JP2005168394A - 加工サツマイモおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 本発明の加工サツマイモの製造方法は、切断面を有する原料サツマイモを、10〜93,000Paに減圧処理し、減圧下で糖類を含有する液体成分と接触させ、次いで常圧〜500,000Paに加圧することにより、サツマイモ内部に液体成分を含浸させて、でんぷん質が実質的に糊化しておらず、少なくとも1部位におけるブリックス糖度が原料サツマイモの同部位におけるブリックス糖度の0.8〜20倍である加工サツマイモを得ることを特徴としている。
【効果】本発明によれば、加熱調理しても甘味が不足するようなサツマイモを原料とした場合であっても、充分な甘味を内部まで有する加熱調理した加工サツマイモを製造することができ、また、得られた加熱調理加工サツマイモが、均質な品質を有し、食感が良好で、色調にも優れるような、加工サツマイモおよびその製造方法を提供することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、充分な甘味と良好な食感を有する加工サツマイモおよびその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、サツマイモに由来しない糖類を内部に含有させた、充分な甘味と良好な食感を有する、焼き芋状食品などの加工サツマイモおよびその製造方法に関する。
サツマイモを石焼釜などで焼いた焼き芋や、蒸気加熱したふかし芋は、良好な甘味とホクホクした食感を有するため多くの人に好まれ、広く食されている。焼き芋等の加熱調理芋を販売する場合には、充分に甘味を有し、適度な水分量でホクホクとした食感を有し、さらに色彩にも優れた加熱調理芋を提供することが望ましい。
しかしながら、原料であるサツマイモは、天然の食材であるため、焼き芋やふかし芋などのサツマイモ調理品の甘味や食感は、調理条件が一定であったとしても大きくばらつき、甘味をあまり感じられず風味が優れないもの、水分量が適切でなく食感に優れないもの、調理品が白っぽくなるかあるいはサツマイモ特有の黄金色を呈さないなど色調が優れないもの等が生じることがある。そしてこのようなサツマイモ調理品の味および食感の違いは、通常、食してみて初めて判るものである。このため従来、原料であるサツマイモの個体差に起因する、調理品の味および食感の優劣は、どのような調理法により調理した場合にも避けることは困難であり、特に焼き芋、蒸し芋、干し芋などの調理においては避けられないものと考えられていた。
従来より、食感および風味に優れるサツマイモ調理品は種々提案されており、製品として販売されているものも多い。たとえば、サツマイモを粉砕するかまたはペースト状にした後に成形して、焼き芋様食品やスイートポテトなどを製造することは菓子製造などの分野で従来から行われており、たとえば、特許文献1〜7には種々改良した技術が提案されている。これらの技術では、いずれもサツマイモを粉砕する、つぶす、ペースト状にするなどの工程を経て成形して食品を得ている。これらの技術においては、成形前に糖類、卵、油類などを添加して均質にしたものを成形するため、個々の品質が均質であり、所望の風味を呈するサツマイモ調理品が得られる。しかしながら、これらの方法で焼き芋やふかし芋に似せた製品を製造した場合には、均質に甘味を付与することができ、着色も可能であるものの、原料サツマイモの組織を破壊せずにそのまま調理した場合に得られるサツマイモ独特の食感は失われてしまう。
このため、サツマイモを粉砕したりペースト状にしたりする工程を経ずに、本来のサツマイモ組織を生かして加熱調理し、風味、色調などを改善する方法が求められている。
特許文献8には、両面より輻射熱を照射加熱して焼き芋を製造する方法において、焼き芋の焼成温度より低い温度範囲の予熱温度で加熱し、この予熱温度よりも高温の焼成温度で加熱し、さらに焼成温度よりも低い温度で熟成加熱することにより、原料となる芋の大きさや品質を問わず、甘味のある味の良い焼き芋を製造することが記載されている。
また、特許文献9には、生芋を立てて整列した段床を焼き芋製造機に多段式に収納して、静止状態で下部より加熱し、吸湿性を有する内包装紙(セロファン紙)で包装した後、耐熱性/耐通気性を有する外包装紙で真空包装して再度加熱する焼き芋の製造方法が記載されている。この方法によれば、サツマイモ表皮の傷つきを防ぎ、真空包装中に表面付近に生じる水滴と、黒ずみの原因となるヤラピンとを内包装紙で吸収することができるため
、外観の美しい真空包装焼き芋を提供することができる。
さらに、特許文献10には、カットしたサツマイモを、中心部が半生状態となる程度に加熱し、冷凍した冷凍サツマイモが記載されている。この冷凍サツマイモは、解凍後にそのまま食せる程度には加熱されており、煮崩れがおこるほどには加熱されていないことから、サラダなどに和えて用いても型崩れすることなく使用できる。
またさらに、特許文献11には、サツマイモをスティック状に切断し、熱湯中で煮沸した後、焼き上げ、包装、レトルト加熱する方法が記載されている。この方法では、サツマイモを切断して焼くだけでは表面が白く変色し、切断面から過度に乾燥して食感が失われるという問題を解決している。
