JP2008186642A - 燃料電池用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】成形性に優れるとともに、材料表面に親水性を付与することでフラッディング現象を抑えて、優れた性能を発揮し得る燃料電池用セパレータを提供する。
【解決手段】燃料電池用セパレータであって、熱硬化性樹脂15〜80質量%と、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末85〜20質量%とを含有する樹脂組成物が成形加工され、さらに炭化焼成されたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は燃料電池用セパレータに関するものである。
炭素材料は、素材が有する優れた電気的特性、化学的特性、機械的特性等により、各種工業材料として一般的に使用されている。一般的な炭素材料に黒鉛材料がある。黒鉛材料は、各種特性に優れているが、粉化による組織の脱落現象や、気体遮断性に劣る性質や、構造体にするには機械加工が必要であることなどの問題点がある。このような問題点を解決するための黒鉛材料の高機能化として、種々の方法が試みられている。例えば、樹脂を含浸した黒鉛材料のように性能向上を図ったものが提案されている。
炭素材料を含有する樹脂組成物は、炭素材料の優れた特性を樹脂組成物に付与する目的で、その樹脂組成物中に炭素材料が取り組まれている。例えば、炭素材料を微粉末化して樹脂組成物に含有させることで、電気抵抗を低減したり、炭素材料の一種であるカーボンブラックにより着色や高機能化を行ったり、各種用途に適した材料としたりすることなどがその例である。
炭素材料の一種として、ガラス状炭素と呼ばれる材料がある。これは、非晶質炭素とも呼ばれ、外観が黒色、かつ、ガラス状で、破面も光沢ある貝殻状を示す硬質で非晶質の炭素である。しかも、非常に均質かつ緻密な構造を有しており、一般的な炭素材料の特徴である導電性、化学的安定性、耐熱性に加えて、材料表面が粉化して脱落することがないという特徴を有し、黒鉛材料とは異なった特性を有するものであり、工業材料として応用されている。
近年、燃料電池及びそれを利用した発電システムが、低公害かつ高発電効率の次世代発電装置として期待されている。燃料電池は、水素含有ガスと酸素含有ガスとの電気化学反応により起電力を生ずる単位電池(ユニットセル)を有し、この単位電池が積層されたスタック構造になっている構成が一般的である。固体高分子型燃料電池のような燃料電池では、その部材が必要とする特性から、炭素材料を素材とする構成部材が多く使用されている。このような構成部材の一種として、隣り合う単位電池間に介在し単位電池双方の電極と接触し、これら単位電池間を電気的に接続するとともに反応ガスを分離する作用を担う、燃料電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」という場合がある)がある。アルカリ型、リン酸型、固体高分子型などの比較的低温で動作する燃料電池には、動作温度を安定させる目的でこのセパレータの片側に冷却水を流す溝を備えているものもある。セパレータ材料は、強酸性条件下で使用されるため耐酸性及び良好な導電性をもつ炭素材料が多く用いられ、板形状の表面にガス流路を形成するための溝が形成されているのが一般的である。
炭素材料が用いられたセパレータとしての、黒鉛材料を素材とするセパレータは、材料の有する特性から燃料電池の部材として良好な性能を発揮する。しかし、黒鉛材料は成形加工して構造体とすることが困難であり、このため切削加工を施して形状加工することが必要である。その結果、加工コストが高くなり、コストダウンを図った工業的に有利な技術となるように改良が望まれている。
ガラス状炭素板からなるセパレータも提案されている。これは、切削加工を施すことは可能であるが、黒鉛材料と同様に工業的に有利な技術ではない。
これらに対し、熱硬化性樹脂を原料として成形加工し、その後に炭化焼成することで、目的とする形状を有した構造体を得る方法が提案されている。この技術は、成形加工できるため、工業的に非常に優れている技術である。
