JP2009226981A - 車線逸脱防止装置 - Google Patents

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石津  健
Masaya Kita
雅也 喜多
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Abstract

【課題】車線逸脱防止のために付与する逸脱防止操舵トルクが運転者に違和感を与えてしまうことを防止する。
【解決手段】車線逸脱防止装置は、運転者の操舵トルクの入力方向と逸脱防止操舵トルクの付与方向とが、転舵輪の転舵方向で一致する場合(ステップS3又はステップS8で“Yes”の判定の場合)、該逸脱防止操舵トルクの付与を制限する(ステップS5)。
【選択図】図8

Description

本発明は、車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止する車線逸脱防止装置に関する。
特許文献1には、走行車線から車両が逸脱すると予測した際に、逸脱を防止すべく、その予測値に基づいて、自動的な修正操舵を行う車線逸脱防止装置が開示されている。
特開平7−105498号公報
ところで、特許文献1に開示の技術では、運転者の操舵により車両が旋回している最中に、カーブ外側車線を車両が逸脱すると予測すると、運転者の操舵方向と同一方向に操舵トルク(逸脱防止操舵トルク)を出力することになる。しかし、同車両が転舵輪と機械的に連結された電動ステアリング(ElectricPower Steering、以下、EPSともいう。)装置を有する場合には、EPS装置(EPSコントロール装置)による操舵アシストトルクが急に増えることになり、運転者が路面からの反力を急に感じられなくなり、車線逸脱防止制御が運転者に違和感を与えてしまう。
例えば、ステアリングシャフトに伝達される路面からの反カトルクをTとし、EPS装置が出力する操舵アシストトルクをTとする。このとき、EPS装置のみが作動している場合には、運転者の操舵トルクTは、反カトルクをTから操舵アシストトルクTを減算した値になる(T=T−T、T及びT≧0)。そして、車両がカーブ外側の車線を逸脱し、車線逸脱の防止制御が作動した場合には、カーブ内側へ曲がるように、EPS装置に逸脱防止操舵トルクTLDP(>0)を出力することとなる。しかし、この場合、逸脱防止操舵トルクTLDPと操舵アシストトルクTとが同じ向きになるため、運転者の操舵トルクT´は、反カトルクTから操舵アシストトルクT及び逸脱防止操舵トルクTLDPを減算した値になる(T´=T−T−TLDP)。よって、EPS装置のみが作動している場合の運転者の操舵トルクTよりも、車線逸脱防止制御がさらに作動した場合の運転者の操舵トルクT´が小さくなる(T>T´)。これにより、運転者が、路面からの反力を急に感じられなくなり、車線逸脱防止制御が運転者に違和感を与えてしまう。
本発明の課題は、車線逸脱防止のために車両に付与する逸脱防止操舵トルクが運転者に違和感を与えてしまうことを防止することである。
前記課題を解決するために、本発明は、走行車線に対する車両の逸脱傾向に基づいて、逸脱防止操舵トルクを付与することで、転舵輪を転舵し、走行車線から車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止装置において、前記車両が、ステアリングホイールと転舵輪とが機械的に連結されて、運転者がステアリングホイールに入力する操舵トルクに応じて操舵アシストトルクを発生させるパワーステアリング装置を搭載しており、前記操舵トルクの入力方向と前記逸脱防止操舵トルクの付与方向とが、前記転舵輪の転舵方向で一致する場合、該逸脱防止操舵トルクの付与を制限する。
本発明によれば、操舵トルク、すなわち操舵アシストトルクの入力方向と逸脱防止操舵トルクの付与方向とが、転舵輪の転舵方向で一致する場合、該逸脱防止操舵トルクの付与を制限することで、操舵アシストトルクが発生しているときには、抑制した逸脱防止操舵トルクを付与することにより、車線逸脱防止制御が運転者に違和感を与えてしまうのを防止できる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず第1の実施形態を説明する。
(構成)
第1の実施形態は、本発明に係る車線逸脱防止装置を搭載した車両である。
図1は、車両の構成を示す。図1に示すように、車両は、単眼カメラ1、車速センサ2、操舵トルクセンサ3、方向指示スイッチ4、車線逸脱防止コントローラ20、操舵コントローラ5、操舵トルクアクチュエータ40、エンジンコントローラ6、スロットルアクチュエータ7、ブレーキコントローラ8及びブレーキアクチュエータ9を備える。
単眼カメラ1は、撮像画像を基に走行車線内の自車両の位置を検出する外界認識センサである。単眼カメラ1は、画像処理機能を有しており、自車両位置に関する情報として自車両のヨー角φr、走行車線の車線中心位置からの横変位X、走行車線の車線幅L及び走行車線の曲率ρを検出する。そして、単眼カメラ1は、検出したヨー角φr、横変位X、車線幅L及び走行車線の曲率ρを車線逸脱防止コントローラ20に出力する。
車速センサ2は、車輪回転数を基に、自車速VSPを検出する。車速センサ2は、検出した自車速VSPを車線逸脱防止コントローラ20に出力する。
操舵トルクセンサ3は、コラムシャフト等に設けられ、コラムシャフトの振れ(歪み)より操舵トルクTSを検出する。ここで、操舵トルクセンサ3は、運転者が右転舵(時計回りに転舵)した場合に操舵トルクTSを負値とし、運転者が左転舵(反時計回りに転舵)した場合に操舵トルクTSを正値とする。操舵トルクセンサ3は、検出した操舵トルクTSを車線逸脱防止コントローラ20に出力する。
方向指示スイッチ4は、運転者の右方向指示、左方向指示、方向指示無しを識別する信号を車線逸脱防止コントローラ20に出力する。
操舵コントローラ5は、ECU(Electronic Control Unit)間通信で車線逸脱防止コントローラ20から操舵トルク指令値(車線逸脱防止のために操舵アシストトルクを調整する値)TS_COM及び操舵指令フラグFout_sを得ており、その操舵トルク指令値TS_COM及び操舵指令フラグFout_sを基に、操舵トルクアクチュエータ40の出力トルク(操舵アシストトルクの値そのもの)を制御(調整)する。具体的には、操舵コントローラ5は、操舵指令フラグFout_sがOFFの場合、すなわち逸脱防止のための操舵トルク(逸脱防止操舵トルク)を付与しない場合、操舵トルク指令値TS_COMに従わず(操舵トルク指令値TS_COMを用いることなく)、操舵トルクアクチュエータ40の出力トルクを制御する。この場合、操舵コントローラ5は、運転者の操舵トルクTS及び自車速VSPを基に、操舵トルクアクチュエータ40の出力トルクを制御する。
また、操舵コントローラ5は、操舵指令フラグFout_sがONの場合、すなわち逸脱防止のための操舵トルク(逸脱防止操舵トルク)を付与する場合、操舵トルク指令値TS_COMを基に、操舵トルクアクチュエータ40の出力トルクを制御(調整)する。すなわち、運転者の操舵トルクTS及び自車速VSPを基に、操舵トルクアクチュエータ40の出力トルクを制御するとともに、操舵トルク指令値TS_COMにより該出力トルクを調整する。このように、操舵指令フラグFout_sの状態にかかわらず、運転者の操舵トルクTS及び自車速VSPを基に行う操舵トルクアクチュエータ40の出力トルク(操舵アシストトルク)制御を維持し、操舵指令フラグFout_sがONの場合に、操舵アシストトルクの調整用の操舵トルク指令値TS_COMを基に、該操舵アシストトルクを調整(補正)する。ここで、操舵トルク指令値TS_COMは逸脱防止操舵トルクに相当する。
図2は、パワーステアリング装置の構成を示す。パワーステアリング装置は、ステアリングホイール11と転舵輪12とが操舵軸13及びラック&ピニオン構造14等により機械的に連結されて、操舵トルクアクチュエータ40により、運転者がステアリングホイール11に入力する操舵トルクに応じて操舵アシストトルクを発生させる。図2に示すように、操舵トルクアクチュエータ40は、電動モータ41及び減速機42を備えており、操舵コントローラ5からの指令電流に応じて電動モータ41を駆動させる。そして、操舵トルクアクチュエータ40は、電動モータ41からの出力を減速機42を介して操舵軸13に直接作用させる。これにより、運転者が操舵に必要なトルクを軽減している。
