JP2005163033A - 硬化性高分子化合物 - Google Patents

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美奈 大西
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正直 上條
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Abstract

【課題】 新規硬化性高分子化合物、当該高分子化合物の製造方法、当該高分子化合物を用いたラジカル重合・硬化性組成物および当該ラジカル重合・硬化性組成物を光硬化してなる硬化物の提供。
【解決手段】 本発明に係る新規硬化性高分子化合物は、側鎖に下記式(1):
【化1】
Figure 2005163033

{式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はそれぞれ独立にアルキレン基、分岐アルキレン基、アルケニレン基、分岐アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の有機残基を表し、そしてnは0〜1の整数を表す。}
で表される構造を有することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な硬化性高分子化合物、当該高分子化合物の製造方法、当該高分子化合物を用いたラジカル重合・硬化性組成物および当該ラジカル重合・硬化性組成物を光硬化してなる硬化物に関する。
さらに詳しくは、光による硬化が可能となるようにラジカル重合性基を付与すると同時に、カルボキシル基を導入することによりアルカリ水溶液による現像性を付与することによる、パターン形成性を有する硬化性高分子化合物、当該高分子化合物の製造方法および当該高分子化合物を用いたラジカル重合・硬化性組成物にも関する。
近年、省資源、省エネルギーの観点から印刷、塗料、接着剤などの分野において、紫外線あるいは電子線等の光エネルギーで硬化可能な光硬化性樹脂が広く使用されている。
特に電子機器分野で用いられる回路作製用のエッチングレジストや、回路板を長期にわたって保護するためのソルダーレジスト、カラーフィルタの各画素を作製するためのカラーフィルタレジストおよび各画素を分割しコントラストの向上を行うためのカラーフィルタ用ブラックマトリックスレジストは、生産性の観点から紫外線で硬化できるラジカル重合・硬化性の樹脂が好適に用いられてきた。
そのような樹脂としては、ポリエステル樹脂ハンドブック(1988年日刊工業新聞社発行)353〜355ページ記載のエポキシアクリレート樹脂(非特許文献1参照)や、特開2001−89553号公報記載のグリシジルメタクリレートの共重合体に(特許文献1参照)アクリル酸を付加させたのち、生成した水酸基に多塩基酸無水物を付加させた樹脂や、特開平10−253815号公報(特許文献2参照)、特開平10−253816号公報(特許文献3参照)記載のアクリル系共重体またはスチレン系共重合体の側鎖のカルボキシル基に脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物を付加した樹脂が挙げられる。
しかしながら、これらの樹脂は、酸素による塗膜表面のラジカル重合阻害を受けやすく、べたつきが残り易く、また、十分な光感度が得られない欠点があった。
これらの問題を解決するために、光ラジカル重合開始剤を大量に添加する方法が一般に採用されているが、光ラジカル重合開始剤の種類によってはアルカリ現像槽中に光ラジカル重合開始剤由来の沈殿が生じてアルカリ現像槽を汚染したり、レジストをポストキュアする際に、残存した光ラジカル重合開始剤が昇華して加熱炉や排気ダクトを汚染するなどの問題があった。
本明細書中、「(メタ)アクリル」は「メタクリル」および/または「アクリル」を意味する。「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
酸素による重合阻害を抑制する方法として、酸素による阻害の影響が小さいチイルラジカルで硬化架橋させる方法、例えば多官能チオールを添加する方法も検討されている(特開平10−253815号公報(特許文献2参照)、特開平10−253816号公報(特許文献3参照)、特開2000−249822号公報(特許文献4参照))。しかしながら、この方法では保存中にメルカプト基と(メタ)アクリロイル基がマイケル付加により反応するため、保存安定性が悪いという問題があった。
また、アリルエーテル基を導入するなどの試みもなされている。例えば、特公平1−51487号公報ではエポキシ樹脂に対してメタクリル酸と無水フタル酸のトリメチロールプロパンジアリルエーテル反応物を反応させてアリル基を導入し、酸素による重合阻害を回避している(特許文献5参照)。しかしながら、アリルエーテル基はラジカル重合性に乏しく、重合速度の点で十分とはいえなかった。
以上のように、ラジカル重合性が良好でかつアルカリ現像特性に優れる硬化性高分子化合物、および当該化合物を含有するラジカル重合・硬化性組成物が求められている。
特開2001−89533号公報 特開平10−253815号公報 特開平10−253816号公報 特開2000−249822号公報 特公平1−51487号公報 ポリエステル樹脂ハンドブック(1988年日刊工業新聞社発行)353〜355ページ
本発明は上記課題を解決し、ラジカル重合性が良好でかつアルカリ現像特性に優れる新規な高分子化合物、当該ラジカル重合性樹脂の製造方法および当該ラジカル重合性樹脂を使用したラジカル重合・硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリル酸とスチレンあるいは置換スチレンの共重合体と、特定のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを原料に使用し、それらを反応させて得られる新規な高分子化合物によって、ラジカル重合性が良好かつアルカリ現像特性に優れるラジカル重合・硬化性組成物を提供できることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示す[1]〜[14]に関する。
〔1〕側鎖に下記式(1):
CH2=C(R1)COO(R2O)nCH2CH(OH)CH2OOC− 式(1)
{式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はそれぞれ独立にアルキレン基、分岐アルキレン基、アルケニレン基、分岐アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の有機残基を表し、そしてnは0〜1の整数を表す。}
で表される構造を有する高分子化合物。
〔2〕主鎖となる高分子化合物残基が、(メタ)アクリル酸と、スチレンおよび/または置換スチレンとの共重合体であることを特徴とする、〔1〕に記載の高分子化合物。
〔3〕以下の製造工程A{下記式(2):
3−(−COOH)m 式(2)
{式中、R3は主鎖となる高分子化合物残基を表し、mは2以上の整数を表す。}で表される高分子化合物に対し、下記式(3):
Figure 2005163033
{式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はそれぞれ独立にアルキレン基、分岐アルキレン基、アルケニレン基、分岐アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の有機残基を表し、そしてnは0〜1の整数を表す。}で表される少なくとも一種以上の化合物の付加反応を行う製造工程}を含むことを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の高分子化合物の製造方法。
