JP4725204B2 - 製紙用表面サイズ剤および印刷用紙 - Google Patents

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Description

本発明はエマルジョン型の製紙用表面サイズ剤及び印刷用紙に関する。
エマルジョン型の製紙用表面サイズ剤は、溶液型のものと比較してハンドリング性に優れ、発泡が少なく、また固形分を高く設定できるため少ない量でサイズ効果が得られるなどの利点を有する。しかし、エマルジョン型の製紙用表面サイズ剤は、サイズプレス塗工やゲートロール塗工方式等の高速表面塗工方式に供した際にサイズ剤希釈液がはねて作業空間を汚染し、操業性を低下させるスプラッシュという問題がある。また、塗工の際にエマルジョン粒子が破壊されて粕が生じたり、塗工時にサイズ剤希釈液が強く発泡して操業性が低下するという問題もある。特にかかる粕の問題は、用紙内部から炭酸カルシウム等の填料が塗工液(サイズ剤希釈液)中へ溶出して当該希釈液の硬度が上昇した場合に大きくなる。
これらの問題については、従来エマルジョンの界面活性剤や保護コロイドの観点から対応がなされてきた。しかし、本出願人の知る限りにおいては、紙のサイズ効果という本来の目的を損なうことなく(例えば、サイズ効果の経時的な低下や変動等を伴うことなく)前記発泡、機械的安定性、特にスプラッシュの問題を解消し得た例はまだない。例えば界面活性剤を用いる場合には、通常は低分子量のものを用いることから使用量が多くなり、前記発泡の問題が大きくなる。また、保護コロイドとして一般的なポリビニルアルコールを用いる場合には、かかる機械的安定性は向上するものの用紙表面が親水性を帯びることになり、サイズ効果が損なわれる。また、保護コロイドとして特許文献1で示されるようなアニオン性合成高分子を用いる場合には、塗工時の発泡をある程度抑制することはできるが本来的にサイズ効果が十分ではない。
特開平8−246391号公報
本発明の解決しようとする課題は、サイズ効果の付与という本来の目的を損なうことなく、前記発泡、機械的安定性、特にスプラッシュの問題を好適に解消し得る、エマルジョン型の製紙用表面サイズ剤を提供することにある。ならびに、本発明の更なる課題は、当該製紙用表面サイズ剤を紙表面に塗工してなる、各種サイズ効果(ドロップサイズ度、ステキヒトサイズ度等)等に優れる印刷用紙を提供することにある。
本出願人は鋭意検討を重ねた結果、特定のアニオン性高分子重合体と、特定使用量の特定のロジンエステル、コハク酸類、澱粉から選ばれる少なくとも1種とが存在する水溶液中で特定のビニル系単量体を乳化重合して得られるエマルジョンを、製紙用表面サイズ剤として用いることにより、前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、不飽和塩基酸単量体および不飽和疎水性単量体を含有する単量体(a)(以下、重合体用単量体(a)と略すことがある)を重合させて得られる水溶性重合体(A)(以下、水溶性重合体(A)と略すことがある)と、不飽和塩基酸変性ロジンエステル(B)(以下、ロジンエステル(B)と略すことがある)、アルキル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩および/またはアルケニル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩(C)(以下、コハク酸類(C))、ならびにアルケニルコハク酸変性澱粉(D)(以下、澱粉(D)と略すことがある)からなる群より選ばれる少なくとも1種(但し、以下の使用量に限る)とを含む水溶液中で、不飽和塩基酸単量体および不飽和疎水性単量体を含有する単量体(b)(以下、乳化重合用単量体(b)と略すことがある)を乳化重合して得られるエマルジョン、を含有してなる製紙用表面サイズ剤。(B)成分:単量体成分(b)の総重量に対して5〜50重量%(固形分換算)、(C)成分:単量体成分(b)の総重量に対して1〜10重量%(固形分換算)、(D)成分:単量体成分(b)の総重量に対して1〜10重量%(固形分換算);該製紙用表面サイズ剤を紙に塗工してなる印刷用紙、に関する。
本発明のサイズ剤を構成するエマルジョンは、サイズプレス塗工やゲートロール塗工方式等の高速表面塗工方式における発泡が少なく、また機械的安定性(特に前記硬水条件下での機械的安定性)に優れることから粕を殆ど発生せず、また前記スプラッシュも発生しないので操業性が損なわれない。また、本発明のサイズ剤は、紙に経時的に安定でかつ優れたサイズ効果(ドロップサイズ度、ステキヒトサイズ度等)を付与することができる。また、本発明のサイズ剤は、パルプ、填料、内添サイズ剤、内添紙力増強剤、歩留まり向上剤等の原料および内添薬品による影響、および抄紙pH、抄紙温度、抄紙マシンの形式等抄紙条件の影響はほとんど受けない。また、当該サイズ剤は、印刷用紙、書籍用紙、PPC用紙、新聞用紙等の各種の紙に適用することができ、特に優れた印字濃度や低フェザリング、低ブリーディングといったインクジェット適性を紙に付与することができるため、インクジェット印刷用の紙に適する。
水溶性重合体(A)は、本発明において高分子乳化剤として用いられるものであり、これにより特に前記スプラッシュの問題を好適に解消できるようになる。
