JP2005161946A - 操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 レーンキープ制御とスタビリティ制御の両立を図り、過剰アシストやアシスト不足を防止する。
【解決手段】 推定走行路形状に沿って走行するための第1操舵アシスト量と、車両の走行安定性を向上させるための第2操舵アシスト量とを演算し、これらを比較してそれぞれの配分を決定し、配分結果に基づいてアクチュエータを駆動制御することとした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、レーンキープ(車線維持)制御とスタビリティ(走行安定)制御の両立を可能とする操舵制御装置の技術分野に属する。
レーンキープを目的として操舵アシストトルクを制御するものとしては、CCDカメラ等を用いて撮像した進行方向前方の画像から、走行路を規定する白線を検出し、この白線に沿うように操舵アシストトルクを制御する車両用操舵制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、スタビリティを目的として操舵アシストトルクを制御するものとしては、横風等の外乱による車両挙動変化を打ち消すように操舵アシストトルクを制御する車両用ステアリング制御装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−10518号公報 特開平5−77751号公報
しかしながら、レーンキープ制御とスタビリティ制御はトレードオフの関係にあり、両制御を同時に実施した場合、例えば、両者の制御が同じ方向へ操舵アシストするときには、操舵アシストトルクが過剰となるおそれがある。逆に、両者の制御が逆方向へ操舵アシストするときには、お互いの操舵アシストトルクが打ち消し合い、どちらの制御も不十分なものとなってしまうおそれがある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、レーンキープ制御とスタビリティ制御の両立を図り、過剰アシストやアシスト不足を防止する操舵制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、推定走行路形状に沿って走行するための第1操舵アシスト量と、車両の走行安定性を向上させるための第2操舵アシスト量とを演算し、これらを比較してそれぞれの配分を決定し、配分結果に基づいてアクチュエータを駆動制御することとした。
よって、本発明では、レーンキープによる操舵アシストとスタビリティ制御による操舵アシストとの操舵アシスト量の配分を設定し、この配分に基づいて操舵アシスト制御を実施するため、過剰アシストやアシスト不足を防止できる。
以下、本発明の実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の操舵制御装置を適用した車両のシステムブロック図である。
実施例1の操舵制御装置は、ステアリングホイール1と、ステアリングシャフト2と、ステアリングギア機構3と、パワーステアリング機構5と、DCブラシレスモータ(アクチュエータ)6と、操舵輪7と、コントロールユニット10と、トルクセンサ12と、車速センサ13と、CCDカメラ(カメラ)14とを備えている。
パワーステアリング機構5は、モータ6の回転をステアリングシャフト2に設けられた減速機構に伝達する。運転者がステアリングホイール1を操作すると、操作方向に応じてモータ6の回転方向が切り換えられ、運転者の操舵力を補助する操舵アシストトルクを出力する。
ステアリングシャフト2には、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ12が設けられている。
コントロールユニット10には、トルクセンサ12からの操舵トルク信号、車速センサ13からの車速信号、カメラ14からの撮像画像等が入力される。コントロールユニット10は、これらの入力に基づいて、モータ6およびスピーカ8へ指令信号を出力する。
車速センサ13は、自車の車速を検出する。カメラ(走行路検出手段およびサンプルデータ取り込み手段)14は、3点以上の前方注視点における道路中心基準の横変位をサンプルデータとして取り込む。
図2は、コントロールユニット10の構成を示す制御ブロック図である。
状態推定手段(走行路形状推定手段)10aは、サンプルデータに基づいて、撮像時点における自車状態推定を行う。ここで、車両状態とは、道路曲率、横変位およびヨー角の3諸量を示す。
操舵介入度判定手段10bは、運転者の操舵介入度を判定する。操舵介入度は、操舵トルク、操舵トルク速度、操舵速度、操舵角、前回指令値、方向指示器作動信号などの検出値に基づいて判定される。