〔4〕触媒の存在下で前記製造工程Aの付加反応を行うことを特徴とする、〔3〕に記載の製造方法。
〔5〕前記触媒が、金属ハロゲン化物、3級アミン、ピリジン系化合物、ピリジニウム塩、4級アンモニウム塩、ホスフィン系化合物、ホスフォニウム塩およびイミダゾール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の触媒を含むことを特徴とする、〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕前記触媒が、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリフェニルホスフィン、エチルトリフェニルホスフォニウムブロマイド、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスフォニウムクロライドおよび2−メチルイミダゾールからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の触媒を含むことを特徴とする、〔5〕に記載の製造方法。
〔7〕〔1〕または〔2〕に記載の高分子化合物を含むことを特徴とする、硬化性組成物。
〔8〕〔1〕または〔2〕に記載の高分子化合物およびエチレン性不飽和化合物を含有することを特徴とする、〔7〕に記載の硬化性組成物。
〔9〕ラジカル重合開始剤をさらに含有することを特徴とする、〔7〕または〔8〕に記載の硬化性組成物。
〔10〕前記ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤であることを特徴とする、〔9〕に記載の硬化性組成物。
〔11〕1分子中2個以上のメルカプト基を有する多官能チオール化合物を含有することを特徴とする、〔9〕または〔10〕に記載の硬化性組成物。
〔12〕前記多官能チオールが、メルカプト基に対してα位および/またはβ位の炭素原子が置換基を有するメルカプト基含有基を2個以上有する多官能チオール化合物であることを特徴とする、〔11〕に記載の硬化性組成物。
〔13〕〔7〕〜〔12〕のいずれかに記載の硬化性組成物を含むことを特徴とするカラーフィルター用硬化性組成物。
〔14〕〔7〕〜〔12〕のいずれかに記載の硬化性組成物を基板に塗布後、フォトマスク越しに露光・硬化し、さらにアルカリ水溶液で未硬化の部分を洗い流すことによって得られるパターンを有することを特徴とするカラーフィルター用光硬化物。
本発明の光ラジカル重合・硬化性組成物は、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、カラーフィルタレジスト等のレジスト用途に好適に使用することができる。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
1.高分子化合物
本発明の硬化性高分子化合物は下記式(1):
CH2=C(R1)COO(R2O)nCH2CH(OH)CH2OOC− 式(1)
{式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はそれぞれ独立にアルキレン基、分岐アルキレン基、アルケニレン基、分岐アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の有機残基を表し、そしてnは0〜1の整数を表す。}
で表される構造を一種以上有することを特徴とする。
なお、本発明でいう側鎖は、主鎖を構成する直鎖状の重合体に直接または間接的に結合した分岐の部分をいい、式(1)の部分構造を含む。本発明の硬化性高分子化合物は側鎖として式(1)の部分構造を複数個有してもよいが、その場合、R1、R2やnは個々の式(1)の構造内で異なっていてもよい。本発明の硬化性高分子化合物は側鎖として式(1)の部分構造以外の構造を有していても構わない。
本発明の硬化性高分子化合物の式(1)の側鎖は、末端に(メタ)アクリロイル基を有している。この(メタ)アクリロイル基はアクリル主鎖から離れて位置するため、反応性が良い。よってラジカル重合性が極めて良好であるため、少ない光ラジカル重合開始剤でも効率よく重合を行うことができる。
さらに本発明の高分子化合物は、カルボキシル基を有することが好ましい。カルボキシル基は、本発明の高分子化合物にアルカリ現像性を付与する目的で導入される。
式(1)中のR1としては水素原子またはメチル基が好ましく、反応性の点から水素原子がさらに好ましい。
式(1)中のR2の具体例としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等の直鎖アルキレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、ジシクロペンチレン基、トリシクロペンチレン基等のシクロアルキレン基、メチルエチレン基等の分岐アルキレン基、フェニルエチレン基、1,2−ジフェニルエチレン基等のアラルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基等のアリーレン基を挙げることができる。但し、言うまでもなくこれらの具体例に限定されるものではない。
本発明において、式(1)の構造は原料の入手と合成の容易さといった観点から、以下の式(4)〜(5):
CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2OOC− 式(4)
CH2=C(H)COOC48OCH2CH(OH)CH2OOC− 式(5)
であることが好ましい。
本発明の高分子化合物に式(3)の(メタ)アクリロイル基を導入する目的は、光硬化性を付与あるいは向上させるためであり、硬化速度を増す手段としては極めて有効な手段である。しかしながら、(メタ)アクリロイル基が多すぎると光感度が高くなりすぎて硬化性のコントロールが困難となり、逆に(メタ)アクリロイル基が少なすぎると光硬化が不十分となってしまう。また、アクリロイル基はメタクリロイル基より反応性が高いため、本発明の高分子化合物がアクリロイル基とメタクリロイル基を同時に含有する場合には、目標とする硬化速度を勘案しながらアクリロイル基とメタクリロイル基の含有比率を適切な範囲に選択する必要がある。本発明の高分子化合物に含まれるアクリロイル基の数とメタクリロイル基の数とのモル比は、10〜90:90〜10であることが好ましく、より好ましくは20〜80:80〜20である。
本発明の高分子化合物はアルカリ溶解性(現像性)を付与するため、主鎖に(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基を有していることが好ましい。本発明の高分子化合物が適正なアルカリ現像性を有するための酸価(固形分酸価を意味する。JIS K0070に従い測定する。以下、同様である。)は、30mgKOH/g以上であることが好ましく、45mgKOH/g〜160mgKOH/gの範囲内にあることがより好ましく、さらに50mgKOH/g〜140mgKOH/gの範囲内が、未硬化膜のアルカリ溶解性と硬化膜の耐アルカリ性のバランスが良いので、とりわけ好ましい。
本発明の高分子化合物は硬化膜の耐アルカリ性を付与するため、主鎖にスチレンまたは置換スチレンに由来するモノマー単位を有することが好ましい。主鎖におけるスチレンまたは置換スチレンの比率が低すぎると硬化膜のアルカリ水溶液耐性が低くなり、主鎖におけるスチレンまたは置換スチレンの比率が高すぎると反応性基数減少のため光硬化が不十分となってしまう。それゆえ主鎖におけるスチレンまたは置換スチレンの比率は、目標とする硬化速度と耐アルカリ性を勘案しながら選択する必要がある。
