JP2005162080A - トーションビーム式サスペンション - Google Patents

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Abstract

【課題】 ロール剛性を不足させることなくトーションビームの耐久性を向上させる。
【解決手段】 トーションビーム4における中空断面の湾曲部7を挟んだ両側で、内面が互いに対向する壁同士、つまり開き断面の内方壁8及び外方壁9をスポット溶接等で局部的に固定する。さらに、固定部10を除き、内面が互いに対向する内方壁8と外方壁9とを離間させ、中空内部の断面積を大きくする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、トーションビームによって左右のコントロールアームが結合されたトーションビーム式サスペンションに関するものである。
従来、略U字型の中空断面を有するトーションビームは、車体のロールによって捩れたときに、断面形状の変化が大きい部位に応力が集中し易いので、このトーションビームの耐久性を向上させるために、中空断面における略U字型の曲げ頂点にエンボスを設けることを提案したものがある(特許文献1参照)。
米国特許 第6145271号明細書
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、トーションビームの耐久性を向上させるためにエンボスを設けているが、中空断面における略U字型の曲げ頂点にエンボス加工を施すと、中空内部の断面積を十分に確保することができないため、ロール剛性が不足する虞があるという未解決の課題がある。
こうしたロール剛性の不足を解消するために、トーションビームの肉厚を上げることが考えられるが、肉厚を上げてしまうと重量が増加してしまうという問題が新たに生じる。
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、ロール剛性を不足させることなくトーションビームの耐久性を向上させることができるトーションビーム式サスペンションを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係るトーションビーム式サスペンションは、トーションビームにおける中空断面の湾曲部を挟んだ両側で、内面が互いに対向する壁同士を局部的に固定することを特徴としている。
本発明に係るトーションビーム式サスペンションによれば、トーションビームにおける中空断面の湾曲部を挟んだ両側で、内面が互いに対向する壁同士を局部的に固定するように構成されているので、このトーションビームが車体のロールで捩じられるときに、内面で互いに対向する壁同士の相対変位が抑制されることによって、応力の集中を緩和して耐久性を向上させることができる。これにより、中空断面における湾曲部にエンボスを設ける必要がなくなり、湾曲部の内面を互いに離間させることができ、断面積を多くとることができるので、ロール剛性が不足することを回避できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す前輪駆動車におけるリヤサスペンションの概略構成図である。リヤホイールの動きをコントロールするコントロールアームとしての左右のトレーリングアーム1は、夫々、前端部がブッシュ2を介して車体へ揺動可能に連結され、後端部がショックアブソーバ3と図示しないアクスルとに連結されている。これら左右のトレーリングアーム1を結合するトーションビーム4は、トレーリングアーム1における前端部と後端部との中央に設けられており、所謂カップルドビーム式の構造になっている。
また、コイルスプリング5の下部を保持するスプリングシート6は、トレーリングアーム1の左右方向、つまり車幅方向の内側に配設されており、その一部がトーションビーム4に担持されている。ここで、コイルスプリング5を、ショックアブソーバ3に挿通せず、更にトレーリングアーム4に対してオフセット配置したのは、低床でフラットな車室空間を確保するためである。因みに、コイルスプリング5は、密着高さが低く座巻径を小さくできる樽型に形成されている。
そして、トーションビーム4は、図2に示すように、薄鋼管で構成されており、車幅方向中央部の捩じり剛性を適度に低くするために、A−A断面が下開きの略U字型となるように形成されている。つまり、トーションビーム4の軸直方向の断面形状において、湾曲部7(屈曲部ともいう)が車両上方側に設けられた構造となっている。
また、車幅方向中央部から端部にかけて、中空内部の断面積が変化している断面変化部(B−B断面を含む部分)では、トーションビーム4が捩じれたときに応力が集中し易い。そこで断面変化部、ここではB−B断面の部分に、略U字型の曲げ頂点である湾曲部7を挟んだ両側に、内面が互いに対向する壁同士、つまり開き断面の内方壁8と、開き断面の外方壁9とをスポット溶接で固定した固定部10が形成されている。これにより、車体のロールでトーションビーム4が捩じられるときに、内方壁8と外方壁9との相対変位が抑制されるので、応力の集中を緩和して耐久性を向上させることができる。
一方で、固定部10には高い応力が発生するので、図3に示すように、2つの固定部10を設け、この2つの固定部10を結ぶ直線と、トーションビーム4が捩じられたときに応力が作用する方向とが直交するように、固定部10を設けることで、夫々の固定部10の応力を緩和することができる。
また、中空内部の断面積が小さくなるほどロール剛性が低下してしまうので、固定部10の部位を除いて、内面が互いに対向する内方壁8と外方壁9とを離間させ、中空内部の断面積を大きく広くとることによって十分なロール剛性を確保する。
さらに、固定部10には、図4に示すように、内方壁8と外方壁9とを貫通する貫通孔11を穿設し、この貫通孔11に、ブレーキホースやパーキングブレーキホース等を保持可能なクリップ12を挿通固定する。このように、スポット溶接によって内方壁8と外方壁9とが密着した部分に貫通孔11を穿設すれば、中空内部の気密性を維持することで防錆効果が得られると共に、他部品を保持するクリップ12やインシュロック等を容易に取付けることができる。
