JP5406559B2 - 構造部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車のサスペンションアーム等に用いて好適な構造部材及びその製造方法に関する。
近年、CO2削減等の市場要求から、自動車業界では車両の軽量化が求められ、従来鉄製であったサスペンションアーム等の車両部品は、アルミニウム化(以下、アルミ化)或いはマグネシウム化(以下、マグネ化)による軽量化が進められている。これらの軽合金は、材料費は鉄に比べて高価であるが、押し出しにより中空状の粗材が低コストで製造できる。したがって、安価で軽量なアルミ或いはマグネ部材の製造方法として、中空の押出し材を溶接レスで成形する方法は、車両部品を形成するのに最も優れた方法の一つと考えられる。
ここで、例えば自動車においては、マルチリンク式、ダブルウィッシュボーン式等といったサスペンション方式がある。このような方式におけるサスペンションアームは、ショックアブソーバのコイルスプリングを受ける部分(座面)に該コイルスプリングの径(端部)よりも大きい幅広領域が必要になるのに対して、両端における車体やナックルとの取り付け部は、締結されるブッシュのサイズに合わせて小さく形成することが必要とされる場合がある。
中空の押出し材で、上記のようなサスペンションアームを形成する場合、ブッシュ部を別体で形成し溶接する方法や両端の取り付け部を縮管する方法、又はコイルスプリングの座面を拡管する方法が考えられる。
しかし、溶接する方法では、コストがかかるとともに、アルミの場合、溶融熱による歪みや材料強度の低下の問題が生じてしまう。また、拡管する方法では、減肉を伴うため、高強度を要求されるコイルスプリングの座面の強度を確保できない場合がある。
したがって、中空の押出し材で、上記のようなサスペンションアームを形成する場合は、両端を縮管する方法が好ましい。縮管する方法としては、プレスで両側面から直接潰す方法や、縮管させる部分の短手方向中央部を、長手方向に沿ってスリット状にプレスで打ち抜く或いは切削する等して、その後に両側面から潰す方法が考えられる。また、特許文献1には、サスペンションアームのナックル側端部を縮管する際、断面視閉空間を形成する上下面の板厚を両側面の板厚よりも薄肉にして、両側方から潰す方法が記載されている。
国際公開第01/32979号パンフレット
上述したような、プレスで両側面から潰して端部を縮管する方法は、変形位置が安定せず精度を保つことが困難である。サスペンションアームのブッシュ取り付け部は、高い寸法精度が要求されるため、この方法では、係る要求を満たすことが難しい。
一方、特許文献1に記載の技術では、断面視閉空間を形成する上下面の板厚を両側面の板厚よりも薄肉にすることで、変形点を上下面の中央部に制御し、所望の形状に成形できるようにしている。だが、特許文献1に記載の技術では、サスペンションアームにおける上下面の強度が不足し、アーム長手方向を軸心とした曲げ方向の力(ねじり方向の力)、コイルスプリングからの上下方向の力に耐え得る強度を十分に確保できない場合があった。
そこで、十分な強度を確保しつつ、ブッシュ取り付け部の精度を安定させるには、縮管する部分(典型的には上下面)の短手方向中央部を、長手方向に沿ってスリット状にプレスで打ち抜く或いは切削する等して、その後に両側面から押圧する方法が最適と考えられる。しかしながら、この方法では、押圧して突き合わせた部分が直線状であるため、サスペンションアームにねじり方向の力が生じた場合、突合わせ部分が互いに上下に摺動してしまう等して、ねじりに対する強度が弱く、また突合わせ部分に摩耗が生じてしまうといった問題があった。
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、例えばサスペンションアームのような、少なくとも一端側が縮管されることを要求される構造部材において、軽量で、縮管される部位において一定の寸法精度を得ることができ、また製造が容易でありながら、ねじり等に対する強度を十分に確保できるようにすることを目的とする。
本発明の構造部材は、角管状部材の長手方向の少なくとも一端側において、上面及び下面、又は、対向する両側壁に、端部から長手方向に沿って切欠きが形成され、該切欠きによって形成された空隙を埋めるように押圧されることで、縮管される構造部材であって、前記切欠きにおいて、前記上面及び下面、又は、前記両側壁の短手方向で対向する凹凸形状が形成され、該凹凸形状が互いにしまり嵌め或いは嵌着された状態で、前記切欠きによって形成された前記空隙が埋められ、前記切欠きは、前記凹凸形状を形成された部位以外は、両側方が長手方向に沿って平坦に形成されており、前記凹凸形状の凸部及び凹部が円弧状であり、前記切欠きの前記平坦に形成された部位を基準とした前記凸部の高さをHa、前記凹部の深さHbとし、前記凸部の半径をRa、前記凹部の半径をRbとした場合、前記対向する前記凸部及び前記凹部の対の間には、
1≦Ra/Rb<1.2、かつ、0.8<Ha/Hb<1.1、の関係が成り立つことを特徴とする。
