JP2002088683A - 製紙用表面サイズ剤および表面サイジング方法 - Google Patents

製紙用表面サイズ剤および表面サイジング方法

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JP2002088683A
JP2002088683A JP2000271687A JP2000271687A JP2002088683A JP 2002088683 A JP2002088683 A JP 2002088683A JP 2000271687 A JP2000271687 A JP 2000271687A JP 2000271687 A JP2000271687 A JP 2000271687A JP 2002088683 A JP2002088683 A JP 2002088683A
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copolymer
meth
aqueous solution
acrylate
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JP2000271687A
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English (en)
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Eiketsu Ro
英杰 呂
Yoshiharu Hashiguchi
芳春 橋口
Satoru Iwasa
哲 岩佐
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Harima Chemical Inc
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Harima Chemical Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内添薬品が少ない中性紙に対して優れたサイ
ズ効果を発揮する表面サイズ剤を提供する。 【解決手段】 疎水性重合性単量体及びカルボキシル基
含有重合性単量体の共重合体水溶液と、スチレン・(メ
タ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルジョンとを
混合した共重合体混合物を有効成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は製紙用表面サイズ剤
ならびに表面サイジング方法に関し、特に内添サイズ剤
を用いないか又は極少量しか用いない中性紙に対し、表
面サイジングによって優れたサイズ性能が得られるよう
にしたサイズ剤及びサイジング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アニオン性表面サイズ剤とし
て、スチレンとアクリル酸及び/又はメタクリル酸(以
下では(メタ)アクリル酸という)との共重合体塩、ス
チレンとマレイン酸との共重合体塩、あるいはオレフォ
ンと無水マレイン酸との共重合体塩等の水溶液が知られ
ている。これらのアニオン性表面サイズ剤は、内添され
た紙中のアルミニウムと反応し又は配向して紙に撥水性
を付与するようになっている。しかし、中性紙の場合に
は一般的に内添の硫酸アルミニウムの使用量が少なく、
上述のアニオン性表面サイズ剤水溶液によるサイズ効果
は低くなりがちである。
【0003】これに対し、アニオン性共重合体水溶液の
存在下で、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル系の
単量体とを乳化重合し、上述の欠点を改良しようとした
アニオン性表面サイズ剤がある(特開平08−2463
91号公報)。しかし、かかる表面サイズ剤は硫酸アル
ミニウム、内添サイズ剤、紙力剤等が添加されていない
か又は極少量しか内添されていない中性紙、特に無サイ
ズ原紙に対してはサイズ度の発現が低い。さらに、アニ
オン性共重合体水溶液はpHが高いので、(メタ)アク
リル酸エステル系単量体が高温でかつ高アルカリ性の水
溶液中における重合時等に加水分解を起こし易く、乳化
重合物の安定性をコントロールし難い。
【0004】これらの他に、カチオン性表面サイズ剤が
ある(特公平05−77798号公報)、しかし、かか
るカチオン性表面サイズ剤と併用される表面塗工薬品が
一般的にアニオン性であり、アニオン性の塗工薬品と併
用すると凝集物が発生するので、カチオン性表面サイズ
剤の汎用性が少ない。
【0005】さらに他に、ケテンダイマー系サイズ剤が
表面サイズ剤として用いられるが(特開平01−280
096号公報)、サイズ効果の立ち上がりが遅く、紙の
摩擦系数が低く、塗工系が汚れやすいという問題点を残
している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、アニオン性表
面サイズ剤水溶液による中性紙に対するサイズ効果の低
い原因を検討するに、中性紙は一般的に紙中の硫酸アル
ミニウム等のカチオン成分が少ないので、アニオン性表
面サイズ剤のアニオン基と中性紙繊維表面のカチオン成
分とのイオン結合による定着・配位が少なく、又中性紙
繊維表面における表面サイズ剤の分布が不均一で、アニ
オン性表面サイズ剤中の疎水基の配向、紙繊維表面への
均一な分布ができにくいことに起因すると推定される。
【0007】本発明は、上記の弊害を解消し、紙、特に
内添薬品が少ない中性紙に対して優れたサイズ効果を発
揮する新規な表面サイズ剤を提供することを課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の課題
を解決すべく鋭意研究した結果、疎水性重合性単量体及
びカルボキシル基含有重合性単量体の共重合体水溶液で
あるアニオン性表面サイズ剤水溶液と、スチレン・(メ
タ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルジョンとを
特定比率で混合し、該混合物を紙表面に塗工すると、中
性無サイズ原紙や内添薬品が極少量の中性紙であって
も、アニオン性表面サイズ剤水溶液又はスチレン・(メ
タ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルジョンを単
独で塗工した場合に比して高いサイズ効果が得られるこ
とを知見し、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明に係る製紙用表面サイズ剤