図1に示すエンジンコントローラ6は、ECU間通信で車線逸脱防止コントローラ20から減速指令フラグFout_xgを得ており、その減速指令フラグFout_xgを基に、スロットルアクチュエータ7を制御する。具体的には、エンジンコントローラ6は、減速指令フラグFout_xgがONの場合、スロットルアクチュエータ7にスロットル全閉指令を出力する。また、エンジンコントローラ6は、減速指令フラグFout_xgがOFFの場合、運転者のアクセル開度やエンジン回転数等に応じてスロットルアクチュエータ7を制御(エンジントルク制御)する。
ブレーキコントローラ8は、ECU間通信で車線逸脱防止コントローラ20から減速指令フラグFout_xg及び減速度指令値XG_COM_Bを得ており、その減速指令フラグFout_xg及び減速度指令値XG_COM_Bを基に、ブレーキアクチュエータ9を制御する。なお、減速度指令値XG_COM_Bは、車線逸脱防止のために車両を減速させるための指令値である。具体的には、ブレーキコントローラ8は、減速指令フラグFout_xgがONの場合、減速度指令値XG_COM_Bを基にブレーキ液圧値を算出し、その算出したブレーキ液圧信号をブレーキアクチュエータ9に出力する。また、ブレーキコントローラ8は、減速指令フラグFout_xgがOFFの場合、減速度指令値XG_COM_Bに基づくブレーキアクチュエータ9の制御を行わないようにする。この場合、ブレーキコントローラ8は、運転者が減速操作しているときには、ブレーキアクチュエータ9をその操作に従い制御する。ブレーキアクチュエータ9は、ブレーキ液圧信号に応じて、各輪のブレーキ液圧値を調整(制御)する。
車線逸脱防止コントローラ20は、マイクロコンピュータとその周辺部品により構成され、制御周期(例えば10msec)毎に、単眼カメラ1、車速センサ2、操舵トルクセンサ3及び方向指示スイッチ4からのデータを取り込んで、操舵コントローラ5、エンジンコントローラ6及びブレーキコントローラ8に指令値を出力する。
図3は、車線逸脱防止コントローラ20の構成を示す。図3に示すように、車線逸脱防止コントローラ20は、推定横変位演算部21、逸脱判断しきい値演算部22、車線変更意図判定部23、逸脱判定部24、目標ヨーモーメント演算部25、操舵トルク指令値演算部30、減速度指令値演算部26及び減速度指令値分配部27を備える。車線逸脱防止コントローラ20のこれら各構成部を、例えばマイクロコンピュータのソフトウエア形態により構成している。
推定横変位演算部21は、自車速VSP、ヨー角φr、横変位X及び道路曲率ρが入力されており、これらの値を基に、下記(1)式により推定横変位(逸脱推定値)XSを算出する。
XS=Tt・VSP・(φr+Tt・VSP・ρ)+X ・・・(1)
ここで、Ttは、前方注視距離算出用の車頭時間であり、車頭時間Ttに自車速VSPを乗じると前方注視距離を得ることができる。つまり、将来の推定横変位Xsは、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位の推定値である。推定横変位演算部21は、算出した推定横変位Xsを車線変更意図判定部23及び目標ヨーモーメント演算部25に出力する。
逸脱判定しきい値演算部22は、自車速VSP及び車線幅Lが入力されており、これらのデータを基に、下記(2)式により逸脱判断しきい値XLを算出する。
XL=Kv・(L−H) ・・・(2)
Kvは、自車速VSPを基に設定される係数(比例ゲイン)であり、Hは車両諸元値であり、例えば自車両の車幅である。
図4は、自車速VSPと係数Kvとの関係を示す。図4に示すように、自車速VSPが小さいときには、係数Kvはある一定の小さい値となり、自車速VSPがある値より大きくなると、係数Kvは自車速VSPとともに増加し、自車速VSPがさらに大きくなると、係数Kvはある一定の大きい値となる。このような特性図を基に、自車速VSPに応じて係数Kvを設定する。これにより、自車速VSPが大きくなるほど、逸脱判断しきい値XLは大きくなる。逸脱判定しきい値演算部22は、算出した逸脱判断しきい値XLを、車線変更意図判定部23、逸脱判定部24及び目標ヨーモーメント演算部25に出力する。
車線変更意図判定部23は、方向指示スイッチ4からの信号及び推定横変位XSが入力されており、これらのデータを基に、運転者の意図で車線変更しているか否かを判定する。具体的には、車線変更意図判定部23は、方向指示スイッチ4が操作(右方向への指示操作又は左方向への指示操作)されており、そのときに得た信号が示す方向(指示方向)と逸脱方向(推定横変位XSの符号から得られる逸脱方向)が同じ場合、運転者の意図による車線変更であると判定し、車線変更判断フラグFlcをONに設定する(Flc=ON)。また、車線変更意図判定部23は、方向指示スイッチ4が操作されたときの信号が示す方向と逸脱方向とが異なる場合、又は方向指示スイッチ4が操作されていない場合、運転者の意図による車線変更ではないと判定し、車線変更判断フラグFlcをOFFに設定する(Flc=OFF)。車線変更意図判定部23は、設定した車線変更判断フラグFlcを逸脱判定部24に出力する。
逸脱判定部24は、車線変更判断フラグFlc、推定横変位XS及び逸脱判断しきい値XLが入力されており、これらのデータを基に、逸脱判断フラグFoutを設定する。具体的には、逸脱判定部24は、車線変更判断フラグFlcがONの場合、運転者の意図による車線逸脱(車線変更)であるので、逸脱判断フラグFoutをOFFに設定する(Fout=OFF)。また、逸脱判定部24は、車線変更判断フラグFlcがOFFの場合、推定横変位XS(絶対値)と逸脱判断しきい値XLとを比較している。逸脱判定部24は、この比較の結果を基に、推定横変位XSが逸脱判断しきい値XL以上の場合(|XS|≧XL)、車線逸脱していると判定し、逸脱判断フラグFoutをONに設定し(Fout=ON)、推定横変位XSが逸脱判断しきい値XL未満の場合(|XS|<XL)、車線逸脱していないと判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに設定する(Fout=OFF)。逸脱判定部24は、設定した逸脱判断フラグFoutを目標ヨーモーメント演算部25、減速度指令値演算部26及び操舵トルク指令値演算部30に出力する。
目標ヨーモーメント演算部25は、推定横変位XS、逸脱判断しきい値XL、自車速VSP及び逸脱判断フラグFoutが入力されており、これらのデータを基に、下記(3)式により目標ヨーモーメントMSを算出する。
MS=K1・K2・(|XS|−XL) ・・・(3)
ここで、K1は車両諸元から決まる比例ゲインであり、K2は自車速VSPに応じて変動する比例ゲインである。この(3)式により、(|XS|−XL)が大きくなるほど、目標ヨーモーメントMSは大きくなる。
図5は、自車速VSPと比例ゲインK2との関係を示す。図5に示すように、自車速VSPが小さいときには、比例ゲインK2はある一定の大きい値となり、自車速VSPがある値よりも大きくなると、自車速VSPが増加するのに対して、比例ゲインK2は減少し、自車速VSPがさらに大きくなると、係数K2はある一定の小さい値となる。このような特性図を基に、自車速VSPに応じて比例ゲインK2を設定する。これにより、自車速VSPが大きくなるほど、目標ヨーモーメントMSは小さくなる。
また、逸脱判断フラグFoutを基に、前記(3)式による目標ヨーモーメントMSの算出を実施している。すなわち、前記(3)式による目標ヨーモーメントMSの算出は、逸脱判断フラグFoutがONの場合に行うものであり、逸脱判断フラグFoutがOFFの場合には、目標ヨーモーメントMSを零に設定する(MS=0)。目標ヨーモーメント演算部25は、算出した目標ヨーモーメントMSを操舵トルク指令値演算部30に出力する。
操舵トルク指令値演算部30は、目標ヨーモーメントMSを基に、操舵トルク指令値を算出するように構成されている。
図6は、操舵トルク指令値演算部30の構成を示す。図6に示すように、操舵トルク指令値演算部30は、操舵トルク指令値算出部31、操舵トルク指令値制限要求判定部32、操舵トルク指令値制限処理部33及び操舵指令フラグ設定部34を備えている。
操舵トルク指令値算出部31は、目標ヨーモーメントMSが入力されており、この目標ヨーモーメントMSを基に、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0を算出する。