本発明の硬化性高分子化合物の主鎖は、塗膜物性やアルカリ水溶液に対する耐性のコントロールの容易さから(メタ)アクリル酸とスチレンまたは置換スチレンの共重合体が好ましい。また、これら以外のモノマーも共重合されていてもよい。本発明の高分子化合物の主鎖における(メタ)アクリル酸とスチレンまたは置換スチレンとのモル比は、10〜90:90〜10であることが好ましく、より好ましくは20〜80:80〜20である。
2.硬化性高分子化合物の製造工程
本発明は、以下の製造工程Aを含むことを特徴とする、本発明の高分子化合物の製造方法に関するものである。製造工程Aはカルボキシル基を有する式(2)の高分子化合物のカルボキシル基の一部に式(3)の化合物のエポキシ基を付加させる反応工程である。
製造工程A
下記式(2):
3−(−COOH)m 式(2)
{式中、R2は高分子化合物残基を表し、そしてmは2以上の整数を表す。}で表される高分子化合物に対し、下記式(3):
Figure 2005163033
{式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はそれぞれ独立にアルキレン基、分岐アルキレン基、アルケニレン基、分岐アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の有機残基を表し、そしてnは0〜1の整数を表す。}
で表される少なくとも一種以上の化合物の付加反応を行う製造工程。
式(2)において、R3は高分子化合物残基を表し、より詳しくは分子中にカルボキシル基を有している高分子化合物である。このような高分子化合物としては塗膜物性のコントロールの容易さから、本発明ではカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸共重合体は、a)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物と、b)a)以外のエチレン性不飽和化合物を公知の方法で有機溶剤中でラジカル重合することによって得ることができる。b)は塗膜の物性をコントロールする目的で使用される。
a)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロロアクリル酸、エチルアクリル酸および桂皮酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸(無水物)類;または三価以上の不飽和カルボン酸(無水物)等が挙げられる。これらの中でアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸系モノマーは単独でまたは組み合わせて用いられる。
b)a)以外のエチレン性不飽和化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(o,m,p−)ヒドロキシスチレン、酢酸ビニル等のビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等のアミド基を有する化合物が挙げられる。これらのa)以外のエチレン性不飽和化合物は単独でまたは組み合わせて用いられる。
これらa)以外のエチレン性不飽和化合物b)としては、スチレンおよび、、α−メチルスチレン、(o,m,p−)ヒドロキシスチレンなどの置換スチレンが好ましい。
a)とb)の共重合比率は、好ましくはモル比で10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20である。a)の共重合比率が5未満になるとラジカル重合性が低下する。a)の共重合比率が90を越えると保存安定性が悪くなる。
本発明に使用されるカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸共重合体の好ましい分子量は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量で1,000〜500,000の範囲内であり、好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後の皮膜強度が著しく低下する。一方500,000を越えるとアルカリ現像性が著しく低下する。
本発明の硬化性高分子化合物は、主鎖が(メタ)アクリル酸とスチレンまたは置換スチレンの共重合体であり、側鎖に式(3)の構造を有するものが好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する主鎖のカルボキシル基は式(3)の構造を付加するための反応点となるが、すべて反応してしまうとアルカリ現像性が失われてしまうので好ましくない。
(メタ)アクリル酸とスチレンまたは置換スチレンの共重合物は、有機溶媒中で重合開始剤を用いてラジカル重合することで得ることができる。ただし、後に製造工程Aでカルボキシル基にエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物を付加することを考慮して、エポキシ基に対して不活性な(反応しない)有機溶媒中で行うことがより好ましい。そのような有機溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
この共重合反応で用いるラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ) 3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−ブチルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート等のアルキルパーオキシエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーカーボネート類等が挙げられる。
アクリル酸などに由来するカルボキシル基に付加する式(3)で示される、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−(2,3−エポキシプロポキシ)ブチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルを挙げることができる。このうち入手の容易さや硬化性向上の点から、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルが好ましい。
本発明の製造工程Aでは、反応の促進のために触媒を使用することが好ましい。触媒としては、カルボキシル基とエポキシ基との反応で一般的に用いられているものであれば特に限定されない。使用する触媒の具体例としては、塩化アルミニウム、塩化錫、塩化亜鉛等の金属ハロゲン化物、ピリジン、α−ピコリン、イソキノリン、キノリン等のピリジン系化合物、N−メチルピリジニウムクロライド、N−エチルピリジニウムクロライド等のピリジニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物、エチルトリフェニルホスフォニウムブロマイド、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスフォニウムクロライド等のホスフォニウム塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール系化合物を挙げることができる。
