JP2005153139A - ツール収容構造 - Google Patents

Abstract

【課題】磨耗が少なく高い回転モーメントを伝達できる短いツール収容構造を得る。
【解決手段】ツール２の軸線Ａに沿って、同軸状の半径方向寸法Ｒで開口する収容スリーブ３を有するツール収容構造であって、収容スリーブ３は、半径方向寸法Ｒの部分がツール軸線Ａに沿って少なくとも部分的に一定に延在する案内内面１２を有し、収容スリーブ３の内部には、少なくとも０゜、１２０゜、２４０゜の角度間隔で少なくとも３個の回転伝達溝５と、互いに隣接する２個の回転伝達溝５の間に位置するとともに、他の第３回転伝達溝５に対して直径方向に対向する位置で半径方向寸法Ｒの部分に対して半径方向に移動自在の少なくとも１個の錠止体６とを設けたツール収容構造１において、同軸状の半径方向寸法Ｒの部分に関して収容スリーブ３を開口させ、回転伝達溝５の中心見込み角度αをそれぞれ少なくとも４０゜とする。
【選択図】図２

Description

本発明は、少なくとも部分的に回転するまたは打撃運動するまたはその双方を行うツール、例えば、岩状物、コンクリート、組積構造を加工するチゼルドリル、チゼル、もしくはコアドリルのようなツールを収容するツール収容構造に関するものである。

装置によって回転及び打撃駆動されるツールのツール収容部としては、ツール軸線に沿って延在する差し込みスリーブに、円筒形内面とした案内面と、半径方向内方に突出する回転伝達突起と、半径方向内方に移動自在の錠止体とを設け、この錠止体がツールの差し込み端部に設けた錠止溝に掛合し、ツールの軸線方向の移動量を制限するシール収容構造がある。（例えば、特許文献１参照。）このツール収容構造によれば、所定の回転モーメントをツールに伝達するために必要な高い面圧によって、案内面から半径方向内方に突出する回転伝達突起には高い磨耗応力が加わり、ツール収容構造の寿命が限られていた。とくに、コンクリート及び組積構造のような脆い材料を加工したり、磨耗性のある切削屑を生じたりする建築業界で使用される手工具装置のツール収容構造では、手工具装置の信頼性を高めるため、ツール収容構造の磨耗が少ないことが必要とされていた。
独国特許公開第３９４１６４６号公報

さらに、このようなツール収容構造としては、案内面に関して半径方向内方に延在する２個の回転伝達突起と、これら回転伝達突起とは軸線方向にずらして案内面に関して半径方向外方に延在する４個の回転伝達溝であってそれぞれ溝の中心見込み角度が４５゜である回転伝達溝とを設けたものがある。（例えば、特許文献２参照。）この場合、とくに、半径方向内方に延在する回転伝達突起は、ツール収容構造の耐久性に限界を生ぜしめる。案内面において軸線方向にずらして配置し、中心見込み角度が４５゜であり、互いに対称的に分布させた４個の回転伝達溝は、半径方向に移動自在の錠止体用に案内空間は足らなくなり、したがって、ツール収容構造は好ましくないほど長いものにしなければならなくなる。
独国特許公開第３８４３４６５号公報

さらにまた、このような収容構造としては、案内面に関して半径方向内方に延在する２個の回転伝達突起に隣接させて、半径方向外方に延在する３個の回転伝達溝を周方向に対称的に分布させたものがある。（例えば、特許文献３参照。）中心見込み角度が３０゜以下の狭い回転伝達溝は、見込み角度が３０゜以下の幅狭の回転伝達翼を有する差し込み端部を必要とする。回転伝達翼の周方向の曲げ剛性に大きく依存し、面接触の弾性／塑性変形が磨耗の激しい線接触を誘発し、このような幅狭の回転伝達翼によっては、ツール収容構造の面圧及び単位面積あたりの回転モーメントが制限されることになる。
独国特許公開第１９６０４２８３号公報