しかしながら、特許文献8〜11に記載のような方法で加工したサツマイモは、いずれも糖類などの調味料での味付けを行っていないため、個々の原料サツマイモが有する性状がそのまま味に反映され、食感および風味が大きくばらつくという問題があった。
サツマイモを粉砕したりペースト状にしたりする工程を経ず、かつ、甘味を付与する技術としては、適宜切断したサツマイモを、砂糖を含む調味液で煮る方法、加熱調味後にグラニュー糖などをまぶす方法、いわゆる大学芋の製造などのように、油揚げ後に粘ちょうな糖液をからめる方法などが知られている。また、特許文献12には、食塩水である程度脱水したサツマイモ切片に粉砂糖をまぶし、液きり後に油調するサツマイモ菓子の製法が記載されている。さらに特許文献13には、サツマイモを加熱蒸気で蒸煮し、糖または糖アルコールを加え、焼成・乾燥する方法が記載されている。
しかしながらこれらの方法では、添加された糖分は通常サツマイモの表面部のみに留まるものであり、内部と外表部とで糖度が著しく違うという問題があった。また、内部まで添加した糖を浸透させるには、長時間の加熱調理を要し、煮崩れや過度の軟化を生じ、食感が損なわれるという問題があった。
このため、サツマイモの内部まで添加した糖などでの味付がされ、しかも過度の軟化を生じることなくサツマイモ独自の食感を有する焼き芋などの加工サツマイモの出現が望まれていた。
また、サツマイモは、上述したように切り口が大気に触れると黒く変色する場合がある。これを防止する方法としては、サツマイモの切断面を、リン酸水溶液に浸漬する方法が提案されている(特許文献14)。しかしながらこの方法は、単に切断面の黒変を防ぐものであって、たとえば焼き芋内部が白っぽくなるのを防ぐなど、加熱調理芋全体の色調改善を達成するものではかった。
ところで、一つの農場で平等に生育したサツマイモは、その品質も比較的均質である場合が多く、たとえば、加熱調理した場合にも甘味が少なくパサパサした食感となるサツマイモがあれば、同じ農場から同時に収穫されたサツマイモは同様の性状を有することが予測される。
また、サツマイモは、キュアリング貯蔵中に糖度が上昇することが知られており、収穫直後のサツマイモを焼き芋などにした場合には、キュアリング貯蔵後のものよりも甘味に劣る傾向がある。しかしながら、大量流通させる場合などの諸事情により、収穫直後の糖度の低い状態のサツマイモを、キュアリング貯蔵をせずに販売することも多い。
このため、調理品としたときに甘味が出にくいサツマイモからも、甘味が高く適度な水
分量を有するおいしいサツマイモ調理品を製造する技術の出現が望まれていた。
本発明者は、このような状況に鑑みて鋭意研究したところ、生のサツマイモの内部まで糖液を含浸させた加工サツマイモを用いると、加熱調理しても甘味が不足するようなサツマイモを原料とした場合であっても、充分な甘味を内部まで有し、食感にも優れた加熱調理サツマイモを製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
特開平6−62787号公報 特開平7−107898号公報 特開平7−274891号公報 特開2001−252020号公報 特開2001−346539号公報 特開2002−360210号公報 特開2003−70440号公報 特開平11−299446号公報 特開平8−116943号公報 特開平10−201444号公報 特開2002−125585号公報 特開2000−279123号公報 特開2002−186446号公報 特開平6−98676号公報
本発明は、内部に糖類を含有し、焼き芋や蒸し芋などの製造に好適に使用できる加工サツマイモ、および、該加工サツマイモを加熱処理した充分な甘味を有する加工サツマイモを提供することを課題としている。
また、本発明は、比較的糖度の低いサツマイモを原料として用いた場合であっても、焼き芋や蒸し芋などの製造に好適に使用できる内部に糖類を含有させた加工サツマイモ、および、該加工サツマイモを加熱処理した充分な甘味を有する加工サツマイモを製造する方法を提供することを課題としている。
本発明の加工サツマイモは、切断面を有し、でんぷん質が実質的に糊化しておらず、サツマイモに由来しない糖類を内部に含有することを特徴としている。
また、本発明の加工サツマイモは、切断面を有し、でんぷん質が実質的に糊化しておらず、サツマイモに由来しない糖類を内部に含有する加工サツマイモを、加熱処理してなることを特徴としている。
本発明の加工サツマイモの製造方法は、切断面を有する原料サツマイモを、10〜93,000Paに減圧処理し、減圧下で糖類を含有する液体成分と接触させ、次いで常圧〜500,000Paに加圧することにより、サツマイモ内部に液体成分を含浸させて、でんぷん質が実質的に糊化しておらず、少なくとも1部位におけるブリックス糖度が原料サツマイモの同部位におけるブリックス糖度の0.8〜20倍である加工サツマイモを得ることを特徴としている。
