JP2005170833A - 経皮吸収型貼付剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚透過性、保存安定性、皮膚粘着性に優れ、皮膚刺激性が少ない5−HT受容体拮抗薬経皮吸収型貼付剤を提供すること。
【解決手段】支持体上に、粘着基剤及びセロトニン受容体拮抗薬を含有する粘着剤組成物層が設けられた経皮吸収型貼付剤である。粘着基剤がスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とロジン系粘着付与剤とを含有するゴム系粘着剤または架橋アクリル系粘着剤であり、セロトニン受容体拮抗薬が塩酸塩構造を有する5−HT受容体拮抗薬またはその塩酸の少なくとも一部が解離した塩基であり、粘着剤組成物がプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、癌化学療法時の嘔吐抑制効果等に優れる5−HT受容体拮抗薬を経皮的に体内に連続投与することができる経皮吸収型貼付剤に関する。
セロトニン受容体は、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン、略称「5−HT」)と結合し、細胞内に生理活性をもたらす受容体である。セロトニン受容体(レセプター)には、5−HTなど10種以上のサブタイプの存在が知られている。5−HT受容体拮抗薬(アンタゴニスト)は、癌化学療法剤の投与時の嘔吐抑制剤(「制吐剤」ともいう)や過敏性腸症候群治療薬として、経口投与されている。
しかし、5−HT受容体拮抗薬を経口投与すると、薬物の初回通過効果や垂体外路系の副作用を生じることに加えて、薬物の血中濃度の制御が困難である。薬物の血中濃度が一時的または継続的に高くなりすぎると、副作用が発現しやすくなる。薬物の血中濃度が低くなりすぎると、薬効を安定して持続させることができない。
従来、5−HT受容体拮抗薬の経口投与に伴う前記の諸問題を克服するために、5−HT受容体拮抗薬を皮膚に貼付して使用する経皮吸収型製剤とする方法が提案されている。例えば、薬剤非透過性の裏打ち材層、セロトニン受容体拮抗薬を含有する薬剤貯蔵層、及び薬剤の放出を制御する感圧性接着剤層(すなわち「薬剤放出層」)よりなる少なくとも3個の層を有する経皮治療装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の経皮治療装置では、治療に有効量のセロトニン受容体拮抗薬が薬剤液の貯蔵層から薬剤放出層を通過して皮膚表面へと供給され、さらに皮膚を透過して体内に吸収される。この経皮治療装置を用いると、治療に有効量のセロトニン受容体拮抗薬を持続的に経皮吸収させることができ、しかも薬物の初回通過効果を回避し、かつ副作用を低減することができる。しかし、この経皮治療装置は、裏打ち材層、薬剤貯蔵層、感圧性接着剤層などを含む少なくとも3個の層から形成する必要があるため、製造工程が複雑であり、コストが高くなるという問題がある。
他方、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、軟化剤、粘着付与樹脂、薬物、及びヘキシレングリコールを含有する経皮吸収製剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この文献には、経皮吸収製剤に有効な薬物として、卵胞ホルモンや黄体ホルモンをはじめとする広範な薬物が開示されており、制吐剤も例示されている。しかし、ヘキシレングリコールは、吸収促進剤としての作用が十分ではなく、経皮吸収性を高めるために多量に配合すると、ブリードする傾向が著しくなる。
特開平10−167956号公報 特開平11−1441号公報
本発明の課題は、皮膚粘着性、保存安定性、皮膚透過性に優れ、皮膚刺激性が少ない5−HT受容体拮抗薬経皮吸収型貼付剤を提供することにある。また、本発明の他の課題は、製剤の構成がシンプルで、製造工程も煩雑ではない5−HT受容体拮抗薬経皮吸収型貼付剤を提供することにある。
発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、支持体上に、粘着基剤及びセロトニン受容体拮抗薬を含有する粘着剤組成物層が設けられた経皮吸収型貼付剤において、粘着剤組成物層を特定の粘着基剤と特定の吸収促進剤と特定のセロトニン受容体拮抗薬とを組み合わせて含有する粘着剤組成物により形成することによって、前記課題を達成できることを見出した。
具体的に、粘着基剤としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とロジン系粘着付与剤とを含有するゴム系粘着剤または架橋アクリル系粘着剤を使用し、該粘着基剤に対して、吸収促進剤としてプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを配合すると、5−HT受容体拮抗薬の皮膚透過性が向上することが見出された。特に、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを多量に配合すると、5−HT受容体拮抗薬の皮膚透過性が顕著に向上する。しかも、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを多量に配合しても、皮膚刺激性が昂進することがない。
