JP2003063955A - 経皮吸収型貼付剤 - Google Patents

経皮吸収型貼付剤

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JP2003063955A
JP2003063955A JP2001259226A JP2001259226A JP2003063955A JP 2003063955 A JP2003063955 A JP 2003063955A JP 2001259226 A JP2001259226 A JP 2001259226A JP 2001259226 A JP2001259226 A JP 2001259226A JP 2003063955 A JP2003063955 A JP 2003063955A
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isoprene
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JP2001259226A
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Yasushige Kawahara
康慈 川原
Kunihiro Oyama
国広 大山
Yasuhiko Aramomi
康彦 新籾
Kazutaka Ishii
一隆 石井
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Nichiban Co Ltd
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Nichiban Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 親水性の薬物を用いた場合であっても、経皮
吸収性が良好で、しかも皮膚に対する粘着性が良好な粘
着テープタイプの経皮吸収型貼付剤を提供すること。 【解決手段】 支持体上に、薬物を含有する粘着剤層が
形成された経皮吸収型貼付剤において、(1)薬物が、
オクタノール/水分配係数の対数値が1.0以下の親水
性薬物であり、(2)粘着剤層が、ベースポリマーとし
てスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
(SIS)を含有し、かつ、(3)粘着剤層が、オレイ
ルアルコール及びラウリルアルコールからなる群より選
ばれる少なくとも1種の高級アルコールを、全粘着剤基
準で20〜50重量%の割合で含有する経皮吸収型貼付
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘着テープタイプ
の経皮吸収型貼付剤に関し、さらに詳しくは、一般に粘
着剤の基剤(ベースポリマー)に対する溶解性及び皮膚
透過性が低い親水性の薬物を含有し、薬物の皮膚透過性
が顕著に改善され、しかも粘着剤層の皮膚に対する粘着
性が良好な経皮吸収型貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、皮膚を薬物の投与経路として、全
身的または局所的な薬理作用を示す経皮吸収型製剤の開
発が活発に行われている。薬物を経皮吸収させることに
より、経口投与に伴う胃腸障害や肝臓障害などの副作用
を抑制し、薬効を長時間にわたって持続させ、薬物の投
与を簡単に行うことができるなどの利点を得ることがで
きる。
【0003】経皮吸収型製剤として、溶液、軟膏、パッ
プ剤、貼付剤などの各種剤型のものが知られている。溶
液や軟膏は、塗布時にベタツキ感があること、塗布した
皮膚面から衣類などに付着しやすいこと、薬物投与量の
正確な調整が困難であることなどの問題がある。ハイド
ロゲル製剤であるパップ剤は、皮膚に対する接着性が不
充分である。これに対して、粘着剤を用いて皮膚に固定
する製剤である貼付剤は、皮膚に対する粘着性(接着
性)や使用感に優れ、しかも薬物の投与量を調整しやす
い。
【0004】貼付剤には、(1)薬物の貯蔵層、薬物の放
出を制御するためのメンブラン、及びそれらを皮膚に固
定するための粘着剤層から構成されたリザーバータイ
プ、(2)薬物をポリマーマトリックス中に分散し、これ
を粘着剤層で皮膚に固定するマトリックスタイプ、(3)
薬物を粘着剤層中に分散し、これを他の粘着剤層で皮膚
に固定するマトリックスタイプ、(4)薬物を粘着剤層中
に分散し、該粘着剤層で皮膚に固定する粘着テープタイ
プなどに大別される。
【0005】これらの中で、薬物の貯蔵層やマトリック
スを設けた貼付剤は、粘着剤層を別途設ける必要がある
ため、厚みが大きくなって、貼付時に患者が違和感を感
じたり、製造工程数が多くなるなどの問題がある。
【0006】これに対して、粘着テープタイプの貼付剤
は、フィルム、不織布、和紙などの支持体上に、薬物を
含有する粘着剤層を形成した構造を有しており、貼付剤
の中でも構成が最も単純かつコンパクトで、製造工程も
比較的簡単である。そのため、現在では、市販の貼付剤
の多くが粘着テープタイプで占められるに至っている。
しかし、粘着テープタイプの貼付剤においては、経皮吸
収させることができる薬物の種類には事実上の制限があ
り、特に親水性の薬物を用いることが困難であった。
【0007】皮膚の最外層には、角質層が存在する。こ