このうち入手の容易さや付加反応の速度から、特にベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイドトリフェニルホスフィン、エチルトリフェニルホスフォニウムブロマイド、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスフォニウムクロライド、2−メチルイミダゾールが好ましい。
本発明の製造工程Aの付加反応の反応温度には特に制限はないが、一般には0℃〜200℃であり、好ましくは20℃〜150℃、より好ましくは50℃〜120℃である。0℃以下では反応が非常に遅くなり、また200℃以上では重合や分解を引き起こすため好ましくない。
製造工程Aの付加反応には有機溶媒を用いることができる。特に固体や高粘度の原料を用いる場合は、攪拌が困難となるため有機溶媒を用いることが好ましい。使用しうる有機溶媒としては、付加反応を阻害するものでなければ特に制限はないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。これらの溶媒は一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
この製造工程Aの付加反応の原料仕込比としては、式(2)で表される化合物中のカルボキシル基1モルに対して、式(3)で表される化合物のエポキシ基のモル数が0.1モル〜0.9モル、好ましくは0.2〜0.8モルである。式(3)で表される化合物中のエポキシ基のモル数が式(2)で表される化合物中のカルボキシル基1モルに対して0.1モルより少なければ、(メタ)アクリロイル基の不足により硬化性が発現しない。一方0.9モルより多ければ(メタ)アクリロイル基が過剰となることで光硬化性のコントロールが困難となり、またカルボキシル基の不足によりアルカリ溶解性が悪くなるため、好ましくない。原料仕込み比は硬化性に寄与する式(1)で示される構造と、アルカリ現像性に寄与するカルボキシル基の数とのバランスを考慮して決定する必要がある。
製造工程Aで用いる触媒の量は、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部であり、さらに好ましくは0.1〜3質量部である。0.01質量部よりも少ない量では反応速度が遅くなるため加熱時間が長くなり、生成した重合性化合物が熱重合する恐れがあり好ましくない。また、10質量部より多い量では、また着色が顕著になる恐れがあり好ましくない。
さらに、この製造工程Aでは生成した高分子化合物の意図しない熱重合、硬化反応を抑制するために重合禁止剤を用いることができる。使用しうる重合禁止剤については特に制限はないが、例えば、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン等のキノン類、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、フェノチアジン等の一般的なラジカル重合禁止剤を挙げることができる。
3.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物について、より詳しく説明する。
本発明の硬化性組成物は、本発明の高分子化合物の少なくとも一種以上を必須とすることを特徴とする硬化性組成物に関するものである。
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて本発明の高分子化合物に種々のエチレン性不飽和化合物、溶剤、光または熱ラジカル重合開始剤等を混合することにより得ることができる。
本発明の硬化性組成物に使用しうるエチレン性不飽和化合物としては、ラジカル重合性を有するものであれば特に制限はないが、エチレン性不飽和基を2つ以上含有するものが好ましい。
エチレン性不飽和化合物としてのモノマーとしては以下の化合物が挙げられる。 メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、またはグリセロールジ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート;
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート;メタクリロキシエチルフォスフェート、ビス・メタクリロキシエチルフォスフェート、メタクリロオキシエチルフェニールアシッドホスフェート等のリン原子を有するメタクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス・グリシジル(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート;ビスフェノールSのエチレンオキシド4モル付加ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド4モル付加ジ(メタ)アクリレート、脂肪酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド3モル付加トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド6モル付加トリ(メタ)アクリレート等の変性ポリオールポリ(メタ)アクリレート;
ビス(アクリロイルオキシエチル)モノヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン付加トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸骨格を有するポリアクリレート;α,ω−ジアクリロイル−(ビスエチレングリコール)−フタレート、α,ω−テトラアクリロイル−(ビストリメチロールプロパン)−テトラヒドロフタレート等のポリエステルアクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート;ω−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチル(メタ)アクリレート;ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート;フェノキシエチルアクリレート;、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルミアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物。
また、オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の側鎖の一部のカルボキシル基に対し、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−(2,3−エポキシプロポキシ)ブチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の1分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物のエポキシ基を反応させたり、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の一部または全部の水酸基に対し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのような1分子内にイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有する化合物のイソシアネート基を反応させて得られる側鎖にエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体も問題なく使用することができる。
