JP2005154718A - ポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 超高分子量成分を含有し、溶融加工特性に優れるポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂を提供する。
【解決手段】 分子量50万以上の成分を10質量%以上含有し、分子量分布において分子量1万〜20万の間に少なくとも1個のピークトップを有し、1分子内に水酸基を10個以上有する多価アルコールの残基を0.02〜2質量%含有することを特徴とするポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂。また、開始剤として水酸基を1分子内に10個以上有する多価アルコールを用いて、エステル交換触媒の存在下、環状エステルモノマーを開環重合することを特徴とする上記樹脂の製造方法。
【選択図】 なし


Description

本発明は、環状エステルモノマーをエステル交換触媒および多価アルコール系開始剤存在下に開環重合して得られる、レオロジー特性に優れた、超高分子量成分を含むポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂に関するものである。
ポリ(ヒドロキシカルボン酸)の代表例であるポリ乳酸は溶融粘度が低く、例えば、押出発泡成形時に破泡を起こして十分な発泡倍率が得られなかったり、インフレーション成形やブロー成形時に成形体に偏肉を生じたりドローダウンし易い、といった問題を有していた。従って実用に供するためには、溶融張力の向上及び伸長粘度測定における歪み硬化性の発現が必要であった。(歪み硬化性については、例えば、非特許文献1参照。)
一般に、歪み硬化性を発現させるには超高分子量ポリマーを添加する方法や長鎖分岐を有するポリマーを用いる方法が有効と考えられている。分岐ポリマーの製造方法としては、重合時に多官能性開始剤を添加する方法が知られているが(非特許文献2、特許文献1)、分岐のみで得られる歪み硬化性は不十分なレベルであった。また、超高分子量ポリマーの製造方法としては、固相重合の併用も検討されているが、重合に長時間を要し生産性効率が悪くなるのみならず、重量平均分子量50万以上の超高分子量体を製造することは困難であった。一方、架橋剤や鎖延長剤によってポリマーの分子量を増大させる方法もあるが、均一な反応が起こりにくく、部分的に強固に架橋してゲルが生成し、操業性が低下したり、着色したりする問題があった。
特開平7−82317号公報 成形加工、2000年、第12巻、第11号、p.704〜709 筏義人、辻秀人、「ポリ乳酸−医療・製剤・環境のために」、高分子刊行会、1997年
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、超高分子量成分を含有し、溶融加工特性に優れるポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂を工業的に有利な条件で提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水酸基を1分子内に10個以上有する多価アルコールを開始剤に用いてエステル交換触媒の存在下に環状エステルモノマーを開環重合することによって、分子量50万以上の超高分子量成分を一定量以上含有し、かつ低分子量側にもピークを有するポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂を提供できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、第一に、分子量50万以上の成分を10質量%以上含有し、分子量分布において分子量1万〜20万の間に少なくとも1個のピークトップを有し、1分子内に水酸基を10個以上有する多価アルコールの残基を0.02〜2質量%含有することを特徴とするポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂であり、
第二に、溶媒不溶のゲル含有率が0.2質量%以下であることを特徴とするポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂であり、
第三に、触媒失活剤を0.01質量%以上含有することを特徴とするポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂であり、
第四に、水酸基価が5KOHmg/g以下であることを特徴とするポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂であり、
第五に、伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度の両対数プロットにおいて、屈曲点Mが現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点M以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)で定義される歪み硬化係数が2〜50の範囲であることを特徴とするポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂であり、
第六に、開始剤として水酸基を1分子内に10個以上有する多価アルコールを用いて、エステル交換触媒の存在下、環状エステルモノマーを開環重合することを特徴とするポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の製造方法であり、
第七に、多価アルコール分子中の水酸基数をX個、環状エステルモノマー100質量%に対する多価アルコール添加量をY質量%とした場合に、(a)10≦X≦2000、(b)0.02≦Y≦2、(c)5≦XY≦300、を満たす条件下で、多価アルコールとエステル交換触媒の存在下に環状エステルモノマーを開環重合することを特徴とするポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の製造方法であり、
第八に、環状エステルモノマーを開環重合後、末端封鎖剤を混合することを特徴とするポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の製造方法であり、
第九に、多価アルコールがビニルアルコール系共重合体であるポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の製造方法であり、
第十に、環状エステルモノマーがL−またはD−ラクチドであるポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の製造方法である。
本発明によれば、高分子量成分を含有していながら溶融加工特性に優れるポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂が提供され、押出成形(インフレーション成形、ブロー成形等)における成形体の偏肉やドローダウンあるいは押出発泡成形における破泡が抑制されるため、こうした成形方法に好適に使用することができる。また、その他の成形方法、射出成形等にも適用可能である。
また、本発明の製造方法によれば、多価アルコールより環状エステルの開環重合が開始して多分岐ポリマーが得られ、次いで分子間エステル交換反応により多分岐ポリマーが多数結合すると共に、枝成分である低分子量成分が副生すると推察され、結果として、特定量の分子量50万以上の高分子量成分と分子量1万〜20万の間にピークトップを有する低分子量成分を有する上記ポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂を効果的に得ることができる。さらにその際、多価アルコールとして特定の水酸基数を有するものを用い、重合後に触媒失活剤や末端封鎖剤を添加することで、重合後の過剰なエステル交換反応が抑制され、ゲル化反応を抑止できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒドロキシカプロン酸)、等が挙げられ、これらの共重合体、およびこれら以外の他成分を含有していてもよい。これらのうち、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、およびこれらの共重合体が最も好適に用いられる。
本発明の樹脂は、分子量50万以上の成分を10質量%以上含有することが好ましく、20質量%以上含有することがより好ましく、40質量%以上含有することがさらに好ましい。分子量50万以上の成分が10質量%未満であると本発明の目的とする溶融粘度ないし伸張粘度の歪み硬化性が十分でない。
また本発明の樹脂は、分子量分布において、分子量1万〜20万の間に少なくとも1個のピークトップを有している必要がある。分子量1万〜20万の間にピークトップを有していない場合には、50万以上の高分子量成分の存在によって溶融粘度が高くなりすぎて、製造時に反応容器からの払出しが困難になるため好ましくない。
さらに本発明の樹脂は、後述の開始剤として使用される1分子内に水酸基を10個以上有する多価アルコールの残基を0.02〜2質量%含有している必要がある。多価アルコール分子中の水酸基数は20個以上がより好ましく、50以上がさらに好ましい。また多価アルコール残基の含有量は0.04〜1質量%であることが好ましい。多価アルコール残基の含有量が0.02質量%未満では多分岐構造が不十分となり好ましくなく、2質量%を超えるとゲル化しやすいため好ましくない。
また樹脂におけるゲル含有率は0.2質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。ゲル含有率が0.2質量%を超えると、樹脂が不均一となり成形体の外観を損ねるのみならず、押出成形時にノズルフィルター等の閉塞を引き起こすため、好ましくない。ゲル含有率は後述の方法で測定することができる。
