JP2005171110A - 粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決方法】 粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)と、粉末顔料(b1)及び顔料分散剤(b2)を含む粉末着色剤(B)と、可塑剤(C)と、平均粒子径が0.1〜10μmである水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D)とを含有してなる、粉体成形用ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法。
【選択図】 なし
Description
ところが、この粉体成形用熱可塑性ポリウレタン系樹脂については、均一な肉厚を確保するために必要な粉体流動性、及び溶融性(成形して得られる表皮の平滑性)に問題があった。そこで、粉体流動性や溶融性に関しては、160℃以下で軟化しない、平均粒子径10μm以下の樹脂粉末を添加して粉体流動性を付与する方法(特許文献1参照)や、カップリング剤で表面処理された平均粒子径10μm以下の微粉末シリカを混合することで、溶融性を改良する方法(特許文献2参照)が提案されている。しかし、特許文献1記載の方法では、粉体流動性は改善されるものの、発泡ポリウレタンとの接着性(粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を成形してなる表皮と発泡ポリウレタンとの接着性)が悪いという問題があり、また、特許文献2記載の方法では、スラッシュ成形時の成形温度を高くしなければならないという問題があり、これらの解決策が求められている。
また、本発明によれば、粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)と、粉末顔料(b1)及び顔料分散剤(b2)を含む粉末着色剤(B)とを混合し、次いで、得られる混合物に、可塑剤(C)を加えて混合し、その後、得られる混合物に、平均粒子径が0.1〜10μmである水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D)を加えて混合することを特徴とする、粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法が提供される。
前記ポリエーテルポリオールとしては後述の(A22)に挙げるものが使用できる。水酸基当量500以下のものが好ましい。これらのうち好ましいものは脂肪族ジオール及び芳香環含有ジオールである。
粉末着色剤(B)の粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)に対する量比は、粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)100重量部に対する粉末着色剤(B)中の粉末顔料(b1)の含有量を基準として、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。
まず、芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β-メチルスチレン、p-メチルスチレン、4−t-ブチルスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、2−ビニルトルエン、3−ビニルトルエン、4−ビニルトルエン、4−ビニル−1,2−キシレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、5−ビニルアントラセン、などが挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
前記水酸基含有基は、特に制限はなく、例えば、−C6H4OH、−C10H6OH、−C2H4OH、−C3H6OH、−C3H6−C6H4OH、−C2H4O−C6H4OH、−C2H4O−C6H4OH、−C3H6O−C6H4OH、−C3H6O−C2H4OH、−C3H6O−C6H11(OH)2などのように、芳香族環またはアルキル基に結合した水酸基を含有したものを挙げることができる。これらは1種、あるいは2種以上を有することができる。
また、攪拌時間は、好ましくは30秒〜10分である。このような攪拌時間で混合することにより、粉末着色剤(B)の分散が均一になりやすく、また、過熱などによる粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)の溶融を防ぐことができる。
なお、攪拌は、室温下で行うのが望ましいが、高剪断による発熱が多少生じる。
また、攪拌時間は、好ましくは1分〜30分である。この攪拌時間で混合することにより、可塑剤(C)の分散が良好で、また、過熱やそれによる粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)の溶融あるいは可塑剤(C)の揮発を防ぐことができる。
なお、攪拌は、室温下で行われるのが望ましいが、ミキサーの壁面を加熱することで粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)が可塑剤(C)を吸収することを促進することもできる。なお、高剪断により、粉末樹脂の発熱が多少生じる。
また、攪拌時間は、好ましくは30秒〜10分である。この攪拌時間で混合することにより、水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D)の分散が良好で、また、過熱やそれによる粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)の溶融あるいは可塑剤(C)の揮発を防ぐことができる。
なお、攪拌は、室温下で行われるのが望ましいが、高剪断による発熱が多少生じる。
また、試験方法は下記のとおりである。
粉体の平均粒子径は、JIS標準ふるいを用いたふるい分け法による積分粒子径分布曲線が50重量%を指す目開きに相当する粒子径である。