の角質層は、バリア機能を有しており、異物や細菌など
が皮膚から体内に侵入するのを防いでいる。そのため、
薬物を皮膚から透過吸収させること自体、一般に困難で
ある。特に水溶性の薬物は、角質層の細胞間隙を満たし
ている疎水的な中性脂質によるバリア機能により透過が
抑制されるため、疎水性の高い薬物に比べて皮膚透過性
が著しく低い。そこで、従来、粘着テープタイプの貼付
剤においては、皮膚透過性のあるインドメタシンやリド
カインなどの疎水性の薬物が用いられている(例えば、
特開2000−256214号公報、特開平7−196
505号公報)。
【0008】一方、現在市販されている医薬品は、経口
剤や注射剤などの剤型であることが多い。これらの剤型
の製剤では、薬物の体内での溶解を容易にしたり、薬物
の安定性を高めるなどの目的で、一般に、薬物は、塩酸
塩や硫酸塩などの親水性の塩にして用いられている。こ
のような汎用の親水性の薬物を経皮吸収型貼付剤におい
ても使用することができれば、コストの低減、薬物の体
内での溶解性、薬物の安定性などの点で有利である。
【0009】しかし、このような親水性の薬物は、角質
層のバリヤ機能により、皮膚透過性に劣ることに加え
て、粘着剤の基剤(ベースポリマー)に対する溶解性が
著しく悪いという問題がある。薬物は、粘着剤層中にあ
る程度の量で溶解しないと、経皮吸収させることができ
ない。薬物の殆どが粘着剤層中に結晶などの固体の形状
で存在していると、経皮吸収させることが実際上不可能
である。
【0010】したがって、親水性の薬物を経皮吸収させ
るには、製剤の基剤としてハイドロゲルなどの含水タイ
プの基剤を使用する必要がある。しかし、含水タイプの
基剤を用いた製剤は、皮膚に対する接着性が悪く、しか
も湿度の影響により接着力が変化し易い。また、ハイド
ロゲルのような含水製剤は、ある程度の膏体厚が必要な
ため、ハイドロゲル中での薬物含有量を多くして薬物濃
度が低くなり過ぎないようにする必要があること、その
上、薬物の経皮吸収性にも劣っている。
【0011】貼付剤において、薬物の皮膚透過性を高め
るために、経皮吸収促進剤が使用されている。経皮吸収
促進剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、モ
ノテルペン類、低級アルコール、多価アルコール、ピロ
リドン類、非プロトン溶媒などが知られている。これら
の経皮吸収促進剤は、比較的脂溶性の高いものが多いた
め、経皮吸収促進剤を製剤中で安定に保つためには、界
面活性剤を添加するなどの工夫が必要である。しかし、
界面活性剤などの添加剤は、薬物の経皮吸収性や経皮吸
収促進剤の作用を低下させることが多い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、硫酸
塩や塩酸塩などを含む親水性の薬物を用いた場合であっ
ても、経皮吸収性が良好で、かつ、皮膚に対する粘着性
が良好な粘着テープタイプの経皮吸収型貼付剤を提供す
ることにある。
【0013】本発明者らは、前記目的を達成するために
鋭意研究した結果、支持体上に、薬物を含有する粘着剤
層が形成された経皮吸収型貼付剤において、粘着剤層を
形成する粘着剤のベースポリマーとしてスチレン−イソ
プレン−スチレンブロック共重合体(SIS)を用い、
かつ、粘着剤層中にオレイルアルコール及びラウリルア
ルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の高級
アルコールを全粘着剤基準で20〜50重量%という高
い割合で含有させたところ、親水性の高い薬物を用いて
も、薬物の皮膚透過性が良好で、しかも粘着剤層の皮膚
に対する粘着性も良好な経皮吸収型貼付剤の得られるこ
とを見出した。本発明の経皮吸収型貼付剤は、粘着剤層
中での薬物の安定性に優れ、高級アルコールの安定的な
保持性にも優れている。本発明は、これらの知見に基づ
いて完成するに至ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、支持体
上に、薬物を含有する粘着剤層が形成された経皮吸収型
貼付剤において、(1)薬物が、オクタノール/水分配
係数の対数値が1.0以下の親水性薬物であり、(2)
粘着剤層が、ベースポリマーとしてスチレン−イソプレ
ン−スチレンブロック共重合体(SIS)を含有し、か
つ、(3)粘着剤層が、オレイルアルコール及びラウリ
ルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の
高級アルコールを、全粘着剤基準で20〜50重量%の
割合で含有することを特徴とする経皮吸収型貼付剤が提
供される。
【0015】
【発明の実施の形態】1.親水性薬物 本発明では、粘着剤層中に含有させる薬物として、親水
性薬物を使用する。薬物(即ち、薬理活性物質)の種類
は、特に限定されないが、例えば、自律神経系作用薬、
体性神経系作用薬、中枢神経系作用薬、交感神経興奮
薬、交感神経遮断薬、副交感神経興奮薬、副交感神経遮
断薬、局所麻酔薬、全身麻酔薬、平滑筋作用薬、平滑筋
弛緩薬、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド性抗炎症
薬、抗喘息薬、子宮収縮薬、鎮痛・催眠薬、抗うつ薬、