このような本発明の加工サツマイモの製造方法では、液体成分が、糖類を5〜75重量%の濃度で含有することが好ましい。また、本発明の加工サツマイモの製造方法では、液体成分が、ショ糖、マルトース、トレハロースおよび果糖よりなる群から選ばれる1種以
上の糖類を含有することも好ましい。本発明の加工サツマイモの製造方法では、液体成分が酸化抑制成分を含有することも好ましい。
本発明の加工サツマイモの製造方法では、原料サツマイモが、実質的にキュアリング貯蔵を行っていない生サツマイモであることが好ましい。
本発明の加工サツマイモの製造方法では、液体成分を含浸させた後、さらに加熱処理を行うことが好ましい。また、本発明の加工サツマイモの製造方法では、液体成分を含浸させた後、さらに冷凍することも好ましい。
本発明の加工サツマイモの製造方法では、加熱処理の後、さらに冷凍することも好ましい。
本発明の加工サツマイモの製造方法では、上述のいずれかの製造方法で得られた加工サツマイモを、さらに凍結乾燥することも好ましい。
本発明の加工サツマイモは、上記本発明の加工サツマイモの製造方法で得られたことを特徴としている。このような本発明の加工サツマイモは、焼き芋状食品であることが好ましい。
本発明によれば、加熱調理しても甘味が不足するようなサツマイモを原料とした場合であっても、充分な甘味を内部まで有する加熱調理した加工サツマイモを製造することができ、また、得られた加熱調理加工サツマイモが、均質な品質を有し、食感が良好で、色調にも優れるような、加工サツマイモおよびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
加工サツマイモ
本発明の第一の加工サツマイモは、切断面を有し、でんぷん質が実質的に糊化しておらず、サツマイモに由来しない糖類を内部に含有している。
本発明の加工サツマイモは、サツマイモの少なくとも一部に切断された部位があればどのような切断面を有していてもよく、原料サツマイモの繊維方向に垂直な切断目、平行な切断面、斜めもしくはランダムな切断面のいずれが形成されていてもよいが、サツマイモに由来しない糖類を充分に含有する加工サツマイモを容易に得る意味で、原料サツマイモの繊維方向に垂直な切断面を有しているのが好ましく、特に、両端を切り落とした切断面を有するのが好ましい。加工サツマイモの切断面は、特に限定されるものではないが、たとえば輪切り状の場合には切断面の直径が10〜20mm程度であるのが特に好ましい。
本発明の加工サツマイモの形状は、特に限定されるものではなく、原料サツマイモの原型を留めた形状、輪切り、乱切り、チップ状、ダイス状、スティック状などのどのような形状であってもよいが、焼き芋、蒸し芋などの用途に用いる場合には、両端を切り落とした切断面のみを有し、原料サツマイモの形状をとどめたもの、もしくはそれをさらに数個に切断したものなどが好ましい。また、本発明の加工サツマイモはその大きさも特に限定されるものではないが、1個あたり3g以上、好ましくは10g以上の重量を有するものが望ましい。
本発明の第一の加工サツマイモは、でんぷん質が実質的に糊化していないものである。このような加工サツマイモとして、本発明では、加熱調理による完全な糊化がなされてい
ないものであればよいが、原料サツマイモのでんぷん粒が50%以上残存していることが好ましく、内部がほぼ生の状態であるのがより好ましい。でんぷん質の糊化の程度については、たとえば20〜200倍程度の拡大倍率で、でんぷん粒の状態を観察するか、ヨード反応等により容易に評価することができる。
また、本発明の第一の加工サツマイモは、サツマイモに由来しない糖類を内部に含有している。ここで、サツマイモの内部とは、内皮よりも内側で切断面ではない部分を意味する。本発明の加工サツマイモは、内部に原料サツマイモに由来しない糖類を含み、より好ましくは、加工サツマイモのほぼ全体に原料サツマイモに由来しない糖類を含む。
具体的には、本発明の加工サツマイモは、その形状にもよるが、たとえば1cm四方よりも大きな場合には、好ましくは、いずれの表面からも5mm以上内側の部分に原料サツマイモに由来しない糖類を含む。また、たとえばチップ状、スティック状、ダイス状などの、小型の加工サツマイモの場合においても、たとえば切断表面から0.5mm以上内側の部位など、切断表面ではない内部にサツマイモに由来しない糖類を含む。
サツマイモに由来しない糖類とは、原料である加工前のサツマイモに外部から付与された糖類を意味するものであって、外部から付与された糖類であれば、原料サツマイモに由来する糖類と同種の糖類であってもよい。なお、原料サツマイモに由来する糖類とは、原料サツマイモに内在していた糖類あるいは原料サツマイモに内在する成分から生じた糖類を意味する。
このような糖類としては、甘味を有するものあるいは、加熱して甘味をもたらすものをいずれも用いることができ、単糖類、二糖類、多糖類のいずれであってもよく、その他の甘味成分であってもよい。糖類としては、グルコース、フラクトース、D−グルシトール、D−フルクトース(果糖)、ガラクトース、キシロースなどの単糖類;スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、エリスリトール、パラチノースなどの二糖類;オリゴ糖または多糖類;蜂蜜、カエデ糖、水飴、その他の天然および人口甘味料等が挙げられ、このうちショ糖、マルトース、トレハロース、D−フルクトースなどが好ましい。