は、疎水性重合性単量体及びカルボキシル基含有重合性
単量体の共重合体水溶液と、スチレン・(メタ)アクリ
ル酸エステル系の共重合体エマルジョンとを混合した共
重合体混合物を有効成分としたことを特徴とする。
【0010】〔共重合体水溶液について〕疎水性重合性
単量体及びカルボキシル基含有重合性単量体の共重合体
水溶液には疎水性重合性単量体としてのスチレン又はそ
の誘導体と、カルボキシル基含有重合性単量体としての
(メタ)アクリル酸とからなる共重合体をケン化して得
られる水溶液が用いられるが、スチレンとマレイン酸と
の共重合体塩の水溶液、あるいはオレフォンと無水マレ
イン酸との共重合体塩の水溶液等、他の公知のアニオン
性表面サイズ剤を用いることもできる。(メタ)アクリ
ル酸とはアクリル酸とメタクリル酸を包含する概念であ
る。
【0011】上記共重合体水溶液にスチレン・(メタ)
アクリル酸系の共重合体水溶液を用いる場合、疎水性重
合性単量体には基本的にはスチレンが用いられるが、α
−メチルスチレンなどのビニル基に置換基を有するスチ
レン誘導体、或はビニルトルエン、p−クロルスチレン
などのベンゼン環に置換基を有するスチレン誘導体など
も用いることができ、これらを単用又は併用することが
できる。
【0012】上記疎水性重合性単量体及びカルボキシル
基含有重合性単量体全体におけるスチレン又はその誘導
体の割合は20〜90モル%、好ましくは30〜80モ
ル%である。20モル%より少ないと、上記共重合体水
溶液を用いた表面サイズ剤のサイズ性が低くなり、逆に
80モル%を越えると共重合体塩水溶液を得ることが難
しくなる。
【0013】カルボキシル基含有重合性単量体とはカル
ボキシル基を少なくとも1個を有する単量体であり、ア
クリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸など
が挙げられる。カルボキシル基含有重合性単量体の単量
体全体に対する混合割合は10〜80モル%、好ましく
は20〜70モル%である。10モル%より少ないと、
上記共重合体塩水溶液を得ることが難しくなる。逆に、
80モル%を越えると上記共重合体水溶液を用いた表面
サイズ剤のサイズ性が低くなる。
【0014】また、共重合体がスチレン・(メタ)アク
リル酸系共重合体の場合、更に酢酸ビニル、塩化ビニ
ル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチ
レンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホキシル
基含有単量体及びこれらのナトリウム、カリウムなどの
アルカリ金属塩やアンモニウム塩などの単量体の少なく
とも一種以上が他の構成単量体として若干含まれても差
し支えない。
【0015】上記スチレン・(メタ)アクリル酸共重合
体は上記の構成単量体の混合物を重合開始剤の存在下に
乳化重合、溶液重合によって製造されるが、懸濁重合又
はバルク重合を採用することもできる。上記乳化重合に
際しては、乳化剤を混合した水系に、各種の単量体成分
を混合物にして滴下する。上記乳化剤としては公知のア
ニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤又は両性界
面活性剤などを使用できる。
【0016】上記アニオン性界面活性剤としては、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベン
ゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫
酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフ
ィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、
ポリオキシエチレンアルキル(アリール)硫酸エステル
塩などが挙げられる。
【0017】上記ノニオン性界面活性剤としては、C1
〜C20アルカノール、フェノール、ナフォトール、ビ
スフェノール類、C1〜C20アルキルナフォトール、
ポリオキシエチレン(プロピレン)グリコール、脂肪族
アミンなどのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオ
キシド付加物などが挙げられる。
【0018】上記両性界面活性剤としては、カルボキシ
ベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、
イミダゾリン誘導型などの界面活性剤が挙げられる。
【0019】上記重合開始剤としては、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸
塩、又は2、2−アゾビス−N−2カルボキシエチル−
2−メチルプロピオンアミジンハイドレ−トなどの水溶
性アゾ系などのような水溶性開始剤が好ましいが、過酸
化ベンゾイルなどのような油溶性開始剤も採用できる。
【0020】また、上記乳化重合に際しては、分子量を
調整する目的で、n−ドデシルメルカプタンなどのメル
カプタン類、イソプロピルアルコール、四塩化炭素、ク
メン、チオグリコール酸及びそのエステル類などの連鎖
移動剤を使用する。
【0021】上記単量体を乳化重合させた後、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アンモニア、低級アミン、
又はアルカノールアミンなどのアルカリで中和して、ス
チレン・(メタ)アクリル酸系共重合体塩水溶液が得ら
れる。
【0022】スチレン・(メタ)アクリル酸共重合体水
溶液は、溶液重合に際しては、有機溶媒中に各種の単量
体成分を混合物にして一括添加するか、又は、滴下す
る。
【0023】上記有機溶媒は公知の不活性溶媒であり、
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化
水素、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、
ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリドンなどが
挙げられるが、好ましくはベンゼン、トルエン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトンである。
【0024】上記重合開始剤は公知の有機過酸化物であ