したがって、本発明の目的は、磨耗が少なく高い回転モーメントを伝達できる短いツール収容構造を得るにある。

この目的を達成するため、本発明は、少なくとも部分的に回転するまたは打撃運動するまたはその双方を行うツールの軸線に沿って、同軸状の半径方向寸法Ｒで開口する収容スリーブを有するツール収容構造であって、前記収容スリーブは、前記半径方向寸法Ｒの部分がツール軸線に沿って少なくとも部分的に一定に延在する案内内面を有し、収容スリーブの内部には、少なくとも０゜、１２０゜、２４０゜の角度間隔で半径方向寸法Ｒの部分よりも半径方向外側に軸線方向端面まで軸線方向前方に延在して開口する少なくとも３個の回転伝達溝と、周方向に見て互いに隣接する２個の回転伝達溝の間に位置するとともに、他の第３回転伝達溝に対して直径方向に対向する位置で半径方向寸法Ｒの部分に対して半径方向に移動自在の少なくとも１個の錠止体とを設けたツール収容構造において、同軸状の半径方向寸法Ｒの部分に関して収容スリーブを開口させ、半径方向寸法Ｒの部分で規定される回転伝達溝の中心見込み角度をそれぞれ少なくとも４０゜としたことを特徴とする。

４０゜以上の中心見込み角度によって、回転伝達溝は、所定の伝達すべき回転モーメント及び回転伝達溝の所定の接触面で、常に十分高い曲げ剛性を有する差し込み端部の回転伝達翼を挿入することができ、弾性／塑性変形をほとんど生ずることがないようにすることができる。

このことは、磨耗要因を補完することによるものであり、回転モーメントの伝達に有効な周方向に面する接触面が、回転伝達溝もしくはこの回転伝達溝に嵌合する回転伝達翼の中心見込み角度を限定する。このことを以下に順を追って説明する。

岩石を加工する場合、ツールのかみ付きを生じた際に最大回転モーメントのピーク値Ｍがツールの半径方向外方端縁に生じ、このピーク値Ｍは、所定の岩石の固さに対してツール半径もしくは差し込み端部の半径方向寸法Ｒに比例し、Ｍ／Ｒは一定となる。他方、本発明によるツール差し込み端部のためのツール収容構造の長さ方向の断面および角度方向の断面スケールが段階的に変化するにしたがって、半径方向寸法Ｒ並びに回転伝達翼の接触面は、スケール係数に比例した構造長さとなり、この結果、線形的荷重ｑを伝達すべき回転モーメントは、半径方向寸法Ｒの二乗に比例し、すなわちＭ〜ｑＲ² と見なされる。面圧の最大線形荷重は、材料の組み合わせに依存する。回転伝達溝の磨耗のない接触の組み合わせ対に必要なヘルツ（ＨＥＲＴＺ’ｓｃｈｅｎ）応力の前提条件の下に、翼の厚さｄ〜Ｒ及び翼高さｈ〜Ｒの垂直に半径方向に突出する角材で観察されるように、線形荷重ｑ及び曲げ慣性モーメントＩ〜ｄ³〜Ｒ³では、線接触を軽減するための最大許容弾性／塑性たわみ変形は、ｙ〜ｑｈ⁴ ／Ｉ〜ｑＲであり、一定である。このことから、上述の結果、Ｍ〜ｑＲ² 〜Ｒとなり、同様にＭ／Ｒ＝定数となる。半径方向寸法Ｒに対する必要とされかつ磨耗のない伝達すべき回転モーメントＭの自由な測定可能性は、単に長手方向断面お角度方向断面を測定することによって得られ、とくに、３乗に応じた比例定数ｄ〜Ｒによっても依存し、これは回転伝達溝の一定の中心見込み角度を規定する。

本発明の好適な実施例においては、各回転伝達溝は、一定の隙間、例えば、０．８ｍｍの最適な隙間が残るよう深さを拡張し、半径方向寸法Ｒに比例した半径方向深さはＲ／６〜Ｒ／３の範囲の値とし、より好適には、Ｒ／４．５とし、差し込み端部の回転伝達翼の高さｈとした場合、この高さｈは、回転モーメントを伝達するに有効な周方向に指向する接触面とともに、磨耗要因となるパラメータとして、ツール収容構造及び軸線方向に打撃応力が加わるツールの材料対に対して線形的に相関し、磨耗しやすい環境で適切な値を決定することができる。

好適な実施例においては、上述の深さの各回転伝達溝の長さを、少なくとも３０ｍｍとする。この寸法は、ヘルツ応力の下に磨耗なく回転モーメントを伝達できるに十分な寸法である。