本発明によれば、例えばサスペンションアームのような少なくとも一端側が縮管されることを要求される構造部材において、軽量、縮管される部位において一定の寸法精度を得る、及び製造が容易という効果を得ながら、ねじりに対する剛性を十分に確保でき、更にはねじりに起因した摩耗も抑えることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る自動車用サスペンションアームを構造部材としたサスペンション装置を模式的に示した図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームの斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームの基本的な製造方法を説明するための図であり、ロアアームを形成するための粗材に切欠き等を形成した状態を示した図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームの基本的な製造方法を説明するための図であり、ロアアームを形成するための粗材一端側の短手方向(図3に示すA−A断面)における断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームの基本的な製造方法を説明するための図であり、ロアアームを形成するための粗材を両側方からプレスした様子を示した図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームを形成するための粗材に凹凸形状部を有する切欠きを形成した状態を示した図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームを形成するための粗材の略中央部位の短手方向(図6に示すB−B断面)における断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームを形成するための粗材の切欠きを形成した部位の短手方向(図6に示すC−C断面)における断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームを形成するための粗材の切欠きにおける凹凸形状部を示した図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームを形成するための粗材を両側方からプレスした様子を示した図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームを形成するための粗材を両側方からプレスした際の断面(図10に示すD−D断面)の断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームの縮管部の先端側の側壁に、ブッシュを取り付けるための挿通穴を形成した状態を示した図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームの縮管部の先端側の側壁に、外筒を挿入した後、拡管かしめを施した際の断面(図12に示すE−E断面)を示した断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームの変形例を示した図である。 本発明の第1の実施の形態に係るロアアームの変形例を示した図である。 本発明の実施の形態に係るロアアームについての実験に用いる各種パラメータを説明するための図である。 本発明の実施の形態に係るロアアームについての実験の実験結果を示した図である。 本発明の第2の実施の形態に係るロアアームについて示す図であり、凹凸形状部において隣り合う凸部或いは凹部の形状を異ならせたものを示した図である。
以下、図面を用いて、本発明の好適な実施の形態を説明する。
<第1の実施の形態>
(サスペンション装置について)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る自動車用サスペンションアームを構造部材としたサスペンション装置を模式的に示した図である。
本実施の形態において、図1に示すサスペンション装置1は、所謂マルチサスペンション方式で構成されている。すなわち、タイヤ2及びタイヤ2を取り付けたホイール3からなる車輪がナックル4に回転自在に支持され、ナックル4が車体の骨格をなす車体構造部材5に複数のリンクにより揺動可能に支持される。複数のリンクには、車両下側でナックル4と車体構造部材5とを連結する自動車用サスペンションアームとしてのロアアーム10、車両上側でナックル4と車体構造部材5とを連結するアッパーアーム6、更に、図示しない複数のリンク部材が含まれる。
車体構造部材5は車幅両方向に延出しており、左右一対のロアアーム10は、車体構造部材5に沿うようにして配設される。そして、ロアアーム10は、その一端が車体構造部材5の車幅方向の中央近傍で揺動可能に支持され、他端がナックル4と連結する。ロアアーム10の車体構造部材5側の端部には、ブッシュ11が一体的に取り付けられており、ロアアーム10は、ブッシュ11を介して、車体構造部材5に揺動可能に支持される。また、ロアアーム10のナックル4側の端部には、挿通穴12が形成されており、ロアアーム10は、挿通穴12を介して、ナックル4にボルト等により固定される。ここでロアアーム10の車体構造部材5側は、ブッシュ11の取付、及び、車体構造部材5の連結スペースの制約から、ナックル4側に比べて幅狭に形成される。