り、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジ
アルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パ
ーオキシエステルなどが挙げられる。
【0025】また、上記溶液重合に際しては、分子量を
調整する目的で、n−ドデシルメルカプタンなどのメル
カプタン類、イソプロピルアルコール、チオグリコール
酸及びそのエステル類などの連鎖移動剤を使用すること
ができる。
【0026】上記単量体を溶液重合させた後、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アンモニア、低級アミン、
又はアルカノールアミンなどのアルカリで中和、さらに
脱溶媒してスチレン・(メタ)アクリル酸系共重合体塩
水溶液が得られる。
【0027】〔共重合体エマルジョンについて〕一方、
スチレン・(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エ
マルジョンは具体的にはスチレン又はその誘導体10モ
ル%以上95モル%以下、及び(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体5モル%以上90モル%以下の共重合体エ
マルジョンとするか、又はスチレン又はその誘導体10
モル%以上95モル%未満、(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体5モル%以上90モル%未満、及びカルボキ
シル基を有する重合性単量体20モル%以下の共重合体
エマルジョンとするのがよい。
【0028】上記の共重合体エマルジョンにおいても基
本的にはスチレンを用いるが、α−メチルスチレンなど
のビニル基に置換基を有するスチレン誘導体、或はビニ
ルトルエン、p−クロルスチレンなどのベンゼン環に置
換基を有するスチレン誘導体なども含まれ、これらを単
用または併用できる。
【0029】このスチレン又はその誘導体の全体に対す
る割合は10モル%以上95モル%以下、好ましくは2
0〜90モル%である。10モル%より少ないと、上記
共重合体エマルジョンを用いた表面サイズ剤のサイズ性
が低くなり、逆に95モル%を越えると、得られた共重
合体エマルジョンのガラス転移温度が高くなるからであ
る。
【0030】上記(メタ)アクリル酸エステル系の単量
体としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロビ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シク
ロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸
エステル類、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、
アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリ
ル酸t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、ア
クリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリ
ル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル類などが挙げら
れ、これらを単独または併用できる。
【0031】上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体
の単量体全体に対する割合は5モル%以上90モル%以
下、好ましくは10〜80モル%である。5モル%より
少ないと、上記共重合体エマルジョンのガラス転移温度
の調整が難しくなる。逆に、80モル%を越えると上記
共重合体エマルジョンを用いた表面サイズ剤のサイズ性
が低くなる。
【0032】上記カルボキシル基を有する重合性単量体
としては、カルボキシル基を少なくとも1個を有する単
量体であり、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
マレイン酸などが挙げられる。
【0033】上記カルボキシル基を有する重合性単量体
の単量体全体に対する割合は20モル%以下である。2
0モル%を越えると、上記共重合体エマルジョンとスチ
レン・(メタ)アクリル酸共重合体水溶液を混合する
と、混合液の粘度が高くなり、又はこれを用いた表面サ
イズ剤のサイズ性が低くなる。
【0034】また、スチレン・(メタ)アクリル酸エス
テル系の共重合体エマルジョンは、基本的に上記のスチ
レン又はその誘導体、(メタ)アクリル酸エステル系単
量体及び/又はカルボキシル基を有する重合性単量体を
構成成分とするが、他の構成単量体として、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニル
スルホン酸などのスルホキシル基含有単量体及びこれら
のナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩やアンモ
ニウム塩などの単量体の少なくとも一種以上が若干含ま
れても差し支えない。
【0035】上記のスチレン・(メタ)アクリル酸エス
テル系の共重合体は上記構成単量体の混合物を重合開始
剤の存在下に乳化重合によって製造されるが、無乳化剤
乳化重合を採用することもできる。
【0036】上記乳化重合に際しては、乳化剤を混合し
た水系に、各種の単量体成分を混合物にして一括添加す
るか、又は別々に滴下する。
【0037】上記乳化剤としては公知のアニオン性界面
活性剤、ノニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤など
を使用できる。
【0038】上記アニオン性界面活性剤としては、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベン
ゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫
酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフ
ィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、
ポリオキシエチレンアルキル(アリール)硫酸エステル
塩などが挙げられる。
【0039】上記ノニオン性界面活性剤としては、C1
