JP2005158659A - 固体高分子形燃料電池用セパレータ材とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 樹脂性状を特定した流動性に優れたノボラック型フェノール樹脂により黒鉛粉末を結着し、気体不透過性、電気抵抗、強度、耐湿性などに優れた固体高分子型燃料電池用のセパレータ材とその製造方法を提供する。
【解決手段】 黒鉛粉末を、モノマー量が5重量%以下、ダイマー量が20重量%以下、125℃でのプレートフローが150mm以上のノボラック型フェノール樹脂を結合材として結着した黒鉛/樹脂硬化成形体からなる固体高分子型燃料電池用セパレータ材。その製造方法は、この樹脂性状のノボラック型フェノール樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に黒鉛粉末を混合して混練した後、有機溶剤を揮散除去し、次いで混練物を粉砕して得られた成形粉を成形型に充填して熱圧成形する。
【選択図】 なし
【解決手段】 黒鉛粉末を、モノマー量が5重量%以下、ダイマー量が20重量%以下、125℃でのプレートフローが150mm以上のノボラック型フェノール樹脂を結合材として結着した黒鉛/樹脂硬化成形体からなる固体高分子型燃料電池用セパレータ材。その製造方法は、この樹脂性状のノボラック型フェノール樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に黒鉛粉末を混合して混練した後、有機溶剤を揮散除去し、次いで混練物を粉砕して得られた成形粉を成形型に充填して熱圧成形する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、黒鉛/硬化樹脂成形体からなる固体高分子形燃料電池用セパレータ材とその製造方法に関する。
燃料電池は、燃料が有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するもので、電気エネルギーへの変換効率が高く、特に固体高分子形燃料電池はリン酸形燃料電池に比較して低温でかつ高出力の発電が可能であるため、自動車の電源をはじめ小型の移動型電源や定置型電源として期待されている。
固体高分子形燃料電池は、通常、スルホン酸基を有するフッ素樹脂系イオン交換膜のような高分子イオン交換膜からなる電解質膜と、その両面に白金などの触媒を担持させた触媒電極と、それぞれの電極に水素などの燃料ガスあるいは酸素や空気などの酸化剤ガスを供給するガス供給用の凹凸(溝)を設けたセパレータなどからなる単セルを積層したスタック、及びその外側に設けた2つの集電体から構成されている。
単セルの構造は、図1に示すように、例えばフッ素系樹脂により形成されたイオン交換膜からなる電解質膜5を挟んで配置される一対の電極3、4(カソード3、アノード4)と、これをさらに両側から挟む緻密質のカーボン材からなるセパレータ1、セパレータの端部にはガス溝と平行方向に設置されたシール材6とから構成されている。電極3、4は白金などの触媒を担持させた炭素短繊維からなる多孔質体あるいは触媒を担持したカーボンブラックを樹脂で結着したものなどから形成される。
セパレータ1には複数の凹凸形状の溝2が形成され、溝2とカソード3との間に形成される空間を酸化剤ガス(空気などの酸素含有ガス)流路とし、溝2とアノード4との間に形成される空間を燃料ガス(例えば水素ガスや水素ガスを主成分とする混合ガスなど)流路として、燃料ガスと酸化剤ガスとが電極に接触して起こる化学反応を利用して、電極間から電流を取り出すようになっている。そして、通常、この単セルを数十層から数百層に積層して電池スタックが組み立てられている。
したがって、セパレータには燃料ガスと酸化剤ガスとを完全に分離した状態で電極に供給するために高度のガス不透過性が要求される。また、発電効率を高くするために電池の内部抵抗を小さくすることが有効であり、セパレータには高い導電性が必要となる。
また、電池性能の向上を図るためにはスタック中の各単セル間を密着するように組み立て、かつ発電中も良好な接触状態が維持されてセパレータと電極との接触電気抵抗の増大を防止するとともに、単セル間のガスリークや単セル外へのガスリークを防止することが重要となる。すなわち、組み立て時に破損や欠損が生じないように材質強度が高いこと、また電池の作動温度である100℃程度の温度においても充分な材質強度を備えていることが重要である。更に、大気中で吸湿による寸法変化が生じないように耐湿性が高いことも要求される。
