JP2005154242A - 粒子状人造黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池 - Google Patents

粒子状人造黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2005154242A
JP2005154242A JP2003399256A JP2003399256A JP2005154242A JP 2005154242 A JP2005154242 A JP 2005154242A JP 2003399256 A JP2003399256 A JP 2003399256A JP 2003399256 A JP2003399256 A JP 2003399256A JP 2005154242 A JP2005154242 A JP 2005154242A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
graphite
electrode
secondary battery
lithium secondary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003399256A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4470467B2 (ja
Inventor
Toru Fuse
亨 布施
Hiroyuki Uono
宏之 宇尾野
Kengo Okanishi
健悟 岡西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2003399256A priority Critical patent/JP4470467B2/ja
Publication of JP2005154242A publication Critical patent/JP2005154242A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4470467B2 publication Critical patent/JP4470467B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】 リチウム二次電池を高容量化するとともに、充電時の電極膨張を小さくすることが可能な負極材料を提供する。
【解決手段】 粒子状の人造黒鉛からなる負極材料において、(a)タップ密度が1.15g/cm3以上、(b)X線回折による(002)面の面間隔d002が0.3360nm以下、(c)この負極材料を活物質として電極密度1.63±0.05g/cm3で形成した電極の活物質配向比が0.04以上0.20以下、(d)この負極材料を用いて作製したリチウム二次電池の放電容量が345mAh/g以上となるようにする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、粒子状の人造黒鉛からなる負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池に関する。具体的には、放電容量が高く、かつ、充電時の電極膨張が小さい粒子状人造黒鉛負極材料及びそれを製造する方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、高容量の二次電池が必要になってきている。特に、ニッケル・カドミウム、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度の高い非水溶媒系リチウム二次電池が注目されてきている。従来、電池の高容量は広く検討されていたが、電池に要求される性能も高度化してきており、さらなる高容量化が必要とされている。
リチウム二次電池の負極材料として、これまで金属や黒鉛などが検討されている。近年では、黒鉛が高容量、高効率でサイクル特性に優れるという点で広く用いられており、その中でも粒子状人造黒鉛が、活物質の充填密度の向上という点で優れている。そうした優れた粒子状人造黒鉛からなる負極材料を、簡便に、安定して製造する方法を確立することが求められている。
こうした中で、特許文献1には、フリーカーボン含有量0.3重量%以下のタールやピッチを400〜600℃で熱処理して得たバルクメソフェーズを粉砕、焼成、黒鉛化することにより、放電容量が350mAh/g以上の、黒鉛負極材料を得ることが記載されている。
また特許文献2には、フリーカーボン含有量が1重量%以下のタールやピッチを400〜900℃で熱処理して得たバルクメソフェーズを粉砕、焼成、黒鉛化することにより、タップ密度1.2g/cm3以上、放電容量348〜360mAh/gの、黒鉛負極材料を得ることが記載されている。
特開2001−316105号公報 特開2002−47006号公報
ところで、電池充電時に、リチウムとの合金化や黒鉛層間化合物の生成により電極が膨張すると、リチウム二次電池の単位体積当たりに充填できる活物質量が減少し、結果として電池容量が低下する課題がある。したがって、リチウム二次電池の高容量化においては、活物質の充填密度の向上、活物質の高容量化だけでなく、電池充電時の膨張を抑制することが強く求められている。
しかしながら、従来の粒子状人造黒鉛負極材料では、電極の活物質の配向比が低く、電池充電時の膨張を抑制する点で不十分であった。即ち、活物質の充填密度が高く、活物質が高容量であっても、従来の粒子状人造黒鉛負極材料は負極粒子内の結晶が同一方向に並び易いため、配向性をある範囲に制御することを同時に達成することができなかった。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたものである。即ち、本発明は、放電容量が高く、且つ、充電時の電極膨張が小さい、高性能のリチウム二次電池を得ることが可能な粒子状人造黒鉛負極材料及びその製造方法、並びに、それを用いたリチウム二次電池用電極及びリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、タールやピッチを熱処理してなる粒子状人造黒鉛からなる電極用炭素材料について、鋭意検討を行なった。その結果、高いタップ密度及び結晶性を有する粒子状人造黒鉛負極材料であって、それを用いた電極の活物質配向比が所定範囲内に存在し、且つ、それを用いた電池の放電容量が大きいものを用いることで、充電時の電極膨張が小さい高性能のリチウム二次電池を安定して効率的に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、粒子状の人造黒鉛からなる負極材料であって、(a)タップ密度が1.15g/cm3以上であり、(b)X線回折による(002)面の面間隔d002が0.3360nm以下であり、(c)該負極材料を活物質として電極密度1.63±0.05g/cm3で形成した電極の活物質配向比が0.04以上0.20以下であり、且つ、(d)該負極材料を用いて作製したリチウム二次電池の放電容量が345mAh/g以上であることを特徴とする、粒子状人造黒鉛負極材料に存する(請求項1)。
また、本発明の別の要旨は、キノリン不溶分が0.1重量%以下であるピッチ原料を、400℃以上550℃以下で熱処理した後、粉砕して粒度を1μm以上10mm以下とし、450℃以上600℃以下で再熱処理し、再粉砕し、焼成し、黒鉛化することを特徴とする粒子状人造黒鉛負極材料の製造方法に存する(請求項2)。
また、本発明の別の要旨は、キノリン不溶分が0.4重量%以上2.5重量%以下であり、かつ、トルエン不溶分が6重量%以上15重量%以下であるピッチ原料を、450℃以上600℃以下で熱処理した後、粉砕し、焼成し、黒鉛化することを特徴とする粒子状人造黒鉛負極材料の製造方法に存する(請求項3)。
また、本発明の別の要旨は、集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えるとともに、該活物質層が、上述の粒子状人造黒鉛負極材料、又は、上述の製造方法を用いて製造された粒子状人造黒鉛負極材料を含有することを特徴とする、リチウム二次電池用負極に存する(請求項4,請求項5)。
また、本発明の別の要旨は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、ならびに電解液を備えたリチウム二次電池電池であって、該負極が、上述のリチウム二次電池電極用負極であることを特徴とする、リチウム二次電池に存する(請求項6)。
本発明の粒子状人造黒鉛負極材料によれば、放電容量が高く、且つ、充電時の電極膨張が小さい、優れたリチウム二次電池を実現することができる。
また、本発明の粒子状人造黒鉛負極材料の製造方法によれば、上記の粒子状人造黒鉛負極材料を効率よく安定して製造することができるため、工業上非常に有用である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
[1.粒子状人造黒鉛負極材料]
本発明の粒子状人造黒鉛負極材料(以下、適宜「本発明の黒鉛材料」という)は、粒子状の人造黒鉛からなる負極材料であって、(a)タップ密度が1.15g/cm3以上であり、(b)X線回折による(002)面の面間隔d002が0.3360nm以下であり、(c)この負極材料を活物質として電極密度1.63±0.05g/cm3で形成した電極の活物質配向比が0.04以上0.20以下であり、且つ、(d)この負極材料を用いて作製したリチウム二次電池の放電容量が345mAh/g以上であることを特徴とする。
<タップ密度>
本発明の黒鉛材料は、そのタップ密度が、通常1.15g/cm3以上、好ましくは1.18g/cm3以上、また、通常1.6g/cm3以下、好ましくは1.5g/cm3以下である。タップ密度がこの範囲を下回ると、活物質の充填密度を上がり難く、高容量の電池が得難い。一方、この範囲を上回ると、電極中の気孔量が少なくなり、好ましい電池特性が得られ難い。