〜C20アルカノール、フェノール、ナフォトール、ビ
スフェノール類、C1〜C20アルキルナフォトール、
ポリオキシエチレン(プロピレン)グリコール、脂肪族
アミンなどのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオ
キシド付加物などが挙げられる。
【0040】上記両性界面活性剤としては、カルボキシ
ベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、
イミダゾリン誘導型などの界面活性剤が挙げられる。
【0041】上記重合開始剤としては、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸
塩、又は2、2アゾビスN−2カルボキシエチル-2-メ
チルプロピオンアミジンハイドレ−トなどの水溶性アゾ
系などのような水溶性開始剤が好ましいが、過酸化ベン
ゾイルなどのような油溶性開始剤を用いることもでき
る。また、必要に応じて連鎖移動剤を使用することも可
能である。
【0042】スチレン・(メタ)アクリル酸エステル系
の共重合体エマルジョンはガラス転移温度90℃未満、
好ましくは80℃以下のものがよい。ガラス転移温度が
90℃を越えると、上記共重合体エマルジョンを用いた
表面サイズ剤のサイズ性が低い結果となる。
【0043】疎水性重合性単量体及びカルボキシル基含
有重合性単量体の共重合体水溶液と、スチレン・(メ
タ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルジョンとは
その固形分の混合率を共重合体エマルジョン/共重合体
水溶液=0.2〜50、好ましくは0.3〜40とする
のがよい。混合比率が0.2より少ないと、表面サイズ
剤のサイズ性が低くなり、また、50を越えても表面サ
イズ剤のサイズ性は低くなる。
【0044】〔表面サイジング方法について〕本発明に
係る製紙用表面サイズ剤は、疎水性重合性単量体及びカ
ルボキシル基含有重合性単量体の共重合体水溶液と、ス
チレン・(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマ
ルジョンとを好ましくは上記の比率で混合した後、デン
プン水溶液、或はポリアクリルアミド水溶液と混合して
塗工液を作製し、紙、板紙に塗工して用いる。
【0045】上記のデンプンとしては、酸化デンプン、
リン酸エステルデンプン、カチオン性デンプン、アセチ
ル化デンプンなどが挙げられる。
【0046】上記のポリアクリルアミドとしては、共重
合ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミ
ド、PVAグラフト化ポリアクリルアミド、デンプング
ラフト化ポリアクリルアミドなどが挙げられる。上記の
他にポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロー
スなど表面紙力増強剤と併用混合使用もできる。
【0047】また、疎水性重合性単量体及びカルボキシ
ル基含有重合性単量体の共重合体水溶液とスチレン・
(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルジョン
とをデンプン水溶液、又はポリアクリルアミド水溶液に
別々添加して塗工液とし、紙、板紙に塗工して用いるこ
ともできる。また、ポリビニルアルコール、カルボキシ
メチルセルロースなどの表面紙力増強剤と併用して用い
ることもできる。
【0048】上記製紙用表面サイズ剤はデンプン水溶液
又はポリアクリルアミド水溶液に所定量添加して混合し
て塗工液を作製し、該塗工液をサイズプレス、ゲートロ
ールなど各種塗工機を用いて紙や板紙に塗工して用い
る。
【0049】
【作用】従来、アニオン性のスチレン・(メタ)アクリ
ル酸共重合体のようなアニオン性共重合体塩水溶液型の
表面サイズ剤は酸性紙に撥水性を付与するが、中性紙、
特に無サイズ原紙や低サイズ度原紙に対してはサイズ効
果が低かった。
【0050】また、アニオン性表面サイズ剤水溶液、又
はスチレン・(メタ)アクリル酸エステル系共重合体エ
マルジョンをそれぞれ単独で無サイズ中性紙に塗工した
時のサイズ度はごく低いのに比べ、上記アニオン性表面
サイズ剤水溶液とスチレン・(メタ)アクリル酸エステ
ル系共重合体エマルジョンとを混合状態で紙表面に塗工
したときには前者よりあきらかに高いサイズ度が得られ
る。
【0051】その理由は次のように推定される。アニオ
ン性表面サイズ剤水溶液や、アニオン性共重合体水溶液
中でスチレンと(メタ)アクリル酸エステル系単量体と
を乳化重合したものでは、アニオン基が分子中またはエ
マルジョン粒子表面にランダムに結合して存在してお
り、紙繊維表面に吸着または配向可能な部位が少ない状
態においては、繊維表面へのアニオン部の吸着と疎水部
の反対方向への配向が効率よく起こり得ない。
【0052】これに対し本発明では、原紙中にアルミニ
ウムや他のカチオンが少なく内添サイズによる疎水性部
分も少ない場合でも、アニオン性表面サイズ剤水溶液が
定着し、あたかもその疎水部の上にスチレン・(メタ)
アクリル酸エステル系共重合体エマルジョンの強い疎水
粒子が吸着したように効率よく配向ないしは分布して表
面の疎水性を高め、高いサイズ性が得られるのではない
かと考えられる。
【0053】また、本発明ではアニオン性表面サイズ剤
水溶液とスチレン・(メタ)アクリル酸エステル系の共
重合体エマルジョンとを混合して表面サイズ剤を製作し
ているので、アニオン性共重合体水溶液中でスチレンと
(メタ)アクリル酸エステル系の単量体とを乳化重合す
る場合のように多量のポリマー塩の存在下における乳化
重合の微粒化や凝集物の発生に対するコントロールの困
難さなどの問題もなく、適時簡単に、適性比率で混合状
態にでき使用時も好都合である。
【0054】
【発明の効果】最近の紙の製造において、内添サイズ剤
を減少させるか又は無内添として抄紙時のマシンや抄造
用具汚れを減少させ、紙製造をより効率的にする傾向が
強くなっている。このため、紙製品のサイズ性を確保す
るためには外添、つまり表面サイジングで高いサイズ性
を発現させる必要がある。
【0055】従来のアニオン性共重合体塩水溶液型表面
サイズ剤やエマルジョン系表面サイズ剤の塗工では無内
添サイズの中性紙や内添サイズ剤がごく少量しか用いて
いない低サイズ度の原紙に対しては低いサイズ性しか得
られなかったのに対し、本発明によれば、かかる無内添
サイズの中性紙や低サイズ度の原紙に対しても高いサイ
