JP2005158343A - 超電導線材、それを用いる超電導多芯線およびそれらの製造方法 - Google Patents

超電導線材、それを用いる超電導多芯線およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 臨界電流密度が高く、かつ熱処理工程において被覆金属の表面に膨れなどが生じる傾向が低い、超電導線材を提供する。
【解決手段】 酸化物超電導体と、この酸化物超電導体を被覆する被覆金属と、を備える酸化物超電導線材であって、この被覆金属の材料の酸素含有量が50ppm以下である、超電導線材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超電導線材に関する。さらに詳しくは、本発明は、酸化物超電導体と被覆金属とを備える超電導線材に関する。また、本発明は、複数の上記の超電導線材と第2の被覆金属とを備える超電導多芯線に関する。
さらに、本発明は、上記の超電導線材の製造方法に関する。また、本発明は、上記の超電導多芯線の製造方法に関する。
従来、酸化物高温超電導線材としては、ビスマス系多芯線が開発されている。
ビスマス系多芯線の製造方法としては、パウダーインチューブ法により、(BiPb)2Sr2Ca2Cu3x相(Bi−2223相)などの酸化物超電導体を長尺のテープ状線材に形成する技術が知られている。この方法では、たとえば、まず超電導体の原料粉末を金属パイプに充填する。次に、この金属パイプを伸線加工してクラッド線とする。複数のクラッド線を束ねて再度金属パイプに挿入し、伸線加工して多芯線とする。この多芯線を圧延加工して、金属シース中に多数の超電導フィラメントが含まれるテープ線材とする。
この方法では、さらに、テープ線材に一次熱処理を施して目的の超電導体を生成させる。続いて、このテープ線材を再度圧延してから二次熱処理を施して、超電導体の結晶粒同士を接合させる。これら2回の塑性加工と熱処理は1回しか行わない場合もある。
ここで、Bi−2223相をはじめとするビスマス系酸化物超電導体は、セラミックスであるため脆く可とう性に乏しい傾向があるので、金属シースで覆う構造とすることが一般的である。しかし、金属シースに用いる金属の種類によっては、ビスマス系酸化物超電導体の超電導性能に悪影響を及ぼすことが知られている。その観点から、上記の金属シースには、ビスマス系酸化物超電導体の超電導性能に影響がないことが知られている銀が用いられている場合が多い。
そして、同じ断面積を有し、酸化物超電導体の臨界電流密度が等しい線材で比較した場合、酸化物超電導体の占有率が高い超電導線材ほど臨界電流値が大きくなる。そのため、臨界電流特性の観点からは、できるだけ酸化物超電導体の占有率の高い超電導線材を作製する方が好ましい。ここで、このような超電導線材に対して、上記の熱処理を行うと被覆金属の表面に膨れなどが生じる傾向がある。また、膨れが発生した箇所は、内部が乱れて臨界電流密度が低下する傾向がある。さらに、超電導線材の被覆金属の膨れが発生した箇所をそのまま加工し続けた場合、膨れが発生した箇所の内部がより一層乱れ臨界電流密度が大幅に低下する傾向がある。そのため、良好な特性を有する超電導線材の製造が困難になる問題があった。
そこで、優れた特性を有する超電導線材の製造を可能とするために、超電導線材の製造方法について多くの技術開発がなされている。
たとえば、超電導体の原料粉末を金属パイプに充填し、この金属パイプに少なくとも1回の塑性加工および熱処理を施して線材を得る工程と、前記熱処理温度よりも低い温度で、かつ大気よりも低酸素雰囲気にて前記線材を加熱する低酸素熱処理工程とを含む、超電導線材の製造方法が開示されている(たとえば、特許文献1参照。)。この製造方法を用いれば、従来公知の製造方法よりも、超電導線材の臨界電流を向上できる。
しかし、この製造方法によっても、熱処理途中で超電導線材の被覆金属の表面に膨れなどが生じる傾向を防ぐことは困難である。