相対ヨーレイト算出手段(車両挙動変化検出手段)10cは、車速により相対ヨーレイトを推定する。ここで、相対ヨーレイトとは、カメラ14の撮像画像に基づいて推定された白線に対する車両のヨーレイトをいう。
HSトルク算出手段(第2アシスト量演算手段)10dは、相対ヨーレイトと操舵介入度判定結果に基づいて、車両の走行安定性を向上させるような操舵トルク指令値(第2操舵アシスト量に相当)THSを算出する。
予測変位算出手段10eは、車速、状態推定値に基づいて、T秒後の車両予測変位を演算する。
LKSトルク算出手段(第1アシスト量演算手段)10fは、予測変位と操舵介入度判定結果に基づいて、車線維持を達成するような操舵トルク指令値(第1操舵アシスト量に相当)TLKを算出する。
車線逸脱警報制御手段10gは、予測変位演算結果に基づいて、車線逸脱のおそれがある際にはスピーカ8から車線逸脱警報を発生させ、運転者に復帰を促す。
アシストトルク配分手段(操舵アシスト量分配制御手段)10hは、2つの操舵トルク指令値THS,TLK、車両状態推定値および車両予測変位に基づいて、最終アシストトルクTFを算出する。
駆動制御手段10jは、最終アシストトルクTFに基づいて、モータ6を駆動する。
次に、作用を説明する。
[操舵アシストトルク設定制御処理]
図3は、コントロールユニット10で実行される操舵アシストトルク設定制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、2つの操舵トルク指令値TLK,THS等の諸量を入力し、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、TLK・THSの符号判断を行う。TLK・THSが同符号の場合には、ステップS3へ移行する。TLK・THSが異符号の場合には、ステップS4へ移行する。TLK・THSがゼロの場合には、ステップS10へ移行する。
ステップS3では、TLKとTHSの絶対値比較を行う。TLKの絶対値がTHSの絶対値よりも小さい場合には、ステップS8へ移行する。TLKの絶対値がTHSの絶対値よりも大きい場合には、ステップS9へ移行する。
ステップS4では、TLK・THS間の絶対値比較を行う。TLK>>THS、またはその逆の場合はステップS10へ移行する。それ以外の場合にはステップS5へ移行する。
ステップS5では、車線中央からの横変位y0の絶対値が閾値よりも大きいかどうかを判定する。横変位y0の絶対値が閾値よりも大きい場合にはステップS11へ移行し、閾値以下である場合にはステップS6へ移行する。
ステップS6では、予測変化wstの絶対値が閾値よりも大きいかどうかを判定する。予測変化wstの絶対値が閾値よりも大きい場合にはステップS11へ移行し、閾値以下である場合にはステップS7へ移行する。
ステップS7では、道路曲率ρの絶対値が閾値よりも大きいかどうかを判定する。道路曲率ρの絶対値が閾値よりも大きい場合にはステップS13へ移行し、閾値以下である場合にはステップS12へ移行する。
ステップS8では、TF=HSとし、ステップS14へ移行する。
ステップS9では、TF=TLKとし、ステップS14へ移行する。
ステップS10では、TF=TLK+THSとし、ステップS14へ移行する。
ステップS11では、TF=TLKとし、ステップS14へ移行する。
ステップS12では、TF=HSとし、ステップS14へ移行する。
ステップS13では、TF=TLK+THSとし、ステップS14へ移行する。ここで、最終アシストトルクTFが道路曲率ρと逆方向になる場合には、リミット処理によりTF=0とする。
ステップS14では、TFにリミッタ処理を行い、本制御を終了する。
[操舵アシストトルク設定制御作用]
TLKとTHSが同一方向である場合には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進み、ステップS3において、TLKとTHSの絶対値が比較される。ステップS3において、THSがTLKよりも大きい場合には、ステップS8へと進み、TF=THSとされる。一方、TLKがTHSよりも大きい場合には、ステップS9へと進み、TF=TLKとされる。すなわち、TLKとTHSが同一方向である場合には、値の大きい方を最終アシストトルクTFに設定するため、過剰アシストやアシスト不足を防止できる。
TLKとTHSの少なくとも一方がゼロの場合には、ステップS1→ステップS2→ステップS10へと進む流れとなり、ステップS10において、TLKとTHSの和が最終アシストトルクTFに設定される。