ズ度が得られた。
【0056】つまり、従来では内添サイズ剤によるサイ
ズ度と表面サイジングによるサイズ度を合わせて得られ
ていたサイズ度が、本発明によれば表面サイジングだけ
で得られる。
【0057】
【発明の実施の形態】以下、製紙用表面サイズの製造例
を具体的に説明する。なお、実施例や試験例中に示され
た「%」はすべて重量基準である。また、本発明は下記
の実施例や試験例に拘束されるものではなく、本発明の
技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論
である。
【0058】〔共重合体水溶液の製造例〕
【製造例A1】アクリル酸1.0モル(72g)、スチ
レン1.6モル(167g)と連鎖移動剤としてのチオ
グリコール酸0.9gを混合して単量体混合物を用意し
た。また、これとは別に、過硫酸カリウム3.6gを水
100gに溶解して重合開始剤水溶液を用意した。そし
て、攪拌機及び温度計の付いた2リットルの4つ口フラ
スコに水460gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム7gを入れ、85℃まで加熱攪拌した。上記フラス
コ中に前記モノマー混合物と重合開始剤水溶液を別々に
8時間かけて連続的に注入し、且つ、この間の温度を9
0℃までに保って重合を進め、注入終了後30分間熟成
した。次いで、95℃まで加熱して重合を完結させた
後、75℃まで冷却した。その後、25%水酸化ナトリ
ウム水溶液202gと水を加えて中和し、スチレン・ア
クリル酸系共重合体水溶液(固形分20.1、粘度18
0mPa・s、pH11)を得た。
【0059】
【製造例A2】製造例A1と同様の条件で重合し、重合
が完結した後、25%水酸化カリウム水溶液180gと
25%アンモニア水27gと水を加えて中和し、スチレ
ン・アクリル酸系共重合体水溶液(固形分20.2、粘
度220mPa・s、pH10.6)を得た。
【0060】
【製造例A3】製造例1と同様単量体を用いてN−ドデ
シルメルカプタン1.2gと混合して単量体混合物を用
意した。また、これとは別に、t−ブチルパーオキシベ
ンゾエート2gをトルエン40gに溶解して重合開始剤
溶液を用意した。そして、攪拌機及び温度計の付いた2
リットルの4つ口フラスコにトルエン200gを入れ、
90℃まで加熱攪拌した。上記フラスコ中に前記モノマ
ー混合物と重合開始剤溶媒を別々に8時間かけて連続的
に注入し、且つ、この間の温度を90℃までに保って重
合を進め、注入終了後1時間熟成した。次いで、95℃
まで加熱して重合を完結させた後、75℃まで冷却し
た。その後、25%水酸化ナトリウム水溶液202gと
水を加えて中和し、さらに昇温脱溶媒を行った。得られ
たスチレン・アクリル酸系共重合体水溶液の固形分2
0.5、粘度20mPa・s、pH11.2であった。
【0061】〔共重合体エマルジョンの製造例〕
【製造例B1】スチレン0.77モル(80g)、メタ
クリル酸イソブチル0.35モル(50g)とアクリル
酸−2−エチルヘキシル0.4モル(70g)を混合し
て単量体混合物を用意した。また、これとは別に、過硫
酸カリウム1.0gを水40gに溶解して重合開始剤水
溶液を用意した。そして、攪拌機及び温度計の付いた2
リットルの4つ口フラスコに水560gとドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム10gを入れ、80℃まで加
熱攪拌した。上記フラスコ中に前記モノマー混合物と重
合開始剤水溶液を一括で添加した後、80℃で12時間
を重合した。次いで、90℃まで加熱して重合を完結さ
せた後、室温まで冷却した。スチレン・(メタ)アクリ
ル酸エステル共重合体エマルジョン(固形分26.1、
粘度8mPa・s、pH2.8、理論ガラス転移温度0
℃)を得た。
【0062】
【製造例B2】スチレン1.0モル(104g)、メタ
クリル酸イソブチル0.25モル(36g)、アクリル
酸−2−エチルヘキシル0.27モル(50g)とアク
リル酸0.14(10g)を混合して単量体混合物を用
意した。また、これとは別に、過硫酸カリウム1.0g
を水40gに溶解して重合開始剤水溶液を用意した。そ
して、攪拌機及び温度計の付いた2リットルの4つ口フ
ラスコに水560gとドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム6gを入れ、80℃まで加熱攪拌した。製造例B
1と同様の条件で重合し、スチレン・(メタ)アクリル
酸エステル共重合体エマルジョン(固形分25.8、粘
度10mPa・s、pH2.7、理論ガラス転移温度2
3℃)を得た。
【0063】
【製造例B3】スチレン1.15モル(120g)、メ
タクリル酸イソブチル0.28モル(40g)、アクリ
ル酸−2−エチルヘキシル0.16モル(30g)とア
クリル酸0.14(10g)を混合して単量体混合物を
用意した。また、これとは別に、過硫酸カリウム1.0
gを水40gに溶解して重合開始剤水溶液を用意した。
そして、攪拌機及び温度計の付いた2リットルの4つ口
フラスコに水560gとドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム6gを入れ、80℃まで加熱攪拌した。製造例
B1と同様の条件で重合し、スチレン・(メタ)アクリ
ル酸エステル共重合体エマルジョン(固形分25.2、
粘度9mPa・s、pH2.5、理論ガラス転移温度4
7℃)を得た。
【0064】
【製造例B4】スチレン1.0モル(104g)、メチ
ルメタクリレート0.86モル(86g)とアクリル酸
0.14(10g)を混合して単量体混合物を用意し
た。また、これとは別に、過硫酸カリウム1.0gを水
40gに溶解して重合開始剤水溶液を用意した。そし
て、攪拌機及び温度計の付いた2リットルの4つ口フラ
スコに水560gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム10gを入れ、80℃まで加熱攪拌した。製造例B
1と同様の条件で重合し、スチレン・(メタ)アクリル
酸エステル共重合体エマルジョン(固形分26.1、粘
度15mPa・s、pH2.7、理論ガラス転移温度1
00℃)を得た。
【0065】
【製造例B5】スチレン1.15モル(120g)、メ
タクリル酸イソブチル0.28モル(40g)、アクリ
ル酸−2−エチルヘキシル0.05モル(10g)とア
クリル酸0.3(22g)を混合して単量体混合物を用
意した。また、これとは別に、過硫酸カリウム1.0g