また、超電導体の原料粉末を金属パイプに充填する工程と、この金属パイプを伸線加工してクラッド線とする工程と、複数のクラッド線を束ねて再度金属パイプ内に多角形に配置されるように挿入し、伸線加工して多芯線とする工程と、この多芯線を圧延加工して、金属シース中に多数の超電導フィラメントが含まれるテープ線材とする、超電導多芯線の製造方法であって、多芯線を圧延加工する際、圧延方向を多角形に配置されたクラッド線の対角方向または対辺方向とする、超電導多芯線の製造方法が開示されている(たとえば、特許文献2参照。)。
しかし、この製造方法によっても、熱処理途中で超電導線材の被覆金属の表面に膨れなどが生じる傾向を防ぐことは困難である。
特開2003−203532号公報 特開2003−242847号公報
上記のように、熱処理途中で超電導線材の被覆金属の表面に膨れなどが生じる問題は、未だ完全に解決されたわけではない。
よって、本発明の課題は、臨界電流密度が高く、かつ熱処理工程において被覆金属の表面に膨れなどが生じる傾向が低い、超電導線材を提供することである。
また、本発明の別の課題は、臨界電流密度が高く、かつ熱処理工程において被覆金属の表面に膨れなどが生じる傾向が低い、超電導多芯線を提供することである。
さらに、本発明の他の課題は、臨界電流密度が優れる超電導線材を、熱処理工程において被覆金属の表面に膨れなどが生じることなく製造することのできる、超電導線材の製造方法を提供することである。
そして、本発明のもう一つの課題は、臨界電流密度が優れる超電導多芯線を、熱処理工程において被覆金属の表面に膨れなどが生じることなく製造することのできる、超電導多芯線の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するためには、従来着目されてこなかった銀パイプなどの被覆金属の材料の特質について検討を加えればよいとの着想を得、各種の材料や構造などを有する超電導線材および超電導多芯線を試作して、臨界電流密度が優れる超電導多線材および超電導多芯線を、熱処理工程において被覆金属の表面に膨れなどが生じることなく製造することのできる被覆金属の材料や条件を検討した。
その結果、本発明者は、上記の熱処理工程において被覆金属の表面に膨れが発生する原因の一つは、被覆材料に使用している金属に固溶している酸素が原因となって熱処理時に被覆金属が膨張不良を起こすためであることを見出した。
そして、本発明者は、被覆金属の材料の酸素含有量を特定の範囲に調整することにより、臨界電流密度が優れる超電導多線材および超電導多芯線を、熱処理工程において被覆金属の表面に膨れなどが生じることなく製造することができることを見出し、上記の問題を克服して、本発明を完成した。
すなわち、本発明の超電導線材は、酸化物超電導体と、この酸化物超電導体を被覆する被覆金属と、を備える酸化物超電導線材であって、この被覆金属の材料の酸素含有量が50ppm以下である、超電導線材である。
ここで、この酸素含有量は20ppm以下であることが好ましい。
また、この被覆金属の平均厚みは、10μm〜50μmの範囲内であることが望ましい。
そして、この被覆金属の材料は、銀および/または銀合金を含むことが好ましい。また、この酸化物超電導体の材料は、ビスマス系酸化物超電導体を含むことが望ましい。
また、本発明の超電導多芯線は、複数の上記の超電導線材と、この超電導線材を被覆する第2被覆金属と、を備える、超電導多芯線である。ここで、本発明の超電導多芯線はテープ状の形状を有することが好ましい。
そして、本発明の超電導線材の製造方法は、酸化物超電導体の材料となる材料を含む原料粉末を、酸素含有量が50ppm以下である被覆金属の材料からなる金属筒に充填するステップと、この原料粉末を充填されたこの金属筒に1回以上の塑性加工および熱処理を施すステップと、を備える、超電導線材の製造方法である。