図7は、目標ヨーモーメントMSと操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0との関係を示す。図7に示すように、目標ヨーモーメントMSが車両を左旋回させるための値(走行路の右側に車両が逸脱をしている場合の値)を示す場合には、目標ヨーモーメントMSとともに、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0を増加させ、目標ヨーモーメントMSがある大きさになったとき、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0を一定値にする。また、目標ヨーモーメントMSが車両を右旋回させるための値(走行路の左側に車両が逸脱をしている場合の値)を示す場合には、目標ヨーモーメントMSとともに(絶対値では増加するとき)、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0を減少させ(絶対値では増加させ)、目標ヨーモーメントMSがある程度小さくなったとき、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0を一定値にする。
操舵トルク指令値算出部31は、このような特性図を基に、目標ヨーモーメントMSに応じた操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0を設定する。操舵トルク指令値算出部31は、算出した操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0を操舵トルク指令値制限処理部33に出力する。
操舵トルク指令値制限要求判定部32は、操舵トルク(運転者による操舵トルク)TSが入力されており、この操舵トルクTSを基に、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitを設定する。具体的には、操舵トルク指令値制限要求判定部32は、操舵トルクTSの絶対値、すなわち、右又は左のうちの何れか一方への操舵トルクTSの絶対値が該操舵トルクTSに対応して設定したしきい値TS_LMTよりも大きく(|TS|>TS_LMT)、すなわち、運転者がある程度の大きさの操舵量をもって操舵をしており、その操舵状態が所定時間連続した場合、車両が右又は左のカーブ旋回中であると判定する。この場合、操舵トルク指令値制限要求判定部32は、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitをONに設定する(Flimit=ON)。また、操舵トルク指令値制限要求判定部32は、操舵トルクTS(絶対値)がしきい値TS_LMT以下の場合(|TS|≦TS_LMT)、車両がカーブ旋回中ではないと判定し、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitをOFFに設定する(Flimit=OFF)。ここで、しきい値TS_LMTは、零よりも大きい定数である。操舵トルク指令値制限要求判定部32は、設定した操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitを操舵トルク指令値制限処理部33に出力する。
操舵トルク指令値制限処理部33は、逸脱判断フラグFout、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimit及び操舵トルクTSが入力されており、それらデータを基に、操舵トルク指令値TS_COMの絶対値上限制限を行う。
図8は、その処理の処理手順を示す。図8に示すように、先ずステップS1において、逸脱判断しきい値FoutがONか否かを判定する。ここで、逸脱判断しきい値FoutがONの場合(Fout=ON)、ステップS2に進み、逸脱判断しきい値FoutがOFFの場合(Fout=OFF)、ステップS6に進む。
ステップS6では、操舵トルク指令値TS_COMを零に設定する(TS_COM=0)。そして、該図8に示す処理を終了する。
ステップS2では、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがONか否か、すなわち車両がカーブ旋回中であるか否かを判定する。ここで、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがONの場合(Flimit=ON)、すなわち車両がカーブ旋回中である場合、ステップS3に進み、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがOFFの場合(Flimit=OFF)、すなわち車両がカーブ旋回中でない場合、ステップS7に進む。
ステップS7では、操舵トルク指令値TS_COMを制限する要求がないとして、操舵トルク指令値TS_COMを、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0に設定する(TS_COM=TS_COM0)。ここで、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0は、操舵トルク指令値算出部31で目標ヨーモーメントMSに応じて設定した値である(前記図7参照)。そして、該図8に示す処理を終了する。
ステップS3では、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに正値か否かを判定する。ここで、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに正値の場合(TS_COM0≧0かつTS≧0)、すなわち、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに左操舵方向の値を示す場合、ステップS4に進み、そうでない場合、例えば、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0や操舵トルクTSが負値の場合、ステップS8に進む。
ステップS4では、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0(正値)が、操舵トルクTS(正値)と定数KSとの乗算値(TS・KS、以下、第1乗算値という。)よりも大きいか否かを判定する。ここで、定数KSは0以上の値(0も含む正値)である。そして、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0が、第1乗算値(TS・KS)よりも大きい場合(TS_COM0>TS・KS)、ステップS5に進み、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0が、第1乗算値(TS・KS)以下の場合(TS_COM0≦TS・KS)、前記ステップS7に進む。
ステップS5では、操舵トルク指令値TS_COMを第1乗算値(TS・KS) に設定する(TS_COM=TS・KS)。そして、該図8に示す処理を終了する。
一方、ステップS8では、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに負値か否かを判定する。ここで、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに負値の場合(TS_COM0<0かつTS<0)、すなわち、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに右操舵方向の値を示す場合、ステップS9に進み、そうでない場合、すなわち、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0や操舵トルクTSが正値の場合、ステップS10に進む。
ステップS9では、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0(負値)が、操舵トルクTS(負値)と定数KSとの乗算値(TS・KS、以下、第2乗算値という。)未満か否かを判定する。ここで、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0が、第2乗算値(TS・KS)未満の場合(TS_COM0<TS・KS)、前記ステップS5に進み、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0が、第2乗算値(TS・KS)以上の場合(TS_COM0≧TS・KS)、ステップS10に進む。
ステップS10では、操舵トルク指令値TS_COMを操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0に設定する(TS_COM=TS_COM0)。そして、該図8に示す処理を終了する。