このような材質特性が要求されるセパレータ材には、従来から炭素質系の材料が用いられており、黒鉛などの炭素粉末を熱硬化性樹脂を結合材として結着し、成形した炭素/樹脂硬化成形体が好適に使用されている。
例えば、特許文献1には、平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒度分布を有する黒鉛粉末60〜85重量%と熱硬化性樹脂15〜45重量%とからなる板状成形体であって、その面方向の固有抵抗が300×10-4Ωcm以下、厚さ方向/面方向の固有抵抗の比が7以下、曲げ強度が300kgf/cm2 以上の材質性状を備える黒鉛−樹脂硬化成形体から形成されたことを特徴とする固体高分子形燃料電池用セパレータ部材およびその製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、平均粒子径50μm以下、最大粒子径250μm以下の黒鉛粉末100重量部と数平均分子量100〜400のフェノール樹脂15〜30重量部とを混合し、混合物を粉砕、篩分けして調製した粒度0.1〜5mmの整粒を30〜180℃の温度に調整しながら、100〜200℃の温度に加熱された金型に射出成形し、成形体を加熱硬化することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法が開示されている。
更に、本発明者らは、硬化物の飽和吸水率が3%以下のフェノール樹脂溶液と黒鉛粉末を、樹脂固形分10〜25重量%、黒鉛粉末90〜75重量%の重量比に混合して混練し、混練物を乾燥した後粉砕し、粉砕粒を成形型に充填して熱圧成形することを特徴とする固体高分子型燃料電池用セパレータの製造方法(特許文献3)を開発、提案した。
特許文献3によれば、吸水率の低いフェノール樹脂を用いることにより、反りの発生が少なく、吸水に伴う電気抵抗の増加も殆どないセパレータの製造が可能となる。
特開2000−021421号公報
特開2000−331690号公報
特願2002−288521号
引き続き、本発明者らは、炭素/樹脂硬化成形体からなるセパレータ材の材質特性の向上について鋭意研究を続け、特に熱硬化性樹脂としてノボラック型フェノール樹脂の性状に着目して研究を進めた。
その結果、ノボラック形フェノール樹脂のモノマー量やダイマー量、さらにフロー性状などの樹脂性状が炭素/樹脂硬化成形体の成形性およびセパレータとしての物性に大きく影響することを確認した。すなわち、低モノマー量、低ダイマー量で、溶融時の流動性が優れたノボラック形フェノール樹脂を用いることにより成形性が向上し、ガス不透過性に優れ、低電気抵抗化、高強度化、高耐湿化などが図られることを見出した。
すなわち、本発明はこの知見に基づいて完成したもので、その目的とするところは気体不透過性および強度特性が高く、電気抵抗が低く、高い耐湿性などのセパレータ材として優れた材質性状を有する炭素/樹脂硬化成形体からなる固体高分子形燃料電池用セパレータ材とその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明による固体高分子形燃料電池用セパレータ材は、黒鉛粉末を、モノマー量が5重量%以下、ダイマー量が20重量%以下、125℃でのプレートフローが150mm以上のノボラック型フェノール樹脂を結合材として結着した、黒鉛/樹脂硬化成形体からなることを構成上の特徴とする。
また、その製造方法は、モノマー量が5重量%以下、ダイマー量が20重量%以下、125℃でのプレートフローが150mm以上のノボラック型フェノール樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に、黒鉛粉末を混合して混練した後、有機溶剤を揮散除去し、次いで混練物を粉砕して得られた成形粉を成形型に充填して、20〜50MPaの圧力で、150〜250℃の温度で熱圧成形することを構成上の特徴とする。
本発明によれば、ノボラック型フェノール樹脂を結合材として黒鉛粉末を結着した、黒鉛/樹脂硬化成形体からなる固体高分子形燃料電池用セパレータ材において、モノマーおよびダイマーの含有量が少なく、溶融粘度の低い成形性に優れた樹脂性状のフェノール樹脂を用いることにより、緻密でガス不透過性に優れ、低電気抵抗で機械的強度、耐湿性が高く、セパレータとして優れた材質性状を備えた固体高分子形燃料電池用セパレータ材とその製造方法が提供される。
本発明の固体高分子形燃料電池用セパレータ材は、黒鉛粉末をノボラック型フェノール樹脂を結合材として結着し、一体化した黒鉛/樹脂硬化成形体からなり、この黒鉛/樹脂硬化成形体を厚さ1〜3mm程度の板状に成形し、その表裏両面あるいは片面に燃料ガス及び酸化剤ガスの流路となる深さ0.5〜1mm程度の溝が多数形成されたものである。そして、本発明は結合材であるノボラック型フェノール樹脂の樹脂性状を特定した点を特徴とする。
