JP2005171418A - 製紙用表面サイズ剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 保護コロイドの適切な選択により、貯蔵安定性や、ゲートロールやサイズプレス等の剪断力下での塗工方式における安定性(機械的安定性)が良好であり、かつ系の発泡も少ないエマルジョンを有効成分としてなる、各種サイズ効果に優れる製紙用表面サイズ剤を提供すること。また、これらの性能を具備しつつ、インクジェット印刷におけるフェザリングおよびブリーディング適性が良好である製紙用表面サイズ剤を提供すること。
【解決手段】 塩基酸変性ロジンエステルを必須とする保護コロイドの存在下に各種重合性単量体を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を主成分としてなる表面サイズ剤を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明はエマルジョン型の製紙用表面サイズ剤に関する。具体的には、各種サイズ効果に優れ、貯蔵安定性やゲートロールやサイズプレス等の剪断力下での塗工方式における安定性(機械的安定性)が良好であり、かつ系の発泡が少ないエマルジョンを有効成分としてなる製紙用表面サイズ剤に関する。さらには、インクジェット印刷におけるフェザリングおよびブリーディング適性にも優れる製紙用表面サイズ剤に関する。
製紙用表面サイズ剤は用紙表面にほぼ100%歩留まるために効率よくサイズ効果を発揮させることができ、コスト的にも有利である。しかも、抄紙系の汚れや抄紙温度によるサイズ効果の変動といった操業上の問題が少ない等の種々の利点を有する。
こうした製紙用表面サイズ剤は水溶液型とエマルジョン型に大別できるが、エマルジョン型は比較的低粘度であるためハンドリング性に長け、作業時の発泡が少なく、しかも固形分を高く設定できるという利点を有する。かかるエマルジョン型の製紙用表面サイズ剤は、一般に、保護コロイドや界面活性剤を含む水性媒体中でスチレン等の疎水性不飽和単量体や(メタ)アクリル酸等のアニオン性単量体等のビニル系単量体を乳化重合して得られるエマルジョンを有効成分としている。
しかし、エマルジョンは熱力学的に不安定な系であるため、エマルジョン型の製紙用表面サイズ剤にも貯蔵時における安定した分散性(貯蔵安定性)やゲートロールやサイズプレス等の剪断力下での塗工方式における機械的なシェアーに対する安定性(機械的安定性)等の諸物性が要求される。また、通常紙には炭酸カルシウム等の填料が使用されるが、紙へサイズ剤希釈溶液を塗工する際に当該填料が溶出し、前記サイズ剤希釈溶液の硬度が高くなるため、エマルジョン型の製紙用表面サイズ剤には硬水系における希釈安定性や機械的安定性も要求される。
このような問題は、前記した保護コロイドや界面活性剤の適切な選択により改善できることが多いが、貯蔵安定性や機械的安定性等を具備しつつも、優れたサイズ効果を奏し、かつ、系の発泡を抑制し得るような表面サイズ剤は少ない。例えば保護コロイドとして一般的なポリビニルアルコールを用いた場合には、機械的安定性は改善されるが紙表面の親水性が高くなりサイズ度が低下するという弊害が生じ得る。また、ノニオン性、アニオン性及びカチオン性の低分子界面活性剤を用いる場合には比較的多くの量が必要とされるために系が強く発泡するという弊害が生ずる。また、特許文献1に記載されているような、疎水性不飽和単量体およびカルボキシル基含有不飽和単量体を重合させて得られる高分子の水溶性重合体を保護コロイドとして用いてなるエマルジョンは、特に硬水下におけるエマルジョンの安定性や塗工液の発泡性が良好であるが、サイズ性能が不十分である。
ところで紙や記録方式の多様化に伴い、エマルジョン型の製紙用表面サイズ剤には前記した各種安定性やサイズ効果等の性能以外の性能が要求されるようになっている。たとえば、近年急速に普及が進むインクジェット記録方式により普通紙(PPC用紙など)へ印刷をする場合には、前記サイズ効果等はもちろんのこと、高品質のカラー画像を得るために印字濃度の向上や、優れたフェザリング性およびブリーディング性といった性能が求められている。
特開平8−246391号公報
本発明の解決しようとする課題は、保護コロイドの適切な選択により、貯蔵安定性や、ゲートロールやサイズプレス等の剪断力下での塗工方式における安定性(機械的安定性)が良好であり、かつ系の発泡も少ないエマルジョンを有効成分としてなる、各種サイズ効果に優れる製紙用表面サイズ剤を提供することにある。また、これらの性能を具備しつつ、インクジェット印刷におけるフェザリングおよびブリーディング適性が良好である製紙用表面サイズ剤を提供することにある。
本出願人は前記課題を解決するべく、特に前記課題を達成し得る保護コロイドの選択に注力した結果、塩基酸変性ロジンエステルを必須とする保護コロイドの存在下に各種重合性単量体を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を用いることで、前記課題を解決し得る製紙用表面サイズ剤が得られることを見出した。
