JP2005167966A - アンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アンテナ本体部10は、誘電体基体16に平面状の放射導体11と給電線14とが設けられて構成される。放射導体11は、円形の形状を有する第1の形状要素12と半楕円形の形状を有する第2の形状要素13とが、互いに一部分を共有するように組み合わせて構成されている。第2の形状要素12のうち第1の形状要素12からみて第2の形状要素13の位置方向における周縁部において、給電線14が放射導体11と接続されている。
【選択図】図1
Description
このように図31及び図32に示すアンテナは立体的な構造体を成し形状が大きくなるため、小型のアンテナ装置には適さない。
又は、前記給電線は、前記平面に対して傾斜した方向から、又は略垂直の方向から接続されてもよい。この場合、第2の形状要素の前記周縁部で接続されなくてもよい。
さらに、前記アンテナ装置には、前記放射導体及び前記給電線が前記誘電体基体の表面に、又は該誘電体基体内に設けられてアンテナ本体部が構成されており、該アンテナ本体部が絶縁性基板に実装されており、該絶縁性基板の、該誘電体基体とは反対側の面又は該絶縁性基板の内部にはグランド導体が設けられており、該放射導体が該グランド導体に対して平行又は略平行になるように該誘電体基体が配されて該アンテナ本体部が該絶縁性基板に実装されることが好ましい。
また、前記絶縁性基板に実装される前記アンテナ本体部は、前記グランド導体が形成されていない絶縁性基板の露出部に対向する絶縁性基板の反対側の面の領域に配されて固定される。すなわち、前記アンテナ本体部は前記グランド導体とは互いに対向しない位置に、前記グランド導体と平行に配される。
さらに、前記反射体と前記絶縁性基板との間に空気層が設けられていることが好ましい。さらに、前記反射体と前記絶縁性基板との間に誘電体層が設けられていることも好ましい。その際、前記誘電体層には、好ましくは比誘電率が1.5〜20の範囲の誘電体が、さらに好ましくは比誘電率が2〜10の範囲の誘電体が用いられる。
前記誘電体層及び前記空気層の双方が設けられる場合、前記絶縁性基板、前記空気層、前記誘電体層、前記反射体の順に並ぶように、前記誘電体層を前記反射体の表面に配設することが好ましい。
また、誘電体基体とこの誘電体基体に設けられる放射導体と給電線とにより構成されるアンテナ本体部は平面構造となるため、アンテナ本体部を回路基板等の絶縁性基板の表面に実装する表面実装型のアンテナ装置を提供することができる。
また、アンテナ本体部を回路基板の端部付近に配することができるため、周辺回路を配置するための領域を拡大することができ、通信装置全体の小型化が可能となる。
アンテナ本体部10は、回路基板等の絶縁性基板17の表面に実装する表面実装型のアンテナとして機能し、放射導体11、給電線14及び誘電体基体16を有して構成される。
放射導体11は、円形の形状を成す第1の形状要素12と、楕円形の形状を部分的に有する半楕円形状の第2の形状要素13とが一部分を共有するように配された形状を成す。そして、放射導体11と給電線14とは第2の形状要素13の周縁部において接続されている。この接続位置は、第1の形状要素12からみて第2の形状要素13の位置方向の周縁部である。
給電線14は、図3に示すように、回路基板等の絶縁性基板17に設けられた伝送線路の信号線19とビア20を介して接続された給電線である。
このような放射導体11と給電線14とは、誘電体基体16の同一の平面上に設けられる。
また、誘電体基体16には、給電線14の左右対称の位置に電位0を確保し、アンテナのインピーダンスマッチングを有効に行なうアースパターン15a,15bが形成される。これらのアースパターン15a,15bは、例えば絶縁体基板17に設けられた図示されない補助パターン及びビアを介してグランド導体18と接続されるように構成される。
放射導体11の第1の形状要素12は円形のディスク形状を成し、第2の形状要素13は楕円形状を部分的に有する半楕円形状を成す。図4中、仮想線(一点鎖線)で囲まれる部分は第1の形状要素12と第2の形状要素13との共有部分である。したがって、第1の形状要素12に対応する金属導体及び第2の形状要素13に対応する金属導体をそれぞれ別々に形成して放射導体11を形成する場合、円形状及び半楕円形状の双方の全輪郭が放射導体11のパターン形状の輪郭として現れない。また、第1の形状要素12と第2の形状要素13とが互いに一部分を共有するように組み合わせた形状を一体的に形成する場合においても、放射導体11には、円形状及び楕円形状の全輪郭が放射導体11のパターン形状の輪郭として現れない。