(2)粉体流動性
JIS K6721に規定されている、かさ比重測定装置を用いて、かさ比重、粉体100mlにおける安息角、及び粉体100mlにおける流下速度を測定する。安息角は小さいほど、流下速度は速いほど粉体流動性は良好であると言える。
(3)溶融性
(イ) 300℃のオーブン中に、梨地模様(シボ)付き電鋳性金型(150×180×3mm)を放置し、金型温度が280〜300℃に到達した時点で、オーブンから金型を取り出す。
(ロ) 室内に放置して、金型表面温度が250℃に到達した時点で、500gの粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を金型に振りかけ、10秒間放置し溶融させる。
(ハ) 10秒後金型上の余剰の粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を取り除いた後、さらに室温で金型上の溶融樹脂が平滑になる(レベリング)までの時間を測定し、これを溶融時間とする。溶融時間は短いほど溶融性は良好である。
(イ) 粉体成形用材料を、表皮の作成方法(250℃に加熱した180×150×3mmのシボ付き金型に粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物500gを振りかけ,そのまま10秒間放置して溶融させる。その後直ちに余剰の該組成物を振り落とし,更に90秒経過した時点で金型を冷却水で冷却し,金型温度が40℃に下がった時点で成形シートを金型から脱型する。)に従って得た厚さ約1mmの表皮から180mm×25mmの試験片を切り取り、試験片を内寸(縦)800mm×(横)150mm×(深さ)10mmの蓋付きアルミニウム製金型に、発泡ポリウレタン樹脂形成液注入口から試験片遠方端面までの距離が600mmになるように置き、金型表面温度が40℃になるように保持した。
(ロ) 次に発泡ポリウレタン樹脂形成液注入口に、発泡ポリウレタン形成液〔ポリメリックMDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート 官能基数2.7)94.7gと、ポリエーテルポリオール(3官能性 水酸基価50 トリエチレンジアミン1.0%と水1.6%を含む)119.32gの混合物〕を注ぎ、金型の蓋を閉め密封した。金型を2分30秒間保持した後、蓋を開け発泡ポリウレタン樹脂と表皮が積層した試験片を取り出し表皮を発泡ポリウレタン樹脂形成液注入口側から剥がし、凝集破壊(発泡層破壊)した部分の距離を測定した。凝集破壊(発泡層破壊)した部分の距離が遠いほどウレタン接着性は良好であることを示す。またウレタン接着性は下記のように表示する。
○:550〜600mm、△:450〜550mm、×:450mm以下。
(5)脱型性
250℃に加熱した120×70×3mmの金型(鏡面)に、粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物100gを振りかけ、そのまま10秒間放置して溶融させる。その後、直ちに余剰の該組成物を振り落とし、さらに90秒間経過した時点で金型を冷却水で冷却し、金型温度が40℃に下がった時点で成形シートを金型から20mm/秒の引張速度で剥離し、その時の脱型力(単位N/70mm)を測定する。
ポリエステル−1: 1,4−ブタンジオールとアジピン酸から得られる芳香環非含有ポリエステルポリオール。水酸基価=110mgKOH/g、平均官能基数=2。
ポリエステル−2: イソフタル酸/アゼライン酸=1/1(モル比)、エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=9/1(モル比)から得られる芳香環含有ポリエステルポリオール。水酸基価=56mgKOH/g、芳香環含有量=1.97mmol/g、平均官能基数=2。
ポリエステル−3: 3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸から得られる芳香環非含有ポリエステルポリオール。水酸基価56mgKOH/g、平均官能基数2。
〔粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)の合成に用いる、分散媒の説明〕
分散媒: パラフィン系溶媒、商品名:シェルゾール71(シェル化学(株)社製)。沸点170〜200℃。
(1)分子内に不飽和結合を有するポリオールの合成
攪拌機、温度計、留出塔、窒素ガス導入管を備えた反応釜に、ポリエステル−1を1,000重量部、及び無水マレイン酸を49重量部投入し、窒素ガスを流しながら加熱混合した。温度を140〜160℃にして反応させ、縮合水を系外に出した後、さらに系内を徐々に減圧しながら反応を続け、最終的に190℃、30mmHgの条件で4時間反応した後、反応終了とした。得られたポリオ−ルの水酸基価は53mgKOH/g、酸価4.1mgKOH/gであった。このポリオールは数平均分子量2,100で、1分子中に平均1個の二重結合を有するものであった。
(2)分散安定剤の合成
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却器を備えた反応釜に、(1)で合成したポリオール44重量部及び酢酸ブチル99重量部を投入した。窒素ガスを滴下ロートの上部から系内に流しながら加熱混合する。110℃になったとき、滴下ロートからラウリルメタクリレート102重量部及びベンゾイルパ−オキサイド2重量部の溶解混合物を滴下開始した。1時間半で滴下終了し、その後130℃で2時間反応させ反応終了とした。この分散安定剤の水酸基価は11mgKOH/gであった。
高速仕様攪拌モーターを備えた反応釜に、前述した分散安定剤を18.2重量部、100℃に加温したポリエステル−2を51.7重量部、ポリエステル−3を23.0重量部、1,4−ブタンジオールを5.9重量部、ジブチル錫ジラウレートを0.002重量部仕込み、均一に混合した後、前述した分散媒を100.0重量部仕込みさらに高速攪拌を10分間行った。次にヘキサメチレンジイソシアネートを17.4重量部仕込み、80℃に昇温し、4時間反応させた後、遠心脱水機にて分散媒と樹脂とを分離、減圧乾燥して、平均粒子径260μm、数平均分子量Mn=27,000の、真球状の、粉末状熱可塑性ポリウレタン(A−1)を99.5重量部得た。