以上のような処理により、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがONであり(車両がカーブ旋回中であり)、かつ車線逸脱を防止するために車両に付与するトルクとなる操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0が、操舵トルクTSが示す方向と一致する場合において(前記ステップS3又はステップS8で“Yes”の判定の場合)、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0の絶対値が、乗算値(TS・KS)の絶対値よりも大きいときには(前記ステップS4又はステップS9で“Yes”の判定の場合)、操舵トルク指令値TS_COMを該乗算値(TS・KS)に設定する(前記ステップS5)。また、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0の絶対値が、乗算値(TS・KS)の絶対値よりも小さいときには(前記ステップS4又はステップS9で“No”の判定の場合)、操舵トルク指令値TS_COMを操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0に設定する(前記ステップS7又はステップS10)。すなわち、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがONの場合には、操舵トルク指令値TS_COMを、乗算値(TS・KS)を上限値とした値に維持している。言い換えれば、操舵トルクTSに対して所定の関係又は割合(KS)となるような値に、操舵トルク指令値TS_COMを維持している。よって、運転者の操舵トルクTSが大きくなれば、操舵トルク指令値TS_COMもそれに応じて大きくなる。なお、操舵トルク指令値TS_COMを乗算値(TS・KS)に設定する場合に、定数KSが零であれば、操舵トルク指令値TS_COMは零になる(TS_COM=0)。
図9は、操舵トルク指令値TS_COM(絶対値)、乗算値(絶対値のTS・KS)及び操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0の関係を概念的に示す。図9に示すように、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0が乗算値(絶対値のTS・KS)未満となる領域では、操舵トルク指令値TS_COMを、該操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0に設定し、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0が乗算値(絶対値のTS・KS)よりも大きくなる領域では、操舵トルク指令値TS_COMを、該乗算値(TS・KS)に設定する。操舵トルク指令値制限処理部33は、以上のように操舵トルク指令値TS_COMを設定しており、その設定した操舵トルク指令値TS_COMを操舵指令フラグ設定部34に出力する。
操舵指令フラグ設定部34は、操舵トルク指令値TS_COMを基に、操舵指令フラグFout_sを設定する。具体的には、操舵指令フラグ設定部34は、操舵トルク指令値TS_COM(絶対値)が該操舵トルク指令値TS_COMに対応して設定したしきい値TS_COM_TH0と比較する。そして、操舵指令フラグ設定部34は、操舵トルク指令値TS_COM(絶対値)がしきい値TS_COM_TH0よりも大きい場合(|TS_COM|>TS_COM_TH0)、操舵指令フラグFout_sをONに設定する(Fout_s=ON)。また、操舵指令フラグ設定部34は、操舵トルク指令値TS_COM(絶対値)がしきい値TS_COM_TH以下の場合(|TS_COM|≦TS_COM_TH0)、操舵指令フラグFout_sをOFFに設定する(Fout_s=OFF)。ここで、しきい値TS_COM_TH0は、0よりも大きい所定の定数である(TS_COM_TH0>0)。
すなわち、操舵指令フラグ設定部34は、操舵トルク指令値TS_COM(絶対値)がしきい値TS_COM_TH0(>0)に達していない場合には(|TS_COM|≦TS_COM_TH0)、操舵指令フラグFout_sをOFFに設定し、操舵トルク指令値TS_COM(絶対値)がしきい値TS_COM_TH0(>0)を超えている場合には(|TS_COM|>TS_COM_TH0)、操舵指令フラグFout_sをONに設定する(図9参照)。これにより、操舵指令フラグ設定部34は、操舵トルク指令値TS_COMを基に、操舵アシストトルクの調整を開始するタイミングを決定している。
操舵トルク指令値演算部30は、以上のような処理により、操舵トルク指令値TS_COM及び操舵指令フラグFout_sを設定しており、その設定した操舵トルク指令値TS_COM及び操舵指令フラグFout_sを操舵コントローラ5に出力する。
操舵コントローラ5では、前述のように、運転者の操舵トルクTS及び自車速VSPを基に、操舵トルクアクチュエータ40の出力トルク(操舵アシストトルク)を制御する。具体的には、操舵コントローラ5は、操舵指令フラグFout_sがOFFの場合、操舵トルク指令値TS_COMに従わず、運転者の操舵トルクTS及び自車速VSPを基に、操舵トルクアクチュエータ40の出力トルクを制御する。そして、操舵コントローラ5は、操舵指令フラグFout_sがONの場合、そのような出力トルクを、操舵トルク指令値TS_COMを基に調整する。
減速度指令値演算部26は、逸脱判断しきい値Fout、自車速VSP及び道路曲率ρが入力されており、これらのデータを基に、目標減速度XG_COMを算出する。目標減速度XG_COMは、次に説明する目標減速度リミッタ前値XG_COM0にリミッタ処理を施した値になる。具体的には、減速度指令値演算部26は、逸脱判断しきい値FoutがOFFの場合、車両が車線を逸脱していない(車線逸脱を防止する制御が不要である)と判定している場合は、減速制御が不要であると判定し、目標減速度リミッタ前値XG_COM0を零に設定する(XG_COM0=0)。一方、減速度指令値演算部26は、逸脱判断しきい値FoutがONの場合、すなわち車両が車線を逸脱している(車線逸脱を防止する制御が必要である)と判定している場合は、下記(4)式により目標減速度リミッタ前値XG_COM0を算出する。
XG_COM0=Kxg・(VSP−Vrs)/Δt ・・・(4)
ここで、Kxgは、予め設定したゲインであり、△tは予め設定した所定時間であって、自車速VSPと目標旋回速度Vrsとの差を零にするまでにかかる所要時間である。なお、このような目標減速度リミッタ前値XG_COM0の算出方法は、特開2005−170328号公報に開示されている。また、下記(5)式により目標旋回速度Vrsを算出する。
Vrs=√(g・μ/ρ) ・・・(5)
ここで、gは重力加速度であり、μは路面摩擦係数である。なお、このような目標旋回速度Vrsの算出方法は、特開平4−236699号公報に開示されている。例えば、この特開平4−236699号公報に開示されているように、気温、湿度を基に、路面摩擦係数μを算出する。また、ナビゲーションシステムから得られる道路情報、タイヤのスリップ状態を基に路面摩擦係数μを算出することもできる。
以上のようにして、減速度指令値演算部26は、逸脱判断しきい値FoutがOFFの場合には、目標減速度リミッタ前値XG_COM0を零に設定する。一方、減速度指令値演算部26は、逸脱判断しきい値FoutがONの場合には、自車速VSP、道路曲率ρ及び目標旋回速度Vrsを基に、目標減速度リミッタ前値XG_COM0を算出する。そして、減速度指令値演算部26は、そのようにして取得した目標減速度リミッタ前値XG_COM0を基に、目標減速度XG_COMを算出する。具体的には次のように算出する。
減速度指令値演算部26は、目標減速度XG_COMの前回値が目標減速度リミッタ前値XG_COM0以上の場合(XG_COM前回値≧XG_COM0)、目標減速度XG_COM(今回値)を目標減速度リミッタ前値XG_COM0に設定する(XG_COM=XG_COM0)。すなわち、減速度指令値演算部26は、車両の減速度が抑制されるように、目標減速度XG_COMを設定する。一方、減速度指令値演算部26は、目標減速度XG_COMの前回値が目標減速度リミッタ前値XG_COM0未満の場合(XG_COM前回値<XG_COM0)、下記(6)式により目標減速度XG_COM(今回値)を設定する。