本発明におけるポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂は、伸張粘度測定で得られる時間−伸張粘度の両対数プロット(図1参照)において、屈曲点Mがあらわれるまでの伸張初期の線形領域の傾きa1と屈曲点M以降の伸張後期の傾きa2との比(a2/a1)で表される歪み硬化係数が、2〜50の範囲であるような歪み硬化性が発現されることが好ましい。より好ましい歪み硬化係数は3〜30の範囲である。上記のように定義される歪み硬化係数は、押出成形性の指標となる数値であり、この値が2未満であると、押出発泡成形時に破泡を起こしたり、成形体に偏肉を生じやすい。また歪み硬化係数が50を超えると成形時にゲルが発生しやすく、流動性も大きく低下する。
本発明の樹脂の製造に用いる開始剤としては、1分子内に10個以上の水酸基を有する多価アルコールが好適に用いられる。分子内の水酸基数は20以上がより好ましく、50以上がさらに好ましい。水酸基数が10未満であると、重合中に生成した多分岐ポリマー間でのエステル交換反応による超高分子量化の頻度が少なくなるため、分子量50万以上の成分含有率が低くなる。また開始剤の融点は反応の均一性の観点から200℃以下ないしは重合温度以下であることが好ましい。
開始剤の具体例としては、ポリ(エチレン−ビニルアルコール)共重合体、ポリ(酢酸ビニル−ビニルアルコール)共重合体、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルビニルエーテル)、セルロースジアセテート等が挙げられる。これらの開始剤には他の成分が共重合されていてもよい。これらのうちポリ(エチレン−ビニルアルコール)共重合体およびポリ(酢酸ビニル−ビニルアルコール)共重合体が最も好適に用いられる。
開始剤の添加量は環状エステルモノマー100質量部に対して0.02〜2質量部であることが好ましく、0.04〜1質量部であることがより好ましい。開始剤量が0.02質量部未満では得られる樹脂中の分子量50万以上の成分の含有率が極めて低くなる。また開始剤量が2質量部を超えると多分岐ポリマー間のエステル交換反応が頻繁になりすぎてゲル化が起こりやすくなる。
本発明において使用される触媒としては、一般的な環状エステルの開環重合触媒あるいはエステル交換触媒が用いられる。具体的には、オクチル酸スズ、ジメチルマレイン酸スズ、乳酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジステアリン酸スズ、粉末スズ等のスズ系触媒、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムーサレン型錯体、等のアルミニウム系触媒、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、酢酸亜鉛、等が用いられ、特にスズ系およびアルミニウム系触媒が好適に用いられる。触媒の添加量は環状エステルモノマー100質量部に対して0.01〜0.5質量部が好ましく、0.02〜0.1質量部がより好ましい。
本発明におけるポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂には、重合反応が長時間となった場合に分子間エステル交換によるゲル化を抑制するために、触媒失活剤が0.01質量%以上含有されていることが好ましい。触媒失活剤の使用量に特に上限はないが、樹脂本来の物性を損なわないために5質量%以下とすることが好ましい。触媒失活剤としては、トリデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチルー6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト等の脂肪族および芳香族ホスファイト類、リン酸オクチル等のリン酸部分エステル類、ヒンダードフェノール類等が挙げられる。
本発明におけるポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂は、水酸基価が5KOHmg/g以下であることが好ましく、3KOHmg/g以下であることがより好ましく、1KOHmg/g以下であることがさらに好ましく。水酸基価が5KOHmg/gより大きいと製造時または成形加工時に分子間エステル交換反応によるゲル化あるいは末端からの解重合が起こりやすくなる場合がある。
水酸基価の制御は、例えば、重合後に末端封鎖剤を添加することによって行うことができる。末端封鎖剤としては、ポリマー末端水酸基と反応して水酸基を水酸基以外に変換できる官能基を1個以上有する化合物であれば特に限定されないが、官能基を2個以上有するものは、ゲル化を引き起こす場合があるため、官能基数が1個のものを用いることが好ましい。このような末端封鎖剤の具体的例としては、ステアリルイソシアネートやベンジルイソシアネート等のモノイソシアネート、無水コハク酸や無水フタル酸等の酸無水物、等が挙げられるが、後者の場合はジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミド等のモノカルボジイミド、あるいは2−フェニルー2−オキサゾリンや4,4−ジメチル−2−フェニルオキサゾリン等のモノオキサゾリンとの併用が好ましい。これらのうちでも反応効率の点からモノイソシアネートが好適に用いられる。