好適な実施例においては、各回転伝達溝の中心見込み角度を最大で７０゜とする。この構成によれば、周方向に互いに隣接する２個の回転伝達溝間に、半径方向に移動自在の錠止体の案内をするためのスリーブ部分の中心見込み角度を十分大きい角度に移動でき、３個の回転伝達溝を対称的に等角度間隔で分布させる場合には、各回転伝達溝の中心見込み角度を少なくとも５０゜とする。

好適な実施例においては、周方向に互いに隣接する２個の回転伝達溝（５）間の中心見込み角度を、５０゜〜８０゜の間の値の角度とする。この構成によれば、半径方向寸法Ｒに軸線方向断面が円形形状の錠止体が半径方向に衝合する半径方向寸法Ｒにおける止め部は、差し込み端部の２個の回転伝達翼間に位置する錠止溝をほぼ占有する円形部分の直径を１．２Ｒ〜１．８Ｒの範囲の値とし、より好適には、１．４Ｒとし、半径方向内方位置を錠止位置とする。

好適な実施例においては、錠止体を円筒形状のころ状体として構成し、この円筒形の軸線をツール軸線に平行に指向させる。この構成によれば、軸線方向の剪断剛性が一層高くなる。

本発明の好適な実施例においては、複数個の錠止体を設け、好適には、３個の錠止体を設ける。この構成によれば、ツール収容構造からより大きな軸線方向力を錠止されるツールに伝達することができ、とくに、穿孔した孔からツールを引き抜く際に有利である。

本発明の好適な実施例においては、回転伝達溝の装置側には、周方向に閉じた半径方向寸法Ｒの円筒形内面の案内端部領域を隣接させる。この構成によれば、装置側端面での差し込み端部の外側案内面に高い曲げモーメントを伝達することができる。

本発明の好適な実施例においては、案内端部領域の長さを１Ｒ〜３Ｒの範囲の値、好適には、２Ｒとする。この構成によれば、ツール収容構造内部に磨耗性のある切削屑が侵入するのを防止するシールを、この案内端部領域に設けることができ、好適には、シール手段としてゴムリップシールも設ける。

次に、図面につき本発明の好適な実施例を説明する。

図１に示すように、ツール軸線Ａの周りに回転しかつ打撃動作するツール２のツール収容構造１には、ツール軸線Ａと同軸状であって半径方向寸法Ｒで開口する案内内面１２を有する収容スリーブ３を設け、この案内内面は、軸線Ａに沿って半径方向寸法Ｒで一定に延在する。案内内面１２の装置側案内端部領域１３の軸線方向前方には、収容スリーブ３に形成した軸線方向に延在する回転伝達溝５を軸線方向端面４まで開口させる。この回転伝達溝５の軸線方向長さＬは４０ｍｍとし、回転伝達溝５に直径方向に対向させて、ツール軸線Ａに平行に指向する円筒形の半径方向に移動自在な錠止体６を配置し、この錠止体６は、図示の錠止状態では半径方向寸法Ｒの部分の内側並びに外側に延在する。回転伝達溝５の軸線方向後方に隣接して回転伝達溝５を閉じる案内内面１２の装着側における円筒形の案内端部領域１３を設け、この案内端部領域１３の長さＦを２．０Ｒとし、磨耗を引き起こす粉塵がツール収容構造１に侵入するのを封止するため、シール手段１０、例えば、ゴムリップシールを配置する。

図２には、半径方向寸法Ｒの部分に対する半径方向外側で回転対称状に０゜、１２０゜、２４０゜の間隔で３個の回転伝達溝５と、半径方向寸法Ｒの部分に対して半径方向に移動自在の錠止体６とを設けた実施例を示し、この錠止体６は、互いに隣接する２個の回転伝達溝５に挟まれ、他の第３の回転伝達溝５とは直径方向に対向させて配置する。半径方向寸法Ｒで決まる回転伝達溝５の中心見込み角度αはそれぞれ４５゜とする。半径方向に移動自在の錠止体６を案内するための残りの中心見込み角度βを７５゜とする。各回転伝達溝５には、半径方向寸法Ｒに比例する回転伝達溝深さＨの約１／４．５倍となる一定の隙間０．８ｍｍを生ずるようにする。１．４Ｒの直径Ｄの円筒形である錠止体６は、半径方向内方の錠止状態では、半径方向寸法Ｒの部分まで延在する狭隘部１１に衝合し、この狭隘部１１の断面は、ツール２の差し込み端部９における２個の回転伝達翼８間における錠止溝７の円弧の一部を埋める。