また、放射導体11の形状を後述するように縦長さ比率αで規定するために、図4では第1の形状要素の縦方向の長さL31及び第1の形状要素から突き出た第2の形状要素の縦方向の長さL32が定義されている。
図3に示すように、絶縁性基板17の一方の面(図3において下面)にグランド導体18を、他方の面(図3において上面)にストリップ線路の信号線19をそれぞれ形成し、この信号線19の形成された面の側にアンテナ本体部10が実装されている。アンテナ本体部10は誘電体基体16の内部に放射導体11と給電線14が形成されており、放射導体11とストリップ線路の信号線19との接続は誘電体基体16に設けられたビア20を通じて行われている。また、絶縁性基板17のグランド導体18の設けられている面には、図2に示すように絶縁性基板17の端部に接するようにグランド導体18のない露出部24が設けられており、この露出部24を挟んで対向する、絶縁性基板の反対側の面の領域(以降、露出部対向領域という)にアンテナ本体部10は実装される。したがって、アンテナ本体部10は絶縁性基板17の端部付近に配される。
なお、本発明におけるアンテナの放射導体の形状は、多角形、略多角形、円形、略円形、楕円形、略楕円形の中から選ばれる形状を有する第1の形状要素と、多角形、略多角形、円形、略円形、楕円形、略楕円形、台形及び略台形の中から選ばれる形状の少なくとも一部分を有する第2の形状要素とを互いに共有部分を有するように配した形状であればいずれの形状であってもよい。
誘電体基体16に放射導体11を設けることで、誘電体の波長短縮効果を用いてアンテナ本体部10の小型化が可能となる。この場合、放射導体11の設置位置や誘電体基体16の比誘電率、又は2種類以上の比誘電率の組み合わせに応じて、実効的な比誘電率が決まる。したがって、実効的な比誘電率に応じて波長短縮効果が可能となり、この実効的な比誘電率を適宜選択、調整することによって動作周波数帯域の広いアンテナ本体部10を実現することができる。
なお、絶縁性基板17は積層基板を用いることもできるが、この場合、グランド導体18は積層基板の表層ではなく、2層目、3層目などの内層に設けられてその上に絶縁層が設けられた構成であってもよい。
また、アンテナ本体部10とグランド導体18は同一基板の同一平面上に配置してもよい。この場合、アンテナ本体部10を構成する誘電体基体16などの基体は不必要である。露出部24に対向する露出部対向領域にアンテナ本体部10を形成し、基板の背面にストリップ線路を形成し、ビアを介してアンテナ本体部10に給電するように構成することができる。すなわち、グランド導体18が形成される面とアンテナ本体部10の放射導体10の形成される面とが平行になるようアンテナ本体部10を配するとよい。
このようなアンテナ装置1は、直線偏波の送受信を行なうアンテナ装置として好適に用いることができる。
図5は、図2,3に示すアンテナ装置1のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)の周波数特性の一例を示している。一般に伝送線路にアンテナ等の負荷が接続されたり、別の特性インピーダンスを持つ伝送線路等が接続された場合、接続部分の不連続性により伝送される信号の進行波の一部が反射されて後退波が発生する。そして、この後退波が進行波と同一伝送線路上に共存して定在波が作られる。VSWRはこのときの定在波として現れる電圧信号の最小値に対する最大値の比率をいう。したがってVSWRが1に近づくほどアンテナ本体部10のインピーダンスマッチングが良好に行なわれ、この結果アンテナ本体部10のリターンロスが小さくなり特性が向上するといえる。
比帯域幅 = 2・(fH−fL)/(fH+fL)×100(%)
比帯域幅が大きいほど作動周波数帯域幅が広いことを意味する。
図2,3に示すアンテナ装置1におけるVSWRの周波数特性については、種々の例を挙げて後述する。
なお、本発明のアンテナ装置においてVSWRが2.0より小さい周波数帯域幅を用いたときの比帯域幅が40%以上である。本発明のアンテナ装置では、好ましくは、VSWRが2.2より小さい周波数帯域幅を用いたときの比帯域幅は75%以上であり、より好ましくは、VSWRが2.4より小さい周波数帯域幅を用いたときの比帯域幅は85%以上であり、特に好ましくは、VSWRが2.6より小さい周波数帯域幅を用いたときの比帯域幅は90%以上であり、最も好ましくは、VSWRが3.0より小さい周波数帯域幅を用いたときの比帯域幅は100%以上である。