即ち、本発明は、(1)塩基酸変性ロジンエステルの存在下に、疎水性不飽和単量体およびカルボキシル基含有単量体からなるビニル系単量体を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有してなる製紙用表面サイズ剤;(2)塩基酸変性ロジンエステルと、アルキル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩又はアルケニル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩とからなる混合物の存在下に、疎水性不飽和単量体およびカルボキシル基含有単量体からなるビニル系単量体を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有してなる製紙用表面サイズ剤;(3)塩基酸変性ロジンエステルとアルケニルコハク酸変性澱粉からなる混合物の存在下に、疎水性不飽和単量体およびカルボキシル基含有単量体からなるビニル系単量体を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有してなる製紙用表面サイズ剤塩基酸;(4)前記(1)〜(3)に係る製紙用表面サイズ剤に、さらに疎水性不飽和単量体およびカルボキシル基含有不飽和単量体を重合させて得られる水溶性重合体を混合してなる製紙用表面サイズ剤、に関する。
本発明に係る製紙用表面サイズ剤を用いることにより、ドロップサイズ度、ステキヒトサイズ度等の各種サイズ効果に優れ、貯蔵安定性や剪断力下における機械的安定性が良好であり、かつ系の発泡が少ないエマルジョン型の製紙用表面サイズ剤が得られる。また、本発明に係る製紙用表面サイズ剤は、インクジェット印刷におけるフェザリングおよびブリーディング適性にも優れている。これらの性質を有する本発明に係る製紙用表面サイズ剤は、印刷用紙、書籍用紙、PPC用紙、新聞用紙等の各種の紙に適用できる。
まず、前記(1)の発明について説明する。この発明では、後述するビニル系単量体を乳化重合する際に、塩基酸変性ロジンエステルを保護コロイドとして用いる点に特徴がある。ここに、塩基酸変性ロジンエステルとは、分子内にカルボキシル基を一つ以上有しかつ分子内に炭素−炭素二重結合を有する不飽和塩基酸類と、ロジン類と、多価アルコール類との反応物である。当該不飽和塩基酸類としては、(メタ)アクリル酸((メタ)とはアクリルまたはメタクリルを意味する。以下、同様。)等の一塩基酸類や、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、ムコン酸等の多塩基酸類の1種以上を使用することができ、なかでも(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。当該ロジン類としては各種公知のものを使用でき、例えばガムロジンやウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン等の1種以上を使用することができる。また、当該多価アルコール類としては、格別の限定はされず、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン類、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタトリオール、ソルビトール等の1種以上を使用することができ、特に塗工時における安定性(機械的安定性)が良好であるという理由からペンタエリスリトールが好ましい。
当該塩基酸変性ロジンエステルは、前記ロジン類を前記不飽和塩基酸類と反応(主に、ロジン類に含まれるレボピマル酸と前記不飽和塩基酸類とのディールス・アルダー反応が主反応である)させて生じた生成物を前記多価アルコール類でエステル化する方法;前記不飽和塩基酸類と前記多価アルコール類を反応させて生じたポリエステル中の水酸基に前記ロジン類を反応させる方法;前記ロジン類、不飽和塩基酸類、多価アルコール類を同時に反応させる方法のいずれかの方法で製造することができる。こうして得られる塩基酸変性ロジンエステルは、通常酸価60〜400程度、軟化点100〜200℃程度の物性値を有するものである。特に、酸価が80〜260のものが塗工時における安定性(機械的安定性)が良好であるという理由から好ましい。なお、かかる酸価を有していても、単なるロジン類を保護コロイドとして用いた場合には、塗工時における良好な安定性は得られ難い。
本発明において当該塩基酸変性ロジンエステルを使用することで、エマルジョン粒子の機械的安定性を向上させることができるようになるため、特にサイズプレス時に粕等の発生が少なくなり、サイズ性にも優れるという効果が得られる。かかる効果を維持するためには、後述するエマルジョンの芯をなす基幹ポリマーを構成するビニル系単量体の全重量に対し、通常5〜50重量%程度、好ましくは5〜40重量%の当該ロジンエステルを用いる必要がある。使用量が5重量%未満の場合には安定なエマルジョンが得られない。なお、50重量%より多く使用すると系における基幹ポリマーの含有率が減少するので良好なサイズ効果が得られ難くなる傾向にある。