XG_COM=XG_COM前回値+MIN(XG_COM0−XG_COM前回値,ΔXG_COM_TH) ・・・(6)
ここで、関数MIN(A,B)は、AとBとのうちの最小値を選択する関数、いわゆるセレクトローを実施する関数である。これにより、前記(6)式の関数MINでは、(XG_COM0−XG_COM前回値)としきい値ΔXG_COM_THとのうちの最小値を選択する。
これにより、減速度指令値演算部26は、目標減速度XG_COMを増加させることで、車両をさらに減速させるが、そのときの目標減速度XG_COMの変化量がしきい値ΔXG_COM_THを超えない範囲で減速度を増加させる。よって、しきい値ΔXG_COM_THは、車両の減速度が急激に変化させないための変化量制限値となる。減速度指令値演算部26は、以上のようにして算出した目標減速度XG_COMを減速度指令値分配部27に出力する。
減速度指令値分配部27は、入力された目標減速度XG_COMを基に、減速指令フラグFout_xg及び減速度指令値XG_COM_Bを算出する。具体的には、減速度指令値分配部27は、減速指令フラグFout_xgの前回値がOFFであり、かつ目標減速度XG_COMが該目標減速度XG_COMに対応して設定したしきい値XG_COM_TH1未満の場合(Fout_xg前回値=OFF、XG_COM<XG_COM_TH1)、減速指令フラグFout_xgをONに設定する(切り換える)とともに、減速度指令値XG_COM_Bを目標減速度XG_COMに設定する(Fout_xg=ON、XG_COM_B=XG_COM)。また、減速度指令値分配部27は、減速指令フラグFout_xgの前回値がOFFであり、かつ目標減速度XG_COMがしきい値XG_COM_TH1以上の場合(Fout_xg前回値=OFF、XG_COM≧XG_COM_TH1)、減速指令フラグFout_xgをOFFに設定(維持)するとともに、減速度指令値XG_COM_Bを零に設定(維持)する(Fout_xg=OFF、XG_COM_B=0)。
一方、減速度指令値分配部27は、減速指令フラグFout_xgの前回値がONであり、かつ目標減速度XG_COMが該目標減速度XG_COMに対応して設定したしきい値XG_COM_TH2よりも大きい場合(Fout_xg前回値=ON、XG_COM>XG_COM_TH2)、減速指令フラグFout_xgをOFFに設定する(切り換える)とともに、減速度指令値XG_COM_Bを零に設定する(Fout_xg=OFF、XG_COM_B=0)。また、減速度指令値分配部27は、減速指令フラグFout_xgの前回値がONであり、かつ目標減速度XG_COMがしきい値XG_COM_TH2以下の場合(Fout_xg前回値=ON、XG_COM≦XG_COM_TH2)、減速指令フラグFout_xgをONに設定(維持)するとともに、減速度指令値XG_COM_Bを目標減速度XG_COMに設定する(Fout_xg=ON、XG_COM_B=XG_COM)。
ここで、しきい値XG_COM_TH1,XG_COM_TH2は、ともに0よりも小さい所定の定数であり、しきい値XG_COM_TH1がしきい値XG_COM_TH2よりも小さい関係になる(XG_COM_TH1<しきい値XG_COM_TH2<0)。
これにより、減速度指令値分配部27は、減速制御の介入及び終了のタイミングを決定している。すなわち、減速度指令値分配部27は、減速指令フラグFout_xgの設定をOFFからONに切り換える条件、すなわち減速制御を介入させる条件を、目標減速度XG_COMがしきい値XG_COM_TH1未満になった場合としている(|XG_COM|>|XG_COM_TH1|)。また、減速度指令値分配部27は、減速指令フラグFout_xgの設定をONからOFFに切り換える条件、すなわち減速制御の介入を終了させる条件を、目標減速度XG_COMがしきい値XG_COM_TH2(>XG_COM_TH1)よりも大きくなった場合としている(|XG_COM|<|XG_COM_TH2|)。これにより、減速度指令値分配部27は、目標減速度XG_COMがしきい値XG_COM_TH1未満になったときに、減速制御を介入させ、目標減速度XG_COMがしきい値XG_COM_TH2よりも大きくなったになったときに、その減速制御の介入を終了させるようにしている。
操舵トルク指令値演算部30は、以上のように減速指令フラグFout_xg及び減速度指令値XG_COM_Bを設定しており、その設定した減速指令フラグFout_xg及び減速度指令値XG_COM_Bをブレーキコントローラ8に出力するとともに、減速指令フラグFout_xgをエンジンコントローラ6に出力する。
エンジンコントローラ6では、前述のように、減速指令フラグFout_xgがONの場合、スロットルアクチュエータ7にスロットル全閉指令を出力し、減速指令フラグFout_xgがOFFの場合、運転者のアクセル開度やエンジン回転数等に応じてスロットルアクチュエータ7を制御(エンジントルク制御)する。また、ブレーキコントローラ8では、前述のように、減速指令フラグFout_xgがONの場合、減速度指令値XG_COM_Bを基にブレーキ液圧値を算出し、その算出したブレーキ液圧信号をブレーキアクチュエータ9に出力しており、減速指令フラグFout_xgがOFFの場合、減速度指令値XG_COM_Bに基づくブレーキアクチュエータ9の制御を行わないようにする。
(動作及び作用)
動作及び作用は次のようになる。
車両走行中、単眼カメラ1が検出したヨー角φr、横変位X、車線幅L及び道路曲率ρ、車速センサ2が検出した自車速VSP、操舵トルクセンサ3が検出した操舵トルクTS、及び方向指示スイッチ4が検出した運転者の右方向指示、左方向指示、方向指示無しを識別する信号が車線逸脱防止コントローラ20に入力される。
車線逸脱防止コントローラ20では、車線逸脱判定により車線逸脱を防止するために必要な目標ヨーモーメントMSを算出するとともに、その算出した目標ヨーモーメントMS及び運転者の操舵トルクTSを基に、操舵トルク指令値を算出する。すなわち、先ず、車線逸脱防止コントローラ20において、推定横変位演算部21が、推定横変位(逸脱推定値)XSを算出し、その一方で、逸脱判定しきい値演算部22が、逸脱判断しきい値XLを算出し、車線変更意図判定部23が、方向指示スイッチ4からの信号及び推定横変位XSを基に、運転者の意図で車線変更しているか否かを判定する(車線変更判断フラグFlcを設定する)。そして、逸脱判定部24が、車線変更判断フラグFlc、推定横変位XS及び逸脱判断しきい値XLを基に、逸脱判断フラグFoutを設定し、目標ヨーモーメント演算部25が、推定横変位XS、逸脱判断しきい値XL、自車速VSP及び逸脱判断フラグFoutを基に、車線逸脱を防止するのに必要となる目標ヨーモーメントMSを算出する。
そして、車線逸脱防止コントローラ20の操舵トルク指令値演算部30において、目標ヨーモーメントMS及び運転者の操舵トルクTSを基に、操舵トルク指令値を算出する。すなわち、操舵トルク指令値算出部31が、目標ヨーモーメントMSを基に、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0を算出し、その一方で、操舵トルク指令値制限要求判定部32が、操舵トルクTSを基に、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitを設定する。そして、操舵トルク指令値制限処理部33が、逸脱判断フラグFout、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimit及び操舵トルクTSを基に、操舵トルク指令値TS_COMの絶対値上限制限を行う。例えば、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがONの場合に、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0の絶対値が、前記乗算値(TS・KS)の絶対値よりも大きいときには、操舵トルク指令値TS_COMを乗算値(TS・KS)に設定し、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0の絶対値が、該乗算値(TS・KS)の絶対値よりも小さいときには、操舵トルク指令値TS_COMを操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0に設定する。すなわち、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがONの場合には、乗算値(TS・KS)を上限値として、操舵トルク指令値TS_COMを設定する。そして、操舵指令フラグ設定部34が、そのように設定した操舵トルク指令値TS_COMを基に、操舵アシストトルクの調整を開始するタイミングを規定する操舵指令フラグFout_sを設定する。一方、減速度指令値演算部26が、逸脱判断しきい値Fout、自車速VSP及び道路曲率ρを基に、目標減速度XG_COMを算出し、減速度指令値分配部27が、その算出した目標減速度XG_COMを基に、減速指令フラグFout_xg及び減速度指令値XG_COM_Bを算出する。
