JP2005162802A - 射出成形用樹脂組成物及び永久磁石製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 射出成形した際の流動性が良好で成形性に優れ、得られる成形品の機械特性や磁気特性にも優れている樹脂組成物を提供する。特に、インサート成形した場合にもクラックの発生を抑制することができる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリアミド樹脂(A)及び磁性粉末(B)からなり、ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が1.0〜3.5であり、樹脂組成物の体積に対して60〜75体積%の磁性粉末(B)を含有し、樹脂組成物の重量に対して100〜400ppmの水分を含有し、かつASTM D1238に準拠し、270℃、10kg荷重下で測定したMFRが50〜250g/10分である射出成形用樹脂組成物を射出成形して永久磁石製品を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリアミド樹脂(A)及び磁性粉末(B)からなり、ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が1.0〜3.5であり、樹脂組成物の体積に対して60〜75体積%の磁性粉末(B)を含有し、樹脂組成物の重量に対して100〜400ppmの水分を含有し、かつASTM D1238に準拠し、270℃、10kg荷重下で測定したMFRが50〜250g/10分である射出成形用樹脂組成物を射出成形して永久磁石製品を得る。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリアミド樹脂及び磁性粉末からなる射出成形用樹脂組成物に関する。また、当該樹脂組成物を射出成形する永久磁石製品の製造方法に関する。
ポリアミド樹脂及び磁性粉末からなる樹脂組成物を射出成形し、着磁させてプラスチック磁石を製造する方法は広く行われている。この方法によれば、複雑な形態の永久磁石を生産性良く製造することができるので、各種電子機器部品などに用いられている。
例えば、特開昭60−156751号公報(特許文献1)には、相対粘度が1.2〜1.8のナイロン11又はナイロン12の100重量部に対して、可塑剤を1〜35重量部、安定剤を0.1〜2.0重量部配合したポリアミド樹脂組成物5〜30重量%と、磁性体粉末70〜95重量%とからなる成形性の良好な磁性体組成物が記載されている。当該磁性体組成物は、低重合度のポリアミドを可塑剤と併用したものであって、1)混練時に磁性粉末及び磁性粉末と樹脂間での摩擦摩耗が減少し、外部磁界を印加しながら射出成形した場合に磁性粉末の配向が容易となり、磁気特性が向上する;2)混練押出、射出成形を行う場合、混合物の流動性が高くなり、多量の磁性粉末を含有していても成形が行えるようになる;3)成形機、スクリューの面での摩擦摩耗が小さくなり、成形機への不純物の混入を小さくすることができる;というような効果を奏する旨が記載されている。
近年、電子機器部品などに使用されるプラスチック磁石には、微細で複雑な形状を有しているものが多くなっており、それを寸法精度良く製造できることが求められている。プラスチック磁石の磁気特性を良好にするためには、大量の磁性粉末を配合しそれを配向させる必要があるが、磁性粉末の配合比率が向上するにしたがって流動性は大きく低下する傾向がある。そのため、磁性粉末の含有量が大きいにもかかわらず、射出成形時における流動性が良好であって、しかも磁性粉末の配向も容易な樹脂組成物が求められている。しかしながら上記特許文献1記載の樹脂組成物のように、低重合度のポリアミドを可塑剤と併用した場合には、成形品の機械特性が不十分になりやすいし、可塑剤の量が多すぎる場合にはそのブリードアウトの問題を生じる可能性もある。
また、射出成形に際しては、インサート成形などの手法によって、射出成形と同時に金属などの別部材と複合する場合も増加している。この場合には、磁石の切削加工や貼り合せ加工などの手間を省くことができ、生産性を向上させることが可能である。しかしながら、インサート成形の場合には、金型内に配置された金属などの別部材を回り込む形で溶融樹脂組成物が流動する場合が多く、樹脂組成物の流動性に対する要求が一段と厳しくなる。しかも、金属とプラスチック磁石とでは線膨張係数が異なるため、得られた磁石製品を温度の変化する環境に置いた場合、温度変化の繰り返し(ヒートサイクル)によって金属との接触部分周辺にクラックが発生することがあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、射出成形した際の流動性が良好で成形性に優れ、得られる成形品の機械特性や磁気特性にも優れた射出成形用樹脂組成物を提供することを目的とするものである。