また、本発明の超電導多芯線の製造方法は、酸化物超電導体の材料となる材料を含む原料粉末を、酸素含有量が50ppm以下である被覆金属の材料からなる金属筒に充填するステップと、この原料粉末を充填されたこの金属筒に1回以上の塑性加工を施して線材を得るステップと、複数のこの線材を、第2被覆金属の材料となる金属筒に充填するステップと、この複数のこの線材を充填されたこの金属筒に1回以上の塑性加工および熱処理を施して超電導多芯線を得るステップと、を備える、超電導多芯線の製造方法である。
本発明の超電導線材は、下記に示すように、臨界電流密度が高く、かつ被覆金属の材料の酸素含有量が特定の範囲にあるため、熱処理工程において被覆金属の表面に膨れなどが生じる傾向が低い、優れた臨界電流密度および加工性を有する超電導線材である。
また、本発明の超電導多芯線は、臨界電流密度が高く、かつ被覆金属の材料の酸素含有量が特定の範囲にあるため、熱処理工程において被覆金属の表面に膨れなどが生じる傾向が低い、優れた臨界電流密度および加工性を有する、超電導多芯線である。
さらに、本発明の超電導線材の製造方法は、臨界電流密度が優れる超電導線材を、被覆金属の表面に膨れなどを発生させることなく熱処理して製造することのできる、超電導線材の製造方法である。
そして、本発明の超電導多芯線の製造方法は、臨界電流密度が優れる超電導多芯線を、被覆金属の表面に膨れなどを発生させることなく熱処理して製造することのできる、超電導多芯線の製造方法である。
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
<定義>
本明細書において、超電導線材とは、超電導体と、この超電導体を被覆する被覆材と、を備える線材を意味するものとする。ここで、この超電導体は、1本の超電導線材内に1本しか含まれていなくてもよいが、1本の超電導線材内に複数本含まれていてもよい。
また、本明細書において、超電導多芯線とは、複数本の超電導体と、この超電導体を被覆する被覆材と、を備える線材を意味するものとする。ここで、この被覆材は、単層であってもよいが、複層であってもよい。
そして、本明細書において、超電導線材とは、超電導多芯線を含む、より広い概念を意味するものとする。よって、上記の定義によれば、超電導多芯線内には複数本の超電導線材が含まれる場合があるが、この場合でも、この超電導多芯線は超電導線材であることに変わりはないものとする。
<超電導線材および超電導多芯線の製造方法>
通常、超電導線材の製造方法は、酸化物超電導体の原料粉末の調整をするステップと、原料粉末の金属パイプへの充填をするステップと、原料粉末の充填された金属パイプの塑性加工を行なうステップと、塑性加工された原料粉末の充填された金属パイプを熱処理するステップと、を備えることが好ましい。
より詳しく説明すると、上記の超電導線材の製造方法が、超電導多芯線の製造方法である場合には、上記の塑性加工を行なうステップには、クラッド線を作製するステップと、多芯線を作製するステップと、多芯線を圧延してテープ線材を作製するステップと、が含まれることが好ましい。また、上記の塑性加工を行なうステップと、熱処理するステップとは、各々2回以上行われてもよい。
上記の超電導線材の製造方法が、ビスマス系多芯線の製造方法である場合には、パウダーインチューブ法により、(BiPb)2Sr2Ca2Cu3x相(Bi−2223相)などの酸化物超電導体を長尺のテープ状線材に形成することが好ましい。
この方法では、たとえば、まず超電導体の原料粉末を金属パイプに充填する。次に、この金属パイプを伸線加工してクラッド線とする。複数のクラッド線を束ねて再度金属パイプに挿入し、伸線加工して多芯線とする。この多芯線を圧延加工して、金属シース中に多数の超電導フィラメントが含まれるテープ線材とする。
この方法では、さらに、テープ線材に一次熱処理を施して目的の超電導体を生成させる。続いて、このテープ線材を再度圧延してから二次熱処理を施して、超電導体の結晶粒同士を接合させる。これら2回の塑性加工と熱処理は1回しか行わない場合もある。