次に、前記(2)の発明について説明する。この本発明においては、前記塩基酸変性ロジンエステルとアルキル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩又はアルケニル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩とからなる混合物を保護コロイドとすることで、塩基酸変性ロジンエステル単独の場合と比較して、系の発泡をより効果的に抑えることができ、しかもサイズ効果を更に良好なものとすることが可能となる。炭素数8〜36のアルキル又はアルケニル無水コハク酸アルカリ塩としては、従来サイズ剤として公知のものを特に制限なく使用することができるが、具体的には炭素数8以上、好ましくは炭素数12〜36、特に好ましくは炭素数12〜20程度のアルキル基又はアルケニル基を有する置換コハク酸のアルカリ金属、アンモニア又は有機アミン類の塩が使用される。炭素数が8未満であると十分な消泡効果を得ることができない傾向にあり、36より大きいとエマルジョンの水溶化が困難になるという傾向にある。
当該混合物における両者の比率は、固形分濃度において、塩基酸変性ロジンエステルが99.9〜10重量%程度、アルキル(炭素数8〜36)又はアルケニル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩が0.1〜90重量%程度となるようにするのが好ましい。特に好ましくは、前者が90〜30重量%、後者が10〜70重量%である。かかる範囲を逸脱するとサイズ効果が低下したり、発泡の抑制が困難になる傾向にある
当該混合物からなる保護コロイドの使用量は、後述する基幹ポリマーのを構成するビニル系単量体の全重量に対して通常固形分濃度で5〜50重量%程度、好ましくは5〜40重量%とする必要がある。使用量が5重量%未満の場合には機械的安定性が良好なエマルジョンが得られ難い傾向にある。なお、50重量%より多く使用すると系における基幹ポリマーの含有率が減少するので良好なサイズ効果が得られ難くなる傾向にある。
次に、前記(3)の発明について説明する。この本発明においては、前記塩基酸変性ロジンエステルとアルケニルコハク酸変性澱粉とからなる混合物を保護コロイドとすることで、塩基酸変性ロジンエステル単独の場合と比較して、サイズ効果を更に良好なものとすることが可能となる。なお当該アルケニルコハク酸変性澱粉とは、各種公知の澱粉(デキストリン)を炭素数8〜36程度のアルケニルコハク酸で変性してなる疎水性を帯びたものであり、入手の容易性からオクテニルコハク酸変性澱粉が好ましい。具体的には、オクテニルコハク酸デキストリン(商品名「ナチュラルニスク DP」:日澱化学(株)製)やオクテニルコハク酸トウモロコシデンプン(商品名「オクティエ」:日澱化学(株)製)が市販品として入手容易である。かかるアルケニルコハク酸変性澱粉を用いずに通常のデキストリンタイプの澱粉を用いても、良好なサイズ効果は得られず、むしろサイズ度が低下する傾向にある。なお、当該アルケニルコハク酸変性澱粉が高分子量すぎると系の粘度が高くなりすぎる傾向にある。当該アルケニルコハク酸変性澱粉は不揮発分が15%、25℃の粘度が100mPa・s以下のものが好ましい。
当該混合物における両者の比率は、固形分濃度において、塩基酸変性ロジンエステルが99.9〜10重量%程度、アルケニルコハク変性澱粉が0.1〜90重量%程度となるように用いるのが好ましい。特に好ましくは前者が90〜30重量%、後者が10〜70重量%である。かかる範囲を逸脱するとサイズ効果が低下したり、良好な機械的安定性が得られ難くなる傾向にある。
当該混合物からなる保護コロイドの使用量は、後述する基幹ポリマーを構成するビニル系単量体の全重量に対し、固形分濃度において通常5〜50重量%程度、好ましくは5〜40重量%となるように用いる必要がある。使用量が5重量%未満の場合には機械的安定性が良好なエマルジョンが得られ難い傾向にある。なお、50重量%より多く使用すると系における基幹ポリマーの含有率が減少するので良好なサイズ効果が得られ難くなる傾向にある。
次に、前記した(1)〜(3)の発明に共通する、エマルジョンの芯をなす基幹ポリマーについて説明する。当該基幹ポリマーは、通常、各種公知の疎水性不飽和単量体、カルボキシル基含有単量体からなるビニル系単量体の重合体である。
該疎水性不飽和単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン類、アルキル基が炭素数6〜22の直鎖または分岐鎖であるα−オレフィン、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エステル置換基が2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基、ベンジル基、アリル基等の各種(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、炭素数1〜22のアルキルビニルエーテル等が挙げられる。これらの中でもスチレン類および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。また、当該(メタ)アクリル酸エステルの中では、アルキル基の炭素数が1〜18の、特に炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。なお、かかるアルキル基としては直鎖、分岐鎖または環状のものを例示でき、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、パルミチル基、ステアリル基等があげられる。以上例示した疎水性不飽和単量体は1種以上を併用することができる。