また、車体構造部材5とロアアーム10との間には、ショックアブソーバのコイルスプリング7が上下方向(斜めに配置されることもある)に沿って装架される。これにより、車輪が路面から受ける入力が車体に伝達されることを緩和し、車体の安定性、乗り心地を良好なものとするように構成されている。ここでロアアーム10は、その長手方向の中腹部分で、コイルスプリング7を受けることになるため、この部位については、車体構造部材5側に比べて幅広に形成される。
(サスペンション装置におけるロアアームについて)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る自動車用サスペンションアームとしてのロアアーム10の斜視図である。本実施の形態においてロアアーム10は、アルミニウム合金を押し出しにより角管状にした押出し材(角管状部材)から形成される。以下、図2を用いてロアアーム10の構成について説明する。
先ず、ナックル4との連結側では、上面及び下面に、端部から長手方向に沿ってスリット状の切欠きが形成され、上面及び下面を結合する両側壁に、挿通穴12が形成される。この挿通穴12によりロアアーム10がナックル4と連結するのは上述した通りである。
次に、ロアアーム10の長手方向の略中央には、コイルスプリング7の一端を受けるためのコイルスプリング支持部13が設けられる。コイルスプリング支持部13は、コイルスプリング7を固定するのに十分な領域、及び、コイルスプリング7の反力に対する強度を要求されるため、短手方向で幅広となっており、また、その閉断面の面積が剛性十分となるように大断面となるように設定されている。
一方、ロアアーム10の車体構造部材5との連結側では、コイルスプリング支持部13付近に比べて、幅狭に形成される。以下、この幅狭部分を縮管部14と呼ぶ。ロアアーム10においてこのような縮管部14を形成するのは、車体構造部材5と締結されるブッシュ11のサイズに合わせる等の車体構成上の配置スペースの制約により小断面が求められることや、軽量化を求められること等によるものである。なお、ブッシュ11によりロアアーム10が車体構造部材5と連結するのは上述した通りである。
ロアアーム10の車体構造部材5側に縮管部14を形成して幅狭とする方法としては、先ずロアアーム10の上面及び下面に、端部から長手方向に沿ってスリット状の切欠き15を形成する。その後、切欠き15によって形成された空隙を埋めるように、ロアアーム10を両側方からプレス(押圧)して塑性変形させ、切欠き15によって形成されたロアアーム10の幅方向における縁を突き合わせて一部閉断面とすることで行う。
ここで、本実施の形態に係るロアアーム10では、切欠き15の幅方向における縁(以下、切欠き縁部16、と呼ぶ)に、幅方向(短手方向)で対向する複数の凹部及び凸部を有する凹凸形状部17が形成される。凹凸形状部17は切欠き15と一体に形成されるものであり、両側方からプレスされて突き合わされた際、図2に示すように互いにしばり嵌め或いは嵌着するものである。これにより、ロアアーム10では、切欠き15によって形成された上面及び下面における切欠き縁部16の上下方向への摺動が抑制され、ねじり方向の力に対する強度が向上することになる。
また、縮管部14の先端側の側壁には、ブッシュ11が取り付けられる。より詳しくは、縮管部14の先端側の両側壁には、挿通穴18(図12)が形成され、これを挿通するように車体側連結部であるブッシュ11が取り付けられる。挿通穴18において、ブッシュ11の周りには、挿通穴18に嵌挿される外筒19、外筒19内においてブッシュ11を保持或いは固定するためのゴム材20が配置されている。外筒19は、拡管かしめを施されて挿通穴18を介して内側に力を与えるように固定されており、これにより切欠き15によって形成された切欠き縁部16を強固に結合させるようにしている。また、ゴム材20は、外筒19とブッシュ11との間を充填するようにして圧入等されており、ブッシュ11を挿通穴18の略中央に取り付け保持する。
以上のように本実施の形態に係るロアアーム10では、凹凸形状部17の形成や外筒19に角管かしめを施す等により、ねじり対する強度を向上させている。以下では、本実施の形態に係るロアアーム10の製造方法について説明する。
(サスペンション装置におけるロアアームの製造方法について)
ロアアーム10の製造方法について説明する。上述したように、ロアアーム10は、アルミニウム合金を押し出しにより角管状にした押出し材(以下、粗材と呼ぶ)から形成される。ロアアーム10は、粗材の状態から、曲げ加工、切断加工、穴あけ加工、プレス或いは切削加工等の工程を経て製造される。
先ず、ロアアーム10の製造についての概要を説明する。図3は、ロアアーム10を形成するための粗材30に切欠き等を形成した状態を示した図である。図3に示す粗材30は、上面及び下面と2つの側壁とが一体結合した角管状部材となっている。
最初に、長細状の粗材30の長手方向の一端側の上面及び下面に、端部から長手方向に沿ってスリット状の切欠き31を形成する。切欠き31は、この工程の後に形成される縮管部32が一定の寸法精度を満たすようにするために形成するものである。
図4は、粗材30の上記一端側の短手方向(図3に示すA−A断面)における断面図である。図4にも参照されるように、粗材30は、断面視矩形の角管状であり、端部から長手方向(紙面直交方向)に沿ってスリット状の切欠き31が形成されていることがわかる。なお、粗材30は、厳密に断面視矩形でなくても構わず、例えば角がやや丸みを帯びているようなものでも構わない。
