JP2005153234A - 表皮材付き樹脂成形品の成形方法 - Google Patents

表皮材付き樹脂成形品の成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 生分解性樹脂を主体とする表皮材の表面外観を低下させることなく、結晶性の生分解性樹脂を主体とする基材の物性を十分に得ることができるようにする。
【解決手段】 表皮材側の型10に表皮材2をセットし、基材側の型20と表皮材2との間の型内に基材用樹脂5aを充填して基材5を成形すると同時に表皮材2と貼り合わせて一体化させる。このとき、表皮材2に生分解性樹脂を主体とするものを使用し、表皮材側の型10の型温を該生分解性樹脂のガラス転移点以下に設定する。また、基材用樹脂5aに結晶性の生分解性樹脂を主体とするものを使用し、基材側の型20の型温を該生分解性樹脂のガラス転移点以上に設定して基材を成形する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、型に表皮材をセットして表皮材付き樹脂成形品を成形する方法に関するものである。
自動車内装用の表皮付き樹脂成形品(例えばピラー内装品)は、型に布、樹脂シート等の表皮材をセットし、該型に基材用樹脂をインジェクション成形、スタンピング成形等により充満させて基材を成形すると同時に前記表皮材と貼り合わせて製造されている。これらの表皮材や基材用樹脂は、従来、自然環境中ではほとんど分解しない樹脂を材料として使用していたため廃棄や処理が難しく、環境保全の観点から問題があった。
そこで、この対策として、自然環境中で微生物により分解される生分解性樹脂を、表皮材や基材用樹脂に使用することが検討されている。最近では、表皮材の内側に用いる発泡体の材料としても好適な生分解性樹脂が研究開発されており、例えば特許文献1には、ゲル分率が50%以上である生分解性脂肪族ポリエステルおよび/または該変性物(代表例としてポリ乳酸樹脂)からなる発泡体が開示されている。さらに特許文献1には、その発泡体の片側表面に表皮(生分解性脂肪族ポリエステルおよび/または該変性物からなるものを含む)を貼り合せ、反対側の表面に熱可塑性樹脂(生分解性脂肪族ポリエステルおよび/または該変性物を含む)からなる基材を一体に成形した成形品が記載されている。この場合の発泡体としては、厚さ1〜10mm、発泡倍率5〜30倍のものが記載されている。
特開2003−246036公報
本発明者らは、上記特許文献1の技術に着目し、ポリ乳酸樹脂繊維糸からなる織布表皮とその裏面に貼り合わせたポリ乳酸樹脂からなる発泡体とからなる複合材である表皮材を試作した。そして、表皮材側の型にこの表皮材をセットし、基材側の型と前記表皮材との間のキャビティにポリ乳酸樹脂からなる基材用樹脂をインジェクションにより充満させて基材を成形すると同時に表皮材と貼り合わせて一体化させ、表皮材付き樹脂成形品を試作してみたところ、次のような解決すべき課題があることが判明した。
(ア)表皮材の表面外観が低下しやすい
ポリ乳酸樹脂は、ガラス転移点(Tg)が55〜70℃であり、融点が160〜180℃である。このため、基材のインジェクション成形時に、型温80℃程度の表皮材側の型に表皮材の表面が押し付けられると、該型温によってポリ乳酸樹脂繊維糸からなる織布表皮の表面が加熱軟化し、織布の細かい形状が潰れ変形して表面外観が低下した。この問題は、織布表皮に代えてポリ乳酸樹脂よりなるシボ模様付き樹脂シートを用いたときも同様であり、シボ模様がだれて表面外観が低下した。このように、型温を80℃程度にしたのは、次に述べるように、ポリ乳酸樹脂からなる基材用樹脂を型内で所定の温度以上に保つ必要があるからである。
(イ)基材の物性が十分に得られず、取出後のアニールが必要になる
結晶性樹脂であるポリ乳酸樹脂は結晶化度により物性が大きく左右され、結晶化度が低いと材料本来の物性が損なわれるため、特に基材用樹脂として用いるポリ乳酸樹脂は結晶化度を高くする必要がある。そのためには、基材用樹脂としてのポリ乳酸樹脂を型内で所定の温度以上に保つ必要があり、具体的には型温を十分に高く設定する必要がある。ところが、前記のとおり、型温を高くすると表皮材の表面外観が低下するため、80℃程度にせざるを得なかった。このため、ポリ乳酸樹脂の結晶化度が高くなりにくく、基材の物性が十分に得られなかった。そこで、型から表皮材付き樹脂成形品を取り出した後にアニールする必要があった。