次に本発明の樹脂の製造方法について説明する。
本発明のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂は、既述の多価アルコールを開始剤として用い、エステル交換触媒の存在下、環状エステルモノマーを開環重合することにより製造することができる。このような製造方法においては、重合時間が長くなった場合に、生成した樹脂がゲル化しやすくなる場合があるが、ゲル化を抑制するためには、次の(a)〜(c)をすべて満たすことが特に好ましい。
(a) 10≦X≦2000
(b) 0.02≦Y≦2
(c) 5≦XY≦300
ここで、Xは多価アルコールの1分子中の水酸基数(単位:個)、Yは多価アルコールの環状エステルモノマー100質量部に対する添加量(単位:質量部)である。
上記Xは、50≦X≦1000とすることがより好ましく、100≦X≦500がさらに好ましい。Xが10未満であると分子量50万以上の成分の含有率が極めて低くなり、Xが2000を超えると多分岐ポリマー間のエステル交換反応が頻繁になりすぎてゲル化が起こりやすくなる。
上記Yは、0.1≦Y≦1とすることがより好ましく、0.2≦Y≦0.5であることがさらに好ましい。Yが0.02未満では得られる樹脂中の分子量50万以上の成分の含有率が極めて低くなり、またYが2を超えると多分岐ポリマー間のエステル交換反応が頻繁になりすぎてゲル化が起こりやすくなる。
また上記XとYについては両者のバランスも重要であり、Xが大きい時はYを小さく、逆にXが小さい時はYを大きくすることが好ましい。具体的には、積XYは、5≦XY≦300であることが好ましく、10≦XY≦200がより好ましく、20≦XY≦150がさらに好ましい。XYが5未満であると分子量50万以上の成分の含有率が極めて低くなる。またXYが300を超えると多分岐ポリマー間のエステル交換反応が頻繁になりすぎてゲル化が起こりやすくなる。
本発明においては長時間の反応によるゲル化を抑制するために、重合後に触媒失活剤や末端封鎖剤の添加が有効である。触媒失活剤や末端封鎖剤の添加時期は、重合が平衡に達した直後が望ましい。重合反応の途中で添加すると未反応モノマーが多くなり生産性が低下するため好ましくない。また重合が平衡に達してから触媒失活剤や末端封鎖剤を添加せずに長時間経過するとゲル化が進行する場合がある。
重合温度は生成ポリ(ヒドロキシカルボン酸)の融点以上かつ240℃以下が好ましい。融点(Tm)未満であると、重合反応自体も遅く、また生成したポリ(ヒドロキシカルボン酸)が途中で固化する、あるいは極めて高粘度のため払出しができなくなる、といった問題があり好ましくない。240℃より高いとポリ(ヒドロキシカルボン酸)成分の分解が起りやすいため、好ましくない。好適な反応温度は(Tm+10)℃以上230℃以下であり、さらに好ましくは(Tm+20)℃以上220℃以下である。
本発明のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂にはその特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材等を添加することも可能である。熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、ホスファイト等のリン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。無機充填材としては、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ、ケナフ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。可塑剤としては、ポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂に相溶し、不揮発性かつ無毒性のものが好ましく、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル類、ジオクチルアジペート等のアジピン酸エステル類、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート等のクエン酸エステル類、トリクレジルフォスフェート等のリン酸エステル類、エポキシ化大豆油やエポキシ化アマニ油等のエポキシ類、グリセリンエステル類、ポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