図6及び7は、図1に示すアンテナ装置1の構成に、リフレクター41及び誘電体層51を配設したアンテナ装置2である。
図6は、アンテナ装置2の平面図であり、図7は、図6に示すアンテナ装置2を図6中の直線C−Dで切断した断面図である。アンテナ装置2は、送信及び受信の少なくとも一方を行うアンテナ装置である。
アンテナ本体部10は上述したように絶縁性基板17の表面に実装される表面実装型のアンテナである。アンテナ本体部10及び絶縁性基板17についての説明は上述したので省略する。
また、リフレクター41の材質は金属に限られず、電波を反射するものなら何でもよい。例えばガラス板等の誘電体基板に透明導電膜を形成したものを用いてもよい。人工磁気導体として作用するEBG構造(Electromagnetic Band Gap)を用いてもよい。
リフレクター41の表面には誘電体層51が配設されている。
なお、絶縁性基板17と、リフレクター41及び誘電体層51とは平行又は略平行になるように配設されることが好ましい。これにより略平面状のアンテナ装置を構成することができ、小型のアンテナ装置を提供することができる。リフレクター41及び誘電体層51は、絶縁性基板17を挟んでアンテナ本体部10と反対側に配設してもよいし、アンテナ本体部10の側に配設してもよい。
例えばアンテナ装置2では、長さL41及び/又は長さL42は30mm以上あればよい。リフレクター41の横方向の長さL41及び/又は縦方向の長さL42は、絶縁性基板17の対応する方向の長さと同等以上であることが好ましいが、リフレクター41の横方向の長さL41及び縦方向の長さL42のいずれか一方が少なくとも絶縁性基板17の対応する方向の長さと同等以上であればよい。例えば、リフレクター41の横方向の長さL41が絶縁性基板17の横方向の長さより短くても、リフレクター41の縦方向の長さL42が絶縁性基板17の縦方向の長さより長ければよい。さらに好ましくは、長さL41及び/又は長さL42は絶縁性基板17の横方向の長さ及び/又は縦方向の長さの1.3倍以上であり、例えば40mm以上であることがよい。
誘電体層51の形状が所定の大きさより小さくなるとアンテナ装置2の利得は低下する。長さL51及び長さL52を所定の範囲に設定することにより広帯域の周波数範囲においてアンテナ装置2が高利得の特性となるように機能する。
例えばアンテナ装置2では、長さL51及び/又はL52は30mm以上あればよい。誘電体層51の横方向の長さL51及び/又は縦方向の長さL52は、絶縁性基板17の対応する方向の長さと同等以上であることが好ましい。しかし、誘電体層51の横方向の長さL51及び縦方向の長さL52のいずれか一方が、少なくとも絶縁性基板17の対応する方向の長さと同等以上であればよい。例えば、誘電体層51の横方向の長さL51が絶縁性基板17の横方向の長さより短くても、誘電体層51の縦方向の長さL52が絶縁性基板17の縦方向の長さより長ければよい。さらに好ましくは、長さL51及び/又は長さL52は絶縁性基板17の横方向の長さ及び/又は縦方向の長さの1.3倍以上であり、例えば40mm以上であることがよい。
図5は、以下に説明する例1のアンテナ装置1におけるVSWRの周波数特性を示すグラフである。図5中には、比較例として、例1と異なる図33に示されるアンテナを用いた後述する例7(比較例)におけるVSWRの周波数特性も示されている。この周波数特性はFI(Finite-Integration)法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
例1は、図1に示すアンテナ本体部10を有するアンテナ装置1を用いた例である。例7は、図1に示すアンテナ本体部10の替わりに、図33に示されるように円形状の放射導体111により構成されたアンテナ本体部110を用いたアンテナ装置である。詳細は後述する。
例1及び例7ともに、図2に示すように、アンテナ本体部10,110は絶縁性基板17の一方の面に実装され、他方の面にはグランド導体18が形成されている。
これより放射導体11における第1の形状要素12の大きさに応じて、第2の形状要素13の形状を適宜調整することで、広帯域にわたって最適なインピーダンスのマッチングを実現できることがわかる。また、第2の形状要素13における楕円形状の長軸半径及び短軸半径を適宜調整し、より広範囲の周波数帯域において良好なマッチングを得ることが可能となる。
図8は、例2のアンテナ装置1のVSWRの周波数特性を示すグラフである。このアンテナ装置1は、図1に示すアンテナ本体部10を有し、例1と寸法の異なるアンテナ本体部10を絶縁体基板17に実装したアンテナ装置である。図8に示す周波数特性はFI法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。例2のアンテナ装置1の主要部の寸法は表1に示されている。