図３には、球形形状をした３個の錠止体６を周方向に対称的に分布させ、各錠止体６の直径方向に対向させて回転伝達溝５を設けたツール収容構造１の実施例を示す。球形形状の錠止体６の断面は、差し込み端部９における各錠止溝７の錠止円弧をほぼ埋める。この実施例では、半径方向寸法Ｒの部分にほぼ対応する外径の差し込み端部９は、回転伝達溝５に突入する部分はなく、回転伝達は、差し込み端部９の錠止溝７に掛合する錠止体によってのみ行われる。

本発明によるツール収容構造の縦断面図である。 本発明によるツール収容構造の第１の実施例における図１のII‐II線上の横断面図である。 本発明による第２の実施例の横断面図である。

符号の説明

１ ツール収容構造
２ ツール
３ 収容スリーブ
４ 軸線方向端面
５ 回転伝達溝
６ 錠止体
７ 錠止溝
８ 回転伝達翼
９ 差し込み端部
１０ シール手段
１１ 狭隘部
１２ 案内内面

Claims (10)

1. 少なくとも部分的に回転するまたは打撃運動するまたはその双方を行うツール（２）の軸線（Ａ）に沿って、同軸状の半径方向寸法（Ｒ）で開口する収容スリーブ（３）を有するツール収容構造であって、前記収容スリーブ（３）は、前記半径方向寸法（Ｒ）の部分がツール軸線（Ａ）に沿って少なくとも部分的に一定に延在する案内内面（１２）を有し、収容スリーブ（３）の内部には、少なくとも０゜、１２０゜、２４０゜の角度間隔で半径方向寸法（Ｒ）の部分よりも半径方向外側に軸線方向端面（４）まで軸線方向前方に延在して開口する少なくとも３個の回転伝達溝（５）と、周方向に見て互いに隣接する２個の回転伝達溝（５）の間に位置するとともに、他の第３回転伝達溝（５）に対して直径方向に対向する位置で半径方向寸法（Ｒ）の部分に対して半径方向に移動自在の少なくとも１個の錠止体（６）とを設けたツール収容構造において、同軸状の半径方向寸法（Ｒ）の部分に関して収容スリーブ（３）を開口させ、半径方向寸法（Ｒ）の部分で規定される回転伝達溝（５）の中心見込み角度（α）をそれぞれ少なくとも４０゜としたことを特徴とするツール収容構造。
2. 各回転伝達溝（５）は、半径方向寸法（Ｒ）に比例するＲ／６〜Ｒ／３の範囲の値となる回転伝達溝深さ（Ｈ）に対して一定間隙（Ｓ）を生ずるようにし、好適には、前記回転伝達溝深さ（Ｈ）をＲ／４．５、前記間隙（Ｓ）を約０．８ｍｍとした請求項１記載のツール収容構造。
3. 各回転伝達溝（５）の長さを、少なくとも３０ｍｍとし、好適には、４０ｍｍとした請求項２記載のツール収容構造。
4. 前記各回転伝達溝（５）の中心見込み角度（α）を最大で７０゜とした請求項１乃至３のうちのいずれか一項に記載のツール収容構造。
5. 周方向に互いに隣接する２個の回転伝達溝（５）間の中心見込み角度を、５０゜〜８０゜の間の値の角度とした請求項１乃至４のうちのいずれか一項に記載のツール収容構造。
6. 前記錠止体（６）の横断面を円形とし、好適には、この横断面の直径（Ｄ）を１．２Ｒ〜１．８Ｒの範囲の値とした請求項１乃至５のうちのいずれか一項に記載のツール収容構造。
7. 前記錠止体（６）を円筒形状のころ状体として構成し、この円筒形の軸線をツール軸線（Ａ）に平行に指向させた請求項６記載のツール収容構造。
8. 複数個の錠止体（６）を設け、好適には、３個の錠止体を設けた請求項１乃至７のうちのいずれか一項に記載のツール収容構造。
9. 回転伝達溝（５）の装置側には、周方向に閉じた円筒形内面の案内端部領域（１３）を隣接させた請求項１乃至８のうちのいずれか一項に記載のツール収容構造。
10. 前記案内端部領域（１３）の長さ（Ｆ）を１Ｒ〜３Ｒの範囲の値、好適には、２Ｒとした請求項６記載のツール収容構造。

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