また、ゴム系粘着剤に配合する粘着付与剤として、ロジン系粘着付与剤を選択すると、吸収促進剤としてプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを多量に配合しても、該吸収促進剤のブリードを抑制することができる。粘着基剤として、架橋したアクリル系粘着剤を用いた場合にも、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルのブリードを抑制することができる。
5−HT受容体拮抗薬としては、塩酸塩構造を有する5−HT受容体拮抗薬を用いるが、粘着剤組成物層中で、その塩酸の少なくとも一部が解離した塩基状態とすることにより、皮膚透過性を更に高めることができる。
本発明の経皮吸収型貼付剤は、層構成が簡単で、しかも所望箇所の皮膚表面に貼付するだけで、5−HT受容体拮抗薬が皮膚を透過して血中に到達し、有効量の薬物を持続的に投与することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、支持体上に、粘着基剤及びセロトニン受容体拮抗薬を含有する粘着剤組成物層が設けられた経皮吸収型貼付剤において、
(1)粘着基剤が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とロジン系粘着付与剤とを含有するゴム系粘着剤、及び多価イソシアネート系架橋剤、多価エポキシ樹脂系架橋剤または多価金属系架橋剤により架橋したアクリル系粘着剤から選ばれる粘着剤であり、
(2)セロトニン受容体拮抗薬が、塩酸塩構造を有する5−HT受容体拮抗薬またはその塩酸の少なくとも一部が解離した塩基状態の5−HT受容体拮抗薬であり、かつ、
(3)粘着剤組成物が、吸収促進剤としてプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを粘着剤組成物全量規準で10重量%超過50重量%未満の割合で更に含有するものである
ことを特徴とする経皮吸収型貼付剤が提供される。
本発明の5−HT受容体拮抗薬経皮吸収型貼付剤は、皮膚透過性、保存安定性、皮膚粘着性に優れ、皮膚刺激性が少ない。また、本発明の経皮吸収型貼付剤は、製剤の構成が単純で、製造工程も簡単である。
本発明では、セロトニン受容体拮抗薬として、塩酸塩構造を有する5−HT受容体拮抗薬を使用する。この5−HT受容体拮抗薬は、粘着剤組成物中に、その塩酸の少なくとも一部が解離した塩基状態で含有させることが好ましい。5−HT受容体拮抗薬は、例えば、癌化学療法剤の投与時にしばしば発現する嘔吐の抑制のために、制吐剤として使用されている。
本発明で使用する塩酸塩構造の5−HT受容体拮抗薬としては、例えば、塩酸グラニセトロン、塩酸アザセトロン、塩酸オンダンセトロン、塩酸ラモセトロンなどの一般名で呼ばれているものが挙げられる。これらの他に、塩酸塩構造の5−HT受容体拮抗薬としては、例えば、(+)−8,9−ジヒドロ−10−メチル−7−[(5−メチル−4−イミダゾリル)メチル]ピリド[1,2−a]インドール−6(7H)−オン塩酸塩、(R)−5−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イルカルボニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンズイミダゾール塩酸塩、エンド−N−(3,9−ジメチル−3,9−ジアザビシクロ[3,3,1]ノン−7−イル)−1H−インダゾール−3−カルボキシアミド二塩酸塩などを挙げることができる。これらの中でも、塩酸グラニセトロン、塩酸アザセトロン、塩酸オンダンセトロン、及び塩酸ラモセトロンが好ましい。これらの5−HT受容体拮抗薬は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
5−HT受容体拮抗薬の粘着剤組成物全量に対する配合割合は、治療に有効な量であればよいが、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは2〜35重量%、特に好ましくは3〜30重量%である。この配合割合が小さすぎると、吸収促進剤のプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを多量に配合しても、充分な皮膚透過性を得ることが困難になる。この配合割合が大きすぎると、初期放出量が多くなりすぎて、薬物の血中濃度の急上昇による副作用のおそれが生じる。多くの場合、5−HT受容体拮抗薬を粘着剤組成物全量規準で8〜30重量%の配合割合で含有させることにより、皮膚透過速度を最も好ましい水準とすることができる。