また、固定部10と、この固定部10に設ける貫通孔11とは、図5に示すように、バーリングカシメ13で代替してもよい。このバーリングカシメ13は、次の手順に従って成形される。先ず、図6(a)に示すように、小径部及び大径部で構成されたパンチ14と、パンチ14の大径部及び小径部に夫々対向するダイ15a、15bとを用いて、外方壁9に大径、内方壁8に小径の穴抜きを行う(ピアシング加工)。次に、図6(b)に示すように、内方壁8の小径穴を外方壁9側に押し広げて円筒状の突起を形成し(バーリング加工)、そして外方壁9の大径穴に挿通された突起と、大径穴の開口縁部とをプレスによって圧着する(カシメ加工)。
このバーリングカシメ13には、スポット溶接による固定部10と同様に、高い応力が発生するので、図7に示すように、圧着による固定範囲を広げその長手方向が、トーションビーム4が捩じられたときに応力が作用する方向と直交するように、バーリングカシメ13を設けることによって応力の緩和を図ることができる。
また、図2のトーションビーム4の車幅方向両端部におけるC−C断面では、下端部を略扁平に圧潰することによって、車幅方向の中央部と端部の高低差dを小さくしている。これにより、車幅方向中央から端部にかけて、中空内部の断面積が大きく変化することを抑制できるので、応力の集中を緩和して耐久性を向上させることができ、且つトーションビーム4の高さを低くすることができるので、ラゲッジフロアの低床化を実現することができる。さらには、図8に示すように、略三角形(おむすび形)に形成することもできる。具体的には、ガソリンタンク16の後方下部スペースに応じてトーションビーム4の前面を略扁平に変形させたり、スプリングシート6の前方下部スペースに応じてトーションビーム4の後面を略扁平に変形させたりすれば、トーションビーム4やスプリングシート6をより前方に配置することができるので、さらに広い荷室空間の確保が可能となる。
以上より、上記一実施形態によれば、略U字型に湾曲した中空断面を有するトーションビーム4は、中空断面の湾曲部7を挟んだ両側で、内面が互いに対向する内方壁8と外方壁9とが局部的に固定されているので、車体のロールで捩じられるときに、内方壁8と外方壁9との相対変位が抑制されることによって、応力の集中を緩和して耐久性を向上させることができる。したがって、従来例のように中空断面の湾曲部7にエンボスを設ける必要がない。このため、トーションビーム4は、固定部10を除き、内面が互いに対向する内方壁8と外方壁9とが離間するように構成できるので、中空内部の断面積を大きくして十分なロール剛性を得ることができる。これにより、ロール剛性の不足を解消するためにトーションビーム4の肉厚を上げて、重量が増加してしまうという問題も生じない。
さらに、一方の端部側に設けられた2つの固定部10は、その2つの固定部10を結ぶ直線と、車体のロールで捩れたときに応力が作用する方向とが直交するように形成されるので、夫々の固定部10に発生する応力を効果的に緩和してその耐久性を向上させることができる。
さらに、固定部10をバーリングカシメ13で代替する場合には、バーリングカシメ13による固定範囲を広げ、その長手方向が、車体のロールで捩じれたときに応力が作用する方向と直交するように形成すれば、バーリングカシメ13に発生する応力を効果的に緩和してその耐久性を向上させることができる。
さらにまた、固定部10に、固定された内方壁8と外方壁9とを貫通する貫通孔11を穿設すれば、他部品を保持するクリップ12やインシュロック等を容易に取付けることができる。
なお、上記一実施形態では、トーションビーム4における略U字型の中空断面が下開きである場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前開きや後開きに設定してもよい。
また、上記一実施形態では、本発明を、トレーリングアーム1の中央をトーションビーム4で結合したカップルドビーム式の構造に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、トレーリングアーム1の後端部をトーションビーム4で結合するアクスルビーム式の構造や、トレーリングアーム1の前端部をトーションビーム4で結合するピボットビーム式の構造に本発明を適用してもよい。
本発明を適用したリヤサスペンションの概略構成図である。 トーションビーム4の詳細図である。 固定部10を複数設けたトーションビーム4の斜視図である。 貫通孔11の利用方法を示した説明図である。 バーリングカシメ13の断面図である。 バーリングカシメ13の成形工程を示した説明図である。 バーリングカシメ13の圧着範囲を広げたトーションビーム4の斜視図である。 側面からみたトーションビーム4の配置図である。
符号の説明
1 トレーリングアーム
4 トーションビーム
7 湾曲部
8 内方壁
9 外方壁
10 固定部
11 貫通孔
12 クリップ
13 バーリングカシメ

Claims (5)

  1. 湾曲した中空断面を有するトーションビームによって、左右のコントロールアームが結合されたトーションビーム式サスペンションにおいて、
    前記トーションビームは、前記中空断面の湾曲部を挟んだ両側で、内面が互いに対向する壁同士を局部的に固定した固定部を有することを特徴とするトーションビーム式サスペンション。
  2. 前記トーションビームは、前記固定部を除き、内面が互いに対向する壁同士が離間するように構成されることを特徴とする請求項1記載のトーションビーム式サスペンション。
  3. 前記固定部は、少なくとも2つ設けられ、該2つの固定部を結ぶ直線と、前記トーションビームが車体のロールで捩れたときに応力が作用する方向とが直交するように、前記固定部を配設することを特徴とする請求項1又は2に記載のトーションビーム式サスペンション。
  4. 前記トーションビームは、前記固定部における固定範囲の長手方向が、車体のロールで捩じれたときに応力が作用する方向と直交するように、当該固定部が配設されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のトーションビーム式サスペンション。
  5. 前記固定部には、当該固定部で固定された壁同士を貫通する貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のトーションビーム式サスペンション。
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