次に、図5は、切欠き31を形成された粗材30を両側方からプレスした様子を示した図である。すなわち、切欠き31によって分断された粗材30の上面及び下面を両側方からプレス(図5、矢印)して、閉断面を形成することで小断面の縮管部32が形成される。このようにして、切欠き31を形成して両側方からプレスした場合、一定の寸法精度を満たす縮管部32を形成できる。
ここで、図5のようにして、図3に示した状態からそのままプレスして、切欠き31を埋めるように図中に示す閉断面の縮管部32を形成した場合は、一定の寸法精度を満たすように縮管部32を形成できるが、切欠き31によって形成された、幅方向で対向する切欠き縁部33が直線状に押し付けられる。そのため、ねじり方向の力等を受けた場合に、切欠き縁部33の上下動が抑制されない。
そこで、本実施の形態に係るロアアーム10においては、幅方向で対向する切欠き縁部の両側面を強固に結合するように凹凸形状部17を形成するようにしている。以下、本実施の形態に係るロアアーム10の製造方法の詳細を説明する。
図6は、ロアアーム10を形成するための粗材60に凹凸形状部17を有する切欠き15を形成した状態を示した図である。
本実施の形態では、先ず、図6に示すように、切欠き15を形成するのと同時に、凹凸形状部17を形成する。ここで、切欠き15及び凹凸形状部17は、プレスによる打ち抜きにより同時に形成されるが、これに代えて切削加工により形成しても構わない。また、上述した切欠き15及び凹凸形状部17の形成の先又は後に、或いは並行して、ナックル4との連結側における上面及び下面に、端部から長手方向に沿ってスリット状の切欠きを形成し、上面及び下面を結合する両側壁に、ナックル4との連結のための挿通穴12を形成する。なお、挿通穴12はナックル4との連結部分である、
ここで、図7は、粗材60の長手方向略中央部の短手方向(図6に示すB−B断面)における断面図であり、図8は、粗材60の切欠き15を形成した側の短手方向(図6に示すC−C断面)における断面図である。切欠き15及び凹凸形状部17の形成後は、図7に示すように、粗材60の切欠き15を形成していない部位では、断面視矩形の閉断面となり、一方、図8に示すように、切欠き15を形成した部位では、断面視で開断面となる。なお、以下の説明では、粗材60における上面を上面横リブ10A、下面を下面横リブ10B、紙面左側の側壁を側壁10C、紙面右側の側壁を側壁10Dとして説明する。
また、図9は、切欠き15における凹凸形状部17を示した図である。図9に示すように本実施の形態では、凹凸形状部17は、切欠き15の長手方向開口側において、波状、すなわち、円弧状の凸部及び円弧状の凹部が互い違いに連なって並ぶように形成され、かつ、上面横リブ10A及び下面横リブ10Bの幅方向(短手方向)において凸部と凹部とが対向するように形成される。換言すれば、円弧状の凸部及び円弧状の凹部が切欠き15によって形成される上面横リブ10A及び下面横リブ10Bの切欠き縁部16に付設されるようにして対向するように形成される。また、本実施の形態では、幅方向において対向する凸部及び凹部が互い違いに4対連続して形成される形状となっている。以下、図9に示すように、開口側から順に凸部17A1,17B1,17C1,17D1とし、凹部17A2,17B2,17C2,17D2とする。
更に、本実施の形態では、凹凸形状部17に含まれる、対向する凸部の高さと凹部の深さ、及び、凸部の半径と凹部の半径がそれぞれ、所定の寸法条件を満たすように形成される。なお、凸部の高さ、凹部の深さの基準は、突き合された際に直線状となる切欠き縁部16の平坦な面、換言すれば、切欠き15の両側方の長手方向に沿った平坦な面である。ここで、凸部及び凹部の寸法条件とは、後工程において、凸部及び凹部がしばり嵌め或いは嵌着(すなわち、圧入)して強固に結合するための条件である。以下では、図9にも示すように、凸部17A1,17B1,17C1,17D1の高さをHa、凹部17A2,17B2,17C2,17D2の深さをHb、凸部17A1,17B1,17C1,17D1の半径をRa、凹部17A2,17B2,17C2,17D2の半径をRbとする。
そして、本実施の形態では、上記の所定の寸法条件の一例として、対向する凸部の高さと凹部の深さの比を「凸部の高さ(Ha)/凹部の深さ(Hb)=1」とし、対向する凸部と凹部の半径の比を「凸部の半径(Ra)/凹部の半径(Rb)=1.1」とする。
すなわち、凸部17A1,17B1,17C1,17D1、及び、凹部17A2,17B2,17C2,17D2の間にそれぞれ、「凸部の高さ(Ha)/凹部の深さ(Hb)=1」、かつ、「凸部の半径(Ra)/凹部の半径(Rb)=1.1」の関係が成り立つように、凹凸形状部17が形成される。なお、図9では、凹凸形状部17に含まれる凸部の高さと凹部の深さが全て同一、凸部の半径が全て同一、凹部の半径が全て同一としたものを例に挙げているが、対向する凸部及び凹部の対で上記の所定の条件を満たすのであれば、隣り合う凸部及び凹部の形状(大きさ)が異なっても構わない。これについての詳細は後述する。