なお、本発明のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂に上記の熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、充填材等を配合する方法は特に限定されず、ポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の重合時に添加してもよいし、重合後、溶融混練により混合してもよい。
本発明のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂は、伸張粘度測定において明確な歪み硬化性を示し、押出成形(インフレーション成形、ブロー成形を含む)および発泡成形等に使用することができる。
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。実施例および比較例の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)分子量測定:島津製作所製GPC装置LC−VPを用い、溶離液テトラヒドロフラン、温度40℃、流速1mL/分で測定を行い、分子量分布曲線を得た。分子量は、分子量1千〜300万の範囲の標準ポリスチレン試料6点を用いた検量線に基づき、ポリスチレン換算で評価した。また、この分子量分布曲線を用いて、1万〜20万の範囲におけるピークの有無、および分子量50万以上の成分の含有率を算出した。
(2)水酸基価:JISK−1557に準拠し、樹脂をクロロホルム中に溶解させ、無水酢酸を添加しKOHで滴定することにより水酸基価を算出した。
(3)ゲル含有率:樹脂1gにクロロホルム100mLを加えて12時間撹拌溶解し、溶液をグラスフィルターで濾過・洗浄して未溶解物の重量からゲル含有率を算出した。
(4)伸長粘度:樹脂を熱プレスして得たシートから、60mm×7mm×1mmの試験片を作製した。伸長粘度測定装置RME(レオメトリック社製)を用いて、試験片の両端を金属ベルトクランプにより支持した後、樹脂の融点より高い温度で、歪み速度0.1sec-1で回転させて伸長変形を加え、変形中にピンチローラにかかるトルクを検出することにより伸長粘度を測定した。
(5)歪み硬化係数(a2/a1)(図1参照):伸長時間と伸長粘度の両対数プロットにおいて、屈曲点Mが現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点M以降の伸長後
期の傾きa2との比(a2/a1)を算出した。
本実施例および比較例で使用した開始剤、触媒失活剤、末端封鎖剤は以下のとおりである。
(1)開始剤
EVOH−1:クラレ製ポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体FP−104、MI=10(210℃、2160g)、重合度約500、ビニルアルコール共重合比率68モル%。
EVOH−2:クラレ製ポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体G−156、MI=15、重合度約450、ビニルアルコール共重合比率53モル%。
EVOH−3:日本合成化学製ポリ(エチレン/ビニルアルコール)共重合体K3835、MI=35、重合度約400、ビニルアルコール共重合比率62モル%。
PVA−1:日本酢ビポバール製ポリ(ビニルアルコール/酢酸ビニル)共重合体JP−05、重合度500、ビニルアルコール共重合比率(鹸化度)88モル%
PVA−2:日本酢ビポバール製ポリ(ビニルアルコール/酢酸ビニル)共重合体JMR−6M、重合度150、ビニルアルコール共重合比率(鹸化度)60モル%
PVA−3:日本酢ビポバール製ポリ(ビニルアルコール/酢酸ビニル)共重合体JP−18、重合度1760、ビニルアルコール共重合比率(鹸化度)88モル%
PVA−4:日本酢ビポバール製ポリ(ビニルアルコール/酢酸ビニル)共重合体JMR−6L、重合度150、ビニルアルコール共重合比率(鹸化度)6モル%
上記開始剤1分子あたり水酸基数Xは、X=重合度×ビニルアルコール共重合比率(モル%)で算出される。
(2)触媒失活剤
D1:旭電化工業製アデカスタブPEP8
D2:旭電化工業製アデカスタブAX71
(3)末端封鎖剤
E1:オクタデシルイソシアネート
E2:ベンジルイソシアネート
実施例1
L−ラクチド(武蔵野化学製、D体含有率4モル%)100gと開始剤としてEVOH−1を0.20gガラス重合缶に仕込み、系内を窒素置換した後、昇温を開始した。内温が190℃に達し内容物が溶解した時点でオクチル酸スズ触媒0.05gを添加し、1時間重合を行った。重合結果を表1に示す。また伸長粘度測定により得られた歪み硬化係数も表1に示した。
実施例2、3、5、比較例1〜3
表1に示す条件で実施例1と同様に重合を行った。結果を表1に併せて示す。
実施例4
重合触媒としてアルミニウムトリスアセチルアセトネートを0.05g用い、重合時間を4時間とした以外は、実施例1と同様にして重合を行った。結果を表1に示す。
比較例4