抗痛風薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、抗セロト
ニン薬、心臓血管系作用薬、強心薬、抗不整脈薬、抗高
脂血症薬、利尿薬、呼吸器系作用薬、消化器系作用薬、
血液・造血臓器作用薬、皮膚・粘膜作用薬、イミダゾー
ル系抗真菌薬、ホルモン、ビタミン、抗感染薬、抗悪性
腫瘍薬、抗糖尿病薬等が挙げられる。
【0016】本発明の経皮吸収型貼付剤は、これらの薬
物の中でも、親水性が高い薬物に対して有効であり、特
に水溶性の高い薬物に効果的である。薬物の親水性は、
「オクタノール/水分配係数の対数値」を指標として定
量的に示すことが可能である。薬物の「オクタノール/
水分配係数の対数値」とは、その薬物のオクタノールに
対する溶解度と水に対する溶解度の比(Kow)の対数値
(log Kow)である。
【0017】本発明の経皮吸収型貼付剤において、前記
対数値が1.0以下の親水性薬物に対して顕著な皮膚透
過性の改善効果を得ることができる。この対数値は、好
ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.0未満
のマイナスを示す値である。この対数値の範囲は、好ま
しくは−10.0〜1.0、より好ましくは−5.0〜
0.5である。このような親水性の薬物の具体例として
は、硫酸サルブタモール(対数値=−2.83)、ジク
ロフェナクナトリウム(対数値=−0.96)、塩酸イ
ソプロテレノール(対数値=−2.96)などが挙げら
れる。
【0018】親水性薬物の配合割合は、薬物種に応じて
適宜設定することができるが、全粘着剤基準で、通常
0.05〜30重量%、好ましくは0.1〜25重量
%、より好ましくは1〜20重量%である。親水性薬物
の配合割合が低すぎると、充分な薬効を得ることが困難
となり、高すぎると、粘着剤層の粘着特性(皮膚に対す
る接着性)が低下するおそれが生じる。
【0019】なお、本発明において、全粘着剤基準と
は、経皮吸収型貼付剤の粘着剤層を構成するエラストマ
ー成分(SISなど)、高級アルコール、親水性薬物、
粘着付与剤、及びその他の添加剤(軟化剤、充填剤、酸
化防止剤など)を含む粘着剤組成物の全重量基準を意味
する。
【0020】2.スチレン−イソプレン−スチレンブロ
ック共重合体 本発明では、粘着剤の基剤(ベースポリマー)として、
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(S
IS)を使用する。スチレン−イソプレン−スチレンブ
ロック共重合体(SIS)は、例えば、アニオンリビン
グ重合法によって、先ず、スチレンを重合させてポリス
チレンブロック(リビングポリマー)を形成し、このポ
リスチレンブロックの存在下にイソプレンを重合させて
イソプレンブロックを形成し、最後に、スチレン−イソ
プレンブロック共重合体(リビングポリマー)の存在下
にスチレンを重合させてポリスチレンブロックを形成さ
せることにより合成することができる。このような逐次
重合法によれば、一般に、線状のブロック共重合体を得
ることができる。
【0021】また、スチレン−イソプレン−スチレンブ
ロック共重合体(SIS)は、アニオンリビング重合法
により合成したスチレン−イソプレンブロック共重合体
(リビングポリマー)をカップリング反応させることに
よって合成することができる。カップリング反応法によ
れば、カップリング剤の種類にもよるが、一般に、分岐
状のブロック共重合体を得ることができる。
【0022】このスチレン−イソプレン−スチレンブロ
ック共重合体(SIS)は、スチレン−イソプレン−ス
チレントリブロック共重合体のみで構成されていてもよ
いが、このトリブロック共重合体とスチレン−イソプレ
ンジブロック共重合体(SI)との混合物であってもよ
い。前述の逐次重合法やカップリング反応法によれば、
一般に、トリブロック共重合体だけではなく、ジブロッ
ク共重合体(SI)も生成するため、このような混合物
が混在しているのが普通である。市販品の多くも、トリ
ブロック共重合体とジブロック共重合体(SI成分)と
の混合物である。
【0023】したがって、本発明において、スチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)と
は、トリブロック共重合体単独のみならず、トリブロッ
ク共重合体とジブロック共重合体との混合物をも意味す
るものとする。ジブロック共重合体の含有量を調整する
必要がある場合には、ジブロック共重合体をスチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)にブ
レンドしてもよい。さらに、スチレン−イソプレン−ス
チレンブロック共重合体(SIS)は、線状構造のもの
だけではなく、例えば、カップリング反応法により得ら
れた分岐状構造またはラジアルブロック構造と呼ばれる
非線状構造を有するものであってもよい。
【0024】スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体(SIS)のスチレン含有量は、好ましくは1
0〜35重量%、より好ましくは12〜30重量%、さ
らに好ましくは14〜25重量%である。スチレン含量
が少なすぎると、ポリスチレン相による擬似架橋効果が
低下し、熱可塑性エラストマーとしての性質が損なわれ
