抵抗体ペーストの印刷性に対する影響を最小限に抑え、感歪抵抗体の特性ばらつきをできるだけ少なくできる荷重センサ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明の請求項1に記載の発明は、金属弾性体上に形成する1層以上の絶縁層と、この絶縁層に形成する少なくとも配線及びこの配線に接続する感歪抵抗体とからなり、前記配線の全体もしくはその一部分が前記絶縁層の表面に対して凹凸となる高さを±5μm以下になるように前記絶縁層の内部に埋め込まれ、前記配線の埋め込まれた少なくとも一部分に接して重なるように前記感歪抵抗体を形成した荷重センサであり、絶縁層と配線との表面を同一平面に互いに段差が最小になるように形成することで、抵抗体ペーストの印刷性を改善し、複数個の感歪抵抗体を一度に印刷形成した場合でも感歪抵抗体の特性のばらつきが抑えられ、荷重センサの特性を安定にすることができるという作用効果が得られる。
請求項2に記載の発明は、金属弾性体上に形成する1層以上の絶縁層と、この絶縁層に形成する少なくとも配線及びこの配線に接続する感歪抵抗体とからなり、前記配線の全体もしくはその一部分が前記絶縁層に5μm以上の深さで埋め込まれ、前記配線の埋め込まれた少なくとも一部分に接して重なるように前記感歪抵抗体を形成した荷重センサであり、少なくとも感歪抵抗体に接続される部分の配線の一部を絶縁層の中に5μm以上の深さで埋め込むことができるため、配線を厚くして配線抵抗を低くでき、絶縁層と配線との表面を同一平面に互いに段差が最小になるように形成することで抵抗体ペーストの印刷性を改善し、複数個の抵抗体を一度に印刷形成した場合でも感歪抵抗体の特性ばらつきを抑えることができ、荷重センサの特性を安定化できるという作用効果が得られる。
請求項3に記載の発明は、GND電極を金属弾性体上に形成する2層以上の絶縁層間に形成し、この絶縁層上に形成する配線の全体もしくはその一部分が前記絶縁層の表面に対して凹凸となる高さを±5μm以下になるように前記絶縁層の内部に埋め込まれ、前記配線の埋め込まれた少なくとも一部分に接して重なるように感歪抵抗体を形成し、前記配線の一部が前記GND電極と接続する構成とした荷重センサであり、絶縁層と配線との表面を同一平面に互いに段差が最小になるように形成することができると共に抵抗体ペーストの印刷性が改善でき、複数個の感歪抵抗体を一度に印刷形成した場合でも感歪抵抗体の特性ばらつきが抑えられ、更に絶縁層内部のGND電極により荷重センサのノイズ特性が改善でき、配線の多層化が可能になり、荷重センサの小型化や特性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項4に記載の発明は、GND電極を金属弾性体上に形成する2層以上の絶縁層間に形成し、この絶縁層上に形成する配線の全体もしくはその一部分が前記絶縁層に5μm以上の深さで埋め込まれ、前記配線の埋め込まれた少なくとも一部分に接して重なるように前記感歪抵抗体を形成し、前記配線の一部が前記GND電極と接続する構成とした荷重センサであり、絶縁層と配線との表面を同一平面に互いに段差が最小になるように形成することで抵抗体ペーストの印刷性を改善し、複数個の抵抗体を一度に印刷形成した場合でも感歪抵抗体の特性ばらつきが抑えられ、また配線抵抗を厚くすることで配線抵抗を下げることができ、更に絶縁層内部のGND電極により荷重センサのノイズ特性を改善できると共に配線の多層化により荷重センサの小型化や特性を向上できるという作用効果が得られる。
請求項5に記載の発明は、金属弾性体の厚みを1mm以上100mm以下、金属弾性体の面積を0.1cm2以上1000cm2以下とし、少なくとも前記金属弾性体に直径1mm以上の孔を複数個形成する構成とした請求項1から4のいずれか1つに記載の荷重センサであり、この複数個の孔を用いて荷重センサを所定の装置にネジ止めできると共にこれら孔を用いてその上に転写する部材の位置合わせを行うことができるため、低コストの荷重センサを得ることができる。
請求項6に記載の発明は、絶縁層の厚みを10μm以上500μm以下とし、少なくとも金属弾性体と接するガラス層の結晶化率を50%以上の結晶化ガラスとした請求項1から4のいずれか1つに記載の荷重センサであり、絶縁層の厚みを10μm以上とすることで絶縁層のピンホールの影響を抑えることができ、更に金属弾性体と接するガラス層に結晶化ガラスを用いることで感歪抵抗体の焼成時、絶縁層が軟化しないため、金属弾性体とガラス層の間の接着力の低下を防止することができる。
請求項7に記載の発明は、配線の厚みを5μm以上100μm以下とし、前記配線の一部にチップ部品が実装できるスペースを設けた請求項1から4のいずれか1つに記載の荷重センサであり、配線の厚みを厚くすることにより配線抵抗を低くすることができると共に荷重センサの上に半導体や各種部品を高密度に実装できるため、荷重センサの小型化や特性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項8に記載の発明は、感歪抵抗体を厚み5μm以上50μm以下、面積0.1mm2以上100mm2以下として前記感歪抵抗体の一部を絶縁層に全面もしくはその一部が埋め込まれた配線に接するように形成した請求項1から4のいずれか1つに記載の荷重センサであり、絶縁層と配線との表面を同一平面に互いに段差が最小に形成でき、この上に形成する感歪抵抗体の特性ばらつきを抑えることができるため、荷重センサの特性を安定化することができるという作用効果が得られる。
請求項9に記載の発明は、配線の全体もしくはその一部分が絶縁層に埋め込まれ、少なくとも感歪抵抗体及び前記配線の一部が樹脂もしくはガラスからなる厚み10μm以上500μm未満の保護層で覆われる構成とした請求項1から4のいずれか1つに記載の荷重センサであり、絶縁層と配線との表面を同一平面に互いに段差が最小になるように形成することができ、抵抗体ペーストの印刷性が改善され、複数個の抵抗体を一度に印刷形成した場合でも感歪抵抗体の特性ばらつきが抑えられ、更にこれらの上に保護層を形成することで荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項10に記載の発明は、絶縁層を樹脂及び溶剤からなる樹脂溶液中にガラス粉が40wt%以上90wt%以下で分散するガラスペーストとした請求項1から9のいずれか1つに記載の荷重センサであり、適度な流動性のガラスペーストを得ることができ、絶縁層の内部にピンホールのない信頼性の高い荷重センサを得ることができる。
請求項11に記載の発明は、樹脂フィルム上に配線を形成し、この配線を覆うようにガラスペーストからなる絶縁層を形成して前記樹脂フィルムから剥離することなく金属弾性体上に前記絶縁層を対向させて熱圧着し、温度400℃以上950℃以下で焼成して前記絶縁層および配線の少なくとも一部と接して重なるように感歪抵抗体を形成する荷重センサの製造方法であり、絶縁層から配線の全体もしくはその一部分の盛り上がりもしくは凹みが5μm以下とする荷重センサが製造できるため、荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項12に記載の発明は、樹脂フィルム上に配線を形成し、この配線を覆うようにガラスペーストからなる絶縁層を1層以上塗布して乾燥し、前記樹脂フィルムから剥離することなく金属弾性体上に前記絶縁層を対向させて転写し、温度400℃以上950℃以下で焼成して前記絶縁層および配線の少なくとも一部と接して重なるように感歪抵抗体を形成する荷重センサの製造方法であり、絶縁層から配線の全体もしくはその一部分の盛り上がりもしくは凹みが5μm以下とする荷重センサが製造できるため、荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項13に記載の発明は、樹脂フィルム上に配線を形成し、この配線を覆うようにガラスペーストからなる絶縁層を1層以上形成して前記樹脂フィルムを所定形状に打ち抜き、前記樹脂フィルムから剥離することなく金属弾性体上に前記絶縁層を対向させて転写し、温度400℃以上950℃以下で焼成して前記絶縁層および配線の少なくとも一部と接して重なるように感歪抵抗体を形成する荷重センサの製造方法であり、絶縁層から配線の全体もしくはその一部分の盛り上がりもしくは凹みが5μm以下とする荷重センサが製造できるため、荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