本発明の目的は、上記課題を解決し、生分解性樹脂を主体とする表皮材の表面外観を低下させることなく、結晶性の生分解性樹脂を主体とする基材の物性を十分に得ることができる表皮材付き樹脂成形品の成形方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は、表皮材側の型に表皮材をセットし、基材側の型と表皮材との間の型内(キャビティ)に基材用樹脂を充填して基材を成形すると同時に表皮材と貼り合わせて一体化させる表皮付き樹脂成形品の成形方法において、
表皮材に生分解性樹脂を主体とするものを使用し、
表皮材側の型の型温を表皮材の生分解性樹脂のガラス転移点以下に設定し、
基材用樹脂に結晶性の生分解性樹脂を主体とするものを使用し、
基材側の型の型温を基材用樹脂の生分解性樹脂のガラス転移点以上に設定して基材を成形することを特徴とする。
ここで、生分解性樹脂は、表皮材に使用するものと基材に使用するものとで、同じものであってもよいし異なるものであってもよい。表皮材(後述するように複合体の場合は特のその表皮)及び基材の各生分解性樹脂のガラス転移点は、特に限定されないが、55〜70℃であることが扱いやすく好ましい。この場合、表皮材側の型の型温を10〜50℃に設定することが好ましい。また、基材側の型の型温を90〜130℃に設定するとともに、型内に基材用樹脂を保持することによりアニールする型内アニール時間を30〜180秒に設定することが好ましい。そして、前記保持後に基材側の型の型温を基材用樹脂の生分解性樹脂のガラス転移点以下に下げてから表皮材付き樹脂成形品を取り出すことが好ましい。
図6は、本発明者らがガラス転移点(Tg)55〜70℃のポリ乳酸樹脂について検討した、荷重たわみ温度と結晶化度との関係を示すグラフである。自動車内装用等の表皮付き樹脂成形品においては荷重たわみ温度を95℃以上とすることが好ましいが、同グラフからすると、同ポリ乳酸において荷重たわみ温度を例えば95℃以上とするには結晶化度が85%以上である必要があることが分かる。
図7は、本発明者らが同ポリ乳酸樹脂を樹脂温200℃で型温を70℃、90℃又は110℃に設定した型にインジェクションした場合の、結晶化度と型内アニール時間(型内に保持されることでアニールされる時間)との関係を示すグラフである。同グラフによると、結晶化度が85%以上となるには、型温110℃の場合に型内アニール時間が38秒以上必要であり、型温90℃の場合に型内アニール時間が99秒以上必要であることが分かる。一方、型温70℃の場合には、型内アニール時間を延ばしても結晶化度は60%にも届かなかった。
本発明者らは、上記の検討から型温を相当に高くすることの必要性を痛感したが、そうすると前記のとおり表皮材の表面外観の低下という相反する問題がますます顕著になるため、その克服が必要であった。そこで、さらに種々検討を重ねた結果、表皮材側の型の型温と基材側の型の型温の設定によりこれらの問題を克服できることを見出して、本発明に至ったものである。
すなわち、表皮材側の型の型温を表皮材の生分解性樹脂のガラス転移点未満に設定することで、該型に押し付けられる表皮材の表面が加熱軟化するおそれがなくなり、表面外観の低下を防止できる。一方、基材側の型の型温を基材用樹脂の生分解性樹脂のガラス転移点以上に設定することにより、基材側の型による基材用樹脂の冷却が抑えられるようになり、基材用樹脂の結晶化度を確保できる。
但し、基材側の型の型温を高く設定しても、表皮材側の型温がガラス転移点未満まで低いと、表皮材側の型により基材用樹脂が冷却されて十分な結晶化度が得られない場合もある。そのような場合には、表皮材側の型に基材用樹脂の熱が奪われないように表皮材の断熱性を設定することが好ましい。基材側の型の型温と表皮材の断熱性とは関連付けて設定する。つまり、成形後の基材の結晶化度が例えば85%以上となるように、基材側の型の型温と表皮材の断熱性とを設定して、成形中の基材用樹脂を前記結晶化度が得られる温度及び時間に保つようにする。従って、成形後の基材の結晶化度が例えば85%以上となる限り、基材側の型の型温の設定と表皮材の断熱性の設定とのバランスを中庸にとったり、あるいはその中庸なバランスに対して、基材側の型の型温を高めに設定した分だけ表皮材の断熱性を低めに設定したり、表皮材の断熱性を高めに設定した分だけ基材側の型の型温を低めに設定したりするなど、設定の幅を持たせることができる。