この他に、例2における給電線14の長さは0.7mmである。誘電体基体16の厚さは1.2mmであり、放射導体11は誘電体基体16の内部に設けている。誘電体基体16は、図16に示すように異なる比誘電率を有する2種類の誘電体層(第1の誘電体層32及び第2の誘電体層33)の内部に放射導体11が形成された構成である。第1の誘電体層32は比誘電率が22.7で、第2の誘電体層33は比誘電率が6.6である。
図8に示すVSWRの周波数特性から求められる比帯域幅は115%であり、図5に示す例7の比帯域幅40%に比べて動作周波数帯域が広い。
図9は、上述の例2と略同様の構成のアンテナ装置を作製したときのアンテナ装置のVSWRの周波数特性の測定結果を示すグラフである。
具体的には、誘電体基体16は例2と同様に異なる比誘電率を有する2種類の誘電体層(第1の誘電体層32及び第2の誘電体層33)によって構成した。この誘電体基体16の内部に、誘電体基体16の厚さ方向の略中央の部分にアンテナ本体部10を構成する放射導体11及び給電線14を同一平面に形成した。第1の誘電体層32はそれぞれ比誘電率が22.7、厚さが0.3mmであり、第2の誘電体層33はそれぞれ比誘電率が7.6、厚さが0.3mmである。
この他の寸法として、誘電体基体16の全体の厚さは1.2mmである。絶縁性基板17の厚さは0.8mmである。第2の形状要素13である半楕円形状のうち曲率半径が最も小さくなる部分が第1の形状要素12の円形状の略中央付近に位置し、又第2の形状要素13の半楕円形状のうち直線部分(楕円形状を半分に切断した側の部分)は第1の形状要素12から突き出るように配した。第1の形状要素12からみて第2の形状要素13の位置方向の周縁部に接続される給電線14は長さは0.9mm、幅は0.2mmである。第2の形状要素13と接続されない給電線14の他方の周縁部は、誘電体基体16の端(図1では誘電体基体16の下辺)から0.8mm離れた位置にある。
伝送線路の信号線19はマイクロストリップ伝送線路の信号線とし、横幅は1.4mmである。グランド導体18、信号線19及び図示しない接合パッド(給電パッドと接合するパッド)等の導体パターンをエッチングにより形成した。これらの導体には金フラッシュ処理を施し、接合パッド以外の導体の表面の部分は半田レジストで被覆した。
絶縁性基板17の接合パッドの位置に鉛フリークリーム(千住金属社製 M705)をメタルマスクを用いて印刷した。誘電体基体16を所定の位置に位置合わせして絶縁性基板17に載せ、この後250℃で加熱して絶縁性基板17と誘電体基体16とを半田で溶着接合した。これにより、信号線19を誘電体基体16の給電パッドと接続し、さらにアースパターン15a,15bを絶縁性基板17に設けられた図示されない接合パッド及びビアを介してグランド導体18と接続した。
さらに、第2の形状要素13を長方形形状としたアンテナ装置を作製した場合も同様な比帯域幅を有することが確認された。
図10〜12は、放射導体11の形状を変えた例4〜6を示す図である。
図10に示す放射導体11を用いたアンテナ装置1を例4、図11に示す放射導体11を用いたアンテナ装置1を例5、図12に示す放射導体11を用いたアンテナ装置1を例6として表す。
図10に示す例4、図11に示す例5及び図12に示す例6のアンテナ装置1の主要部の寸法は表1に示されている。
例4及び例5では、放射導体11の第2の形状要素13である半楕円形状のうち曲率半径の最も小さくなる部分を第1の形状要素12と共有化するように組み合わせて放射導体11を配している。例4では第1の形状要素12の長軸を図10において横方向に、例5では第1の形状要素12の長軸を図11において縦方向に定めている。
なお、以降において、図10におけるアンテナ本体部10は、第1の形状要素12の長軸を図中横方向に定めたものとし、図11におけるアンテナ本体部10は、第1の形状要素12の長軸を図中縦方向に定めたものとして区別して扱う。
図12は、放射導体11の第1の形状要素12を六角形形状に、第2の形状要素13を半楕円形状にし、第2の形状要素13である半楕円形状のうち曲率半径が小さい部分を給電線14と接続するように配置したものである。
表1中の例6における六角形形状の縦(第1の形状要素12の項目)は図12における縦方向を、横は図12における横方向の長さである。第2の形状要素13の半楕円形状は楕円形状を短軸方向に沿って切断したものである。