重合体用単量体(a)のうち不飽和塩基酸単量体としては、各種公知のものを特に限定なく使用することができる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸等の不飽和一塩基酸単量体;クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル、マレイン酸、マレイン酸半エステル、無水マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸等の不飽和多塩基酸単量体;ならびにこれらのアルカリ金属塩、アンモニア塩、有機アミン塩等の塩からなる1種を単独で、あるいは複数種を適宜組み合わせて使用することができる。なお、当該半エステルとは、多価カルボン酸と炭素数1〜18程度のアルキル基を有するアルコールとをエステル結合させてなるものをいう。また、該アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、パルミチル基、ステアリル基等を例示できる。該不飽和塩基酸単量体としては、サイズ剤の塗工液の粘度を上げやすく、そのためスプラッシュの問題を好適に解消しやすくなることから(メタ)アクリル酸および/またはその中和塩が好ましい。
重合体用単量体(a)のうち不飽和疎水性単量体としては、各種公知のものを特に限定なく使用することができる。具体的には、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;ベンジル基やアリル基等の芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;炭素数6〜22の、分岐していてもよいα−オレフィン類;炭素数1〜22のアルキルビニルエーテル類等を単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。該不飽和疎水性単量体としては、サイズ効果の観点よりスチレン類および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルが特に好ましい。
なお、重合体用単量体(a)は、不飽和塩基酸単量体を20〜80重量%程度(好ましくは25〜75重量%程度、より好ましくは35〜65重量%)、不飽和疎水性単量体を80〜20重量%程度(好ましくは75〜25重量%程度、より好ましくは65〜35重量%)含有するものであるのが好ましい。該不飽和塩基酸単量体の含有量が20重量%に満たない場合には水溶性共重合体(A)が水溶化し難くなるため、後述する乳化重合の際に反応系内で凝集物が発生し易くなる傾向にある。また、その含有量が80重量%を越える場合には水溶性共重合体(A)の親水性が高くなりすぎ、得られるエマルジョン(製紙用表面サイズ剤)が高度のサイズ効果を発現し難くなる傾向にある。
なお、本発明では必要に応じ、重合体用単量体(a)として前記以外の不飽和単量体を含有させることができる。具体的には、例えばビニルピロリドン等のノニオン性不飽和単量体、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸含有アニオン性不飽和単量体またはそのアルカリ塩等や、後述する各種公知のアクリルアミド系単量体を単独で、あるいは適宜組み合わせて含有させることができる。当該その他の不飽和単量体の使用量は、本発明が目的とするサイズ効果を維持できる限り格別限定はされないが、通常は重合体用単量体(a)の総重量に対して0〜10重量%程度である。
水溶性重合体(A)の製造方法は特に限定されず、各種公知の重合手段を利用すればよい。具体的には、例えば反応容器に前記単量体を所定量仕込み、次いで溶媒として水(例えば軟水など)および/または各種有機溶剤、公知の重合開始剤や必要に応じて連鎖移動剤を仕込んだ後、反応系を攪拌下で20〜140℃程度に昇温し、次いで同温度で2〜12時間程度かけて重合反応を行い、必要に応じて中和剤を用いて中和処理を行うことにより製造することができる。なお、反応系は窒素雰囲気とするのが好ましい。
前記有機溶剤としては、各種公知のものを特に限定なく使用することができる。具体的には、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類;酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等を単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。なお、環境負荷や作業衛生を考慮すれば、これらの有機溶剤は最終的には反応系から減圧蒸留等の各種公知の手段によりできるだけ留去しておくのが好ましい。
前記重合開始剤としては、各種公知のものを特に限定なく使用することができる。具体的には、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物;ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレイト等のアゾ系化合物等を単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。なお、重合開始剤が無機・有機過酸化物の場合には、各種公知の還元剤、例えば亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等を併用し、反応系をレドックス系としてもよい。なお該重合開始剤の使用量は、単量体(a)の総重量に対して通常0.01〜5重量%程度である。