本発明で使用する5−HT受容体拮抗薬は、塩酸塩の構造を有しているが、塩酸が解離した塩基の状態で更に高い皮膚透過性を示すため、粘着基剤に添加する前に、予め塩基性物質により塩酸の全てあるいは一部を解離させておくことが望ましい。塩酸塩構造の5−HT受容体拮抗薬を添加後の粘着剤組成物中に塩基性物質を添加することにより、塩酸の少なくとも一部が解離した塩基状態とすることもできる。塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機物質;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機物質;を使用することができる。塩基性物質は、塩酸の解離に必要な化学量論的な量比で用いることができる。
本発明では、吸収促進剤(「経皮吸収促進剤」ともいう)として、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを使用する。脂肪酸としては、炭素数が通常6〜30、好ましくは9〜21の飽和または不飽和モノカルボン酸を挙げることができる。プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルの好ましい具体例としては、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノオレエートが挙げられる。
プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルの粘着剤組成物全量に対する配合割合は、10重量%超過50重量%未満、好ましくは15〜45重量%、より好ましくは20〜40重量%である。この配合割合が小さすぎると、5−HT受容体拮抗薬の皮膚透過速度が遅くなり、薬物の経皮吸収性が不充分となりやすい。この配合割合が大きすぎると、経時によるプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルの粘着剤組成物層からのブリードが起こりやすくなる。
本発明では、粘着基剤として、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とロジン系粘着付与剤とを含有するゴム系粘着剤または架橋アクリル系粘着剤を使用する。特定の粘着基剤を用いることにより、皮膚表面への粘着性、5−HT受容体拮抗薬の皮膚透過性(経皮吸収性)、保存安定性(耐ブリード性)等の諸特性に優れ、しかも皮膚刺激性の少ない経皮吸収型貼付剤を得ることができる。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SISブロック共重合体」と呼ぶことがある)は、例えば、アニオンリビング重合法によって、先ず、スチレンを重合させてポリスチレンブロック(リビングポリマー)を形成し、このポリスチレンブロックの存在下にイソプレンを重合させてイソプレンブロックを形成し、最後に、スチレン−イソプレンブロック共重合体(リビングポリマー)の存在下にスチレンを重合させてポリスチレンブロックを形成することにより合成することができる。このような逐次重合法によれば、一般に、線状のブロック共重合体を得ることができる。
また、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、アニオンリビング重合法により合成したスチレン−イソプレンブロック共重合体(リビングポリマー)をカップリング反応させることによって合成することができる。カップリング反応法によれば、カップリング剤の種類にもよるが、一般に、分岐状のブロック共重合体を得ることができる。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体のみで構成されていてもよいが、このトリブロック共重合体とスチレン−イソプレンジブロック共重合体との混合物であってもよい。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体のスチレン含有量は、好ましくは10〜35重量%、より好ましくは12〜30重量%、さらに好ましくは14〜25重量%である。スチレン含量が少なすきると、ポリスチレン相による擬似架橋効果が低下し、熱可塑性エラストマーとしての性質が損なわれる。スチレン含量が多すぎると、ゴム弾性が低下して、硬くなりすぎる。スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、常温でポリスチレン相が擬似架橋点となって働くため、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルの如き液状成分を多量に含有させても、その中に保持することができる。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体中のスチレン−イソプレンジブロック共重合体成分の含有量は、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、ジブロック共重合体成分の含有量が異なる2種以上の共重合体の混合物であってもよい。