本発明の第一の加工サツマイモは、このような糖類を、固形で含有していてもよいが、液状であるいは液状物質の成分として加工サツマイモ内に含まれているのが好ましく、たとえば、他成分を含んでいてもよい糖水溶液や、油分と糖の混合物などの状態で含有されていることが好ましい。本発明の第一の加工サツマイモは、通常、糖類とともにサツマイモに由来しない水分などの液体成分をも含有する。
ブリックス糖度で示される加工サツマイモの糖度は、一般に、切断面付近において高く、切断面から遠いほど低い傾向がある。本発明の第一の加工サツマイモは、特に限定されるものではないが、中心部のブリックス糖度が4.0〜15.0、好ましくは5.0〜14.0程度であるのが望ましい。この加工サツマイモの中心部のブリックス糖度は、加工サツマイモの原料である原料サツマイモのブリックス糖度の0.8〜1.8倍程度、好ましくは1.05〜1.8倍程度であるのが望ましい。また、この加工サツマイモの少なくとも1部位におけるブリックス糖度が、原料サツマイモの同部位におけるブリックス糖度の0.8〜20倍、好ましくは0.8〜10倍、より好ましくは1.05〜5倍であるのが望ましい。ここで、ブリックス糖度は、糖濃度に依存するものであるため、加工サツマイモが原料サツマイモに由来しない糖を充分量含有する場合であっても、原料サツマイモが水分の少ないものであって、加工サツマイモが糖とともに水分などを多く導入したものである場合には、原料サツマイモよりも低いブリックス糖度を示す場合もある。
このような本発明の第一の加工サツマイモは、高い糖含有量を示すものであり、これを
加熱調理すると、原料サツマイモが低糖度の場合であっても、充分な甘味を呈する加熱サツマイモを得ることができる。また、本発明の第一の加工サツマイモは、ブリックス糖度が原料サツマイモよりも低い場合であっても、原料サツマイモよりも高い糖含有量であることにより、加熱調理した場合に充分な甘味としっとりとした食感をもたらすことができる。さらに、本発明の第一の加工サツマイモは、サツマイモに由来しない糖類を含有することにより、通常の生サツマイモと比較して、切断面および内部の変色が糖の保湿効果により抑制され、良好な色調を呈する。
本発明の第一の加工サツマイモは、各種サツマイモ食品の原料として通常の生サツマイモと同様に調理して用いることができ、通常の生サツマイモ用途のいずれにも好適に用いることができるが、特に、粉砕や味付けなどをあまり行わず、そのまま加熱調理して食する焼き芋、蒸し芋、揚げ芋などに好ましく用いることができる。
このような本発明の第一の加工サツマイモは、どのような方法で調製してもよく、生サツマイモに糖液を染み込ませるいずれかの手段により得ることができるが、後述する本発明の加工サツマイモの製造方法により好適に製造することができる。
本発明の第二の加工サツマイモは、上記本発明の第一の加工サツマイモを、加熱処理して得られるものである。加熱処理は、油揚げ、電磁加熱、オーブン加熱、蒸気加熱、煮沸など、どのような方法で行ってもよく特に限定されるものではないが、第一の加工サツマイモを微細に粉砕することなく行ったものであるのが好ましい。より好ましくは、本発明の第二の加工サツマイモは、焼き芋状食品、蒸し芋状食品、揚げ芋状食品であり、特に好ましくは焼き芋状食品である。
このような第二の加工サツマイモは、でんぷん質が糊化し、原料サツマイモに由来しない糖類を内部に含有しており、充分な甘味を有しており美味である。また、原料サツマイモに由来しない糖類を内部に含有していることにより、そのまま加熱処理した場合には白っぽい色調となるサツマイモを原料としている場合であっても、黄金色の良好な色調を有する。さらに、第二の加工サツマイモは、通常サツマイモに由来しない液体成分、特に水分を含有していることにより、通常の生サツマイモを同様に加熱処理した場合よりもしっとりとした食感を示す。
加工サツマイモの製造方法
本発明の加工サツマイモの製造方法では、原料サツマイモを減圧処理し、減圧下で糖類を含有する液体成分と接触させ、常圧以上に加圧して原料サツマイモの内部に液体成分を含浸させる。
原料サツマイモとしては、少なくとも一個所に切断面を有し、でんぷん質が実質的に糊化していないサツマイモをいずれも用いることができる。ここで、でんぷん質が実質的に糊化していないサツマイモとは、加熱調理による完全な糊化がなされていないものであればよいが、原料サツマイモのでんぷん粒が50%以上残存していることが好ましく、内部がほぼ生の状態であるのがより好ましく、生のサツマイモが特に好ましい。また、表面のみに加熱殺菌を施した生のサツマイモを用いることも好ましい。
サツマイモは通常、収穫後キュアリング貯蔵することによりでんぷんが糖化されて糖度がある程度上昇するが、本発明で用いる原料サツマイモは、収穫直後のものであってもよく、キュアリング貯蔵後のものであってもよい。本発明では、キュアリング貯蔵を行っていないサツマイモや、糖度の低い系統のサツマイモであっても、好適に原料サツマイモとして用いることができる。このため本発明では、原料サツマイモが、実質的にキュアリング貯蔵を行っていない生サツマイモであることも好ましい。