次に、図10は、粗材60を両側方からプレスした様子を示した図であり、図11は、粗材60を両側方からプレスした際の断面(図10に示すD−D断面)の断面図である。
上述のようにして切欠き15及び凹凸形状部17を形成した後は、幅狭の縮管部14が形成される。縮管部14は、ロアアーム10の両側方、すなわち、ここでは側壁10C側及び側壁10D側からプレス、すなわち押圧して、側壁10C及び側壁10Dを塑性変形させ、切欠き15によって形成された上面横リブ10A及び下面横リブ10Bの切欠き縁部16を突き合わせることで形成される。
ここで、本実施の形態では、切欠き15によって形成された空隙を埋めるように、切欠き縁部16を突き合わせる際、その一部には対向する複数の凸部及び凹部を含む凹凸形状部17が形成されているため、これらがしばり嵌め或いは嵌着するようにプレス(押圧)する。これにより、対向する凸部及び凹部が強固に結合するため、切欠き縁部16における上下動が抑制されることになる。なお、図11に示すように、切欠き15の形成された部位を両側方からプレスされた後は、粗材60の車体構造部材5側は閉断面となる。
また、図10には、切欠き縁部16における突合せ部分の長手方向の長さLと、凹凸形状部17の長手方向の長さTを示した。なお、切欠き縁部16における突合せ部分とは、凹凸形状部17の凸部及び凹部がしばり嵌め或いは嵌着する部分と直線線上に突き合わされる部分を含む領域を言うものとする。切欠き縁部16の突合せ部分と凹凸形状部17との関係においては、切欠き縁部16の突合せ部分に対して凹凸形状部17が少ない、或いは長手方向において短い場合には、結合が不十分となる。一方、切欠き縁部16の突合せ部分において直線線上に突き合わされる部分が全くない場合には、突き合わせの精度が不満足となり得る関係がある。したがって、本願発明者は鋭利研究の結果、強固な結合が得られ、かつ、精度良く突合せが可能な範囲として、「0.5<T/L<0.95」が最適であることを実験を通して見出した。そのため本実施の形態に係るロアアーム10では、T/Lの関係が上記範囲内となるよう、切欠き15及び凹凸形状部17を形成するとともに、プレスをしている。
また、図11には、ロアアーム10の上面横リブ10Aの肉厚t(なお、下面横リブ10Bも同様に肉厚tである)を示した。上述では、凹凸形状部17における凸部及び凹部の半径の寸法条件(比率)を説明したが、本実施の形態では、これらの実際の寸法は、肉厚tとの関係で最適なものを選択して決めるようにしている。例えば、肉厚tに対して凸部及び凹部の半径が小さすぎる又は大きすぎる場合には、強固な結合が得られない場合や、嵌め合いの精度が低下してしまうからである。このような点に鑑みて、本願発明者は鋭利研究の結果、強固な結合が得られ、かつ、精度良く突合せが可能な範囲として、「t/2<凸部の半径(Ra)<2t」が最適であることを実験を通して見出した。そのため本実施の形態に係るロアアーム10では、凸部の半径が上記範囲内となるよう、切欠き15及び凹凸形状部17を形成するとともに、プレスをしている。
次に、図12は、縮管部14の先端側の側壁10C,10Dに、ブッシュ11を取り付けるための挿通穴18を形成した状態を示した図である。プレスより縮管部14を形成した後は、挿通穴18が形成される。挿通穴18は切削加工等で形成され、側壁10Cと10Dとで同一径とされる。
挿通穴18には、ブッシュ11が挿入される。ブッシュ11は、ブッシュよりも周径の大きい外筒19内にゴム材20を介して保持される。ブッシュ11を挿通穴18に挿入する際は、ブッシュ11、外筒19及びゴム材20が組み付けられて一体となったユニットの状態で挿入する。外筒19の外径は、挿通穴18の内径と略同一であり、挿入された際はゆるめの略嵌合状態となる。そして外筒19は挿入された後、その両端側を外側に少なくとも部分的に拡管され、挿通穴18と密に接する。すなわち、外筒19は拡管かしめが施される。図13は、外筒19を挿通穴18に挿入した後、拡管かしめを施した際の断面(図12に示すE−E断面)を示した断面図である。図13に示す矢印は、角管かしめの方向を示している。なお、外筒19についての拡管かしめは、円筒両端部の全周に施す必要はなく少なくとも部分的に施されれば良い。
このように外筒19が拡管かしめを施されると、切欠き縁部16における突合せ部分を、側壁10C側及び側壁10D側から押し込む力が生じるため、凹凸形状部17には常時押し付けあう力が生じ、切欠き縁部16が強固に結合することになる。これにより、結果として、切欠き縁部16における上下動が抑制されることになり、ねじりに対する剛性の一層の向上、及び、摩耗の一層の低減がなされている。
以上のようにして、図2に示した、本実施の形態に係るロアアーム10は製造される。なお、切欠き縁部16における上下動を抑制することを目的とし場合には、図14に示すように外筒19のみを挿通穴18に挿入し拡管かしめを施しても良い。また、この場合に、外筒19を車体構造部材5との連結のためのブッシュとして用いても良く、このようにすれば、縮管部14の強固な結合と、ロアアーム10と車体構造部材5との結合を両方同時に得ることができ、部品点数の増加も抑えることができる。また、図15に示すように挿通穴18を小さく形成し(18’)、ボルト、ナット結合して、側壁10C、側壁10Dを挟持しても良く、この場合も縮管部14の強固な結合を達成することができる。