これらエチレン性不飽和化合物のうち好ましいものとしては、硬化性がよくなることから、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明の硬化性組成物は熱、及び電子線、γ線、X線、紫外線、可視光、近赤外線等の活性エネルギー線で硬化することができる。電子線、γ線等のような高エネルギー線を用いて硬化させる場合には、開始剤なし(無触媒)で硬化することができる。しかしながら、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、カラーフィルタレジスト等のレジスト用途に用いる場合には、200〜500nmの波長の光で硬化させる必要があるので、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。ここで光ラジカル重合開始剤は、光ラジカル発生剤単独または光ラジカル発生剤や増感剤、連鎖移動剤との組み合わせを意味する。
そのような光ラジカル発生剤の具体例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メチルチオフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[(4−メチルチオ]フェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル等のベンゾイン系化合物およびその誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,6−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’−5,5’−テトラキス(4−メチルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’−5,5’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,2’−ビイミダゾール等のヘキサアリールビイミダゾール系化合物、メチルフェニルグリオキシレート、α−アシルオキシムエステル、カンファーキノン等の化合物、特開平2000−249822号公報記載の有機ホウ素塩系化合物(特許文献4参照)、特開平4−221958号公報、特開平4−21975号公報等に記載のチタノセン系化合物、特開平10−253815号公報(特許文献2参照)等に記載のトリアジン系化合物が挙げられる。
これらの光ラジカル発生剤は、それぞれ単独で使用しても2種以上併用しても何ら差し支えない。
上記光ラジカル発生剤は、感度を高めるために、通常の光ラジカル重合開始剤系に用いられる一般的な増感剤を使用することができるが、さらに感度を高めるために、好ましくはベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物およびケトクマリン系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物が用いられる。
具体的には、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物、3−アセチルクマリン、3−アセチル−7−ジエチルアミノクマリン、3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン 、3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)等のケトクマリン系化合物を使用することができる。これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の硬化性組成物中の光ラジカル重合開始剤の配合量は、硬化性組成物中のエチレン性不飽和基を有する化合物(本願発明の高分子化合物、エチレン性不飽和化合物など)100質量部に対して0.1〜40質量部とすることが好ましく、より好ましくは、0.5〜30質量である。
本発明の硬化性組成物には、光ラジカル重合開始剤系の一部として連鎖移動剤としてのチオール化合物、特に1分子中2個以上のメルカプト基を有する多官能チオール化合物を使用することができる。多官能チオールの添加により酸素による重合阻害がさらに抑制され、高感度な光ラジカル重合・硬化性組成物とすることができる。そのような多官能チオール化合物の具体例としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられる。
しかしながら、上記1級のメルカプト基を有する多官能チオール化合物の場合、保存中にメルカプト基と(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基とが反応してしまい、その結果保存後の感度が低下する場合がある。そこで保存安定性を得る目的では、メルカプト基に対してα位および/またはβ位の炭素原子が置換基を有するメルカプト基含有基を2個以上有する多官能分岐チオール化合物を使用することがより好ましい。ここで、前記置換基の少なくとも一つはアルキル基であることが好ましい。
また、メルカプト基に対してα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を有する多官能分岐チオール化合物、あるいはメルカプト基のα位および/またはβ位の炭素が水素原子以外の原子3つ以上と結合している、いわゆる枝分かれした構造を有する多官能分岐チオール化合物であり、例えば、メルカプト基に対してα位および/またはβ位の主鎖以外の置換基の少なくとも一つがアルキル基であるチオール化合物が、より好ましい。ここで、主鎖とは、メルカプト基を含む水素原子以外の原子で構成される最も長鎖の構造を表す。
その中で特に、前記メルカプト基含有基が下記式(6):
−(CH2kC(R4)(R5)(CH2jSH 式(6)
{式中、R4およびR5は各々独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、その少なくとも一方はアルキル基である。kは0〜2の整数を、jは0または1の整数を表す。}で表される多官能チオール化合物が好ましい。
式(6)のメルカプト基構造部を有する多官能チオール化合物の具体例としては、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、1,2−プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、1,8−オクタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、1,2−プロピレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、1,8−オクタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、
トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、1,2−プロピレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、1,8−オクタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、1,2−プロピレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、1,8−オクタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトイソブチレート)が例示される。