黒鉛粉末には人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛、あるいは、これらの混合物などが用いられ、適宜な粉砕機により粉砕し、篩分けして粒度調整した黒鉛粉末が用いられる。黒鉛粉末の粒度は、セパレータにガス溝を設ける際に黒鉛粉末粒子の脱落や粒子間クラックの発生を防止するために、例えば平均粒子径は50μm以下に、最大粒子径は100μm以下に粒度調整することが好ましい。
この黒鉛粉末を結着して一体化する樹脂結合材にはノボラック型フェノール樹脂が用いられ、均質で緻密な成形体を作製するためには流動性が高く、成形性に優れた性状を有する樹脂が好適である。本発明は、この樹脂性状としてモノマー量が5重量%以下、ダイマー量が20重量%以下、125℃でのプレートフローが150mm以上の性状に特定するものである。
樹脂の流動性を上げるためには、一般に樹脂中の高分子量成分を少なくして溶融粘度を低くすることが効果的である。しかし、低分子量成分が多い場合には黒鉛粉末と混合し、混練する際や成形、加熱硬化時に低沸点成分がガス化し、揮散する量が多くなるために、黒鉛/樹脂硬化成形体に気孔が形成され易くなり、ガス不透過性が低下することになる。更に、硬化時に架橋の発達が遅く、架橋密度が低くなるため機械的強度や耐湿性の低下を招くことになる。
そこで、本発明は低沸点成分量をあるレベル以下に保持して上述の難点、すなわち、黒鉛/樹脂硬化成形体中の気孔発生を抑止するとともに架橋密度の低下を防止するために、樹脂性状としてモノマー量を5重量%以下に、ダイマー量を20重量%以下に特定するものである。
更に、樹脂性状としてプレートフローが150mm以上であることが必要である。プレートフローは樹脂の溶融時の流動性を示すもので、JIS K6909「研削といし用フェノール樹脂試験方法」により測定される値であり、125℃に加熱溶融時のフェノール樹脂の流動性を示すパラメータである。この値が150mm未満では、モノマー量が5重量%以下、ダイマー量が20重量%以下であっても、高分子量成分が多くなり流動性が低下する。
一方、プレートフローが150mm以上の場合には流動性は良好であるが、モノマー量が5重量%を越え、ダイマー量が20重量%を越える場合には低分子量成分が多くなり、樹脂の加熱硬化時に低沸点成分がガス化して揮散する量が多くなるので黒鉛/樹脂硬化成形体に気孔が形成され易く、ガス不透過性が低下する。更に、硬化時に架橋密度が低くなり、機械的強度や耐湿性が低下することになる。
このように、本発明の固体高分子形燃料電池用セパレータ材は黒鉛粉末を結合し、結着させるノボラック型フェノール樹脂の樹脂性状として高分子成分が少なく、溶融流動性が高い樹脂を適用するので、相対的に少ない樹脂量で成形することが可能となり、黒鉛/樹脂硬化成形体の電気抵抗を低位化することができる。更に、緻密でガス不透過性、機械的強度、耐湿性に優れたセパレータ材として優れた材質性状が付与される。なお、樹脂性状としては分子量分布が狭いことが好ましく、例えば分子量分散度Mw /Mn の値が2.0以下であることが好ましい。なお、Mw は重量平均分子量(ポリスチレン換算)、Mn は数平均分子量(ポリスチレン換算)である。
黒鉛粉末とノボラック型フェノール樹脂との混合は、樹脂固形分と黒鉛粉末との重量比が、10:90〜25:75の割合になるように混合することが好ましい。樹脂固形分が10重量部未満で、黒鉛粉末が90重量部を越える重量比では、樹脂分が少ないために混練時に流動性が低下して均一な混練物が得難く、均質で形状精度の高い成形体の作製が困難となる。一方、樹脂固形分が25重量部を上回り、黒鉛粉末が75重量部を下回る重量比では、成形性は良好となるが、黒鉛量が少ないために電気抵抗が増大し、電池性能が低下することになる。
本発明の固体高分子形燃料電池用セパレータ材の製造方法は、モノマー量が5重量%以下、ダイマー量が20重量%以下、125℃でのプレートフローが150mm以上のノボラック型フェノール樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に、黒鉛粉末を混合して混練した後、有機溶剤を揮散除去し、次いで、混練物を粉砕して得られた成形粉を成形型に充填して、20〜50MPaの圧力で、150〜250℃の温度で熱圧成形することを特徴とする。