(ロアアームの凹凸形状部の寸法条件について)
以上のようにして、本実施の形態に係るロアアーム10は形成される。次に、以下では、凹凸形状部17の最適な寸法条件についての実験結果を説明する。
上述した実施の形態では、凹凸形状部17における寸法条件の一例として、対向する凸部と凹部の高さの比を「凸部の高さ/凹部の深さ=1」とし、対向する凸部と凹部の半径の比を「凸部の半径/凹部の半径=1.1」としたことを説明した。以下では、この条件と異なる諸条件で上述したロアアーム10を製造し、それについての突合せ試験及びねじり耐久試験を行った結果を示す。
図16は、実験に用いる各種パラメータを説明するための図である。図16において、L1及びL2は凸部の高さ、凹部の深さの基準位置を示す。すなわち、基準位置L1,L2は突き合された際に、直線状となる切欠き縁部16の平坦な面、或いは、切欠き15の両側方の長手方向に沿った平坦な面である。そして、Haは凸部の高さ、hbは凹部の深さ、Raは凸部の半径、Rbは凹部の半径を示す。なお、この実験では、実験ごとに全ての凸部の半径Raを同一とし、全ての凹部の半径Rbも同一となるように形成した。
また、ここでの実験では、ロアアーム10は6000系アルミ押し出し材から形成しており、肉厚は4mmとしている。また、ここでの実験では、突合せ試験としては、対向する凸部及び凹部がしまり嵌め或いは嵌着できるかどうかを検証し、ねじり耐久試験としては、ロアアーム10にねじり角10度となるねじり方向の力を10万回与えた際に摩耗が生じるかどうかを検証した。
図17は、実験結果を示した図である。図17に示すように、本実験では、凸部の高さHa、凹部の深さHb、凸部の半径Ra、凹部の半径Rbの条件を12種とした(試験No1〜12)。そして、図17において、突合せ試験でしまり嵌め或いは嵌着できた場合は「OK」、できなかった場合は「NG」と示している。また、ねじり耐久試験で摩耗が生じなかった場合は「OK」を示し、摩耗が生じた場合は「摩耗発生」と示している。
図17を参照すると、試験No5,6,12において凸部及び凹部がしまり嵌め或いは嵌着(以下、しまり嵌め等)できなかった。この結果からは、試験No5,6から凹部の半径が凸部の半径に比べて小さすぎるとしまり嵌め等ができないことがわかった。一方、試験No4及び試験No7〜12の結果と、寸法公差等の加工精度も併せて考えると、対となる凸部及び凹部の半径の比率として「Ra/Rb<1.2」が最適と判断できた。また、凹部の半径が凸部の半径よりも大きい場合は当然にしまり嵌め等はできないが、試験No1の結果からは、これらの半径が同一であっても、しまり嵌め等できることがわかり、ここから、「1≦Ra/Rb」でも良いことがわかった。
また、試験No12から、凸部の高さが凹部の深さよりも高さ過ぎると、しまり嵌め等ができないことがわかり、試験No11の結果と、寸法公差等の加工精度も併せて考えると、対となる凸部及び凹部の高さの比は、「Ha/Hb<1.1」とすることが最適と判断できた。
また、摩耗発生の試験では、試験No9において摩耗が発生したことを確認できた。この結果では、対となる凸部及び凹部の高さの比が「Ha/Hb=0.75」であり、凸部が凹部にしまり嵌め等できたとしても隙間が大きいときには摩耗が発生してしまうことが確認できた。一方で、試験No8では、「Ha/Hb=0.8」であり隙間がある程度あるが摩耗は発生しなかった。しかし、「Ha/Hb=0.8」では目視でも隙間があることが明確であるところ、下限として、対となる凸部及び凹部の高さの比として、「0.8<Ha/Hb」とすることが最適と判断できた。
以上の実験結果から、幅方向において対向する凸部及び凹部の寸法条件として、「1≦Ra/Rb<1.2」、かつ、「0.8<Ha/Hb<1.1」、となる関係が最適と判断できた。また、当該範囲内にあるロアアームについては、全てに関して摩耗の発生が確認できなかったため、切欠き縁部16の突合せ部分に凹凸形状部17の凸部及び凹部を形成し、しまり嵌めあるいは嵌着することでの、剛性向上及び摩耗抑制の効果(耐久性)を十分に確認することができた。
以上、本発明の第1の実施の形態を説明した。すなわち、自動車用のサスペンションアームとして使用される本実施の形態に係るロアアーム10では、縮管部14を、角管状部材の上面及び下面に端部から長手方向に沿ってスリット状の切欠き15を形成し、両側方からプレスして塑性変形させて、切欠き15によって形成された空隙を埋めるようにして切欠き縁部16の幅方向の両側面を突き合わせることで形成されている。換言すれば、縮管部14は、切欠き15によって分断された上面及び下面を、両側方からプレスして閉断面を形成するよう縮管されて形成されている。
このようにして縮管部14を形成すると、変形点を上面及び下面の中央部に制御でき、上面及び下面が平坦で、両側壁も変形なく略平行した閉断面を形成でき、幅狭の所望の形状を得ることができるとともに、ブッシュ11取付等に必要な一定の寸法精度も得ることができる。ここで、ロアアーム10の略中央、特にコイルスプリング支持部13付近では、当初の板厚で領域及び断面積が確保されているため、コイルスプリング7から受ける力に対する剛性も保持される。なお、アルミニウム合金の角管状押し出材から形成されているため、製造が容易であり、また軽量で市場要求を満たすことは言うまでもない。