項14に記載の発明は、樹脂フィルム上に配線を形成し、この配線を覆うようにガラスペーストからなる絶縁層を1層以上形成して前記樹脂フィルムを所定形状に切断し、前記樹脂フィルムから剥離することなく金属弾性体の上に前記絶縁層を対向させて転写し、温度400℃以上950℃以下で焼成して前記絶縁層および配線の少なくとも一部と接して重なるように感歪抵抗体を形成する荷重センサの製造方法であり、絶縁層から配線の全体もしくはその一部分の盛り上がりもしくは凹みが5μm以下とする荷重センサが製造できるため、荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項15に記載の発明は、樹脂フィルム上に配線を形成し、この配線を覆うように1層以上のガラスペーストからなる絶縁層を形成して前記樹脂フィルムから剥離することなく金属弾性体上に前記絶縁層を対向させて位置合わせし、前記樹脂フィルム側から加熱および圧着して前記金属弾性体上に転写し、温度400℃以上950℃以下で焼成して前記絶縁層および配線の少なくとも一部と接して重なるように感歪抵抗体を形成する荷重センサの製造方法であり、絶縁層から配線の全体もしくはその一部分の盛り上がりもしくは凹みが5μm以下とする荷重センサが製造できるため、荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項16に記載の発明は、樹脂フィルム上に配線を形成し、少なくともこの配線の一部を覆うようにガラスペーストからなる絶縁層を1層以上形成して前記樹脂フィルムから剥離することなく金属弾性体上に前記絶縁層を対向させて転写し、温度400℃以上950℃以下で焼成して前記絶縁層および配線の少なくとも一部と接して重なるように感歪抵抗体を形成する荷重センサの製造方法であり、絶縁層から配線の全体もしくはその一部分の盛り上がりもしくは凹みが5μm以下とする荷重センサが製造できるため、荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項17に記載の発明は、樹脂フィルム上に複数の配線を形成し、少なくともこの配線の一部を覆うようにガラスペーストからなる絶縁層を1層以上形成して前記樹脂フィルムから剥離することなく金属弾性体の上に前記絶縁層を対向させて転写し、温度400℃以上950℃以下で焼成して前記絶縁層および配線の少なくとも一部と接して重なるように感歪抵抗体を形成する荷重センサの製造方法であり、絶縁層から配線の全体もしくはその一部分の盛り上がりもしくは凹みが5μm以下とする荷重センサが製造できるため、荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項18に記載の発明は、樹脂フィルム上に複数個の配線を所定形状に割付けて形成し、少なくともこの配線の一部を覆うようにガラスペーストからなる絶縁層を1層以上形成し、前記樹脂フィルムを所定形状に切断してこの樹脂フィルムを剥離することなく金属弾性体の上に前記絶縁層を対向させて転写し、温度400℃以上950℃以下で焼成して前記絶縁層および配線の少なくとも一部と接して重なるように感歪抵抗体を形成する荷重センサの製造方法であり、絶縁層から配線の全体もしくはその一部分の盛り上がりもしくは凹みが5μm以下とする荷重センサが製造できるため、荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項19に記載の発明は、樹脂フィルム上に配線を形成し、少なくともこの配線の一部を覆うように印刷して形成し、複数個の独立したガラスペーストからなるパターンを複数の金属弾性体上に前記ガラスペーストからなる絶縁層を対向させて位置合わせし、複数個の金属弾性体の上に同時に転写し、温度400℃以上950℃以下で焼成して前記絶縁層および配線の少なくとも一部と接して重なるように感歪抵抗体を形成する荷重センサの製造方法であり、絶縁層から配線の全体もしくはその一部分の盛り上がりもしくは凹みが5μm以下とする荷重センサが製造できるため、荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項20に記載の発明は、樹脂フィルム上に配線を形成し、少なくともこの配線の一部を覆いかつ互いに連続しない個別パターンとして1層以上のガラスペーストからなる絶縁層を印刷して形成し、前記樹脂フィルムを剥離することなく金属弾性体の上に前記絶縁層を対向させて転写し、温度400℃以上950℃以下で焼成して前記絶縁層および配線の少なくとも一部と接して重なるように感歪抵抗体を形成する荷重センサの製造方法であり、絶縁層から配線の全体もしくはその一部分の盛り上がりもしくは凹みが5μm以下とする荷重センサが製造できるため、荷重センサの信頼性が向上できるという作用効果が得られる。
請求項21に記載の発明は、転写温度を50℃以上200℃以下、転写圧力を1kg/cm2以上1000kg/cm2未満、転写時間を0.1秒以上10分以下とする請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、金属弾性体に対して絶縁層が充分な密着効果を得ることができる。
請求項22に記載の発明は、樹脂フィルム上に配線を樹脂及び溶剤からなる樹脂溶液中に導電粉が40wt%以上90wt%以下で分散されたペーストで所定形状に印刷し、温度50℃以上200℃以下で乾燥して形成した請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、配線を所定の厚みに形成することができるため、配線抵抗を低くすることができる。
請求項23に記載の発明は、樹脂フィルム上に配線を形成し、この配線を覆うようにガラスペーストからなる絶縁層を形成して前記樹脂フィルムから剥離することなく金属弾性体上に前記絶縁層を対向させて転写して前記樹脂フィルムを剥離する請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、金属弾性体上に絶縁層を高精度に容易に転写することができる。
請求項24に記載の発明は、金属弾性体上に転写された配線および絶縁層を焼成温度500℃以上950℃以下とし、焼成時間10分以上3時間未満とする請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、金属弾性体と絶縁層との密着力の低下を防止することができる。
請求項25に記載の発明は、樹脂フィルム上に形成するガラスペーストからなる絶縁層の厚みを配線上から10μm以上500μm以下とする請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、金属弾性体と埋め込み配線との間の絶縁不良を防止することができる。
請求項26に記載の発明は、樹脂フィルム上に形成する配線の厚みを5μm以上500μm以下とする請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、配線を所定の厚みに形成することができるため、配線抵抗の増加を防止することができる。
請求項27に記載の発明は、樹脂フィルムに形成する配線および絶縁層を金属弾性体上で位置合わせして転写する請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、樹脂フィルムの上に形成する配線および絶縁層を精度よく金属弾性体上に転写することができる。
請求項28に記載の発明は、金属弾性体と樹脂フィルムとの位置合わせを前記樹脂フィルムに形成する直径0.1mm以上20mm以下の複数個の孔と前記金属弾性体に設けたピントとを嵌合して調整する請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、位置合わせが容易になるため、製造コストを低くすることができる。
請求項29に記載の発明は、樹脂フィルムを厚み10μm以上300μm以下、幅2cm以上1m以下とする請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、樹脂フィルムの取扱いが容易になり、生産性の向上が図れる。
請求項30に記載の発明は、樹脂フィルムの表面に剥離性改善層を形成する請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、剥離性改善層によりこの上に形成する配線および絶縁層を簡単に転写して樹脂フィルムを剥がすことができる。
