JP2014101494A - 半芳香族ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、機械的強度、磁気特性に優れるとともに、成形流動性にも優れたポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】半芳香族ポリアミド(A)100質量部と、磁性粉末(B)50〜2000質量部とを含有する半芳香族ポリアミド樹脂組成物であり、半芳香族ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分およびモノカルボン酸成分を含有し、半芳香族ポリアミド(A)の融点が300℃以上であり、半芳香族ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、またモノカルボン酸成分として分子量が140以上のモノカルボン酸を含有し、半芳香族ポリアミド(A)における、分子量が140以上のモノカルボン酸の含有量が、1〜8質量%であることを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】半芳香族ポリアミド(A)100質量部と、磁性粉末(B)50〜2000質量部とを含有する半芳香族ポリアミド樹脂組成物であり、半芳香族ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分およびモノカルボン酸成分を含有し、半芳香族ポリアミド(A)の融点が300℃以上であり、半芳香族ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、またモノカルボン酸成分として分子量が140以上のモノカルボン酸を含有し、半芳香族ポリアミド(A)における、分子量が140以上のモノカルボン酸の含有量が、1〜8質量%であることを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、機械的強度、磁気特性、成形流動性に優れた半芳香族ポリアミド樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂に磁性粉体を配合して得られる樹脂組成物は、成形されて、ボンド磁石として、モーター、スピーカー、マグネットロール等のエレクトロニクス分野に用いられている。上記樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂として、耐熱性、機械的強度に優れることから、ポリアミド樹脂が主に利用されている。近年、上記分野においては、製品の小型化、高性能化にともない、樹脂組成物の成形体には、さらなる耐熱性の向上が求められている。しかし、耐熱性の高いポリアミド樹脂は、溶融粘度が高いため、これを含有する樹脂組成物は、成形流動性が低く、成形が困難になるという問題がある。
磁性粉体を含有する樹脂組成物の成形流動性を向上させるために、様々な構成のポリアミド樹脂が使用されている。例えば、特許文献1には、テレフタル酸単位と脂肪族ジアミン単位を含む半芳香族ポリアミドを使用することが開示され、特許文献2には、ポリアルキレングリコールジアルキルアミンを含むアミン成分と、炭素数が20〜40のダイマー酸を含む酸成分とを重合させた重合脂肪酸型ポリアミドを使用することが開示され、特許文献3には、ポリアミド12を使用することが開示され、特許文献4には、末端カルボキシル基の残存量と末端アミノ基の残存量とのモル比を規定した芳香族ポリアミド樹脂を使用することが記載されている。また、特許文献5には、樹脂成分の主成分として、ポリフェニレンスルフィド樹脂を使用し、これにポリアミド樹脂を副成分として使用することが開示され、ポリアミド樹脂として半芳香族ポリアミドが使用されている。
しかしながら、これらのポリアミド樹脂を使用した樹脂組成物でも、成形流動性は十分といえるものではなかった。
しかしながら、これらのポリアミド樹脂を使用した樹脂組成物でも、成形流動性は十分といえるものではなかった。
本発明の課題は、上記問題を解決し、磁性粉末を含有するポリアミド樹脂組成物であって、耐熱性、機械的強度、磁気特性に優れるとともに、成形流動性にも優れたポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂として、特定のモノカルボン酸成分を含有する半芳香族ポリアミドを使用し、これを含有する樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)半芳香族ポリアミド(A)100質量部と、磁性粉末(B)50〜2000質量部とを含有する半芳香族ポリアミド樹脂組成物であり、
半芳香族ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分およびモノカルボン酸成分を含有し、
半芳香族ポリアミド(A)の融点が300℃以上であり、
半芳香族ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、またモノカルボン酸成分として分子量が140以上のモノカルボン酸を含有し、
半芳香族ポリアミド(A)における、分子量が140以上のモノカルボン酸の含有量が、1〜8質量%であることを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
(2)分子量が140以上のモノカルボン酸が、脂肪族モノカルボン酸であることを特徴とする(1)記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
