JP3928304B2 - 酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物超電導線材の製造方法、特に超電導コイルや超電導ケーブルその他の用途に適した酸化物超電導線材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸化物超電導体フィラメントを銀や銀合金からなる金属被覆で被覆した酸化物超電導線材の開発が進められている。これまでの酸化物超電導線材は、横断面形状をテープ状に成形したものが一般的であった。これは、線材をテープ状に成形することで、▲1▼酸化物超電導体の密度を向上できる、▲2▼金属被覆と酸化物超電導体との接触面積が大きくできる、また▲3▼金属被覆と酸化物超電導体との界面が平滑にでき、高い臨界電流密度(以下、Jcという)を実現できるからである。すなわち、例えば第56回1997年度春季低温工学・超電導学会講演概要集p22にあるように、超電導特性発現のための超電導化熱処理に際し、金属被覆である銀または銀合金との界面部分で酸化物超電導体を構成する材料の配向組織が得られ、その結果Jcが高くなるためである。
【0003】
しかしながら、酸化物超電導線材の形状がテープ状の場合、製造上厚さや寸法の制御が難しく、ソレノイド状コイル等の形成に難点があった。
【0004】
そこで、最近、横断面形状が丸形で高Jcの酸化物超電導線材が待ち望まれていた。
【0005】
これまでにも、横断面丸形状を有する酸化物超電導線材の製造方法の提案はなされている。
【0006】
第1の製造方法として、銀などの金属管中に酸化物超電導前駆体粉末を充填し、押し出しや伸線などによって縮径加工を行ない、次いで超電導化熱処理を施すか、または金属管中に酸化物超電導前駆体粉末を充填した複数本を更に別の銀などの金属管中に組み込み、これらを押し出しや伸線などによって縮径加工を行ない、次いで超電導化熱処理を施す方法が提案されている(例えば第53回1995年度春季低温工学・超電導学会講演概要集p77、第57回1997年度秋季低温工学・超電導学会講演概要集p82)。
【0007】
また、第2の製造方法として、酸化物超電導前駆体を金属被覆しテープ状に加工したものを複数本束ね、更に金属管中に組み込み、押し出しや伸線などの縮径加工を行ない、次いで超電導化熱処理を施すことでJcの向上を図った方法も提案されている(特開平9−223418号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の第1の製造方法では、依然としてJcが低かった。また、第2の製造方法では、ある程度のJcは確保できるものの製造過程でテープ状に加工する工程が必須であり、線材の作製に時間とコストを要するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記従来技術の欠点を解消し、積極的なテープ状加工の工程を要せずしてJcを向上させることのできる、安価な酸化物超電導線材の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は複数本の酸化物超電導体コアフィラメントと、前記酸化物超電導体コアフィラメントを覆う金属被覆とを有する酸化物超電導線材の製造方法において、酸化物超電導体コアフィラメントの単数または複数本とその外周に設けられた金属被覆を有し、かつ横断面においてほぼ円形の素線2〜5本を回転対称に隣接配置し、前記素線の表面に接する仮想円筒内面と隣り合う2つの素線表面とで形成される空間に前記素線の一部を材料流れさせるように減面加工することを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は複数本の酸化物超電導体コアフィラメントと、前記酸化物超電導体コアフィラメントを覆う金属被覆とを有する酸化物超電導線材の製造方法において、酸化物超電導体コアフィラメントの単数または複数本とその外周に設けられた金属被覆を有し、かつ横断面においてほぼ円形の素線2〜5本を回転対称に隣接配置し、これらを縮径加工することにより前記素線の長手方向にほぼ垂直な断面方向に前記素線の一部を材料流れさせ、前記酸化物超電導体コアフィラメントのそれぞれのアスペクト比を縮径加工前より大きくすることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明は複数本の酸化物超電導体コアフィラメントと、前記酸化物超電導体コアフィラメントを覆う金属被覆とを有する酸化物超電導線材の製造方法において、酸化物超電導体コアフィラメントの単数または複数本とその外周に設けられた金属被覆を有し、かつ横断面においてほぼ円形の素線2〜5本を回転対称に隣接配置した状態で金属管内に収容し、これらを縮径加工することにより前記素線の長手方向にほぼ垂直な断面方向に前記素線の一部を材料流れさせ、前記酸化物超電導体コアフィラメントのそれぞれのアスペクト比を縮径加工前より大きくすることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく酸化物超電導線材の製造方法の実施形態を以下説明する。