請求項31に記載の発明は、樹脂フィルム上に複数個の荷重センサが対向して凹と凸とを噛み合わせて対を構成し配置する請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、有効面積に対する荷重センサの取れ数を増やすことができ、荷重センサの低コスト化を図ることができる。
請求項32に記載の発明は、金属弾性体上に予め主成分の樹脂からなる接着層を厚み0.1μm以上5μm未満で全面もしくは所定形状に形成する請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、金属弾性体と配線および絶縁層との接着力を向上することができる。
請求項33に記載の発明は、金属弾性体上に予めガラスペーストからなる絶縁層を厚み0.1μm以上100μm未満で全面もしくは所定形状に形成する請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、金属弾性体と配線および絶縁層との接着力を向上することができる。
請求項34に記載の発明は、金属弾性体上に予め焼成した絶縁層を形成する請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、焼成工程を複数回に分けて製造できるため、同時焼成の難しい部材を使った荷重センサであっても高歩留り化と製造コストの削減が可能という作用効果が得られる。
請求項35に記載の発明は、金属弾性体上に予め焼成した絶縁層とこの絶縁層上にGND電極を形成する請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、焼成工程を複数回に分けて製造できるため、同時焼成の難しい部材を使った荷重センサであっても、高歩留り化と製造コストの削減が可能になるという作用効果が得られる。
請求項36に記載の発明は、金属弾性体上に予め焼成した絶縁層とこの絶縁層上に未焼成の電極層を形成する請求項11から20のいずれか1つに記載の荷重センサの製造方法であり、焼成回数を複数回に分けて製造できるため、同時焼成の難しい部材を使った荷重センサであっても高歩留り化と製造コストの削減が可能という作用効果が得られる。
以上のように本発明は、金属弾性体上に形成する1層以上の絶縁層と、この絶縁層に形成する少なくとも配線及びこの配線に接続する感歪抵抗体とからなり、前記配線の全体もしくはその一部分が前記絶縁層の表面に対して凹凸となる高さを±5μm以下になるように前記絶縁層の内部に埋め込まれ、前記配線の埋め込まれた少なくとも一部分に接して重なるように前記感歪抵抗体を形成した荷重センサであり、絶縁層と配線との表面を同一平面に互いに段差が最小になるように形成することで、抵抗体ペーストの印刷性が改善され、複数個の感歪抵抗体を一度に印刷形成した場合でも感歪抵抗体の特性のばらつきが抑えられ、荷重センサの特性を安定にすることができるという作用効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における荷重センサの構成を示す断面図である。図1において、6は金属弾性体、7は絶縁層、8は配線、9は感歪抵抗体である。このように配線8を絶縁層7の内部に埋め込むことで、絶縁層7と配線8との表面に段差が生じないように形成でき、感歪抵抗体9を安定して形成することができる。また必要に応じて感歪抵抗体9や配線8の表面を保護層(図示せず)で覆うことで、信頼性の向上を図ることができる。
次に、本発明の荷重センサの製造方法について説明する。
図2(A)〜(C)、図3(A)〜(D)は本発明の実施の形態1における荷重センサの製造方法を示す断面図である。図2(A)に示すように10は樹脂フィルムである。この樹脂フィルム10は所定の表面処理されたものがグリーンシートやパターン転写用に市販されている。この樹脂フィルム10を用意し、図2(B)に示すように樹脂フィルム10の表面に所定のペーストからなる配線8を印刷し乾燥して形成する。
そして、図2(C)に示すように樹脂フィルム10の上に形成する配線8を覆うように所定のガラスペーストを塗布または印刷し乾燥させる。
こうして樹脂フィルム10の上に配線8とこの配線8を覆うガラスペーストからなる絶縁層7を形成する。なおガラスペーストの塗布(例えば、樹脂フィルム10の上に連続的にベタ塗り)には市販の塗工機(グリーンシート製造用のコーター)を使うことができる。またガラスペーストの印刷(例えば、樹脂フィルム10の上に独立した部分にベタパターンを形成)することができる。さらにロールツーロール(Roll To Roll)で生産性を高めることができる。形成された本発明のサンプルは荷重センサの形状の金型等を用いて所定形状に打ち抜かれて金属弾性体上に転写される。
図3(A)に示すように13はプレス装置、14はヒーターである。このヒーター14はプレス装置13の内部に埋め込まれた温度測定装置(図示せず)や制御回路(図示せず)に接続され、プレス装置13を一定温度に保つように設計されている。金属弾性体6の上に配線8とこの配線8を覆うように形成するガラスペーストからなる絶縁層7が形成された樹脂フィルム10の絶縁層7が対向するように配置され、樹脂フィルム10の上には一定温度に加熱されたプレス装置13がセットされている。そして金属弾性体6にプレス装置13が樹脂フィルム10を矢印15の方向に一定時間、加熱しながら押し付ける。
そして、図3(B)に示すようにプレス装置13によって一定時間、加熱しながら金属弾性体6に押し当てられた絶縁層7のガラスペーストは軟化して接着性が生じ金属弾性体6と接着する。さらに図3(C)に示すように樹脂フィルム10を除去することで金属弾性体6の上に絶縁層7とこの絶縁層7に配線8が埋め込まれた状態で転写される。
次に、ガラスペーストからなる絶縁層7と配線8が金属弾性体6の上に形成された状態で焼成される。こうして金属弾性体6の上に絶縁層7とこの絶縁層7に埋め込まれた配線8が形成される。そして図3(D)に示すように少なくとも絶縁層7および配線8の上に抵抗体ペーストを印刷し、焼成することで金属弾性体6の上に絶縁層7と埋め込み配線8との間に形成された感歪抵抗体9とからなる荷重センサが完成する。
なお、図3(D)では絶縁層7とこの絶縁層7に埋め込まれた配線8との表面を平坦としているが完全な平坦な状態でなくともよい。例えば埋め込まれた配線8の表面が絶縁層7の表面よりも±5μm程度の凹凸なら感歪抵抗体9の印刷および焼成や感歪抵抗体9の形成に支障は生じない。
また、図3(D)に示すように絶縁層7に埋め込まれた配線8は絶縁層7の内部に5μm以上の深さで埋め込まれていることが望ましい。絶縁層7に埋め込まれた配線8の下半分あるいはその厚み全てを絶縁層7の内部に埋め込むことで埋め込まれた配線8を厚くしても絶縁層7の表面に埋め込まれた配線8が段差を生じさせず、埋め込まれた配線8の配線抵抗を下げることができ、荷重センサの特性を向上させることができる。また埋め込み配線8を厚くすることで各種部品を半田実装する際にも半田喰われが低減できる。
一方、実施の形態1において配線8の上にガラスペーストを塗布または印刷により配線8とガラスペーストからなる絶縁層7の間に隙間が発生しない。また配線8の厚みだけガラスペーストからなる絶縁層7が厚く形成される可能性もあるがガラスペーストの自重でレベリングするため問題は生じない。
なお、図3(D)において絶縁層7の厚みは10μm以上500μm未満が望ましい。厚みが10μm未満の場合、金属弾性体6と埋め込み配線8の間で絶縁不良を生じる可能性がある。また厚みが500μmを超える場合、絶縁層7の材料費が高くなってしまうことがある。ここで絶縁層7の厚みは金属弾性体6と埋め込み配線8の間に挟まれた絶縁層7の厚みとする。また絶縁層7を1層以上で形成することが望ましい。
例えば、絶縁層7を複数層で形成することで、絶縁層7にゴミの付着や泡が発生しても絶縁不良等の発生原因にはなりにくい。また図2(C)においてガラスペーストからなる絶縁層7の厚みは配線8の上に10μm以上500μm以下が望ましい。配線8を覆うガラスペーストからなる絶縁層7の厚みが10μm未満の場合、ゴミやピンホールの影響を受けやすくなる場合がある。また厚みが500μmを超える場合、ガラスペーストの使用量が増加するためにコスト高になる可能性がある。