(3)脂肪族モノカルボン酸がステアリン酸であることを特徴とする(2)記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
(4)半芳香族ポリアミド(A)が、脂肪族ジアミン成分として1,10−デカンジアミンを含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
(5)半芳香族ポリアミド(A)が、モノカルボン酸成分が安息香酸である以外は同一の組成である半芳香族ポリアミドよりも、350℃、1.2kgf/cm2の荷重の条件下でのメルトフローレートが5g/10分以上高い半芳香族ポリアミドであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)半芳香族ポリアミド(A)100質量部と、磁性粉末(B)50〜2000質量部とを含有する半芳香族ポリアミド樹脂組成物であり、
半芳香族ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分およびモノカルボン酸成分を含有し、
半芳香族ポリアミド(A)の融点が300℃以上であり、
半芳香族ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、またモノカルボン酸成分として分子量が140以上のモノカルボン酸を含有し、
半芳香族ポリアミド(A)における、分子量が140以上のモノカルボン酸の含有量が、1〜8質量%であることを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
(2)分子量が140以上のモノカルボン酸が、脂肪族モノカルボン酸であることを特徴とする(1)記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
(3)脂肪族モノカルボン酸がステアリン酸であることを特徴とする(2)記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
(4)半芳香族ポリアミド(A)が、脂肪族ジアミン成分として1,10−デカンジアミンを含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
(5)半芳香族ポリアミド(A)が、モノカルボン酸成分が安息香酸である以外は同一の組成である半芳香族ポリアミドよりも、350℃、1.2kgf/cm2の荷重の条件下でのメルトフローレートが5g/10分以上高い半芳香族ポリアミドであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、樹脂組成物を構成するポリアミド樹脂が、特定のモノカルボン酸成分を含有する半芳香族ポリアミドであるため、耐熱性、機械的強度、磁気特性、成形流動性いずれにも優れたポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、半芳香族ポリアミド(A)および磁性粉末(B)を含有するものである。上記半芳香族ポリアミド(A)は、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とモノカルボン酸成分とを含有する。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、半芳香族ポリアミド(A)および磁性粉末(B)を含有するものである。上記半芳香族ポリアミド(A)は、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とモノカルボン酸成分とを含有する。
半芳香族ポリアミド(A)を構成する芳香族ジカルボン酸成分は、耐熱性を高めるために、テレフタル酸を含有することが必要である。芳香族ジカルボン酸成分におけるテレフタル酸の含有量は、60〜100モル%であることが好ましく、80〜100モル%であることが好ましく、100%であることがさらに好ましい。テレフタル酸の含有量が60モル%未満であると、得られる成形体は、耐熱性に劣ることがある。
テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
半芳香族ポリアミド(A)を構成する、芳香族ジカルボン酸成分以外のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸成分や、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸成分等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸成分以外の脂肪族ジカルボン酸成分や脂環式ジカルボン酸成分等の含有量は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下であることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
半芳香族ポリアミド(A)を構成する脂肪族ジアミン成分としては、例えば、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン等が挙げられる。中でも、1,10−デカンジアミンを脂肪族ジアミン成分として含有することにより、耐熱性、成形流動性、機械的強度のバランスが良好である半芳香族ポリアミドを得ることができる。
脂肪族ジアミン成分として、2種以上の脂肪族ジアミンを併用してもよい。
脂肪族ジアミン成分として、2種以上の脂肪族ジアミンを併用してもよい。