【0014】
まず、酸化物超電導体コアフィラメントを金属被覆した素線を2本または3本用意する。この素線は、銀または銀合金製のパイプに酸化物超電導前駆体の粉末を充填した単一コアフィラメントの素線か、あるいは、かかる素線を複数本束ねたものを別の銀または銀合金製のパイプに挿入し、これらを縮径加工して得た、いわゆるマルチフィラメントの素線のいずれでもよい。これらの素線はテープ状の加工が施されることなく、すなわち素線の横断面形状、および酸化物超電導体コアフィラメントのそれぞれの横断面形状が、ほぼ円形を保ったまま別の銀または銀合金製のパイプに挿入される。この際、これらの素線はパイプ内に回転対称に隣接配置されるが、これら素線の表面に接する仮想円筒内面とパイプの内面がほぼ一致するよう、素線外径またはパイプの内径を選ぶことが好ましい。このとき、素線表面に接する仮想円筒内面(好ましくはパイプ内面)と隣り合う2つの素線表面とで形成される空間は、次の縮径加工工程によって、長手方向にほぼ垂直な断面方向に素線の一部を材料流れさせるのに充分な広さを確保しておく。
【0015】
次に、これらを押し出し、伸線などの通常の方法で縮径加工する。この縮径加工は、仮想円筒内面(好ましくはパイプ内面)と隣り合う2つの素線表面とで形成される空間内に、素線の長手方向にほぼ垂直な断面方向に素線の一部を材料流れさせる。この材料流れは、結果的に、横断面ほぼ円形の素線を、素線が2本の場合は半円形状に、素線が3本の場合は内角が120℃の扇形状に、素線が4本の場合は内角がほぼ90度の扇形状に変形させる。また、素線が本の場合には内角がほぼ72度の扇形状に変形させる。
【0016】
縮径加工による断面減少率、すなわち減面率を適切に選ぶことにより、各素線内部の酸化物超電導体コアフィラメントをアスペクト比(フィラメントの横断面における長軸長/短軸長)は、この減面加工によって1.5以上とすることができる。これにより、アスペクト比がほぼ1の通常の横断面円形をなす線材に比べてフィラメントの平滑面を多く確保でき、かつフィラメントの緻密度を高めることができる。次いで、通常の条件により超電導化熱処理を施すことにより、所望の酸化物超電導線材が得られる。
【0017】
本発明は、上記のような製造方法であるから、横断面ほぼ円形の素線を出発材とし、テープ状加工を行なわないにもかかわらず、高アスペクトの酸化物超電導体コアフィラメントを有する線材を製造することができる。
【0018】
本発明における縮径加工の減面率は、70%以上であることが好ましい。これが70%未満では、初期の空間が素線の一部の材料流れによっても完全に埋まらない恐れがあり、酸化物超電導体コアフィラメントのアスペクト比の向上や緻密化が不充分となって、Jcの向上が期待できなくなるからである。
【0019】
また、超電導化熱処理の一例は、酸化物超電導体コアフィラメントの少なくとも一部分に液相を生じさせる温度(好ましくは700〜950℃)で、かつ酸素分圧0.01〜10atm の雰囲気中で行なうことが好ましい。これは、このような熱処理によって、酸化物超電導体材料あるいはその前駆体が液相を生じる場合、金属被覆との接触面から核生成して沿面成長し配向度の良い組織を形成するからであり、アスペクト比を向上して平滑面を増加させたことによる効果がこれにより著しく高まるからである。
【0020】
なお、最終的に得られた酸化物超電導線材において、酸化物超電導体コアフィラメントの短軸長は、1〜50μmであることが好ましい。短軸長があまり長いと、すなわちフィラメントがあまりにも厚いと超電導化熱処理による沿面成長が起こらなくなるからであり、一方短軸長が短すぎると、つまりフィラメントが薄すぎると、縮径加工の際のソーセージング等により長手方向でフィラメントが途切れてしまう等の問題が生じてくるからである。
【0021】