る。スチレン含量が多すぎると、ゴム弾性が低下して、
硬くなりすぎる。スチレン−イソプレン−スチレンブロ
ック共重合体(SIS)は、常温でポリスチレン相が擬
似架橋点となって働くため、高級アルコールの如き液状
成分を多量に含有させても、その中に保持することがで
きる。
【0025】スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体(SIS)中のスチレン−イソプレンジブロッ
ク共重合体(SI)成分の含有量は、好ましくは85重
量%以下、より好ましくは80重量%以下である。スチ
レン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SI
S)は、ジブロック共重合体(SI)成分の含有量が異
なる2種以上の共重合体の混合物であってもよい。ジブ
ロック共重合体(SI)成分の含有量が50重量%以下
のスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
(SIS)は、単独で使用することができる。
【0026】粘着剤層中に多量の高級アルコールを保持
し、かつ、粘着性と凝集性をバランスさせるために、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SI
S)として、ジブロック共重合体(SI)成分の含有量
が多い共重合体と、少ない共重合体との混合物を用いる
ことが好ましい。
【0027】このような混合物としては、スチレン含有
量が10〜35重量%で、スチレン−イソプレンジブロ
ック共重合体(SI)成分の含有量が50重量%以下の
ブロック共重合体(A)と、スチレン含有量が10〜35
重量%で、スチレン−イソプレンジブロック共重合体
(SI)成分の含有量が50重量%超過のブロック共重
合体(B)を、重量比(A:B)100:0〜10:9
0、好ましくは80:20〜30:70、より好ましく
は70:30〜40:60の割合で含有する混合物が好
ましい。
【0028】混合物中のブロック共重合体(B)の含有割
合が増加するに従って粘着剤層の粘着力が向上するが、
この割合が大きすぎると粘着剤層の凝集力が低下する。
ブロック共重合体(A)の含有割合が増加するに従って、
高級アルコールなどの液体成分の保持性に優れ、凝集力
のある粘着剤層を得ることができる。したがって、ブロ
ック共重合体(A)とブロック共重合体(B)の割合を調整す
ることにより、高級アルコールなどの液体成分を保持し
ながら、粘着性と凝集性を高度にバランスさせることが
できる。
【0029】スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体(SIS)として、スチレン−イソプレンジブ
ロック共重合体(SI)成分の含有量が50重量%以下
のブロック共重合体(A)を単独で使用する場合には、多
量の高級アルコールを保持し、かつ、粘着性と凝集性を
バランスさせるために、イソプレンゴムなどの他のゴム
をブレンドすることが好ましい。
【0030】スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体(A)におけるスチレン−イソプレンジブロック
共重合体(SI)成分の含有量は、好ましくは0〜50
重量%、より好ましくは10〜45重量%である。スチ
レン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(B)にお
けるスチレン−イソプレンジブロック共重合体(SI)
成分の含有量は、好ましくは50重量%超過85重量%
以下、より好ましくは60〜80重量%である。
【0031】これらのブロック共重合体(A)と(B)におけ
るスチレン含有量は、それぞれ、好ましくは10〜35
重量%、より好ましくは12〜30重量%、さらに好ま
しくは14〜25重量%である。ブロック共重合体(A)
のスチレン含有量は、20重量%以上であることが好ま
しく、ブロック共重合体(B)のスチレン含有量は、20
重量%未満であることが好ましい。
【0032】粘着剤中のスチレン−イソプレン−スチレ
ンブロック共重合体(SIS)の配合割合は、全粘着剤
基準で、通常10〜50重量%、好ましくは13〜40
重量%、より好ましくは15〜30重量%である。この
配合割合が過小であると、多量の高級アルコールを保持
することが困難になり、粘着性も低下する。この配合割
合が過大であると、高級アルコールの配合割合が小さく
なって、親水性薬物の経皮吸収性が低下する。
【0033】イソプレンゴムなどの他のゴムの配合割合
は、全粘着剤基準で通常0〜25重量%、好ましくは0
〜15重量%、より好ましくは0〜10重量%である。
イソプレンゴムなどの他のゴムを併用する場合には、そ
の配合割合は、好ましくは0.5〜10重量部、より好
ましくは1〜5重量部である。スチレン−イソプレン−
スチレンブロック共重合体(SIS)とイソプレンゴム
などの他のゴムを併用することにより、多量の高級アル
コールを含有させても、粘着力を維持することができ
る。
【0034】3.高級アルコール 本発明では、特定の高級アルコールを親水性薬物の経皮
吸収促進剤として使用する。オレイルアルコールは、オ
レイン酸から誘導される炭素数が18で、(Z)配置の
二重結合を持つ不飽和高級アルコール、即ち、(Z)−