半芳香族ポリアミド(A)を構成する、脂肪族ジアミン成分以外のジアミン成分としては、シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミン成分や、キシリレンジアミン、ベンゼンジアミン等の芳香族ジアミン成分等が挙げられる。脂肪族ジアミン成分以外の脂環式ジアミン成分や芳香族ジアミン成分等の含有量は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下とすることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
また、半芳香族ポリアミド(A)は、必要に応じて、カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸や11−アミノウンデカン酸等のω−アミノカルボン酸成分を含有してもよい。
半芳香族ポリアミド(A)を構成するモノカルボン酸成分は、分子量が140以上のモノカルボン酸を含有することが必要であり、分子量が170以上のモノカルボン酸を含有することが好ましい。半芳香族ポリアミド(A)が分子量140以上のモノカルボン酸を含有することにより、得られる樹脂組成物は成形流動性に優れたものとなり、モノカルボン酸の分子量が140未満であると、成形流動性の向上効果が乏しい。なお、モノカルボン酸の分子量とは、半芳香族ポリアミド(A)の重合反応に使用される原料(RCOOH)の分子量であり、重合後の半芳香族ポリアミド(A)におけるモノカルボン酸残基(RCO−)の分子量ではない。
モノカルボン酸成分としては、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸が挙げられ、中でも、機械的特性や磁気特性や成形流動性の向上効果が高いことから、脂肪族モノカルボン酸が好ましく、直鎖状脂肪族モノカルボン酸がより好ましい。
分子量が140以上の脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。中でも、汎用性が高く、機械的特性や磁気特性や成形流動性を特に向上させることができることから、ステアリン酸が好ましい。
また、分子量が140以上の脂環族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−へキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−ラウリルシクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。
また、芳香族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチル安息香酸、4−へキシル安息香酸、4−ラウリル安息香酸、アルキル安息香酸類、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸およびそれらの誘導体が挙げられる。
モノカルボン酸成分として、2種以上のモノカルボン酸を併用してもよく、分子量が140未満のモノカルボン酸と併用してもよい。
分子量が140以上の脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。中でも、汎用性が高く、機械的特性や磁気特性や成形流動性を特に向上させることができることから、ステアリン酸が好ましい。
また、分子量が140以上の脂環族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−へキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−ラウリルシクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。
また、芳香族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチル安息香酸、4−へキシル安息香酸、4−ラウリル安息香酸、アルキル安息香酸類、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸およびそれらの誘導体が挙げられる。
モノカルボン酸成分として、2種以上のモノカルボン酸を併用してもよく、分子量が140未満のモノカルボン酸と併用してもよい。
分子量が140以上のモノカルボン酸成分の含有量は、半芳香族ポリアミド(A)の1〜8質量%であることが必要であり、2〜5質量%であることが好ましい。分子量が140以上のモノカルボン酸成分の含有量が1質量%未満であると、成形流動性が低下し、成形サイクルが長くなったり、得られる成形体の外観が劣ったりすることがある。また、機械的特性や磁気特性が低下することがある。一方、含有量が8質量%を超えると、得られる成形体の機械的強度が低くなることがある。
一般に、ポリマーには結晶相と非晶相が存在し、融点等の結晶特性はもっぱら結晶相の状態によって定まることが知られている。ポリマー中の末端基は非晶相に存在するので、末端基の有無、種類によって融点が変化することはない。そして、末端封鎖剤として作用するモノカルボン酸成分も非晶相に存在するので、他成分を溶融混練した場合とは異なり、モノカルボン酸成分の含有によって半芳香族ポリアミドの融点を下げることはない。
本発明において、半芳香族ポリアミド(A)は、モノカルボン酸成分として、分子量が140以上のモノカルボン酸を含有するため、成形流動性が高い。具体的には、モノカルボン酸成分として分子量が140以上のモノカルボン酸を使用した半芳香族ポリアミドの350℃、1.2kgf/cm2の荷重の条件下でのメルトフローレートは、モノカルボン酸成分として分子量が122の安息香酸を使用した以外は同一の組成である半芳香族ポリアミドのメルトフローレートよりも高くすることができる。本発明においては、半芳香族ポリアミド(A)として、5g/10分以上高いメルトフローレートを有するものを使用することが好ましい。