TLKとTHSが反対方向、かつ、TLK>>THSまたはTLK<<THSの場合には、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS10へと進む流れとなり、TLKとTHSの和が最終アシストトルクTFに設定される。
TLKとTHSが反対方向、かつ両者の絶対値が所定範囲内の場合には、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5へと進む。次に、ステップS5において、横変位y0が閾値よりも大きい場合には、ステップS11へと進み、TLKが最終アシストトルクTFに設定される。すなわち、車線逸脱の可能性が高い場合には、車線維持が優先される。
ステップS5において、横変位y0が閾値以下である場合には、ステップS6へと進む。ステップS6において、予測変化wstが閾値よりも大きい場合には、ステップS11へと進み、TLKが最終アシストトルクTFに設定される。すなわち、車線逸脱の可能性が高い、または逸脱回避運動中である場合には、車線維持が優先される。
ステップS6において、予測変化wstが閾値以下である場合には、ステップS7へと進む。ステップS7において、道路曲率ρの絶対値が閾値よりも大きい場合には、ステップS13へと進み、TLKとTHSの和が最終アシストトルクに設定される。
ここで、道路曲率ρの絶対値が閾値よりも大きい場合、車線維持のために道路曲率ρに沿った操舵アシストトルクが必要となる。閾値を超える道路曲率ρがある場合は、ほとんどの場合においてTLKは曲率方向であり、これと逆方向のTHSが優先されると、運転者に違和感を与えることがあるため、TFが曲率と逆方向となる場合には、TF=0とする。
ステップS7において、道路曲率ρの絶対値が閾値以下である場合には、ステップS12へと進み、THSが最終アシストトルクTFに設定される。すなわち、車線逸脱の可能性が低い場合には、車両の走行安定性向上が優先される。
図4に、各車両状態における制御優先度を示す。
図4(a)は、車両が走行路の中央付近を走行しているケースである。このとき、横変位y0、予測変位wstおよび道路曲率ρは小さな値となるため、最終アシストトルクTFには、車両の走行安定性を向上させるような操舵トルク指令値THSが設定される。すなわち、車線逸脱の危険性が低い場合には、スタビリティ制御を優先し、車両の走行安定性を向上させることができる。
図4(b)は、車両が走行路のほぼ中央から端へ移動しようとするケースである。このとき、予測変位wstは大きな値となるため、最終アシストトルクTFには、車線維持を達成するような操舵トルク指令値TLKが設定される。すなわち、車線逸脱の可能性が高い場合には、レーンキープ制御を優先することで、車線逸脱を回避できる。
図4(c)は、車両が走行路の端付近を走行しているケースである。このとき、横変位y0は大きな値となるため、最終アシストトルクTFには、車線維持を達成するような操舵トルク指令値TLKが設定される。すなわち、車線逸脱の可能性が高いため、レーンキープ制御を優先することで、車線逸脱を回避できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実現する最良の形態を、実施例1に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、操舵介入度判定手段10bでは、最終的に操舵介入度が判断できれば、必要検出手段等は特に制約されない。また、同じデータを用いてLKSトルク算出手段10f,HSトルク算出手段10dで異なる判断を行ってもよい。
相対ヨーレイト算出手段10cでは、カメラ14の撮像画像を用いて相対ヨーレイトを推定しているが、ヨーレイトセンサや加速度センサを用いてもよいし、操舵角情報から推定してもよい。
TFに対するTLKとTHSの配分比率は、0:100または100:0であってもよいし、40:60のように設定してもよい。また、車幅方向における走行位置や、外乱の影響度等に応じて、徐々に配分比率を変化させてもよい。さらに、TFに運転者による操舵操作量を考慮した値を加えてもよい。
TLKとTHSの符号と大きさ以外のパラメータに基づいて、TLKとTHSとを比較してもよい。
走行路の形状は、走行路の曲率を推定してもよいし、走行路の旋回半径を推定してもよい。
さらに、上記実施例1から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに説明する。
(イ) 請求項1に記載の操舵制御装置において、
前記第1操舵アシスト量演算手段と第2操舵アシスト量演算手段は、前記アクチュエータに付与する操舵アシストトルクを演算し、