タップ密度としては、目開き300μmの篩を使用し、20cm3のタッピングセルに黒鉛材料を落下させてセルを満杯に充填した後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いてストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時のタッピング密度を測定した値を用いることができる。
<面間隔>
本発明の黒鉛材料は、X線回折により測定した(002)面の面間隔d002が、通常0.3360nm以下、好ましくは0.3358nm以下である。この範囲を上回る場合、即ち、結晶性が劣る場合には、電極を製造したときに活物質の単位重量当たりの放電容量が小さくなる虞がある。一方、前記の面間隔d002の下限は、理論的限界として通常0.3354nm以上である。
また、本発明の黒鉛材料は、X線回折により測定したc軸方向の結晶子の大きさLc004が、通常80nm以上、好ましくは90nm以上である。この範囲を下回ると、本発明の黒鉛材料を用いて電極を製造したときの活物質重量当たりの放電容量が小さくなる虞がある。
上記のX線回折により測定した面間隔d002及び結晶子の大きさLc004としては、炭素材料学会の学振法に従って測定される値を用いることができる。なお、学振法においては、100nm(1000Å)以上の値は区別されず、すべて「>1000(Å)」と記述される。
<体積基準平均粒径>
本発明の黒鉛材料は、その体積基準平均粒径が、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは30μm以下である。この範囲を下回ると、タップ密度が小さくなってしまうため、電極を製造したときに活物質の充填密度が上がり難く、高容量の電池を得難い。一方、この範囲を上回ると、塗布により電極を製造する時に塗工むらが生じ易い。
体積基準平均粒径としては、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの2体積%水溶液(約1ml)を黒鉛材料に混合し、イオン交換水を分散媒としてレーザー回折式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製LA−700)にて体積基準の平均粒径(メジアン径)を測定した値を用いることができる。
<電極を形成したときの活物質配向比>
本発明の黒鉛材料を活物質として、電極密度が1.63±0.05g/cm3、即ち、1.58g/cm3以上1.68g/cm3以下の範囲内となるように形成した電極の活物質配向比は、通常0.04以上、好ましくは0.07以上、また、通常0.20以下、好ましくは0.16以下である。前記範囲を下回ると、電池を作製したときの電池充電時の電極膨張が大きくなり、電極の単位体積当たりの電池容量を大きくできない虞がある。一方、前記範囲を上回ると、電池を作製したときの活物質の結晶性が低くなり、電池の放電容量を大きくできないか、又は、プレス後の電極の充填密度を上げ難い。
ここで、電極の活物質配向比とは、電極の厚み方向に対する、黒鉛結晶六角網面の配向の程度を表す指標である。配向比が大きいほど、粒子の黒鉛結晶六角網面の方向が揃っていない状態を表わす。
電極の活物質配向比を測定する具体的な手順は、次のようになる。
(1)電極の形成:
黒鉛材料と、増粘剤としてCMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液と、バインダ樹脂としてSBR(スチレンブタジエンゴム)水溶液とを、黒鉛材料とCMCとSBRとの混合物の乾燥後の総重量に対して、CMC及びSBRがそれぞれ1重量%になるように混合撹拌し、スラリーとする。次いで、ドクターブレードを用いて18μm厚さの銅箔上にスラリーを塗布する。塗布厚さは、乾燥後の電極目付(銅箔を除く)が10mg/cm2になるようにギャップを選択する。この電極を80℃で乾燥した後、電極密度(銅箔を除く)が1.63±0.05g/cm3になるようにプレスを行なう。
(2)活物質配向比の測定
プレス後の電極について、X線回折により電極の活物質配向比を測定する。具体的手法は特に制限されないが、標準的な方法としては、X線回折により黒鉛の(110)面と(004)面とのチャートを測定し、測定したチャートについて、プロファイル関数として非対称ピアソンVIIを用いてフィッティングすることによりピーク分離を行ない、(110)面と(004)面のピークの積分強度を算出する。得られた積分強度から、(110)面積分強度/(004)面積分強度で表わされる比率を算出し、電極の活物質配向比と定義する。
なお、ここでのX線回折測定条件は次のとおりである。また、下記記載において2θは回折角を示す。
ターゲット: Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
スリット : 発散スリット=1度、受光スリット=0.1mm、散乱スリット=1度
測定範囲、及び、ステップ角度/計測時間:
(110)面 : 76.5度≦2θ≦78.5度 0.01度/3秒
(004)面 : 53.5度≦2θ≦56.0度 0.01度/3秒
試料調整 : 硝子板に0.1mm厚さの両面テープで電極を固定
上記の方法により、電極密度1.63±0.05g/cm3となるように形成した電極について、X線回折による活物質配向比を求めることができる。
<リチウム二次電池としたときの放電容量>
本発明の黒鉛材料は、これを活物質として集電体上に活物質層を形成し、リチウム二次電池用負極として使用した場合に、そのリチウム二次電池の放電容量が、通常345mAh/g以上、好ましくは350mAh/g以上となる。放電容量がこの範囲を下回ると、電池容量の低下が生じる虞がある。また、放電容量は高ければ高い方が好ましいが、その上限は通常365mAh/g程度である。
具体的な放電容量の測定方法について特に制限はないが、標準的な測定方法を示すと、次の通りである。
まず、黒鉛材料を用いた電極を作製する。電極は、集電体として銅箔を用い、この集電体に活物質層を形成することにより作製する。活物質層は、黒鉛材料と、バインダ樹脂としてスチレンブタジエンゴム(SBR)とを混合したものを用いる。バインダ樹脂の量は、電極の重量に対して1重量%とする。また、電極密度は1.45g/cm3〜1.95g/cm3とする。
放電容量の評価は、この作製した電極について、対極に金属リチウムを用いた2極式コインセルを作製し、その充放電試験をすることにより行なう。
2極式コインセルの電解液は任意であるが、例えば、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを、体積比でDEC/EC=1/1となるように混合した混合液、又は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート(EMC)とを、体積比でEMC/EC=1/1となるように混合した混合液を用いることができる。
また、2極式コインセルに用いるセパレータも任意であるが、例えば、厚さ15μm〜35μmのポリエチレンシートを用いることができる。
こうして作製した2極式コインセルを用いて充放電試験を行ない、放電容量を求める。具体的には、0.2mA/cm2の電流密度で、リチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で電流値が0.02mAになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.4mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行なう、という充放電サイクルを3サイクル繰り返し、3サイクル目の放電値を放電容量とする。
<その他の特徴>
本発明の黒鉛材料のBET比表面積は、特に制限されないが、通常は0.2m2/g以上、好ましくは0.3m2/g以上、特に好ましくは0.6m2/g以上、また、通常は10m2/g以下、好ましくは5m2/g以下、特に好ましくは2.5m2/g以下の範囲である。BET比表面積の値が前記範囲の下限を下回ると、充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなり易く、リチウムが電極表面で析出し易くなるため、安全上好ましくない。一方、前記範囲の上限を上回ると、電解液との反応性が増加し、ガス発生が多くなり易く、好ましい電池が得られにくい。
なお、BET比表面積の具体的な測定は、例えば、実施例1に記載した手順によって行なうことが可能である。
[2.粒子状人造黒鉛負極材料の製造方法]
本発明の黒鉛材料の製造方法は特に制限されないが、例えば、以下に挙げる2つの製造方法(以下、適宜「第1の製造方法」「第2の製造方法」等という。これらを区別せずに呼ぶ場合には、「本発明の製造方法」等と略称する。)によって得ることができる。目標とする電池性能や製造コストなどに応じて、いずれの製造方法を採用しても良い。
第1の製造方法では、キノリン不溶分が特定量以下に低減されたピッチ原料を選択し、これを焼成、黒鉛化するに先立って、粒子内の黒鉛結晶前駆体の配向を乱す様な処理を施し、かつ、電池材料としての目的粒度に粉砕する前の熱処理温度を特定な範囲に限定することにより、機械的に黒鉛結晶前駆体の組織を微細化、無配向化する。
また、第2の製造方法では、キノリン不溶分及びトルエン不溶分が特定の範囲に限定されたピッチ原料を選択し、且つ、電池材料としての目的粒度に粉砕する前の熱処理温度を特定の範囲に限定することにより、黒鉛結晶前駆体の組織を微細化、無配向化する。