図14は、さらに例6のVSWRの周波数特性を示すグラフである。図14より、VSWRが3以下となる周波数帯域幅が図5に示す例1の周波数帯域幅とほぼ同等であり、比帯域幅が61%程度である。このように第1の形状要素12は、円、楕円又は三角形、四角形、六角形、八角形といった多角形、略円、略楕円又は略多角形などの中から選択した形状を有し、第2の形状要素13は、円、楕円、多角形、台形、略円、略楕円、略多角形、又は略台形などの中から選択した形状の少なくとも一部分を有することで、いずれの組み合わせにおいても80%以上の比帯域幅が得られる。これにより、図31〜33に示すような円形状の形状要素を用いたアンテナに比べて比帯域幅が向上した広帯域の動作周波数の特性を実現する。より良好な広帯域の動作周波数を得るには、第1の形状要素12及び第2の形状要素13は、円形、楕円形及び円形や楕円の形状に近い多角形のいずれかの形状を用いることが好ましい。
このように、本発明においては、放射導体11における第1の形状要素12及び第2の形状要素13の組み合わせは、図1のような円形状及び半楕円形状の組み合わせに限らない。第1の形状要素12は、多角形、略多角形、円形、略円形、楕円形及び略楕円形の中から選ばれる形状を用い、第2の形状要素13は多角形、略多角形、円形、略円形、楕円形、略楕円形、台形及び略台形から選択される形状の一部分を少なくとも用いた形状であればよい。
例7は、図1に示すアンテナ本体部10の替わりに円形状の放射導体111により構成されたアンテナ本体部110(図33参照)を用いたアンテナ装置であり、本発明のアンテナ装置に含まれない。図33中の符号114は給電線であり、符号115a,115bはアースパターンであり、符号116は誘電体基体である。給電線114、アースパターン115a,115b及び誘電体基体116は、図1に示す給電線14、アースパターン15a,15b及び誘電体基体16と同様の構成である。
図33に示すアンテナ110は、図31に示す放射導体である平面ディスクモノポール101が金属平板103に垂直に立設する形態ではなく、図3に示すような絶縁性基板17に放射導体111が平行に配置されて構成されている。
図33に示す例7のアンテナ装置の主要部の寸法は表1に示されている。
図5に示す例7の比帯域幅は40%である。
本発明のアンテナ装置1では、アースパターン15a,15bは必ずしも設ける必要はない。図15は、例1からアースパターン15a,15bを取り除いた例8のVSWRの周波数特性を示すグラフである。この周波数特性はFI法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。例8のアンテナ装置1の主要部の寸法は、以降に述べる例9〜18の主要部の寸法とともに下記表2に示されている。表2中におけるアースパターン、誘電体基体、絶縁性基板及びグランド導体の各項目中の縦、横は図2、図6における縦方向の長さ、横方向の長さをいう。
図16は、異なる比誘電率を有する2種類の誘電体層の内部に放射導体11を形成したアンテナ本体部10を示す図である。図17は、誘電体基体16の比誘電率を変化させたときのVSWRの周波数特性を示すグラフである。この周波数特性はFI法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。例9は、比誘電率が6.6の1種類の誘電体積層基体の内部に放射導体11を形成したものであり、例10誘電率が22.7の1種類の誘電体積層基体の内部に放射導体11を形成したものである。例11は図16に示すように異なる比誘電率を有する2種類の誘電体層の内部に放射導体11を形成したものである。第1の誘電体層32は比誘電率が22.7で、第2の誘電体層33は比誘電率が6.6である。
例9〜11のアンテナ装置1の主要部の寸法は表2に示されている。
図17に示すように例9〜11とも比帯域幅は、図5に示す例7の比帯域幅に比べて広いことがわかる。
アンテナ本体部10が絶縁性基板17に実装される部分は、図2に示されるようにグランド導体18が形成されず絶縁性基板17が露出する露出部24と対向する露出部対向領域である。このとき、グランド導体18の形状及び大きさによって広い動作周波数帯域を有する周波数特性が大きく損なわれることはない。
図18は、グランド導体18の大きさが例11と異なる例12のVSWRの周波数特性を示すグラフである。この周波数特性はFI法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。例12のアンテナ装置1の主要部の寸法は表2に示されている。