図1は、本発明の超電導線材の製造方法の一例を示すフロー図である。
ここで、本発明の超電導線材の製造方法においても、上記の通常の超電導線材の製造方法と同様の製造方法を用いることができるが、図1に示すように、酸化物超電導体の原料粉末を、酸素含有量が特定の範囲内である被覆金属の材料からなる金属筒に充填するステップ(S101)と、この原料粉末を充填されたこの金属筒に1回以上の塑性加工および熱処理を施すステップ(S103)と、を備える、超電導線材の製造方法を用いることが特に好ましい。
図2は、本発明の超電導多芯線の製造方法の一例を示すフロー図である。
また、本発明の超電導多芯線の製造方法においても、上記の通常の超電導多芯線の製造方法と同様の製造方法を用いることができるが、図2に示すように、酸化物超電導体の材料となる材料を含む原料粉末を、酸素含有量が特定の範囲内である被覆金属の材料からなる金属筒に充填するステップ(S201)と、この原料粉末を充填されたこの金属筒に1回以上の塑性加工を施して線材を得るステップ(S203)と、複数のこの線材を、第2被覆金属の材料となる金属筒に充填するステップ(S205)と、この複数の線材を充填されたこの金属筒に1回以上の塑性加工および熱処理を施して超電導多芯線を得るステップ(S207)と、を備える、超電導多芯線の製造方法を用いることが特に好ましい。
<原料粉末>
本発明に用いる酸化物超電導体の原料粉末としては、最終的に77K以上の臨界温度を持ち得る超電導体が得られるように配合した原料粉末が好適である。この原料粉末には、複合酸化物を所定の組成比となるように混合した粉末のみならず、その混合粉末を焼結し、これを粉砕した粉末も含まれる。
また、本発明の酸化物超電導体の材料として、最終的にビスマス系(たとえば、Bi2223系)酸化物超電導体を含む材料を用いる場合には、出発原料粉末には、Bi23、PbO、SrCO3、CaCO3、CuOの粉末を含む混合原料粉末を用いることが好ましい。これらの混合原料粉末を700〜800℃、10〜40時間、大気圧または減圧雰囲気下にて少なくとも1回熱処理することにより、Bi2223相よりもBi2212相が主体となった原料粉末を得ることができ、本発明の酸化物超電導体の原料粉末として好適に使用可能である。
上記の出発原料粉末の具体的な組成比は、BiaPbbSrcCadCueで(a+b):c:d:e=1.7〜2.8:1.7〜2.5:1.7〜2.8:3を満たすことが好ましい。これらの中でも、(Biまたは(Bi+Pb)):Sr:Ca:Cu=2:2:2:3を中心とする組成比が特に好適である。とりわけ、Biは1.8付近、Pbは0.3〜0.4、Srは2付近、Caは2.2付近、Cuは3.0付近であることが好ましい。
本発明に用いる金属筒に充填する原料粉末は、最大粒径が2.0μm以下であり、平均粒径が1.0μm以下であることが好ましい。このよう微粉末を用いることで、高温酸化物超電導体を生成しやすくなるからである。
<金属筒>
本発明に用いる金属筒(金属パイプ)の材料としては、Ag、Cu、Fe、Ni、Cr、Ti、Mo、W、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osからなる群より選択される1種以上の金属および/またはこれらの金属をベースとする合金を用いることが好ましい。これらの中でも、酸化物超電導体との反応性や加工性の面からは、銀および/または銀合金を用いることが特に好ましい。
ここで、本発明の超電導線材を製造する際に用いる被覆金属の材料となる金属筒の材料としては、酸素含有量が小さい材料を用いることにより、熱処理などの加工途中で発生する被覆金属の表面の膨れなどを抑制することができる。銀および/または銀合金中に固溶している酸素が一定値以上である場合には、熱処理時に酸素固溶部分が熱膨張を起こして膨張を招く傾向があるからである。