ここで、本発明において、酸化物超電導体コアフィラメント、素線、および線材の横断面形状を規定する「ほぼ円形」とは、円形のみならず、対称N角形(Nは6以上)も含む概念である。また、酸化物超電導体コアフィラメントは、少なくともBi、Sr、Ca、およびCuからなるBi−2212相またはBi−2223相の少なくともいずれか一方、または少なくともBi、Sr、Pb、CaおよびCuからなるBi−2212相であることが好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
本発明の実施例を以下に説明する。
【0023】
[実施例1]
組成としてBi2 Sr1 Ca2 Cu2 x が得られるようにBi2 3 、SrCO3 、Ca2 CO3 、CuOの各粉末を混合し、これを大気中で820℃、20時間の熱処理を施した後、粉砕してBi−2212相の酸化物超電導前駆体粉末を用意した。一方、銀パイプとして、外径15mm、内径11mm、長さ1000mmのものを準備した。この銀パイプ中に前記前駆体粉末をタッピング充填して複合ビレットを形成した。その複合ビレットを外径4.6mmになるまで引き抜き加工した。得られた複合線材を長さ1000mmに切断し、それを前記と同様の銀パイプ中に3本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。
【0024】
同様にして、同じ前駆体粉末を用意し、同じ銀パイプ中にタッピング充填して複合ビレットを形成した。その複合ビレットを直径3.5mmになるまで引き抜き加工した。得られた複合線材を長さ1000mmに切断し、それを前記と同様のパイプに7本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。
【0025】
それぞれ得られた線材を長さ約30mmに切断し、1atm 、大気中で880℃、10分間保持した後、5℃/時間の冷却速度で830℃まで徐冷し、更に1時間保持して炉冷した。前者のサンプルを実施例材1、後者を比較例材1とした。両サンプルを液体ヘリウム中で、外部磁場無しの状態で臨界電流Icを1μV/cmの定義で測定した。その結果、得られたJcは実施例材1で1600A/mm2 、比較例材1で800A/mm2 であった。
【0026】
実施例材1と比較例材1の線材の横断面図を図1、図3にそれぞれ示す。図において、1は酸化物超電導体コアフィラメント、2は銀被覆である。
【0027】
実施例材1では、酸化物超電導体コアフィラメント2のアスペクト比が約1.5であったのに対し、比較例材1はほぼ1であった。図2、図4は、それぞれ超電導化熱処理後の酸化物超電導体コアフィラメント1における結晶組織3の状態を示す模式図である。図2に示す実施例材1では、銀被覆との接触部近傍で結晶組織の配向度が良好であるのに対し、図4に示す比較例材1では、結晶組織の配向度は大きく劣っていた。このため、実施例材1の方が高Jcを得られたものと考えられる。
【0028】
図5は、前記実施例材1の製造工程の要部を示す概略説明図である。縮径加工(伸線加工)によって銀パイプ22内に組み込んだ3本の複合素線21に起こる変形は、図5(a)に示すように、隣接する2本の複合素線表面とこれら複合素線表面に接する銀パイプ内面とで形成される空間Sの空隙率と、複合素線21の材料流れによる変形の容易さの関係から、図の矢印Aの方向、すなわち複合素線21の長手方向にほぼ垂直な断面方向に素線の一部を材料流れさせる変形が主体となる(図5(b)参照)。このようにして、縮径加工により、酸化物超電導体アフィラメントのアスペクト比を図5(c)に示すように大きくできるのである。
【0029】
[実施例2]
実施例1と同じ複合ビレットを外径5.4mmになるまで引き抜き加工して得られた複合線材を所定の長さに切断し、それを前記と同様の銀パイプに2本組み込んで更に外径4.6mmまで引き抜き加工した。得られた複合線材を前記と同様の銀パイプに3本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。得られた線材を長さ約30mmに切断し、実施例1と同様に熱処理した。このサンプルを実施例材2とし、実施例1と同様にJcを測定した。その結果、得られたJcは2000A/mm2 であった。
【0030】
図6に、実施例材2の横断面図を示す。Jcが実施例材1より向上したのは、図示の通り、酸化物超電導体コアフィラメント1のアスペクト比が約2.5と、実施例材1よりも大きくなったためである。
【0031】