図18からわかるように、グランド導体18の形状を大きくすると比帯域幅は向上する。したがって、例11と同程度以上の大きさのグランド導体18を形成する限りにおいて広い動作周波数帯域を有する周波数特性は損なわれない。
図2に示すアンテナ本体部10は、グランド導体18が形成されない領域、すなわち絶縁性基板17の露出部24に対向する露出部対向領域に配して構成されるが、アンテナ本体部10の配する位置によって広い動作周波数帯域を有する周波数特性は損なわれない。
図19は、図1に示すアンテナ本体部10を絶縁性基板17の露出部24の中央部に配した例13のVSWRの周波数特性を示すグラフである。この周波数特性はFI法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
例13のアンテナ装置1の主要部の寸法は表2に示されている。
例12ではアンテナ素10を絶縁性基板17の露出部対向領域の右端部に配置している。例13においても例12と同様に良好な特性を示している。しかし、例12に比較して若干、比帯域幅が減少している。このことから、アンテナ本体部10は絶縁性基板17の露出部対向領域の端部に配置されることが好ましい。さらに、絶縁性基板17の4隅のいずれかに配置されることが好ましい。図2では図中右上端にアンテナ本体部10を配置しているが、左上端、右下端又は左下端に配置してもよい。
本発明では、図20に示すように、絶縁性基板17の露出部対向領域にアンテナ本体部10が設けられるが、アンテナ本体部10の端(誘電体基体16の端)から距離L2離れた位置に、第2のグランド導体15の端部を持つように第2のグランド導体15を設けてもよい。距離L2は、信号線の配線方向と直交する方向における距離である。
例14では比帯域幅が50%で、比帯域幅が大きく広帯域の動作周波数帯域を有する。例15では比帯域幅が半分程度の42%程度に減少する。したがって、アンテナ本体部10を実装したアンテナ装置の構成において、距離L2が3mm以上となるように第2のグランド導体15を設けることが好ましい。
グランド導体18を形成する絶縁性基板17は、他の回路素子などが配置された回路基板とすることもできる。この場合、回路基板のグランド導体がグランド導体18となる。アンテナ本体部10は、回路基板の露出部対向領域、すなわち絶縁性基板17の露出部24に対向する反対側の面の領域に配置される。したがって、回路基板の露出部以外の領域は他の回路素子などを配置するスペースとして利用することができる。第2のグランド導体15を設けると、この他の回路素子などを配置するスペースを増やすことができる。
このように、第2のグランド導体15を設けることで露出部24を小さくすることができ、小型な構成でかつ動作周波数帯域が広いアンテナ装置を提供することができる。
次に、図4に示す放射導体11の形状と比帯域幅との関係を説明する。
放射導体11の形状を表す指標として、図4に示すように放射導体11の第1の形状要素12の縦方向の長さL31及び第1の形状要素12から突き出た第2の形状要素13の縦方向の長さL32を用いて下記式(1)で表される縦長さ比率αを定めた。L31+L32は放射導体11のパターン形状の輪郭として現れる全体の縦長さである。
放射導体11は、図16に示すように異なる比誘電率を有する2種類の誘電体層の内部に形成した。第1の誘電体層32はそれぞれ比誘電率が18.5、厚さが0.25mmであり、第2の誘電体層33はそれぞれ比誘電率が7.2、厚さが0.25mmである。誘電体基体16の全体の厚さは1.0mmである。
第1の形状要素12からみて第2の形状要素13の位置方向の周縁部に接続される給電線14は長さが0.9mm、幅が0.2mmであり、第2の形状要素13と接続されない給電線14の他方の周縁部は、誘電体基体16の端(図1では誘電体基体16の下辺)から0.7mm離れた位置である。
絶縁性基板17の厚さは0.8mm、比誘電率は4.7である。絶縁性基板17には、一方の面に信号線19を、他方の面にグランド導体18を設け、図2に示すように、誘電体基体16を信号線19の形成された面の側の右上端部に配置した。信号線19はマイクロストリップ伝送線路の信号線とし、横幅は1.4mmである。信号線19を誘電体基体16の給電パッドと接続し、さらにアースパターン15a,15bを絶縁性基板17に設けられた図示されない給電パッド及びビアを介してグランド導体18と接続した。
図22によれば、縦長さ比率αが30〜95%の広い範囲にわたり40%以上の比帯域幅を得ることができ、好ましくは縦長さ比率αが42〜93%の範囲(50%以上の比帯域幅)、より好ましくは縦長さ比率αが50〜92%の範囲(60%以上の比帯域幅)にあることがよい。このように放射導体11の形状を規定することが好ましい。