本発明における半芳香族ポリアミド(A)は、融点が300℃以上であることが必要であり、310℃以上であることが好ましい。融点が300℃未満である半芳香族ポリアミドは、色調が低下しない程度の昇温によって、成形流動性を容易に改善することができるため、本発明でおこなうような流動性改良の手法を必ずしも必要としない。
本発明における半芳香族ポリアミド(A)は、96%硫酸中、25℃、濃度1g/dLで測定した場合の相対粘度が、1.8以上であることが好ましく、1.8〜2.6であることがより好ましく、1.9〜2.4であることがさらに好ましい。相対粘度が1.8未満の場合、そもそも成形流動性が優れているため、本発明でおこなうような流動性改良の手法を必ずしも必要としない。なお、相対粘度は、分子量の指標とすることができる。
本発明における半芳香族ポリアミド(A)は、従来から知られている加熱重合法や溶液重合法の方法を用いて製造することができる。中でも、工業的に有利である点から、加熱重合法が好ましく用いられる。加熱重合法としては、芳香族ジカルボン酸成分と、脂肪族ジアミン成分と、モノカルボン酸成分とから反応物を得る工程(i)と、得られた反応物を重合する工程(ii)とからなる方法が挙げられる。
工程(i)としては、例えば、芳香族ジカルボン酸粉末とモノカルボン酸とを混合し、予め脂肪族ジアミンの融点以上、かつ芳香族ジカルボン酸の融点以下の温度に加熱し、この温度の芳香族ジカルボン酸粉末とモノカルボン酸とに、芳香族ジカルボン酸の粉末の状態を保つように、実質的に水を含有させずに、脂肪族ジアミンを添加する方法が挙げられる。
あるいは、別の方法としては、溶融状態の脂肪族ジアミンと固体の芳香族ジカルボン酸とモノカルボン酸とからなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得た後、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとモノカルボン酸の反応による塩の生成反応と、生成した塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る方法が挙げられる。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。工程(i)としては、反応物の形状の制御が容易な前者の方が好ましい。
あるいは、別の方法としては、溶融状態の脂肪族ジアミンと固体の芳香族ジカルボン酸とモノカルボン酸とからなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得た後、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとモノカルボン酸の反応による塩の生成反応と、生成した塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る方法が挙げられる。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。工程(i)としては、反応物の形状の制御が容易な前者の方が好ましい。
工程(ii)としては、例えば、工程(i)で得られた反応物を、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、半芳香族ポリアミドを得る方法が挙げられる。固相重合は、重合温度180〜270℃、反応時間0.5〜10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
工程(i)および工程(ii)の反応装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いればよい。工程(i)と工程(ii)を同じ装置で実施してもよいし、異なる装置で実施してもよい。
また、加熱重合法における加熱の方法として、特に限定されないが、水、蒸気、熱媒油等の媒体にて反応容器を加熱する方法、電気ヒーターで反応容器を加熱する方法、攪拌により発生する攪拌熱等内容物の運動に伴う摩擦熱を利用する方法が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。
また、加熱重合法における加熱の方法として、特に限定されないが、水、蒸気、熱媒油等の媒体にて反応容器を加熱する方法、電気ヒーターで反応容器を加熱する方法、攪拌により発生する攪拌熱等内容物の運動に伴う摩擦熱を利用する方法が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。
半芳香族ポリアミド(A)の製造において、重合の効率を高めるため重合触媒を用いてもよい。重合触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩が挙げられ、重合触媒の添加量は、通常、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンの総モルに対して、2モル%以下であることが好ましい。
半芳香族ポリアミド樹脂組成物を構成する磁性粉末(B)とは、平易に磁性を帯びることが可能な粉末のことである。磁性粉末(B)としては、例えば、フェライト系のバリウムフェライトやストロンチウムフェライト、サマリウムコバルト系の1/5系や2/17系、ネオジウム鉄ボロン系のMQパウダー(GM社製)が挙げられる。