上記の2つの製造方法の何れかを用いることにより、従来は得られなかった特定の配向性と高結晶性と高タップ密度と大きな放電容量とを同時に実現することができ、上に説明した本発明の黒鉛材料を効率的に製造することができる。
以下、第1及び第2の製造方法について、それぞれ詳細に説明する。
<第1の製造方法>
第1の製造方法は、キノリン不溶分が0.1重量%以下であるピッチ原料を、400℃以上550℃以下で熱処理した後、粉砕し、450℃以上600℃以下で再熱処理し、再粉砕し、焼成し、黒鉛化することを特徴とする。
即ち、第1の製造方法は、キノリン不溶分が特定量以下に低減されたピッチ原料を選択するとともに、粒子内の黒鉛結晶前駆体の配向を乱す様な処理を加えることにより、これまでに得られなかった黒鉛材料の配向性と高結晶性を同時に実現するものである。
(原料の選択)
本明細書においてピッチ原料とは、ピッチ及びそれに順ずるものであり、適当な処理を行なうことによって黒鉛化することができるものをいう。具体的なピッチ原料の例としては、タールや重質油やピッチなどを用いることができる。タールの具体例としては、コールタール、石油系タールなどが挙げられる。重質油の具体例としては、石油系重質油の接触分解油、熱分解油、常圧残油、減圧残油などが挙げられる。また、ピッチの具体例としては、コールタールピッチ、石油系ピッチ、合成ピッチなどが挙げられる。これらの中でもコールタールピッチが芳香族性に高く好ましい。これらのピッチ原料は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
第1の製造方法の原料としては、上述のピッチ原料であって、キノリン不溶分の含有量が、通常0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下の範囲であるものを用いる。キノリン不溶分とは、コールタール中に微量に含まれるサブミクロンの炭素粒子や極微小なスラッジ等であり、これが多すぎると黒鉛化過程での結晶性向上を著しく阻害し、黒鉛化後の放電容量の著しい低下を招く。なお、キノリン不溶分の測定方法としては、例えばJIS K2425に規定された方法を用いることができる。
なお、本発明の効果を妨げない限り、原料として上述のピッチ原料に加え、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を併用してもよい。
(熱処理)
まず、選択したピッチ原料に熱処理を施し、黒鉛結晶の前駆体であるバルクメソフェーズ(熱処理した黒鉛結晶前駆体。以下適宜、「熱処理黒鉛結晶前駆体」という)を得る。この熱処理黒鉛結晶前駆体を粉砕後、再熱処理する際に、その一部又は全部が溶融するが、ここで熱処理によって揮発分の含量を調整しておくことにより、その溶融状態を適切に制御することができる。なお、熱処理黒鉛結晶前駆体に含まれる揮発分としては、通常、水素、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン等が挙げられる。
熱処理の際の温度条件は、通常400℃以上、好ましくは450℃以上、また、通常550℃以下、好ましくは510℃以下である。熱処理の温度がこの範囲を下回ると揮発分が多くなるため、大気中で安全に粉砕を行ない難くなる一方で、上回ると再熱処理時に熱処理黒鉛結晶前駆体の一部又は全部が溶融せず、配向を乱した粒子を得ることができない。
また、熱処理を行なう時間は、通常1時間以上、好ましくは10時間以上、また、通常48時間以下、好ましくは24時間以下である。熱処理の時間がこの範囲を下回ると不均一な熱処理黒鉛結晶前駆体となり製造上好ましくない一方で、上回ると生産性が悪く処理費用が高くなり、やはり好ましくない。
なお、熱処理の温度及び累積時間が前記の範囲内であれば、複数回に分けて熱処理を行なってもよい。
熱処理を行なう際には、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、又は、ピッチ原料から発生する揮発分雰囲気下で行なう。
熱処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、シャトル炉、トンネル炉、電気炉、オートクレーブ等の反応槽、コーカー(コークス製造の熱処理槽)などを用いることができる。
熱処理時には、必要に応じて攪拌を行なってもよい。
熱処理によって得られる黒鉛結晶前駆体の揮発分は、通常4重量%以上、好ましくは7重量%以上、また、通常20重量%以下、好ましくは14重量%以下とする。揮発分が上記範囲を下回ると揮発分が多いため、大気中で安全に粉砕を行ない難くなる一方で、上回ると再熱処理時に粉砕により微細化した黒鉛結晶前駆体の一部又は全部が溶融せず、配向を乱した粒子を得ることができない。
(粉砕)
次に、熱処理によって得られた黒鉛結晶前駆体を粉砕する。熱処理により大きな単位で同一方向に並びかけている黒鉛結晶前駆体の結晶を微細化するためである。
粉砕は、粉砕後の黒鉛結晶前駆体の粒度が、通常1μm以上、好ましくは5μm以上、また、通常10mm以下、好ましくは5mm以下、中でも好ましくは500μm以下、更に好ましくは200μm以下、特に好ましくは50μm以下となるように行なう。前記粒度が1μm未満では、粉砕中若しくは粉砕後に熱処理した黒鉛結晶前駆体の表面が空気と触れることで酸化し、黒鉛化過程での結晶性の向上を阻害し、黒鉛化後の放電容量の低下を招く虞がある。一方、前記粒度が10mmを超えると、粉砕による微細化効果が薄れ結晶が配向し易くなり、黒鉛材料を用いた電極の活物質配向比が低くなり、電池充電時の電極膨張を抑制し難くなる。
粉砕に用いる装置に特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはジョークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられ、中間粉砕機としてはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、微粉砕機としてはボールミル、振動ミル、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル等が挙げられる。
(再熱処理)
次に、粉砕により微細化した黒鉛結晶前駆体に再熱処理を施す。粉砕した黒鉛結晶前駆体を再溶融又は融着することにより、微細化した黒鉛結晶前駆体粒子が無配向状態で接触したまま固定化するためである。
再熱処理時の温度条件は、通常450℃以上、好ましくは500℃以上、また、通常600℃以下、好ましくは560℃以下である。再熱処理時の温度が前記範囲を下回ると、再熱処理後の材料中に揮発分が多く残存する為、焼成、若しくは黒鉛化工程時に粉体の融着を起こし、再粉砕が必要となり好ましくない。一方、前記範囲を上回ると、再溶融した成分が再粉砕時に針状に割れタップ密度の低下等を招き好ましくない。
再熱処理を行なう時間は、通常20分以上、好ましくは30分以上、また、通常3時間以下、好ましくは2時間以下である。再熱処理を行なう時間が前記範囲を下回ると揮発分が不均一になり、焼成もしくは黒鉛化処理時に融着の原因となり好ましくなく、上回ると生産性が悪く、処理費用も高くなるためやはり好ましくない。
再熱処理は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、又は、粉砕により微細化した黒鉛結晶前駆体から発生する揮発分雰囲気下で行なう。
再熱処理に用いる装置に特に制限はないが、例えば、シャトル炉、トンネル炉、電気炉などを用いることができる。
(粉砕及び再熱処理の代替処理)
ところで、上記の粉砕及び再熱処理の代替処理として、黒鉛結晶前駆体の組織を微細化、無配向化することが可能な処理、例えば、熱処理した黒鉛結晶前駆体が溶融若しくは軟化する様な温度領域で機械的エネルギーを付与する処理を行ないながら再熱処理を行なうことも可能である。
この代替処理としての再熱処理は、通常200℃以上、好ましくは250℃以上、また、通常450℃以下、好ましくは400℃以下で行なう。温度条件が前記範囲を下回ると代替処理中の黒鉛結晶前駆体の溶融、軟化が不十分であり、配向を乱し難くなる。また、上回ると熱処理が急速に進み易く、粉砕時に粒子が針状に割れ、タップ密度の低下を招き易い。
また、その処理時間は、通常30分以上、好ましくは1時間以上、また、通常24時間以下、好ましくは10時間以下で行なう。処理時間が前記範囲を下回ると代替処理をした黒鉛結晶前駆体が不均一となり、製造上好ましくない。また、上回ると生産性が悪く、処理費用が高くなり好ましくない。
この代替処理は、通常、窒素ガス等の不活性雰囲気下、又は空気等の酸化性雰囲気下で行なう。但し、酸化性雰囲気で処理する場合は、黒鉛化後に高結晶性を得ることが難しくなる虞があるので、酸素による不融化が進み過ぎない様にする必要がある。具体的には、代替処理後の黒鉛結晶前駆体中の酸素量が、通常8重量%以下、好ましくは5重量%以下となるようにする。
また、代替処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、ミキサー、ニーダー等を用いることができる。
(再粉砕)
次に、再熱処理を行なった黒鉛結晶前駆体を再粉砕する。再熱処理により組織が微細化、無配向化した状態で溶融又は融着した黒鉛結晶前駆体の塊を、粉砕により目的の粒子径にするためである。
再粉砕後の黒鉛結晶前駆体の粒度は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは30μm以下とする。粒度が前記範囲を下回ると、タップ密度が小さくなってしまうため、電極とした場合に活物質の充填密度が上がり難く、高容量の電池を得難い。一方、前記範囲を上回ると、塗布により電極を作製するときに塗工むらが生じ易く好ましくない。