前記連鎖移動剤は、水溶性重合体(A)を所望の分子量や粘度に調整する目的において、各種公知のものを特に限定なく使用することができる。具体的には、例えばn−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、ターシャリードデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン系連鎖移動剤、ならびに2−メルカプトベンゾチアゾール、ブロムトリクロルメタン、アルファ−メチルスチレンダイマ−等を単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。なお該連鎖移動剤の使用量は、単量体(a)の総重量に対して通常0〜5重量%程度である。
前記中和剤としては、各種公知のものを特に限定なく使用することができる。具体的には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属;アンモニア、炭酸アンモニウム等のアンモニア類:モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノブチルアミン等の炭素数1〜12程度の脂肪族アミン類;シクロヘキシルアミン等の脂環族アミン類;アニリン等の芳香族アミン類を単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。これらの中和剤のなかでも利便性の観点からアルカリ金属やアンモニア類が特に好ましい。なお、水溶性重合体(A)のカルボキシル基は、水溶性を考慮して少なくとも50%以上、より好ましくは80〜100%中和されているのが好ましい。中和方法は特に限定されず、前記のように水溶性重合体(A)を製造した後に中和処理をしてもよいし、不飽和塩基酸単量体を直接中和処理したものを用いて水溶性重合体(A)を製造することによってもよい。
こうして得られる水溶性重合体(A)は、重量平均分子量が通常1,000〜1,000,000程度、好ましくは5,000〜100,000であるのがサイズ効果や操業性の観点より好ましい。重量平均分子量が1,000未満であるとサイズ効果が十分でなくなる傾向にあり、一方100,000を超えると後述する乳化重合の際に系中で凝集物が発生する傾向にある。また、水溶性重合体(A)は通常、固形分濃度20重量%において10〜5,000mPa・s(25℃)程度の粘度を有し、7.5〜10.5程度のpHを有する。
本発明の製紙用表面サイズ剤は、前記のように、水溶性重合体(A)と、ロジンエステル(B)、コハク酸類(C)および澱粉(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含む水溶液中で、乳化重合用単量体(b)を乳化重合して得られるエマルジョンを、含有するものである。本発明では、ロジンエステル(B)、コハク酸類(C)、澱粉(D)はいずれも乳化重合時の保護コロイドとして用いられる。
水溶性重合体(A)の使用量は、乳化重合用単量体(b)の総重量に対して、固形分換算で通常2〜50重量%程度、好ましくは5〜25重量%の範囲とするのが好ましい。使用量が2重量%未満の場合には、得られる製紙用表面サイズ剤が前記スプラッシュの問題を解消し難くなる傾向にあり、また使用量が50重量%より多い場合にはサイズ効果が十分でなくなる傾向にある。
ロジンエステル(B)は、前記重合体用単量体(a)と同一の不飽和塩基酸単量体と、ロジン類および多価アルコール類とを構成成分とする反応生成物であり、本発明では各種公知のものを特に限定なく使用することができる。
当該ロジン類としては、各種公知のものを特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば各種樹脂酸(アビエチン酸、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、デヒドロアビエチン酸等)を主たる構成成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の各種公知の天然ロジンや、該天然ロジン類の各種誘導体(精製物、不均化物、水添物、ホルミル化物、重合物(重合ロジン類))などを単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。
当該不飽和塩基酸単量体としては前記ロジン類との反応性の観点より、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸およびこれらの中和塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、当該多価アルコールとしては、各種公知のものを特に制限なく使用することができる。具体的には、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ジヒドロキシプロパン、1,3−ジヒドロキシプロパン、1,2−ジヒドロキシブタン、1,3−ジヒドロキシブタン、2,3−ジヒドロキシブタン、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオール、オクテングリコール、ポリエチレングリコール等の2価アルコール;グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、グリセリン等の3価アルコール;ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の4価アルコール;ペンタトリオール、ソルビトール等の5価以上のアルコールを単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。該多価アルコールとしては、前記エマルジョンの機械的安定性の観点からペンタエリスリトールが好ましい。