磁性粉末(B)の平均粒子径は、0.5〜10μmであることが好ましく、半芳香族ポリアミド(A)への分散の向上の点から、1.0〜5.0μmであることがより好ましい。平均粒子径を0.5〜10μmとすることにより、溶融混練する際の取扱い性が向上する。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物において、磁性粉末(B)の含有量は、半芳香族ポリアミド(A)100質量部に対して、50〜2000質量部であることが必要であり、100〜1500質量部であることが好ましい。磁性粉末(B)の含有量が、50質量部未満の場合、得られる成形体は、残留磁束密度が低くなり、磁気特性が低下することがあり、また、機械的強度や耐熱性も低下することがある。一方、磁性粉末(B)の含有量が、2000質量部を超えると、単位体積当たりの磁性金属粉量が多くなる反面、磁場配向性に劣り、樹脂成分の減少に伴う残留磁束密度の向上がみられない。また、半芳香族ポリアミド(A)の含有量が少ないため、得られる樹脂組成物は、成形流動性に劣り、これにより、混練工程および成形工程にて充填不良等のトラブルを引き起こすことがある。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、通常、半芳香族ポリアミド(A)と磁性粉末(B)を混合した後、溶融混練し、溶融混練物を様々な形状に加工して得ることができる。
半芳香族ポリアミド(A)と磁性粉末(B)を混合する方法としては、特に限定されないが、リボンミキサー、V型ミキサー、ロータリーミキサー、ヘンシェルミキサー、フラッシュミキサー、ナウタミキサー、タンブラー等を用いて混合する方法や、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ウエットミル、ハンマーミル、カッターミル等を用いて添加、粉砕混合をする方法が挙げられる。
混合物を溶融混練する方法としては、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押出機、二軸押出機等を用いて溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練をおこなう温度は、半芳香族ポリアミド(A)が溶融し、分解しない温度領域から選ばれる。
溶融混合物を様々な形状に加工する方法としては、溶融混合物をストランド状に押出しペレット形状にする方法や、溶融混合物をホットカット、アンダーウォーターカットしてペレット形状にする方法や、シート状に押出しカッティングする方法、ブロック状に押出し粉砕してパウダー形状にする方法が挙げられる。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物を成形する方法としては、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法等が挙げられる。機械特性、成形性を十分に向上させることができる点から、射出成形法が好ましい。
射出成形機としては、特に限定されるものではないが、例えば、スクリューインライン式射出成形機またはプランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融された半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。
射出成形時の樹脂温度は、半芳香族ポリアミド(A)の融点(Tm)以上であることが必要であり、(Tm+100℃)未満とすることが好ましい。
半芳香族ポリアミド樹脂組成物の加熱溶融時には、半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットとして、十分に乾燥されたものを用いることが好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットの水分率が高いと、射出成形機のシリンダー内で樹脂が発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いる半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットの水分率は、半芳香族ポリアミド樹脂組成物に対して、0.3質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましい。
射出成形機としては、特に限定されるものではないが、例えば、スクリューインライン式射出成形機またはプランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融された半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。
射出成形時の樹脂温度は、半芳香族ポリアミド(A)の融点(Tm)以上であることが必要であり、(Tm+100℃)未満とすることが好ましい。
半芳香族ポリアミド樹脂組成物の加熱溶融時には、半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットとして、十分に乾燥されたものを用いることが好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットの水分率が高いと、射出成形機のシリンダー内で樹脂が発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いる半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットの水分率は、半芳香族ポリアミド樹脂組成物に対して、0.3質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましい。