そして、本発明に用いる金属筒の材料の酸素含有量は、80ppm以下であることが好ましく、特に50ppm以下であることがより好ましく、とりわけ20ppm以下であることが非常に好ましい。
当社における実験によると、脱酸素対策を施していない銀および/または銀合金の棒状や板状の試料(酸素含有量は約100ppm)を高温(約800℃)で熱処理すると、表面にそらまめ状の膨れや表面荒れが多数発生することが確認されているからである。一方、この酸素含有量が80ppm以下の試料においては、膨れや表面荒れの発生は少なく、この酸素含有量が50ppm以下の試料においては、膨れや表面荒れはほとんど発生せず、この酸素含有量が20ppm以下の試料においては、膨れや表面荒れは全く発生しないことも確認しているからである。
本発明に用いる金属筒の材料として、上記の特性を有する材料を用いることは、超電導線材および超電導多芯線中の酸化物超電導体の占有率が大きい場合により効果的である。なぜなら、超電導線材および超電導多芯線中の酸化物超電導体の占有率が大きくなると、実質、超電導線材および超電導多芯線の構造材となっている被覆金属の厚みが薄くなるため、被覆金属に固溶している酸素が原因となって熱処理時に被覆金属が膨張不良を起こしやすくなるためである。
すなわち、本発明に用いる金属筒の材料として、上記の特性を有する材料を用いることは、超電導線材および超電導多芯線中の被覆金属の厚みが薄い場合により効果的である。より詳細には、本発明に用いる被覆金属の厚みは、50μm以下であることが好ましい。また、この厚みは10μm以上であることが好ましい。被覆金属の厚みが薄い場合には、被覆金属の強度が弱くなるため、被覆金属表面の膨れや表面荒れの問題の発生する可能性が大きくなるからである。
なお、銀および/または銀合金を材料として含む金属筒の製造工程において、銀および/または銀合金の溶解時に酸素が混入しないように対策をとることで金属筒の酸素含有量は容易に調整することができる。ここで、超電導線材および超電導多芯線中の被覆金属は、テープ状に薄く引き延ばして使用するため、わずかな酸素でも被覆金属の表面に膨れや表面荒れを発生する可能性が高いので、酸素含有量が20ppm以下の銀および/または銀合金を材料として含む金属筒を用いることが好ましい。
また、上記の被覆金属の炭素含有量については、炭素は超電導特性、特に超電導体の結晶粒界部に作用して臨界電流密度に悪影響を与える傾向があるので、できる限り被覆金属の炭素含有量は少ない方が好ましい。この被覆金属中の炭素含有量は、30ppm以下であることが好ましい。
<塑性加工>
本発明の超電導線材および超電導多芯線の製造方法における、塑性加工には、種々の減面加工が含まれる。具体的には、伸線加工、圧延加工、プレス加工、スウェージなどが挙げられる。
多芯線をテープ状に加工する理由は、最終的に形成される超電導多芯線の結晶の向きを揃えるためである。一般に、酸化物系の超電導多芯線は結晶の方向により流すことができる電流密度に大きな違いがあり、結晶方向を揃えることでより大きな電流密度を得ることができるからである。
上記の場合、塑性加工および熱処理をそれぞれこの順で二回以上行なうのであれば、二次塑性加工では、一次熱処理後にテープ状の多芯線をさらに再圧延することが好ましい。この再圧延加工は、一次熱処理による反応で形成された空隙を押し潰し、後に行なう二次熱処理で酸化物超電導体の結晶同士を強固に結合させるために行われる。
<熱処理>
本発明の超電導線材および超電導多芯線の製造方法における、熱処理は、代表的には一次熱処理と二次熱処理の二回以上行われることが好ましい。一次熱処理は、主としてBi2223相などの酸化物超電導体を生成させることを目的として行われる。二次熱処理は、主としてBi2223相などの酸化物超電導体の結晶粒同士を強固に結合させるために行なう。
<超電導線材>
本発明の超電導線材は、酸化物超電導体と、この酸化物超電導体を被覆する被覆金属と、を備える酸化物超電導線材であって、この被覆金属の酸素含有量が特定の範囲内である、超電導線材である。