そして、本実施の形態に係るロアアーム10では、切欠き15によって形成されたロアアーム10の切欠き15において、幅方向(短手方向)において複数の凹部と凸部が対向する凹凸形状部17を形成し、両側方からプレスして突き合わさせた際、これらが互いにしばり嵌め或いは嵌着した状態となるようにしている。
サスペンションアームにおいては、車両走行時にねじり方向の力を受けるが、ここで切欠き15によって形成された切欠き縁部16を突き合わせたのみでは、切欠き縁部16が上下に摺動してしまい、ねじりに対する強度を十分に確保できず、更には摩耗が発生してしまうことがある。
これに対して、本実施の形態に係るロアアーム10では、切欠き15において形成した凹凸形状部17がしばり嵌め或いは嵌着するため、溶接レスでありながら強固に結合する。そのため、本実施の形態に係るロアアーム10は、溶接レスで所望の寸法条件を満たしつつ軽量でありながら、ねじりに対する剛性が強く強度を確保でき、切欠き縁部16の上下動を抑制して摩耗の発生も生じさせないようにすることができる。
更に本実施の形態に係るロアアーム10では、縮管部14の両側壁において挿通穴18を形成し、これに外筒19を拡管かしめを施して固定するようにしている。これにより、切欠き15によって形成された切欠き縁部16の両側面が一層強固に結合することになり、ねじりに対する剛性を一層向上させるとともに、摩耗の発生を確実に生じさせないようにすることができる。
また、本実施の形態に係るロアアーム10について、鋭利研究のもと、凹凸形状部17における最適な寸法条件を見出すことができた。すなわち、幅方向において対向する対の凸部及び凹部の寸法条件として、凸部の半径(Ra)、凹部の半径(Rb)、凸部の高さ(Ha)、凹部の深さ(Hb)とした場合に、「1≦Ra/Rb<1.2」、かつ、「0.8<Ha/Hb<1.1」という範囲で凸部及び凹部を形成することで、凸部及び凹部をより強固に結合でき、かつ摩耗も発生しないようにすることができることがわかった。
また、本実施の形態に係るロアアーム10では、凹凸形状部17における凸部及び凹部が車幅方向において4対対向する形状を説明したが、このような凸部及び凹部の対は、この数に限定されるものではない。凸部が凹部に圧入されて上下動が抑制されるものであるから、例え凸部及び凹部の対が1つであって、強度の向上及び摩耗の低減の効果は得ることができる。しかし、3対以上を形成した場合には、凸部及び凹部は、隣接する凸部及び凹部に対してロアアーム10の長手方向における締め付け力を作用させる。したがって、3対以上の凸部及び凹部の対を形成した場合には、より強度の向上及び摩耗の低減の効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係るロアアーム10では、車体構造部材5との連結側のみに縮管部14を形成したが、設計条件によってはナックル4側も同様に縮管させても良い。また、本実施の形態に係るロアアーム10では、上面横リブ10A及び下面横リブ10Bに切欠き15を形成して縮管したが、対向する側壁10C及び側壁10Dに対して切欠きを形成して縮管するようにしても構わない。
また、本実施の形態では、凹凸形状部17は、切欠き15の長手方向開口側において、波状、すなわち、円弧状の凸部及び円弧状の凹部が互い違いに連なって並ぶように形成され、かつ、幅方向において凸部と凹部とが対向するように形成されるとした。しかし、凹凸形状部17は、凸部を凹部に圧入して上下動を抑制するものであるから、波状以外の形状としても構わない。すなわち、プレスした際に、強固に結合して閉断面を形成できるのであれば、台形状等であっても構わない。
また、本実施の形態では、本発明に係る構造部材を、マルチリンク方式のサスペンション装置におけるロアアーム10として説明したが、サスペンション装置の方式が異なっても構わない。すなわち、例えばダブルウィッシュボーン方式等であっても、本発明に係る構造部材をロアアームとして好適に用いることができる。ダブルウィッシュボーン方式において、ロアアームがコイルスプリングを支持する態様は一般的なものである。
また、本実施の形態では、ロアアーム10をアルミニウム合金を用いて製造したが、マグネシウム合金を用いても、軽量で、所望の寸法条件を満たしつつ軽量で、溶接レスで所望の寸法条件を満たしつつ軽量で、剛性の高いロアアームを得ることができる。また、本実施の形態では、サスペンション装置1で用いるロアアーム10を本発明に係る構造部材として説明したが、本発明はこれに限定されることなく、広い分野において用いることができる。例えば、棒状の部材として、軽量化を要求され、かつ、一部に幅狭の部分が要求されるのであれば、各種車両、ロボット、建造物及び建造物中に設けられる機械構造物等において用いることができ、応用分野は広範である。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図18は、本実施の形態に係るロアアームの凹凸形状部において、隣り合う凸部或いは凹部の形状を異ならせたものを示した図である。