射出成形時の金型温度は、半芳香族ポリアミド(A)のガラス転移温度(Tg)未満に保持する必要があり、(Tg−30℃)未満であることが好ましく、(Tg−50℃)未満であることがより好ましい。金型温度が半芳香族ポリアミドのTgを超えると、金型から離型する際の成形体は、十分に固化していないため、変形する場合がある。なお、金型温度とは、金型分割表面の実温であり、この部位が上記温度範囲内になるよう、金型温度調節機を用いて調節する。必要に応じて、金型内に冷媒を循環して金型温度を調節してもよい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて充填材、安定剤等の添加剤を加えてもよい。添加の方法は、半芳香族ポリアミド(A)の重合時に添加する方法、得られた半芳香族ポリアミド樹脂(A)の溶融混練時に添加する方法が挙げられる。添加剤としては、例えば、タルク、膨潤性粘土鉱物、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、グラファイト等の充填材、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤が挙げられる。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体は、磁場をかけながら成形して着磁をおこなってもよく、また、成形後に着磁をおこなってもよい。着磁は、通常おこなわれる方法、例えば、静磁場を発生する電磁石や、パルス磁場を発生するコンデンサー着磁機によりおこなうことができる。このときの磁場強度は、15kOe以上とすることが好ましく、30kOe以上とすることがより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、耐熱性に優れているため、射出成形、リサイクル等で加熱処理をおこなっても、成形流動性、機械的強度を有することができる。そのため、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体は、磁気性の高い永久磁石を形成することができ、モーター、アイソレーター、マグネットロール、トランス、スピーカー等に使用することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.測定方法
(1)相対粘度
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で、半芳香族ポリアミド(A)の相対粘度を測定した。
(1)相対粘度
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で、半芳香族ポリアミド(A)の相対粘度を測定した。
(2)メルトフローレート
半芳香族ポリアミド(A)のメルトフローレートについては、JIS K7210に従い、350℃、1.2kgf/cm2の荷重下で測定した。
半芳香族ポリアミド樹脂組成物のメルトフローレートについては、JIS K7210に従い、330℃、10kgf/cm2の荷重下で測定した。
いずれも単位はg/10分である。
メルトフローレートの数値が大きいほど成形流動性が優れていることを示し、実用上、半芳香族ポリアミド樹脂組成物のメルトフローレートは、100g/10分以上であることが好ましい。
半芳香族ポリアミド(A)のメルトフローレートについては、JIS K7210に従い、350℃、1.2kgf/cm2の荷重下で測定した。
半芳香族ポリアミド樹脂組成物のメルトフローレートについては、JIS K7210に従い、330℃、10kgf/cm2の荷重下で測定した。
いずれも単位はg/10分である。
メルトフローレートの数値が大きいほど成形流動性が優れていることを示し、実用上、半芳香族ポリアミド樹脂組成物のメルトフローレートは、100g/10分以上であることが好ましい。
(3)曲げ強度
半芳香族ポリアミド樹脂組成物を、ファナック社製射出成形機(S2000i−100B型)を用いて、シリンダー温度(融点+25℃)、金型温度(融点−185℃)、型締力100トン、射出圧力100MPa、射出条件8秒、冷却時間10秒の条件で射出成形し、試験片(ダンベル片)を成形した。
得られた試験片を用いて、ISO178に準拠して曲げ強度を測定した。
曲げ強度の数値が大きいほど機械的強度が優れていることを示す。
半芳香族ポリアミド樹脂組成物を、ファナック社製射出成形機(S2000i−100B型)を用いて、シリンダー温度(融点+25℃)、金型温度(融点−185℃)、型締力100トン、射出圧力100MPa、射出条件8秒、冷却時間10秒の条件で射出成形し、試験片(ダンベル片)を成形した。
得られた試験片を用いて、ISO178に準拠して曲げ強度を測定した。
曲げ強度の数値が大きいほど機械的強度が優れていることを示す。
(4)半田耐熱性
半芳香族ポリアミド樹脂組成物を、ニイガタマシンテクノ社製射出成型機(CND−15)を用いて、シリンダー温度(融点+25℃)、金型温度(融点−185℃)、型締力15トン、射出圧力80MPa、射出時間8秒、冷却時間10秒の条件で射出成形し、試験片(20mm×20mm×0.5mm)を成形した。
得られた試験片を、温度85℃×湿度85%の環境下に168時間静置し、吸湿させた後、290℃の半田浴中に30秒浸漬し、試験片の表面外観のブリスター(膨れ現象)の有無を観察した。外観に全く変化のないものを「可」、外観に変化があったものを「不可」と評価した。
半田耐熱性が「可」の場合、耐熱性が優れていることを示す。
半芳香族ポリアミド樹脂組成物を、ニイガタマシンテクノ社製射出成型機(CND−15)を用いて、シリンダー温度(融点+25℃)、金型温度(融点−185℃)、型締力15トン、射出圧力80MPa、射出時間8秒、冷却時間10秒の条件で射出成形し、試験片(20mm×20mm×0.5mm)を成形した。