を水40gに溶解して重合開始剤水溶液を用意した。そ
して、攪拌機及び温度計の付いた2リットルの4つ口フ
ラスコに水560gとドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム6gを入れ、80℃まで加熱攪拌した。製造例B
1と同様の条件で重合し、スチレン・(メタ)アクリル
酸エステル共重合体エマルジョン(固形分25.2、粘
度9mPa・s、pH2.5、理論ガラス転移温度75
℃)を得た。
【0066】
【製造例B6】スチレン1.0モル(104g)、メタ
クリル酸イソブチル0.25モル(35.5g)、アク
リル酸−2−エチルヘキシル0.10モル(18.4
g)とアクリル酸0.50(36g)を混合して単量体
混合物を用意した。また、これとは別に、過硫酸カリウ
ム1.0gを水40gに溶解して重合開始剤水溶液を用
意した。そして、攪拌機及び温度計の付いた2リットル
の4つ口フラスコに水560gとドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム6gを入れ、80℃まで加熱攪拌し
た。製造例B1と同様の条件で重合し、スチレン・(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(固形分
25.1、粘度21mPa・s、pH2.3、理論ガラ
ス転移温度64℃)を得た。
【0067】〔表面サイズ剤の製造例〕
【製造例C1】製造例B2のスチレン・(メタ)アクリ
ル酸エステル共重合体エマルジョン620gに水180
gを入れ、攪拌しながら製造例A1のスチレン・アクリ
ル酸系共重合体水溶液200gを加え30分間攪拌混合
して、製紙用表面サイズ剤(固形分20.1、粘度11
mPa・s、pH9.8)を得た。
【0068】
【製造例C2】製造例B2のスチレン・(メタ)アクリ
ル酸エステル共重合体エマルジョン388gに水114
gを入れ、攪拌しながら製造例A1のスチレン・アクリ
ル酸系共重合体水溶液498gを加え30分間攪拌混合
して、製紙用表面サイズ剤(固形分20.0、粘度23
mPa・s、pH10.2)を得た。
【0069】
【製造例C3】製造例B3のスチレン・(メタ)アクリ
ル酸エステル共重合体エマルジョン397gに水105
gを入れ、攪拌しながら製造例A2のスチレン・アクリ
ル酸系共重合体水溶液498gを加え30分間攪拌混合
して、製紙用表面サイズ剤(固形分20.0、粘度20
mPa・s、pH10.0)を得た。
【0070】
【製造例C4】製造例B2のスチレン・(メタ)アクリ
ル酸エステル共重合体エマルジョン388gに水124
gを入れ、攪拌しながら製造例A3のスチレン・アクリ
ル酸系共重合体水溶液488gを加え30分間攪拌混合
して、製紙用表面サイズ剤(固形分20.1、粘度18
mPa・s、pH10.4)を得た。
【0071】
【製造例C5】製造例B5のスチレン・(メタ)アクリ
ル酸エステル共重合体エマルジョン397gに水115
gを入れ、攪拌しながら製造例A3のスチレン・アクリ
ル酸系共重合体水溶液488gを加え30分間攪拌混合
して、製紙用表面サイズ剤(固形分20.0、粘度32
mPa・s、pH8.7)を得た。
【0072】
【製造比較例D1】製造例A1の共重合体水溶液(固形
分20.1、粘度180mPa・s、pH11)を50
0g用意し、これとは別にスチレン0.39モル(40
g)、メタクリル酸イソブチル0.18モル(25g)
とアクリル酸−2−エチルヘキシル0.2モル(35
g)を混合して単量体混合物を用意し、又これとは別
に、過硫酸カリウム0.5gを水40gに溶解して重合
開始剤水溶液を用意した。そして、攪拌機及び温度計の
付いた2リットルの4つ口フラスコに水460gとドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム5gと用意した製造
例A1の500gを入れ、80℃まで加熱攪拌した。上
記フラスコ中に前記モノマー混合物と重合開始剤水溶液
を一括で添加した後、80℃で12時間重合反応を行っ
た。次いで、90℃まで加熱して重合を完了させた後、
室温まで冷却し、200メッシュの金網で濾過したとこ
ろ、8.2gの凝集物が濾別された(表面サイズ剤固形
分4.1%に相当する)。濾液としてスチレン・(メ
タ)アクリル酸系表面サイズ剤(固形分19.1、粘度
30mPa・s、pH10.3)を得た。この表面サイ
ズ剤は製造例C2と同モノマー組成で、特開平08−2
46391号公報と同様に、共重合体水溶液存在下に疎
水性モノマーを乳化重合したものに相当する。
【0073】〔中性上質原紙への塗工例〕
【実施例E1】<塗工液の調整>前記製造例C1を酸化
デンプン水溶液に滴下し、酸化デンプン濃度2.3%、
且つ、スチレン・(メタ)アクリル酸系共重合体混合物
濃度0.23%の塗工液を作成した。 <紙への塗工試験>上記の塗工液を用いて坪量85g/
2で内添サイズ剤なしの中性上質原紙にラボサイズプ
レス塗工機を用いて吸液量85g/m2塗工し、回転式
ドラムドライヤーにより90℃、90秒の条件で乾燥し
た。
【0074】
【実施例E2】前記製造例C2を酸化デンプン水溶液に
滴下し、酸化デンプン2.3%、且つ、スチレン・(メ
タ)アクリル酸系共重合体混合物0.23%の塗工液を
作成した。上記の塗工液を用いて実施例E1と同様に塗
工した。
【0075】
【実施例E3】前記製造例A1と製造例B1を用いて、
70/30重合体重量部で、別々に酸化デンプン水溶液
に滴下し、酸化デンプン2.3%、且つ、スチレン・
(メタ)アクリル酸系共重合体0.23%の塗工液を作
成した。上記の塗工液を用いて実施例E1と同様に塗工
した。
【0076】
【実施例E4】前記製造例C5を酸化デンプン水溶液に
滴下し、酸化デンプン2.3%、且つ、スチレン・(メ
タ)アクリル酸系共重合体混合物0.23%の塗工液を
作成した。上記の塗工液を用いて実施例E1と同様に塗
工した。
【0077】
【比較例F1】前記製造例A1を用いて、酸化デンプン
水溶液に滴下し、酸化デンプン2.3%、且つ、スチレ
ン・(メタ)アクリル酸系共重合体0.23%の塗工液
を作成した。上記の塗工液を用いて実施例E1 と同様に
塗工した。
【0078】
【比較例F2】前記製造例B1を用いて、酸化デンプン
水溶液に滴下し、酸化デンプン2.3%、且つ、スチレ
ン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体0.23%の
塗工液を作成した。上記の塗工液を用いて実施例E1 と
同様に塗工した。
【0079】