本発明で用いる原料サツマイモは、少なくとも一部に切断された部位があればどのような切断面を有していてもよく、原料サツマイモの繊維方向に垂直な切断面、平行な切断面、斜めもしくはランダムな切断面のいずれが形成されていてもよいが、サツマイモに由来しない糖類を充分に含浸し、かつ、外観に優れた焼き芋状食品やふかし芋状食品などを製造するために、原料サツマイモの繊維方向に垂直な切断面を有しているのが好ましい。
本発明で用いる原料サツマイモの形状は、少なくとも1つの切断面を有していれば特に限定されるものではなく、原料サツマイモの原型を留めた形状、輪切り、乱切り、チップ状、ダイス状、スティック状などのどのような形状であってもよい。
本発明で用いる原料サツマイモは、特に、両端を切り落とした切断面を有するのが好ましく、両端を切り落として形成された、直径10〜20mm程度の切断面を両端に有するのが好ましい。加工サツマイモを、焼き芋、蒸し芋などの用途に用いる場合には、両端を切り落とした切断面のみを有し、原料サツマイモの形状をとどめたもの、もしくはそれをさらに数個に切断したものなどが好ましく、サツマイモ本来の形状を生かした食品とする場合には、サツマイモの両端をカットした生サツマイモを原料サツマイモとして用いることが好ましい。具体的には、直径10〜20mm程度の切断面を両端に設けた生サツマイモを原料サツマイモとして用いることがより好ましい。また、本発明で用いる原料サツマイモはその大きさも特に限定されるものではないが、1個あたり3g以上、好ましくは10g以上の重量を有するものが、特に含浸の効果を有するため望ましい。
なお、本発明の加工サツマイモの製造方法では、所望の形状および大きさの加工サツマイモを得るために、原料サツマイモを所望の形状および大きさとした後に液体成分を含浸してもよく、また、少なくとも1つの切断面を有する原料サツマイモに液体成分を含浸させた後に、所望の形状および大きさとなるように切断してもよい。
このような原料サツマイモには、液体成分の含浸を促進させるため、必要に応じて、1箇所あるいは複数箇所に傷または小孔を設けてもよい。このような処理は、特に粘度の高い液体成分を含浸する場合などに特に有効である。
本発明においては、一つの系統の原料サツマイモを多量に用いる場合には、その中からサンプリングしたサツマイモの糖度、水分量などの性状を予め判定することによって、所望の味や食感を有する加工サツマイモを製造する条件を設定することができる。また、原料サツマイモの切断面の糖度や水分量などの性状を参考にして、加工サツマイモの製造条件を適宜設定することもできる。設定する製造条件としては、液体成分の種類および濃度、減圧および加圧の程度、含浸時間等の条件が挙げられる。
本発明では、このような原料サツマイモに、糖類を含有する液体成分を含浸させる。糖類を含有する液体成分は、液体、溶液、スラリー液、分散液など、含浸時に液状で取り扱い可能な形態であればよく、マーガリン、バター、チョコレートなど、常温で固体であっても、温度などの含浸条件を調整することにより液体として取り扱いの可能な成分を基材とし、糖類を含有するものも液体成分として用いることができる。
本発明においては、圧力あるいは温度などの含浸条件を選択することにより、比較的高粘度の液体成分をも含浸に用いることができ、たとえばクリーム状あるいはジャム状の成分も含浸可能な流動性を有していれば液体成分として用いることができる。
液体成分が含有する糖類としては、甘味を有するもの、あるいは加熱して甘味をもたらすものがいずれも好適に用いられ、単糖類、二糖類、多糖類のいずれであってもよく、人口甘味料などのその他の甘味成分であってもよい。このような糖類としては、グルコース
、フラクトース、D−グルシトール、D−フルクトース(果糖)、ガラクトース、キシロースなどの単糖類;スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、エリスリトール、パラチノースなどの二糖類;オリゴ糖または多糖類;蜂蜜、カエデ糖、水飴、その他の天然および人口甘味料等が挙げられる。これらのうちでは、ショ糖、マルトース、トレハロース、D−フルクトースなどが好ましく、液体成分がこれらの1種以上を含有するのが望ましい。
本発明で用いる液体成分としては、このような糖類を可食な液体に溶解あるいは分散したものをいずれも用いることができ、具体的には、他成分を含有していてもよい糖水溶液、溶かしバターやオリーブ油などの油脂や、酒類などに糖を溶解あるいは分散した液体成分等が挙げられ、このうち、他成分を含んでいてもよい糖水溶液が好ましく用いられる。
本発明においては、糖の種類、原料サツマイモの性状などにもよるが、液体成分が、糖類を5〜75重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%程度の濃度で含有するのが望ましい。また、液体成分は、糖以外の成分を含有することも好ましく、たとえば食塩、クエン酸、アスコルビン酸、食酢などの酸化抑制成分を含有することも好ましい。酸化抑制成分を含有する液体成分を用いた場合には、サツマイモ全体の酸化による品質劣化を防ぐことができ、特に酸化による断面の変色を好適に防ぐことができる。