4.パターンを有する光硬化物
光ラジカル重合開始剤を配合した本発明の硬化性組成物(以下、光ラジカル重合・硬化性組成物ともいう。)中に用いられる高分子化合物は、分子中にカルボキシル基を有しているため、パターンを形成するためのアルカリ現像性の感光性材料として好適に使用することができる。本発明の光ラジカル重合・硬化性組成物をアルカリ現像性の感光性材料として用いる場合、以下に示す作製工程により、種々のレジスト、カラーフィルター等のパターンを形成することができる。
作製工程1:本発明の光ラジカル重合・硬化性組成物を基板に塗布する工程
作製工程2:有機溶剤を乾燥する工程
作製工程3:フォトマスクを介して露光する工程
作製工程4:アルカリ現像液で所定の時間現像処理を行った後、水洗する工程
以下、上記各工程について詳細に説明する。
4−(1) 作製工程1:塗布工程
本発明の光ラジカル重合・硬化性組成物は作製工程1において、基板に所定の厚みで塗布される。
ここで基板の種類は、用途によって異なるが、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、表面をシリカーコートしたライムソーダガラス等の無機ガラス類、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性プラスチック、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性プラスチックのフィルムまたはシート、銅、アルミニウム、鉄等の金属板や箔、または前記熱可塑性プラスチックまたは熱硬化性プラスチックと前記金属を複合化したものが挙げられる。
塗布方法はディップコーター、ロールコーター、ワイヤーバー、フローコーター、ダイコーター、スプレー塗布、スピナー等の回転塗布法、スクリーン印刷法が好適に用いられる。
塗布厚みは用途によっても異なるが、有機溶剤乾燥後の膜厚は、0.1〜200μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましい。
4−(2) 作製工程2:有機溶剤を乾燥する工程
4−(1)で塗布して得られた試料の有機溶剤の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等の乾燥装置で行うことが好ましい。好ましい乾燥条件は40〜150℃、乾燥時間は10秒〜60分の範囲内である。また、真空状態で有機溶剤を乾燥してもよい。
4−(3) 作製工程3:露光工程
露光に用いる光源は例えば、キセノンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の照射光の波長のみを使用する場合には光学フィルターを利用することもできる。
露光方法は試料の上にフォトマスクを密着させるか、試料とフォトマスクの間に適切な空隙(ギャップ)を設けた後にフォトマスクを置き、当該フォトマスクを介して画像露光する。
4−(4) 作製工程4:アルカリ現像・水洗工程
現像処理はアルカリ現像液を用い、ディップ、シャワー、パドル法等でレジストの現像を行う。このようなアルカリ現像液として、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機のアルカリ剤、またはジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩等の有機のアルカリ剤を含有した水溶液が挙げられる。アルカリ現像液には、必要に応じ、界面活性剤、水溶性の有機溶剤、水酸基またはカルボキシル基を有する低分子化合物等を含有させることもできる。特に、界面活性剤は、現像性、解像性、地汚れなどに対して改良効果をもつものが多いため、添加することが望ましい。
現像液用の界面活性剤としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウム基、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基を有するアニオン性界面活性剤、ポリアルキレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤等を挙げることができる。
現像処理方法については特に制限はないが、通常、10〜50℃、好ましくは15〜45℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
アルカリ現像処理が終了したのち、硬化後のパターンを水洗し、アルカリ現像液を洗い流すことが好ましい。この操作により、過剰なアルカリ現像を抑制する。なぜなら、硬化後のパターンを必要以上の時間、アルカリ現像液と接触すると、パターンの幅が目的とする幅より細くなる問題が生じるからである。
以上の工程により、本発明の硬化性組成物を使用した光ラジカル重合による硬化物のパターンを形成することができる。
本発明を以下の実施例により、より詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸とスチレンあるいは置換スチレンの共重合体の合成
合成例1:ACP−1
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機を装着した1リットル4つ口フラスコに、メタクリル酸(以下MAと略記 三菱レイヨン(株)製)49.8g(579mmol)、p−メチルスチレン(以下PMSと略記 DELTECH CORPORATION製)31.3g(265mmol)、2−メルカプトエタノール(和光純薬(株)製)0.2g、メチルプロピレングリコール(以下PGMと略記、日本乳化剤(株)製)188.0gを仕込み、1時間4つ口フラスコ内を窒素置換した。さらにオイルバスで90℃まで加温した後、MA 49.8g、PMS 31.3g、2−メルカプトエタノール 0.2g、PGM 188.0g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBNと以下略記 和光純薬(株)製)2.6gの混合液を1.5時間かけて滴下した。3時間重合を行った後100℃まで加熱し、AIBN 0.9gとPGM 6gの混合液を加えさらに1.5時間重合を行った後放冷した。ACP−1中の固形分は30.1質量%、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は12,000であった。
合成例2:ACP−2
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機を装着した1リットル4つ口フラスコに、MA 30.1g(350mmol)、PMS 39.1g(331mmol)、2−メルカプトエタノール0.2g、PGM 188.0gを仕込み、1時間4つ口フラスコ内を窒素置換した。さらにオイルバスで90℃まで加温した後、MA 30.1g、PMS 39.1g、2−メルカプトエタノール 0.2g、PGM 188.0g、AIBN 2.6gの混合液を1.5時間かけて滴下した。3時間重合を行った後100℃まで加熱し、AIBN 0.9gとPGM 6gの混合液を加えさらに1.5時間重合を行った後放冷した。ACP−2中の固形分は26.9質量%、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は13,000であった。
合成例3:ACP−3