ここで、上記の酸素含有量は、80ppm以下であることが好ましく、特に50ppm以下であることがより好ましく、とりわけ20ppm以下であることが非常に好ましい。上記の本発明の超電導線材の製造方法の説明と同様の理由によるものである。
また、本発明に用いる被覆金属の厚みは、50μm以下であることが好ましい。また、この厚みは10μm以上であることが好ましい。上記の本発明の超電導線材の製造方法の説明と同様の理由によるものである。
そして、本発明に用いる被覆金属の材料は、Ag、Cu、Fe、Ni、Cr、Ti、Mo、W、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osからなる群より選択される1種以上の金属および/またはこれらの金属をベースとする合金を用いることが好ましい。これらの中でも、酸化物超電導体との反応性や加工性の面からは、銀および/または銀合金を用いることが特に好ましい。上記の本発明の超電導線材の製造方法の説明と同様の理由によるものである。
また、本発明に用いる酸化物超電導体の材料は、ビスマス系酸化物超電導体を含むことが好ましい。たとえば、上記の本発明の超電導線材の製造方法の説明と同様に、Bi23、PbO、SrCO3、CaCO3、CuOの粉末を含む混合原料粉末などから得られるビスマス系酸化物超電導体を含むことが好ましい。本発明の超電導線材の製造方法などの適切な製造方法により製造されれば、最終的に77K以上の高温の臨界温度を持ち得る超電導体が得られるからである。
<超電導多芯線>
本発明の超電導多芯線は、複数の上記の超電導線材と、この超電導線材を被覆する第2被覆金属と、を備える、超電導多芯線である。ここで、本発明の超電導多芯線は、テープ状の形状を有することが好ましい。上記の本発明の超電導多芯線の製造方法の説明と同様の理由によるものである。
また、本発明の超電導多芯線に用いる、被覆金属および酸化物超電導体の特性は、上記の本発明の超電導線材に用いる被覆金属および酸化物超電導体と同様であることが好ましい。上記の本発明の超電導線材の説明と同様の理由によるものである。
すなわち、この超電導線材を被覆する第2被覆金属の材料としては、Ag、Cu、Fe、Ni、Cr、Ti、Mo、W、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osからなる群より選択される1種以上の金属および/またはこれらの金属をベースとする合金を用いることが好ましい。これらの中でも、酸化物超電導体との反応性や加工性の面からは、銀および/または銀合金を用いることが特に好ましい。
ここで、この超電導線材を被覆する第2被覆金属の材料となる金属筒の材料としては、酸素含有量が小さい材料を用いることにより、熱処理などの加工途中で発生する被覆金属の表面の膨れなどを抑制することができる。銀および/または銀合金中に固溶している酸素が一定値以上である場合には、熱処理時に酸素固溶部分が熱膨張を起こして膨張を招く傾向があるからである。
よって、上記の金属筒の材料の酸素含有量は、80ppm以下であることが好ましく、特に50ppm以下であることがより好ましく、とりわけ20ppm以下であることが非常に好ましい。上記の酸化物超電導体を被覆する被覆金属の場合と同様の理由によるものである。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
まず、Bi23、PbO、SrCO3、CaCO3、CuOの各粉末を1.8:0.3:1.9:2.0:3.0の割合で混合した。次いで、混合粉末を大気中にて700℃×8時間、800℃×10時間、840℃×8時間の熱処理を順次行った。各熱処理後にはそれぞれ粉砕を行った。