[実施例3]
Bi−2212相主相のBi1.84Pb0.34Sr1.9 Ca2.2 Cu3.1 x 組成の酸化物超電導前駆体粉末を用意した。この粉末を実施例1と同様の銀パイプ中にタッピング充填して複合ビレットを形成した。その複合ビレットを外径4.6mmになるまで引き抜き加工した。得られた複合線材を長さ1000mmに切断し、それを前記と同様の銀パイプに3本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。空気中で845℃、50時間焼成した後、外径1.8mmまで伸線し、更に空気中で845℃、50時間焼成し、Bi−2223相の酸化物超電導体コアフィラメントを有する線材を作製した。この線材を実施例材3とした。
【0032】
同様にして、同じ前駆体粉末を用意し、同じ銀パイプ中にタッピング充填して複合ビレットを形成した。その複合ビレットを直径3.5mmになるまで引き抜き加工した。得られた複合線材を、長さ1000mmに切断し、それを前記と同様の銀パイプに7本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。次いで
、実施例材3と同様に焼成、伸線、焼成を施してBi−2223相の酸化物超導体コアフィラメントを有する線材を作製した。この線材を比較例材3とした。
【0033】
両サンプルについて実施例1と同様にJcを測定した。その結果、得られたJcは実施例材3で80A/mm2 、比較例材3で40A/mm2 であった。このJcの違いは、実施例1と同様の理由による。
【0034】
[実施例4]
実施例3と同様の複合ビレットを外径4.6mmになるまで引き抜き加工した。得られた複合線材を長さ1000mmに切断し、それを前記と同様銀パイプに61本組み込んで更に外径1.2mmまで引き抜き加工した。得られた複合線材を所定の長さに切断し、それを前記と同様銀パイプに3本組み込んで更に実施例3と同様に伸線加工、熱処理してBi−2223相の酸化物超電導体コアフィラメントを有する線材を作製した。この線材を実施例4とした。
【0035】
同様にして、同じ前駆体粉末を用意し、同じ銀パイプ中にタッピング充填して複合ビレットを形成した。その複合ビレットを外径1.2mmになるまで引き抜き加工した。得られた複合線材を所定の長さに切断し、それを前記と同様の銀パイプに61本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。次いで、前記と同様に伸線加工と熱処理を施してBi−2223相の酸化物超電導体コアフィラメントを有する線材を作製した。この線材を比較例材4とした。
【0036】
両サンプルについて実施例1と同様にJcを測定した。その結果、得られたJcは実施例材4で90A/mm2 、比較例材4で50A/mm2 であった。
【0037】
[実施例5]
実施例1と同様にして、得られた複合線材を長さ1000mmに切断し、それを前記と同様の銀パイプ中に61本組み込んで更に外径4.6mmまで引き抜き加した。得られた複合線材を所定の長さに切断し、それを前記と同様の銀パイプに3本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。
【0038】
同様にして、同じ前駆体粉末を用意し、同じ銀パイプ中にタッピング充填して複合ビレットを形成した。その複合ビレットを直径1.2mmになるまで引き抜き加工した。得られた複合線材を所定の長さに切断し、それを前記と同様のパイプに61本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。
【0039】
夫々得られた線材を長さ約30mmに切断し、実施例1と同様に熱処理した。前者のサンプルを実施例材5、後者を比較例材5とした。両サンプルについて実施例1と同様にJcを測定した。その結果、得られたJcは実施例材5で1900A/mm2 、比較例材5で1000A/mm2 であった。
【0040】
[実施例6]
実施例1と同様の複合ビレットを外径が4.4mmになるまで引き抜き加工した後、得られた複合線材を長さ1000mmに切断し、それを外径15mm、内径11mm、長さ1000mmの銀パイプ中に4本組み込んで、更に外径2mmまで引き抜き加工した。
【0041】
同様にして、同じ前駆体粉末を用意し、同じ銀パイプ中にタッピング充填して複合ビレットを形成し、その複合ビレットを直径3.5mmになるまで引き抜き加工した後、得られた複合線材を長さ1000 mm に切断し、それを前記と同様のパイプに7本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。