ロジンエステル(B)の製造方法は特に制限されず、各種公知の手段に従えばよい。具体的には、例えば(ア)前記不飽和塩基酸単量体を前記ロジン類にディールス・アルダー付加反応させてなる生成物を、更に前記多価アルコールでエステル化する方法;(イ)前記不飽和塩基酸単量体と前記多価アルコール類を反応させてなるポリエステルが有する水酸基に前記ロジン類を反応させる方法;(ウ)前記不飽和塩基酸単量体、ロジン類、多価アルコール類を同時に反応させる方法等により得ることができる。
ロジンエステル(B)は、得られるエマルジョンの機械的安定性を考慮して決定され、通常は酸価が60〜400mgKOH/g程度、特に80〜260mgKOH/gに調整されるのが好ましく、またその軟化点は通常100〜200℃程度、特に110〜185℃であるのが好ましい。ロジンエステル(B)の使用量は、乳化重合用単量体(b)の総重量に対して、固形分換算で5〜50重量%の範囲とすることが必要であり、好ましくは10〜30重量%の範囲とするのが好ましい。使用量が5重量%未満の場合には、得られるエマルジョンの機械的安定性が十分でなくなる傾向にあり、また使用量が50重量%より多い場合には成紙のサイズ効果が十分ではなくなる傾向にある。
コハク酸類(C)としては、各種公知のものを特に限定なく使用することができる。具体的には、例えば炭素数8〜36程度、好ましくは炭素数12〜30程度、特に好ましくは炭素数12〜20程度のアルキル基またはアルケニル基および/または同炭素数のアルケニル基を有する置換コハク酸の塩(アルカリ金属、アンモニア、有機アミン類からなる塩の少なくとも1種が好ましい)を挙げることができる。かかるアルケニル基および/またはアルケニル基は、直鎖、分枝鎖のいずれでもよく、具体的には、例えばオクチル基、ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、オクテニル基、7−ヘキサデセニル基、9−オクタデセニル基、パルミチル基、ステアリル基等を例示できる。なお、炭素数が8未満であると前記塗工時の発泡の抑制効果が十分でなくなる傾向にあり、また36より大きいと、得られるエマルジョンの水分散性や機械安定性が低下する傾向にある。コハク酸類(C)としては、入手容易性の観点よりオクタデシル無水コハク酸中和塩(特にナトリウム塩)が好ましい。
コハク酸類(C)の使用量は、乳化重合用単量体(b)の総重量に対して、固形分換算で1〜10重量%の範囲とすることが必要であり、好ましくは2〜8重量%の範囲とするのが好ましい。該使用量が1重量%未満であったり、10重量%を超えると、得られる製紙用表面サイズ剤の塗工時の発泡抑制効果や成紙のサイズ効果が十分でなくなる傾向にある。
澱粉(D)は、各種公知の澱粉(デキストリン)を、前記した炭素数8〜36程度、好ましくは12〜30程度、特に好ましくは12〜20のアルケニル基を含有するアルケニル(無水)コハク酸で変性してなる疎水性を帯びた物質である。澱粉(D)としては、固形分濃度15%における粘度が100mPa・s(25℃)程度のものが、取り扱いやすいため好ましい。澱粉(D)の市販品として、例えば、オクテニルコハク酸デキストリン(商品名「ナチュラルニスク DP」:日澱化学(株)製)やオクテニルコハク酸トウモロコシ澱粉(商品名「オクティエ」:日澱化学(株)製)等を入手できる。なお、澱粉(D)の代わりに通常のデキストリンタイプの澱粉を用いても、十分なサイズ効果を発現しうる製紙用表面サイズ剤が得られない。
澱粉(D)の使用量は、乳化重合用単量体(b)の総重量に対して、固形分換算で1〜10重量%程度の範囲とすることが必要であり、好ましくは2〜8重量%の範囲とするのが好ましい。該使用量が1重量%未満であったり、10重量%を超えると、得られる製紙用表面サイズ剤を塗工する際の発泡が強くなる傾向にあり、また印刷用紙のサイズ効果が十分ではなくなる傾向にある。
乳化重合用単量体(b)は前記重合体用単量体(a)と同様のものであるが、サイズ効果の観点より不飽和塩基酸単量体としては(メタ)アクリル酸および/またはその中和塩が好ましく、また不飽和疎水性単量体としてはスチレン類および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。また、同様の理由から、乳化重合用単量体(b)は不飽和塩基酸単量体を2〜20重量%程度(好ましくは4〜10重量%)、不飽和疎水性単量体を98〜80重量%程度(好ましくは96〜84重量%)含有するものであるのが好ましい。不飽和塩基酸単量体の使用量が2重量%に満たない場合には、得られるエマルジョンの機械的安定性が低下する傾向にあり、またその使用量が20重量%を超えると印刷用紙のサイズ効果が十分ではなくなる傾向にある。