一方、固体高分子型燃料電池は、イオン交換膜(高分子膜)と、触媒および電極とからなる膜・電極接合体(Membrane Electrode Assembly =MEA)をセパレータにより挟み込み、更にその外側を集電板で挟み込んだ構造が一般的となっている。発電するには、燃料の水素と酸素からMEAの触媒の作用を利用した水電気分解の逆反応を行い、電気を取り出す。つまり、水素と酸素から水を作り出す化学反応である。燃料である水素はMEAの触媒作用で電子とプロトンを分離し、電子は外部回路へ伝導され、プロトンはイオン交換膜を伝導される。この際にイオン交換膜は湿潤条件下でプロトン導電性を示すため、反応雰囲気下では加湿された環境を保つ必要がある。しかし、燃料電池の運転条件下では、しばしば、水蒸気(供給水)や反応により生成される水(反応生成水)が結露水として生成し、この結露水が、電極である多孔性炭素シートやセパレータ流路内部で滞留することにより、発電性能を低下する現象が観測される。これがフラッディングと呼ばれる現象であり、この現象を抑制することが、燃料電池の性能を向上させるための重要な技術である。
このフラッディング現象の原因の一つとして、セパレータ表面と供給水や反応生成水との相互作用が関係していると考えられている。セパレータ表面に要求される特性は、燃料電池システムの運転条件や、その運転環境や、セパレータの使用方法によって、異なっている。フラッディング現象の発生を防止するために、結露水として生成する水を発電反応系外に速やかに放出する方法や、結露水が流路内の閉塞を起す以前に水滴形状を形成させないようにする方法などが提案されている。すなわち、流路内で結露水が水滴形状を形成する要因として、セパレータ表面の濡れ性が劣っていることが考えられている。したがって、その対策として、セパレータに親水性を付与する技術が提案されている(例えば特許文献1〜7)。これらの技術は、セパレータの表面状態を変化させることで、表面濡れ性を改善し、セパレータ性能を向上させるものである。しかし、親水層の塗布などによる後加工法であり、工業的に製造する際には、コスト面で障害となることが予想される。また、親水層の脱落や導電性能の低下などが、問題として残る。特許文献7のように、樹脂組成物に親水性を付与することができる材料を、この樹脂組成物に含有させることで、セパレータの表面に親水性を付与する方法も提案されているが、母材が樹脂組成物よりも化学的に安定である炭素材料を用いたセパレータを親水性化する技術が望まれている。
黒鉛材料を素材としたセパレータは、表面濡れ性が良好であるが、黒鉛材料が細孔を有するために、必要特性であるガス遮断性に劣っている。このため、黒鉛材料をセパレータとして使用する際には、黒鉛材料が有する細孔を各種樹脂により閉塞させた樹脂含浸黒鉛材料が一般的に使用されている。しかし、含浸した樹脂の耐久性に問題があるうえに、溝の形成のために切削加工を施す必要がある。
ガラス状カーボンは、その表面粗度を上げることにより表面濡れ性が向上する。しかし、そのための後加工を施す必要があり、その点において工業的に不利である。このため、工業的に有利に製造できる技術が望まれている。
炭素材料に親水性を付与する方法として、表面を多孔性状態にすることで、水との濡れ性を向上する方法が考えられる。炭素材料の表面を多孔性にする方法として、特許文献8や特許文献9には、麩糖類と熱硬化性樹脂からなる混合物を炭化焼成することで多孔性炭素材料を得る方法が提案されている。また、特許文献10には、フェノール樹脂と麩糖類からなる樹脂組成物及びその成形品を焼成してなる摺動部材が提案されている。更に、特許文献11には、籾殻と熱硬化性樹脂の焼成物からなる多孔性材料および摺動部品が提案されている。
特開昭58−150278号公報 特開2000−058083号公報 特開2000−251903号公報 特開2004−103271号公報 特開2005−174732号公報 特開2005−197162号公報 特開2005−197222号公報 特開平10−101453号公報 特開2004−137144号公報 特開2003−147163号公報 特開2006−16221号公報
しかしながら、上記の特許文献8〜10に記載のものでは、米糠などの麩糖類を出発物質にしているため、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リンのような無機成分を含有しており、このため水が存在する環境下では無機成分の溶出が起こって、使用が制限される場合があり、したがって燃料電池用セパレータのような用途に適応することは困難であり、特許文献8〜10では摺動部材のような限定された用途のみの記載しかなされていない。特許文献11には、籾殻を出発物質とした多孔性炭素材料が記載されているが、これも摺動部品の用途を想定しているものであり、燃料電池用セパレータについては何ら示唆がない。
