JP2008186775A - 酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】交流損失を低減するとともに、超電導特性の低下を防止することのできる酸化物超電導線材の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化物超電導線材100の製造方法は、まず、酸化物超電導体110となるべき前駆体粉末を第1の金属管20に充填する工程を実施する。そして、第1の金属管20を構成する金属と異なる金属からなる金属被覆層を第1の金属管20の外表面に形成して、単芯線を得る工程を実施する。そして、単芯線を複数本形成して、複数本の単芯線を第2の金属管120に挿入して、多芯線を得る工程を実施する。そして、多芯線をテープ状に加工する。そして、金属被覆層を酸化して、絶縁体130を得る工程を実施する。そして、多芯線を熱処理して、前駆体粉末を酸化物超電導体110にする工程を実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導線材の製造方法に関し、たとえば交流損失を低減できる酸化物超電導線材の製造方法に関する。
近年、酸化物の焼結体が高い臨界温度で超電導特性を示すことが報告され、この超電導体を利用して超電導技術の実用化が促進されている。イットリウム系の酸化物は温度90Kで、ビスマス系の酸化物は温度110Kで超電導現象を示すことが報告されている。これらの酸化物超電導体は、比較的安価で入手できる液体窒素中で超電導特性を示すため、実用化が期待されている。
このような酸化物超電導体に、たとえば電力供給用の交流電流を流すためには、酸化物超電導体を銀シースで被覆し、その銀シースを高抵抗体で被覆し、その高抵抗体をさらに金属で被覆するような酸化物超電導線材が用いられている。酸化物超電導線材に交流電流を流すと、交流電流から生じる変動磁界による電気抵抗である交流損失が伴う。
交流損失の低減を目的とした酸化物超電導線材の製造方法は、たとえば特開2006−24576号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1に開示の酸化物超電導線材の製造方法は、酸化物超電導体を銀シースで被覆し、その銀シースをセラミックス粉末を含むセラミックス被覆層で被覆し、セラミックス被覆層をさらに金属で被覆する方法が開示されている。
しかし、上記特許文献1では銀シースで被覆された酸化物超電導体の周囲にセラミックス被覆層を配置する構造にしているが、セラミックスは加工性が良くないため、銀シースに挟まれた狭い領域に密度および厚さが均一にセラミックス被覆層を形成することは難しい。その結果、フィラメント間の垂直抵抗が十分に高くならないため、交流損失の低減に未だ改善の余地がある。
また、加工性を良好にするために、セラミックス被覆層の代わりに金属を被覆して金属被覆層を形成することも考えられる。しかし、超電導フィラメントを被覆している銀シースに金属被覆層を形成すると、金属被覆層を構成する元素が、酸化物超電導体を被覆している銀シースに拡散してしまう。その結果、酸化物超電導体と金属被覆層を構成する元素とが反応してしまい、酸化物超電導体の超電導特性が低下してしまうという問題がある。
特開2006−24576号公報
したがって、本発明の目的は、交流損失を低減するとともに、超電導特性の低下を防止することのできる酸化物超電導線材の製造方法を提供することである。
本発明にしたがった酸化物超電導線材の製造方法は、以下の工程を実施する。まず、酸化物超電導体となるべき前駆体粉末を第1の金属管に充填する工程を実施する。そして、第1の金属管を構成する金属と異なる金属からなる金属被覆層を第1の金属管の外表面に形成して、単芯線を得る工程を実施する。そして、単芯線を複数本形成して、複数本の単芯線を第2の金属管に挿入して、多芯線を得る工程を実施する。そして、多芯線をテープ状に加工する。そして、金属被覆層を酸化して、絶縁体を得る工程を実施する。そして、多芯線を熱処理して、前駆体粉末を酸化物超電導体にする工程を実施する。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法によれば、単芯線を得る工程で、金属被覆層を第1の金属管に被覆しているため、加工性が良好である。また、絶縁体にする工程で、金属被覆層を絶縁体にしているため、酸化物超電導体にする工程によって形成される酸化物超電導体に挟まれた狭い領域に密度および厚さが均一な絶縁体を形成することができる。そのため、酸化物超電導体の間に形成された絶縁体により、酸化物超電導体間の垂直抵抗が十分に高くなり、交流損失を低減できる。