前記操舵アシスト量分配決定手段は、第1操舵アシスト量演算手段の演算する操舵アシストトルクと、第2操舵アシスト量演算手段の演算する操舵アシストトルクとを比較し、それぞれの操舵アシスト量の分配を決定することを特徴とする操舵制御装置。
これにより、両者を同じパラメータで比較でき、簡便な制御が可能となる。
(ロ) 請求項1または請求項2に記載の操舵制御装置において、
前記操舵アシスト量配分決定手段は、車両が走行路の中央付近を走行しているとき、第1操舵アシスト量の配分よりも第2操舵アシスト量の配分を大きくし、車両が走行路の端付近を走行しているとき、第2操舵アシスト量の配分よりも第1操舵アシスト量の配分を大きくすることを特徴とする操舵制御装置。
走行路の中央付近を走行中の場合には、レーンキープによる操舵アシストの必要性は低く、端付近を走行中の場合には、その必要性が高い。この必要性に合わせて操舵アシスト量の配分を決定することにより、より適切な操舵アシスト制御を実施できる。
(ハ) 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
前記操舵アシスト量配分決定手段は、外乱による車両挙動変化があらかじめ設定された閾値以上の場合には、第1操舵アシスト量の配分よりも第2操舵アシスト量の配分を大きくすることを特徴とする操舵制御装置。
過大な外乱が生じた場合、車両の安定性を保つことはレーンキープに対して優先して行われる必要があるため、第2操舵アシスト量の配分を大きくすることにより、車両の安定性を確実に保つことができる。
(ニ) 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の操舵制御装置において、
前記車両挙動変化検出手段を、前記走行路検出手段により検出された画像データからヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段としたことを特徴とする操舵制御装置。
個別にヨーレイトセンサを設けることなく、ヨーレイトを検出できる。また、カーブに沿って走行するときのヨーレイトは、画像データからのみ推定されたヨーレイトには反映されないため、純粋な外乱によるヨーレイトのみを考慮でき、車両の安定性をより確実に保つことができる。
実施例1の操舵制御装置を適用した車両のシステムブロック図である。 コントロールユニット10の構成を示す制御ブロック図である。 コントロールユニット10で実行される操舵アシストトルク設定制御処理の流れを示すフローチャートである。 各車両状態における制御優先度を示す図である。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ステアリングギア機構
5 パワーステアリング機構
6 モータ
7 操舵輪
8 スピーカ
10 コントロールユニット
10a 状態推定手段
10b 操舵介入度判定手段
10c 相対ヨーレイト算出手段
10d HSトルク算出手段
10e 予測変位算出手段
10f LKSトルク算出手段
10g 車線逸脱警報制御手段
10h アシストトルク配分手段
10j 駆動制御手段
12 トルクセンサ
13 車速センサ
14 カメラ

Claims (1)

  1. 車両の操向輪を転舵するアクチュエータを有する操舵制御装置において、
    車両前方の走行路を画像データとして検出する走行路検出手段と、
    この走行路検出手段により検出された画像データから、車両前方の走行路情報をサンプルデータとして取り込むサンプルデータ取り込み手段と、
    このサンプルデータ取り込み手段により取り込まれたサンプルデータに基づき、車両前方の走行路の形状を推定する走行路形状推定手段と、
    この走行路形状推定手段により推定された推定走行路形状に沿って走行するための操舵アシスト量を演算する第1アシスト量演算手段と、
    車両挙動変化を検出する車両挙動変化検出手段と、
    この車両挙動変化検出手段により検出された車両挙動変化に基づいて、車両の走行安定性を向上させるための操舵アシスト量を演算する第2操舵アシスト量演算手段と、
    前記第1操舵アシスト量演算手段により演算された第1操舵アシスト量と、前記第2操舵アシスト量演算手段により演算された第2操舵アシスト量とを比較し、それぞれの操舵アシスト量の配分を決定する操舵アシスト量分配決定手段と、
    この操舵アシスト量分配決定手段により決定された第1操舵アシスト量と第2操舵アシスト量とに基づいて、前記アクチュエータを駆動制御する駆動制御手段と、
    を備えることを特徴とする操舵制御装置。
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