再粉砕に用いる装置について特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはジョークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられ、中間粉砕機としてはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、微粉砕機としてはボールミル、振動ミル、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル等が挙げられる。
(焼成)
次に、再粉砕により粉砕された黒鉛結晶前駆体を焼成する。黒鉛化時の黒鉛結晶前駆体粒子の融着を抑制するべく、焼成により黒鉛結晶前駆体の揮発分を除去するためである。
焼成を行なう際の温度条件は、通常600℃以上、好ましくは1000℃以上、また、通常1500℃以下、好ましくは1300℃以下である。温度条件が前記範囲を下回ると、黒鉛化時に黒鉛結晶前駆体が粉体の融着を起こし易く好ましくない。一方、前記範囲を上回ると、焼成設備に費用が掛かるため好ましくない。
焼成を行なう時に、温度条件を上記範囲に保持する保持時間は特に制限されないが、通常30分以上、72時間以下である。
焼成は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、又は、再粉砕した黒鉛結晶前駆体から発生するガスによる非酸化性雰囲気下で行なう。また、製造工程の簡略化のため、焼成工程を組み込まずに、直接黒鉛化を行なうことも可能である。
焼成に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、シャトル炉、トンネル炉、電気炉、リードハンマー炉、ロータリーキルン等を用いることができる。
(黒鉛化)
次に、焼成を行なった黒鉛結晶前駆体に黒鉛化を施す。電池評価での放電容量を大きくするために、結晶性を向上させるためである。黒鉛化により、本発明の黒鉛材料を得ることができる。
黒鉛化を行なう際の温度条件は、通常2800℃以上、好ましくは3000℃以上、また、通常3200℃以下、好ましくは3100℃以下である。前記範囲を上回ると、電池の可逆容量が小さくなる虞があり、高容量な電池を作り難い。また、前記範囲を上回ると、黒鉛の昇華量が多くなり易く好ましくない。
黒鉛化を行なう時に保持時間は特に制限されないが、通常0分よりも長い時間であり、24時間以下である。
黒鉛化は、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、又は、焼成した黒鉛結晶前駆体から発生するガスによる非酸化性雰囲気下で行なう。
黒鉛化に使用する装置としては特に制限はないが、例えば、直接通電炉、アチソン炉、間接通電式として抵抗加熱炉、誘導加熱炉等が挙げられる。
なお、黒鉛化処理時、若しくはそれ以前の工程、即ち、熱処理から焼成までの工程で、材料(ピッチ原料又は黒鉛結晶前駆体)の中若しくは表面にSi、B等の黒鉛化触媒を添加しても構わない。
(その他の処理)
その他、発明の効果が妨げられない限りにおいて、上記の各処理に加え、分級処理等の各種の処理を行なうことができる。分級処理は、黒鉛化処理後の粒度を目的の粒径にするべく、粗粉や微粉を除去するためのものである。
分級処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、乾式篩い分けの場合:回転式篩い、動揺式篩い、旋動式篩い、振動式篩い、乾式気流式分級の場合:重力式分級機、慣性力式分級機、遠心力式分級機(クラシファイア、サイクロン等)、湿式篩い分け、機械的湿式分級機、水力分級機、沈降分級機、遠心式湿式分級機等を用いることができる。
分級処理は、再熱処理後の再粉砕のすぐ後に続けて行なうこともできるし、その他のタイミング、例えば、再粉砕後の焼成の後、あるいは黒鉛化の後に行なってもよい。更には、分級処理自体を省略することも可能である。但し、粒子状人造黒鉛負極材料(黒鉛材料)のBET比表面積を低下させる点、及び、生産性の点からは、再熱処理後の再粉砕のすぐ後に続けて分級処理を行なうことが好ましい。
<第2の製造方法>
続いて、第2の製造方法について詳細に説明する。
第2の製造方法は、キノリン不溶分が0.4重量%以上2.5重量%以下であり、かつ、トルエン不溶分が6重量%以上15重量%以下であるピッチ原料を、450℃以上600℃以下で熱処理した後、粉砕し、焼成し、黒鉛化することを特徴とする。
即ち、第2の製造方法は、キノリン不溶分及びトルエン不溶分が前記特定な範囲に限定されたピッチ原料を選択することにより、これまでに得られなかった黒鉛材料の配向性と高結晶性を同時に実現するものである。
また、第2の製造方法では、第1の製造方法とは異なり、再熱処理を行なわない。その理由としては、第2の製造方法では、キノリン不溶分及びトルエン不溶分が前記特定な範囲に限定されたピッチ原料を選択し、450℃〜600℃で熱処理を行なうため、熱処理によって得られる黒鉛結晶前駆体中の揮発分及びトルエン可溶分の量が適度な範囲にあり、焼成、黒鉛化時に融着を起こさないので、再熱処理の必要はないからである。
(原料の選択)
原料としては、第1の製造方法と同様の種類のピッチ原料を使用することができる。ピッチ原料は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
第2の製造方法においては、原料として用いるピッチ原料の条件として、そのキノリン不溶分の含有量が、通常0.4重量%以上、好ましくは1.1重量%以上、また、通常2.5重量%以下、好ましくは2.2重量%以下であることを要する。キノリン不溶分の含有量が前記範囲を下回ると、製造される黒鉛材料の黒鉛結晶組織を微細化、無配向化する効果が小さい一方で、前記範囲を上回ると、黒鉛材料の黒鉛結晶組織を微細化、無配向化することはできるが、電池に用いた場合の放電容量が低下し、何れの場合も好ましくない。なお、キノリン不溶分の測定方法としては、例えばJIS K2425に規定された方法を用いることができる。
また、原料として用いるピッチ原料の更なる条件として、そのトルエン不溶分の含有量が、通常6重量%以上、好ましくは8重量%以上、また、通常15重量%以下、好ましくは12重量%以下であることを要する。トルエン不溶分とは、平均分子量300〜2000、且つ、一分子中の水素原子と炭素原子との比H/C(水素/炭素)が0.5〜0.8程度の縮合多環芳香族のことをいう。トルエン不溶分は多い方が結晶性の良い黒鉛を高収率で得ることができるが、前記範囲を上回るとピッチ原料の軟化点が上昇し、製造上取り扱い難くなる虞がある。一方、前記範囲を下回ると熱処理時に発泡し易くなり、高いタップ密度を得難くなる。なお、トルエン不溶分の測定方法としては、例えばJIS K2425に規定された方法を用いることができる。
(熱処理)
まず、選択したピッチ原料に熱処理を施し、黒鉛結晶前駆体であるバルクメソフェーズ(熱処理黒鉛結晶前駆体)を得る。この熱処理黒鉛結晶前駆体を粉砕後、再熱処理する際に、その一部又は全部が溶融するが、この熱処理によって揮発分の含量を調整しておくことにより、その溶融状態を適切に制御することができる。
熱処理の際の温度条件は、通常450℃以上、好ましくは480℃以上、また、通常600℃以下、好ましくは560℃以下である。熱処理時の温度が前記範囲を下回ると、黒鉛結晶前駆体中に揮発分及びトルエン可溶分が多く残存してしまい、焼成又は黒鉛化の工程時に黒鉛結晶前駆体の粉体が融着を起こし易く、再粉砕が必要となる虞があるので好ましくない。一方、前記範囲を上回ると、粉砕時に粒子が針状に割れ易く、タップ密度の低下等を招き易いので好ましくない。
また、熱処理を行なう時間は、通常1時間以上、好ましくは10時間以上、また、通常48時間以下、好ましくは24時間以下である。熱処理を行なう時間が上記範囲を下回ると不均一な熱処理黒鉛結晶前駆体となり製造上好ましくない一方で、上回ると生産性が悪く処理費用が高くなり、やはり好ましくない。
なお、熱処理の温度及び累積時間が前記の範囲内であれば、複数回に分けて熱処理を行なってもよい。
熱処理を行なう際には、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、又は、ピッチ原料から発生する揮発分雰囲気下で行なう。
熱処理に用いる装置として制限はないが、例えば、シャトル炉、トンネル炉、電気炉、オートクレーブ等の反応槽、コーカー(コークス製造の熱処理槽)などを用いることができる。
熱処理時には、必要に応じて攪拌を行なってもよい。
熱処理によって得られる黒鉛結晶前駆体の揮発分の含有量(VM:Volatile Matter)は、通常4重量%以上、好ましくは6重量%以上、また、通常15重量%以下、好ましくは9重量%以下とする。揮発分が上記範囲を下回ると粉砕時に粒子が針状に割れ、タップ密度の低下を招き易く、上回ると、揮発分が多いため大気中で安全に粉砕を行ない難い。
また、得られる黒鉛結晶前駆体中のトルエン可溶分は、通常0%以上、また、通常10以下、好ましくは3%以下とする。トルエン可溶分が多過ぎると、焼成時に融着を起こし易く好ましくない。
(粉砕)
次に、熱処理により得られた、微細化及び無配向化された結晶構造を有する黒鉛結晶前駆体の塊を、粉砕により目的の粒子径にする。
粉砕後の黒鉛結晶前駆体の粒度は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは30μm以下となるようにする。粒度が前記範囲を下回ると、タップ密度が小さくなってしまうため、電極とした場合に活物質の充填密度が上がり難く、高容量の電池を得難い。一方、前記範囲を上回ると、塗布によって電極を作製する時に塗工むらが生じ易く、好ましくない。