【0042】
夫々得られた線材について、長さ約30mmに切断し、実施例5と同様に熱処理した。前者を実施例材6、後者を比較例材6とした。両サンプルについて実施例1と同様にJcを測定した。その結果、前者は1200A/mm2 、後者は800A/mm2 のJc値が得られた。
【0043】
実施例材6では、酸化物超伝導体コアフィラメント1のアスペクト比が約1.5であったのに対し、比較例材6はほぼ1であった。また、実施例材6では、コアフィラメントは銀被覆との接触部近傍で結晶組織の配向度が良好であるのに対し、比較例材6は結晶組織の配向度は大きく劣っていた。このため、実施例材6の方が高Jc値を示したものと考えられる。
【0044】
図7は、実施例6の製造工程の要部を示す概略説明図である。伸線加工によって銀パイプ22内に組み込んだ本の複合素線21に起こる変形は、図7(a)に示すように、隣接する2本の複合素線表面とこれら複合素線表面に接する銀パイプ内面とで形成される空間Sの空隙率と、複合素線21の材料流れによる変形の容易さの関係から、図の矢印A方向、すなわち複合素線21の長手方向にほぼ垂直な断面方向に素線の一部を材料流れさせる変形が主体となる(図7(b)参照)。このようにして、縮径加工により酸化物超電導体コアフィラメントのアスペクト比を大きくできるのである。
【0045】
[実施例7]
実施例1と同様の複合ビレットを外径が4.0mmになるまで引き抜き加工した後、得られた複合線材を長さ1000mmに切断し、それを外径15mm、内径11mm、長さ1000mmの銀パイプ中に5本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。
【0046】
得られた線材について、長さ約30mmに切断し、実施例5と同様に熱処理して実施例材7とし、実施例6と同様にJcを測定した。その結果、1200A/mm2 のJc値が得られた。また、このものの酸化物超電導体部のアスペクト比は約1.5であった。
【0047】
図8は、本実施例の製造工程の腰部を示す概略説明図である。銀パイプ22内に組み込まれた5本の複合素線21に起こる変形は、図8(a)に示すように、複合素線21の長手方向にほぼ垂直な断面方向(横断面の円周方向)に素線の一部を材料流れさせる変形が主体となる。この場合には横断面の中心方向へも素線の一部を材料流れさせる変形も生じる(図の矢印b方向)ので、コアフィラメントのアスペクト比を大きくできるのである。
【0048】
[実施例8]
実施例3と同様の外径4.4mmの複合線材を長さ1000mmに切断し、その4本を外径15mm、内径11mm、長さ1000mmの銀パイプ内に組み込んで外径2mmになるまで引き抜き加工し、得られた線材を空気中で845℃−50時間焼成した後、外径1.8mmまで伸線し、更に空気中で845℃、50時間焼成し、Bi−2223線材を作製した。この線材を実施例材8とした。この実施例材8のJcは70A/mm2 であった。
【0049】
[実施例9]
実施例4で得られた同様の複合線材を長さ1000mmに切断し、その61本を前記と同様の銀パイプ中に組み込んで更に外径4.0mmになるまで引き抜き加工した。得られた線材を所定の長さに切断し、その5本を前記と同様に銀パイプ中に組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工し、長さ30mmに切断して大気中で880℃、10分間保持した後、5℃/時間の冷却速度で830℃まで除冷し、更に1時保持して炉冷した。得られた線材について前記同様にJcを測定した結果、1800A/mm2 であった。
【0050】
同様にして得られた複合線材を所定の長さに切断し、それを前記と同様のパイプ中に61本組み込んで更に外径2mmまで引き抜き加工した。そのサンプルを長さ30mmに切断し、前記と同様に熱処理して炉冷した。このサンプルを比較例7として前記と同様にJcを測定したところ、1000A/mm2 であった。
【0051】