特に、インサート成形した場合にもクラックの発生を抑制することができる樹脂組成物を提供することを目的とするものである。また、そのような樹脂組成物を使用して射出成形する、永久磁石製品の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題は、ポリアミド樹脂(A)及び磁性粉末(B)からなり、ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が1.0〜3.5であり、樹脂組成物の体積に対して60〜75体積%の磁性粉末(B)を含有し、樹脂組成物の重量に対して100〜400ppmの水分を含有し、かつASTM D1238に準拠し、270℃、10kg荷重下で測定したMFRが50〜250g/10分である射出成形用樹脂組成物を提供することによって解決される。このとき、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して1〜30重量部の可塑剤(C)を含有することが好適である。また、ASTM D790に準拠し、−20℃で測定したときの曲げひずみが1%以上となる樹脂組成物が好適である。
また上記課題は、上記樹脂組成物を射出成形する永久磁石製品の製造方法を提供することによっても解決される。このとき、250〜300℃のシリンダー温度で射出成形することが好ましい。極異方成形によって射出成形することも好ましい。樹脂組成物をインサート成形して金属部品と一体化することも好ましい。また、得られた成形品の密度が3.5〜4.0g/cm3であることも好ましい。
本発明の樹脂組成物は、射出成形した際の流動性が良好で成形性に優れ、得られる成形品の機械特性や磁気特性にも優れている。特に、インサート成形した場合にもクラックの発生を抑制することができる。また、本発明の永久磁石製品の製造方法によれば、機械特性や磁気特性に優れた永久磁石製品を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)及び磁性粉末(B)からなる樹脂組成物である。
本発明で使用されるポリアミド樹脂(A)の種類は特に限定されず、PA6(ポリカプロアミド)、PA10(ポリデカンアミド)、PA11(ポリウンデカンアミド)、PA12(ポリラウリルラクタム)、PA6,6(ポリヘキサメチレンアジパミド)、PA6,12(ポリヘキサメチレンセバカミド)、PA6/11(カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体)、PA6/12(カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体)、PA6/9(カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体)、PA6/6,6(カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体)などが挙げられる。また、ポリアミド−ポリエステルエラストマーなど、ポリアミドを主たる構成成分とするポリアミドエラストマーを使用することもできる。なかでも、吸湿の影響を受けにくいことから、PA10、PA11、PA12、PA6,12、PA6/11及びPA6/12が好適であり、PA11及びPA12がより好適であり、PA12が最適である。これらのポリアミドは、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。2種以上混合する場合には、少量成分としてポリアミドエラストマーを配合する態様が好適である。
ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は1.0〜3.5である。ここで、当該相対粘度は、JIS K6920に準拠し、96重量%の硫酸に1重量%の試料を溶解させて測定される値である。相対粘度が1.0未満の場合には、得られる成形品の機械強度が低下するとともに、ヒートサイクルによるクラックも発生しやすくなり、好適には1.5以上である。一方、相対粘度が3.5を超える場合には、樹脂組成物の溶融流動性が低下して射出成形が困難になり、好適には2.5以下である。好適な相対粘度はポリアミド樹脂(A)の種類によっても異なり、ポリアミド12を使用する場合の好適な相対粘度は1.5〜2.2であり、ポリアミド6を使用する場合の好適な相対粘度は1.8〜3.5である。
また、本発明で使用される磁性粉末(B)としては、プラスチック磁石に使用されるいずれも磁性粉末を使用することもできる。例えば、ストロンチウムフェライト、バリウムフェライトなどのハードフェライト;サマリウム−コバルト合金などの希土類−遷移金属合金;アルミニウム−ニッケル−コバルト合金;鉄−ネオジウム−ホウ素などの粉末を使用することができる。中でも、ハードフェライト粉末を使用することが好ましい。磁性粉末(B)の粒径は0.1〜500μmであることが好ましく、より好適には0.2〜10μmである。