なお、金属弾性体6の厚みは1mm以上100mm以下が望ましい。金属弾性体6の厚みが1mm未満の場合、荷重センサとして要求される耐力が得られない場合がある。また金属弾性体6の厚みが100mmを超える場合、金属弾性体6の加工(例えば、金型による打ち抜きやレーザー加工等)が困難となる。また金属弾性体6の面積は1cm2以上1000cm2以下が望ましい。金属弾性体6の面積が0.1cm2以下の場合、絶縁層7と配線8との表面の段差を±5μm以下とした場合でも0.1cm2という微少な面積に複数の感歪抵抗体9として、例えばブリッジ回路は4個の感歪抵抗体9が必要となり、印刷して形成することが難しくなる。また金属弾性体6の面積は1000cm2を超える場合、金属弾性体6の材料費が増加して荷重センサのコストに影響を与える可能性がある。
図4(A)、(B)は位置合わせを示す模式図である。図4(A)に示すように金属弾性体6には直径1mm以上の孔27aが複数個形成されていることが望ましい。金属弾性体6に複数個の孔27aを形成しておくことでこの孔27aにピン27bや各種治具を用いて金属弾性体6と樹脂フィルム10との位置合わせが容易になり、生産コストを抑えることができる。またこの孔27aを使うことで、荷重センサを他の設備にネジ止めでき、荷重センサの取り付けが容易になる。なお孔27aは複数個形成されることが望ましい。これは孔27aが1個だけの場合、孔27aを用いた位置合わせや孔27aを用いたネジ止めが制約を受ける可能性がある。また孔27aの直径は1mm以上が望ましい。孔27aの直径が1mm未満の場合、この小さな孔27aに位置決め用のピンや治具を指し込むことが難しい。また孔27aの直径が1mm未満の場合、この孔27aに挿入可能なネジの直径が小さくなり他の部材に充分な独立でネジ止めができない場合がある。
また、図4(B)に示すように樹脂フィルム10の上に形成された配線の印刷の位置合わせに画像認識を用いずにピン孔27c(あるいはスプロケット孔)で行う場合は樹脂フィルム10の厚みを75μm以上とし、できれば100μm以上とすることが望ましい。厚みが50μm未満の場合、樹脂フィルム10によっては腰が弱く機械によるピン孔27cを使った自動の位置決めができない場合がある。また樹脂フィルム10の幅は30mm以上1000mm以下が望ましい。30mm未満の樹脂フィルム10の幅の場合、一度に印刷できるパターン数が限られてしまう。また1000mmを超える樹脂フィルム10の幅の場合、樹脂フィルム10の上に印刷し形成する各種ペーストを加熱および乾燥する際に樹脂フィルム10の伸縮量が大きくなる場合がある。また樹脂フィルム10はロール状のものが取扱いやすい。ロール状に巻かれた樹脂フィルム10の長さは10m以上1km未満が望ましい。ロール1巻に巻かれた樹脂フィルム10の長さが10m未満の場合、ロール交換が頻繁になって実用的ではない。また樹脂フィルム10の長さが1km以上になると樹脂フィルム10の自重が大きくなり人力でのロール交換が難しくなる。
また、埋め込み配線8の厚みは5μm以上100μm以下が望ましい。厚みが5μm未満の場合、配線8として抵抗値が高くなり荷重センサとしての特性に影響を与える場合がある。また厚みが100μmより厚い場合、配線部材の量が多くなりコストアップの原因になる。なお埋め込み配線8にAgPd系の電極材料を用いることで耐半田喰われ性が改善でき、埋め込み配線8に直接チップ部品や半導体チップ等を半田実装することができる。
また、ガラスペーストからなる絶縁層7は1層以上とすることが望ましい。例えば絶縁層7を2層、3層と多層化することによりガラスペーストのゴミの付着やピンホール等の影響を低減することができる。
なお、ガラスペーストからなる絶縁層7を1層以上形成する場合、ガラスペーストを塗布し乾燥した上に更にガラスペーストを塗布することで形成することができる。また金属弾性体6と接する絶縁層7は結晶化ガラスであり、その結晶化率は50%以上(あるいは50%以上100%以下)であることが望ましい。金属弾性体6と接する絶縁層7が非晶質ガラスの場合、感歪抵抗体9の焼成時に軟化して金属弾性体6との界面の接着強度が低下する場合がある。そのため金属弾性体6と接する絶縁層7を結晶化ガラスとすることで感歪抵抗体9の焼成時に絶縁層7としてガラスが軟化しないため金属弾性体6との界面の接着力が低下することはない。また結晶化ガラスを用いる場合、結晶化率は50%以上が望ましい。結晶化率が50%未満(つまり絶縁層の50%以上が非晶質ガラス)の場合、感歪抵抗体9の焼成時に非晶質ガラス成分が軟化して金属弾性体6との接着強度に影響を与える場合がある。なお絶縁層7の結晶化率はX線回折等の設備を用いて評価することができる。
また、少なくとも配線8の厚みは5μm以上100μm以下が望ましい。必要に応じて配線8の一部にチップ部品が実装できるスペース(例えば、ランド等と呼ばれる半田付け実装部)を形成することが望ましい。このように配線8の一部に感歪抵抗体9を形成し、他の一部に半導体や角チップ抵抗器等のチップ部品を実装することで荷重センサの小型化や低コスト化が図れる。
本発明の実施の形態1において、必要に応じて半田付け等の実装部の配線8は絶縁層7に埋め込むことも可能である。また配線8の厚みが5μm未満の場合、配線抵抗が増加するため荷重センサとしての特性に影響を与える可能性がある。また配線8の厚みが100μmを超える場合、配線8の形成部材の材料費が増加して製品コストを高める可能性がある。
なお、感歪抵抗体9の厚みは5μm以上50μm以下が望ましい。感歪抵抗体9の厚みが5μm以下の場合、絶縁層7と配線8との表面の段差が±5μm以下とした場合でも感歪抵抗体9が微小な段差の影響を受ける可能性があり、更に感歪抵抗体9の下地となる絶縁層7の影響(例えば、ガラス材料等の相互拡散等)を受けやすくなる。また感歪抵抗体9の厚みは50μmより厚い場合、感歪抵抗体9の材料費が増加するため製品コストを上げる可能性がある。また感歪抵抗体9の面積は0.1mm2以上100mm2以下が望ましい。感歪抵抗体9の面積が0.1mm2未満の場合、本発明の荷重センサのように絶縁層7と配線8との表面の段差を±5μm以下とした場合でも感歪抵抗体9のパターンが小さくなりこの微小な段差の影響を受ける可能性がある。
また、感歪抵抗体9の面積が100mm2を超える場合、感歪抵抗体9の材料費が増加するため、製品コストを上げる可能性がある。感歪抵抗体9の抵抗値としては市販の酸化ルテニウムを用いた抵抗体ペーストからGF(Gauge Factor、ゲージファクター、歪に対する抵抗値の変化率)の高いものを選択して使うことができる。
また、少なくとも感歪抵抗体9及び配線8の全面あるいは感歪抵抗体9と配線8の一部を樹脂もしくはガラスにより厚み10μm以上500μm未満の保護層(図示せず)で覆うことができる。このように少なくとも感歪抵抗体9と配線8の一部を保護層で覆うことで感歪抵抗体9や配線8の外的環境から保護することができ、信頼性を高めることができる。
また、配線8の一部を露出しておくことで配線8を用いて各種チップ部品等を実装することができ、荷重センサの小型化、低コスト化が可能になる。なお少なくとも感歪抵抗体9を覆う保護層の厚みは10μm以上500μm以下が望ましい。保護層の厚みが10μm未満の場合、保護層にピンホールが発生する可能性がある。また保護層の厚みが500μmを超えると、保護層の形成部材の材料費がコストに影響を与える場合がある。
ここで、保護層は樹脂もしくはガラスが望ましい。保護層に樹脂を用いた場合、保護層の形成温度を下げることができ保護層の形成時の熱によって感歪抵抗体9の特性に影響を与えることはない。また保護層にガラスを用いた場合、保護層の形成時の温度は感歪抵抗体9の焼成温度より100℃以上下げる(例えば、感歪抵抗体の焼成温度が850℃の場合、保護層のガラスの焼成温度は700℃未満にする)ことが望ましい。これは保護層となるガラス材料の焼成時の熱処理によって感歪抵抗体の特性への影響を抑えるためである。
また、図3(C)に示すように金属弾性体6はガラスペーストからなる絶縁層7とこの絶縁層7の表面に埋め込まれた配線8が同時に焼成され、図3(D)に示す絶縁層7や埋め込み配線8が形成されるが、ここで焼成温度を500℃以上950℃以下とすることが望ましい。温度500℃未満の低温で配線8とガラスペーストを同時焼成した場合、配線8の焼結が不充分で配線抵抗が下がらない場合やガラスペーストの焼結強度が充分に得られない場合がある。また焼成温度が950℃より高くなると金属弾性体6が酸化し、変色して耐力が低下する場合がある。