本発明は、成形性に優れるとともに、材料表面に親水性を付与することでフラッディング現象を抑えて、優れた性能を発揮し得る燃料電池用セパレータを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上述の従来技術における問題点に鑑み、種々研究を重ねた結果、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末を熱硬化性樹脂中に特定の割合で配合させることによって、量産性に優れかつ複雑な形状をも成形可能な成形材料を得ることができ、しかも、この材料を用いた成形品を焼成することにより、燃料電池用セパレータとして優れた特性が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、熱硬化性樹脂15〜80質量%と、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末85〜20質量%とを含有する樹脂組成物が成形加工され、さらに炭化焼成されたものであることを特徴とする燃料電池用セパレータを要旨とするものである。
本発明によれば、前記の燃料電池用セパレータにおいて、熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であることが好ましい。
また本発明によれば、前記の燃料電池用セパレータにおいて、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末が、籾殻を原料として得られたものであることが好ましい。
本発明のセパレータによれば、軽量で耐腐食性に優れ、更に、ぬれ特性に優れることから、燃料電池の発電時においていわゆるフラッディング現象を抑えることができ、燃料電池の高性能化を達成可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、カルボジイミド樹脂、フルフリルアルコール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの共重合体や混合物も使用できる。1種類の熱硬化性樹脂であってもよいし、主成分の熱硬化性樹脂以外にその特性を損なわない範囲で異種の樹脂を組み合わせた2種類以上の熱硬化性樹脂の混合物であっても構わない。また、主成分の樹脂に混合される樹脂はそれら熱硬化性樹脂の低分子量物でも構わないし、加工性や成形性等を改良する目的での添加剤を含有していても構わない。これらの中で、フェノール樹脂を主成分とした熱硬化性樹脂を用いることが、成形性やコスト面から最も好ましい。熱硬化性樹脂は、成形加工して硬化することで、目的とする形状にすることが可能であり、かつその形状で炭化焼成することが可能である。
次に、本発明で用いられる珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末について説明する。珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末が有する多孔組織は、気孔径1〜60μmであることが好ましく、気孔率30〜80%であることが好ましく、気孔ができるだけ均質に分布したものであることが好ましい。炭素粉末が微細な多孔組織を有することで、セパレータを構成する炭素材料に亀裂等の欠陥が起こった際に破壊の進行を遅延させる効果があり、これにより機械的物性が向上し、また、炭素材料表面に露出した多孔構造により表面濡れ性の向上も期待できる。
珪素化合物を含有する炭素粉末を形成するには、炭化焼成を施す必要があり、焼成過程において体積収縮が少ない珪素化合物を、炭化に伴い大きな体積収縮を起す物質が被覆している形態をとるため、焼成過程における炭素材料の破壊や欠陥点の発現が起こりやすい。しかし、微細な多孔組織を備えたものであることで、上述の体積収縮差により炭素材の内部に残留する歪が緩和され、これによって目的とする炭素材料を得ることが可能であると同時に優れた機械的物性を発現することができる。更に、一般的に炭素材料は樹脂との親和性が悪いため、樹脂組成物とする場合に、混合斑や気泡の含有等の障害が起こりやすいが、多孔性炭素粉末を用いることでそれらの障害を軽減することができる。
以上の機能を発揮させるために、多孔性炭素粉末の気孔径は微細であることが必要であり、具体的には上述のように1〜60μmであることが好ましい。気孔径が1μmに満たないと気孔を有することによる効果が低下しやすく、60μmを超えると機械的物性の低下を誘発する場合がある。上述のように、気孔率は30〜85%であることが好ましい。気孔率が30%未満であると、気孔を有さない領域が多くなって、気孔を有する効果が低下しやすい。反対に気孔率が85%を超えると、機械的物性を発現する炭素材料の領域がそれに対応して少なくなり、優れた機械的物性を発現できなくなる場合がある。気孔は炭素材料中に均質に分布したものであることが好ましく、不均質な場合は、炭素材の機械的物性のバラツキを誘発しやすくなる。
珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末の粒子径は、最大粒径が500μm以下であることが好ましく、より好ましくは150μm以下であり、更に好ましくは50μm以下である。粒子径が上記範囲以上であると、樹脂組成物の溶融時の流動性が損なわれて、成形加工により目的とする樹脂組成物構造体を得ることが困難となる。また、炭素材中に均質に多孔組織を分布させることが困難となり、目的とする性能を発現し難くなる。
多孔性炭素粉末に含有される珪素化合物とは、珪素元素とそれからなる化合物のことを指しており、その代表的な化合物として酸化珪素が挙げられる。本発明は、炭素材料からなる燃料電池用セパレータの表面濡れ性を向上させることを目的とするものであり、濡れ性が良好な酸化珪素などの珪素化合物、若しくは、珪素元素を含む化合物を含有させることで、目的とする性能の向上を実現できるものである。
多孔性炭素粉末における珪素化合物の含有量は、1〜40質量%であることが好ましく、更に好ましくは5〜30質量%である。1質量%未満であると、珪素の効果が発揮できなくなる場合があり、一方、40質量%を超えると、母材である炭素材料の導電性能を低下させる場合がある。
次に、上記したような珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末の製造方法について説明する。まず、炭素粉末に多孔組織を形成させる方法としては、多孔組織を有する樹脂発泡体を炭化焼成する方法や、炭素化率の異なる樹脂の混合物からなる樹脂組成物を炭化焼成することで炭素化率の低い領域に気孔組織を形成させ多孔組織を形成させる方法などがある。また、パルプ、セルロース、米糠、籾殻等の多孔組織を有する植物系材料及びそれらの混合物に樹脂成分を混合し炭化焼成することで多孔組織を形成させる方法などが挙げられる。このように炭化焼成することで得られた炭化物を粉体化することで、多孔組織を有する炭素粉末を得ることができる。このときの樹脂成分としては、炭素源となることが必要であるため、炭化焼成時に加熱溶融しない熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、上述のものを用いることができる。
このような多孔性炭素粉末に珪素化合物を含有させるためには、多孔質炭素粉末の製造段階において、炭素源となる樹脂成分に乾式もしくは湿式法で珪素化合物を含有させた混合物を炭化焼成する方法や、珪素化合物を含有する植物由来材料と樹脂成分とからなる混合物を炭化焼成する方法などが挙げられる。例えば、樹脂発泡体や炭素化率の異なる樹脂組成物から多孔性炭素粉末を得る場合には、樹脂成分中に珪素化合物を含有させたうえで炭化焼成する方法がある。また、パルプ、セルロース、米糠等の植物系材料あるいはそれらの混合物と樹脂成分とから多孔性炭素粉末を得る方法としては、炭素源となる熱硬化性樹脂に乾式もしくは湿式法で珪素化合物を混合し硬化後炭化焼成する方法や、籾殻の様にその成分として珪素化合物を含有している材料と樹脂成分とからなる混合物を炭化焼成する方法などがある。
これらの方法の中で、籾殻を用いる方法が、均一に珪素化合物が分散している物質を樹脂組成物中に含有させることができて、得られる炭素材料の性能の向上を図ることが可能となるため、特に好ましい。籾殻は、無機成分を約20質量%程度含有しており、その無機成分の約90質量%は、非晶質の水和した形態のシリカ(SiO)と小量のアルカリなどの元素からなっている。この籾殻中のシリカは、石英やケイ石などと異なり反応性がよいという特徴を有している。よって、籾殻を珪素源として利用することにより、炭素材料組織中に珪素成分を均一に複合させることが可能となり効果的である。
本発明においては、上記した熱硬化性樹脂と、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末とを混合し樹脂組成物を作製する。その樹脂組成物中における熱硬化性樹脂の含有量は15〜80質量%とする必要があり、好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは25〜60質量%、最も好ましくは25〜50質量%である。熱硬化性樹脂が15質量%未満であると、樹脂組成物に樹脂特性が反映されず、溶融時流動性が乏しくなって、目的とする成形品を得ることが困難となる。また、最終的に得られる炭素材料の機械的物性も低くなる。反対に熱硬化性樹脂が80質量%を超えると、多孔性炭素粉末の特性が反映されなくなり、得られる炭素材料の機能化が困難となる。