そして、操舵コントローラ5が、操舵指令フラグFout_sがOFFの場合、操舵トルク指令値TS_COMに従わず、運転者の操舵トルクTS及び自車速VSPを基に、操舵トルクアクチュエータ40の出力トルクを制御し、操舵指令フラグFout_sがONの場合には、そのような出力トルクを、操舵トルク指令値TS_COMを基に調整する。具体的には、運転者の操舵トルクTS及び自車速VSPを基に算出した操舵アシストトルクを、調整用の値である操舵トルク指令値TS_COMに応じて増加させる。また、エンジンコントローラ6が、減速指令フラグFout_xgがONの場合、スロットルアクチュエータ7にスロットル全閉指令を出力し、減速指令フラグFout_xgがOFFの場合、運転者のアクセル開度やエンジン回転数等に応じてスロットルアクチュエータ7を制御(エンジントルク制御)する。また、ブレーキコントローラ8が、減速指令フラグFout_xgがONの場合、減速度指令値XG_COM_Bを基にブレーキ液圧値を算出し、その算出したブレーキ液圧信号をブレーキアクチュエータ9に出力し、減速指令フラグFout_xgがOFFの場合、減速度指令値XG_COM_Bに基づくブレーキアクチュエータ9の制御を行わないようにしている。
ここで、図10〜図13を用いて、動作及び作用を説明する。図10に示すように、車両100が、カーブ旋回中に、その外側に車線逸脱している場合を説明する。図11は、図10に示すような走行状態における、従来の車線逸脱防止装置を用いた処理を示し、図12及び図13は、図10に示すような走行状態における、本発明に係る車線逸脱防止装置を用いた処理を示している。図12は、逸脱防止操舵トルクを減少させる場合であり、図13は、逸脱防止操舵トルクを零にする場合である。
図11に示すように、従来の車線逸脱防止装置201は、EPSコントロール装置(EPS C/U)202に対して、カーブ内側へ曲がるように、逸脱防止操舵トルクTLDP(>0)を出力する。この場合、逸脱防止操舵トルクTLDPと操舵アシストトルクTとが同じ向きになるため、運転者の操舵トルクTは、路面からの反カトルクTから操舵アシストトルクT及び逸脱防止操舵トルクTLDPを減算した値になる(T=T−T−TLDP)。この結果、EPS C/UEPSコントロール装置202のみが作動している場合の運転者の操舵トルクよりも小さくなる。これにより、運転者が路面からの反力を急に感じられなくなり、この結果、車線逸脱防止制御が運転者に違和感を与えてしまう。
これに対して、図12に示すように、本発明に係る車線逸脱防止装置(車線逸脱防止コントローラ20)は、EPSコントロール装置(操舵トルク指令値演算部30)に対して逸脱防止操舵トルクTLDP´を出力する。この逸脱防止操舵トルクTLDP´が従来の車線逸脱防止装置が出力する逸脱防止操舵トルクTLDPよりも小さいので(TLDP´<TLDP)、路面から運転者に伝わる反カトルクTが従来のものよりも大きくなり、逸脱防止操舵トルクTLDPが操舵アシストトルクTと同じ向きであっても、運転者が路面からの反力を急に感じられなくなるのを防止できる。
また、図13に示すように、本発明に係る車線逸脱防止装置(車線逸脱防止コントローラ20)は、EPSコントロール装置(操舵トルク指令値演算部30)に対して出力する逸脱防止操舵トルクTLDP´を零とした場合(TLDP´=0)、駆動軸トルク低減要求となる減速度指令値XG_COM_Bをエンジンコントローラ(エンジン C/U)6やブレーキコントローラ(ブレーキ C/U)8に出力する。これにより、運転者が旋回操舵している最中の車線逸脱防止制御により、車両が減速する。
なお、図12及び図13に示す逸脱防止操舵トルクTLDP´は、操舵トルク指令値TS_COMに相当し、同図に示すEPS指令電流は、操舵アシストトルクを制御する値、すなわち、運転者の操舵トルクTS、自車速VSP及び操舵トルク指令値TS_COMを基に得た値に相当し、操舵アシストトルクT´は、操舵アシストトルクTを逸脱防止操舵トルクTLDP´により調整して得た操舵アシストトルクである。
また、前記実施形態では、車線逸脱防止制御として、操舵トルク指令値TS_COMを基に操舵アシストトルクを調整して、車両にヨーモーメントを付与している。これに対して、操舵アシストトルクを調整することなく、個別に逸脱防止操舵トルクにて転舵輪を転舵して、車両にヨーモーメントを付与することもできる。この場合、運転者の操舵トルクに応じて操舵アシストトルクを発生させる転舵輪駆動機構(操舵トルクアクチュエータ40等)とは別に、転舵輪駆動機構を設けて、該転舵輪駆動機構を逸脱防止操舵トルクにより制御することで、転舵輪を転舵して、車両にヨーモーメントを付与する。そして、操舵トルクの入力方向と逸脱防止操舵トルクの付与方向とが、転舵輪の転舵方向で一致する場合、該逸脱防止操舵トルクの付与を制限する。
なお、前記実施形態において、車両は、走行車線に対する車両の逸脱傾向に基づいて、逸脱防止操舵トルクを付与することで、転舵輪を転舵し、走行車線から車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止装置と、ステアリングホイールと転舵輪とが機械的に連結されて、運転者がステアリングホイールに入力する操舵トルクに応じて操舵アシストトルクを発生させるパワーステアリング装置とを搭載している。そして、操舵トルク指令値制限処理部33の図8の処理(特にステップS3又はステップS8→ステップS5の処理手順)は、前記操舵トルクの入力方向と前記逸脱防止操舵トルクの付与方向とが、前記転舵輪の転舵方向で一致する場合、該逸脱防止操舵トルクの付与を制限するトルク付与制限手段を実現している。
(効果)
効果は次のようになる。
(1)運転者の操舵トルクの入力方向と逸脱防止操舵トルクである操舵トルク指令値TS_COM(具体的には操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0)の付与方向とが、転舵輪の転舵方向で一致する場合(前記ステップS3又はステップS8で“Yes”の判定の場合)、該逸脱防止操舵トルクである操舵トルク指令値TS_COMを制限している(前記ステップS5)。これにより、操舵アシストトルクを発生させているときには、抑制した逸脱防止操舵トルクを付与することで、車線逸脱防止制御が運転者に違和感を与えてしまうのを防止できる。すなわち例えば、カーブ走行中に、操舵アシストトルクが発生しているときに、車両がカーブ外側に車線逸脱している(車線逸脱の可能性がある)として車線逸脱防止制御が介入しても、運転者に伝わる路面反力が急変しないので、車線逸脱防止制御が運転者に違和感を与えてしまうようなことがない。
(2)操舵トルク指令値制限要求判定部32は、運転者の操舵トルクTSが所定のしきい値TS_LMT以上の場合、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitをONに設定している。これにより、逸脱防止操舵トルクである操舵トルク指令値TS_COMを制限している(前記ステップS5)。これにより、運転者による操舵トルクTSの付与が定常的であるときのみ、すなわち車両がカーブ旋回にある可能性が非常に高いときにのみ、逸脱防止操舵トルクである操舵トルク指令値TS_COMを制限することができる。これにより、不必要に逸脱防止操舵トルクの付与を制限してしまうのを防止できる。
(3)操舵トルク指令値制限要求判定部32は、操舵トルクTSが所定のしきい値TS_LMT以上となる状態が所定時間継続した場合に、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitをONに設定している。これにより、運転者によるカーブ旋回のための操舵操作を確実に検出できる。