粉砕に用いる装置に特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはジョークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられ、中間粉砕機としてはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、微粉砕機としてはボールミル、振動ミル、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル等が挙げられる。
(焼成)
次に、粉砕した黒鉛結晶前駆体から揮発分を除去するべく、通常は焼成を行なう。その条件は、第1の製造方法における再粉砕後の焼成の条件と同様である。また、製造工程の簡略化のため、焼成工程を組み込まずに、直接黒鉛化を行なうことも可能である。
(黒鉛化)
続いて、第1の製造方法と同様の条件で、黒鉛化を行なう。この黒鉛化により、本発明の黒鉛材料を得ることができる。
(その他の処理)
その他、発明の効果が妨げられない限りにおいて、上記の処理に加え、第1の製造方法と同様に、分級処理等の各種の処理を行なうことができる。
<その他>
上記2つの製造方法(本発明の製造方法)によって、従来は得られなかった特定の配向性と高結晶性と高タップ密度と大きな放電容量とを同時に実現することができ、上に説明した黒鉛材料(本発明の黒鉛材料)を効率的に製造することができる。
特に、高タップ密度が達成されるメカニズムについては明らかではないが、粉砕前の熱処理温度を最適化し、それによって熱処理後の黒鉛結晶前駆体の揮発分含有量(VM)を適切な値とすることで、熱処理によって得られる黒鉛結晶前駆体が塊状に粉砕されるために、タップ密度を向上させることができるものと推測される。
また、原料ピッチ中のキノリン不溶分が少ないほど、得られる黒鉛材料は高結晶性となるが、電極に用いたときの配向比が低下する傾向がある。第1の製造方法は、再熱処理等の工程を加えることによって、また、第2の製造方法は、キノリン不溶分等の含有量が特定の範囲にある原料ピッチを用いることによって、得られる黒鉛材料の結晶性と電極配向比とのバランスを最適化したものといえる。
以上説明した本発明の黒鉛材料は、特定の配向性と高結晶性と高タップ密度と大きな放電容量とを同時に備えているので、リチウム二次電池の負極材料として用いた場合に、放電容量が高く、且つ、充電時の電極膨張が小さい、優れたリチウム二次電池を実現することができる。
また、本発明の第1及び第2の製造方法によれば、上記の特性を有する本発明の黒鉛材料を、効率よく安定して製造することができる。
[3.電極]
本発明の黒鉛材料を活物質として含有する活物質層を集電体上に形成することにより、リチウム二次電池用負極を作製することができる。
負極の製造は、常法にしたがって製造すればよい。例えば、負極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化する方法が挙げられる。
また、本発明の黒鉛材料に加えて、他の活物質を併用して用いることもできる。
負極層の密度は、通常1.45g/cm3以上、好ましくは1.55g/cm3以上、より好ましくは1.60g/cm3以上とすると、電池の容量が増加するので好ましい。なお、負極層とは集電体上の活物質、結着剤、導電剤などよりなる層をいい、その密度とは電池に組立てる時点での密度をいう。
結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−アクリル酸共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
増粘剤としては公知のものを任意に選択して用いることができるが、例えば、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコ−ル、酸化スターチ、リン酸化スターチ及びガゼイン等が挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
導電材としては、銅又はニッケル等の金属材料;グラファイト又はカーボンブラック等の炭素材料などが挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
負極用集電体の材質としては、銅、ニッケル又はステンレス等が挙げられる。これらのうち、薄膜に加工しやすいという点及びコストの点から銅箔が好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[4.電池]
本発明の黒鉛材料は、電池の電極の材料として有用である。特に、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、ならびに電解液を備えたリチウム二次電池電池などの非水系二次電池において、上記負極として、上述した本発明の黒鉛材料を用いることは、極めて有用である。例えば、上記の方法にしたがって製造した粒子状人造黒鉛負極材料を負極として使用し、通常使用されるリチウム二次電池用の金属カルコゲナイド系正極及びカーボネート系溶媒を主体とする有機電解液を組み合わせて構成した非水系二次電池は、容量が大きく、初期サイクルに認められる不可逆容量が小さく、急速充放電容量が高く、またサイクル特性が優れ、高温下での放置における電池の保存性及び信頼性も高く、高効率放電特性及び低温における放電特性に極めて優れたものである。
このようなリチウム二次電池を構成する正極、電解液等の電池構成上必要な部材の選択については特に制限されない。以下において、本発明の黒鉛材料を用いたリチウム二次電池を構成する部材の材料等を例示するが、使用し得る材料はこれらの具体例に限定されるものではない。
正極には、例えば、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物材料;二酸化マンガン等の遷移金属酸化物材料;フッ化黒鉛等の炭素質材料などのリチウムを吸蔵・放出可能な材料を使用することができる。具体的には、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24及びこれらの非定比化合物、MnO2、TiS2、FeS2、Nb34、Mo34、CoS2、V25、P25、CrO3、V33、TeO2、GeO2等を用いることができる。正極の製造方法は特に制限されず、上記の電極の製造方法と同様の方法により製造することができる。
正極集電体には、例えば、電解液中での陽極酸化によって表面に不動態皮膜を形成する弁金属又はその合金を用いるのが好ましい。弁金属としては、IIIa、IVa、Va族(3B、4B、5B族)に属する金属及びこれらの合金を例示することができる。具体的には、Al、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta及びこれらの金属を含む合金などを例示することができ、Al、Ti、Ta及びこれらの金属を含む合金を好ましく使用することができる。特にAl及びその合金は軽量であるためエネルギー密度が高くて望ましい。
電解質としては、電解液や固体電解質など、任意の電解質を用いることができる。なおここで電解質とはイオン導電体すべてのことをいい、電解液及び固体電解質は共に電解質に含まれるものとする。
電解液としては、例えば、非水系溶媒に溶質を溶解したものを用いることができる。溶質としては、アルカリ金属塩や4級アンモニウム塩などを用いることができる。具体的には、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(CF3CF2SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(CF3SO23からなる群から選択される1以上の化合物を用いるのが好ましい。
非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル化合物;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル;クラウンエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル;ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状カーボネートなどを用いることができる。溶質及び溶媒はそれぞれ1種類を選択して使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも非水系溶媒が、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含有するものが好ましい。
また、非水系電解液は、電解液中に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状または、ゴム状、或いは固体シート状の固体電解質としてもよい。有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
セパレータの材質や形状は特に制限されない。セパレータは正極と負極が物理的に接触しないように分離するものであり、イオン透過性が高く、電気抵抗が低いものであるのが好ましい。セパレータは電解液に対して安定で保液性が優れた材料の中から選択するのが好ましい。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布を用いて、上記電解液を含浸させることができる。
電解液、負極及び正極を少なくとも有するリチウム二次電池を製造する方法は、特に限定されず通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。
リチウム二次電池には、電解液、負極、正極の他に、必要に応じて、外缶、セパレータ、ガスケット、封口板、セルケースなどを用いることもできる。