本発明では、原料サツマイモを10〜93,000Pa、好ましくは10〜20,000Pa、より好ましくは10〜10,000Paに減圧処理した後に、減圧下で原料サツマイモと液体成分とを接触させ、次いで加圧を行うことによりサツマイモ内部に液体成分を含浸させる。
このような圧力範囲となるように減圧処理を行うと、原料サツマイモの有する空隙や、細胞中に存在する水分、各種気体成分が、原料サツマイモの外部に排出され、原料サツマイモが有する空隙とその周囲とが同等の減圧状態となる。減圧処理は、原料サツマイモを容器内で減圧し、減圧に保った状態で該容器内に液体成分を導入し得る真空含浸装置または真空−加圧含浸装置を用いて行うのが好ましい。
次いで、本発明では、サツマイモと液体成分とを接触させたままの状態で、常圧〜900,000Pa、好ましくは150,000〜500,000Pa,より好ましくは300,000〜500,000Paに加圧を行って、サツマイモ内部に液体成分を含浸させる。これにより、減圧により液体成分あるいは気体成分が排出された原料サツマイモの空隙部に、液体成分が速やかに含浸される。減圧状態からの加圧は、空気または不活性ガスを用いて行うことができるが、保存時における細菌などの繁殖をより効果的に抑制するために、窒素などの不活性ガスを用いることもできる。
このような本発明の加工サツマイモの製造方法では、加圧後に、サツマイモと液体成分との接触を、大気圧〜500,000Paの範囲の圧力で、1〜300分間、好ましくは5〜120分程度継続してもよい。このようなサツマイモと液体成分との接触の継続は、加圧後に加圧した状態を継続することにより行うのが簡便であり好ましいが、加圧の後に別途行ってもよい。
本発明においては、含浸時における減圧の程度、加圧の程度、液体成分の粘度、温度などの条件を適宜調整することにより、原料サツマイモへの液体成分の導入量を所望量とした加工サツマイモを得ることができる。
本発明では、たとえばマーガリンに砂糖を分散したものを液体成分として用いる場合な
ど、常温以上の温度で液状となる液体成分を用いる場合には、温度条件を液状で取り扱える範囲とするのが肝要であるが、過度の加熱を行わないのが望ましく、含浸の温度条件が70℃以下であることが望ましい。含浸処理温度が80℃以上であると、含浸処理中にサツマイモのでんぷん質が完全に糊化してしまう場合があるため好ましくない。
このようにして得られた加工サツマイモは、原料サツマイモに由来しない糖類を内部に含有することにより、原料サツマイモよりも糖含有量が高くなる。含浸処理して得られた加工サツマイモは、でんぷん質が実質的に糊化していない場合において、少なくとも1部位におけるブリックス糖度が原料サツマイモの同部位におけるブリックス糖度の0.8〜20倍、好ましくは0.8〜10倍、より好ましくは1.05〜5倍である。また、加工サツマイモの中心部のブリックス糖度は、でんぷん質が実質的に糊化していない場合において、通常原料サツマイモのブリックス糖度の0.8〜1.8倍、好ましくは1.05〜1.8程度である。
ブリックス糖度の変化は、サンプルとする原料サツマイモと同系統、同様形状の未処理サツマイモとの比較で行う。比較する位置は、含浸時の原料サツマイモの形状などにもよるが、表皮部および切断面ではない内部で比較するのがよく、内皮よりも内側で切断面ではない部分で、サツマイモ中の同等の位置で比較するのがよい。
なお、原料サツマイモに由来する糖類とは、原料サツマイモに内在していた糖類あるいは原料サツマイモに内在する成分から生じた糖類を意味する。サツマイモに由来しない糖類とは、原料である加工前のサツマイモに外部から付与された糖類を意味するものであって、外部から付与された糖類であれば、原料サツマイモに由来する糖類と同種の糖類であってもよく、含浸を施す原料サツマイモとは別のサツマイモから別途抽出して得た糖類であってもよい。
このようにして液体成分を含浸させて得た加工サツマイモは、通常の生サツマイモと同様に用いることができ、適宜加熱処理して食することができ、通常、上述した本発明の第一の加工サツマイモと同様の性状を有する。加熱処理は、油揚げ、電磁加熱、オーブン加熱、蒸気加熱、煮沸など、どのような方法で行ってもよく、また加熱調理とともに調味を施してもよく、特に限定されるものではないが、含浸させて得た加工サツマイモを微細に粉砕することなく、あまり調味成分の添加をせずに行うのが好ましい。より好ましくは、加熱処理された加工サツマイモが、焼き芋状食品、蒸し芋状食品、干し芋状食品、揚げ芋状食品であり、特に好ましくは焼き芋状食品であるのが望ましい。本発明では、糖分などの調味成分の添加をせずに加熱処理を行った場合にも、加工サツマイモ中にすでに糖分が付与されていることにより、充分な甘味を有するが、所望に応じて加熱処理時に糖類、塩分などの調味成分を付与することもできる。