(4)操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0が、操舵トルクTSが示す方向と一致する場合において、操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0の絶対値が、乗算値(TS・KS)の絶対値よりも大きいときには(前記ステップS4又はステップS9で“Yes”の判定の場合)、操舵トルク指令値TS_COMを該乗算値(TS・KS)に設定している(前記ステップS5)。これにより、乗算値(TS・KS)を上限値として、逸脱防止操舵トルクの付与を制限している。これにより、操舵アシストトルクを発生させる一方で、車線逸脱防止制御として、運転者に伝わる路面反力が急変してしまうのを防止しつつ、操舵トルク指令値TS_COMに応じたヨーモーメントを車両に付与できる。
(5)操舵トルク指令値TS_COMを制限する上限値を、操舵トルクTSと定数KSとの乗算値(TS・KS)、すなわち操舵トルク指令値TS_COMを操舵トルクTSに対して所定の割合になる値にしている(前記ステップS5)。これにより、操舵トルク指令値TS_COMを、操舵トルクTSに対応した値にすることができ、操舵トルク指令値TS_COMを操舵トルクTSに追従させ、操舵トルクTSに対して操舵トルク指令値TS_COMがばらついてしまうのを防止できる。
(6)操舵トルク指令値TS_COMを零に設定することもできる。この場合、運転者に伝わる路面反力が急変してしまうのを確実に防止できる。
(7)減速度指令値演算部26は、逸脱判断しきい値FoutがONの場合、すなわち車両が車線を逸脱していると判定している場合に、車両を減速制御するための目標減速度リミッタ前値XG_COM0を算出している。ここで、逸脱判断しきい値FoutがONであることを前提に、操舵トルク指令値TS_COMを制限しているので(前記ステップS1)、逸脱防止操舵トルクの付与を制限すると同時に、車両の減速制御を行っていることにもなる。これにより、車両の減速制御を行い、カーブの旋回速度を小さくして、運転者の操舵操作性を向上させることができ、逸脱防止操舵トルクの付与を制限している場合でも、運転者自身が車線逸脱防止のために容易に操舵操作できるようになる。
(8)駆動トルクを制限することで車両を減速制御している。これにより、容易に車両の減速制御を実現できる。
(9)道路半径及び自車速に基づいて、車両を減速制御している(前記(4)式及び(5)式)。これにより、カーブの状態と自車両の状態に応じた最適な減速制御を実現できる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を説明する。
(構成)
第2の実施形態も、前記第1の実施形態と同様に、本発明に係る車線逸脱防止装置を搭載した車両である。特に、第2の実施形態では、操舵トルク指令値制限処理部33の処理を前記第1の実施形態における処理(前記図8参照)と異ならせている。
図14は、第2の実施形態におけるその処理手順を示す。図14に示すように、先ずステップS21において、逸脱判断しきい値FoutがONか否かを判定する(前記図8のステップS1と同様の処理)。ここで、逸脱判断しきい値FoutがONの場合(Fout=ON)、ステップS22に進み、逸脱判断しきい値FoutがOFFの場合(Fout=OFF)、ステップS25に進む。
ステップS25では、操舵トルク指令値TS_COMを零に設定するとともに、操舵トルク指令値の前回値TS_COM_1に操舵トルク指令値TS_COMを設定、すなわち操舵トルク指令値の前回値TS_COM_1を今回値で更新する(TS_COM=0、TS_COM_1=TS_COM)。そして、該図14に示す処理を終了する。
ステップS22では、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがONか否か、すなわち車両がカーブ旋回中であるか否かを判定する(前記図8のステップS2と同様の処理)。ここで、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがONの場合(Flimit=ON)、すなわち車両がカーブ旋回中である場合、ステップS23に進み、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがOFFの場合(Flimit=OFF)、すなわち車両がカーブ旋回中でない場合、ステップS27に進む。
ステップS27では、操舵トルクを制限する要求がないとして、操舵トルク指令値TS_COMを操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0に設定するとともに、操舵トルク指令値の前回値TS_COM_1に操舵トルク指令値TS_COMを設定、すなわち、操舵トルク指令値の前回値TS_COM_1を今回値で更新する(TS_COM=TS_COM0、TS_COM_1=TS_COM)。そして、該図14に示す処理を終了する。
ステップS23では、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに正値か否かを判定する(前記図8のステップS3と同様の処理)。ここで、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに正値の場合(TS_COM0≧0かつTS≧0)、すなわち、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに左操舵方向の値を示す場合、ステップS24に進み、そうでない場合、例えば、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0や操舵トルクTSが負値の場合、ステップS26に進む。
ステップS24では、所定の定数となる操舵トルク指令値TS_COMの変化量ΔTS_COM(=TS_COM(今回値)−TS_COM_1(TS_COMの前回値)>0)を算出し、その算出した変化量ΔTS_COMを用いて、下記(7)式により操舵トルク指令値TS_COMを最終的に決定する。
TS_COM=TS_COM_1+MIN(|ΔTS_COM|,ΔTS_TH) ・・・(7)
ここで、関数MIN(A,B)は、前述のように、最小値を選択する関数である。これにより、前記(7)の関数MINでは、変化量ΔTS_COMの絶対値(|ΔTS_COM|)としきい値ΔTS_THとのうちの最小値を選択する。すなわち、操舵トルク指令値TS_COMを増加させるときの変化量を、しきい値ΔTS_THを超えない範囲で許可する。よって、しきい値ΔTS_THは、操舵トルク(操舵アシストトルク)を急激に変化させないための変化量制限値となる。そして、そのように今回値として算出した操舵トルク指令値TS_COMで操舵トルク指令値の前回値TS_COM_1を更新し(TS_COM=TS_COM_1)、該図14に示す処理を終了する。
ステップS26では、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに負値か否かを判定する(前記図8のステップS8と同様の処理)。ここで、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに負値の場合(TS_COM0<0かつTS<0)、すなわち、操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0と操舵トルクTSとがともに右操舵方向の値を示す場合、前記ステップS24に進み、そうでない場合、すなわち操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0や操舵トルクTSが正値の場合、前記ステップS27に進む。
以上のような処理により、操舵トルク指令値制限要求フラグFlimitがONであり(車両がカーブ旋回中であり)、かつ操舵トルク指令値TS_COM(具体的には操舵トルク指令値制限処理前値TS_COM0)が操舵トルクTSが示す方向と一致するときには(前記ステップS23又はステップS26で“Yes”の判定の場合)、操舵トルク指令値TS_COMを増加させる場合でも、その増加をしきい値ΔTS_THを超えない変化量(サンプリング時間間隔における変化量)で制限する。すなわち、操舵トルク指令値TS_COMをしきい値ΔTS_THで制限しつつ変化させる。
(効果)
効果は次のようになる。
(1)操舵トルク指令値TS_COMをしきい値ΔTS_THを超えない変化量で増加させており、これにより、逸脱防止操舵トルクの変化量を制限し、逸脱防止操舵トルクの付与を制限している。これにより、運転者に伝わる路面反力を急変させないようにして、逸脱防止操舵トルクを制限しつつも、必要に応じて逸脱防止操舵トルクを増加させることができる。
(他の実施形態等)