また、金属被覆層を絶縁体にするため、金属被覆層を構成する金属が拡散することを抑制できる。その結果、拡散する金属と酸化物超電導体とが反応して生成される不純物相によって、酸化物超電導体の比率が低下することを抑制できる。また、酸化物超電導体が占める超電導相を、不純物相が汚染することも抑制できる。そのため、酸化物超電導体の臨界電流Icなどの超電導特性の低下を防止できる。
なお、上記「絶縁体」は、酸化する工程後の絶縁体のうち、95%以上が金属の酸化物になるまで金属被覆層が酸化されてなる状態を意味する。すなわち、絶縁体は、金属被覆層を構成する金属が全て酸化物になり、金属が全く含有されていない場合と、金属被覆層を構成する5%未満の金属が酸化されずに含有されている場合とを含んでいる。金属被覆層を構成する金属が酸化物になっている状態は、酸化物超電導線材の延びる方向と垂直の方向に切断した断面をSEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)を用いて観察することによって確認できる。
上記酸化物超電導線材の製造方法において好ましくは、第1の金属管を構成する金属は銀である。
銀は酸化物超電導体と反応性が低いので、第1の金属管と酸化物超電導体との反応を抑制できる。そのため、酸化物超電導体の超電導特性の低下をより防止できる。
上記酸化物超電導線材の製造方法において好ましくは、金属被覆層を構成する金属は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、およびニッケル(Ni)からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなる。
これらの物質は加工性が非常に良好であるので、より均一な厚さの金属被覆層が得られる。
上記酸化物超電導線材の製造方法において好ましくは、単芯線を得る工程は、第1の金属管を第3の金属管に挿入している。これにより、単芯線を得る工程をより容易に行なうことができる。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法によれば、交流損失を低減するとともに、超電導特性の低下を防止することのできる酸化物超電導線材の製造できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態における酸化物超電導線材の製造方法により製造された酸化物超電導線材を示す概略斜視図である。図1を参照して、本発明の実施の形態における酸化物超電導線材について説明する。
図1に示すように、実施の形態における酸化物超電導線材100は、長手方向に延びる複数本の酸化物超電導体(フィラメント)110と、第1の金属管20と、絶縁体130と、第2の金属管120とを備えている。第1の金属管20は、複数本の酸化物超電導体110と接触して、複数本の酸化物超電導体110の外表面を被覆している。絶縁体130は、第1の金属管20と接触して、第1の金属管20の外表面を被覆している。絶縁体130は、酸化物超電導体110の運転温度において非超電導体となる。第2の金属管120は、絶縁体130に接触して、絶縁体130を被覆している。
なお、上記「被覆している」とは、それぞれの外表面の50%以上を覆っていることを意味する。また、「外表面」とは、酸化物超電導線材100の延びる方向におけるそれぞれの表面を意味する。
酸化物超電導線材100は、テープ状に延びる線材である。酸化物超電導体110、第1の金属管20、絶縁体130および第2の金属管120は横方向に延びるように偏平形状に形成されている。
複数本の酸化物超電導体110の各々の材質は、たとえばBi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系の組成が好ましく、特に、(ビスマスと鉛):ストロンチウム:カルシウム:銅の原子比がほぼ2:2:2:3の比率で近似して表されるBi2223相を含む材質が最適である。
第1および第2の金属管20,120の材質は、たとえば銀や銀合金などの金属よりなっており、銀よりなっていることが好ましい。
絶縁体130は、第1の金属管20と異なる金属の酸化物である。絶縁体130は、銅、アルミニウム、ニオブ、およびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質の酸化物であることが好ましい。なお、絶縁体130中、金属の酸化物は95%含有されている。すなわち、絶縁体130は、金属が全く含有されていない場合と、5%未満の金属が酸化されずに含有されている場合とを含んでいる。