黒鉛粉末を結着する結合材である樹脂には、モノマー量が5重量%以下、ダイマー量が20重量%以下、125℃でのプレートフローが150mm以上のノボラック型フェノール樹脂が用いられる。なお、樹脂性状の調整は、例えば減圧加熱によりモノマーやダイマーの低揮発性成分を除去する方法、モノマー、ダイマーとポリマー成分との溶媒への溶解性の違いを利用して分離除去する方法、あるいは樹脂合成時に触媒や反応温度を制御して選択的にモノマー、ダイマーの重合を促進する方法、などにより調整される。
この樹脂性状に調整されたノボラック型フェノール樹脂と黒鉛粉末とは所定の重量比、例えば、好ましくは樹脂固形分と黒鉛粉末との重量比が、10:90〜25:75の割合になるように混合し、混練される。なお、黒鉛粉末は、セパレータにガス溝を設ける際に黒鉛粉末粒子の脱落や粒子間クラックの発生を防止するために篩分けして、例えば平均粒子径は50μm以下に、最大粒子径は100μm以下に粒度調整したものが好ましい。
この場合、均一に混練するためにノボラック型フェノール樹脂をアルコールやエーテルなどの有機溶剤に適宜な濃度に溶解して、低粘度化した樹脂溶液が用いられる。所定の重量比になるように黒鉛粉末を樹脂溶液中に混合し、ニーダー、加圧型ニーダー、2軸スクリュー式混練機などの適宜な混練機により充分に混練する。混練後、有機溶剤は真空乾燥あるいは風乾により混練物から揮散除去される。
混練物の表面は樹脂被膜で覆われているため導電性が低くなるので、黒鉛部を露出させることにより導電性の低下を防止するために混練物は粉砕される。粉砕は、適宜な粒度、例えば0.1〜5mm程度に粉砕して成形粉が得られる。なお、混練物の粉砕により材質性状の異方性の是正を図ることもでき、セパレータとなる板状成形体の厚さ方向の電気抵抗を低下させ、面方向との異方性を減少させることもできる。
成形粉を所望形状の成形型に充填し、熱圧成形によりセパレータとなる板状成形体が製造される。例えば、撥水性の高いフッ素系オイルやシリコン系オイルなどの離型剤を塗布した金型に成形粉を充填して、20〜50MPaの圧力で、150〜250℃の温度で熱圧成形することにより黒鉛/樹脂硬化成形体が製造される。この場合、酸化剤ガスおよび燃料ガスのガス流路となる溝部は、この熱圧成形時に形成するか、更に機械加工を施して形成される。なお、成形粉を室温の金型に入れ、3〜30MPaの圧力で最終形状に近い形状の予備成形体を作製し、この予備成形体を所望の最終形状の金型に入れて、熱圧成形することもできる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
実施例1〜5、比較例1〜12
モノマー量、ダイマー量、125℃でのプレートフローが異なるノボラック型フェノール樹脂を、樹脂固形分が70重量%になるようにメタノールに溶解して樹脂溶液を調製した。なお、樹脂溶液には硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを10重量%添加した。黒鉛粉末には平均粒子径40μm、最大粒子径80μm以下に粒度調整した人造黒鉛粉末を使用した。
モノマー量、ダイマー量、125℃でのプレートフローが異なるノボラック型フェノール樹脂を、樹脂固形分が70重量%になるようにメタノールに溶解して樹脂溶液を調製した。なお、樹脂溶液には硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを10重量%添加した。黒鉛粉末には平均粒子径40μm、最大粒子径80μm以下に粒度調整した人造黒鉛粉末を使用した。
黒鉛粉末を樹脂溶液に、樹脂固形分と黒鉛粉末の重量比が20:80になるように混合して、2軸ニーダーで30分間混練した。混練物を室温で真空乾燥してメタノールおよび揮発性成分を揮散除去し、次いで、粉砕した後、粒度調整して0.15〜0.3mmの成形粉を作製した。
成形粉をフッ素系の離型剤を塗った金型に充填して、圧力40MPa、温度170℃の条件で熱圧成形し、黒鉛/硬化樹脂からなる200×200×2mmの板状成形体を製造した。
このようにして製造した黒鉛/樹脂硬化板状成形体の材質特性を、下記の方法により測定して、その結果を製造条件とともに表1(実施例)、表2(比較例)、表3(比較例)に示した。
1)気体透過係数(mol・m・m-2・sec-1・MPa-1);
窒素ガスにより、0.2MPaの差圧をかけた時の単位時間、単位断面積当たりの窒素ガス透過量。
2)電気抵抗率(Ω・m);
JIS R7222に準じて測定した。
3)曲げ強度(MPa);
JIS K6911に準じて測定した。
4)吸湿伸び率(%);
湿度90%以上の室温下に10日間静置した時の寸法の伸び率を測定。
窒素ガスにより、0.2MPaの差圧をかけた時の単位時間、単位断面積当たりの窒素ガス透過量。