本発明の射出成形用樹脂組成物における磁性粉末(B)の含有量は、樹脂組成物の体積に対して60〜75体積%である。磁性粉末(B)の含有量が60体積%未満の場合には、得られる磁石製品の磁気特性が不十分なものになり、好適には62体積%以上である。一方、磁性粉末(B)の含有量が75体積%を超える場合には、溶融成形時の流動性が低下し、射出成形が困難になり、好適には70体積%以下である。このように、樹脂の占める体積に比べて、磁性粉末(B)の占める体積が大きいことが本発明の樹脂組成物の特徴である。
本発明の射出成形用樹脂組成物には、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して1〜30重量部の可塑剤(C)を含有することも好ましい。可塑剤(C)を含有することによって、溶融成形時の流動性が向上する。可塑剤(C)の配合による流動性の改善効果を明確にするには、可塑剤(C)の含有量が3重量部以上であることがより好ましく、8重量部以上であることがさらに好ましい。一方、可塑剤(C)の含有量が大きすぎる場合には、成形品の強度が低下するおそれがあるとともに、可塑剤(C)がブリードアウトするおそれがある。可塑剤(C)の含有量は、より好適には25重量部以下であり、さらに好適には15重量部以下である。使用する可塑剤(C)の種類は特に限定されず、ポリアミドの可塑剤として使用可能な可塑剤のいずれも使用できる。なかでも、スルホン酸アミド化合物及びオキシ安息香酸エステル化合物が好適なものとして例示される。
ポリアミド樹脂(A)及び磁性粉末(B)を混合する方法は特に限定されず、一般的な溶融混練方法が採用される。押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどの各種の溶融混練装置を使用することが可能である。なかでも、押出機、特に二軸押出機を使用して混練することが、均一な樹脂組成物を得るためには好ましい。押出機で溶融混練する場合のシリンダーの設定温度は200〜280℃であることが好ましい。また、これらの溶融混練装置に投入する前にポリアミド樹脂(A)及び磁性粉末(B)を予め混合しておくことも好ましく、そのような混合装置としては、ヘンシェルミキサー、タンブラー、リボンブレンダーなどが例示される。ポリアミド樹脂(A)の形態も特に限定されず、ペレット状のものであっても粉末であっても構わないが、均一に配合するためには粉末である方が好ましい。混合に際しては、必要に応じて、可塑剤(C)や、その他の各種添加剤を同時に混合することができる。溶融混練された樹脂組成物は、切断してペレット形状にすることが好ましい。
こうして得られる本発明の射出成形用樹脂組成物は、当該樹脂組成物の重量に対して100〜400ppmの水分を含有するものである。今回、水分率が100ppm以上であることによって、樹脂組成物の溶融粘度が低下し、射出成形時の流動性が改善されることが明らかになった。例えば、後述の実施例1〜3と比較例1、2に記載された樹脂組成物を対比すればわかるように、水分率が上昇するにしたがって、MFRの値が大きく増加することが明らかになった。特に、水分率が100ppm未満になるとMFRの低下が著しい。磁性粉末(B)は、ポリアミド樹脂(A)に比べて比重がはるかに大きいので、重量換算で言えばポリアミド樹脂(A)の含有量は1割前後である。したがって、上記100〜400ppmの水分は、全体の1割程度の重量を占めるポリアミド樹脂(A)中に含まれているか、磁性粉末(B)の表面などに吸着される形で含まれていると推定される。ポリアミド樹脂(A)が含有する水分量としては決して多くないので、ポリアミド樹脂(A)に対する水の可塑化効果としてこのような溶融粘度の低下現象を説明することは困難である。溶融粘度が低下する理由は明らかではないが、高比重の粉末を多量に含有することから、チキソトロピーのような特殊な流動状態において、水分が特別な働きをしている可能性が考えられる。いずれにせよ、わずかな水分率の制御が溶融粘度に大きな影響を与えることが明らかになったものである。したがって、射出成形機に供給する時に上記範囲になるように水分率を制御することが重要である。
射出成形性を改善する観点からは、水分率は150ppm以上であることがより好適である。一方、水分率が400ppmを超えると、成形時にガスが発生したりポリアミドが加水分解したりするおそれがあり、低温での曲げひずみ量が低下したり、インサート成形品のヒートサイクル試験においてクラックが発生するなど、成形品の機械特性が低下する。水分率はより好適には300ppm以下である。