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機を装着した1リットル4つ口フラスコに、MA 49.8g(579mmol)、メチルメタクリレート(以下MMAと略記 共栄社化学(株)製)26.5g(265mmol)、2−メルカプトエタノール0.2g、PGM 188.0gを仕込み、1時間4つ口フラスコ内を窒素置換した。さらにオイルバスで90℃まで加温した後、MA 49.8g、MMA 26.5g、2−メルカプトエタノール 0.2g、PGM 188.0g、AIBN 2.6gの混合液を1.5時間かけて滴下した。3時間重合を行った後100℃まで加熱し、AIBN 0.9gとPGM 6gの混合液を加えさらに1.5時間重合を行った後放冷した。ACP−3中の固形分は28.8質量%、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は12,000であった。
高分子化合物の合成
実施例1(合成例4:サンプルA)
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機、空気導入管を装着した500ml容の4つ口セパラブルフラスコに、ACP−1 300g(カルボキシル基として629mmol)、グリシジルメタクリレート(以下GMAと略記 共栄社化学(株)製)27.5g(193mmol)、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(以下4HBAGEと略記 日本化成(株)製)22.2g(103mmol)、トリフェニルホスフィン(東京化成工業(株)製)1.7g、メトキノン(川口化学)0.14gを仕込んで、空気を反応液に導入しながら、オイルバスで100℃に加熱した。10時間後、加熱を止め、フラスコを冷却した。この化合物を「サンプルA」とする。サンプルAの固形分濃度は31.2質量%、固形分酸価は115であった。また、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は17,000であった。
実施例2(合成例5:サンプルB)
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機、空気導入管を装着した500ml容の4つ口セパラブルフラスコに、ACP−2 300g(カルボキシル基として562mmol)、GMA 23.1g(162mmol)、4HBAGE 18.8g(87.4mmol)、トリフェニルホスフィン 2.5g、メトキノン 0.19gを仕込んで、空気を反応液に導入しながら、オイルバスで100℃に加熱した。10時間後、加熱を止め、フラスコを冷却した。この化合物を「サンプルB」とする。サンプルBの固形分濃度は30.9質量%、固形分酸価は115であった。また、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は18,000であった。
実施例3(合成例6:サンプルC)
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機、空気導入管を装着した500ml容の4つ口セパラブルフラスコに、ACP−1 300g(カルボキシル基として629mmol)、GMA 32.6g(230mmol)、4HBAGE 14.3g(67.0mmol)、トリフェニルホスフィン 1.7g、メトキノン 0.14gを仕込んで、空気を反応液に導入しながら、オイルバスで100℃に加熱した。10時間後、加熱を止め、フラスコを冷却した。この化合物を「サンプルC」とする。サンプルCの固形分濃度は31.3質量%、固形分酸価は113であった。また、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は18,000であった。
実施例4(合成例7:サンプルD)
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機、空気導入管を装着した500ml容の4つ口セパラブルフラスコに、ACP−2 300g(カルボキシル基として562mmol)、GMA 23.6g(166mmol)、4HBAGE 17.8g(83.1mmol)、トリフェニルホスフィン 2.5g、メトキノン 0.19gを仕込んで、空気を反応液に導入しながら、オイルバスで100℃に加熱した。10時間後、加熱を止め、フラスコを冷却した。この化合物を「サンプルD」とする。サンプルDの固形分濃度は30.6質量%、固形分酸価は116であった。また、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は17,000であった。
実施例5(合成例8:サンプルE)
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機、空気導入管を装着した500ml容の4つ口セパラブルフラスコに、ACP−2 300g(カルボキシル基として562mmol)、GMA 35.4g(249mmol)、トリフェニルホスフィン 2.5g、メトキノン
0.19gを仕込んで、空気を反応液に導入しながら、オイルバスで100℃に加熱した。10時間後、加熱を止め、フラスコを冷却した。この化合物を「サンプルE」とする。サンプルEの固形分濃度は31.0質量%、固形分酸価は113であった。また、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は16,000であった。
比較例1(合成例9:サンプルF)
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機、空気導入管を装着した500ml容の4つ口セパラブルフラスコに、ACP−1 300g(カルボキシル基として629mmol)、フェニルグリシジルエーテル 44.5g(296mmol)、トリフェニルホスフィン(東京化成工業(株)製)1.7g、メトキノン 0.14gを仕込んで、空気を反応液に導入しながら、オイルバスで100℃に加熱した。10時間後、加熱を止め、フラスコを冷却した。この化合物を「サンプルF」とする。サンプルFの固形分濃度は30.1質量%、固形分酸価は115であった。また、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は18,000であった。
実施例6(合成例9:サンプルG)
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機、空気導入管を装着した500ml容の4つ口セパラブルフラスコに、ACP−3 300g(カルボキシル基として602mmol)、GMA 25.3g(178mmol)、4HBAGE 19.1g(89.0mmol)、トリフェニルホスフィン 2.5g、メトキノン 0.19gを仕込んで、空気を反応液に導入しながら、オイルバスで100℃に加熱した。10時間後、加熱を止め、フラスコを冷却した。この化合物を「サンプルG」とする。サンプルGの固形分濃度は30.7質量%、固形分酸価は116であった。また、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は18,000であった。
感光性樹脂組成物の調製
サンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルD、サンプルE、サンプルF、サンプルGをPMAで固形分濃度30質量%に調製した。さらにこれらの樹脂溶液にトリメチロールプロパントリアクリレート(商品名TMP−A 共栄社化学(株)製)、光重合開始剤、チオール化合物を、以下の表1に示す組成で配合することにより感光性樹脂組成物(実施例7〜14、比較例2)を調製した。
Figure 2005163033
感光性樹脂組成物の評価
光感度評価−1