この原料粉末を外径36mm、内径33.5mm、長さ1000mm、酸素含有量50ppm、炭素含有量20ppm、銀純度4Nの銀パイプに挿入して、これを直径3.7mmまで伸線してクラッド線を作製した。このクラッド線を55本束ねて六角形となるように配置し、外径36mm、内径28mm、長さ1000mmの銀合金パイプに挿入して、これを直径1.6mmまで伸線して多芯線を得た。さらに、この多芯線を圧延(一次圧延)し、テープ状の多芯線に加工した。
そして、得られたテープ状の多芯線に大気雰囲気にて840℃〜850℃×50時間の一次熱処理を施した。一次熱処理後のテープ状の多芯線を幅4.0mm、厚さ0.2mmになるように再圧延(二次圧延)する。次いで、再圧延後のテープ状の多芯線に大気雰囲気にて840℃〜850℃×50時間〜150時間の二次熱処理を施して、超電導多芯線を得た。続いて、得られた超電導多芯線の製造工程中に生じた被覆金属の表面の膨れや表面荒れを目視にて確認した。膨れや表面荒れ発生数の結果を表2に示す。
<実施例2〜11および比較例1および2>
実施例2〜11および比較例1および2においては、下記の表1に示す特性を有する被覆金属を用いて、酸化物超電導体の占有率が下記の表2に示す割合になるようにした点を除いては、実施例1と同様にして、超電導多芯線を得た。
Figure 2005158343
Figure 2005158343
上記の結果から分かるように、酸素含有量が50ppmを超える銀および/または銀合金パイプを用いた比較例1および2の超電導多芯線では、その製造工程において被覆金属の表面に多くの微小な膨れや表面荒れが発生している。一方、酸素含有量が50ppm以下の銀および/または銀合金パイプを用いた実施例2〜11の超電導多芯線では、その製造工程においてほとんど、あるいは全く膨れや表面荒れが発生していない。
その後、本発明者は、酸素含有量が20ppm以下の銀および/または銀合金パイプを用いて多数の超電導多芯線を試作したが、酸素に起因すると思われるおいて被覆金属の表面の膨れや表面荒れは全く発生しなかった。
よって、実施例2〜11の超電導多芯線は、被覆金属材料の酸素含有量が少ないために、熱処理途中で超電導線材の被覆金属の表面に膨れや表面荒れなどが発生しない点において、比較例1および2の超電導多芯線よりも優れた超電導多芯線であることがわかる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の超電導線材の製造方法の一例を示すフロー図である。 本発明の超電導多芯線の製造方法の一例を示すフロー図である。

Claims (6)

  1. 酸化物超電導体と、前記酸化物超電導体を被覆する被覆金属と、を備える酸化物超電導線材であって、前記被覆金属の材料の酸素含有量が50ppm以下である、超電導線材。
  2. 前記酸素含有量が20ppm以下である、請求項1に記載の超電導線材。
  3. 前記被覆金属の平均厚みは、10μm〜50μmの範囲内である、請求項1に記載の超電導線材。
  4. 複数の請求項1に記載の超電導線材と、前記超電導線材を被覆する第2被覆金属と、を備える、超電導多芯線。
  5. 酸化物超電導体の材料となる材料を含む原料粉末を、酸素含有量が50ppm以下である被覆金属材料からなる金属筒に充填するステップと、
    前記原料粉末を充填された前記金属筒に1回以上の塑性加工および熱処理を施すステップと、
    を備える、超電導線材の製造方法。
  6. 酸化物超電導体の材料となる材料を含む原料粉末を、酸素含有量が50ppm以下である被覆金属材料からなる金属筒に充填するステップと、
    前記原料粉末を充填された前記金属筒に1回以上の塑性加工を施して線材を得るステップと、
    複数の前記線材を、第2被覆金属の材料となる金属筒に充填するステップと、
    前記複数の前記線材を充填された前記金属筒に1回以上の塑性加工および熱処理を施して超電導多芯線を得るステップと、
    を備える、超電導多芯線の製造方法。
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