次に、図2〜図5を参照して、本発明の実施の形態における酸化物超電導線材の製造方法について説明する。なお、図2は、本発明の実施の形態における酸化物超電導線材の製造方法を示すフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態における充填する工程を示す概略斜視図である。図4は、本発明の実施の形態における単芯線を得る工程を示す概略斜視図である。図5は、本発明の実施の形態における別の酸化物超電導線材を示す概略断面図である。
まず、図2および図3を参照して、酸化物超電導体となるべき前駆体粉末10を第1の金属管20に充填する工程(S10)を実施する。
具体的には、前駆体粉末10を準備する。酸化物超電導体としてBi2223超電導線材を製造する場合には、Bi−2212相((BiPb)2Sr2Ca1Cu2ZまたはBi2Sr2Ca1Cu2Z)を主相とし、残部がBi−2223相((BiPb)2Sr2Ca2Cu3Z相)および非超電導相である粉末状の前駆体粉末10を準備する。なお、主相とは、前駆体粉末10においてBi−2212相が60%以上含まれていることを意味する。
そして、たとえば充填密度を0.5g/cm3以上2.0g/cm3以下として、第1の金属管20に前駆体粉末10を充填する。
第1の金属管20は特に限定されないが、銀、銅、マンガン、マグネシウム、アンチモン、鉄、クロムおよびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1種を含んでいることが好ましい。加工性が良いこと、酸化物超電導体相との反応性が低いこと、およびクエンチ現象による発熱を速やかに取り去ることができる観点から、第1の金属管20は熱伝導率の高い銀や銀合金を用いることが好ましく、銀を用いることがより好ましい。
次に、図2および図4に示すように、第1の金属管20を構成する金属と異なる金属からなる金属被覆層30を第1の金属管20の外表面に形成して、単芯線40を得る工程(S20)を実施する。
金属被覆層30を構成する金属は、第1の金属管20を構成する金属と異なる金属からなっていれば特に限定されないが、銅、アルミニウム、ニオブ、およびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなることが好ましい。また、第1の金属管20を構成する元素が銀であり、かつ金属被覆層30を構成する元素が銅、アルミニウム、ニオブ、およびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなることが特に好ましい。
単芯線40を得る工程(S20)は、第1の金属管20を金属被覆層30となる第3の金属管に挿入する(または嵌合させる)こと(Rod In Tude)が好ましい。金属被覆層30としての第3の金属管は、嵌合の容易さの観点から、第1の金属管20を内部に配置できる形状とすることが好ましい。また、第3の金属管を構成する金属は、第1の金属管20を構成する金属と異なる金属からなっていれば特に限定されないが、銅、アルミニウム、ニオブ、およびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなることが好ましい。
次に、図2に示すように、単芯線40を伸線加工する工程(S30)を実施する。これにより、前駆体粉末10と、前駆体粉末10を被覆した第1の金属管20と、第1の金属管20を被覆した金属被覆層30とを備えた長尺の単芯線が得られる。
次に、図2に示すように、単芯線40を複数本形成して、複数本の単芯線40を第2の金属管120に挿入して、多芯線を得る工程(S40)を実施する。これにより、前駆体粉末10を芯材として多数有する多芯構造の線材(多芯線)が得られる。
具体的には、単芯線40を多数束ねて、たとえば銀などの金属よりなる第2の金属管120内に挿入または嵌合する。第2の金属管120は、銀や銀合金を用いることが好ましく、銀合金を用いることがより好ましい。
次に、図2に示すように、多芯線を伸線加工する工程(S50)を実施する。これにより、所望の直径にまで多芯線を伸線加工し、単芯線40を複数本備えた長尺の多芯線が得られる。
次に、図2に示すように、多芯線をテープ状に加工する工程(S60)を実施する。具体的には、多芯線を圧延することによって、テープ状の線材にする。この圧延によって、前駆体粉末10の密度がさらに高められる。
次に、金属被覆層30を酸化して、金属被覆層30を絶縁体130にする工程(S70)を実施する。これにより、金属被覆層30の95%以上を金属の酸化物に反応させてなる絶縁体130にする。