該カルボキシル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸半エステル、イタコン酸、イタコン酸半エステル、シトラコン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられ、これらのうち(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸半エステルから選ばれるいずれか少なくとも1種またはこれらのアルカリ金属、アンモニア、有機アミン塩が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリル酸および/またはその塩である。
前記基幹ポリマーにおける疎水性不飽和単量体、カルボキシル基含有単量体のそれぞれの使用量は、疎水性不飽和単量体80〜98重量%程度、好ましくは84〜96重量%、カルボキシル基含有単量体2〜20重量%程度、好ましくは4〜10重量%である。疎水性不飽和単量体の使用量が80重量%に満たない場合には良好なサイズ効果が得られ難くなる傾向があり、98重量%を超えるとエマルジョンの安定性が低下する傾向にある。また、カルボキシル基含有単量体の使用量が2重量%に満たない場合にはエマルジョンの貯蔵安定性が低下するという傾向にあり、20重量%を超えるとサイズ効果が低下し、かつエマルジョンを構成する粒子にアニオン性官能基が相対的に多く含有されることになるためエマルジョンの粘度が上昇して作業性が低下するという傾向にある。
なお、前記した各単量体に加え、必要に応じ、ビニルピロリドン等のノニオン性不飽和単量体や、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸含有アニオン性不飽和単量体またはそのアルカリ塩などを使用することができる。その使用量は得られる本発明にかかるエマルジョン型の製紙用表面サイズ剤のサイズ性能を低下させない範囲とされ、通常、前記基幹ポリマー総重量の10重量%以下とされる。
また、硬水系における希釈時の貯蔵安定性および機械的安定性を向上させる目的で、各種公知のアクリルアミド系単量体を用いることもできる。この際、その使用量は用いるビニル系単量体の全重量の10重量%未満である。該アクリルアミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ターシャリーブチル(メタ)アクリルアミド、N−ラウリル(メタ)アクリルアミド、及びN−シクロヘキシル置換アルキル(メタ)アクリルアミド等のN−置換モノアルキル(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジターシャリーブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジラウリル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジターシャリーオクチル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN−置換ジアルキル(メタ)アクリルアミド等のN−置換ジアルキル(メタ)アクリルアミド類(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等、が挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリルアミドが好ましい。
なお、前記基幹ポリマーは水に分散させるために、当該基幹ポリマー中に含まれるカルボキシル基の少なくとも50%以上、より好ましくは80〜100%が中和されている必要がある。かかる中和はカルボキシル基含有不飽和単量体の段階で行ない得るのはもちろんのこと、基幹ポリマーの製造後に行なうこともできる。中和塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩や、またアンモニウム塩及び/又は揮発性アミン塩が好ましい。
アンモニウム塩を形成するものとしては、アンモニアの他、炭酸アンモニウム塩等のアンモニウム塩を使用できる。また、揮発性アミンとしては炭素数1〜12程度の脂肪族、脂環族又は芳香族アミン塩、同様のアリールアミン塩、アルカノールアミン塩等をあげることができる。具体的には、たとえば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノブチルアミン等の脂肪族アミン、シクロヘキシルアミン等の脂環族アミン、アニリン等の芳香族アミン、アリールアミン、アルカノールアミン等の第1級及び第2級アミン等があげられる。これらの中和塩のなかでも、特にアンモニアによるアンモニウム塩が好ましい。
つぎに、前記(1)〜(3)の発明に共通する、本発明に係るエマルジョンの製造方法について説明する。該エマルジョンの製造は公知の手段に従えばよく、たとえば適当な加熱装置と攪拌機を備えた反応容器に前記保護コロイドを溶解した水溶液を仕込み、これに前記疎水性不飽和単量体及びカルボキシル基含有単量体、並びに公知のラジカル重合開始剤を加え、ついで当該容器に水、有機溶剤および各種公知の乳化剤を仕込み、攪拌下に加温して重合を開始する。そして重合体を中和する。なお、前記ビニル単量体の仕込み方法は、一括仕込み、分割滴下のいずれの方法でもよく、ラジカル重合開始剤とともに滴下する方法であってもよい。なお、重合温度は通常40〜150℃程度、反応時間は2〜12時間程度とされる。