例17のアンテナ装置1は、例3と同様な作製方法を用いて作製した。
例17のアンテナ装置1の主要部の寸法は表2に示されている。
このときの放射導体11のパターン形状として現れる縦方向の全体の長さL31+L32は8.1mmである。放射導体11の形状以外は例16と同様の構成とした。
また、第2の形状要素13を長方形形状とし、長さL32を2.9mm、横方向の長さを0.8mmとした場合も同様の比帯域幅を得ることが確認された。
さらに、放射導体11の形状を変えたアンテナ装置を例18として説明する。
図24は、例18のVSWRの周波数特性を示すグラフである。この周波数特性はFI法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。
例18のアンテナ装置1の主要部の寸法は表2に示されている。なお、例18の第2の形状要素13の「正方形形状 1辺2mm」は、第1の形状要素12から突き出た形状が一辺2mmの正方形形状であることを意味する。
また、給電線14の長さは0.7mm、幅0.2mmである。給電線14の右端とアースパターン15aの左端の間隔、及び給電線14の左端とアースパターン15bの右端の間隔は2mmである。さらに、図2に示すようにアンテナ本体部10を絶縁性基板17bの上面に実装した。アンテナ本体部10を実装した側と反対側にグランド導体18を形成した。
図24に示す例18の比帯域幅は68%である。
例19(実施例)
例19としてアンテナ装置2に用いるアンテナ本体部10の放射導体11は、図16に示すように異なる比誘電率を有する2種類の誘電体層からなる誘電体基体16の内部に形成した。アンテナ装置2は、例16と同じ構成に、リフレクター41を付加したものである。
例19のアンテナ装置2の主要部の寸法は、後述する例20,21の寸法とともに下記表3に示されている。表3中におけるアースパターン、誘電体基体、絶縁性基板及びグランド導体の各項目中の縦、横は図2、図6における縦方向の長さ、横方向の長さをいう。
図25に示すように、間隔L43を調整することにより、広帯域の周波数範囲でリフレクター41が機能し、アンテナ装置2は広帯域にわたり高利得の特性を示す。間隔L43の好ましい範囲は5〜25mmの範囲であり、この範囲において3〜5GHzの広帯域の周波数範囲で高利得の特性を有する。間隔L43はさらに好ましくは7〜22mmの範囲にあることがよい。
図26は、間隔L43を7.5mmとしたときの、図6,7に示すX−Z面の垂直偏波の指向性を示す特性図である。この指向性もFI法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。図26に示すように、例19のアンテナ装置2は、θ=0度の近傍において広帯域(周波数帯域)にわたり高利得の特性を示す。
図27に示すように、長さL41及び長さL42を調整することにより、広帯域の周波数範囲でリフレクター41が機能し、アンテナ装置2は広帯域にわたり高利得の特性を示す。長さL41及び/又は長さL42の好ましい範囲は30mm以上である。絶縁性基板17の形状は、縦28mm、横30mmであるため、リフレクター41の長さL41及び/又は長さL42は、絶縁性基板17の対応する方向の長さと同等以上であることが好ましい。例えばリフレクター41の長さL41が絶縁性基板17の横方向の長さよりも短くても、長さL42が絶縁性基板17の縦方向の長さよりも長ければよい。さらに好ましくは、リフレクター41の長さL41及び/又は長さL42が40mm以上あればよい。すなわち、リフレクター41の長さL41及び/又は長さL42のそれぞれが、絶縁性基板17の対応する縦方向の長さ及び/又は横方向の長さの1.3倍以上あればよい。
このようにリフレクター41の長さL41、長さL42、間隔L43を調整することで、金属平板をリフレクターとして有効に機能させることができる。
次に、例19のアンテナ装置2における放射導体11の第1の形状要素12と第2の形状要素13の形状のみを変更したアンテナ装置2を例20として説明する。
例20のアンテナ装置2の主要部の寸法は表3に示されている。
放射導体11のパターン形状の輪郭として現れる縦方向の全体の長さL31+L32が8.1mmであり、長さL32が2.9mmである。
図28に示すように、例20のアンテナ装置2はθ=0度の近傍において広帯域(周波数帯域)にわたり高利得の特性を示す。
また、第2形状要素13を長方形形状とし、長さL32が2.9mm、横方向の長さが0.8mmである場合も図28と同様の指向性を有することが確認された。