【比較例F3】前記製造例A1と製造例B1を用いて、
85/15の重合体重量部比で、別々に酸化デンプン水
溶液に滴下し、酸化デンプン2.3%、且つ、スチレン
・(メタ)アクリル酸系共重合体0.23%の塗工液を
作成した。上記の塗工液を用いて実施例E1と同様に塗
工した。
【0080】
【比較例F4】前記製造例A1と製造例B1を用いて、
1/99の重合体重量部比で、別々に酸化デンプン水溶
液に滴下し、酸化デンプン2.3%、且つ、スチレン・
(メタ)アクリル酸系共重合体0.23%の塗工液を作
成した。上記の塗工液を用いて実施例E1と同様に塗工
した。
【0081】
【比較例F5】前記製造例A3と製造例B6を用いて、
50/50の重合体重量部比で、別々に酸化デンプン水
溶液に滴下し、酸化デンプン2.3%、且つ、スチレン
・(メタ)アクリル酸系共重合体0.23%の塗工液を
作成した。上記の塗工液を用いて実施例E1と同様に塗
工した。
【0082】
【比較例F6】前記製造比較例D1の表面サイズ剤を、
酸化デンプン水溶液と混合し、酸化デンプン2.3%、
且つ、スチレン・(メタ)アクリル酸系表面サイズ剤
0.23%の塗工液を作製した。上記の塗工液を用いて
実施例E1と同様に塗工した。
【0083】
【評価試験】得られた紙についてJIS P8122に
基づきステキヒトサイズ度試験を行った結果を表1に示
す。表1は坪量85g/m2の内添サイズ剤を添加して
いない中性上質原紙に塗工した塗工紙のステキヒトサイ
ズ度を示す。
【0084】
【表1】
【0085】実施例は比較例に比べてステキヒトサイズ
度がかなり高く、内添サイズ剤を使用しない中性上質紙
に対し、表面サイズ剤としての性能の点で明らかな優位
性が確認できた。一方、共重合体水溶液とエマルジョン
との各種混合率を比べて、混合率は塗工したサイズ性の
点で適正な範囲があり、この混合比率が適性範囲より小
さくても、逆に、適性範囲より大きくてもサイズ性を向
上するには有効でないことが確認できた。
【0086】〔サイズ度1秒の中性上質コート原紙への
塗工例〕
【実施例G1】<塗工液の調整>前記製造例C2の表面
サイズ剤とポリアクリルアミド水溶液を混合し、ポリア
クリルアミド濃度1.0%、且つ、スチレン・(メタ)
アクリル酸系共重合体0.06%の塗工液を作成した。 <紙への塗工試験>上記の塗工液を用いて坪量70g/
2でステキヒトサイズ度1秒の中性上質コート原紙に
ラボサイズプレス塗工機を用いて吸液量35g/m2に
なるよう塗工し、回転式ドラムドライヤーにより90
℃、90秒の条件で乾燥した。
【0087】
【実施例G2】前記製造例C3の表面サイズ剤とポリア
クリルアミド水溶液を混合し、ポリアクリルアミド1.
0%、且つ、スチレン・(メタ)アクリル酸系共重合体
0.06%の塗工液を作成した。上記の塗工液を用いて
実施例G1と同様に塗工した。
【0088】
【比較例H1】前記製造例A2を用いて、ポリアクリル
アミド水溶液を混合し、ポリアクリルアミド1.0%、
且つ、スチレン・(メタ)アクリル酸系共重合体0.0
6%の塗工液を作成した。上記の塗工液を用いて実施例
G1と同様に塗工した。
【0089】
【比較例H2】前記製造例B2を用いて、ポリアクリル
アミド水溶液を混合し、ポリアクリルアミド1.0%、
且つ、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル系共重合
体0.06%の塗工液を作成した。上記の塗工液を用い
て実施例B−1と同様に塗工した。
【0090】
【比較例H3】前記製造例A2と製造例B4を用いて、
50/50の重合体重量部に混合し、さらにその混合液
とポリアクリルアミド水溶液を混合し、ポリアクリルア
ミド1.0%、且つ、スチレン・(メタ)アクリル酸系
共重合体0.06%の塗工液を作成した。上記の塗工液
を用いて実施例B−1と同様に塗工した。
【0091】
【評価試験】得られた紙についてJIS P8122に
基づきステキヒトサイズ度試験を行った結果を表2に示
す。表2は坪量70g/m2でステキヒトサイズ度1秒
の中性上質コート原紙に塗工した場合のステキヒトサイ
ズ度を示す。
【0092】
【表2】
【0093】実施例G1は比較例H1、H2に比べて、
塗工した紙のサイズ性が高かった。即ち、スチレン・
(メタ)アクリル酸共重合体水溶液とスチレン・(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョンの混合液
系は単独共重合体水溶液系又は単独共重合体エマルジョ
ン系より、表面サイズ剤としての性能の点で明らかな優
位性が確認できた。一方、実施例G2は実施例G1に比
べると、塗工した紙のサイズ性が下がる傾向にあった
が、比較例H3に比べて、サイズ性の点で改善が見られ
た。これより、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル
共重合体エマルジョンのガラス転移温度にも塗工した紙
のサイズ性の点で適正な範囲があり、ガラス転移温度が
適性範囲より高くてもサイズ性を向上するには有効でな
いことが確認できた。
【0094】〔新聞用原紙への塗工例〕
【実施例J1】<塗工液の調整>前記製造例C4の表面
サイズ剤を酸化デンプン水溶液に滴下し、酸化デンプン
5.0%、且つ、スチレン・(メタ)アクリル酸系共重
合体0.2%の塗工液を作成した。 <紙への塗工試験>上記塗工液を用いて坪量43g/m
2での未塗工新聞用原紙に0.3g/m2(固形)の条
件でバーコーターを用いて塗工し、回転式ドラムドライ
ヤーにより90℃、90秒の条件で乾燥した。
【0095】
【実施例J2】前記製造例A3と製造例B1を用いて、
30/70重合体重量部で、別々に酸化デンプン水溶液
に滴下し、酸化デンプン5.0%、且つ、スチレン・
(メタ)アクリル酸系共重合体0.2%の塗工液を作成
した。上記塗工液を用いて、実施例J1と同様にして未
塗工新聞用原紙に塗工した。
【0096】
【比較例K1】前記製造例A3を用いて、酸化デンプン
水溶液を混合し、酸化デンプン水溶液5.0%、且つ、
スチレン・(メタ)アクリル酸共重合体0.2%の塗工
液を作成した。上記塗工液を用いて、実施例J1と同様
にして未塗工新聞用原紙に塗工した。
【0097】
【比較例K2】前記製造例B1を用いて、酸化デンプン
水溶液を混合し、酸化デンプン5.0%、且つ、スチレ
ン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体0.2%の塗
工液を作成した。上記塗工液を用いて、実施例J1と同
様にして未塗工新聞用原紙に塗工した。