得られた試験片を、温度85℃×湿度85%の環境下に168時間静置し、吸湿させた後、290℃の半田浴中に30秒浸漬し、試験片の表面外観のブリスター(膨れ現象)の有無を観察した。外観に全く変化のないものを「可」、外観に変化があったものを「不可」と評価した。
半田耐熱性が「可」の場合、耐熱性が優れていることを示す。
(5)磁気特性(BHmax)
上記(4)に記載された方法で成形した試験片を用いて、電磁石形磁化器と直流磁化特性自動記録装置により、磁化曲線とヒステリシスループを測定し、残留磁束密度、保持力の関係より、最大エネルギー積(BHmax)を求め、磁気特性を評価した。
BHmaxの数値が大きいほど磁気特性が優れていることを示す。
上記(4)に記載された方法で成形した試験片を用いて、電磁石形磁化器と直流磁化特性自動記録装置により、磁化曲線とヒステリシスループを測定し、残留磁束密度、保持力の関係より、最大エネルギー積(BHmax)を求め、磁気特性を評価した。
BHmaxの数値が大きいほど磁気特性が優れていることを示す。
2.原料
(1)半芳香族ポリアミド(A)
・半芳香族ポリアミド(A1)
芳香族ジカルボン酸成分として粉末状のテレフタル酸(TPA)4.70kgと、モノカルボン酸成分としてステアリン酸(STA)0.32kgと、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gとを、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、脂肪族ジアミン成分として100℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)4.98kgを、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=48.5:49.6:1.9(原料モノマーの官能基の当量比率は、TPA:DDA:STA=49.0:50.0:1.0)であった。
その後、得られた反応物を、同じ反応装置で、窒素気流下、250℃、回転数30rpmで8時間加熱して重合し、ストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてペレット状の半芳香族ポリアミド(A1)を得た。
(1)半芳香族ポリアミド(A)
・半芳香族ポリアミド(A1)
芳香族ジカルボン酸成分として粉末状のテレフタル酸(TPA)4.70kgと、モノカルボン酸成分としてステアリン酸(STA)0.32kgと、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gとを、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、脂肪族ジアミン成分として100℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)4.98kgを、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=48.5:49.6:1.9(原料モノマーの官能基の当量比率は、TPA:DDA:STA=49.0:50.0:1.0)であった。
その後、得られた反応物を、同じ反応装置で、窒素気流下、250℃、回転数30rpmで8時間加熱して重合し、ストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてペレット状の半芳香族ポリアミド(A1)を得た。
・半芳香族ポリアミド(A2)〜(A11)
各成分の種類、含有量を表1に示すように変更した以外は、半芳香族ポリアミド(A1)を作製した際と同様の操作をおこなって、半芳香族ポリアミド(A2)〜(A11)を得た。
各成分の種類、含有量を表1に示すように変更した以外は、半芳香族ポリアミド(A1)を作製した際と同様の操作をおこなって、半芳香族ポリアミド(A2)〜(A11)を得た。
得られた半芳香族ポリアミド(A1)〜(A11)の構成と特性値を表1に示す。
(2)磁性粉末(B)
・B1:ストロンチウムフェライト、平均粒子径1.2μm
・B2:マグネシウム亜鉛フェライト、平均粒子径2.0μm
・B1:ストロンチウムフェライト、平均粒子径1.2μm
・B2:マグネシウム亜鉛フェライト、平均粒子径2.0μm
実施例1
ヘンシェルミキサーを用いて、半芳香族ポリアミド(A1)100質量部とストロンチウムフェライト(B1)400質量部を混合した。得られた混合物を二軸押出機の主供給口に供給し、シリンダー温度320〜340℃の条件で溶融混練をおこない、ストランド状に押出した後、水槽にて冷却固化し、ペレタイザーでカッティングして半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
ヘンシェルミキサーを用いて、半芳香族ポリアミド(A1)100質量部とストロンチウムフェライト(B1)400質量部を混合した。得られた混合物を二軸押出機の主供給口に供給し、シリンダー温度320〜340℃の条件で溶融混練をおこない、ストランド状に押出した後、水槽にて冷却固化し、ペレタイザーでカッティングして半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例2〜14、比較例1〜5
半芳香族ポリアミド(A)や磁性粉末(B)の種類や組成を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
半芳香族ポリアミド(A)や磁性粉末(B)の種類や組成を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって半芳香族ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