[生分解性樹脂]
生分解性樹脂としては、特に限定されないが、前記特許文献1に開示された生分解性脂肪族ポリエステルおよび/または該変性物を例示できる。生分解性脂肪族ポリエステルの構成樹脂としては、ポリ乳酸をはじめ、以下のラクトン樹脂、例えば、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトンや4−メチルカプロラクトン、2,2,4−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトンなどの各種メチル化ラクトンの単独重合体、又は共重合体、及びそれらの混合物、或いは、以下に代表される脂肪族ポリエステル、例えば、エチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・ア/アジペート、ポリブチレンサクシネート・カーボネート等のジオールとジカルボン酸または該酸無水物とを重縮合してなる脂肪族ポリエステル、或いは、ポリヒドロキシブチレート・バリレート等の天然直鎖状ポリエステル系樹脂等の天然高分子等を挙げることができる。
また、これらの生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂の耐熱性を高めるため、カーボネートを共重合したり、イソシアネートやカルボジイミド或いはエポキシ基等で鎖連結させ変性してもよい。
なお、上記生分解性樹脂に、生分解性を有する酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、硝酸セルロース、硫酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、硝酸酢酸セルロース等のセルロースエステル等やポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリロイシン等のポリペプチドの合成高分子を混合してもよく、及び/または、天然高分子として、例えば、トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉などの生澱粉、酢酸エステル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、アミロース等の加工澱粉等を溶融特性を損なわない範囲で混合してもよい。また、上記生分解性樹脂は単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
樹脂組成物中の全樹脂成分に対して主体的に含まれる生分解性樹脂の割合は特に限定されないが、50〜100重量%の範囲であることが好ましい。生分解性樹脂量が増えれば、分解速度が速くなり、また、分解後の崩形性が向上する。生分解性樹脂以外の樹脂成分としては特に制限は無く、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリブテン等を添加してもよい。
また、上記生分解性脂肪族ポリエステル(特に表面材の発泡体に使用するもの)は、130℃テトラリン溶媒抽出法にて得られるゲル分率が50%以上であることが好ましく、さらに好ましくは55〜90%である。ゲル分率が低すぎると、基材との一体成形に際し、樹脂温度や樹脂圧力によって押しつぶされ、薄く偏肉化したり、破れが生じたりしてしまう。なお、ここでいうゲル分率とは、以下の方法で測定算出した値のことである。すなわち、生分解性樹脂架橋発泡体を約50mg精密に秤量し、130℃のテトラリン25mlに3時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過して、金網上の不溶解分を真空乾燥する。次いで、この不溶解分の重量を精密に秤量し、以下の式に従ってゲル分率を百分率で算出する。
ゲル分率(%)={不溶解分の重量(mg)/秤量した生分解性樹脂架橋発泡体の重量(mg)}×100