市販のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としては、例えば、シェル化学製のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(商品名「カリフレックスTR−1107」、「カリフレックスTR−1111」)、日本合成ゴム(ジェー・エス・アール)社製のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(商品名「JSR5000」、「JSR5100」)、日本ゼオン社製のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(商品名「クインタック3421」、「クインタック3520」)が挙げられる。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の配合割合は、粘着剤組成物全量基準で、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは25〜35重量%である。この配合割合が過小であると、多量のプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを保持することが困難になり、粘着剤組成物の凝集力も低下する。この配合割合が過大であると、他成分の配合割合が低下し、諸特性のバランスが悪化することがある。
本発明では、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体と組み合わせて使用する粘着付与剤としてロジン系粘着付与剤を選択して使用する。各種粘着付与剤の中からロジン系粘着付与剤を選択して使用すると、他の粘着付与剤を用いた場合に比べて、皮膚表面に対する適当な粘着力を発揮するだけではなく、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを多量に配合しても、ブリードを効果的に抑制し、経時において安定して粘着剤組成物層中に保持することができる。
ロジン系粘着付与剤としては、ロジンエステル〔例えば、荒川化学(株)製、商品名「パインクリスタルKE−311」、「パインクリスタルKE−100」、「スーパーエステルS−100」〕、水添ロジンエステル〔例えば、理化ハーキュレス(株)製、商品名「フォーラル105」〕、水添ロジン、天然樹脂ロジンなどが挙げられる。これらの中でも、ロジンエステル及び水添ロジンエステルが好ましい。
ロジン系粘着付与剤とともに、必要に応じて、他の粘着付与剤を併用することができる。他の粘着付与剤としては、例えば、テルペン系、合成樹脂(C)系、合成樹脂(C)系、フェノール樹脂系、キシレン樹脂系などの各種粘着付与剤;脂環族石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂などのその他の粘着付与剤;を挙げることができる。
ロジン系粘着付与剤の配合割合は、粘着剤組成物全量基準で、好ましくは25〜55重量%、より好ましくは30〜50重量%、特に好ましくは35〜45重量%である。この配合割合が小さすぎると、皮膚表面に対する粘着力が不充分になりやすく、大きすぎると、他成分の配合割合が低下して、諸特性のバランスが悪化しやすくなる。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を含有するゴム系粘着剤には、粘着付与剤以外に、必要に応じて、充填剤、酸化防止剤、軟化剤などの各種添加剤を含有させることができる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、タルクなどが挙げられる。充填剤の配合割合は、粘着剤組成物全量基準で、通常0〜15重量%、好ましくは0〜10重量%である。酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(「BHT」と略記)、ジブチルヒドロキシアニソール(「BHA」と略記)などのフェノール系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤は、粘着剤組成物全量基準で、通常0〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。軟化剤としては、流動パラフィン、ポリブテン、ヒマシ油、綿実油、パーム油、ヤシ油、プロセスオイルなどが挙げられる。軟化剤は、必要に応じて適量を用いることができる。
本発明では、粘着基剤として架橋アクリル系粘着剤を使用することができる。アクリル系粘着剤としては、例えば、ブチルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート等の炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体;これらの(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、ビニルピロリドン、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等の共重合可能な他のモノマーの1種以上と共重合してなる共重合体;が挙げられる。他のモノマーは、通常2〜50重量%の範囲で用いられる。