なお、配線8を形成するペーストに0.5〜20wt%の範囲でガラスペーストを予め添加しておいても有効である。こうして配線8の内部に予めガラス成分を添加しておくことにより、ガラスペーストに埋め込んだ状態で配線8を同時に焼成しても互いの界面で剥離や割れ等の発生を防止することができる。なおガラスペーストの添加量が0.5wt%未満の場合添加効果が得られない場合がある。また添加量が30wt%を超えると埋め込み配線8の抵抗値が増加し、荷重センサとしての特性に影響を与える場合がある。
また、樹脂フィルム10に金型等を使って荷重センサの外形に合わせて打ち抜いたり、切り抜いたりすることができる。また枚葉に加工する以外にスリッター等を使って所定の幅に切り取ることもできる。
なお、図2(A)〜(C)において樹脂フィルム10の厚みは10μm以上300μm以下が望ましい。厚みが10μm未満の場合、しわが発生しやすくなり取扱いが困難になる。また厚みが200μmより厚い場合、コスト高となると共に取扱いが困難である。望ましくは厚みを50μm以上300μm未満とすることで値段が安く取扱いやすい。
また、図2(B)に示す配線8の厚みは5μm以上が望ましい。4μm未満の厚みでは焼成後に抵抗値が高くなるため荷重センサとしての特性に影響を与える場合がある。また図2(C)に示す配線8を覆うように形成されるガラスペーストからなる絶縁層7の厚みは10μm以上が望ましい。厚みが10μm未満の場合、図3(A)〜(D)に示すように金属弾性体6の上に転写または焼成した際に配線8と金属弾性体6の間の絶縁抵抗が低くなる可能性がある。また図2(C)に示す配線8の上に形成される絶縁層7は1層以上形成することが望ましい。例えば2層、3層と複数層化することによりゴミやピンホールの影響を抑えることができる。
なお、図3(A)、(B)に示すプレス装置13は必要に応じて一定温度に加熱しておくことが望ましい。例えば温度50℃以上200℃以下、特に70℃以上150℃以下が望ましい。樹脂フィルム10の耐熱性や厚みにもよるが50℃以下の温度の場合、プレス圧力を上げるか接着層(図示せず)等の助けが無いと金属弾性体6の上に必要な強度(あるいは付着強度)で接着できない場合がある。また200℃を超える温度で転写すると樹脂フィルム10が変形して積層時の位置精度に影響してしまう場合がある。またPETフィルム等の比較的安価な樹脂フィルム10を用いる場合、熱により変形しやすいため70℃以上150℃以下の温度が望ましい。
また、プレス圧力は1kg/cm2以上1000kg/cm2未満が望ましい。圧力が1kg/cm2未満の場合、金属弾性体6に対して充分な密着効果が得られない場合がある。またプレス圧力が1000kg/cm2を超える場合、剛性が高いため総圧力の大きな高価なプレス装置が必要となり製造コストを上げてしまう。
また、転写温度は50℃以上200℃以下が望ましい。転写温度が50℃以下の場合、充分な接着強度が得られない場合がある。また転写温度が200℃を超えると樹脂フィルム10が変形しやすくなる。また転写時間(つまりプレスによって樹脂フィルムが押し当てられている時間)は0.1秒以上10分以下が望ましい。転写時間が0.1秒以下の場合、充分な接着強度が得られない場合があると共にプレス装置の転写時間のコントロールが難しい場合がある。また転写時間が10分以上の場合、製造時間が長くなり製造コストが高くなる。
なお、本発明の荷重センサにおいて絶縁層7のガラスペーストに熱可塑性樹脂を使うことで熱接着性が得られる。この熱可塑性樹脂としてはPVB(ポリビニールブチラール)樹脂やアクリル系の樹脂を使うことができる。こうした樹脂はセラミックグリーンシートの製造に広く使われており、これらの中から金属弾性体6への接着性(あるいは熱転写性)の高いものを選択すればよい。
また、ガラスペーストからなる絶縁層7は樹脂及び有機溶剤よりなる樹脂溶液中に所定のガラス粉が40wt%以上90wt%以下で分散するガラスペーストを用いることができる。これはガラスペースト中のガラス粉の割合が40wt%未満の場合、乾燥後にできる絶縁層7にピンホールが発生しやすくなる。またガラス粉の割合が90wt%を超える場合、樹脂溶液の割合が10wt%未満になりガラスペーストとしての流動性が低下し配線8を覆う際に絶縁層7にピンホールが発生しやすくなる。
また、配線8は樹脂及び溶剤よりなる樹脂溶液中に導電粉が40wt%以上90wt%以下で分散される電極ペーストが樹脂フィルム10の上で所定形状に印刷され、温度50℃以上200℃以下で乾燥されることが望ましい。電極ペースト中に含まれる導電粉が40wt%未満の場合、焼成後に配線8の厚みが薄くなり配線抵抗が高くなり荷重センサの特性に影響を与える。また導電粉が90wt%より多い場合、樹脂溶剤の割合が10wt%未満と少なくなるため、電極ペーストの流動性が低下し、所定パターンの印刷に影響を与える。また電極ペーストの乾燥温度が50℃未満の場合、乾燥時間が長くなって生産コストを上げる可能性がある。また乾燥温度が200℃を超える場合、樹脂フィルム10が熱変形する可能性がある。
なお、樹脂フィルム10は金属弾性体6の上にガラスペーストからなる絶縁層7や配線8を介して接着された状態で焼成すれば炉の中で熱分解するので樹脂フィルム10が付着した状態で焼成することも可能である。しかし焼成雰囲気によっては樹脂フィルム10から多量の煙が発生し柔らかくなった樹脂フィルム10が金属弾性体6に張り付いて焦げてしまい変色させる可能性がある。この場合樹脂フィルム10を剥がして所定の焼成炉で焼成されれば良い。
なお、金属弾性体6の上に転写された樹脂フィルム10は焼成温度500℃以上950℃以下、焼成時間が10分以上3時間未満で焼成されることが望ましい。焼成温度が500℃未満の場合、金属弾性体6と絶縁層7の接着力が不足する場合がある。また焼成温度が950℃を超える場合、金属弾性体6が酸化して耐力が低下する場合がある。またメッシュベルト炉等の連続焼成炉を使って焼成する場合、焼成時間(炉に入ってから出るまでの時間)は10分以上3時間未満が望ましい。10分未満の場合、焼成時間が短く調整できない場合がある。また3時間を超える焼成時間では焼成時間が長くなるため焼成コストが増加する場合がある。
なお、樹脂フィルム10上に形成された配線8の厚みは5μm以上500μm以下が望ましい。厚みが5μm未満の場合、配線8の厚みが薄くなり配線8の配線抵抗を増加させ荷重センサの特性に影響を与える場合がある。また配線8の厚みが500μmを超える場合、絶縁層7への埋め込みが難しくなると共に配線8の材料費が増加し、コスト高になる場合がある。
なお、樹脂フィルム10の上に形成された配線8およびこの配線8を覆う絶縁層7と金属弾性体6とを位置合わせする際、樹脂フィルム10の上に形成された配線8を用いることができる。例えば配線8を画像認識して金属弾性体6に対する位置合わせを自動化することができる。また樹脂フィルム10に孔を設けてこの孔を用いて画像認識で金属弾性体6に対して位置合わせすることもできる。またこの孔の直径を0.1mm以上20mm以下としてこの孔と市販のピン(写真製版や商業印刷の位置決め等で使われる治具で直径5mm程度、厚み数mmのもの)を使うことができる。例えば樹脂フィルム10に形成された複数の孔にピンを差し込み金属弾性体6と樹脂フィルム10の位置合わせが簡単になる。なお孔の直径は0.1mm以上20mm以下が望ましい。孔の直径が0.1mm未満の場合、孔にピンを差し込むことが難しくなる。また孔の直径が20mmを超える場合、孔が大きくなり孔が変形しやすくなると共に位置合わせの精度が下がる場合がある。
なお、樹脂フィルム10の厚みは10μm以上300μm未満が望ましい。樹脂フィルム10の厚みが10μm未満の場合、樹脂フィルム10が薄すぎて取扱いが難しくなる。また樹脂フィルム10の厚みが300μmを超える場合、樹脂フィルム10の材料費が高くなるため製造コストを上げる場合がある。
また、樹脂フィルム10の幅は2cm以上1m以下が望ましい。樹脂フィルム10の幅が2cm未満の場合、一定寸法以上の荷重センサに対応できない場合がある。また樹脂フィルム10の幅が1mを超える場合、樹脂フィルム10の伸縮が大きくなるため取扱いにくい場合がある。