これに対応して、樹脂組成物中における珪素を含有する多孔性炭素粉末の含有量は85〜20質量%とする必要があり、好ましくは80〜30質量%、さらに好ましくは75〜40質量%、最も好ましくは75〜50質量%である。
本発明において、熱硬化性樹脂と、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末とから樹脂組成物を作製する方法としては、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末に熱硬化性樹脂溶液を含浸させる方法や、溶融混練法を用いることが可能である。
熱硬化性樹脂溶液を多孔性炭素粉末に含浸させる方法は、熱硬化性樹脂を水や有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランに溶かして溶液とし、この溶液に珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末を所定量浸漬させることで、熱硬化性樹脂溶液を珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末に含浸させた形とし、その後に超音波処理を施すことで気泡等を消滅させる方法等が挙げられる。この場合は、その後に撹拌することにより、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末を熱硬化性樹脂溶液中に均一に分散させることが好ましい。その後、溶媒を取り除けばよい。
溶融混練法を適応する場合は、加圧ニーダー、二軸押出機、ヘンシェルミキサー又はミキシング熱ロール等を用いて、熱硬化性樹脂と、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末とを所定量で加熱混練する。この場合の加熱条件としては、熱硬化性樹脂が溶融する温度以上であり、しかも急激な硬化反応が進行しない温度を採用することが必要である。
上記した樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末のほかに、その他の特性を改良する目的で、あるいはフィラーとして、黒鉛粒子、カーボンブラック、無機粒子、無機繊維、炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン、ガラス状炭素、黒鉛、木粉、セルロース粒子、熱硬化性樹脂硬化物等を含有していても構わない。それらの含有量は、10質量%以下であることが好ましい。
更に、所望に応じて、成形加工時の改良剤である高級脂肪酸や高級脂肪酸金属塩等の加工助剤、離型剤、架橋剤、熱硬化性樹脂用架橋促進剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を用いることが可能である。それらの含有量は、15質量%以下であることが好ましい。
本発明の燃料電池用セパレータは、上記した樹脂組成物を成形加工し、その後に炭化焼成することにより、得ることができる。成形加工の方法としては、射出成形、加圧成形、トランスファー成形などが挙げられる。その中でも、射出成形が、成形時間の短縮が可能であることから最も好ましい。熱硬化性樹脂組成物の射出成形は、工業的に確立された成形技術であり、精密な成形が可能であり、本発明の目的とする成形加工品を得る方法として最適な方法である。
上述のように成形加工した後、目的とする炭素材料とするために炭化焼成することが必要である。炭化焼成することで導電性材料となり、しかも炭素材料としての特性を発現し、目的とする燃料電池用セパレータに適したものとなる。また、熱硬化性樹脂組成物からなる成形品の炭化物であるため、得られるカーボン材はガラス状カーボンとなる。ガラス状カーボンは、優れた機械的物性やガス不透過性能や耐腐食性能を有するため、燃料電池用セパレータとしての必要性能を備えている。