2)電気抵抗率(Ω・m);
JIS R7222に準じて測定した。
3)曲げ強度(MPa);
JIS K6911に準じて測定した。
4)吸湿伸び率(%);
湿度90%以上の室温下に10日間静置した時の寸法の伸び率を測定。
表1〜表3の結果から、実施例1〜5の板状成形体は気体透過係数および電気抵抗率とも低位にあり、また、曲げ強度は高く、吸湿による伸び率も0.02%(200mm長に対する伸び40μm)と低く、成形体の外観も良好であり、セパレータ材として優れた材質特性を備えていることが判る。
これに対してプレートフローが150mmを下回る比較例1〜7は、結合材であるノボラック型フェノール樹脂の流動性が低く、成形体には疎部が生じており、実施例1〜5に比べて曲げ強度が低く、吸湿伸び率も0.04〜0.05%(200mm長に対する伸び80〜100μm)と大きい。また、気体透過係数が著しく高く、また電気抵抗率も実施例1〜5に比べて若干高めにある。
また、ノボラック型フェノール樹脂のモノマー量が5重量%、ダイマー量が20重量%を越え、プレートフローが150mmを上回る比較例8〜10では、成形体の外観検査でガス溜りや気泡が見られ、気体透過係数、電気抵抗率および吸湿伸び率が大きく、また曲げ強度が低下して、燃料電池用セパレータ材としての性状が劣るものであった。また、ノボラック型フェノール樹脂のモノマー量が5重量%、ダイマー量が20重量%を越え、プレートフローが150mmを下回る比較例11〜12では、成形体に疎な部位が見られ、気体透過係数、電気抵抗率および吸湿伸び率が大きくなり、また曲げ強度が低下して、燃料電池用セパレータ材としての性状が不向きであった。
このように、本発明の黒鉛/樹脂硬化成形体からなる固体高分子型燃料電池用セパレータ材は、黒鉛粉末を結合し、結着するノボラック型フェノール樹脂の樹脂性状をモノマー量を5重量%以下、ダイマー量を20重量%以下、およびプレートフローを150mm以上に特定することにより、気体不透過性に優れ(気体透過係数が低く)、強度が高く、電気抵抗率が低く、耐湿性が高い、セパレータ材として好適な材質特性を備えていることが判る。したがって、このセパレータ材から作製したセパレータを用いた固体高分子型燃料電池は、優れた電池性能を有し、長期間、安定して使用することが可能となる。
1 セパレータ
2 ガス流路用溝
3 カソード
4 アノード
5 電解質膜
6 シール材
2 ガス流路用溝
3 カソード
4 アノード
5 電解質膜
6 シール材
Claims (3)
- 黒鉛粉末を、モノマー量が5重量%以下、ダイマー量が20重量%以下、125℃でのプレートフローが150mm以上のノボラック型フェノール樹脂を結合材として結着した、黒鉛/樹脂硬化成形体からなることを特徴とする固体高分子形燃料電池用セパレータ材。
- ノボラック型フェノール樹脂の固形分と黒鉛粉末との重量比が、10:90〜25:75である、請求項1記載の固体高分子形燃料電池用セパレータ材。
- モノマー量が5重量%以下、ダイマー量が20重量%以下、125℃でのプレートフローが150mm以上のノボラック型フェノール樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液に、黒鉛粉末を混合して混練した後、有機溶剤を揮散除去し、次いで混練物を粉砕して得られた成形粉を成形型に充填して、20〜50MPaの圧力で、150〜250℃の温度で熱圧成形することを特徴とする固体高分子形燃料電池用セパレータ材の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2003399296A JP2005158659A (ja) | 2003-11-28 | 2003-11-28 | 固体高分子形燃料電池用セパレータ材とその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011204650A (ja) * | 2010-03-26 | 2011-10-13 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 燃料電池セパレータ用組成物、燃料電池セパレータ、及び燃料電池の製造方法 |
-
2003
- 2003-11-28 JP JP2003399296A patent/JP2005158659A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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