また、樹脂フィルム10の表面に予め剥離性改善層を形成しておくことが望ましい。樹脂フィルム10のメーカーより予め剥離性改善層を形成した樹脂フィルム10が市販されている。このような市販の剥離性改善加工された樹脂フィルム10を図2や図6に示す樹脂フィルム10に用いることができる。この結果樹脂フィルム10をガラスペーストからなる絶縁層7、配線8から簡単に弱い力あるいは樹脂フィルム10の表面にガラスペーストや配線材料が残ることなく剥離できる。またこうした市販の樹脂フィルム10はその剥離性を大小(あるいは強弱)と何種類かのグレードがあることが多い。例えばシリコン樹脂やフッ素樹脂を剥離性改善加工に用いた場合、この剥離性が強いほどその表面にペーストを印刷した時にパターンをはじきやすくなる(撥水撥油効果)場合がある。この場合剥離性の弱いグレードに変更することで剥離性改善加工面へのペーストパターンの印刷や塗工、更に転写後の剥離性を両立させることができる。
図5は樹脂フィルム上に形成する荷重センサのパターン配置を示す模式図である。図5に示すように樹脂フィルム10の上に形成する荷重センサのパターン28は必要に応じて複数個が高密度に印刷されるように割付(取れ数を増やすために一定面積中に多数個のパターン28を互いに一定寸法ずらしたり、回転させたりして高密度に組み合せること)しておくことができる。例えば荷重センサをスマートエアーバッグに使う場合、自動車の助手席の下に組み込む必要がある。そのため荷重センサの外形は単純な四角形ではなく複雑な外形になる。そのため一般的な割付のパターン28(例えば、千鳥、市松等)をもとに色々組み合せることで一定面積において数多く生産でき、その製造コストを抑えることができる。
(実施の形態2)
図6(A)〜(C)、図7(A)〜(D)は本発明の荷重センサの他の製造方法を示す断面図である。
まず、図6(A)に示すように長尺の樹脂フィルム10を用意する。そして図6(B)に示すように樹脂フィルム10の上に配線8を連続的に印刷する。なお配線8の印刷は多数個が一括で印刷できるよう面付けしておくことができる。そして図6(C)に示すように配線8を覆うようにガラスペーストからなる絶縁層7を印刷する。ここでガラスペーストを樹脂フィルム10の上に長尺(例えば、連続で100m)で印刷するのではなく、数cm角の独立パターンとして印刷することで樹脂フィルム10の上に所定パターンが多数個の独立した配線8を埋め込んだガラスペーストからなる絶縁層7を連続的に形成することができる。このように連続した樹脂フィルム10の上に複数個の独立した所定パターンを形成し、樹脂フィルム10の表面にガラスペーストで覆われていない部分が形成できる。このようなガラスペーストで覆われていない樹脂フィルム10は透明で下に配置した金属弾性体6を肉眼で確認できるため、プレス工程で金属弾性体6とガラスペーストからなる絶縁層7や配線8と容易に位置合わせすることができる。またスリッター加工する際もスリッターの切断部をこの所定パターンが形成されていない部分の樹脂フィルム10とすることでスリッター性が向上できると共に所定パターンによるスリッター歯の磨り減りやガラスペーストからなる絶縁層7のスリッター屑の発生が防止できる。
図7(A)に示すようにプレス装置13の下に長尺の樹脂フィルム10がセットされ、さらに樹脂フィルム10の下には複数の金属弾性体6がセットされている。そしてプレス装置13が矢印15の方向に動き樹脂フィルム10の上に形成された複数のガラスペーストからなる絶縁層7を同時に複数の金属弾性体6に一定時間加熱および圧着させる。
次に、図7(B)に示すようにプレス装置13を矢印15のように持ち上げて金属弾性体6の上にガラスペーストからなる絶縁層7を接着する。そして図7(C)に示すように樹脂フィルム10を剥がすことで金属弾性体6の上にガラスペーストからなる絶縁層7及び埋め込み配線8とを同時に転写することができる。ここで埋め込み配線8とガラスペーストからなる絶縁層7は予め平坦な樹脂フィルム10の上に形成していたため、その平面は平滑で段差はない。そして金属弾性体6を焼成しこの焼成した金属弾性体6の上に感歪抵抗体9を形成することで図7(D)に示す荷重センサが製造できる。
図6(C)に示すようにガラスペーストからなる所定形状の絶縁層7を樹脂フィルム10の上に形成しておくことで複数個を一括して金属弾性体6の上に転写でき転写コストを抑えることができる。またガラスペーストからなる絶縁層7のパターンよりも樹脂フィルム10の面積の方が大きいため図7(B)に示すように金属弾性体6の上にガラスペーストからなる絶縁層7を加熱および圧着しても樹脂フィルム10を剥離しやすく剥離の自動化も容易に実現できる。
また、図7(B)に示すように一度に複数の金属弾性体6の上に配線8および所定パターンの絶縁層7を転写することができる。この位置合わせには樹脂フィルム10の所定位置に複数個のピン孔を形成しておくことで複数個の金属弾性体6に対しての位置合わせも簡単になる。なお複数個の金属弾性体6を同一平面に並べた場合、各々一枚一枚の金属弾性体6の表面を揃えるため空打ちとして金属弾性体6の上に直接(あるいはフィルム等を介して)プレスすることで金属弾性体6の個々の表面をプレス面に揃え、図7(B)に示すように樹脂フィルム10の上に形成された配線8やガラスペーストからなる絶縁層7を転写してもよい。このようにプレス方法を工夫することで多数個の金属弾性体6に対して一括で所定パターンの配線8および絶縁層7が転写および形成できるため製造コストを下げることができる。
また、プレス装置13によりプレスすることでガラスペースト中に存在する泡も押しつぶされることが焼結後の断面を観察より確かめられた。
なお、ガラスペーストからなる絶縁層7と金属弾性体6との接着の強さはある程度は必要である。図7(C)に示す埋め込み配線8やガラスペーストからなる絶縁層7を指先や爪の先で剥がそうとしても剥がれないぐらいの接着強度が望ましい。こうした接着強度を測定するにはJIS等で提案されている評価用の粘着テープ(あるいは市販の安価な粘着テープでもよい)を貼り付け、これを引き剥がしても金属弾性体6とガラスペーストからなる絶縁層7の界面が剥がれないだけの接着強度が品質安定化のためにも望ましい。
なお、ガラスペーストの印刷には普通のスクリーン印刷方法を使うことができる。例えばステンレス製の120メッシュや165メッシュの市販のスクリーン版を用いてガラスペーストを所定形状に印刷することができる。なおここでガラスペーストは1層以上形成することが望ましい。例えばガラスペーストからなる絶縁層7を印刷と乾燥を繰り返して複数層とすることでガラスペーストからなる絶縁層7をゴミやピンホールの影響から受けにくくすることができる。
(実施の形態3)
図8(A)〜(D)は本発明の実施の形態3における荷重センサの製造方法を示す断面図である。実施の形態3においては図6(A)〜(C)に示す製造工程と同様であり、説明を省略する。図8(A)に示すように21は接着層である。
まず、図8(A)に示すように金属弾性体6の表面に接着層21を所定形状に形成する。そしてこの接着層21の上に図6(C)に示す樹脂フィルム10とこの樹脂フィルム10の上に配線8を形成し、この配線8を埋め込むように形成されたガラスペーストからなる絶縁層7が対向するように配置する。そしてプレス装置(図示せず)を矢印15に示すように金属弾性体6の接着層21の上に押し付ける。そして図8(B)に示すように金属弾性体6の上の接着層21にガラスペーストからなる絶縁層7を圧着させ、図8(C)に示すように樹脂フィルム10を除去することで金属弾性体6の上に絶縁層7と配線8との表面が凹凸なく形成することができる。そしてこの金属弾性体6を焼成することで金属弾性体6の上に絶縁層7や埋め込み配線8が形成できる。さらに図8(D)に示すように少なくとも絶縁層7および配線8の上に抵抗体ペーストを印刷し、焼成することで金属弾性体6の上に絶縁層7と埋め込み配線8と複数の埋め込み配線8の間に形成された感歪抵抗体9からなる荷重センサが完成する。
なお、接着層21に樹脂を主体とした有機物を使うことでこの焼成の際に接着層21は焼失してしまうため、金属弾性体6と絶縁層7を接合することができる。
また、接着層21の厚みとしては0.1μm以上5μm以下が望ましい。厚みが0.1μm未満の場合、金属弾性体6の上に均一な形成が難しくなり必要な接着力が得られない場合がある。また厚みが5μmを超える場合、絶縁層7を押し当てた際、左右に僅かにずれる場合がある。さらに接着層21の厚みが5μmを超える場合、絶縁層7を焼成して絶縁層7を形成する際に金属弾性体6と絶縁層7の間の接着強度が低くなり剥離しやすくなる可能性がある。