9−オクタデセン−1−オールである。ラウリルアルコ
ールは、炭素数が12で、飽和の高級アルコール、即
ち、ドデシルアルコールである。
【0035】これらの高級アルコールの配合割合は、全
粘着剤基準で20〜50重量%、好ましくは25〜45
重量%、より好ましくは30〜40重量%である。高級
アルコールの配合割合が低すぎると、親水性薬物の皮膚
透過性を充分に改善することができなくなり、高すぎる
と、粘着剤の凝集力が低下し、剥離時に粘着剤層の凝集
破壊が起こって、粘着剤が皮膚面に残留するなどの不都
合を生じる。
【0036】4.その他の添加剤 本発明で使用する粘着剤には、スチレン−イソプレン−
スチレンブロック共重合体(SIS)、高級アルコー
ル、及び親水性薬物の他に、粘着付与剤、軟化剤、充填
剤、酸化防止剤などの各種添加剤を含有させることがで
きる。
【0037】粘着付与剤としては、例えば、テルペン、
テルペンフェノール、芳香族変性テルペン、水添テルペ
ンなどのテルペン系樹脂;ロジン、ロジンエステル、不
均化ロジンなどのロジン系樹脂;脂肪族系石油樹脂、芳
香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂
などの合成石油樹脂;などが挙げられる。
【0038】粘着付与剤の配合割合は、全粘着剤基準
で、通常15重量%以上55重量%未満、好ましくは2
0〜45重量%である。また、粘着付与剤の配合割合
は、エラストマー成分(SIS、イソプレンゴムなどの
合計)100重量部に対して、通常50〜300重量部
程度とすることが好ましい。粘着付与剤を配合すること
により、粘着性、加工性、耐久性などが向上する。
【0039】軟化剤としては、ハイシスポリイソプレン
ゴム、ポリブテン、ポリイソブチレンなどの液状ゴム;
プロセスオイル、エキステンダーオイル、流動パラフィ
ンなどの石油系軟化剤;ミリスチン酸イソプロピル、パ
ルミチン酸イソプロピルなどの高級脂肪酸エステル;な
どが挙げられる。軟化剤の配合割合は、全粘着剤基準
で、通常0〜30重量%、好ましくは0〜25重量%で
ある。前記高級アルコールは、軟化剤としても作用する
ため、軟化剤をそれ程多量に含有させる必要はない。
【0040】充填剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、酸化亜鉛、酸化チタン、タルクなどが挙げられる。
充填剤の配合割合は、全粘着剤基準で、通常0〜15重
量%、好ましくは0〜10重量%である。
【0041】酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシ
トルエン(BHT)、ジブチルヒドロキシアニソール
(BHA)などのフェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤は、全粘着剤基準で、通常0〜5重量%、好
ましくは0.1〜3重量%である。
【0042】5.経皮吸収型貼付剤 本発明の粘着テープタイプの経皮吸収型貼付剤は、一般
的な経皮吸収型貼付剤の製造方法であるカレンダー法や
溶液塗工法などにより製造することができる。カレンダ
ー法では、先ず、スチレン−イソプレン−スチレンブロ
ック共重合体を含むエラストマー成分と酸化防止剤とを
120〜140℃程度の温度で5〜20分間程度の時間
混練りした後、粘着付与剤を加えて10〜20分間程度
の時間混練りを行う。混練りの温度及び時間は、各成分
の配合量などを考慮して、前記範囲で調節することが好
ましい。必要に応じて、充填剤、軟化剤を添加した場合
には、均一に分散するように、適宜混練りを行う。
【0043】次に、混合物の温度を80〜120℃程度
の温度に下げ、経皮吸収促進剤であるオレイルアルコー
ル及び/またはラウリルアルコールを少量ずつ添加し、
その都度混練りする。最後に、薬物を加えて、5〜10
分間程度の時間混練りを行い、各構成成分が均一となっ
た粘着剤(組成物または膏体)を得る。薬物は、予め経
皮吸収促進剤であるオレイルアルコール及び/またはラ
ウリルアルコールに混ぜて溶解・分散させておき、その
状態で混合物中に添加することができる。このようにし
て得られた粘着剤(膏体)を、剥離ライナー上に30〜
250μm程度の厚さに展延する。
【0044】溶液塗工法では、エラストマー、粘着付与
剤、経皮吸収促進剤(高級アルコール)、軟化剤、充填
剤、酸化防止剤などの全成分を、n−ヘキサン、トルエ
ン、酢酸エチル等の有機溶剤中で、1〜10時間程度の
時間攪拌して均一に溶解・分散させる。次に、得られた
溶液に、薬物を加えて、さらに10〜120分間程度の
時間攪拌する。このようにして得られた溶液を、ナイフ
コーター、コンマコーター、リバースコーター等の塗工
機を用いて、例えば、シリコーン処理したポリエステル
フィルムなどの剥離ライナー上に均一に塗布する。塗布
後、40〜120℃程度の温度に保持した乾熱雰囲気下
に1〜10分間程度の時間置き、有機溶剤を揮散させ
る。その際、使用する有機溶剤の種類及び塗布する粘着
剤層の厚さにより、適切な乾燥条件を設定する。
【0045】前記の方法にて得られた粘着剤層の表面に
支持体をラミネートすることにより、経皮吸収型貼付剤
を得ることができる。支持体の種類によっては、支持体
上に粘着剤層を形成してから、粘着剤層の表面に剥離ラ
イナーをラミネートしてもよい。