具体的には、加工する工程(S60)により得られるテープ状の線材を、第1の金属管20が酸化されずに、金属被覆層30が選択的に酸化され、かつ前駆体粉末10が超電導相に変化しない温度未満の雰囲気で熱処理を行なう。たとえば、前駆体粉末10がBi−2212相を主相であり、第1の金属管20を構成する金属が銀であり、金属被覆層30を構成する金属が銅である場合には、酸素を含む雰囲気で、400℃以上600℃以下の温度で熱処理を行なう。なお、酸素を含む雰囲気としては、5%以上の酸素を含んでいることが好ましい。
絶縁体130を得る工程(S70)により、金属被覆層30を構成する金属が全て酸化物になり、金属が全く含有されていない絶縁体130、または、金属被覆層30を構成する5%未満の金属が酸化されずに含有されている絶縁体130が得られる。また、金属被覆層30を構成する金属が酸化物になっている状態は、酸化物超電導線材100の延びる方向と垂直の方向に切断した断面をSEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)を用いて観察することによって確認できる。
次に、テープ状の多芯線を熱処理して、前駆体粉末10を酸化物超電導体110にする工程(S80)を実施する。具体的には、絶縁体130にする工程(S70)後のテープ状の線材(多芯線)を、たとえば大気圧で、800℃以上900℃以下の温度で熱処理する。酸化物超電導体110にする工程(S80)を実施することによって、前駆体粉末10を酸化物超電導体110にする。
たとえば、充填する工程(S10)でBi−2212相の前駆体粉末10を第1の金属管20に充填した場合には、酸化物超電導体110にする工程(S80)でBi−2212相が結晶成長し、Bi−2223相よりなる超電導結晶を主相とする酸化物超電導体110になる。なお、熱処理によって前駆体粉末10のBi−2212相がBi−2223相に変わりきらないため、酸化物超電導体110は、(ビスマスと鉛):ストロンチウム:カルシウム:銅の元素比がほぼ2:2:1:2よりなるBi−2212相よりなる超電導結晶を含む場合もある。
なお、酸化物超電導体110にする工程(S80)実施後に、さらに圧延(2次圧延)および熱処理(2次熱処理)を施してもよい。
以上の工程(S10〜S80)を実施することにより、図1に示す酸化物超電導線材100が得られる。
なお、上記酸化物超電導線材の製造方法によって製造される酸化物超電導線材は、図5に示すように、絶縁体130が連続した相となってもよい。また、絶縁体130の一部が連続した相(図示せず)となっていてもよい。
以上説明したように、本発明の実施の形態における酸化物超電導線材100の製造方法によれば、酸化物超電導体110となるべき前駆体粉末10を第1の金属管20に充填する工程(S10)と、第1の金属管20を構成する金属と異なる金属からなる金属被覆層30を第1の金属管20の外表面に形成して、単芯線40を得る工程(S20)と、単芯線40を複数本形成して、複数本の単芯線40を第2の金属管120に挿入して、多芯線を得る工程(S40)と、多芯線をテープ状に加工する工程(S60)と、金属被覆層30を酸化して、金属被覆層30を絶縁体にする工程(S70)と、絶縁体にする工程(S70)後に、テープ状の多芯線を熱処理して、前駆体粉末10を酸化物超電導体110にする工程(S80)とを備えている。
上記特許文献1では、第1の金属管20にセラミックス粉末を含むセラミックス被覆層を被覆している。この場合、図6に示すように、セラミックス被覆層230の加工性の悪さから、多芯線をテープ状に加工する工程(S60)を実施すると、圧延時にセラミックス被覆層230は不均一に形成されやすい。すなわち、セラミックス被覆層230は、酸化物超電導体にする工程(S80)実施後の扁平な酸化物超電導体110を内部に充填している第1の金属管20に均一に被覆しにくい。セラミックス被覆層230が第1の金属管20を均一に被覆できないと、複数の酸化物超電導体110間を絶縁する効果が減少して、交流損失が増大してしまう。なお、図6は、従来の酸化物超電導線材の製造方法における圧延後の酸化物超電導体の状態を示す断面模式図である。
しかし、本発明の実施の形態における酸化物超電導線材100の製造方法では、単芯線を得る工程(S20)で、金属被覆層30を第1の金属管20に被覆しているため、上記特許文献1よりも加工性が良好である。また、絶縁体130にする工程(S70)で、金属被覆層30を絶縁体130にしているため、酸化物超電導体にする工程(S80)によって形成される酸化物超電導体110に挟まれた狭い領域に密度および厚さが均一な絶縁体130を形成することができる。そのため、酸化物超電導体110の間に形成された絶縁体130により、酸化物超電導体110同士がつながることを防止でき、酸化物超電導体110間の垂直抵抗が十分に高くなり、交流損失を低減できる。