【0098】
【評価試験】得られた紙についてJ.TAPPI紙パル
プ試験方法No.33に基づき5μLの点滴吸水度(滴
下法)試験を行って、上記の上記の実施例J1〜2、比
較例K1〜2の表面サイズ剤としての性能の良否を調べ
た。坪量43g/m2で未塗工新聞用原紙に塗工し、そ
の紙の点滴吸水度を示す。
【0099】
【表3】
【0100】表3はその試験結果である。実施例J1〜
2は比較例K1〜2に比べて、塗工した紙のサイズ性が
高く、均一性に優れていた。これより、スチレン・(メ
タ)アクリル酸共重合体水溶液とスチレン・(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体エマルジョンとの混合物は、
それぞれ単独の共重合体よりサイズ性の高いことが確認
できた。
フロントページの続き (72)発明者 岩佐 哲 兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BC07W BC07X BG01W BG02W BG02X BH02W GH01 HA07 4L055 AG47 AG63 AG71 AG72 AG89 AG97 AH13 BE08 EA20 FA17 FA22 GA06

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性重合性単量体及びカルボキシル基
    含有重合性単量体の共重合体水溶液と、スチレン・(メ
    タ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルジョンとを
    混合した共重合体混合物を有効成分とした製紙用表面サ
    イズ剤。
  2. 【請求項2】 疎水性重合性単量体及びカルボキシル基
    含有重合性単量体の共重合体水溶液が、スチレン又はそ
    の誘導体と(メタ)アクリル酸との共重合体の水溶液で
    ある請求項1記載の製紙用表面サイズ剤。
  3. 【請求項3】 スチレン・(メタ)アクリル酸エステル
    系の共重合体エマルジョンが、スチレン又はその誘導体
    10モル%以上95モル%以下、及び(メタ)アクリル
    酸エステル系単量体5モル%以上90モル%以下の共重
    合体エマルジョンである請求項1又は2記載の製紙用表
    面サイズ剤。
  4. 【請求項4】 スチレン・(メタ)アクリル酸エステル
    系の共重合体エマルジョンが、スチレン又はその誘導体
    10モル%以上95モル%未満、(メタ)アクリル酸エ
    ステル系単量体5モル%以上90モル%未満、及びカル
    ボキシル基を有する重合性単量体20モル%以下の共重
    合体エマルジョンである請求項1又は2記載の製紙用表
    面サイズ剤。
  5. 【請求項5】 スチレン・(メタ)アクリル酸エステル
    系の共重合体エマルジョンが、ガラス転移温度90℃未
    満のものである請求項1ないし4のいずれかに記載の製
    紙用表面サイズ剤。
  6. 【請求項6】 疎水性重合性単量体及びカルボキシル基
    含有重合性単量体の共重合体水溶液と、スチレン・(メ
    タ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルジョンとの
    共重合体混合物が、共重合体エマルジョン/共重合体水
    溶液=0.2〜50の固形分の混合比率を有するもので
    ある請求項1ないし5のいずれかに記載の製紙用表面サ
    イズ剤。
  7. 【請求項7】 疎水性重合性単量体及びカルボキシル基
    含有重合性単量体の共重合体水溶液と、スチレン・(メ
    タ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルジョンとを
    混合し、該混合物とデンプン水溶液又はポリアクリルア
    ミド水溶液とを混合して塗工液を作製し、該塗工液を紙
    に塗工するようにした表面サイジング方法。
  8. 【請求項8】 疎水性重合性単量体及びカルボキシル基
    含有重合性単量体の共重合体水溶液と、スチレン・(メ
    タ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルジョンとの
    いずれか一方をデンプン水溶液又はポリアクリルアミド
    水溶液に添加した後、他方を添加し混合して塗工液を作
    製し、該塗工液を紙に塗工するようにした表面サイジン
    グ方法。
  9. 【請求項9】 スチレン・(メタ)アクリル酸エステル
    系の共重合体エマルジョンとして、スチレン又はその誘
    導体10モル%以上95モル%以下、及び(メタ)アク
    リル酸エステル系単量体5モル%以上90モル%以下を
    乳化重合したものを用いるようにした請求項7又は8記
    載の表面サイジング方法。
  10. 【請求項10】 スチレン・(メタ)アクリル酸エステ
    ル系の共重合体エマルジョンとして、スチレン又はその
    誘導体10モル%以上95モル%未満、(メタ)アクリ
    ル酸エステル系単量体5モル%以上90モル%未満、及
    びカルボキシル基を有する重合性単量体20モル%以下
    を乳化重合したものを用いるようにした請求項7又は8
    記載の表面サイジング方法。
  11. 【請求項11】 スチレン・(メタ)アクリル酸エステ
    ル系の共重合体エマルジョンとして、ガラス転移温度9
    0℃未満のものを用いるようにした請求項7ないし10
    のいずれかに記載の表面サイジング方法。
  12. 【請求項12】 デンプン水溶液又はポリアクリルアミ
    ド水溶液に、疎水性重合性単量体及びカルボキシル基含
    有重合性単量体の共重合体水溶液と、スチレン・(メ
    タ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルジョンとを
    混合して添加し、又は別々に添加して混合するにあた
    り、共重合体エマルジョンと共重合体水溶液との固形分
    の混合比率を、共重合体エマルジョン/共重合体水溶液
    =0.2〜50とするようにした請求項7ないし11の
    いずれかに記載の表面サイジング方法。
  13. 【請求項13】 請求項7ないし12のいずれかに記載
    の表面サイジング方法により製造した紙又は板紙。
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