加熱処理を施した加工サツマイモは、でんぷん質が糊化し、原料サツマイモに由来しない糖類を内部に含有しており、充分な甘味を有しており美味である。また、原料サツマイモに由来しない糖類を内部に含有していることにより、そのまま加熱処理した場合には白っぽい色調となるサツマイモを原料としている場合であっても、黄金色の良好な色調を有する。さらに、含浸させる液体成分の種類および量を調整することによって、しっとりとあるいはホクホクとした所望の食感を有する加工サツマイモとすることができる。
このようにして液体成分を含浸させた加工サツマイモは、所望の加工サツマイモの性状に応じて、含浸後に表面に付着した液体成分を、水洗い、拭き取り、遠心分離、乾燥などの方法により除去してもよく、また、そのまま加熱処理に供するのが望ましい場合などには、付着した液体成分を保持するようにしてもよい。
液体成分を含浸させて得た加工サツマイモは、そのまま冷凍することもできる。このような冷凍した加工サツマイモは、適宜加熱調理して食することができ、加熱調理をする時まで冷凍のまま好適に保存することができる。また、液体成分の含浸後加熱処理をした加工サツマイモを、さらに冷凍することもできる。このような冷凍した加工サツマイモは、電子レンジなどで軽く暖めなおす程度の簡単な加熱処理を施すことによって、好適に食することができ、食するときまで冷凍のまま好適に保存することができる。
また、これらの本発明の加工サツマイモの製造方法により得られた加工サツマイモには、さらに凍結乾燥を施してもよい。凍結乾燥された加工サツマイモは、保存性に優れ、変質することなく長期間保存することができる。凍結乾燥された加工サツマイモは、水または湯に浸漬する方法、蒸気加熱する方法、含浸時に行ったような方法で減圧して水分と接触して加圧する方法などにより、適宜水分を付与して食することができる。でんぷん質が実質的に糊化していないものである場合には、でんぷん質が糊化するに充分な加熱を伴う方法で水分を付与するか、または水分を付与した後加熱処理することにより、好適に食することができる。
このような本発明の加工サツマイモの製造方法によれば、上述した本発明の加工サツマイモを好適に製造することができる。得られた加工サツマイモは、どのような最終形態で食してもよいが、焼き芋状食品、蒸し芋状食品、揚げ芋状食品等の形態であるのが好ましく、焼き芋状食品であることが特に好ましい。
実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例で用いた原料サツマイモは、同時に収穫され、実施例および比較例の実施まで同様に保管されたものであり、形状、表皮および切断面の色などはほぼ同様であった。
糖液の調製
・糖液A(ショ糖30重量%+マルトース40重量%混合水溶液)
水6000g中に、ショ糖8000gを溶解させ、これを70℃まで加熱してマルトース6000gを添加し、撹拌混合して完全に溶解させた。これを15℃まで冷却し、糖類の析出がないことを確認して糖液Aとして用いた。
・糖液B(ショ糖60重量%水溶液)
ショ糖12000gと水8000gとを混合し、50℃程度まで加温しながら撹拌混合して完全に溶解させた。これを15℃まで冷却し、糖類の析出がないことを確認して糖液Bとして用いた。
ブリックス糖度の測定
測定する原料サツマイモあるいは加工サツマイモを、真中から輪切りにし、図1に示す測定個所A(外皮と中央部との中間点)、B(中央部)、C(端部、ただし外皮は含まない)それぞれについて、15mmの立方体状にサンプルを切り出した。各サンプルを摩り下ろして、3倍の蒸留水を入れてよく混ぜ、ろ紙でろ過したろ液について、手持ブリックス糖度計(ATAGO製 N−1)によりブリックス糖度を測定し、測定値から未希釈のサンプルのブリックス糖度を算出した。
鹿児島県産のサツマイモを水で洗浄し、両端をカットしてそれぞれ直径約15mmの断面を設けたものを原料サツマイモとして用いた。
原料サツマイモA(222.5g)を、ステンレス製バスケットに詰め、バスケット上部にポリエチレンネットをかぶせ、ネットをステンレス製針金で固定して、これをステンレス製容器(内タンク)内にいれた。このステンレス製容器を真空加圧含浸装置((株)
エフコム製)内に設置し、真空排気を行い、装置内を2000Paまで減圧し、そのまま5分間排気を継続した後、試料である原料サツマイモが完全に浸漬されるまで、上記糖液A(15℃)を注入した。糖液Aの注入終了後、真空加圧含浸装置内をエアパージし、続いて圧搾空気を導入してタンク内を加圧して、0.5MPaで15分間保持した後エアパージして含浸処理を完了し、装置より含浸された含浸サツマイモAを取り出した。含浸後の重量は226.5gであった。
次いで得られた含浸サツマイモAを、210℃に予熱した焼成用コンベクションオーブン(D43H、ヤマト科学製)内に入れ、約1時間焼成し、焼き芋状食品Aを得た。焼成後の重量は181.8gであった。
実施例1において、含浸前の重量が183.5gである原料サツマイモBを用い、0.5MPaでの加圧保持時間を30分としたことの他は、実施例1と同様にして含浸を行い、含浸後の重量が189.6gである含浸サツマイモBを得た。また、原料サツマイモB’についても、原料サツマイモBと全く同様に処理し、ブリックス糖度の比較に用いる含浸サツマイモB’を得た。