重合開始剤の種類については特に制限はされず、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレイト等の、アゾ系化合物等の公知の物を適宜選択して使用することができる。その使用量はビニル系単量体100重量部に対して、通常0.01〜5重量部程度である。なお、ラジカル重合開始剤の場合は亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤を併用して反応系をレドックス系としてもよい。また重合に際して重合度を調節して所望の粘度とするためにドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、ブロムトリクロルメタン等のような連鎖移動剤を用いることもでき、その使用量は、前記各単量体の混合物100重量部(固形分)に対し、通常0.01〜5重量部程度である。
乳化重合の共溶媒としては、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等を単独で又は適宜組合わせて使用することができる。ただし、環境への負荷や作業上の衛生面を鑑み、これらの有機溶剤を減圧蒸留等により留去しなければならないことがある。
なお、乳化重合においては、本発明の目的を損なわない範囲において、各種公知のアニオン性もしくはノニオン性の界面活性剤や、反応性乳化剤を単独で又は混合して使用することもできる。該界面活性剤や反応性乳化剤の使用量は前記基幹ポリマーを構成する全単量体の総重量に対して10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。10重量%を越える場合は、得られたエマルションの泡立ち性が強くなり、塗布液とした時に泡によるトラブルを引き起こすことがある。ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等があげられる。アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩エステル、α―オレフィンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等があげられる。また、反応性乳化剤としては以下の一般式に示す、分子内に重合性官能基を有する界面活性剤等(特開2003−293288号公報を参照)を使用できる。なお、カチオン性の界面活性剤は、重合中に凝集物が発生するため、使用することはできない。
Figure 2005171418
(式中、R、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基;Xは炭素―炭素二重結合を含有する共重合性の官能基;(AO)のうち、Aは炭素数2〜4のアルキレン基もしくは置換アルキレン基;nは1〜100の整数;Bは水素、スルホン酸基、リン酸基、スルホコハク酸基およびこれらの塩ならびにスルホコハク酸基エステルから選ばれる少なくとも一つを示す。)
Figure 2005171418
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、または、少なくとも1つの炭素数1〜20の炭化水素基により置換された芳香環;Xは炭素―炭素二重結合を含有する共重合性の官能基;(AO)のうちAは炭素数2〜4のアルキレン基もしくは置換アルキレン基;nは1〜100の整数;Bは水素、スルホン酸基、リン酸基、スルホコハク酸基およびこれらの塩ならびにスルホコハク酸基エステルから選ばれる少なくとも一つ;lは0または1の整数を示す。)
こうして得られるエマルジョン組成物は黄白濁状の外観を呈し、濃度25重量%においてpH7.5〜8.5程度、粘度5〜30mPa・s(25℃)程度の物性、および60〜200nm程度の粒子径を有するものである。また、本発明に係る表面サイズ剤は、サイズ剤をなすエマルジョンの固形分濃度に換算して通常0.001〜2重量%程度、好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲において実用に供される。
本発明に係る製紙用表面サイズ剤には通常紙力増強剤として併用される酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、およびカチオン化澱粉などの澱粉類;カルボキシメチルセルロース等のセルロース類;ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類;およびアルギン酸ソーダ等の水溶性高分子;を添加使用できる。また、必要に応じて他の各種公知のサイズ剤、エマルジョン型サイズ剤、ネッパリ防止剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、pH調製剤、消泡剤、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤、顔料、染料等を添加することができる。