なお、前記実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、前記実施形態において、減速度指令値演算部26の処理内容を、具体例を挙げて説明している。しかし、そのような処理内容に限定されるものではない。
図15は、他の処理内容を実現する減速度指令値演算部50を備えた操舵トルク指令値演算部30の構成を示す。図15に示すように、減速度指令値演算部50は、自車速VSP及び道路曲率ρに代えて、推定横変位XS及び逸脱判断しきい値XLが入力されており、これらのデータを基に、目標減速度XG_COMを算出する。具体的には、先ず、推定横変位XS及び逸脱判断しきい値XLを基に、目標減速度XG_COMを算出する。
図16は、推定横変位XS及び逸脱判断しきい値XLと目標減速度XG_COMとの関係を示す。図16に示す推定横変位XSと逸脱判断しきい値XLとの差分(|XS−XL|)は、逸脱推定量(逸脱傾向)を示す。図16に示すように、逸脱推定量(|XS−XL|)が小さいときには、目標減速度XG_COMは0となり、逸脱推定量(|XS−XL|)がある値よりも大きくなると(逸脱傾向の度合いが高くなると)、逸脱推定量(|XS−XL|)が増加するのに対して、目標減速度XG_COMは減少し(絶対値では大きくなり)、逸脱推定量(|XS−XL|)がさらに大きくなると、目標減速度XG_COMはある一定の小さい値となる。このような特性図を基に、逸脱推定量(|XS−XL|)に応じて目標減速度XG_COMを設定する。
そして、以上のようにして得た目標減速度XG_COMの前回値が目標減速度リミッタ前値XG_COM0以上の場合(XG_COM前回値≧XG_COM0)、目標減速度XG_COM(今回値)を目標減速度リミッタ前値XG_COM0に設定する(XG_COM=XG_COM0)。すなわち、車両の減速度を抑制するように、目標減速度XG_COMを設定する。一方、目標減速度XG_COMの前回値が目標減速度リミッタ前値XG_COM0未満の場合(XG_COM前回値<XG_COM0)、下記(8)式(前記(6)式と同じ)により目標減速度XG_COM(今回値)を設定する。
XG_COM=XG_COM前回値+MIN(XG_COM0−XG_COM前回値,ΔXG_COM_TH) ・・・(8)
以上のようして、減速度指令値演算部50が目標減速度XG_COMを算出することもできる。
(効果)
効果は次のようになる。
(1)逸脱推定量(|XS−XL|)に基づいて、目標減速度XG_COMを設定することで、車線逸脱傾向に基づいて、車両を減速制御している。これにより、車線逸脱傾向に合致させて、運転者自身が車線逸脱防止のための操舵操作を容易に行うことができる。
(2)逸脱推定量(|XS−XL|)が大きくなるほど、目標減速度XG_COMを小さくすることで(絶対値では大きくすることで)、車線逸脱傾向の度合いが高くなるほど、車両の減速制御における減速度合いを大きくしている。これにより、車線逸脱傾向が高くなるほど、運転者による車線逸脱防止のための操舵操作がより必要になるが、そのような場合でも、運転者が容易に操舵操作できるようになる。
本発明の第1の実施形態であり、本発明に係る車線逸脱防止装置を搭載した車両の構成を示す図である。 操舵トルクアクチュエータの構成を示す図である。 車線逸脱防止コントローラの構成を示す図である。 自車速VSPと係数Kvとの関係を示す特性図である。 自車速VSPと比例ゲインK2との関係を示す特性図である。 操舵トルク指令値演算部の構成を示す図である。 目標ヨーモーメントMSと操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0との関係を示す特性図である。 操舵トルク指令値制限処理部の処理手順を示すフローチャートである。 操舵トルク指令値TS_COM(絶対値)、乗算値(絶対値のTS・KS)及び操舵トルク指令制限処理前値TS_COM0の関係を示す特性図である。 動作及び作用の説明に用いたものであり、車両が、カーブ旋回中に、その外側に車線逸脱している場合を示す図である。 動作及び作用の説明に用いたものであり、図10に示すような走行状態における、従来の車線逸脱防止装置を用いた処理を示す図である。 動作及び作用の説明に用いたものであり、図10に示すような走行状態における、本発明に係る車線逸脱防止装置を用いた処理を示すものであり、逸脱防止操舵トルクを減少させた場合のものを示す図である。 動作及び作用の説明に用いたものであり、図10に示すような走行状態における、本発明に係る車線逸脱防止装置を用いた処理を示すものであり、逸脱防止操舵トルクを零にする場合のものを示す図である。 第2の実施形態における、操舵トルク指令値制限処理部の処理手順を示すフローチャートである。 減速度指令値演算部の他の構成を示す図である。 推定横変位XS及び逸脱判断しきい値XLと目標減速度XG_COMとの関係を示す特性図である。
符号の説明
5 操舵コントローラ、20 車線逸脱防止コントローラ、21 推定横変位演算部、22 逸脱判断しきい値演算部、23 車線変更意図判定部、24 逸脱判定部、25 目標ヨーモーメント演算部、26 減速度指令値演算部、27 減速度指令値分配部、30 操舵トルク指令値演算部、31 操舵トルク指令値算出部、32 操舵トルク指令値制限要求判定部、33 操舵トルク指令値制限処理部、34 操舵指令フラグ設定部、40 操舵トルクアクチュエータ

Claims (12)

  1. 走行車線に対する車両の逸脱傾向に基づいて、逸脱防止操舵トルクを付与することで、転舵輪を転舵し、走行車線から車両が逸脱するのを防止する車線逸脱防止装置において、
    前記車両は、ステアリングホイールと転舵輪とが機械的に連結されて、運転者がステアリングホイールに入力する操舵トルクに応じて操舵アシストトルクを発生させるパワーステアリング装置を搭載しており、
    前記操舵トルクの入力方向と前記逸脱防止操舵トルクの付与方向とが、前記転舵輪の転舵方向で一致する場合、該逸脱防止操舵トルクの付与を制限するトルク付与制限手段を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。
  2. 前記トルク付与制限手段は、前記操舵トルクが所定のしきい値以上の場合、前記逸脱防止操舵トルクの付与を制限することを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱防止装置。
  3. 前記トルク付与制限手段は、前記操舵トルクが所定のしきい値以上となる状態が所定時間継続した場合、前記逸脱防止操舵トルクの付与を制限することを特徴とする請求項1又は2に記載の車線逸脱防止装置。
  4. 前記トルク付与制限手段は、前記逸脱防止操舵トルクの上限値を設けることで、前記逸脱防止操舵トルクの付与を制限することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  5. 前記上限値を、前記操舵トルクに対して所定の割合になる値にすることを特徴とする請求項4に記載の車線逸脱防止装置。
  6. 前記トルク付与制限手段は、前記逸脱防止操舵トルクを零にすることで、前記逸脱防止操舵トルクの付与を制限することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  7. 前記トルク付与制限手段は、前記逸脱防止操舵トルクの変化量を制限することで、前記逸脱防止操舵トルクの付与を制限することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  8. 前記トルク付与制限手段が前記逸脱防止操舵トルクの付与を制限する場合、車両を減速制御する減速制御手段を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  9. 前記減速制御手段は、駆動トルクを制限することで、前記減速制御を行うことを特徴とする請求項8に記載の車線逸脱防止装置。
  10. 前記減速制御手段は、道路半径及び自車速に基づいて、前記減速制御を行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の車線逸脱防止装置。
  11. 前記減速制御手段は、前記逸脱傾向に基づいて、前記減速制御を行うことを特徴とする請求項8〜10に記載の車線逸脱防止装置。
  12. 前記減速制御手段は、前記逸脱傾向の度合いが高くなるほど、前記減速制御における減速度合いを大きくすることを特徴とする請求項8〜11に記載の車線逸脱防止装置。
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