また、酸化物超電導体110にする工程(S80)を実施する前に、絶縁体130にする工程(S70)で、金属被覆層30を絶縁体130にするため、金属被覆層30を構成する金属が拡散することを抑制できる。その結果、拡散する金属と酸化物超電導体110とが反応して生成される不純物相によって、酸化物超電導体110の比率が低下することを抑制できる。また、酸化物超電導体が占める超電導相を、不純物相が汚染することも抑制できる。そのため、酸化物超電導体の臨界電流Icなどの超電導特性の低下を防止できる。
上記酸化物超電導線材100の製造方法において好ましくは、第1の金属管20を構成する金属は銀である。銀は酸化物超電導体110と反応性が低いので、第1の金属管20と酸化物超電導体110との反応を抑制できる。そのため、酸化物超電導体110の超電導特性の低下をより防止できる。
上記酸化物超電導線材100の製造方法において好ましくは、金属被覆層30を構成する金属は、銅、アルミニウム、ニオブ、およびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなる。これらの物質は加工性が非常に良好であるので、均一な金属被覆層30が得られる。その結果、交流損失をより低下することができる。
上記酸化物超電導線材100の製造方法において好ましくは、単芯線40を得る工程(S30)は、第1の金属管20を金属被覆層30となる第3の金属管に挿入する。これにより、単芯線を得る工程(S30)をより容易に行なうことができる。
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法により製造される酸化物超電導線材は、交流損失を低減できるとともに、超電導特性の低下を防止することのできる酸化物超電導線材の製造できる。そのため、本発明の酸化物超電導線材の製造方法により製造される酸化物超電導線材は、たとえば超電導ケーブル、超電導変圧器、超電導限流器、および電力貯蔵装置などの超電導機器に好適に用いることができる。
本発明の実施の形態における酸化物超電導線材の製造方法により製造された酸化物超電導線材を示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態における酸化物超電導線材の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における充填する工程を示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態における単芯線を得る工程を示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態における別の酸化物超電導線材を示す概略断面図である。 従来の酸化物超電導線材の製造方法における圧延後の酸化物超電導体の状態を示す断面模式図である。
符号の説明
10 前駆体粉末、20 第1の金属管、30 金属被覆層、40 単芯線、100 酸化物超電導線材、110 酸化物超電導体、120 第2の金属管、130 絶縁体。

Claims (4)

  1. 酸化物超電導体となるべき前駆体粉末を第1の金属管に充填する工程と、
    前記第1の金属管を構成する金属と異なる金属からなる金属被覆層を前記第1の金属管の外表面に形成して、単芯線を得る工程と、
    前記単芯線を複数本形成して、複数本の前記単芯線を第2の金属管に挿入して、多芯線を得る工程と、
    前記多芯線をテープ状に加工する工程と、
    前記金属被覆層を酸化して、前記金属被覆層を絶縁体にする工程と、
    前記絶縁体にする工程後に、テープ状の前記多芯線を熱処理して、前記前駆体粉末を酸化物超電導体にする工程とを備えた、酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 前記第1の金属管を構成する金属は銀である、請求項1に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 前記金属被覆層を構成する金属は、銅、アルミニウム、ニオブ、およびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなる、請求項1または2に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 前記単芯線を得る工程は、前記第1の金属管を前記金属被覆層となる第3の金属管に挿入する、請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物超電導線材の製造方法。
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