ここで、前記(4)の発明について説明する。この発明は、前記(1)〜(3)の発明に係る製紙用表面サイズ剤に、添加剤として、疎水性不飽和単量体およびカルボキシル基含有不飽和単量体を重合させて得られる水溶性重合体(以下、ポリマー(A)という)を配合したものであり、こうすることによって、カラーインクジェット適性における良好なフェザリングおよびブリーディング適性を用紙に付与しうる製紙用表面サイズ剤が得られる。当該ポリマー(A)を構成する疎水性不飽和単量体とカルボキシル基含有不飽和単量体としては、前記した基幹ポリマーを構成するものと同様のものを用いることができるが、その組み合わせとしてはスチレン−マレイン酸、スチレン−(メタ)アクリル酸等が好ましい。当該ポリマー(A)はこれら単量体を水および/または公知の溶剤を溶媒として各種公知の重合方法に従い重合してなる高分子化合物の水溶液(溶液)であり、該疎水性不飽和単量体は20〜80重量%、該カルボキシル基含有不飽和単量体は80〜20重量%の範囲で用いられる。かかる範囲を逸脱すると、良好なインクジェット適性が得られ難い。得られたポリマー(A)は、通常酸価が150〜600程度、分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値)が1000〜1000000程度、好ましくは2000〜100000、固形分が10〜30重量%程度、また当該固形分濃度範囲における粘度が10〜10000mPa・s(25℃)程度、pHが8.0〜9.5程度、通常酸価が150〜600程度の物性を有するものである。本発明において、当該ポリマー(A)は、本発明に係る製紙用表面サイズ剤100重量部(固形分)に対して、通常300重量部(固形分)未満、好ましくは20〜250重量部(固形分)となるように混合使用される。混合の手段は特に制限されない。当該水溶性重合体の添加量が300重量部を超えると良好なサイズ効果およびインクジェット適性が得られ難くなる傾向にある。
本発明の製紙用表面サイズ剤の適用される原紙は特に制限はされず各種の紙及び板紙に適用できる。紙の種類としては、フォーム用紙、PPC用紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙等の記録用紙及びその原紙、アート紙、キャストコート紙、上質コート紙等のコート紙用の原紙、クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙、その他、ノート用紙、書籍用紙、印刷用紙、新聞用紙等の各種紙(洋紙);マニラボール、白ボール、チップボール等の紙器用板紙及びライナー等の板紙があげられる。
また、本発明の製紙用表面サイズ剤は、パルプ、填料、内添サイズ剤、内添紙力増強剤、歩留まり向上剤等の原料及び内添薬品による影響、及び抄紙pH、抄紙温度、抄紙マシンの形式等抄紙条件の影響はほとんど受けない。なお、本発明の製紙用表面サイズ剤は酸化デンプン、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロ−ス、アクリルアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール等と併用することもできる。さらに、本発明の製紙用表面サイズ剤は上記各種の紙に対して従来公知の塗布方法、例えば含浸法、サイズプレス法、ゲートロール法、バーコーター法、カレンダー法、スプレー法により塗布される。その塗布量は通常、0.001〜2g/m2 (固形分)、好ましくは0.005〜0.5g/m2 である。
以下、参考例および比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお各例中、部および%は特記しない限りすべて重量基準である。
合成例1(ポリマー(A)の合成)
撹拌器、還流冷却管、窒素導入管付きの反応器に窒素を導入しながら軟水100部およびイソプロピルアルコール75部を仕込み、撹拌しながら系を加熱して80℃まで昇温した。次いで系にスチレン45部、アクリル酸55部を混合したビニル系単量体混合液と、過硫酸カリウム5部を水120部に溶解した重合開始剤水溶液を約3時間かけて系内に滴下し、その後系を2時間保温して反応を完結させた。その後、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後28%アンモニア水溶液46.4部(アクリル酸に対して100モル%)を加え水で希釈し共重合体の濃度が20%になるように調製し、25℃の粘度が1100mPa・sである共重合体水溶液を得た。
製造例1
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素導入管をつけた四つ口フラスコ(反応容器)に、水290部、および保護コロイドとして酸価110の多塩基酸変性ロジンエステル(商品名「マルキード3002」:荒川化学工業(株)製)に28%アンモニア水を等量添加して溶解してなる不揮発分20%、pH9.0の水溶液を25部(ビニル系単量体全量に対して5重量%)、スチレン8部、ブチルメタクリレート84部、メタクリル酸6部、アクリルアミド2部、N−ドデシルメルカプタン0.5部、48%苛性ソーダ5.8(メタクリル酸に対して100モル%中和)および、アニオン性界面活性剤(ネオハイテノールS−70:第一工業製薬(株)製)4部からなる混合物を仕込んだ。反応系内の酸素を窒素で充分に置換し、次いで、前記混合物を70℃まで昇温した後、反応容器にラジカル重合開始剤(過硫酸アンモニウム2.5部を水8gに溶解した水溶液)を投入した。次いで、20分間乳化重合させた後、80℃まで昇温し、80〜85℃の温度範囲で2時間重合反応を進行させた。こうして、pH7.9、固形分濃度25.4%、粘度8mPa・s/25℃のエマルジョン組成物を得た。
製造例2〜19