得られた含浸サツマイモBを実施例1と同様にして焼成し、焼き芋状食品Bを得た。焼成後の重量は148.3gであった。
含浸サツマイモB’および、焼き芋状食品Bについて、上述の方法によりブリックス糖度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、含浸前の重量が156.2gである原料サツマイモCを用い、液体成分として糖液Bを用いたことの他は、実施例1と同様にして含浸を行い、含浸後の重量が161.3gである含浸サツマイモCを得た。
得られた含浸サツマイモCを実施例1と同様にして焼成し、焼き芋状食品Cを得た。焼成後の重量は128.3gであった。
実施例2において、含浸前の重量が163.3gである原料サツマイモDを用い、液体成分として糖液Bを用いたことの他は、実施例2と同様にして含浸を行い、含浸後の重量が169.6gである含浸サツマイモDを得た。また、原料サツマイモD’についても、原料サツマイモDと全く同様に処理し、ブリックス糖度の比較に用いる含浸サツマイモD’を得た。
得られた含浸サツマイモDを実施例1と同様にして焼成し、焼き芋状食品Dを得た。焼成後の重量は139.7gであった。
含浸サツマイモD’および、焼き芋状食品Dについて、実施例2と同様にしてブリック
ス糖度を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
鹿児島県産のサツマイモを水で洗浄し、両端をカットしてそれぞれ直径約15mmの断面を設けたものを原料サツマイモEとして用いた。原料サツマイモEの重量は207.3gであった。
この原料サツマイモを、実施例1と同様に、210℃に予熱した焼成用コンベクションオーブン(D43H、ヤマト科学製)内に入れ、約1時間焼成し、焼き芋状食品Eを得た。焼成後の重量は159.8gであった。
未処理原料サツマイモE’および焼き芋状食品Eについて、実施例2と同様にしてブリックス糖度の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2005168394
評価
実施例4で得た焼き芋状食品D(60%ショ糖水溶液含浸のもの)と、比較例1で得た焼き芋状食品E(含浸を行っていないもの)との味を、5名のパネラーにより試食(ブラインドテスト)して評価した。評価項目は、断面の見た目、甘さ、食感(しっとり感)、総合評価の4項目とし、よいと思う方に1点を投票させた。結果を表2に示す。
Figure 2005168394
図1は、実施例および比較例における、ブリックス糖度の測定部位を示す。

Claims (13)

  1. 切断面を有し、でんぷん質が実質的に糊化しておらず、サツマイモに由来しない糖類を内部に含有することを特徴とする加工サツマイモ。
  2. 請求項1に記載の加工サツマイモを加熱処理してなることを特徴とする加工サツマイモ。
  3. 切断面を有する原料サツマイモを、10〜93,000Paに減圧処理し、減圧下で糖類を含有する液体成分と接触させ、次いで常圧〜500,000Paに加圧することにより、サツマイモ内部に液体成分を含浸させて、でんぷん質が実質的に糊化しておらず、少なくとも1部位におけるブリックス糖度が原料サツマイモの同部位におけるブリックス糖度の0.8〜20倍である加工サツマイモを得ることを特徴とする加工サツマイモの製造方法。
  4. 液体成分が、糖類を5〜75重量%の濃度で含有することを特徴とする請求項3に記載の加工サツマイモの製造方法。
  5. 液体成分が、ショ糖、マルトース、トレハロースおよび果糖よりなる群から選ばれる1
    種以上の糖類を含有することを特徴とする請求項3または4に記載の加工サツマイモの製造方法。
  6. 液体成分が酸化抑制成分を含有することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の加工サツマイモの製造方法。
  7. 原料サツマイモが、実質的にキュアリング貯蔵を行っていない生サツマイモであることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の加工サツマイモの製造方法。
  8. 液体成分を含浸させた後、さらに加熱処理を行うことを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の加工サツマイモの製造方法。
  9. 液体成分を含浸させた後、さらに冷凍することを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の加工サツマイモの製造方法。
  10. 加熱処理の後、さらに冷凍することを特徴とする請求項8に記載の加工サツマイモの製造方法。
  11. 請求項3〜10のいずれかの製造方法で得られた加工サツマイモを、さらに凍結乾燥することを特徴とする加工サツマイモの製造方法。
  12. 請求項3〜11のいずれかの製造方法で得られたことを特徴とする加工サツマイモ。
  13. 焼き芋状食品であることを特徴とする請求項12に記載の加工サツマイモ。
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