アクリル系粘着剤は、トルエン、へキサン、酢酸エチル等の有機溶剤中で、過酸化ベンゾイル等の過酸化物等を開始剤として使用し、モノマーを窒素雰囲気下で重合することにより得ることができる。この方法により得られるアクリル系粘着剤は、溶剤型アクリル系粘着剤と呼ばれている。また、モノマーを水中で乳化剤にて乳化分散後、重合して得られるエマルジョン型アクリル系粘着剤も使用することができる。
アクリル系粘着剤を架橋するには、重合後、アクリル系粘着剤を多価イソシアネート系架橋剤(「ポリイソシアネート系架橋剤」ともいう)、多価エポキシ樹脂系架橋剤、多価金属系架橋剤などの架橋剤を用いて架橋する。これらの架橋剤は、一般に、粘着剤組成物を調製する際に、その中に添加する。架橋剤の種類としては、他に尿素樹脂やポリアミンがあるが、粘着剤組成物中で薬物と反応する場合がある。また、架橋法としては、電子線架橋法もあるが、電子線照射によって薬物が他の成分と反応したり、変質することがある。したがって、アクリル系粘着剤と安定して反応する点で、多価イソシアネート系架橋剤、多価エポキシ樹脂系架橋剤、及び多価金属系架橋剤が好ましい。
アクリル系粘着剤を架橋することにより、皮膚表面に対する適度の粘着力を保持しつつ、皮膚刺激性を低減し、さらには、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを多量に含有させてもブリードを効果的に抑制することができる。その結果、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを多量に含有させて、薬物放出性を高めることができる。
架橋剤の使用量は、アクリル系粘着剤(アクリル系重合体)100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜2重量部であり、この範囲内から、粘着特性、薬効成分のブリード性等を考慮し、適宜選ばれる。
本発明の経皮吸収型貼付剤は、一般的な経皮吸収型貼付剤の製造方法であるカレンダー法や溶液塗工法などにより、支持体上または剥離ライナー(セパレータともいう)上に粘着剤組成物層を形成することにより製造することができる。本発明の経皮吸収型貼付剤は、一般に、支持体/粘着剤組成物層/剥離ライナーの層構成を有している。このような層構成の原反を適当な形状に裁断または打抜きすることにより、製品とすることができる。
カレンダー法は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を含有するゴム系粘着剤の場合に用いられる。先ず、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体と酸化防止剤とを120〜140℃程度の温度で5〜20分間程度の時間混練りした後、粘着付与剤を加えて、更に10〜20分間程度の時間混練りを行う。混練りの温度及び時間は、各成分の配合量などを考慮して、前記範囲で調節することが好ましい。必要に応じて、充填剤等の他の添加剤成分を添加する場合には、均一に分散するように、適宜混練りを行う。次に、混合物の温度を80〜120℃程度の温度に下げ、吸収促進剤であるプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを少量ずつ添加し、その都度混練りする。最後に、予め塩基性物質の添加によって塩酸を解離して塩基状態とした5−HT受容体拮抗薬を加えて、5〜10分間程度の時間混練りを行い、各構成成分が均一となった粘着剤組成物(膏体ともいう)を調製する。薬物は、予め吸収促進剤であるプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルに混ぜて溶解・分散させておき、その状態で混合物中に添加することもできる。このようにして得られた粘着剤組成物を剥離ライナー上に30〜250μm程度の厚さに展延する。
溶液塗工法では、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を含有するゴム系粘着剤を使用する場合には、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、粘着付与剤、吸収促進剤、充填剤、酸化防止剤などの全成分を、n−へキサン、トルエン、酢酸エチル等の有機溶剤中で、1〜10時間程度の時間攪拌して均一に溶解・分散させる。
溶剤重合型アクリル系粘着剤の場合は、重合完了後の反応溶液をそのままで、あるいは有機溶剤を加え塗工に適した粘度に希釈した溶液を使用する。エマルジョン型アクリル系粘着剤の場合は、重合完了後のエマルジョン液をそのままで、あるいは増粘剤を適量加えた液を用いる。次に、アクリル系粘着剤を含有する溶液またはエマルジョン液に、予めプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルに混ぜて溶解・分散させておいた5−HT受容体拮抗薬を加えて、更に10〜120分間程度の時間攪拌する。アクリル系粘着剤を架橋するために、更に架橋剤を適量加える。