保護コロイドを表1に示すものに変えた以外は製造例1と同様の原料を用い、同一の方法に従い、エマルジョン組成物を得た。結果を表1に示す
Figure 2005171418
表中の各種保護コロイドの欄における数値は、基幹ポリマーを構成するビニル系単量体100重量部に対する重量部(固形分)を意味する。
表中、
RoE:塩基酸変性ロジンエステル
18−36ASA:炭素数8〜36のアルキル又はアルケニル無水コハク酸アルカリ塩
ASA澱粉:アルケニルコハク酸変性澱粉
pH:エマルジョン組成物のpH
NV:エマルジョン組成物の固形分濃度(%)
Vis:エマルジョン組成物の25℃におけるB型粘度計による粘度測定値(mPa・s)
表中、
マルキード3002(商品名:荒川化学工業(株)製):酸価90〜110の多塩基酸変性ロジンエステル(マレイン酸変性ロジンペンタエリスリトールエステル)
ハイパラテックPR(商品名:日本シェラック工業(株)製):酸価110〜130の多塩基酸変性ロジンエステル
マルキードNo32(商品名:荒川化学工業(株)製):酸価140以下の多塩基酸変性ロジンエステル
ロジン:酸価170の中国産ガムロジン
ODSA−Na:オクタデシル無水コハク酸のナトリウム塩
ナチュラルニクスDP(商品名:日澱化学(株)製):オクテニルコハク酸デキストリン
オクティエ(商品名:日澱化学(株)製):オクテニルコハク酸トウモロコシ澱粉
ポバール117(商品名:(株)クラレ製):鹸化度98.5モル%のポリビニルアルコール
ネオハイテノールS−70(商品名:第一工業製薬(株)製):低分子量乳化剤
<製紙用表面サイズ液の調製>
10%で糊化を行った酸化澱粉(商品名「王子エースA」:王子コーンスターチ(株)製)に、水と、製造例1〜14で得られたエマルジョン組成物の水溶液を夫々、酸化澱粉濃度が約4.0重量%、エマルジョンの固形分濃度が約0.1重量%となるように配合し、製紙用表面サイズ液1〜14を調製した。また、これとは別に、エマルジョン組成物C、エマルジョン組成物G、エマルジョン組成物Kの夫々に前記合成例1で得られたポリマー(A)を各エマルジョン組成物の固形分に対して100重量%の固形分濃度となるように混合し、製紙用表面サイズ液15、16、17を調製した。さらに表面サイズ剤1〜14と同様の方法に従い製造例15〜18で得られたエマルジョン組成物を用いて、製紙用表面サイズ液18〜21を調製した。また、当該ポリマー(A)のみを同様の方法で調製したものをサイズ剤22とした。
<試験用紙の作成>
中性上質用紙(秤量70g/m、ステキヒトサイズ度0秒)を原紙に用い、ラボサイズプレス塗工機(試験用サイズプレス、熊谷理機工業(株))を用い、前記製紙用サイズ剤1〜21をそれぞれ塗工した。次いで、各塗工紙を回転式ドラムドライヤーにて105℃において1分間乾燥を行い、目的とする試験用紙を得た。
実施例、比較例
<サイズ度の測定>
(ステキヒトサイズ度の測定)
前記方法で得られた各試験用紙を用い、JIS P 8122に準拠してステキヒトサイズ度(秒)を測定した。数値が高いほどサイズに優れる。結果を表2に示す。
<カラーインクジェット適性の評価>
(印字濃度の評価)
インクジェット適性の評価は前記サイズ処理をした各印刷用紙に、キャノン(株)製インクジェットプリンターBJC−420Jを用いてモノクロ・カラーでベタ印刷した。次いで、反射濃度計(商品名「グレタグD186」、グレタグマクベス株)製)を用いて得られた印刷部位のブラック印刷部の濃度測定を行った。数値が大きいほど印字濃度が高いことを示す。結果を表2に示す。
(フェザリングの評価)
前記サイズ処理をした塗工紙に、キャノン(株)製インクジェットプリンターBJC−420Jを用いてモノクロ・カラーで直交する線幅一定の直線及び文字を印字し、目視にてブラック印刷部の直線及び文字の外縁のにじみを目視評価することで行った。フェザリングの全くないものを6とし、インクがにじんでしまって文字の判別がつかないものを0とした。結果を表2に示す。
(ブリーディングの評価)
前記サイズ処理をした塗工紙に、キャノン(株)製インクジェットプリンターBJC−420Jを用いてイエローとブラックが隣り合うように印字を行いイエロー印字部へのブラックインクのにじみを目視評価することで行った。フェザリングの全くないものを6とし、インクがにじんでしまって文字の判別がつかないものを0とした。結果を表2に示す。
(硬水を用いた際のサイズプレス安定性の測定)
前記製造例で得られたエマルジョンA〜Rを、硬度0°dHの水を用いて、酸化澱粉濃度が4.0重量%、エマルジョンの固形分濃度が0.15重量%となるよう希釈してなるサイズ液を、2本ロールのラボサイズプレスを用いて一時間循環し、凝集物の発生および2本のロールの汚れを以下の規準にて目視評価した。また、硬度20°dHを用いて同様の試験を行った。結果を表3に示す
◎:機械的安定性に極めて優れる(凝集物は確認できず、ロールの汚れもない)
○:機械的安定性に優れる(凝集物は確認できないが、ロールが微妙に汚れる)
△:機械的安定性がやや劣る(少量の凝集物の発生、ロールが汚れる)
×:機械的安定性が劣る(多量の凝集物の汚れ、著しくロールが汚れる)
(発泡性の試験)
前記エマルジョンA〜Rを水で希釈し、酸化澱粉濃度が4.0重量%、エマルジョンの固形分濃度が0.1重量%のサイズ液とし、これらを50℃に加温し、家庭用ミキサーで2分間処理した直後に、液面の高さを測定した。泡の高さ(mm)の値が大きいほど、発泡し易く、低起泡性に劣ることを示す。結果を表3に示す。