水分率をこのように特定の範囲内に調整する方法は特に限定されない。溶融混練装置から吐出される時に所望の水分率になるようにしても構わないし、溶融混練装置から吐出された後に、水分率を調整して所望の水分率になるようにしても構わない。溶融混練時のポリアミドの加水分解を抑制でき、水分率の微調整が容易である点からは、吐出後に水分率を調整する方法が好ましい。具体的には、溶融混練して得られた樹脂組成物を所定の湿度を有する空気中に放置して水分を吸収させる方法や、短時間水に浸漬する方法や、水をスプレーで吹き付ける方法などが例示される。また、一旦水分を吸収させてから、乾燥して所望の水分率に調整することもできる。このようにして、所望の水分率になったものは、防湿包装を施すことが好ましく、射出成形の直前にその包装から樹脂組成物を取出して成形機に供給することが好ましい。
このように所定量の水分を含有する本発明の樹脂組成物のMFR(ASTM D1238に準拠し、270℃、10kg荷重下で測定したもの)は、50〜250g/10分である。このように高いMFR値を有することによって、複雑な形状や微細な形状に対しても樹脂組成物を充填することが可能となり、磁性粉末の配向も容易となって磁気特性の良好な成形品を得ることができる。MFRは、好適には80g/10分以上である。一方、MFRが250g/10分を超える場合には、低温での曲げひずみ量が低下したり、インサート成形品のヒートサイクル試験においてクラックが発生するなど、成形品の機械特性が低下する。MFRは好適には200g/10分以下である。
こうして得られた樹脂組成物は、ASTM D790に準拠し、−20℃で測定したときの曲げひずみが1%以上となることが好適である。このような性能を有する樹脂組成物を用いて射出成形することによって、インサート成形品のヒートサイクル試験においてクラックが発生するのを効果的に抑制することができる。曲げひずみは、より好適には1.2%以上である。また、通常10%以下である。
以上のようにして得られた樹脂組成物を射出成形機に供給して射出成形し、永久磁石製品を製造する。射出成形時のシリンダー温度は250〜300℃に設定することが好ましい。シリンダー温度が250℃未満の場合には、溶融樹脂組成物の流動性が十分でなく、より好適には260℃以上である。一方、シリンダー温度が300℃を超えたのでは、含有する水分のために加水分解が生じるおそれがあり、より好適には290℃以下である。
射出成形してから磁性粉末(B)を配向させる方法は特に限定されないが、極異方成形によって射出成形することが好ましい。極異方成形とは、加熱溶融した状態で磁界を印加して、磁性粉末(B)を配向させる成形方法である。具体的には、磁界印加装置を備えた金型の中に溶融樹脂組成物を充填する方法が好適に採用される。このときの金型温度は、溶融樹脂組成物の充填性、磁性粉末(B)の配向の容易性、成形のサイクルタイムなどを考慮して設定される。好適な金型温度は40〜120℃である。金型に印加する配向磁場の強さは159〜796kA/mであることが好ましく、配向磁場の印加時間は0.5〜180秒であることが好ましい。また、金型内での冷却時間は、配向磁場の印加時間も含めて、3〜180秒であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を使用して成形する際の好適な実施態様は、インサート成形である。インサート成形とは、金型内に予め別部材を配置しておき、金型内に溶融樹脂組成物を充填して、樹脂組成物と当該別部材とを一体化する方法である。インサート成形においては、溶融樹脂組成物が金型内に配置された部材を回り込んで樹脂組成物が充填される場合が多いために、特に樹脂組成物の流動性が要求される。ここで、一体化される部材の素材は特に限定されないが、金属部材が一般的である。本発明の樹脂組成物と金属とは、線膨張係数が相違するので、ヒートサイクル試験においてクラックが発生するのを効果的に抑制できる本発明の樹脂組成物を採用する利益が大きい。
こうして得られた本発明の永久磁石製品の成形品の密度は3.5〜4.0g/cm3であることが好適である。ここで、成形品の密度はASTM D792に基づいて測定されるものである。成形品の密度が3.5g/cm3未満の場合には所望の磁気特性が得られないおそれがあり、4.0g/cm3を超える場合には製品の強度が低下してクラック等を発生しやすくなり、連続使用する際の製品の信頼性が低下するおそれがある。
こうして得られた本発明の永久磁石製品の用途は特に限定されない。ロータ、ステータ、マグローラー、センサーなどに好適に使用することができる。特に、インサート成形して金属と複合された永久磁石製品の用途としてはモータ、マグロール、スピードセンサー、流量センサーなどが例示される。
以下、実施例を使用して本発明をさらに詳細に説明する。実施例中の分析及び評価方法は以下の方法に従って行った。
(1)水分率
試料の樹脂組成物約3gを秤量し、京都電子工業株式会社製、カールフィッシャー水分計「APD−351」を使用して200℃で測定した。
試料の樹脂組成物約3gを秤量し、京都電子工業株式会社製、カールフィッシャー水分計「APD−351」を使用して200℃で測定した。