炭化焼成のための焼成温度は、700〜1500℃であることが好適である。更に好ましくは、900〜1200℃である。700℃未満の温度では、樹脂組成物が充分に炭化しないため、電気的性能や機械的物性に劣ったものとなる。1500℃を超す温度での焼成では、それによって珪素と炭素からなる炭化珪素が形成されるため、機械的物性の低下が起こり、目的とする性能を発現することが困難となる。焼成は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性雰囲気下や、真空若しくは減圧雰囲気下の無酸素雰囲気下で行うことが好ましい。また、その炭化過程において寸法の収縮が起こるため、成形加工時には焼成後寸法を見込んだ寸法の成形品を製造する必要がある。
焼成する時間は、特に限定されるものではないが、工業的な量産効果やユーティリティーコストの削減を目的として、可能な限り短い時間であることが好ましい。しかし、急激な焼成処理を施すと炭化過程における組織の破壊が起こり、目的とする構造体を得ることが不可能となるため、炭化焼成過程において、割れやクラック等の欠点が発生しない時間以上で炭化焼成する必要がある。
なお、本発明に用いられるセパレータのサイズは、特に限定されるものではなく、目的に応じて設計変更できるものである。またその平面形状及び溝形状も目的に応じて種々に変更可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、下記の実施例・比較例における各評価項目の詳細は、以下の通りである。
珪素化合物含有量(質量%):X線を用いた「X線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)」により測定した。XRD分析により珪素の化合物を同定し、ESCA−1000(島津製作所社製のX線光電子分光装置)により、珪素原子の定量分析を行い、珪素化合物の含有量として算出した。
成形性:成形品を作製する際に、樹脂組成物が良好な熱流動性を示し、目的とする形状に成形加工することが可能であり、かつ、成形品中に気泡、欠陥部等の混入がない良好な外観であるものを成形性良好(○)と評価し、樹脂組成物が充分な熱流動性を示さない等の問題により目的とする形状の成形品を得ることが困難である場合や、気泡や欠陥部等を混入し良好な外観の成形品が得られない場合を成形性不良(×)と評価した。
焼成後外観:得られた成形品を炭化焼成した際に、クラックや割れ等の欠陥点が確認できたものは外観不良として×と評価し、それらが観測されなかったものは外観良好として○と評価した。
ぬれ張力(単位:mN/m):JIS K6768に記載の方法に従って測定した。
発電性能:下記の実施例または比較例の試験片と同様の方法により、その形状、寸法等を変更して、燃料電池用セパレータを得た。そして、反応面積50cmのMEAに上記の燃料電池用セパレータを用いて単セルを構成し、燃料ガスとして純水素を使用するとともに酸化ガスとして空気を使用し、燃料利用率80%の条件下で燃料電池発電試験を実施した。その際に、電圧変動が±0.015V以下と小さなものはフラッディング現象がなく発電性能が良好であると判断して○と評価した。これに対し、±0.015Vを超える大きな電圧変動が観測されたものは、フラッディング現象が起こっており発電性能が不良であると判断して×と評価した。
実施例1
レゾール系フェノール樹脂(製品名:フェノライト5510(大日本インキ社製))と、珪素化合物を含有した籾穀由来の多孔性炭素粉末(三和油脂社製、粒子径(メディアン径):60μm、SiO含有率:30%、気孔率:35%、気孔径:10〜15μm)とからなる、(フェノール樹脂)/(炭素粉末)=25質量%/75質量%の組成比の混合物に、この混合物を100質量部として、加工助剤としてステアリン酸亜鉛1.2質量部、酸化マグネシウム1.2質量部を加えて均一に混練し、フェノール樹脂組成物とした。これを成形用材料として、日精樹脂工業社製射出成形機(MODEL FE80S12ASEK)を使用し、射出成形して成形品を得た。この成形品を、窒素雰囲気下、1000℃で5時間炭化焼成し、幅×長さ×厚さ100mm×100mm×2mmの、燃料電池用セパレータの構成材料として使用可能な炭素材料製試験片を得た。
この試験片の特性を表1に示す。
Figure 2008186642
実施例2〜3
実施例1に比べて、(フェノール樹脂)/(炭素粉末)の組成比を表1に示すように変更した。そして、それ以外は実施例1と同様にして試験片を得た。この試験片の特性を表1に示す。
比較例1
樹脂組成物として実施例1と同様のものを用い、(フェノール樹脂)/(炭素粉末)=10質量%/90質量%の組成比の混合物を用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、試験片を得ようとした。しかし、射出成形による成形品を得ることができなかった。その結果を表1に示す。