さらに図6,7に示すアンテナ装置2における誘電体層51の特性を説明する。
アンテナ装置2は、例19と同様の構成と寸法を有するアンテナ本体部10と絶縁性基板17に対して、金属平面のリフレクター41を絶縁性基板17の略中央付近に配設し、絶縁性基板17とリフレクター41とが略平行になるように構成した。
例21におけるアンテナ装置2の主要部の寸法は表3に示されている。
なお、絶縁性基板17、空気層61、誘電体層51、リフレクター41の順に並び、空気層61及び誘電体層51がリフレクター41と略平行である。
このようなアンテナ装置2では、誘電体層51の厚さL53を所定の範囲に設定することにより、広帯域の周波数範囲で誘電体層51が機能し、アンテナ装置2は広帯域にわたり高利得の特性を示す。
なお比率βは下記式(2)によって表される。
図29に示すように、比率β=40%(誘電体層51の厚さL53が4mm)の場合、誘電体層51がなくリフレクター41のみの場合(比率β=0)と比較して3GHzにおいて2dBi、4GHzにおいて1.2dBi利得が向上する。
図30は、比率βが40%のときの、図6,7に示すX−Z面の垂直偏波の指向性を示す特性図である。この指向性もFI法による電磁界シミュレーションにより算出されたものである。図30に示すように、例21のアンテナ装置2はθ=0度の近傍において広帯域にわたり高利得の特性を示す。
また、第2形状要素13を長方形形状とし、長さL32が2.9mm、横方向の長さが0.8mmの場合も図29、30と同様の指向性を有することが確認された。
10,110 アンテナ本体部
11,111 放射導体
12 第1の形状要素
13 第2の形状要素
14 給電線
15a,15b,115a,115b アースパターン
16,116 誘電体基体
17 絶縁性基板
18 グランド導体
19 信号線
24 露出部
32 第1の誘電体層
33 第2の誘電体層
41 リフレクター
51 誘電体層
61 空気層
101 平面ディスクモノポールアンテナ
102 同軸線路
103 金属平板
105 平面モノポール
106 直線カット部
Claims (10)
- 誘電体基体に平面状の放射導体と給電線とが設けられ、
該放射導体は、多角形、略多角形、円形、略円形、楕円形及び略楕円形の中から選ばれる形状を有する第1の形状要素と、
多角形、略多角形、円形、略円形、楕円形、略楕円形、台形及び略台形の中から選ばれる形状の少なくとも一部分を有する第2の形状要素とが互いに共有部分を有するように配されて構成され、
該給電線が該放射導体と接続されていることを特徴とするアンテナ装置。 - 前記給電線は、前記放射導体の縁部のうち前記第1の形状要素からみて前記第2の形状要素の位置方向における第2の形状要素の周縁部で、該放射導体と接続されている請求項1に記載のアンテナ装置。
- 前記放射導体及び前記給電線が前記誘電体基体の表面に、又は該誘電体基体内に設けられてアンテナ本体部が構成されており、
該アンテナ本体部が絶縁性基板に実装されており、
該絶縁性基板の、該誘電体基体とは反対側の面又は該絶縁性基板の内部にはグランド導体が設けられており、
該放射導体が該グランド導体に対して平行又は略平行になるように該誘電体基体が配されて該アンテナ本体部が該絶縁性基板に実装されている請求項1に記載のアンテナ装置。 - 前記絶縁性基板には前記グランド導体とともに伝送線路を構成する信号線が設けられており、該信号線が前記給電線と接続されている請求項3に記載のアンテナ装置。
- 前記誘電体基体には、前記給電線に対して対称な位置に一対のアースパターンが設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
- 前記放射導体から放射される電波を反射する反射体が、前記絶縁性基板から離間して配されている請求項3又は4に記載のアンテナ装置。
- 前記反射体は平板であり、前記絶縁性基板の前記グランド導体に対して平行又は略平行に配されている請求項6に記載のアンテナ装置。
- 前記反射体と前記絶縁性基板との間に空気層が設けられている請求項6又は7に記載のアンテナ装置。
- 前記反射体と前記絶縁性基板との間に誘電体層が設けられている請求項6〜8のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
- 前記誘電体層には比誘電率が1.5〜20の範囲の誘電体が用いられている請求項9に記載のアンテナ装置。
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