(2)MFR
ASTM D1238に準拠し、270℃、10kg荷重下で測定した。
ASTM D1238に準拠し、270℃、10kg荷重下で測定した。
(3)曲げひずみ
幅12.8mm、厚さ3.2mm及び長さ76mmのテストピース成形品を−20℃の恒温槽に10分間投入してから、ASTM D790に準拠して、支点間距離50mm、試験速度5mm/秒で測定した。
幅12.8mm、厚さ3.2mm及び長さ76mmのテストピース成形品を−20℃の恒温槽に10分間投入してから、ASTM D790に準拠して、支点間距離50mm、試験速度5mm/秒で測定した。
(4)密度
幅12.8mm、厚さ3.2mm及び長さ76mmのテストピース成形品について、ASTM D792に基づいて測定した。
幅12.8mm、厚さ3.2mm及び長さ76mmのテストピース成形品について、ASTM D792に基づいて測定した。
(5)ヒートサイクル試験
インサート成形された成形品を、「−20℃(1時間)→(0.5時間)→150℃(1時間)→(0.5時間)→−20℃」を1サイクルとする加熱冷却サイクル(1サイクルの所要時間3時間)を300サイクル繰り返し、成形品の割れ(クラック)の発生を目視で確認した。1実施例につき、10試料を試験に供した。
インサート成形された成形品を、「−20℃(1時間)→(0.5時間)→150℃(1時間)→(0.5時間)→−20℃」を1サイクルとする加熱冷却サイクル(1サイクルの所要時間3時間)を300サイクル繰り返し、成形品の割れ(クラック)の発生を目視で確認した。1実施例につき、10試料を試験に供した。
実施例1〜3、比較例1及び2
ポリアミド樹脂(A)としては、宇部興産株式会社製PA12粉末「P3012U」を使用した。当該PA12の相対粘度は1.63である。また、磁性粉末(B)としては、日本弁柄工業株式会社製ストロンチウム−フェライト(SrFe12O19)粉末「NF−350」を使用した。当該磁性粉末(B)の平均粒径は、1.40±0.15μmである。
ポリアミド樹脂(A)としては、宇部興産株式会社製PA12粉末「P3012U」を使用した。当該PA12の相対粘度は1.63である。また、磁性粉末(B)としては、日本弁柄工業株式会社製ストロンチウム−フェライト(SrFe12O19)粉末「NF−350」を使用した。当該磁性粉末(B)の平均粒径は、1.40±0.15μmである。
樹脂組成物中において磁性粉末(B)が65体積%になるような割合で、ポリアミド樹脂(A)の粉末と、磁性粉末(B)とを計量し、ヘンシェルミキサーで混合してから、二軸押出機に投入して溶融混練した。二軸押出機のスクリュー径は36mmφ、L/Dは37、シリンダー設定温度は240℃であった。ノズルから吐出された樹脂組成物を空冷式ストランドカッターで切断して、樹脂組成物ペレットを得た。
得られた樹脂組成物ペレットを、25℃、65%RHの大気中に48時間放置したところ、得られた樹脂組成物ペレット(比較例1で使用)の水分率は1000ppmであった。これを以下に示す各条件で熱風乾燥機中で乾燥して、水分率を減少させた樹脂組成物ペレットを得た。得られた各樹脂組成物ペレットのMFRを測定した。各樹脂組成物ペレットの原料配合比とMFRをまとめて表1に示す。
実施例1(230ppm):145℃、2時間
実施例2(120ppm):110℃、8時間
実施例3(380ppm):120℃、1.5時間
比較例2(84ppm):130℃、8時間
実施例1(230ppm):145℃、2時間
実施例2(120ppm):110℃、8時間
実施例3(380ppm):120℃、1.5時間
比較例2(84ppm):130℃、8時間
以上のようにして得られた、所定の水分を含有する樹脂組成物ペレット3kgを用いてテストピースを射出成形した。テストピースの寸法は、幅12.8mm、厚さ3.2mm及び長さ76mmである。射出成形の条件は下記のとおりである。得られたテストピースを用いて、曲げひずみ、表面磁束量(及び残留磁束密度)を測定した。なお、比較例2の樹脂組成物ペレットは溶融成形が困難であり、成形品の評価は行わなかった。測定結果を表1にまとめて示す。
成形機:株式会社日本製鋼所製射出成形機「JSW J50MEII」
シリンダー温度(前部):260℃
シリンダー温度(後部):280℃
ノズル温度:270℃
金型温度:80℃
配向磁場(強さ):875kA/m
配向磁場(時間):5秒
冷却時間:30秒
成形機:株式会社日本製鋼所製射出成形機「JSW J50MEII」
シリンダー温度(前部):260℃
シリンダー温度(後部):280℃
ノズル温度:270℃
金型温度:80℃
配向磁場(強さ):875kA/m
配向磁場(時間):5秒
冷却時間:30秒