なお、金属弾性体6の上に形成する絶縁層7との接着力を向上させるには接着性を有する接着層21が必要である。図8(C)に示すように埋め込み配線8やガラスペーストからなる絶縁層7を指先や爪の先で剥がそうとしても剥がれないぐらいの接着強度があることが望ましい。この接着強度を測定するにはJIS等で提案されている評価用の粘着テープを貼り付け、これを引き剥がしても金属弾性体6と絶縁層7との界面が剥がれないだけの接着強度が品質安定化のために必要である。
なお、接着層21の接着性としては感圧接着性が望ましい。これは金属弾性体6の上で樹脂フィルム10の上に形成されたガラスペーストからなる絶縁層7を位置合わせする場合、ベタベタした糊状では位置合わせが困難となる。そのため感圧接着剤を使えば通常の状態、例えば金属弾性体6の上に接した状態で樹脂フィルム10の上に形成された絶縁層7を位置合わせすることができる。なおこの感圧接着性とは試料を弱く押し当てても接着しないが一定以上の荷重で押し当てた場合に所定の接着性が得られるものであり、各種接着剤メーカーより市販されているものを使うことができる。また市販のビニール系の樹脂(例えば、PVB樹脂)やアクリル系の樹脂を接着層21として用いることもできる。またこうした用途ではセラミックグリーンシートのバインダーとして市販されているバインダー材料の中から選ぶこともできる。
また、樹脂フィルム10の上に予め複数の配線8が形成されていても良い。例えば荷重センサに使われる配線8やこの配線8を覆うガラスペーストからなる絶縁層7の面積を3cm×5cm、樹脂フィルム10を幅20cmのロール状の長尺フィルムとした場合、樹脂フィルム10の幅方向に製品を6列に並べることができる(つまり、3cm×6個=18cm)。このように予め樹脂フィルム10の上に複数個(ここでは6列)の配線8を樹脂フィルム10の横方向に割付けておくことで各種ペーストの印刷効率を高められることができるため荷重センサの製造コストが抑えられる。また配線8を埋め込むガラスペーストを複数層に形成することでピンホール等の影響を抑えることができる。またここで6列に印刷した幅20cmの1本のロールからスリッター等を用いて数本の所定幅のロールに切り分ける。例えば3cm幅のパターンが1列になったものを6本あるいは3cm幅のパターンが2個取りになった6cm幅の樹脂フィルム10が6本できることになる。
次に、切り分けられたロールを自動のフィルム搬送装置にセットしてプレス装置に自動供給することができる。またプレス装置に予め金属弾性体6を自動供給する設備を取り付けておくことで荷重センサの生産性を高めることができる。また2個取りになった樹脂フィルム10(例えば幅方向に3cmのパターンが2つ並んだもの)を使い、これをプレス装置に自動供給し、プレス装置に金属弾性体6を一度に2枚並べてセットできるようにすれば1回のプレスで2枚の荷重センサに所定パターンを転写して形成することができる。このように複数の金属弾性体6の上に同じ樹脂フィルム10の上から複数個のパターンを転写することでその生産性が高められ製品のコストダウンが可能となる。
(実施の形態4)
図9(A)〜(D)は本発明の実施の形態4における荷重センサの製造方法を示す断面図である。実施の形態4においては図6(A)〜(C)に示す製造工程と同様であり説明を省略する。図9(A)に示すように22はガラス接着層であり焼成前のガラスペーストやガラスペーストが印刷されたままの生乾き状態であっても良い。
まず、図9(A)に示すように金属弾性体6の表面にガラス接着層22を形成しておく。次にこのガラス接着層22の上に樹脂フィルム10とこの樹脂フィルム10の上に形成した配線8とをこの配線8を覆うように形成したガラスペーストからなる絶縁層7が対向するように配置する。そしてプレス装置(図示せず)を矢印15に示すように動かして金属弾性体6の上に形成したガラス接着層22の上に押し付ける。そして図9(B)に示すように金属弾性体6の上のガラス接着層22にガラスペーストからなる絶縁層7を圧着させる。
さらに、図9(C)に示すように樹脂フィルム10を除去することで金属弾性体6の上に絶縁層7と配線8との表面に凹凸なく形成することができる。そして金属弾性体6の全体を焼成することで金属弾性体6の上にガラス接着層22と絶縁層7の2層からなる絶縁体層、埋め込み配線8を形成する。さらに図9(D)に示すように少なくとも絶縁層7および配線8の上に抵抗体ペーストを印刷し、焼成することで金属弾性体6の上に絶縁層7と埋め込み配線8と複数の埋め込み配線8の間に形成された感歪抵抗体9からなる荷重センサが完成する。
実施の形態4において、金属弾性体6の上にガラス接着層22とガラスペーストからなる絶縁層7の両方(多層)が焼成され、絶縁体層が形成される。このガラス接着層22やガラスペーストからなる絶縁層7を形成する場合、ピンホールやゴミ等により絶縁特性の劣化を低減することができる。
なお、ガラス接着層22としては所定のガラス粉を樹脂と溶剤に溶かしてなるビヒクル中に所定濃度で分散したペースト(もしくは印刷ペースト)状のものが望ましくガラスペーストをそのまま用いることもできる。
さらに、ガラス接着層22の厚みとしては0.1μm以上100μm以下が望ましい。ガラス接着層22の厚みを0.1μm未満とした場合、金属弾性体6の上に均一な形成が難しくなる。またガラス接着層22の厚みが100μmを超える場合、通常のスクリーン印刷等の形成方法を用いる場合、一回の印刷では所定の膜厚が得られないため数回繰り返し印刷する必要がありコスト高になる可能性がある。またガラス接着層22はユーザーからのニーズに応じてガラスペーストの形成パターンを金属弾性体6の全面や所定形状でもよい。
なお、ガラス接着層22は金属弾性体6の上にペースト状で塗布され、乾燥させることができるため金属弾性体6とガラス接着層22は充分な接着強度を得ることができる。またガラス接着層22は未乾燥のペースト状で表面を指で触るとペーストがベタベタ付くような糊状態は望ましくない。このようなベタベタした糊状では金属弾性体6と絶縁層7や配線8との位置合わせが困難になると共にゴミがつきやすくなり製品品質や製造工程に影響を与える。
そのため、ガラス接着層22は生乾き(触ってもベタベタしない)または完全に乾燥させることが望ましい。なおガラス接着層22を完全に乾燥させて触ってもまったく粘着力が無い状態にした場合でも感圧接着性を持たせることができる。このガラス接着層22に感圧接着性を持たせることで通常の状態、例えば金属弾性体6の上で殆ど接した状態で樹脂フィルム10の上に形成された絶縁層7を保持しながら互いに位置合わせすることができる。なおこの感圧接着性とは試料を弱く押し当てても接着しないが一定以上の荷重で押し当てた時に所定の接着性が得られるものであり、接着剤メーカーより市販されているものを使うことができる。また市販のビニール系の樹脂(例えば、PVB樹脂)やアクリル系の樹脂を接着層21として用いることもできる。こうした用途ではセラミックグリーンシートのバインダーとして使われているバインダー材料の中から選ぶこともできる。
(実施の形態5)
図10は本発明の実施の形態5における荷重センサの構成を示す断面図である。図10に示すように23は絶縁層7の内部に形成されたGND電極、24は配線8または電極の間の接続孔である。絶縁層7に形成された接続孔24を介して埋め込み配線8や金属弾性体6に接続することもできる。またこの接続孔24を複数用意することで複雑な配線8が実現できる。その結果単層の配線に比べてより高密度な回路設計を行うことができる。
実施の形態5と実施の形態1との違いは絶縁層7の内部に形成したGND電極23の有無であり、絶縁層7の内部にGND電極23を挿入することで荷重センサのEMI特性(耐電磁気特性、もしくは耐ノイズ特性)を改善できる。これは荷重センサをスマートエアーバッグ等の用途に使用する場合に大きな効果を得ることができる。特に最近の乗用車は携帯電話を初めとする電波発生源が多く存在し、荷重センサの出力に対して色々なノイズが影響を与えることがある。また荷重センサを構成する金属弾性体6を自動車のシャーシ等にネジ止めすると自動車のシャーシからのノイズが荷重センサに影響を与える場合もあり、金属弾性体6を信号ラインに対するGNDに設定できない場合がある。こうした場合荷重センサの絶縁層7の内部に形成されたGND電極23を信号ラインに対するGNDにすることでノイズの影響が抑えられ、荷重センサの安定した出力を得ることができる。なおここで信号ラインは感歪抵抗体9によるブリッジ回路からの出力である。