また、特に表面材の生分解性脂肪族ポリエステルからなる発泡体に使用する発泡剤としては、常温で液体または固体の化合物で、生分解樹脂の融点以上に加熱された時に分解または気化する化合物で、シート化や架橋反応を実質的に妨害しないかぎり任意のものが使用できる。中でも熱分解型発泡剤で、かつ、分解温度が120℃〜270℃の範囲のものが好ましい。その具体的な例としては、上記の特許文献1に例示のものを同じく例示できる。また、上記発泡剤には、分解温度を調節するために、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素等の分解温度調節剤が含有されているものも好ましく用いることができる。また、発泡体を形成するときの架橋方法としては、公知の電離性放射線架橋法や有機過酸化剤を用いた化学架橋法が適用できるが、中でも電子線加速機による電子線照射法が取り扱い性や架橋度設定のし易さ等の観点から好ましい。上記方法で、樹脂の劣化を抑制し、架橋を促進させるためには、上記の特許文献1に例示の架橋促進剤を添加することは好ましい方法である。
なお、本発明に使用する樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、発泡剤以外の添加剤成分を添加してもよい。例えば、添加剤として酸化防止剤、滑剤、熱安定剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、核剤、可塑剤、抗菌剤、生分解促進剤、発泡剤分解促進剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、充填剤、防臭剤、増粘剤、発泡助剤、気泡安定剤、金属害防止剤などを、単独、もしくは2種類以上を併用して添加するようにしても良い。
[表皮材]
本発明に使用する表皮材としては、特に限定されないが、次のものを例示できる。
(1)表皮のみからなる表皮材
表皮自体が本発明で必要な断熱性を備えている場合、その表皮のみで表皮材を構成することができる。これに該当する表皮としては、生分解性樹脂繊維又は該繊維糸を用いた厚手の織布、不織布、起毛布等の布帛状物、生分解性樹脂の発泡体からなるシート状物(インテグラルスキン付きのものや、レザー調のものを含む)等を例示できる。
(2)表皮と断熱層とからなる複合体の表皮材
表皮自体が本発明で必要な断熱性を備えていない場合、あるいは備えていてもさらなる断熱性を加えたい場合には、該表皮とその裏面に貼り合わせた断熱層とからなる複合体の表皮材を構成することができる。これに該当する表皮としては、生分解性樹脂繊維又は該繊維糸を用いた薄手又は厚手の織布、不織布、起毛布等の布帛状物、生分解性樹脂のシート状物(フィルムや、レザー調のものを含む)等を例示できる。また、これに該当する断熱層としては、生分解性樹脂の発泡体からなるシート状物、生分解性樹脂繊維を用いた不織布等を例示できる。特に断熱層が発泡体からなるシート状物の場合、厚さは1〜10mmが好ましく、発泡倍率は5〜30倍が好ましい。なお、発泡体シート状物は、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂からなるものが好ましく、特にポリブチレンサクシネート/アジペート等は柔軟で弾性が高いことからより好ましい。
また、表皮材は次のいずれでもよい。
(ア)柔軟で変形容易な表皮材
この表皮材は、基材を成形するときに基材の圧力によって表皮材側の型に押し付けられて賦形されてもよいし、基材を成形するより前に真空成形、圧空成形等により表皮材側の型に密着させられて予備賦形されてもよい。後者の場合、表皮材をさほどストレスをかけずに大きく賦形することができるので、深絞り製品に対応することが容易になる。
(イ)別の型、手段等によって予め表皮材側の型に合致する形状に賦形された表皮材
例えば、別の真空成形型で予備賦形した表皮材や、生分解性樹脂からなるインサート部品を用いた表皮材を例示できる。
[基材の成形法]
基材の成形法としては、特に限定されないが、インジェクション成形法、インジェクションプレス成形法、スタンピング成形法等を例示できる。
従って、本発明に係る表皮材付き樹脂成形品の成形方法によれば、生分解性樹脂を主体とする表皮材の表面外観を低下させることなく、結晶性の生分解性樹脂を主体とする基材の物性を十分に得ることができるという優れた効果を奏する。
表皮材側の型に表皮材をセットし、基材側の型と表皮材との間の型内(キャビティ)に基材用樹脂を充填して基材を成形すると同時に表皮材と貼り合わせて一体化させる表皮付き樹脂成形品の成形方法において、
表皮材に好ましくはガラス転移点55〜70℃の生分解性樹脂を主体とするものを使用し、