リチウム二次電池の製造方法の例を挙げると、外缶上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、さらに負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池にすることができる。
電池の形状は特に制限されず、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等にすることができる。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1]
キノリン不溶分が0.05重量%以下のコールタールピッチを、反応炉にて460℃で10時間熱処理し、溶融性のある塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体(バルクメソフェーズ)を得た。得られた塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を、中間粉砕機(セイシン企業社製オリエントミル)を用いて粉砕し、メジアン径65μm、モード径150μmの微細化した黒鉛結晶前駆体粉末を得た。なお、メジアン径及びモード径は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの2体積%水溶液(約1ml)を、微細化した黒鉛結晶前駆体粉末に混合し、イオン交換水を分散媒としてレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所社製LA−700)を用いて体積基準で測定した値を用いた。
この微細化した黒鉛結晶前駆体粉末を金属製の容器に詰め、箱形の電気炉で窒素ガス流通下、更に540℃で2時間再熱処理した。再熱処理中に、微細化した黒鉛結晶前駆体粉末は溶融し、固化した黒鉛結晶前駆体(バルクメソフェーズ)の塊となった。
この固化した黒鉛結晶前駆体の塊を粗砕機(吉田製作所製ロールジョークラッシャー)で再粉砕、更に微粉砕機(マツボー社製ターボミル)を用いて微粉砕した後、風力式分級機(セイシン企業社製OMC−100)を用いて分級し、メジアン径19μm、モード径19μmの粉末を得た。
得られた粉末を容器に入れ、電気炉にて窒素雰囲気下、1000℃で1時間焼成した。焼成後は粉末のままの形態であり、溶融、融着は殆ど見られなかった。
更に、焼成した粉末を黒鉛坩堝に移し替え、直接通電炉を用いて3000℃で5時間かけて黒鉛化し、粒子状人造黒鉛負極材料(実施例1の黒鉛材料)を得た。
得られた実施例1の黒鉛材料の物性を測定したところ、メジアン径18μm、モード径19μm、タップ密度1.32g/cm3、BET比表面積0.7m2/gであった。なお、メジアン径及びモード径は、微細化した黒鉛結晶前駆体の場合と同様にレーザー回折式粒度分布計を用いて測定を行なった。また、タップ密度は、目開き300μmの篩を使用し、20cm3のタッピングセルに黒鉛材料を落下させてセルを満杯に充填した後、粉体密度測定器(セイシン企業社製タップデンサー)を用いてストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時のタッピング密度を測定した値を用いた。また、BET比表面積は、大倉理研製全自動表面積測定装置を用い、窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、相対圧を約0.3に精密に調整した窒素混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した。
また、X線回折法にてその結晶性を測定したところ、d002=0.3358nm、Lc004>1000Å(100nm)であった。
また、実施例1の黒鉛材料を用いて、下記の方法に従って電極密度1.63±0.05g/cm3の電極を作製し、電極の活物質配向比を求めたところ、0.04であった。
更に、実施例1の黒鉛材料を用いて、下記の方法に従ってリチウム二次電池を作製し、放電容量の測定を行なった。また、同様にリチウム二次電池を作製し、充電状態で解体して電極の厚みを測定することにより、充電膨張率の測定を行なった。結果を表1に示す。
<電極作製方法>
黒鉛材料と、増粘剤としてCMC水溶液と、バインダ樹脂としてSBR水溶液とを、乾燥後の黒鉛材料に対してCMC及びSBRがそれぞれ1重量%になるように混合撹拌してスラリーとし、ドクターブレードを用いて銅箔上にこのスラリーを塗布した。塗布厚さは、乾燥後の電極目付(銅箔除く)が10mg/cm2になるようにギャップを選択した。
この電極を80℃で乾燥した後、電極密度(銅箔除く)が1.63±0.05g/cm3になるようにプレスを行なった。プレス後の電極から12mmφの電極を打ち抜き、重量より負極活物質重量(電極重量−銅箔重量−バインダー重量)を求めた。
<リチウム二次電池作成方法>
上記の電極作製方法で作製した電極を110℃で真空乾燥した後、グローブボックスへ移し、アルゴン雰囲気下で、電解液としてエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=1/1の混合液を溶媒とした1M−LiPF6電解液と、セパレータとしてポリエチレンセパレータと、対極としてリチウム金属対極とを用い、コイン電池(リチウム二次電池)を作製した。
<放電容量の測定方法>
0.2mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で電流値が0.02mAになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.4mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行なう充放電サイクルを3サイクル繰り返し、3サイクル目の放電値を放電容量として測定した。
<充電膨張率の測定方法>
放電容量の測定において3サイクル充放電後、4サイクル目の充電終止条件を300mAh/gの定容量充電で行なった。充電状態のコイン電池をアルゴングローブボックス中で短絡させないように解体し、電極を取り出して、充電時の電極の厚み(銅箔除く)を測定した。電池作製前のプレス電極の厚み(銅箔除く)を基準として、次式に基づいて充電膨張率を求めた。
(充電電極厚み−プレス電極厚み)/プレス電極厚み×100=充電膨張率(%)
[実施例2]
実施例1と同様の手順で得られた溶融性のある塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を、粗砕機(吉田製作所製ロールジョークラッシャー)で粉砕後、粉砕機(マツボー社製ターボミル)を用いて粉砕し、メジアン径20μm、モード径24μmの微細化した黒鉛結晶前駆体粉末を得た。その後は実施例1と同様の手順で再熱処理以降の処理を行ない、粒子状人造黒鉛負極材料(実施例2の黒鉛材料)を得た。
得られた実施例2の黒鉛材料の物性を、実施例1と同様にして測定したところ、メジアン径18μm、モード径19μm、タップ密度1.30g/cm3、BET比表面積0.7m2/gであった。また、実施例1と同様にしてX線回折法にてその結晶性を測定したところ、d002=0.3359nm、Lc004=900Å(90nm)であった。
また、実施例2の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順で電極を作製し、電極の活物質配向比を求めたところ、0.09であった。
更に、実施例2の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順でリチウム二次電池を作製し、放電容量及び充電膨張率の測定を行なった。結果を表1に示す。
[実施例3]
キノリン不溶分が2重量%、トルエン不溶分が9.5重量%のコールタールピッチを、反応炉にて500℃で10時間熱処理し、溶融性の無い塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を得た。
この塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を粗砕機で粉砕し、更に微粉砕機を用いて微粉砕した後、風力式分級機を用いて分級し、メジアン径19μm、モード径19μmの粉末を得た。
得られた粉末を容器に入れ、電気炉にて窒素雰囲気下、1000℃で1時間電気炉にて焼成した。
更に、焼成した粉末を黒鉛坩堝に移し替え、直接通電炉を用いて3000℃で5時間かけて黒鉛化し、粒子状人造黒鉛負極材料(実施例3の黒鉛材料)を得た。
得られた実施例3の黒鉛材料の物性を、実施例1と同様にして測定したところ、メジアン径18μm、モード径19μm、タップ密度1.27g/cm3、BET比表面積1.0m2/gであった。また、実施例1と同様にしてX線回折法にてその結晶性を測定したところ、d002=0.3358nm、Lc004>1000Å(100nm)であった。
また、実施例3の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順で電極を作製し、電極の活物質配向比を求めたところ、0.12であった。
更に、実施例3の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順でリチウム二次電池を作製し、放電容量及び充電膨張の測定を行なった。結果を表1に示す。
[比較例1]
キノリン不溶分が10重量%のコールタールピッチを、反応炉にて460℃で10時間熱処理し、溶融性のある塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を得た。その後は実施例1と同様の方法で粉砕、再熱処理、再粉砕、焼成、黒鉛化を行ない、粒子状人造黒鉛負極材料(比較例1の黒鉛材料)を得た。