住化カラー(株)社製 PV−7A1301(粉末顔料である酸化チタンと顔料分散剤である炭酸カルシウムを70/30の割合で混合したもの)を粉末着色剤(B−1)とした。
住化カラー(株)社製 PV−817(粉末顔料であるカーボンブラックと顔料分散剤である炭酸カルシウムを40/60の割合で混合したもの)を粉末着色剤(B−2)とした。
二段翼を有する10リットルのステンレス製予備混合容器に、蒸留水200部を仕込んだ。さらに、スチレン35重量%、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)30重量%、及びメタクリル酸メチル(MMA)35重量%からなる単量体混合物40部、炭素数18の直鎖高級アルコール1.0部、ラウリル硫酸ナトリウム0.5部及び過酸化ベンゾイル0.3部を仕込み、30℃で1時間混合を行った後、撹拌によって形成された懸濁液をホモジナイザーに通してから、二段翼を有する別の10リットルのステンレス製耐圧容器中に移送して、60℃で微細懸濁重合を行い、水酸基含有芳香族ビニル共重合体を製造した。重合転化率98%であった。得られた水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D−1)の平均粒子径は2.2μmであった。
内容量10リットルのヘンシェルミキサーに、前記粉末状熱可塑性ポリウレタン(A−1)100重量部、粉末着色剤(B−1)1.8重量部、及び粉末着色剤(B−2)0.18重量部を入れ、1000rpmで1分間混合し、粉末状熱可塑性ポリウレタン(A−1)と粉末着色剤(B−1,B−2)との混合物を得た。
内容量10リットルのヘンシェルミキサーに、前述の、粉末状熱可塑性ポリウレタン(A−1)と粉末着色剤(B−1,B−2)との混合物が入った状態で、さらに可塑剤(C−1)としてRS−107(アジピン酸ジエステル系:旭電化工業(株)社製)5重量部を入れ、1000rpmで5分間混合した後、前述した、平均粒子径が2.2μmである水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D−1)を3重量部入れ、1000rpmでさらに1分間混合し、粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られた粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物について、粉体流動性、溶融性、ウレタン接着性、及び脱型性を測定した。結果を表1に示す。
水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D−1)の代わりに、平均粒子径が50μmであり、単量体単位組成はD−1と同じである、水酸基含有芳香族ビニル共重合体3重量部を使用した他は、実施例1と同様の操作を行い、粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を作製した。結果を表1に示す。
水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D−1)の代わりに、アクリル系樹脂粉末 ハイブレンB409S(日本ゼオン社製)3重量部を使用した他は、実施例1と同様の操作を行い、粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を作製した。結果を表1に示す。
水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D−1)の代わりに、アエロジルA200(微粒子シリカ;日本アエロジル社製)3重量部を使用した他は、実施例1と同様の操作を行い、粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を作製した。結果を表1に示す。
粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を作製するに際し、平均粒子径が2.2μmである水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D−1)の代わりに、平均粒子径が50μmである水酸基含有芳香族ビニル共重合体を用いた比較例1及びアクリル系樹脂粉末 ハイブレンB409Sを用いた比較例2では、共にウレタン接着性が不良であった。
また、水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D−1)の代わりに、微粒子シリカ アエロジルA200を用いた比較例3では、溶融性及びウレタン接着性が不良であった。
Claims (3)
- 粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)と、
粉末顔料(b1)及び顔料分散剤(b2)を含む粉末着色剤(B)と、
可塑剤(C)と、
平均粒子径が0.1〜10μmである水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D)とを含有してなる、粉体成形用ポリウレタン樹脂組成物。 - さらに水酸基変性及び/又は(メタ)アクリロキシ基変性シリコーンオイル(E)を含有してなる、請求項1記載の粉体成形用ポリウレタン樹脂組成物。
- 粉末状熱可塑性ポリウレタン(A)と、
粉末顔料(b1)及び顔料分散剤(b2)を含む粉末着色剤(B)とを混合し、次いで、得られる混合物に、
可塑剤(C)を加えて混合し、その後、得られる混合物に、
平均粒子径が0.1〜10μmである水酸基含有芳香族ビニル共重合体(D)を加えて混合することを特徴とする、粉体成形用熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
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