Figure 2005171418

Claims (20)

  1. 塩基酸変性ロジンエステルの存在下に、疎水性不飽和単量体およびカルボキシル基含有単量体からなるビニル系単量体を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有してなる製紙用表面サイズ剤。
  2. 塩基酸変性ロジンエステルの使用量が、前記ビニル系単量体の全重量に対して5〜50重量%(固形分)であることを特徴とする、請求項1に記載の製紙用表面サイズ剤。
  3. 塩基酸変性ロジンエステルと、アルキル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩又はアルケニル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩とからなる混合物の存在下に、疎水性不飽和単量体およびカルボキシル基含有単量体からなるビニル系単量体を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有してなる製紙用表面サイズ剤。
  4. 当該混合物が塩基酸変性ロジンエステル99.9〜10重量%(固形分)と当該アルキル又はアルケニル無水コハク酸アルカリ塩0.1〜90重量%(固形分)からなるものである、請求項3に記載の製紙用表面サイズ剤。
  5. 当該混合物の使用量が、前記ビニル系単量体の全重量に対して5〜50重量%(固形分)である、請求項3または4に記載の製紙用表面サイズ剤。
  6. 塩基酸変性ロジンエステルとアルケニルコハク酸変性澱粉からなる混合物の存在下に、疎水性不飽和単量体およびカルボキシル基含有単量体からなるビニル系単量体を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有してなる製紙用表面サイズ剤。
  7. 当該混合物が塩基酸変性ロジンエステル99.9〜10重量%(固形分)とアルケニルコハク酸変性澱粉0.1〜90重量%(固形分)からなるものである請求項6に記載の製紙用表面サイズ剤。
  8. 当該混合物の使用量が、前記ビニル系単量体の全量に対して5〜50重量%(固形分)である請求項6または7に記載の製紙用表面サイズ剤。
  9. 前記アルケニルコハク酸変性澱粉がオクテニルコハク酸変性澱粉である請求項6〜8のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  10. 前記オクテニルコハク酸変性澱粉がオクテニルコハク酸デキストリンおよび/またはオクテニルコハク酸トウモロコシ澱粉である請求項9に記載の製紙用表面サイズ剤。
  11. 前記塩基酸変性ロジンエステルの酸価が60〜400である請求項1〜8のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  12. 前記塩基酸変性ロジンエステルの塩基酸成分が(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびフマル酸から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、そのアルコール成分がペンタエリスリトールである請求項1〜8のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  13. 前記ビニル系単量体が疎水性不飽和単量体80〜98重量%とアニオン性単量体2〜20重量%からなるものである、請求項1〜8のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  14. 前記ビニル系単量体が更にアクリルアミド系単量体を含有するものである請求項1、3、6に記載の製紙用表面サイズ剤。
  15. 前記疎水性不飽和単量体がスチレン類および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルである請求項1、3、6のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  16. 前記カルボキシル基含有単量体が(メタ)アクリル酸である請求項1、3、6のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  17. 前記アクリルアミド系単量体が(メタ)アクリルアミドである請求項14に記載の製紙用表面サイズ剤。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤に、さらに疎水性不飽和単量体およびカルボキシル基含有不飽和単量体を重合させて得られる水溶性重合体を混合してなる製紙用表面サイズ剤。
  19. 請求項1〜16のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤100重量部(固形分)に対し、300重量部未満(固形分)の前記水溶性共重合体を混合してなる請求項17に記載の製紙用表面サイズ剤。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤を表面に塗工してなる紙。
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