また、乳化重合用単量体(b)には前記以外の不飽和単量体を含有させることができる。特に、得られるエマルジョンの機械的安定性(特に該エマルジョンを硬水で希釈した際の機械的安定性)を向上させるために、前記アクリルアミド系単量体を好ましく用いることができる。該アクリルアミド系単量体としては各種公知のものを特に限定なく使用でき、具体的には、例えば(メタ)クリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ターシャリーブチル(メタ)アクリルアミド、N−ラウリル(メタ)アクリルアミド、およびN−シクロヘキシル置換アルキル(メタ)アクリルアミド等のN−置換モノアルキル(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジターシャリーブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジラウリル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジターシャリーオクチル(メタ)アクリルアミド、およびN,N−ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN−置換ジアルキル(メタ)アクリルアミド等のN−置換ジアルキル(メタ)アクリルアミド類;ダイアセトンアクリルアミド等を単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。これらのなかでも入手容易性の観点より、(メタ)アクリルアミドが好ましい。アクリルアミド系単量体の使用量は、水溶性重合体(A)の総重量に対し10重量%未満である。なお、前記ノニオン性不飽和単量体、スルホン酸含有アニオン性不飽和単量体またはそのアルカリ塩等を併用してもよく、これらは通常、乳化重合用単量体(b)の総重量に対して0〜10重量%程度を用いればよい。
本発明の製紙用表面サイズ剤に含有されるエマルジョンの製造方法は、特に限定されず、各種公知の乳化重合法に従えばよい。例えば、適当な加熱装置と攪拌機を備えた反応容器に、前記(B)〜(D)から選ばれる少なくとも1種と前記(A)とを所定量づつ仕込み、次いで前記乳化重合用単量体(b)を仕込み、更に水(軟水など)、有機溶剤、重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤、ならびに必要に応じて各種公知の乳化剤を仕込み、攪拌下に反応系を加温し、乳化重合させればよい。なお、前記(A)ならびに前記(B)〜(D)が当該乳化重合の際に反応系に存在している限り、各原料の仕込み順序は特に限定されない。例えば、当該乳化重合用単量体(b)を乳化重合している最中に、(A)〜(D)を同時、または別々に反応系に滴下してもよい。なお、当該有機溶剤、重合開始剤、連鎖移動剤は、前記(A)の製造において用いたと同様のものである。また、乳化重合用単量体(b)を乳化重合してなるエマルジョンの水分散性や機械的安定性を考慮して通常50%以上、好ましくは80〜100重量%が中和されているのが好ましい。かかる中和は、乳化重合用単量体(b)の不飽和塩基酸単量体の時点で行ってもよい。中和剤としては前記同様のものを用いることができるが、前記アルカリ金属やアンモニアが好ましい。また、乳化重合時の反応条件は特に制限されないが、通常反応温度は40〜150℃程度、反応時間は2〜12時間程度である。また、乳化重合時に有機溶剤を共溶媒として用いる場合には、減圧蒸留等によってある程度除去しておくのが好ましい。
当該製造法に用いる乳化剤としては、特に限定はされず、各種公知のものを使用できる。具体的には、例えば各種公知のアニオン性やノニオン性の界面活性剤が好ましく、当該イオン性を有する反応性乳化剤も使用することもできる。なお、カチオン性の界面活性剤のみを乳化剤として用いると乳化重合中に反応系で凝集物が発生する傾向にあるので、好ましくない。
該アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物等単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。なお、塩としては、前記アルカリ金属、アンモニウム、アルキルアミンによる塩が好ましい。
該ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等を例示できる。アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩エステル、α−オレフィンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等を例示できる。
該反応性乳化剤としては、分子内に重合性官能基を有する界面活性剤等(例えば、特開2003−293288号公報を参照)を特に好ましく使用できる。
上記各種乳化剤の使用量は、乳化重合用単量体(b)の総重量に対して通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下とするのが好ましい。10重量%を超えると、得られる製紙用表面サイズ剤を紙に塗工する際の発泡が強くなる傾向にある。