L−ラクチド20gおよびオクチル酸スズ触媒0.01gをガラス製アンプルに仕込み、系を真空脱気後、熔封し、120℃の油浴に浸漬した。内容物が溶解するまで十分に振とう撹拌し、24時間重合を行った。所定時間後アンプルを粉砕して内容物を取り出した。結果を表1に示す。
実施例6
開始剤としてEVOH−2を0.50g用いて実施例1と同様にして重合を行い、1時間経過後に、触媒失活剤と末端封鎖剤を添加してさらに2時間反応を継続した。結果を表1に示す。
実施例7〜10、比較例5〜8
表1に示す条件で実施例6と同様に重合を行った。結果を表1に併せて示す。
表1に示したように、実施例1〜10では、分子量50万以上の高分子量成分を10質量%以上含有し、かつ分子量1〜20万の間にピークトップを有する低分子量成分を含有するポリ(ヒドロキシカルボン酸)がゲル化することなく得られた。一方、比較例1では開始剤の水酸基数が4つと少ないために高分子量成分が生成しなかった。比較例2では開始剤が少なすぎるため、高分子量成分が少なかった。比較例3では開始剤が多すぎるため、ゲル化が起こってしまった。比較例4では高分子量体が得られたものの、恐らくポリマーが多分岐構造でないためか、伸張粘度の歪み硬化性が十分でなかった。比較例5では触媒失活剤を添加しなかったため、比較例6では末端封鎖剤を添加しなかったことにより末端水酸基が多すぎたため、比較例7では開始剤分子中の水酸基が多すぎるため、それぞれ長時間の反応によりゲル化が起こってしまった。比較例8では開始剤分子中の水酸基が少なすぎるため、分子量50万以上の成分が少なく伸長粘度測定における歪み硬化性が発現しなかった。
歪み硬化係数の評価における伸張時間−伸張粘度の両対数プロットである。 実施例1で得られた樹脂の分子量分布曲線である。 実施例3で得られた樹脂の分子量分布曲線である。 実施例8で得られた樹脂の分子量分布曲線である。 比較例1で得られた樹脂の分子量分布曲線である。

Claims (10)

  1. 分子量50万以上の成分を10質量%以上含有し、分子量分布において分子量1万〜20万の間に少なくとも1個のピークトップを有し、1分子内に水酸基を10個以上有する多価アルコールの残基を0.02〜2質量%含有することを特徴とするポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂。
  2. 溶媒不溶のゲル含有率が0.2質量%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂。
  3. 触媒失活剤を0.01質量%以上含有することを特徴とする請求項1または2記載のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂。
  4. 水酸基価が5KOHmg/g以下であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂。
  5. 伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度の両対数プロットにおいて、屈曲点Mが現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点M以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)で定義される歪み硬化係数が2〜50の範囲であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂。
  6. 開始剤として水酸基を1分子内に10個以上有する多価アルコールを用いて、エステル交換触媒の存在下、環状エステルモノマーを開環重合することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の製造方法。
  7. 多価アルコール分子中の水酸基数をX個、環状エステルモノマー100質量%に対する多価アルコール添加量をY質量%とした場合に、(a)10≦X≦2000、(b)0.02≦Y≦2、(c)5≦XY≦300、を満たす条件下で、多価アルコールとエステル交換触媒の存在下に環状エステルモノマーを開環重合することを特徴とする請求項6記載のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の製造方法。
  8. 環状エステルモノマーを開環重合後、末端封鎖剤を混合することを特徴とする、請求項6または7に記載のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の製造方法。
  9. 多価アルコールがビニルアルコール系共重合体である請求項6ないし8のいずれかに記載のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の製造方法。
  10. 環状エステルモノマーがL−またはD−ラクチドである請求項6ないし9のいずれかに記載のポリ(ヒドロキシカルボン酸)樹脂の製造方法。
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