得られた半芳香族ポリアミド樹脂組成物の組成や特性値、またその成形体の特性値を表2に示す。
実施例1〜14で得られた半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、分子量が140以上のモノカルボン酸を特定量含有した半芳香族ポリアミドを含有するため、メルトフローレートが高く、成形流動性に優れるものであり、また得られた成形体は、半田耐熱性に優れ、また曲げ強度やBHmaxが大きく、機械的強度や磁気特性に優れるものであった。
実施例4と実施例10〜12とを比較すると、モノカルボン酸成分としてステアリン酸を用いた場合(実施例4)は、カプリル酸、ラウリン酸、ベヘン酸を用いた場合(実施例10〜12)よりも、得られた成形体は、曲げ強度、BHmaxが高いことがわかる。
実施例4と実施例10〜12とを比較すると、モノカルボン酸成分としてステアリン酸を用いた場合(実施例4)は、カプリル酸、ラウリン酸、ベヘン酸を用いた場合(実施例10〜12)よりも、得られた成形体は、曲げ強度、BHmaxが高いことがわかる。
比較例1では、半芳香族ポリアミドにおけるモノカルボン酸成分として、分子量が140未満のモノカルボン酸を用いたため、半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、メルトフローレートが100g/10分未満と低く、成形流動性に劣るものであった。
比較例2では、半芳香族ポリアミドにおける、分子量が140以上のモノカルボン酸の含有量が少なかったため、半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、メルトフローレートが100g/10分未満と低く、成形流動性に劣るものであった。
比較例3では、分子量が140以上のモノカルボン酸の含有量が多かったため、得られた成形体は、曲げ強度が低いものであった。
比較例4では、磁性粉末の配合量が少なかったため、得られた成形体は、BHmaxが低いものであり、また曲げ強度が低く、半田耐熱性が劣るものであった。
比較例5では、磁性粉末の配合量が多かったため、半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、メルトフローレートが100g/10分未満と低く、成形流動性に劣るものであった。
比較例2では、半芳香族ポリアミドにおける、分子量が140以上のモノカルボン酸の含有量が少なかったため、半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、メルトフローレートが100g/10分未満と低く、成形流動性に劣るものであった。
比較例3では、分子量が140以上のモノカルボン酸の含有量が多かったため、得られた成形体は、曲げ強度が低いものであった。
比較例4では、磁性粉末の配合量が少なかったため、得られた成形体は、BHmaxが低いものであり、また曲げ強度が低く、半田耐熱性が劣るものであった。
比較例5では、磁性粉末の配合量が多かったため、半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、メルトフローレートが100g/10分未満と低く、成形流動性に劣るものであった。
Claims (6)
- 半芳香族ポリアミド(A)100質量部と、磁性粉末(B)50〜2000質量部とを含有する半芳香族ポリアミド樹脂組成物であり、
半芳香族ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジアミン成分およびモノカルボン酸成分を含有し、
半芳香族ポリアミド(A)の融点が300℃以上であり、
半芳香族ポリアミド(A)が、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、またモノカルボン酸成分として分子量が140以上のモノカルボン酸を含有し、
半芳香族ポリアミド(A)における、分子量が140以上のモノカルボン酸の含有量が、1〜8質量%であることを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂組成物。 - 分子量が140以上のモノカルボン酸が、脂肪族モノカルボン酸であることを特徴とする請求項1記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
- 脂肪族モノカルボン酸がステアリン酸であることを特徴とする請求項2記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
- 半芳香族ポリアミド(A)が、脂肪族ジアミン成分として1,10−デカンジアミンを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
- 半芳香族ポリアミド(A)が、モノカルボン酸成分が安息香酸である以外は同一の組成である半芳香族ポリアミドよりも、350℃、1.2kgf/cm2の荷重の条件下でのメルトフローレートが5g/10分以上高い半芳香族ポリアミドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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-
2013
- 2013-10-08 JP JP2013210631A patent/JP2014101494A/ja active Pending
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