【0046】支持体としては、例えば、フィルム、不織
布、和紙、綿布、編布、不織布とフィルムのラミネート
複合体などが挙げられる。支持体の材質としては、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリスチレン、ナイロン、コットン、
アセテートレーヨン、レーヨン、レーヨン/ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニル
アルコール、アクリル系樹脂、エステル系ポリウレタ
ン、エーテル系ポリウレタン、スチレン−イソプレン−
スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタ
ジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレ
ン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合
体、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、セロハン等が挙げられる。支持体としては、
薬物を吸着し難く、かつ、支持体側から薬物を放出し難
いものが好ましい。
【0047】剥離ライナーとしては、シリコーン処理し
たポリエステルフィルム、シリコーン処理したポリエチ
レンラミネート上質紙、シリコーン処理したグラシン紙
などが挙げられる。剥離ライナーとしては、薬物を吸収
・吸着しにくい材質からなるものであることが好まし
い。
【0048】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明につ
いてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0049】[実施例1]スチレン−イソプレン−スチ
レンブロック共重合体(A)としてSIS5002〔日本
合成ゴム(株)製、スチレン含有量=22重量%、SI
含有量=42重量%)10.9重量%、スチレン−イソ
プレン−スチレンブロック共重合体(B)としてQuin
tac3520〔日本ゼオン(株)製、スチレン含有量
=15重量%、SI含有量=78重量%〕10.9重量
%、粘着付与剤としてアルコンP−100〔荒川化学工
業(株)製、脂環族水添石油樹脂〕32.6重量%、酸
化防止剤としてBHT〔精工化学(株)製、ジブチルヒ
ドロキシトルエン〕0.6重量%、経皮吸収促進剤とし
てオレイルアルコール〔高級アルコール工業(株)製〕
30重量%、及び薬物として硫酸サルブタモール(気管
支拡張β2−刺激薬、log Kow=−2.83)15
重量%を配合して、混練りを行い、均一な粘着剤を得
た。この粘着剤を、カレンダー法によりシリコーン処理
したポリエステルフィルム(厚さ75μm)上に50μ
mの厚さに展延して、粘着剤層を形成した。この粘着剤
層の表面に、支持体としてポリエステルフィルム(厚さ
25μm)をラミネートし、経皮吸収型貼付剤を得た。
結果を表1に示す。
【0050】[実施例2]スチレン−イソプレン−スチ
レンブロック共重合体(A)としてSIS5002〔日本
合成ゴム(株)製、スチレン含有量=22重量%、SI
含有量=42重量%)14.3重量%、スチレン−イソ
プレン−スチレンブロック共重合体(B)としてQuin
tac3520〔日本ゼオン(株)製、スチレン含有量
=15重量%、SI含有量=78重量%〕9.5重量
%、粘着付与剤としてYSレジンPX1150N〔ヤス
ハラケミカル(株)製、テルペン樹脂〕35.6重量
%、酸化防止剤としてBHT〔精工化学(株)製、ジブ
チルヒドロキシトルエン〕0.6重量%、経皮吸収促進
剤としてオレイルアルコール〔高級アルコール工業
(株)製〕30重量%、及び薬物としてジクロフェナク
ナトリウム(消炎鎮痛薬、log Kow=−0.96)
10重量%を配合して、混練りを行い、均一な粘着剤を
得た。この粘着剤を、カレンダー法によりシリコーン処
理したポリエステルフィルム(厚さ75μm)上に20
0μmの厚さに展延して、粘着剤層を形成した。この粘
着剤層の表面に、支持体としてポリエステルフィルム
(厚さ25μm)をラミネートし、経皮吸収型貼付剤を
得た。結果を表1に示す。
【0051】[実施例3]スチレン−イソプレン−スチ
レンブロック共重合体(A)としてQuintac346
0C〔日本ゼオン(株)、スチレン含有量=25重量
%、SI含有量42重量%)23.2重量%、イソプレ
ンゴムとしてIR10(クラレ製、合成イソプレンゴ
ム)2.6重量%、粘着付与剤としてクリアロンP−1
05〔ヤスハラケミカル(株)製、水添テルペン樹脂〕
38.7重量%、酸化防止剤としてBHT〔精工化学
(株)製、ジブチルヒドロキシトルエン〕0.7重量
%、経皮吸収促進剤としてラウリルアルコール30重量
%、及び薬物として塩酸イソプロテノール(強心剤、l
og Kow=−2.69)5重量%を配合して、混練り
を行い、均一な粘着剤を得た。この粘着剤を、カレンダ
ー法によりシリコーン処理したポリエステルフィルム
(厚さ75μm)上に100μmの厚さに展延して、粘
着剤層を形成した。この粘着剤層の表面に、支持体とし
てポリエステルフィルム(厚さ25μm)をラミネート
し、経皮吸収型貼付剤を得た。結果を表1に示す。
【0052】[比較例1]オレイルアルコールを配合し