以上の各実施例の説明から明らかなように、本発明の酸化物超電導線材の製造方法によれば、酸化物超電導体コアフィラメントの単数または複数本とその外周に設けられた金属被覆を有し、かつ横断面においてほぼ円形の素線2〜5本を回転対称に隣接配置し、前記複数本の素線の表面に接する仮想円筒内面と隣り合う2つの素線表面とで形成される空間に前記素線の一部を材料流れさせるよう減面加工するので、酸化物超電導体コアフィラメントのアスペクト比を大きくでき、従来のアスペクト比がほぼ1の酸化物超電導体コアフィラメントに比べて平面が多くなり、かつ緻密度がより高くなる。したがって、酸化物超電導体コアフィラメントは、超電導化熱処理によって金属被覆との接触部近傍で結晶組織の配向が促進され、得られた酸化物超電導線材のJcを大幅に向上することができる。
【0052】
また、素線の構造に関しては、単数の酸化物超電導体コアフィラメントを金属被覆内に埋設した構造のいわゆるシングルフィラメント型のみならず、酸化物超電導体コアフィラメントの複数本を金属被覆内に埋設した構造のいわゆるマルチフィラメント型であっても、本発明の効果が得られることは明らかである。
【0053】
本発明において、横断面においてほぼ円形の素線の作製方法としては、上記実施例のようなパウダーインチューブ法は勿論のこと、ディップコート法、ドクターブレード法、塗布法、有機酸塩法、溶射法、プラズマ溶射法、スクリーン印刷法、蒸着法、CVD法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法等によるジェリーロール法、あるはそれらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0054】
また、酸化物超電導体コアフィラメントと金属被覆の材料は、線材構造においてそれぞれ1種類に限定されるものではなく、複数の材料の組み合わせであってもよい。
【0055】
また、酸化物超電導体の種類としては、少なくともBiを含む2212、2223相は勿論のこと、少なくともTlを含む2212、2223、1201、1212、1234の各相、ReBa2 Cu3 y 相(ここでRe=Y、La、Nd、Eu、Dy、Gd、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)および少なくともHgを含む2212、2223、1201、1212、1223、1234相であってもよい。
【0056】
一方、金属被覆の材料は、銀または銀合金がこれまでの実績も多く好適に用いられるが、金その他の酸化物超電導体と反応しない材料であれば問題なく使用できる。酸化物超電導体と反応する材料であっても、ジルコニア、酸化マグネシウムなどの反応防止材を具備していれば差し支えない。
【0057】
更に、素線の構造においては、前記の通り、金属被覆内での酸化物超電導体コアフィラメントの本数はこれを制限しないが、素線を横断面において回転対称に隣接配置する方法は並列に引き揃えるか、より合わせの何れでもよいのは勿論である。
【0058】
本発明の製造方法で得られた酸化物超電導線材は、それ自身導体として、あるいはその複数本を集合化した導体、例えば螺旋状または直状の撚線として用いることができる。また、これらの導体を他の部材と複合化した構成としてもよい。その応用例としては、マグネット、コイル、ケーブル、ブスバー、電流リード、磁気シールド、限流器、永久電流スイッチ等の超電導デバイスがあげられる。
【0059】
更に、前記の応用として使用する場合、その作製法はReact & Wind法あるいはWind & React法の何れであってもよい。
【0060】
なお、本発明では得られた酸化物超電導線材の横断面はほぼ円形であるが、必要に応じてこれを更に平角線、テープ線に加工することは自由である。
【0061】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、積極的なテープ加工の工程を要せずしてJcを向上させることのできる、安価な酸化物超電導線材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明製造方法により得られた酸化物超電導線材の一実施例を示す横断面図である。
【図2】図1の実施例における酸化物超電導体コアフィラメント内の結晶組織を示す模式図である。
【図3】従来の製造方法により得られた酸化物超電導線材の一例を示す横断面図である。
【図4】図3の従来例における酸化物超電導体コアフィラメント内の結晶組織を示す模式図である。
【図5】本発明における一実施例の製造工程の要部を示す概略説明図である。
【図6】本発明製造方法により得られた酸化物超電導線材の他の実施例を示す横断面図である。
【図7】本発明における実施例6の製造工程の要部を示す概略説明図である。