ロジンエステル(B)と水溶性重合体(A)とを含む水溶液中で、乳化重合用単量体(b)を乳化重合してなる製紙用表面サイズ剤は、特に機械的安定性に優れ、また成紙に優れたサイズ効果を付与することもできる。コハク酸類(C)と水溶性重合体(A)を含む水溶液中で乳化重合用単量体(b)を乳化重合してなる製紙用表面サイズ剤は、特に塗工時の発泡を好適に抑制できる。また、澱粉(D)と水溶性重合体(A)とを含む水溶液中で乳化重合用単量体(b)を乳化重合してなる製紙用表面サイズ剤は、成紙に優れたサイズ効果を付与することができる。
こうして得られるエマルジョンは、通常、黄白濁状の外観を呈しており、固形分濃度25重量%においてpH7.5〜8.5程度、粘度5〜30mPa・s(25℃)程度の物性、および60〜200nm程度の平均一次粒子径を有する。
本発明のサイズ剤は当該エマルジョンを含有するものであり、実用に際しては、当該エマルジョンの固形分濃度が通常0.001〜2重量%程度、好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲となるように希釈された希釈液として用いられる。なお、本発明のサイズ剤には各種公知の添加剤を必要に応じて用いることができる。具体的には、例えば酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、およびカチオン化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子を紙力増強剤として用いることができる。また、各種公知のネッパリ防止剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、耐水化剤、造膜助剤、顔料、染料等を添加することができる。また、必要に応じて各種公知の他のサイズ剤、エマルジョン型サイズ剤を併用することもできる。また、本発明のサイズ剤には水溶性重合体(A)を更に添加剤として混合することもでき、そうすることにより前記インクジェット適性を更に向上することができる。この場合、水溶性重合体(A)のうちでも、スチレン−マレイン酸系共重合体、(メタ)アクリル酸−スチレン−マレイン酸系共重合体が好ましい。
本発明の印刷用紙は、前記サイズ剤を各種公知の紙の表面に塗工してなるものである。紙の種類は特に制限されず、各種公知のものを特に制限なく選択することができる。具体的には、例えばフォーム用紙、PPC用紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙等の記録用紙およびその原紙、アート紙、キャストコート紙、上質コート紙等のコート紙用の原紙、クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙、その他、ノート用紙、書籍用紙、印刷用紙、新聞用紙等の各種紙(洋紙)、マニラボール、白ボール、チップボール等の紙器用板紙およびライナー等の板紙を使用することができる。また、塗工方法も特に制限されず、各種公知の方法を特に制限なく利用することができる。具体的には、例えば含浸法、サイズプレス法、ゲートロール法、バーコーター法、カレンダー法、スプレー法等を利用することができる。なお、サイズ剤の塗工量は特に制限されないが、通常は固形分重量換算で0.001〜2g/m2程度、好ましくは0.005〜0.5g/m2 である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお各例中、部および%は特記しない限りすべて重量基準である。
調製例1(水溶性重合体(A)の合成)
攪拌器、還流冷却管、窒素導入管付きの反応容器に、窒素気流下に軟水100部およびイソプロピルアルコール75部を仕込み、攪拌しながら系を加熱して80℃まで昇温した。次いで反応容器にアクリル酸55部とスチレン45部を混合した溶液と、過硫酸カリウム5部を水120部に溶解した重合開始剤水溶液をそれぞれ約3時間かけて系内に滴下した。その後系を2時間保温して反応を完結させた。次いでイソプロピルアルコールを留去し、冷却後28%アンモニア水溶液46.4部(アクリル酸に対して100モル%)を加え、更に水で希釈して固形分濃度が重量%になるように調整し、25℃の粘度が1100mPa・sである水溶性重合体(A)を得た。
調製例2(ロジンエステル(B)の調製)
調製例1と同様の反応容器に酸価110mgKOH/gの不飽和多塩基酸変性ロジンエステル(商品名「マルキード3002」:荒川化学工業(株)製)と28%アンモニア水(当量)加え、不揮発分20%、pH9.0の水溶液を得た。
製造例1
調製例1と同様の反応容器に、窒素気流下に前記水溶性重合体(A)50部、前記ロジンエステル(B)25部、水290部を仕込み、更にスチレン8部、ブチルメタクリレート84部、メタクリル酸6部、アクリルアミド2部、N−ドデシルメルカプタン0.5部、48%苛性ソーダ5.8(メタクリル酸に対して100モル%中和)、アニオン性界面活性剤(ネオハイテノールS−70:第一工業製薬(株)製)4部からなる混合物を仕込んだ。次いで反応系内の空気を窒素で十分に置換し、更に前記混合物を70℃まで昇温した後、反応容器にラジカル重合開始剤(過硫酸アンモニウム2.5部を水8gに溶解した水溶液)を投入した。次いで、20分間乳化重合させた後、80℃まで昇温し、80〜85℃の温度範囲で2時間重合反応を進行させた。こうして、pH8.4、固形分濃度25重量%、粘度15mPa・s/25℃のエマルジョンを得た。