なかったこと以外は、実施例1と同じ粘着剤組成で表1
に示す配合割合としたこと以外は、実施例1と同様にし
て経皮吸収型貼付剤を作製した。結果を表1に示す。
【0053】[比較例2]オレイルアルコールを配合し
なかったこと以外は、実施例2と同じ粘着剤組成で表1
に示す配合割合としたこと以外は、実施例2と同様にし
て経皮吸収型貼付剤を作製した。結果を表1に示す。
【0054】[比較例3]ラウリルアルコールを配合し
なかったこと以外は、実施例3と同じ粘着剤組成で表1
に示す配合割合としたこと以外は、実施例3と同様にし
て経皮吸収型貼付剤を作製した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】[比較例4]薬物として疎水性のリドカイ
ン(局所麻酔剤、log Kow=2.37)を用い、か
つ、経皮吸収促進剤としてラウリルアルコールを用い
て、表2に示す配合処方により混練りを行い、均一な粘
着剤を得た。この粘着剤を、カレンダー法によりシリコ
ーン処理したポリエステルフィルム(厚さ75μm)上
に200μmの厚さに展延して、粘着剤層を形成した。
この粘着剤層の表面に、支持体としてポリエステルフィ
ルム(厚さ25μm)をラミネートし、経皮吸収型貼付
剤を得た。結果を表2に示す。
【0057】[比較例5]ラウリルアルコールを配合し
なかったこと以外は、比較例4と同じ粘着剤組成で表2
に示す配合割合としたこと以外は、比較例4と同様にし
て経皮吸収型貼付剤を作製した。結果を表2に示す。
【0058】[比較例6]薬物として疎水性のインドメ
タシン(消炎鎮痛薬、log Kow=3.19)を用
い、かつ、経皮吸収促進剤としてオレイルアルコールを
用いて、表2に示す配合処方により混練りを行い、均一
な粘着剤を得た。この粘着剤を、カレンダー法によりシ
リコーン処理したポリエステルフィルム(厚さ75μ
m)上に200μmの厚さに展延して、粘着剤層を形成
した。この粘着剤層の表面に、支持体としてポリエステ
ルフィルム(厚さ25μm)をラミネートし、経皮吸収
型貼付剤を得た。結果を表2に示す。
【0059】[比較例7]オレイルアルコールを配合し
なかったこと以外は、比較例6と同じ粘着剤組成で表2
に示す配合割合としたこと以外は、比較例6と同様にし
て経皮吸収型貼付剤を作製した。結果を表2に示す。
【0060】[比較例8]薬物として親水性のジクロフ
ェナクナトリウムを用い、かつ、オレイルアルコール1
5重量%を用いて、表2に示す配合処方により混練りを
行い、均一な粘着剤を得た。この粘着剤を、カレンダー
法によりシリコーン処理したポリエステルフィルム(厚
さ75μm)上に200μmの厚さに展延して、粘着剤
層を形成した。この粘着剤層の表面に、支持体としてポ
リエステルフィルム(厚さ25μm)をラミネートし、
経皮吸収型貼付剤を得た。結果を表2に示す。
【0061】[比較例9]薬物として親水性のジクロフ
ェナクナトリウムを用い、かつ、オレイルアルコール6
0重量%を用いて、表2に示す配合処方により混練りを
行い、均一な粘着剤を得た。この粘着剤を、カレンダー
法によりシリコーン処理したポリエステルフィルム(厚
さ75μm)上に200μmの厚さに展延して、粘着剤
層を形成した。この粘着剤層の表面に、支持体としてポ
リエステルフィルム(厚さ25μm)をラミネートし、
経皮吸収型貼付剤を得た。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】(脚注) (*1)剥離時に粘着剤が凝集破壊して、皮膚面に残留
した。 (*2)測定せず。
【0064】<性能評価>経皮吸収型貼付剤の性能評価
は、下記の方法に従って実施した。 (1)粘着性 粘着剤層の粘着面をフィンガータックにて、下記の通り
4段階で評価した。 4:良く付く、 3:比較的良く付く、 2:あまり付かない、 1:全く付かない。
【0065】(2)皮膚透過性(in vitro皮膚
透過試験) ペントバルビタール麻酔下、ヘアレスラット(雄、7周
令)の腹部を電気シェーバーを用いて除毛後、皮膚を摘
出し、直系20mmφの横型拡散セルに装着した。2重
構造のセルに32℃の温水を循環させ、セル内部を一定
の温度条件に保持した。皮膚の角質層側には、15mm
φに打ち抜いた貼付剤を粘着剤層で貼付した。レシーバ
ー側には、生理食塩水を充満させ、攪拌子で攪拌しなが
ら、経時的に0.5mlずつサンプリングした。採取し
た生理食塩水サンプルに、メタノールを各0.5ml加
え、攪拌後、遠心分離し、除蛋白した。この溶液を高速
液体クロマトグラフィ(HPLC)にて定量し、薬物濃
度を測定した。この薬物濃度の変化から薬物の皮膚透過
速度を求めた。なお、経時的にサンプリングした後のレ
シーバー溶液には、その都度同量の生理食塩水を添加し
た。
【0066】<考察>表1に示した通り、薬物として親
水性の硫酸サルブタモールを使用したが、経皮吸収促進
剤としてオレイルアルコールを使用しなかった比較例1
の貼付剤の場合、薬物の皮膚透過速度は、1.2(μg
/cm2/h)と極めて低いレベルであった。これに対
して、薬物として親水性の硫酸サルブタモールを用い、
かつ、経皮吸収促進剤としてオレイルアルコール30重
量%を配合して作製した実施例1の貼付剤では、薬物の
皮膚透過速度が11.6(μg/cm2/h)と顕著に
向上していることが分かる。