得られた比較例1の黒鉛材料の物性を実施例1と同様にして測定したことろ、メジアン径18μm、モード径21μm、タップ密度1.25g/cm3、BET比表面積1.4m2/gであった。また、実施例1と同様にしてX線回折法にてその結晶性を測定したところ、d002=0.3361nm、Lc004=67nmであった。
また、比較例1の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順で電極を作製し、電極の活物質配向比を求めたところ、0.28であった。
更に、比較例1の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順でリチウム二次電池を作製し、放電容量及び充電膨張の測定を行なった。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1の黒鉛材料の製造手順において、熱処理の際の温度を500℃にし、熱処理によって溶融性の無い塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を得た後、その熱処理黒鉛結晶前駆体に対して再熱処理を行なわずに粉砕と再粉砕とをまとめて行ない、更に分級して、メジアン径22μm、モード径24μmの粉末を得た他は、実施例1と同様の手順により粒子状人造黒鉛負極材料(比較例2の黒鉛材料)を得た。
得られた比較例2の黒鉛材料の物性を実施例1と同様にして測定したところ、メジアン径21μm、モード径24μm、タップ密度1.24g/cm3、BET比表面積0.9m2/gであった。また、実施例1と同様にしてX線回折法にて結晶性を測定したところ、d002=0.3356nm、Lc004>1000Å(100nm)であった。
また、比較例2の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順で電極を作製し、活物質配向比を求めたところ、0.02であった。
更に、比較例2の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順でリチウム二次電池を作製し、放電容量及び充電膨張の測定を行なった。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1の黒鉛材料の製造手順において、塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を粉砕する際に、粗砕機で3〜10cmに粉砕した他は、実施例1と同様の手順により粒子状人造黒鉛負極材料(比較例3の黒鉛材料)を得た。
得られた比較例3の黒鉛材料の物性を実施例1と同様にして測定したところ、メジアン径20μm、モード径21μm、タップ密度1.28g/cm3、BET比表面積0.6m2/gであった。また、実施例1と同様にしてX線回折法にて結晶性を測定したところ、d002=0.3357nm、Lc004>1000Å(100nm)であった。
また、比較例3の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順にて電極を作製し、活物質配向比を求めたところ、0.03であった。
更に、比較例3の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順でリチウム二次電池を作製し、放電容量及び充電膨張の測定を行なった。結果を表1に示す。
[比較例4]
キノリン不溶分が5重量%、トルエン不溶分が12重量%のコールタールピッチを、反応炉にて、500℃で10時間熱処理し、溶融性の無い塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を得た。この塊状の熱処理黒鉛結晶前駆体を用いて、実施例3と同様の手順で粉砕処理以降の各処理を行ない、粒子状人造黒鉛負極材料(比較例4の黒鉛材料)を得た。
得られた比較例4の黒鉛材料の物性を実施例1と同様にして測定したところ、メジアン径28μm、モード径28μm、タップ密度1.20g/cm3、BET比表面積0.8m2/gであった。また、実施例1と同様にしてX線回折法にて結晶性を測定したところ、d002=0.3359nm、Lc004>1000Å(100nm)であった。
また、比較例4の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順にて電極を作製し、電極の活物質配向比を求めたところ、0.16であった。
更に、比較例4の黒鉛材料を用いて、実施例1と同様の手順にてリチウム二次電池を作製し、放電容量及び充電膨張の測定を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2005154242
なお、上記表1において、Qiはキノリン不溶分を表わし、Tiはトルエン不溶分を表わす。また、再熱処理を行なったものは○、行なわなかったものは×で示している。
表1の結果をみると、キノリン不溶分の含有量が高いピッチ原料を用いて製造した比較例1の黒鉛材料は、面間隔d002の値が本発明の黒鉛材料の規定範囲を上回っており、即ち、結晶性が低いため、その結果、電池の放電容量が低い。
比較例2では、キノリン不溶分の含有量が低いピッチ原料を用いたにもかかわらず、再熱処理を行なっていない。得られる黒鉛材料は、電極配向比が本発明の黒鉛材料の規定範囲を下回っており、その結果、電極の充電膨張率が極めて高くなってしまっている。
比較例3では、キノリン不溶分の含有量が低いピッチ原料を用い、且つ、再熱処理を行なっているが、最初の粉砕時における粉砕粒度が極めて大きい。得られる黒鉛材料は、やはり電極配向比が本発明の黒鉛材料の規定範囲を下回っており、その結果、電極の充電膨張率が極めて高くなってしまっている。
比較例4では、キノリン不溶分及びトルエン不溶分の含有量が高いピッチ原料を用い、再熱処理は行なっていない。その結果得られる黒鉛材料は、タップ密度、結晶性、電極配向性等の物性は満たしているものの、これを用いた電池の放電容量が低くなってしまう。
これらに対して、実施例1〜3の黒鉛材料では、タップ密度、結晶性、及び電極配向性の全てが本発明の規定範囲を満たしている。そして、これらの黒鉛材料を用いて作製した電池は高い放電容量を示しており、且つ、電極の充電膨張率も低く抑えられている。
本発明の粒子状人造黒鉛負極材料によれば、放電容量が高く、且つ、充電時の電極膨張が小さい、優れたリチウム二次電池を実現することができるため、リチウム二次電池が用いられる電子機器等の各種の分野において好適に利用できる。
また、本発明の粒子状人造黒鉛負極材料の製造方法によれば、上記の粒子状人造黒鉛負極材料を効率よく安定して製造できるため、リチウム二次電池の工業生産分野においてその価値は大きい。

Claims (6)

  1. 粒子状の人造黒鉛からなる負極材料であって、
    (a)タップ密度が1.15g/cm3以上であり、
    (b)X線回折による(002)面の面間隔d002が0.3360nm以下であり、
    (c)該負極材料を活物質として電極密度1.63±0.05g/cm3で形成した電極の活物質配向比が0.04以上0.20以下であり、且つ、
    (d)該負極材料を用いて作製したリチウム二次電池の放電容量が345mAh/g以上である
    ことを特徴とする、粒子状人造黒鉛負極材料。
  2. キノリン不溶分が0.1重量%以下であるピッチ原料を、400℃以上550℃以下で熱処理した後、粉砕して粒度を1μm以上10mm以下とし、450℃以上600℃以下で再熱処理し、再粉砕し、焼成し、黒鉛化する
    ことを特徴とする、粒子状人造黒鉛負極材料の製造方法。
  3. キノリン不溶分が0.4重量%以上2.5重量%以下であり、かつ、トルエン不溶分が6重量%以上15重量%以下であるピッチ原料を、450℃以上600℃以下で熱処理した後、粉砕し、焼成し、黒鉛化する
    ことを特徴とする、粒子状人造黒鉛負極材料の製造方法。
  4. 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えるとともに、
    該活物質層が、請求項1記載の粒子状人造黒鉛負極材料を含有する
    ことを特徴とする、リチウム二次電池用負極。
  5. 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えるとともに、
    該活物質層が、請求項2又は請求項3に記載の製造方法によって製造された粒子状人造黒鉛負極材料を含有する
    ことを特徴とする、リチウム二次電池用負極。
  6. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、ならびに電解質を備えるとともに、
    該負極が、請求項4又は請求項5に記載のリチウム二次電池用負極である
    ことを特徴とする、リチウム二次電池。
JP2003399256A 2003-11-28 2003-11-28 粒子状人造黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池 Expired - Fee Related JP4470467B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003399256A JP4470467B2 (ja) 2003-11-28 2003-11-28 粒子状人造黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003399256A JP4470467B2 (ja) 2003-11-28 2003-11-28 粒子状人造黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005154242A true JP2005154242A (ja) 2005-06-16
JP4470467B2 JP4470467B2 (ja) 2010-06-02