製造例2
製造例1と同様の反応容器に、窒素気流下にアニオン性界面活性剤(ネオハイテノールS−70:第一工業製薬(株)製)4部、水290部、スチレン8部、ブチルメタクリレート84部、メタクリル酸6部、アクリルアミド2部、N−ドデシルメルカプタン0.5部、48%苛性ソーダ5.8(メタクリル酸に対して100モル%中和)を仕込んだ後、前記水溶性重合体(A)50部、コハク酸類(C)として固形分濃度が40重量%のオクタデシル無水コハク酸のナトリウム塩12.5部を仕込んだ。反応系内の酸素を窒素で十分に置換し、次いで、前記混合物を70℃まで昇温した後、反応容器にラジカル重合開始剤(過硫酸アンモニウム2.5部を水8gに溶解した水溶液)を投入した。次いで、20分間乳化重合させた後、80℃まで昇温し、80〜85℃の温度範囲で2時間重合反応を進行させた。こうして、pH8.6、固形分濃度25.5%、粘度18mPa・s/25℃のエマルジョンを得た。
製造例3
製造例1と同様の反応容器に、窒素気流下にアニオン性界面活性剤(ネオハイテノールS−70:第一工業製薬(株)製)4部、水290部、スチレン8部、ブチルメタクリレート84部、メタクリル酸6部、アクリルアミド2部、N−ドデシルメルカプタン0.5部、48%苛性ソーダ5.8(メタクリル酸に対して100モル%中和)を仕込んだ後、前記水溶性重合体(A)50部、澱粉(D)として固形分濃度が50重量%のオクテニルコハク酸デキストリン(製品名「ナチュラルニクスDP」、日澱化学(株)製)10.0部を仕込んだ。反応系内の酸素を窒素で十分に置換し、次いで、前記混合物を70℃まで昇温した後、反応容器にラジカル重合開始剤(過硫酸アンモニウム2.5部を水8gに溶解した水溶液)を投入した。次いで、20分間乳化重合させた後、80℃まで昇温し、80〜85℃の温度範囲で2時間重合反応を進行させた。こうして、pH8.2、固形分濃度25.7%、粘度13mPa・s/25℃のエマルジョンを得た。
比較製造例1
製造例1と同様の反応容器に、窒素気流下に前記前記ロジンエステル(B)25部、水290部、スチレン8部、ブチルメタクリレート84部、メタクリル酸6部、アクリルアミド2部、N−ドデシルメルカプタン0.5部、48%苛性ソーダ5.8(メタクリル酸に対して100モル%中和)、アニオン性界面活性剤(ネオハイテノールS−70:第一工業製薬(株)製)4部からなる混合物を仕込んだ。次いで反応系内の空気を窒素で十分に置換し、更に前記混合物を70℃まで昇温した後、反応容器にラジカル重合開始剤(過硫酸アンモニウム2.5部を水8gに溶解した水溶液)を投入した。次いで、20分間乳化重合させた後、80℃まで昇温し、80〜85℃の温度範囲で2時間重合反応を進行させた。こうして、pH7.9、固形分濃度25.4%、粘度8mPa・s/25℃のエマルジョンを得た。
(サイズ剤希釈液の調製)
製造例1〜3と比較製造例1で得られたそれぞれのエマルジョンを、硬度0°dHの水と、10%で糊化を行った酸化澱粉(商品名「王子エースA」:王子コーンスターチ(株)製)とを用いて、エマルジョンの固形分濃度が約0.1重量%、酸化澱粉の固形分濃度が約4.0重量%となるようにし、サイズ剤希釈液1〜4を調製した。また参照用に、同酸化澱粉の三?を用い、その固形分濃度が約4.0重量%となるように硬度0°dHの水で調製した澱粉希釈液を調製した。
(試験用紙の作成)
中性上質用紙(秤量70g/m、ステキヒトサイズ度0秒)を原紙に用い、ラボサイズプレス塗工機(試験用サイズプレス、熊谷理機工業(株))を用い、前記サイズ剤希釈液1〜4および前記澱粉希釈液をそれぞれ約65g/mとなるように塗工した。次いで、各塗工紙を回転式ドラムドライヤーにて105℃において1分間乾燥を行い、試験用紙を得た。
実施例、比較例、参照例
<ステキヒトサイズ度の測定>
前記方法で得られた各試験用紙を用い、JIS P 8122に準拠してステキヒトサイズ度(秒)を測定した。数値が高いほどサイズに優れる。結果を表1に示す。
<インクジェット適性の評価>
(印字濃度の評価)
前記試験用紙に、キャノン(株)製インクジェットプリンターBJC−420Jを用いてモノクロ・カラーでベタ印刷した。次いで、反射濃度計(商品名「グレタグD186」、グレタグマクベス(株)製)を用い、印刷部位の印字濃度を測定した。結果を表1に示す。数値が大きいほど印字濃度に優れることを示す。
(フェザリングの評価)
前記試験用紙に、前記同様のプリンターを用いて、直交する線幅一定の直線および文字をモノクロ・カラーで印字した。次いで、目視により印刷部のにじみを評価した。結果を表1に示す。数値が大きいほどフェザリングが強く生じていることを示す。
(ブリーディングの評価)
前記試験用紙に、前記同様のプリンターを用いて、イエローとブラックが隣り合うように印字を行い、イエロー印字部へのブラックインクのにじみを目視評価した。結果を表1に示す。数値が大きいほどブリーディングが強く生じていることを示す。
<発泡の評価>
前記サイズ剤希釈液1〜4のそれぞれを50℃に加温し、家庭用ミキサーで2分間処理した直後に液面高さの変化(mm)を測定した。結果を表1に示す。
<エマルジョンの機械的安定性の評価>
2本ロールのラボサイズプレス装置を用い、硬度0°dHの水で調製した前記サイズ剤希釈液1〜4と、別途調製した硬度40°dHの水を用いてなるサイズ剤希釈液5〜8のそれぞれを1時間循環し、凝集物の発生および該2本ロールの汚れを以下の基準にて目視評価した。結果を表1に示す。
○:機械的安定性に極めて優れる(凝集物は確認できず、ロールの汚れもない)
△:機械的安定性に優れる(凝集物は確認できないが、ロールがやや汚れる)
×:機械的安定性が劣る(凝集物が確認され、ロールも汚れる)
<エマルジョンのスプラッシュの評価>
2本ロールのラボサイズプレス装置を用い、前記サイズ剤希釈液1〜4(硬度0°dH)をプレス速度120m/分、ニップ圧15kg/cmの条件でそれぞれ循環し、5分間にロール直下に置いた白紙紙上へに飛散する塗工液の度合でスプラッシュの評価を行った。結果を表1に示す。
○:塗工液の飛散跡がほとんどない。
×:塗工液の飛散跡が非常に多い。
Figure 0004725204

Claims (14)

  1. 不飽和塩基酸単量体および不飽和疎水性単量体を含有する単量体(a)を重合させて得られる水溶性重合体(A)と、不飽和塩基酸変性ロジン多価アルコールエステル(B)、アルキル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩および/またはアルケニル(炭素数8〜36)無水コハク酸アルカリ塩(C)、ならびにアルケニルコハク酸変性澱粉(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種(但し、以下の使用量に限る)とを含む水溶液中で、不飽和塩基酸単量体および不飽和疎水性単量体を含有する単量体(b)を乳化重合して得られるエマルジョン、を含有してなる製紙用表面サイズ剤。
    (B)成分:単量体成分(b)の総重量に対して5〜50重量%(固形分換算)
    (C)成分:単量体成分(b)の総重量に対して1〜10重量%(固形分換算)
    (D)成分:単量体成分(b)の総重量に対して1〜10重量%(固形分換算)
  2. 前記水溶性重合体(A)を構成する単量体(a)の不飽和塩基酸単量体が、(メタ)アクリル酸および/またはその中和塩である、請求項1に記載の製紙用表面サイズ剤。
  3. 前記水溶性重合体(A)を構成する単量体(a)の不飽和疎水性単量体が、スチレン類および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルである、請求項1または2に記載の製紙用表面サイズ剤。
  4. 前記水溶性重合体(A)を構成する単量体(a)が、不飽和塩基酸単量体を20〜80重量%、不飽和疎水性単量体を80〜20重量%含有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  5. 前記(B)が、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸およびこれらの中和塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を不飽和塩基酸成分とし、かつペンタエリスリトールを多価アルコール成分としてなるものである、請求項1〜4のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  6. 前記(B)の酸価が60〜400である、請求項1〜5のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  7. 前記(C)が、オクタデシル無水コハク酸中和塩である、請求項1〜6のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  8. 前記(D)が、オクテニルコハク酸デキストリンである、請求項1〜7のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  9. 単量体(b)の不飽和塩基酸単量体が、(メタ)アクリル酸および/またはその中和塩である、請求項1〜8のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  10. 単量体(b)の不飽和疎水性単量体が、スチレン類および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルである、請求項1〜9のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  11. 単量体(b)が、不飽和塩基酸単量体を2〜20重量%、不飽和疎水性単量体を98〜80重量%含有するものである、請求項1〜10のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  12. 単量体(b)が、更にアクリルアミド系単量体を含有するものである、請求項1〜11のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
  13. 該アクリルアミド系単量体が、(メタ)アクリルアミドである、請求項12に記載の製紙用表面サイズ剤。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤を紙に塗工してなる印刷用紙。
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