また、上記と同じ射出成形条件で、インサート成形を行った。直径38mm、長さ10mmの積層珪素鋼板からなる円盤状の金属部材の周囲を直径52mm、長さ22mmの樹脂組成物で覆ったインサート成形品を得た。得られたインサート成形品を用いてヒートサイクル試験を行った。測定結果を表1にまとめて示す。
実施例4
実施例1と同じポリアミド樹脂(A)及び磁性粉末(B)を使用し、さらに可塑剤(C)として、大八化学工業株式会社製N−ブチルベンゼンスルホンアミド「BM−4」を使用した。
実施例1と同じポリアミド樹脂(A)及び磁性粉末(B)を使用し、さらに可塑剤(C)として、大八化学工業株式会社製N−ブチルベンゼンスルホンアミド「BM−4」を使用した。
ポリアミド樹脂100重量部に対し、可塑剤(C)が10重量部になり、かつ樹脂組成物中において磁性粉末(B)が65体積%になるような割合で、ポリアミド樹脂(A)の粉末と、磁性粉末(B)と、可塑剤(C)とを計量し、実施例1と同様にヘンシェルミキサーで混合してから、二軸押出機に投入して溶融混練し、樹脂組成物ペレットを得た。
得られた樹脂組成物ペレットを、30℃、80%RHの大気中に48時間放置して吸湿させてから、熱風乾燥機中で120℃で2時間乾燥して、水分率を160ppmまで減少させた樹脂組成物ペレットを得た。得られた各樹脂組成物ペレットのMFRを測定した。
以上のようにして得られた、所定の水分を含有する樹脂組成物ペレットを用いて、実施例1と同様にテストピースを射出成形し、曲げひずみ、表面磁束量(及び残留磁束密度)を測定した。また、実施例1と同様にしてインサート成形して、ヒートサイクル試験を行った。これらの結果を表1にまとめて示す。
実施例1〜3と比較例1、2に記載された樹脂組成物を対比すれば明らかなように、水分率が、84ppm、120ppm、230ppm、380ppm、500ppmと上昇するにしたがって、MFRの値はそれぞれ、38g/10分、60g/10分、80g/10分、120g/10分、140g/10分と大きく増加した。特に水分率が100ppm未満になるとMFRの値が急激に低下することがわかる。一方、水分率が400ppmを超えると、低温での曲げひずみが低下し、ヒートサイクル試験でのクラックの発生が顕著になることから、溶融成形時にガスが発生したり、ポリアミドの加水分解が生じたりしていることが推察される。また、実施例4に示されるように、可塑剤を添加することによって、MFRは上昇し、さらに流動性が改善される傾向となる。
Claims (8)
- ポリアミド樹脂(A)及び磁性粉末(B)からなり、ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が1.0〜3.5であり、樹脂組成物の体積に対して60〜75体積%の磁性粉末(B)を含有し、樹脂組成物の重量に対して100〜400ppmの水分を含有し、かつASTM D1238に準拠し、270℃、10kg荷重下で測定したMFRが50〜250g/10分である射出成形用樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して1〜30重量部の可塑剤(C)を含有する請求項1記載の射出成形用樹脂組成物。
- ASTM D790に準拠し、−20℃で測定したときの曲げひずみが1%以上となる請求項1又は2記載の射出成形用樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか記載の樹脂組成物を射出成形する永久磁石製品の製造方法。
- 250〜300℃のシリンダー温度で射出成形する請求項4記載の永久磁石製品の製造方法。
- 極異方成形によって射出成形する請求項4又は5記載の永久磁石製品の製造方法。
- 樹脂組成物をインサート成形して金属部品と一体化する請求項4〜6のいずれか記載の永久磁石製品の製造方法。
- 得られた成形品の密度が3.5〜4.0g/cm3である請求項4〜7のいずれか記載の永久磁石製品の製造方法。
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JP2003401072A JP2005162802A (ja) | 2003-12-01 | 2003-12-01 | 射出成形用樹脂組成物及び永久磁石製品の製造方法 |
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WO2023149155A1 (ja) * | 2022-02-01 | 2023-08-10 | 味の素株式会社 | 磁性ペースト |
WO2024057888A1 (ja) * | 2022-09-14 | 2024-03-21 | 戸田工業株式会社 | ボンド磁石用樹脂組成物ならびにそれを用いて成形されたボンド磁石成形体 |
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2003
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