表皮材側の型の型温を表皮材の生分解性樹脂のガラス転移点未満である好ましくは10〜50℃に設定し、
基材用樹脂に好ましくはガラス転移点55〜70℃の結晶性の生分解性樹脂を主体とするものを使用し、
基材側の型の型温を基材用樹脂の生分解性樹脂のガラス転移点以上である好ましくは90〜130℃に設定するとともに、型内に基材用樹脂を保持してアニールする型内アニール時間を30〜180秒に設定して、基材を成形する。
そして、前記保持後に基材側の型の型温を基材用樹脂の生分解性樹脂のガラス転移点以下に下げてから表皮材付き樹脂成形品を取り出す。
以下、本発明を具体化した実施例を図面に基づいて説明する。本実施例で成形する表皮付き樹脂成形品1は、図1及び図2に示すとおりの自動車のピラー内装品であって、表皮材2と基材5とからなるものである。表皮材2は、ファブリック3とその裏面に貼り合わされた断熱層4とからなる複合体である。
ファブリック3には、ガラス転移点約68℃、融点約170℃のポリ乳酸樹脂からなる繊維径1.77〜11.0dtex(デシ・テックス)の繊維による糸を織り込んでなる織布が使用されている。
断熱層4には、同じくガラス転移点約−32℃のポリブチレンサクシネート樹脂で形成された、発泡倍率約10倍、密度約0.1g/cm3 、厚さ約2mmの発泡体シートが使用されている。この発泡体シートは、例えば、前記ポリブチレンサクシネート樹脂、発泡剤、架橋助剤からなる混合物を用いてシートに成形した後、該シートに電離性放射線を照射し、該ポリブチレンサクシネート樹脂を架橋させ、しかる後、発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡を行なわせて製造されたものである。同製造方法としては、例えば上記の特許文献1に例示の方法を採用できる。
表皮材2は、こうして得られた発泡体シートの表面に、ファブリック3が接着剤法、熱ロール法、フレームラミネート法、押出ラミネート法等の公知の方法で貼り合せられることにより複合体に形成されたものである。
基材5には、ガラス転移点約68℃、融点約170℃のポリ乳酸樹脂が基材用樹脂として使用されている。そして、本実施例の基材5は、次に述べるようにインジェクション成形法により成形されている。
上記の表皮付き樹脂成形品1は、図3に示すような型装置を使用し、図4及び図5に示すような型温の制御を伴って、次の方法により成形される。
(1)図3(a)に示すように、表皮材側の型10のPL面に表皮材2をあてがってセットする。このとき、ファブリック3を表皮材側の型10の成形面11に向け、断熱層4を基材側の型20の成形面21に向ける。
(2)上記(1)と同時に又は前後して、表皮材側の型10に内蔵されている温度調整管(図示略)に所定温度の媒体液を流すことにより、図4(b)に示すように、該型10の型温を約30℃に設定する。また、基材側の型20に内蔵されている温度調整管(図示略)に所定温度の媒体液を流すことにより、図4(b)及び図5に示すように、該型20の型温を約110℃に設定する。
(3)上記(1)の後に、図3(b)に示すように、表皮材側の型10と基材側の型20とを合わせて型締めし、樹脂温約200℃で溶融している基材用樹脂5aを基材側の型20に接続したインジェクションノズル25からゲート22を経て、基材側の型20の型面21と表皮材2との間のキャビティに射出して充満させ、基材5を成形すると同時に表皮材2と貼り合わせて一体化させる。なお、射出する樹脂温は、流動性をもたせるために該樹脂5aの融点より20℃以上高めにしている。また、型内射出圧力は通常10〜60MPaとする。
図5に示すように、上記(3)の射出後の状態を所定時間保持することにより、基材用樹脂5aを型内アニールして結晶化を行わせる。この型内アニール時間は、本実施例においては約60秒である。図4(b)は、この型内アニール時間のいずれかの時点における、表皮付き樹脂成形品1の各部の温度分布を概念的に示している。すなわち、
a)表皮材側の型10の型温を、表皮材2の特に表面側であるファブリック3に用いたポリ乳酸樹脂のガラス転移点未満である30℃に設定したことで、該型10の成形面11に押し付けられるファブリック3の少なくとも表面部分の温度をガラス転移点未満に抑えることができるため、ファブリック3の表面が加熱軟化するおそれがなくなり、表面外観の低下を防止できる。