このようにして得られた溶液またはエマルジョン液を、ナイフコーター、コンマコーター、リバースコーター等の塗工機を用いて、例えば、シリコーン処理したポリエステルフィルムなどの剥離ライナー上に均一に塗布する。塗布後、40〜120℃程度の温度に保持した乾熱雰囲気下に1〜10分間程度の時間置き、溶剤を揮散させる。その際、溶媒の種類及び塗布する粘着剤組成物層の厚さにより、適切な乾燥条件を設定する。
前記の方法にて得られた粘着剤組成物層の表面に支持体をラミネートすることにより、本発明の経皮吸収型貼付剤を得ることができる。支持体の種類によっては、支持体上に粘着剤組成物層を形成してから、粘着剤組成物層の表面に剥離ライナーをラミネートしてもよい。
支持体としては、例えば、フィルム、不織布、和紙、綿布、編布、不織布とフィルムのラミネート複合体などが挙げられる。支持体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ナイロン、コットン、アセテートレーヨン、レーヨン、レーヨン/ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、エステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、セロハン等が挙げられる。支持体としては、薬物を吸着し難く、かつ、支持体側から薬物を放出し難いものが好ましい。
剥離ライナーとしては、シリコーン処理したポリエステルフィルム、シリコーン処理したポリエチレンラミネート上質紙、シリコーン処理したグラシン紙などが挙げられる。剥離ライナーとしては、薬物を吸収・吸着しにくい材質からなるものであることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。諸特性の試験方法は、次のとおりである。
(1)薬物の皮膚透過試験:
ヘアレスマウス(オス、7週齢)の腹部皮膚を摘出し、15mmφに打ち抜いた製剤を皮膚に貼付して、フランツ(Franz)型拡散セルに装着した。レシーバー溶液(精製水)を拡散セル中に満たし、循環水により実験中はセル温度を32℃に保った。製剤を皮膚に貼付してから2時間経過するごとに24時間までレシーバー溶液を一定量ずつ採取し、薬物の濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。測定結果は、時間を横軸とし、薬物の累積透過量を縦軸とするグラフとしてプロットした。累積透過量曲線が一定の傾斜角度を有する直線となる部分の勾配αを算出し、フラックス(皮膚透過速度)を求めた。
(2)ウサギ皮膚一次刺激試験:
被験物質投与1週間前にウサギ(オス、試験時18週齢)の背部皮膚を電気バリカンで刈毛し、電気カミソリで剃毛した。各被験物質(25mm×25mm)を剃毛した背部の健常皮膚に貼付した後、伸縮包帯〔シンシクタイ、ニチバン(株)製〕及び粘着性布伸縮包帯〔エラストポア、ニチバン(株)〕で固定した。貼付24時間後に被験物質をゆっくりと剥がして除去し、除去直後、1時間後、24時間後、及び48時間後の皮膚反応を肉眼で観察した。皮膚反応は、ドレイツ(Draiz)の基準に従って評価した。除去1時間後と48時間後の皮膚反応の評点(紅斑、浮腫)を合計し、この合計を〔試験動物数×2〕で割って、皮膚刺激指数を算出した。皮膚刺激性は、以下の基準で評価することができる。
<皮膚刺激性の判定基準>
皮膚刺激指数が0〜2…弱い刺激物、
皮膚刺激指数が3〜5…中程度の刺激物、
皮膚刺激指数が6以上…強度の刺激物。
<皮膚反応の判定基準>
A.紅斑及び痂皮の形成
0…紅斑なし、
1…ごく軽度の紅斑、
2…明らかな紅斑、
3…中程度から強い紅斑、
4…深紅色の強い紅斑に軽い痂皮形成。
B.浮腫
0…浮腫なし、
1…ごく軽度の浮腫、
2…明らかな浮腫(周囲と明らかに区分)、
3…中程度の浮腫(約1mm盛り上がっている)、
4…強い浮腫(1mm以上の盛り上がり、周囲にも広がる)。
(3)対ウサギ皮膚粘着力:
被験物質投与1週間前にウサギ(オス、試験時18週齢)の背部皮膚を電気バリカンで刈毛し、電気カミソリで剃毛した。各被験物質(5mm巾×70mm)を剃毛した背部の健常皮膚に貼付した後、伸縮包帯〔シンシクタイ、ニチバン(株)製〕及び粘着性布伸縮包帯〔エラストポア、ニチバン(株)〕で固定した。貼付24時間後に、万能引張圧縮試験機にて、90度の剥離角度、100mm/分の剥離速度(クロスヘッド移動速度)で皮膚粘着力を測定した。
(4)ブリードの有無の確認:
被験物質の剥離ライナーを剥がし、剥離ライナー上への液状物質の浸出の有無を肉眼で判断した。分かりにくい場合には、剥離ライナー上を指で擦って、表面を肉眼で確認した。指で擦ることにより、ごく僅かなブリードでも肉眼による判断が容易となる。
[実施例1]