【0067】同様に、オクタノール/水分配係数の対数
値が1.0以下の薬物を使った実験では、高級アルコー
ルを加えなかった貼付剤(比較例2及び3)に比べて、
高級アルコールを含有させた貼付剤(実施例2及び3)
の場合に、薬物の皮膚透過速度が顕著に改善されてい
る。
【0068】表2の比較例4と5の対比結果から明らか
なように、疎水性の薬物を用いた場合には、多量の高級
アルコールの添加による薬物の皮膚透過性の改善効果は
僅かである。また、比較例6と7との対比結果からは、
高級アルコールの添加により、むしろ疎水性薬物の皮膚
透過速度が低下していることが分かる。表1の実施例1
〜3と表2の比較例4〜7の結果から、特定の高級アル
コールによる薬物の皮膚透過速度の顕著な改善効果は、
親水性薬物に特異的に現われていることが理解される。
【0069】一方、比較例8に示すように、高級アルコ
ールの配合割合が20重量%に満たない場合には、親水
性薬物の皮膚透過速度の促進効果が少ない。また、比較
例9に示すように、高級アルコールの配合割合が50重
量%を超える場合は、粘着剤層が充分な凝集力を示すこ
とができない。
【0070】粘着剤層の粘着性については、ジブロック
共重合体(SI)の含有量が異なるスチレン−イソプレ
ン−スチレンブロック共重合体(SIS)を組み合わせ
ることにより(実施例1および2)により、多量の高級
アルコールを含有させた場合でも、高い粘着力を示すこ
とが分かる。また、ジブロック共重合体(SI)の含有
量が50重量%以下のスチレン−イソプレン−スチレン
ブロック共重合体(SIS)を少量のイソプレンゴムと
組み合わせることにより(実施例3)、多量の高級アル
コールを含有させた場合でも、高い粘着力を示すことが
分かる。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、親水性の薬物を用いた
場合であっても、経皮吸収性が良好で、かつ、皮膚に対
する粘着性が良好な粘着テープタイプの経皮吸収型貼付
剤が提供される。スチレン−イソプレン−スチレンブロ
ック共重合体(SIS)として、ジブロック共重合体
(SI)成分の含有量が多い共重合体と、少ない共重合
体との混合物を用いることにより、粘着剤層中に多量の
高級アルコールを保持し、しかもなお、粘着性と凝集性
をバランスさせることができる。イソプレンゴムなどの
他のゴムを併用して、粘着性と凝集性とをバランスさせ
ることもできる。
【0072】本発明の経皮吸収型貼付剤は、薬物として
塩酸塩や硫酸塩などの汎用の親水性薬物を用いることが
できるため、コストの低減、薬物の体内での溶解性、薬
物の安定性などの点で有利である。さらに、本発明の経
皮吸収型貼付剤によれば、使用可能な薬物の種類を広げ
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新籾 康彦 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチバ ン株式会社内 (72)発明者 石井 一隆 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチバ ン株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA74 BB31 CC15 DD37A DD37N EE03A EE03N EE04A EE04N EE49A EE49N FF34

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、薬物を含有する粘着剤層が
    形成された経皮吸収型貼付剤において、(1)薬物が、
    オクタノール/水分配係数の対数値が1.0以下の親水
    性薬物であり、(2)粘着剤層が、ベースポリマーとし
    てスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
    (SIS)を含有し、かつ、(3)粘着剤層が、オレイ
    ルアルコール及びラウリルアルコールからなる群より選
    ばれる少なくとも1種の高級アルコールを、全粘着剤基
    準で20〜50重量%の割合で含有することを特徴とす
    る経皮吸収型貼付剤。
  2. 【請求項2】 スチレン−イソプレン−スチレンブロッ
    ク共重合体(SIS)が、スチレン含有量が10〜35
    重量%で、スチレン−イソプレンジブロック共重合体
    (SI)成分の含有量が85重量%以下のブロック共重
    合体である請求項1記載の経皮吸収型貼付剤。
  3. 【請求項3】 スチレン−イソプレン−スチレンブロッ
    ク共重合体(SIS)が、スチレン含有量が10〜35
    重量%で、スチレン−イソプレンジブロック共重合体
    (SI)成分の含有量が50重量%以下のブロック共重
    合体(A)と、スチレン含有量が10〜35重量%で、ス
    チレン−イソプレンジブロック共重合体(SI)成分の
    含有量が50重量%超過のブロック共重合体(B)を、重
    量比(A:B)100:0〜10:90の割合で含有す
    るものである請求項1記載の経皮吸収型貼付剤。
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