b)一方、基材側の型20の型温を基材用樹脂5aに用いたポリ乳酸樹脂のガラス転移点以上である約110℃に設定したことで、該型20による基材用樹脂5aの冷却が抑えられるようになり、かつ型内アニール時間を約60秒に設定したことにより、十分な結晶化が進行する。但し、基材側の型20の型温を高く設定しても、表皮材側の型温10がガラス転移点未満まで低いと、該型10に基材用樹脂5aが冷却されて、十分な結晶化度が得られない可能性もある。そこで、本実施例では、表皮材側の型10に基材用樹脂5aの熱が奪われないように表皮材2の断熱層4の断熱性を設定し、成形中の基材用樹脂5aを例えば85%以上の結晶化度が得られる温度及び時間に保つようにしたものである。従って、取出後にアニールしなくても、基材の物性を十分に得ることができる。
(4)上記型内アニールが終了した後、基材側の型20の温度調整管(図示略)に所定温度の媒体液を流すことにより、図5に示すように、該型20の型温をガラス転移点未満である例えば例えば約50℃に下げて基材5の軟化状態を硬化状態に変えるとともに、型10,20を開いて、イジェクタピン(図示略)により表皮付き樹脂成形品1を型20から突き離して取り出す。このように型温を下げるのは、基材5をイジェクタピンによる取出時に変形しないよう硬化させるためである。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)ファブリック3を、例えば前記ポリ乳酸樹脂(分子量10万〜20万が好ましい)を押出した意匠シートに置き換えること。
(2)前記実施例では、各部に同じポリ乳酸樹脂からなるものを使用していたので、例えば表皮材2(断熱層4)と基材5の接触面は親和性・相溶性があるため成形時の熱融着により接着される。しかし、これら両者の間に親和性・相溶性がなく接着しにくい場合には、表皮材2に予め接着剤を塗布したり、ホットメルト樹脂のフィルム状物を設けたりするとよい。
(3)基材用樹脂5aに例えばクレイ等のナノコンポジットを1〜10重量%混入して結晶核として働かせ、結晶化度を90%以上確保することが好ましい。
本発明の実施例で成形する表皮付き樹脂成形品(自動車のピラー内装品)の斜視図である。 (a)は図1のII−II線断面図、(b)は(a)の要部拡大断面図である。 同表皮付き樹脂成形品の成形方法を示す断面図である。 (a)は図3のIVa矢示部の拡大断面図、(b)は(a)の温度分布を示す概略図である。 基材側の型の型温と時間経過の関係を示すタイムチャートである。 ポリ乳酸樹脂の荷重たわみ温度と結晶化度との関係を示すグラフである。 ポリ乳酸樹脂の結晶化度と型内アニール時間との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 表皮材付き樹脂成形品
2 表皮材
3 ファブリック
4 断熱層
5 基材
5a 基材用樹脂
10 表皮材側の型
20 基材側の型

Claims (5)

  1. 表皮材側の型に表皮材をセットし、基材側の型と前記表皮材との間の型内に基材用樹脂を充填して基材を成形すると同時に前記表皮材と貼り合わせて一体化させる表皮付き樹脂成形品の成形方法において、
    前記表皮材に生分解性樹脂を主体とするものを使用し、
    前記表皮材側の型の型温を前記表皮材の生分解性樹脂のガラス転移点未満に設定し、
    前記基材用樹脂に結晶性の生分解性樹脂を主体とするものを使用し、
    前記基材側の型の型温を前記基材用樹脂の生分解性樹脂のガラス転移点以上に設定して前記基材を成形することを特徴とする表皮材付き樹脂成形品の成形方法。
  2. 前記表皮材及び前記基材の各生分解性樹脂のガラス転移点が55〜70℃である請求項1記載の表皮材付き樹脂成形品の成形方法。
  3. 前記表皮材側の型の型温を10〜50℃に設定する請求項2記載の表皮材付き樹脂成形品の成形方法。
  4. 前記基材側の型の型温を90〜130℃に設定するとともに、前記型内に前記基材用樹脂を保持することによりアニールする型内アニール時間を30〜180秒に設定する請求項2又は3記載の表皮材付き樹脂成形品の成形方法。
  5. 前記保持後に前記基材側の型の型温を前記基材用樹脂の生分解性樹脂のガラス転移点以下に下げてから表皮材付き樹脂成形品を取り出す請求項4記載の表皮材付き樹脂成形品の成形方法。
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