表1に示す配合処方により、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体〔日本ゼオン(株)製、商品名「クインタック3520」〕、ロジンエステル〔荒川化学(株)製、商品名「パインクリスタルKE−311」〕、酸化防止剤(BHT)、プロピレングリコールモノラウレート、及び塩酸アザセトロン(水酸化ナトリウムにより塩酸を解離して、塩基の状態すなわちアザセトロンとして添加)を用いて塗工液を調製した。具体的には、前記成分の合計量100重量部に、溶剤としてトルエン80重量部を加え、攪拌溶解することにより塗布液を調製した。この塗布液を厚さ30μmのポリエチレンフィルム(支持体)上に塗工した後、110℃で2分間乾燥させ、粘着剤組成物層の厚さが50μmの貼付剤を作製した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、この貼付剤は、皮膚表面に対して適度の粘着力を示し、薬物の皮膚透過速度が大きく、皮膚刺激性が小さなものである。さらに、この貼付剤は、粘着剤組成物層が25重量%のプロピレングリコールモノラウレートを含有しているにもかかわらず、ブリードが認められず、保存安定性に優れている。
[比較例1]
吸収促進剤のプロピレングリコールモノラウレートの配合割合を25重量%から5重量%に変更し、それに合わせて薬物以外の他の成分の配合割合を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。結果を表1に示す。
薬物のアザセトロンの配合割合は、実施例1と同じ10重量%であったが、薬物の皮膚透過速度がほぼ半減していることが分かる。実施例1と比較例1との対比結果から、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルの配合割合を10重量%超過、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上とすることが、経皮吸収性の観点から好ましいことが分かる。
[比較例2]
吸収促進剤をプロピレングリコールモノラウレートからパルミチン酸イソプロピルに代えたこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。結果を表1に示す。この貼付剤は、粘着剤組成物層のアザセトロンの含有量が10重量%であったが、薬物の皮膚透過速度が低いものであった。
[比較例3]
吸収促進剤をプロピレングリコールモノラウレートからポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテルに代え、各成分の配合割合を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。結果を表1に示す。この貼付剤は、薬物の皮膚透過性に優れるものの、皮膚刺激性が強いものであった。
[比較例4]
粘着付与剤をロジンエステルからテルペン樹脂〔ヤスハラケミカル(株)製、商品名「YSレジンPX1150N」〕に代えたこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。結果を表1に示す。
この貼付剤は、薬物の皮膚透過性に優れているが、プロピレングリコールモノラウレートのブリードがあり、保存安定性が不充分であった。実施例1と比較例4との対比結果から、SISブロック共重合体を用いる場合、ロジン系粘着付与剤を用いるとブリードを抑制できることが分かる。
[比較例5]
粘着付与剤をロジンエステルから脂環族石油樹脂〔荒川化学(株)製、商品名「アルコンP100」〕に代えたこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。結果を表1に示す。
この貼付剤は、薬物の皮膚透過性に優れているが、プロピレングリコールモノラウレートのブリードがあり、保存安定性が不充分であった。実施例1と比較例5との対比結果から、SISブロック共重合体を用いる場合、ロジン系粘着付与剤を用いるとブリードを抑制できることが分かる。
[実施例2]
吸収促進剤をプロピレングリコールモノラウレートからプロピレングリコールモノカプリレートに代えたこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、この貼付剤は、皮膚表面に対して適度の粘着力を示し、薬物の皮膚透過速度が大きく、皮膚刺激性が小さなものである。さらに、この貼付剤は、粘着剤組成物層が25重量%のプロピレングリコールモノカプリレートを含有しているにもかかわらず、ブリードが認められず、保存安定性に優れている。
[実施例3]