【図8】本発明における実施例7の製造工程の腰部を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1、11 酸化物超電導体コアフィラメント
2、12 銀被覆
21 複合素線
22 パイプ

Claims (10)

  1. 複数本の酸化物超電導体コアフィラメントと、前記酸化物超電導体コアフィラメントを覆う金属被覆とを有する酸化物超電導線材の製造方法において、酸化物超電導体コアフィラメントの単数または複数本とその外周に設けられた金属被覆を有し、かつ横断面においてほぼ円形の素線2〜5本を回転対称に隣接配置し、前記素線の表面に接する仮想円筒内面と隣り合う2つの素線表面とで形成される空間に前記素線の一部を材料流れさせるように減面加工することを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 複数本の酸化物超電導体コアフィラメントと、前記酸化物超電導体コアフィラメントを覆う金属被覆とを有する酸化物超電導線材の製造方法において、酸化物超電導体コアフィラメントの単数または複数本とその外周に設けられた金属被覆を有し、かつ横断面においてほぼ円形の素線2〜5本を回転対称に隣接配置し、これらを縮径加工することにより前記素線の長手方向にほぼ垂直な断面方向に前記素線の一部を材料流れさせ、前記酸化物超電導体コアフィラメントのそれぞれのアスペクト比を縮径加工前より大きくすることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 複数本の酸化物超電導体コアフィラメントと、前記酸化物超電導体コアフィラメントを覆う金属被覆とを有する酸化物超電導線材の製造方法において、酸化物超電導体コアフィラメントの単数または複数本とその外周に設けられた金属被覆を有し、かつ横断面においてほぼ円形の素線2〜5本を回転対称に隣接配置した状態で金属管内に収容し、これらを縮径加工することにより前記素線の長手方向にほぼ垂直な断面方向に前記素線の一部を材料流れさせ、前記酸化物超電導体コアフィラメントのそれぞれのアスペクト比を縮径加工前より大きくすることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 隣接配置する素線数が2または3であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  5. 前記縮径加工の後に、超電導化熱処理を行なうことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1つに記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  6. 前記縮径加工が、断面減少率70%以上で、かつ酸化物超電導体コアフィラメントのそれぞれのアスペクト比を1.5以上とさせる加工であることを特徴とする請求項2、3または4に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  7. 前記超電導化熱処理が、前記酸化物超電導体コアの少なくとも一部分に液相を生じさせる温度で、かつ酸素分圧0.01〜10atm の雰囲気中で行なわれることを特徴とする請求項5に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  8. 前記超電導化熱処理温度が、700〜950℃であることを特徴とする請求項7に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  9. 前記酸化物超電導体コアフィラメントが、少なくともBi、Sr、Ca、およびCuからなるBi−2212相またはBi−2223相の少なくとも何れか一方であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1つに記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  10. 前記酸化物超電導体コアフィラメントが、少なくともBi、Sr、Pb、CaおよびCuからなるBi−2212相またはBi−2223であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1つに記載の酸化物超電導線材の製造方法。
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