表1の感光性樹脂組成物および比較感光性樹脂組成物を、100×100×1mmの大きさのガラス基板に、スピンコーターで乾燥膜厚が約15μmになるように塗布した。さらに各塗装板は、70℃30分の条件で溶剤を熱風循環式乾燥機で乾燥した後、21段ステップタブレット(日立化成工業(株))を各塗膜の上にのせ、超高圧水銀ランプを組み込んだ露光装置(ウシオ電機株式会社製、商品名 マルチライト ML−251A/B)で200mJ/cm2となるように露光した。照射紫外線量はウシオ電機(株)の紫外線積算光量計 UIT−150(受光部 UVD−S365)にて測定した。露光後、各塗装板は30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液に1分間現像処理を行った後、水洗、エアーガンにて乾燥した。その後完全に塗膜が残った段数を読んだ。ここで段数が大きいほど光感度が高いことを示す。さらにその残膜の形状を光学顕微鏡で観察して良否を判定した。結果を表1中に示す。
光感度評価−2
表1の感光性樹脂組成物および比較感光性樹脂組成物を、100×100×1mmの大きさのガラス基板に、スピンコーターで乾燥膜厚が約15μmになるように塗布した。さらに各塗装板は、70℃30分の条件で溶剤を熱風循環式乾燥機で乾燥した後、21段ステップタブレット(日立化成工業(株))を各塗膜の上にのせ、超高圧水銀ランプを組み込んだ露光装置(ウシオ電機株式会社製、商品名 マルチライト ML−251A/B)で200mJ/cm2となるように露光した。照射紫外線量はウシオ電機(株)の紫外線積算光量計 UIT−150(受光部 UVD−S365)にて測定した。露光後、各塗装板は30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液に2分間現像処理を行った後、水洗、エアーガンにて乾燥した。その後完全に塗膜が残った段数を読んだ。ここで段数が大きいほど光感度が高いことを示す。さらにその残膜の形状を光学顕微鏡で観察して良否を判定した。結果を表1中に示す。
表1中の結果より、(メタ)アクリル酸とスチレンまたは置換スチレンの共重合体と、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを原料に使用し、それらを反応させて得られる本発明に係る新規な高分子化合物は、ラジカル重合性およびアルカリ現像特性が良好であるため、優れた表面硬化性およびアルカリ現像耐性を有する高分子化合物組成物を調製することができる。一方、比較例2の樹脂組成物は、側鎖に(メタ)アクリル酸を有しないので(すなわち、ACP−1とGMAを反応させていないサンプルFを原料とするので)光硬化しないため感度が得られず、また、実施例12の樹脂組成物は、スチレンあるいは置換スチレンを未使用のため(すなわち、主鎖にPMSを使用しないで作られたACP−3から作られたサンプルGを原料とするので)硬化膜のアルカリ水溶液耐性が若干低いことがわかる。

Claims (14)

  1. 側鎖に下記式(1):
    CH2=C(R1)COO(R2O)nCH2CH(OH)CH2OOC− 式(1)
    {式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はそれぞれ独立にアルキレン基、分岐アルキレン基、アルケニレン基、分岐アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の有機残基を表し、そしてnは0〜1の整数を表す。}
    で表される構造を有する高分子化合物。
  2. 主鎖となる高分子化合物残基が、(メタ)アクリル酸と、スチレンおよび/または置換スチレンとの共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の高分子化合物。
  3. 以下の製造工程A{下記式(2):
    3−(−COOH)m 式(2)
    {式中、R3は主鎖となる高分子化合物残基を表し、mは2以上の整数を表す。}で表される高分子化合物に対し、下記式(3):
    Figure 2005163033
    {式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はそれぞれ独立にアルキレン基、分岐アルキレン基、アルケニレン基、分岐アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の有機残基を表し、そしてnは0〜1の整数を表す。}で表される少なくとも一種以上の化合物の付加反応を行う製造工程}を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の高分子化合物の製造方法。
  4. 触媒の存在下で前記製造工程Aの付加反応を行うことを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記触媒が、金属ハロゲン化物、3級アミン、ピリジン系化合物、ピリジニウム塩、4級アンモニウム塩、ホスフィン系化合物、ホスフォニウム塩およびイミダゾール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の触媒を含むことを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記触媒が、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリフェニルホスフィン、エチルトリフェニルホスフォニウムブロマイド、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスフォニウムクロライドおよび2−メチルイミダゾールからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の触媒を含むことを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
  7. 請求項1または2に記載の高分子化合物を含むことを特徴とする、硬化性組成物。
  8. 請求項1または2に記載の高分子化合物およびエチレン性不飽和化合物を含有することを特徴とする、請求項7に記載の硬化性組成物。
  9. ラジカル重合開始剤をさらに含有することを特徴とする、請求項7または8に記載の硬化性組成物。
  10. 前記ラジカル重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤であることを特徴とする、請求項9に記載の硬化性組成物。
  11. 1分子中2個以上のメルカプト基を有する多官能チオール化合物を含有することを特徴とする、請求項9または10に記載の硬化性組成物。
  12. 前記多官能チオールが、メルカプト基に対してα位および/またはβ位の炭素原子が置換基を有するメルカプト基含有基を2個以上有する多官能チオール化合物であることを特徴とする、請求項11に記載の硬化性組成物。
  13. 請求項7〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物を含むことを特徴とするカラーフィルター用硬化性組成物。
  14. 請求項7〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物を基板に塗布後、フォトマスク越しに露光・硬化し、さらにアルカリ水溶液で未硬化の部分を洗い流すことによって得られるパターンを有することを特徴とするカラーフィルター用光硬化物。
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