アクリル酸2−エチルヘキシル87重量%、酢酸ビニル10重量%、及びアクリル酸3重量%からなるモノマー成分を共重合して、アクリル系粘着剤を調製した。具体的には、攪拌機、温度計、及び冷却管を装着したフラスコに、前記のモノマー成分20重量部を仕込み、モノマー成分全体が50重量%となるように溶剤として酢酸エチルを加えた。全モノマー成分量の0.5重量%の過酸化ラウロイルをラジカル重合開始剤として用い、窒素気流中にて20時間攪拌還流下で重合を行った。反応溶液に、アザセトロン(塩基状態としたもの)を全量混ぜて溶解・分散させておいたプロピレングリコールモノラウレートを加えて攪拌し、最後に、2官能イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業製、商品名「コロネートL」)を0.3重量部加えて、塗工液を得た。各成分の配合割合は、表1に示すとおりである。この塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、この貼付剤は、粘着基剤として架橋アクリル系粘着剤を用いたことにより、皮膚表面に対して適度の粘着力を示し、薬物の皮膚透過速度が大きく、皮膚刺激性が小さなものである。さらに、この貼付剤は、粘着剤組成物層が30重量%のプロピレングリコールモノラウレートを含有しているにもかかわらず、ブリードが認められず、保存安定性に優れている。
[実施例4]
薬物をアザセトロン10重量%からグラニセトロン(塩基状態としたもの)3重量%に変更し、それに合わせてプロピレングリコールモノラウレート以外の成分の配合割合を表1に示すように変更し、さらに、粘着剤組成物層の厚みを50μmから20μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。結果を表1に示す。この貼付剤は、薬物の配合割合が3重量%と小さいものであったが、皮膚粘着性、薬物の皮膚透過速度、皮膚刺激性が良好であった。
[実施例5]
薬物をアザセトロンからオンダンセトロン(塩基状態としたもの)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、この貼付剤は、皮膚表面に対して適度の粘着力を示し、薬物の皮膚透過速度が大きく、皮膚刺激性が小さなものである。さらに、この貼付剤は、粘着剤組成物層が25重量%のプロピレングリコールモノラウレートを含有しているにもかかわらず、ブリードが認められず、保存安定性に優れている。
[実施例6]
薬物をアザセトロン10重量%からラモセトロン(塩基状態としたもの)3重量%に変更し、それに合わせてプロピレングリコールモノラウレート以外の成分の配合割合を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。結果を表1に示す。この貼付剤は、薬物の配合割合が3重量%と小さいものであったが、皮膚粘着性、薬物の皮膚透過速度、皮膚刺激性が良好であった。
Figure 2005170833
<考察>
表1の結果から明らかなように、本発明の経皮吸収型貼付剤(実施例1〜6)は、5−HT受容体拮抗薬の皮膚透過性、皮膚粘着性に優れ、皮膚刺激性が少ないことが分かる。プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルの配合割合を10重量%超過、より好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上とすることが、経皮吸収性の観点から好ましいことが分かる(実施例1と比較例1との対比)。また、粘着基剤としてSISブロック共重合体を含有するゴム系粘着剤を用いる場合、ロジン系粘着付与剤を用いるとブリードを抑制することができ、保存安定性に優れることが分かる(実施例1と比較例4及び5との対比)。
比較例2及び3に示すように、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル以外の吸収促進剤を使用した場合には、薬物の含有量が多くても薬物の皮膚透過速度が低かったり(比較例2)、薬物の皮膚透過性が良好な場合でも、皮膚刺激性が強い(比較例3)などの現象が認められた。
本発明の経皮吸収型貼付剤は、癌化学療法剤の投与時の嘔吐抑制や過敏性腸症候群治療などに用いることができる。

Claims (2)

  1. 支持体上に、粘着基剤及びセロトニン受容体拮抗薬を含有する粘着剤組成物層が設けられた経皮吸収型貼付剤において、
    (1)粘着基剤が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とロジン系粘着付与剤とを含有するゴム系粘着剤、及び多価イソシアネート系架橋剤、多価エポキシ樹脂系架橋剤または多価金属系架橋剤により架橋したアクリル系粘着剤から選ばれる粘着剤であり、
    (2)セロトニン受容体拮抗薬が、塩酸塩構造を有する5−HT受容体拮抗薬またはその塩酸の少なくとも一部が解離した塩基状態の5−HT受容体拮抗薬であり、かつ、
    (3)粘着剤組成物が、吸収促進剤としてプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを粘着剤組成物全量規準で10重量%超過50重量%未満の割合で更に含有するものである
    ことを特徴とする経皮吸収型貼付剤。
  2. 塩酸塩構造を有する5−HT受容体拮抗薬が、塩酸グラニセトロン、塩酸アザセトロン、塩酸オンダンセトロン、及び塩酸ラモセトロンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の経皮吸収型貼付剤。
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