図1の図16,17等を用いて説明した実験では、幅方向において対向する凸部及び凹部が所定の寸法条件を満たせば、これらが強固に結合し、かつ摩耗が生じないことが分かった。この結果から、対向する一対の凸部及び凹部は、この対ごとに、所定の寸法条件を満たせば、強固に結合し、かつ摩耗が生じないことになる。そこで、本実施の形態では、寸法条件を、「1≦Ra/Rb<1.2」、かつ、「0.8<Ha/Hb<1.1」を満たす範囲で、対向する対の凸部及び凹部の形状を対ごとに異ならせるようにした。なお、パラメータに関しては第1の実施の形態と同様である。
1 サスペンション装置、2 タイヤ、3 ホイール、4 ナックル、5 車体構造部材、6 アッパーアーム、7 コイルスプリング、10 ロアアーム、10A 上面横リブ、10B 下面横リブ、10C,10D 側壁、11 ブッシュ、12 挿通穴、13 コイルスプリング支持部、14 縮管部、15 切欠き、16 切欠き縁部、17 凹凸形状部、18 挿通穴、19 外筒、20 ゴム材。

Claims (10)

  1. 角管状部材の長手方向の少なくとも一端側において、上面及び下面、又は、対向する両側壁に、端部から長手方向に沿って切欠きが形成され、該切欠きによって形成された空隙を埋めるように押圧されることで、縮管される構造部材であって、
    前記切欠きにおいて、前記上面及び下面、又は、前記両側壁の短手方向で対向する凹凸形状が形成され、該凹凸形状が互いにしまり嵌め或いは嵌着された状態で、前記切欠きによって形成された前記空隙が埋められ
    前記切欠きは、前記凹凸形状を形成された部位以外は、両側方が長手方向に沿って平坦に形成されており、前記凹凸形状の凸部及び凹部が円弧状であり、
    前記切欠きの前記平坦に形成された部位を基準とした前記凸部の高さをHa、前記凹部の深さHbとし、
    前記凸部の半径をRa、前記凹部の半径をRbとした場合、
    前記対向する前記凸部及び前記凹部の対の間には、
    1≦Ra/Rb<1.2、かつ、0.8<Ha/Hb<1.1、の関係が成り立つことを特徴とする構造部材。
  2. 角管状部材の長手方向の少なくとも一端側において、上面及び下面、又は、対向する両側壁に、端部から長手方向に沿って切欠きが形成され、該切欠きによって形成された空隙を埋めるように押圧されることで、縮管される構造部材であって、
    前記切欠きにおいて、前記上面及び下面、又は、前記両側壁の短手方向で対向する凹凸形状が形成され、該凹凸形状が互いにしまり嵌め或いは嵌着された状態で、前記切欠きによって形成された前記空隙が埋められ、
    前記切欠きが形成されない、前記上面及び下面、又は、前記両側壁において挿通穴が形成され、前記挿通穴に連結部材が設けられており、
    前記連結部材は円筒状部材であり、この円筒状部材は、前記挿通穴に挿入され、その両端部に少なくとも部分的にかしめが施されることで、前記挿通穴に固定され、
    前記連結部材は、前記切欠きが形成された前記上面及び下面、又は、前記両側壁の短手方向中心に向けて締め付け力を与えることを特徴とする構造部材。
  3. 前記円筒状部材の内側に保持されるブッシュが設けられることを特徴とする請求項に記載の構造部材。
  4. 前記角管状部材は、アルミニウム合金製押出し材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造部材。
  5. 当該構造部材は、自動車用サスペンション装置におけるサスペンションアームであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造部材。
  6. 前記凹凸形状は、前記上面及び下面、又は、前記両側壁の短手方向で対向する凸部及び凹部の対が複数並んだ形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造部材。
  7. 前記対向する凸部及び凹部の対が互い違いに複数連なって並ぶことを特徴とする請求項に記載の構造部材。
  8. 前記互い違いに複数連なって並ぶ前記対向する凸部及び凹部の対を、少なくとも3対以上としたことを特徴とする請求項に記載の構造部材。
  9. 角管状部材の長手方向の少なくとも一端側において、上面及び下面、又は、両側壁に、端部から長手方向に沿って切欠きを形成する際に、該切欠きにおいて、前記上面及び下面、又は、前記両側壁の短手方向で対向する凹凸形状を形成する工程と、
    前記切欠きによって形成された空隙が埋まり、かつ、前記凹凸形状が互いにしまり嵌め或いは嵌着するように、前記角管状部材を押圧する工程とを有し、
    前記凹凸形状の凸部及び凹部が円弧状であるときに、
    前記切欠きの前記平坦に形成された部位を基準とした前記凸部の高さをHa、前記凹部の深さHbとし、
    前記凸部の半径をRa、前記凹部の半径をRbとした場合、
    前記対向する前記凸部及び前記凹部の対の間には、
    1≦Ra/Rb<1.2、かつ、0.8<Ha/Hb<1.1、の関係が成り立ち、
    少なくとも一端側が縮管された構造部材を得ることを特徴とする構造部材の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の構造部材を、サスペンションアームとして備えることを特徴とする自動車。
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