比較例2
樹脂組成物として実施例1と同様のものを用い、(フェノール樹脂)/(炭素粉末)=85質量%/15質量%の組成比の混合物を用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、試験片を得て評価した。その結果を表1に示す。
比較例3
比較例1に比べて、レゾール系フェノール樹脂と黒鉛粒子との組成比を、(フェノール樹脂)/(黒鉛粒子)=25質量%/75質量%となるように変更した。そして、それ以外は比較例1と同様にして、射出成形による試験片を得ようとした。しかし、成形品を得ることができなかった。その結果を表1に示す。
比較例4
比較例1に比べ、レゾール系フェノール樹脂と黒鉛粒子との組成比を、(フェノール樹脂)/(黒鉛粒子)=75質量%/25質量%となるようにした。そして、それ以外は比較例1と同様にして、試験片を得て評価した。その結果を表1に示す。
比較例5
樹脂組成物として、レゾール系フェノール樹脂(製品名:フェノライト5510(大日本インキ社製))に、カーボンブラック(製品名:シーストSP(東海カーボン社製、算術平均粒子径:95nm、窒素吸着比表面積:20m/g、DBP吸収量:51cm/100g))を、(フェノール樹脂)/(カーボンブラック)=25質量%/75質量%となるように含有させた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、試験片を得ようとした。しかし、射出成形による成形品を得ることができなかった。その結果を表1に示す。
比較例6
比較例5に比べ、レゾール系フェノール樹脂とカーボンブラックとの組成比を、(フェノール樹脂)/(カーボンブラック)=75質量%/25質量%となるようにした。そして、それ以外は比較例5と同様にして、試験片を得て評価した。その結果を表1に示す。
実施例1〜3のものは、成形性が良好であり、問題なく成形品を得ることが可能であった。また、成形品を炭化焼成したものについてのぬれ張力の測定結果から、ぬれ性が良好であることが確認でき、セパレータとして問題なく適用可能であり、燃料電池としての発電性能も優れたものであった。
これに対し、比較例1のものは、成形性が不良であり、上述のように成形品を得ることができなかった。
比較例2のものは、フェノール樹脂の量が多過ぎ、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末の量が少な過ぎた。このため、成形性は良好であり試験片を得ることは可能であったが、ぬれ特性が劣っており、燃料電池の発電特性の高機能化は困難であった。
比較例3及び5のものは、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末に代えて黒鉛やカーボンブラックを使用し、しかも黒鉛やカーボンブラックの組成比が高かったため、得られた樹脂組成物は成形性に劣っており、上述のように成形品を得ることができなかった。
比較例4及び6のものは、比較例3及び5のものと同様に、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末に代えて黒鉛やカーボンブラックを使用したが、これら黒鉛やカーボンブラックの組成比が高くなかったために試験片を得ることは可能であった。しかし、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末を含有していなかったため、ぬれ特性が良好でなく燃料電池の発電時における高性能化が困難であった。

Claims (3)

  1. 熱硬化性樹脂15〜80質量%と、珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末85〜20質量%とを含有する樹脂組成物が成形加工され、さらに炭化焼成されたものであることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  2. 熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 珪素化合物を含有する多孔性炭素粉末が、籾殻を原料として得られたものであることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用セパレータ。
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