図10に示すように金属弾性体6の上にはGND電極23を埋め込んだ絶縁層7が形成され、絶縁層7の表面には埋め込み配線8が凹凸無く形成されている。この構成により埋め込み配線8を絶縁層7に埋め込むことで絶縁層7と配線8の間に段差を発生させず感歪抵抗体9を安定して形成することができる。また必要に応じて感歪抵抗体9や配線8の表面を保護層(図示せず)で覆うことで信頼性を向上させることができる。
また、GND電極23を利用することで荷重センサのEMI特性や複雑な配線8の形成が可能になり複雑な回路設計が容易になる。特に感歪抵抗体9を複数個組み合せてブリッジ回路を形成する場合、引き回しの配線8により配線8の抵抗値が高くなるとブリッジ回路の出力特性に影響を与える場合がある。こうした場合ブリッジ回路を形成する複数個の感歪抵抗体9に接続される回路の一部をGND電極とすることで回路引き回しの配線8による抵抗値が大幅に低くでき、ブリッジ回路からの出力特性を大幅に改善することができる。またブリッジ回路からの出力が改善されるほど荷重センサのEMI特性が相対的に改善されることは言うまでも無い。
なおGND電極23として市販の銀を主体とした厚膜ペーストを使うことができる。
(実施の形態6)
図11(A)〜(C)、図12(A)〜(D)は本発明の実施の形態6における荷重センサの製造方法を示す断面図である。
まず、図11(A)に示すように長尺の樹脂フィルム10を用意する。そして図11(B)に示すように樹脂フィルム10の上に配線8を所定パターンになるように印刷する。なお配線8の印刷は多数個が一括で印刷できるよう面付けしておくことができる。図11(C)に示すように25は接続孔であり、配線8を覆うように印刷されたガラスペーストに孔状に形成する。また接続孔25の中には配線8の一部が露出している。そして図12(A)に示すように26はGND電極ペーストであり、ガラスペーストの上に所定形状になるように印刷されている。このときガラスペーストに予め形成された接続孔25の上も覆うようにGND電極ペースト26を印刷することで接続孔25の内部にGND電極ペースト26を充填することができる。こうしてGND電極ペースト26を所定形状に印刷して乾燥させる。
図12(B)に示すようにGND電極ペースト26の上にガラスペーストを所定パターンになるように印刷する。こうして樹脂フィルム10の上に配線8、ガラスペーストからなる絶縁層7、GND電極ペースト26等が形成することができる。そして図12(C)に示すように金属弾性体6の上にガラスペーストからなる絶縁層7が対向するようにして加熱および圧着し、図12(D)に示すように樹脂フィルム10だけを剥離することで絶縁層7、GND電極および配線8を金属弾性体6の上に転写して形成することができる。
そして、最後に金属弾性体6ごと焼成する。なお樹脂フィルム10は金属弾性体6の上にガラスペーストからなる絶縁層7や配線8を介して接着された状態で焼成すれば炉の中で熱分解するので樹脂フィルム10が付着した状態で焼成することも可能である。しかし焼成雰囲気によっては樹脂フィルム10から多量の煙が発生したり、柔らかくなった樹脂フィルム10が金属弾性体6に張り付いて焦げて変色させたりする可能性がある。この場合樹脂フィルム10を剥がして所定の焼成炉で焼成されれば良い。
ここで、樹脂フィルム10の上に予め形成されたGND電極パターンの上を全てガラスペーストで覆う必要は無い。予め電極パターンの形成された樹脂フィルム10の上に少なくともGND電極パターンの一部を覆うようにガラスペーストを形成することで図11(C)や図12(A)〜(D)に示す接続孔25を形成することができる。ガラスペーストに接続孔25を形成しておくことで配線8とGND電極23の接続を一工程(例えば図12(A)に示すGND電極ペーストの印刷)で行うことができ、製造コストを抑えることができる。なおここで接続孔25は水平方向の断面が円に限る必要は無い。また大きさも自由であり用途としてもGND電極23と配線8との接続以外にも使用できる。例えば製品検査時のGND電極23へのコンタクトにも使える。また樹脂フィルム10の上に予め複数個(あるいは複数列)の配線8を形成しておくことで接続孔25を形成したガラスペーストも同様に多数個印刷(あるいは複数列)ができるためその印刷生産性が向上し製造コストを抑えることができる。
また、ロール状の樹脂フィルム10上に独立した絶縁層7を互いに連続しない個別に形成することで製造コストを抑えることができる。
(実施の形態7)
図13(A)〜(C)は本発明の実施の形態7における荷重センサの製造方法を示す断面図である。実施の形態7において実施の形態6における図11(A)〜(C)、図12(A)と同様であり、ここでは説明を省略する。
図13(A)に示すように樹脂フィルム10の上に配線8が形成され、この配線8の一部を残し、覆うようにガラスペーストを形成する。そして一部を残した部分を接続孔25としてこの接続孔25の充填およびガラスペーストの上にGND電極ペースト26を形成する。そして図13(A)に示すように金属弾性体6の上に予めガラス接着層22が形成され、このガラス接着層22にGND電極ペースト26が対向するように配置される。
次に、図13(B)に示すようにプレス装置(図示せず)を矢印15に示す方向に樹脂フィルム10と、この樹脂フィルム10の上に形成された配線8と、この配線8を覆う絶縁層7と、この絶縁層7の上に形成されたGND電極ペースト26とを金属弾性体6の上に形成されたガラス接着層22の上に一定時間圧着させる。そして図13(C)に示すように樹脂フィルム10を除去する。
金属弾性体6の上に全層を一括で転写および積層する必要はない。図13(A)〜(C)に示すように複数層に分けて転写および積層することで各々の積層工程を確実なものにすることができる。
なお、図示していないが必要に応じて複数層に分けて転写して焼成しても良い。例えば、金属弾性体6の上に予め焼成したガラスペーストを絶縁層7として形成しておくことができる。そしてこれを図11に示す金属弾性体6として用いることができる。こうすることで絶縁層7を複数層化でき製品の歩留りが改善できる。
また、同様に金属弾性体6の上に予め焼成した絶縁層7とこの絶縁層7の上にGND電極を形成しておくことができる。そしてこれを図11の金属弾性体6や図7の金属弾性体6として使うことで荷重センサを複数工程に分けて製造できるため、同時焼成しにくい材料であっても荷重センサの構成部材として使える。
さらに、金属弾性体6の上にある紙面焼成済みの絶縁層7とガラス層の上に未焼成の電極層を形成しておくこともできる。そしてこれを図3の金属弾性体6や図7の金属弾性体6として使える。こうすることで荷重センサを複数工程に分けて製造できるため、同時焼成しにくい材料であっても荷重センサの構成部材として使える。また未焼成の電極層を接着層として使うことでその上に転写される部材との接着性が改善できる。また前記未焼成の電極層は焼成後にGND電極となることは言うまでもない。
このように金属弾性体6の上に予め絶縁層7やGND電極を形成してこの上に更にガラスペーストや埋め込み配線8を樹脂フィルム10からプレス装置を用いて転写できる。
このように焼成を複数回に分けることで同時焼成が難しい部材であっても焼成を安定化できる。特に荷重センサの場合、金属弾性体6の上に張り付いた状態で焼成されるため焼結による体積収縮はZ方向(厚み方向)にしか発生しない。つまりXY方向(平面方向)での体積収縮は金属弾性体6のため制約されてしまう。しかし実際は材料によってはどうしてもXY方向の体積収縮が発生してしまい、例えばGND電極とガラス層の界面でクラック(割れ)や剥がれが発生しやすくなる場合もある。またZ方向の収縮でもGND電極ペースト26とガラスペースト12の界面等でも局所的な剥がれや接着力不足が発生する可能性がある。こうした課題は金属とガラスといった異種材料の積層層数が増加するほど発生しやすい。こうした場合実施の形態7で説明するように全層数を一度に焼成するのではなくいくつかの層に分けて別々に焼成することで対応できる。
なお、金属弾性体6の表面に焼成されてなる絶縁層7あるいはGND電極等の上に次の層を転写する場合、必要に応じて絶縁層7あるいはGND電極の上に接着層21を形成してもよい。あるいは金属弾性体6の上で焼成されてなる絶縁層の上にGND電極ペースト26を印刷し、この上に転写することでGND電極ペースト26を感圧接着剤として用いることができる。この場合GND電極ペースト26に感圧接着性を有する樹脂を使うことでGND電極ペースト26の感圧接着性を向上できることは言うまでもない。