Family

ID=34723854

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003399256A Expired - Fee Related JP4470467B2 (ja) 2003-11-28 2003-11-28 粒子状人造黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4470467B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007095402A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Hitachi Maxell Ltd リチウム二次電池
JP2011086617A (ja) * 2009-09-15 2011-04-28 Mitsubishi Chemicals Corp リチウムイオン二次電池用炭素材料
KR20120081922A (ko) * 2011-01-12 2012-07-20 삼성에스디아이 주식회사 음극 활물질 조성물, 이를 이용한 음극 극판의 제조방법 및 리튬 이차 전지
JP2013004307A (ja) * 2011-06-16 2013-01-07 Toyota Motor Corp 二次電池
KR20180055405A (ko) * 2016-11-17 2018-05-25 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 음극 및 이를 포함하는 리튬 이차전지
WO2021256558A1 (ja) * 2020-06-18 2021-12-23 Eneos株式会社 リチウムイオン二次電池負極用人造黒鉛材料、及びその製造方法
JP2022550793A (ja) * 2019-12-03 2022-12-05 寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司 二次電池、装置、人造黒鉛及び製造方法
WO2024093127A1 (zh) * 2022-11-04 2024-05-10 湖南中科星城石墨有限公司 一种改性生焦材料及其制备方法和应用

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102486245B1 (ko) 2018-08-13 2023-01-10 주식회사 엘지에너지솔루션 리튬 이차전지용 음극 및 이를 포함하는 리튬 이차전지

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007095402A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Hitachi Maxell Ltd リチウム二次電池
JP2011086617A (ja) * 2009-09-15 2011-04-28 Mitsubishi Chemicals Corp リチウムイオン二次電池用炭素材料
KR20120081922A (ko) * 2011-01-12 2012-07-20 삼성에스디아이 주식회사 음극 활물질 조성물, 이를 이용한 음극 극판의 제조방법 및 리튬 이차 전지
KR101669110B1 (ko) * 2011-01-12 2016-10-26 삼성에스디아이 주식회사 음극 활물질 조성물, 이를 이용한 음극 극판의 제조방법 및 리튬 이차 전지
JP2013004307A (ja) * 2011-06-16 2013-01-07 Toyota Motor Corp 二次電池
KR20180055405A (ko) * 2016-11-17 2018-05-25 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 음극 및 이를 포함하는 리튬 이차전지
KR102178960B1 (ko) * 2016-11-17 2020-11-13 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 음극 및 이를 포함하는 리튬 이차전지
JP2022550793A (ja) * 2019-12-03 2022-12-05 寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司 二次電池、装置、人造黒鉛及び製造方法
JP7367201B2 (ja) 2019-12-03 2023-10-23 寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司 二次電池、装置、人造黒鉛及び製造方法
WO2021256558A1 (ja) * 2020-06-18 2021-12-23 Eneos株式会社 リチウムイオン二次電池負極用人造黒鉛材料、及びその製造方法
WO2024093127A1 (zh) * 2022-11-04 2024-05-10 湖南中科星城石墨有限公司 一种改性生焦材料及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4470467B2 (ja) 2010-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5823790B2 (ja) リチウム二次電池用負極材料、それを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP5081375B2 (ja) リチウム二次電池用負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
US11031587B2 (en) Negative electrode material for lithium-ion batteries including non-flaky artificial graphite including silicon-containing particles, artificial graphite particles and carbonaceous material
JP5678414B2 (ja) 黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
KR100567113B1 (ko) 리튬이차전지
JP4992426B2 (ja) 非水系二次電池用負極材料、非水系二次電池用負極、および非水系二次電池
US10693135B2 (en) Method for producing composite, and negative electrode material for lithium ion battery
JP4760379B2 (ja) リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
US20190363348A1 (en) Negative electrode material for lithium ion secondary cell
JP3803866B2 (ja) 二次電池用の二層炭素材料及びそれを用いたリチウム二次電池
JP2012033375A (ja) 非水系二次電池用炭素材料
JP5821932B2 (ja) 黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP2018006270A (ja) リチウムイオン二次電池負極用黒鉛質炭素材料、その製造方法、それを用いた負極又は電池
JP4045438B2 (ja) 二次電池用の二層炭素材料及びそれを用いたリチウム二次電池
JP4470467B2 (ja) 粒子状人造黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP2012033376A (ja) 非水系二次電池用負極活物質材料
JP2000003708A (ja) 被覆炭素材料、その製造方法、ならびにそれを用いたリチウム二次電池
KR20020070842A (ko) 리튬 이온 이차 전지의 음극용 흑연 재료 및 그 제조 방법
JP6625336B2 (ja) 非水系二次電池負極用炭素材及び非水系二次電池
JP2003176115A (ja) 黒鉛粉末の製造方法、黒鉛粉末およびリチウムイオン二次電池
JPH07302594A (ja) 炭素質粒子及びこれを用いたリチウムイオン二次電池用負極
JP2010267629A (ja) リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP7009049B2 (ja) リチウムイオン二次電池負極用炭素材料、その中間体、その製造方法、及びそれを用いた負極又は電池
JP2004063456A (ja) 電極用炭素材料の製造方法
KR102334493B1 (ko) 리튬 이온 이차 전지의 음극용 탄소 재료 및 그의 제조 방법, 및 그것을 이용한 음극 및 리튬 이온 이차 전지

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100209

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100222

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4470467

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140312

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees