JP2005152928A - 連続鋳造用浸漬ノズル及びその製造方法 - Google Patents

連続鋳造用浸漬ノズル及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、耐スポーリング性を維持すると共に、溶鋼中にZrO介在物を発生させることがない、耐摩耗性に優れたZrO−MgO−C質耐火材料で溶鋼通過部及び浸漬部を構成した連続鋳造用浸漬ノズル及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の連続鋳造用浸漬ノズルは、ノズル本体、スラグライン部、溶鋼通過部及び浸漬部から構成されるから構成される連続鋳造用浸漬ノズルの少なくとも溶鋼通過部及び/または浸漬部の一部が、MgO:0.5〜10質量%、ZrO:50〜99質量%、CaO、Y及びCeOの合計量:0〜10質量%及びC:0.5〜40質量%の化学組成を有するZrO−MgO−C質耐火材料からなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼の連続鋳造に用いられる浸漬ノズル及びその製造方法に関する。
鋼の連続鋳造に用いられる浸漬ノズルにおいて、溶鋼通過部及び浸漬部にAl−黒鉛質耐火材料が広く使用されているが、浸漬ノズル中のAlの脱落や溶鋼との反応に起因して、溶鋼中にAl介在物が発生する。そのため、Al介在物が有害となる鋼種(例えば線材鋼)を鋳造する時は、溶鋼通過部及び浸漬部にZrO−黒鉛質耐火材料が適用される場合がある。
また、浸漬ノズルの閉塞を防止する目的で、特許文献1には、溶融金属流路となる内孔および吐出口部に、ジルコニア及び黒鉛を含有し、かつBN、SiC、BCを単独でまたは併用して添加した閉塞防止材料を配設したことを特徴とする連続鋳造用ノズルが開示されている。また、特許文献1には、CaO安定化ジルコニア70質量%、黒鉛10質量%、BN10質量%、SiC8質量%、BC2質量%からなる耐火材料が開示されている。
このようなZrO−黒鉛質耐火材料に使用されているZrO原料は、通常4%程度のCaOを添加した電融のCaO安定化ZrO原料である。これは純粋なZrOは高温で相転移して体積収縮するため、CaOのような安定化剤を添加して高温での体積変化を抑制した安定化ZrO原料の方が、高温での体積安定性に優れた耐火材料が得られるためである。ZrOの安定化剤としては、CaO以外に、Y、CeOやMgOなどが知られているが、Y及びCeO安定化品は高価であること、MgO安定化品は脱安定化し易いことからCaO安定化品が使用されている。
特開平5−57409号公報 特許請求の範囲 [0014]
しかしながら、Al−C質耐火材料の代わりに、上記ZrO−黒鉛質耐火材料を浸漬ノズルに適用すると、溶鋼中のAl介在物を顕著に低減させることができるものの、ZrO介在物が発生する。ZrO介在物、特に大型のZrO介在物は鋼品質にとって有害である。
従って、本発明の目的は、耐スポーリング性を維持すると共に、溶鋼中にZrO介在物を発生させることがない、耐摩耗性に優れたZrO−MgO−C質耐火材料で溶鋼通過部及び浸漬部を構成した連続鋳造用浸漬ノズル及びその製造方法を提供することにある。
即ち、本発明の連続鋳造用浸漬ノズルは、ノズル本体、スラグライン部、溶鋼通過部及び浸漬部から構成されるから構成される連続鋳造用浸漬ノズルの少なくとも溶鋼通過部及び/または浸漬部の一部が、MgO:0.5〜10質量%、ZrO:50〜99質量%、CaO、Y及びCeOの合計量:0〜10質量%及びC:0.5〜40質量%の化学組成を有するZrO−MgO−C質耐火材料からなることを特徴とする。
更に、本発明の連続鋳造用浸漬ノズルは、合計量として10質量%以下の量でその他の成分を含有することを特徴とする。
また、本発明の連続鋳造用浸漬ノズルは、その他の成分が、Zr、Al、Si、Mg、Ca、W、Ta、La、Hf、Th、Ce、Mo、Ba、Zn、Sr、Be、Li、Y、Ti、Ni、Cr、Nb、Mn、Fe、B、Pbからなる群から選択される1種または2種以上の元素の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、ほう化物、塩化物、フッ化物、金属及び/または合金であることを特徴とする。
また、上記連続鋳造用浸漬ノズルは、少なくとも溶鋼通過部及び/または浸漬部の一部を構成するZrO−MgO−C質耐火材料が少なくともMgO含有原料、ZrO含有原料及びC含有原料から構成され、前記MgO含有原料及び/またはZrO含有原料の一部または全量として、MgO含有ZrO原料を使用することを特徴として製造することができる。
更に、本発明の連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法は、MgO含有ZrO原料は、MgOの含有量が0.5〜10質量%の範囲内にあることを特徴とする。
また、本発明の連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法は、粒度が0.1mm以上のZrO含有原料を5〜80質量%使用し、且つ粒度が0.1mm以上のZrO含有原料中のMgO含有ZrO原料が20質量%以上であることを特徴とする。
本発明の連続鋳造用浸漬ノズルを使用することによって、浸漬ノズルの耐摩耗性が大幅に向上し、更に、鋼中のZrO介在物が顕著に低減し、鋼の品質を向上させることができるという効果を奏する。
本発明者らは、溶鋼とZrO−黒鉛質耐火材料の反応について調査を行い、次のことが判った:
高温で、ZrO−黒鉛質耐火材料の内部において、ZrO粒と黒鉛が反応し、ZrO粒の周囲にZrCが生ずる。
Figure 2005152928
生成したZrCは溶鋼との濡れ性が良いため、溶鋼がZrCの表面に沿ってZrO−黒鉛質耐火材料の内部へ浸透する。浸透した溶鋼は、直ちに黒鉛を溶解し、ZrO−黒鉛質耐火材料の表面に深い脱炭層を生ずる。この脱炭層は、ZrO粒子間の結合が弱く、多孔質な組織を持つため、溶鋼流に摩耗され、溶鋼中に流出して介在物となる。
上記の反応機構に基き、本発明者らは、ZrO粒と黒鉛との反応によるZrC生成を抑制することで、ZrO−黒鉛質耐火材料の耐摩耗性を向上させる方法を検討した。反応(1)は、ZrO−黒鉛質耐火材料中のCOガス分圧に依存し、COガス分圧が低い程起こり易くなり、逆にCOガス分圧が高い程起こり難くなる。ZrO−黒鉛質耐火材料中にMgOを含有させると、少量の黒鉛が優先的にMgOと反応(2)を起こして、ZrO−黒鉛質耐火材料中のCOガス分圧を高くする:
Figure 2005152928
その結果、反応(1)が起こり難く、ZrCも生成し難くなる。
また、反応(2)で生じたMg(ガス)は、溶鋼とZrO−黒鉛質耐火材料の界面へ拡散し、溶鋼中の酸素と反応してZrO−黒鉛質耐火材料の表面付近における気孔にMgOを生成させる。MgOの生成によって、ZrO−黒鉛質耐火材料の組織が緻密となるため、内部のCOガスが外部へ拡散し難くなり、それによって高いCOガス分圧を維持することができる。この機構によっても、ZrCが生成し難くなる。
一方、反応(1)によるZrCの生成量は、溶鋼中の炭素濃度(%C)にも依存する。溶鋼中の(%C)が低い程、ZrO−黒鉛質耐火材料中でのZrC生成量は多くなる。高炭素鋼[(%C)0.20以上]及び中炭素鋼[(%C)0.08〜0.20]の場合に比べて、低炭素鋼[(%C)0.08以下]及び極低炭素鋼[(%C)0.01以下]の場合はZrCの生成量が特に多い。これは、低炭素鋼及び極低炭素鋼中の炭素濃度は低く、これらの鋼種と接しているZrO−黒鉛質耐火材料中のCOガス分圧が低くなり、反応(1)が右方向へ反応し易いためである。従って、低炭素鋼及び極低炭素鋼を鋳造する場合には、ZrO−黒鉛質耐火材料にMgOを含有させる効果は、高炭素鋼及び中炭素鋼を鋳造する場合に比べて更に大きくなる。
以上の研究結果から、本発明者らは、ノズル本体、スラグライン部、溶鋼通過部及び浸漬部から構成される連続鋳造用浸漬ノズルの溶鋼通過部及び浸漬部に使用されるZrO−黒鉛質耐火材料の耐摩耗性を向上させるためには、ZrCの生成を防止することが重要であり、そのため、ZrO−黒鉛質耐火材料にMgOを含有させることが有効であるとの知見に基づき、本発明の連続鋳造用浸漬ノズル及びその製造方法を開発したものである。
このような構成を有する連続鋳造用浸漬ノズルの耐スポーリング性を維持しながら耐食性を向上させるために、浸漬ノズルを構成するノズル本体、スラグライン部、溶鋼通過部及び浸漬部のうち、少なくとも溶鋼通過部及び/または浸漬部の一部を構成する耐火材料として、MgO:0.5〜10質量%、ZrO:50〜99質量%、CaO、Y及びCeOの合計量:0〜10質量%及びC0.5〜40質量%の化学組成を有するZrO−MgO−C質耐火材料を使用することが本発明の特徴である。
上記ZrO−MgO−C質耐火材料には、0.5〜40質量%のCの含有量を必要とする。C含有量が0.5質量%未満であると、連続鋳造用浸漬ノズルの溶鋼通過部、浸漬部の耐スポーリング性が不足するために好ましくない。また、CaO含有量が40質量%を超えると、C含有量が多過ぎ、Cが溶鋼に溶解し易いため、浸漬ノズルの耐摩耗性が低下するために好ましくない。なお、Cのより好ましい含有量は、3〜30質量%の範囲内である。また、C含有量を構成する成分としては、通常黒鉛が使用されるが、黒鉛の全量または一部を非結晶質カーボン(カーボンブラック)、ピッチなどの他のカーボン原料に置換しても良い。
上記のC含有量において、ZrO−MgO−C質耐火材料中のZrC生成を抑制するためのCOガスを発生させるためには、0.5質量%以上のMgO含有量を必要とする。MgO含有量が0.5質量%未満であると、前述したZrC生成を抑制するMgOの効果が小さく、ZrC生成量が多いため、充分な耐食性が得られないために好ましくない。一方、0.5〜40質量%のC含有量を有する条件下で、MgO含有量が10質量%を超えると、MgOの揮発によって内部が多孔質の組織となり、強度不足により耐スポーリング性が低下するために好ましくない。なお、MgO含有量は好ましくは1〜8質量%であり、更に好ましくは2〜6質量%の範囲内である。
また、上記ZrO−MgO−C質耐火材料のZrO含有量が50質量%未満であると、ZrO含有量が少な過ぎてZrO−MgO−C質耐火材料の耐摩耗性が低下するために好ましくない。また、ZrO含有量が99質量%を超えると、浸漬ノズルに必要とされる耐スポーリング性を確保することができないために好ましくない。なお、ZrO含有量は、より好ましくは65〜95質量%の範囲内である。
更に、上記ZrO−MgO−C質耐火材料は、CaO、Y、CeO等のZrOを安定化するために用いられるZrO原料に起因する成分を含有することがある。なお、これらの成分の合計量は、0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%の範囲内である。即ち、これらの成分は不在であっても、10質量%以下の量で存在していても良い。なお、これらの成分の合計量が10質量%を超えると、MgOの添加効果が小さくなるために好ましくない。
更に、上記ZrO−MgO−C質耐火材料は、その他の成分として、Zr、Al、Si、Mg、Ca、W、Ta、La、Hf、Th、Ce、Mo、Ba、Zn、Sr、Be、Li、Y、Ti、Ni、Cr、Nb、Mn、Fe、B、Pbなどの元素の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、ほう化物、塩化物、フッ化物や金属(または合金)などの中の1種または2種以上を含有することができる。なお、その他の成分を含有する場合、その含有量は、10質量%以下である。その他の成分の含有量が10質量%を超えると、ZrO−MgO−C質耐火材料の耐食性を低下させる恐れがあるために好ましくない。なお、耐火材料中で形成されるたZrCは、上述のように耐火材料に悪影響を及ぼすが、添加物としてZrO−MgO−C質耐火材料に最初から存在するZrCは、ZrOと黒鉛の反応により生成したZrCの分布(ZrO粒子の表面のZrCコーティング層)とは異なるので、溶鋼の浸透を促進するような悪影響を及ぼすことはない。
次に、本発明の連続鋳造用浸漬ノズルの配材パターンを図を用いて説明する。
図1は、浸漬ノズルの溶鋼通過部(ノズル内管)にZrO−MgO−C質耐火材料(3)を配設したものである。ここで、ノズル本体は、従来から公知のAl−C質耐火材料、Al−SiO−C質耐火材料等(Al−C質耐火材料等:1)で構成することができる。また、スラグライン部は、従来から公知のZrO−C質耐火材料、ZrO−CaO−C質耐火材料等(ZrO−C質耐火材料等:2)で構成することができる。
図2は、浸漬ノズルの溶鋼通過部(ノズル内管)をZrO−MgO−C質耐火材料(3)で構成し、浸漬部の一部をZrO−MgO−C質耐火材料(4)で構成したものである。この実施態様において、ZrO−MgO−C質耐火材料(3)とZrO−MgO−C質耐火材料(4)は、同一組成ものであっても、異なる組成のものであっても良い。
図3は、浸漬ノズルの溶鋼通過部をZrO−MgO−C質耐火材料(3)で構成し、浸漬部とノズル本体の一部をZrO−MgO−C質耐火材料(4)で構成したものである。この実施態様においても、ZrO−MgO−C質耐火材料(3)とZrO−MgO−C質耐火材料(4)は、同一組成ものであっても、異なる組成のものであっても良い。
図4は、浸漬ノズルのスラグライン部を除く部位を全てZrO−MgO−C質耐火材料(4)で構成したものである。
図5は、浸漬ノズルのノズル本体、スラグライン部、溶鋼通過部及び浸漬部の全てをZrO−MgO−C質耐火材料(4)で構成したものである。
なお、上記配材パターンに例示したノズル本体に用いられるAl−C質耐火材料としては、例えばAl30〜90質量%、SiO0〜35質量%、黒鉛10〜35質量%の組成を有するものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、スラグライン部に用いられるZrO−C質耐火材料としては、例えばCaO安定化ZrO80〜90質量%、黒鉛8〜15質量%の組成を有するものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
次に、本発明の連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法について説明する。
本発明の連続鋳造用浸漬ノズルを製造するに際して、上記ZrO−MgO−C質耐火材料のMgO原料としては、MgO単体原料を使用することができ、また、スピネルやドロマイトなどのMgO含有原料を使用することもできる。なお、MgO成分を、MgO安定化ZrO原料などのMgO含有ZrO原料として使用することがより望ましい。これは、ZrO粒中MgOと黒鉛が反応(2)を起こして、ZrOの周りにZrCがより生成し難いためである。なお、MgO含有ZrO原料のMgO含有量は、0.5〜10質量%、好ましくは2〜7質量%の範囲内である。MgO含有量が0.5質量%未満であると、ZrC生成を抑制するMgOの効果が不充分になるために好ましくなく、また、MgO含有量が10質量%を超えると、ZrO粒中のMgOと黒鉛の反応が激しくなり、ZrO粒が崩壊してしまうことがあるために好ましくない。
本発明の連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、上記ZrO−MgO−C質耐火材料の効果を充分に発揮させるためには、ZrO原料の粒度構成も重要となる。粒度が0.1mm以上のZrO原料の配合量が5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜70質量%の範囲内である。粒度が0.1mm以上のZrO原料が5質量%未満であると、全体の粒度が小さく、ZrO粒の表面積が大き過ぎるため、ZrO粒中のMgOと黒鉛の反応が激しく、組織が脆化し、耐食性が低下するために好ましくない。また、粒度が0.1mm以上のZrO原料の配合量が80質量%を超えると、全体の粒度が大き過ぎて、ZrO−MgO−C質耐火材料の成形性が悪化するために好ましくない。
なお、粒度が0.1mm以上のZrO原料の20質量%以上、より好ましくは25質量%以上は、MgO含有ZrO原料であることが好ましい。MgO含有ZrO原料の量が粒度0.1mm以上のZrO原料の20質量%未満であると、全体のMgO含有量を保持するため、粒度が0.1mm未満の小さなZrO粒中のMgO含有量を増やさなければならず、小さなZrO粒は表面積が大きいため、その粒中のMgO含有量を増やすと、MgOと黒鉛の反応が激し過ぎて、組織が脆化し、耐食性が低下する恐れがあるために好ましくない。
粒度が0.1mm以上のZrO原料が鋳造時に溶鋼中に混入すると、大型介在物となり、鋳片欠陥や鋳片割れを生ずる原因となる場合がある。MgO含有ZrO原料は、通常ZrO原料として耐火材料等に使用されているCaO安定化ZrO原料よりも溶鋼中で粒が崩壊し易いため、大型介在物を生じ難い。従って、MgO含有ZrO原料を用いて他のZrO原料の比率を少なくすることは、鋳片品質の向上のためにも効果的である。
また、上記ZrO−MgO−C質耐火材料には、Zr、Al、Si、Mg、Ca、W、Ta、La、Hf、Th、Ce、Mo、Ba、Zn、Sr、Be、Li、Y、Ti、Ni、Cr、Nb、Mn、Fe、B、Pbなどの元素の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、ほう化物、塩化物、フッ化物や金属(または合金)などの中の1種または2種以上を適宜配合することもできる。
更に、ZrO−MgO−C質耐火材料の製造時に必要なバインダーとしては、フェノール樹脂や多糖類などのような有機バインダー及び、セメントや珪酸塩、リン酸塩のような無機バインダーの中の1種または2種以上を使用することができる。
なお、上述の図1ないし4に示すような配材パターンを有する本発明の連続鋳造用浸漬ノズルを製造する際には、まず、浸漬ノズル成形時に、上述のZrO−MgO−C質耐火材料の練土をノズルの内孔や浸漬部に対応する枠の所定部位に装填し、ノズル本体及びスラグライン部を構成する練土を枠の他の部位に充填した後、同時に加圧成形する同時成形方法を使用することができる。また、予め作製されたノズル本体に、上述のZrO−MgO−C質耐火材料の練土を後から充填する2段階成形方法も使用することができる。
また、連続鋳造用浸漬ノズルを所定の形状に成形後、酸化防止のため、窒素、アルゴンまたはCOなどの非酸化の焼成雰囲気中で焼成する。なお、連続鋳造用浸漬ノズル中の揮発物質を充分に揮発させるため、焼成温度は、500〜1300℃、好ましくは800〜1100℃の範囲内である。焼成温度が500℃未満であると、強度不足のために好ましくなく、また、1300℃を超えると、強度低下のために好ましくない。
高周波炉にて80kgの鋼をアルゴン雰囲気で溶解し、1560℃に保持した。その後、以下の表1記載する組成を有する耐火材料の20×20×250mmの供試体を溶鋼に1時間浸漬し、同時に150rpmの回転速度で供試体を回転させた。テスト後、供試体を観察し、亀裂の有無を確認した。また、供試体の損傷厚みを測定した。用いた鋼の成分は、C:0.50質量%、Si:0.20質量%、Mn:0.50質量%、P:0.01質量%、S:0.005質量%、Al:0.002質量%の組成を有するものであった。得られた結果を表1に併記する。
Figure 2005152928
Figure 2005152928
Figure 2005152928
Figure 2005152928
表中のZrO−MgO−C質耐火材料において、MgO成分は、工業的不可避の不純物を除き、全てZrO原料に含有されているMgOに由来したものである。ZrO原料に含有されているMgOは、1〜9質量%の範囲である。粒度が0.1mm以上のZrO原料が50質量%であり、その全てはMgO含有ZrO原料である。C原料には鱗状黒鉛を使用し、粒度が0.2mm以下、純度が95質量%以上のものである。なお、耐火材料の供試体は、1000℃の窒素(非酸化)雰囲気中で約8時間焼成したものであり、気孔率は16〜18質量%の範囲内であった。なお、バインダーとして全品フェノール樹脂を外掛で8質量%添加した。
また、比較用耐火材料については、CaO成分は、工業的不可避の不純物を除き、全てZrO原料に含有されているCaOに由来したものである。ZrO原料に含有されているCaOは、2〜8質量%の範囲である。粒度が0.1mm以上のZrO原料が50質量%であり、その全てはCaO含有ZrO原料である。C原料には、鱗状黒鉛を使用し、粒度が0.2mm以下、純度が95質量%以上のものを使用した。なお、比較用耐火材料の供試体は、1000℃の窒素(非酸化)雰囲気中で約8時間焼成したものであり、気孔率は16〜18質量%の範囲内であった。なお、バインダーとして全品フェノール樹脂を外掛で8質量%添加した。
更に、表中の損傷指数は、(供試体の損傷厚み)/(比較用耐火材料8の供試体の損傷厚み)の値である。損傷指数が大きい程、供試体の損傷が大きくなる。損傷指数は、比較用耐火材料の供試体が0.6〜1.5であるのに対して、ZrO2−MgO−C質耐火材料の供試体は0.3〜0.4で、耐摩耗性が顕著に高いことが判る。
また、亀裂発生状況は、比較用耐火材料1の供試体のみ亀裂が発生しているが、その他の供試体はいずれも亀裂の発生はなかった。
次に、上記ZrO−MgO−C質耐火材料を溶鋼通過部及び浸漬部に使用した連続鋳造用浸漬ノズルを用いて実機にて連続鋳造を実施した。使用した浸漬ノズルは、図3に示す配材パターンを有するもので、ノズル本体を構成するAl−C質耐火物等(1)として、Al58質量%、SiO15質量%及びC26質量%のAl−C質耐火材料を用い、スラグライン部を構成するZrO−C質耐火材料等(2)として、CaO安定化ZrO87質量%及びC13質量%のZrO−C質耐火材料を使用し、溶鋼通過部を構成するZrO−MgO−C質耐火材料(3)として、表中のZrO−MgO−C質耐火材料2を使用し、ノズル本体の一部及び浸漬部を構成するZrO−MgO−C質耐火材料(4)として、表中のZrO−MgO−C質耐火材料8を使用したものである。
また、比較用浸漬ノズルの配材パターンを図6に示す。図6に示す浸漬ノズルにおいて、ノズル本体を構成するAl−C質耐火物等(1)として、Al58質量%、SiO15質量%及びC26質量%のAl−C質耐火材料を用い、スラグライン部を構成するZrO−C質耐火材料等(2)として、CaO安定化ZrO87質量%及びC13質量%のZrO−C質耐火材料を使用し、溶鋼通過部を構成する比較用耐火材料(5)として、表中の比較用耐火材料5を使用し、ノズル本体の一部及び浸漬部を構成する比較用耐火材料(4)として、表中の比較用耐火材料8を使用したものである。
本発明品及び比較用の連続鋳造用浸漬ノズルは、いずれも同時成形方法で成形され、1000℃の窒素(非酸化)雰囲気中で8時間焼成された。気孔率はいずれの部分でも16〜18%の範囲であった。
連続鋳造に用いられた鋼は、C:0.0005〜0.65質量%、Si:0.03〜1.5質量%、Mn:0.2〜1.2質量%、P:0.005〜0.015質量%、S:0.002〜0.02質量%、Ti:0.005〜0.05質量%、Al:0.001〜0.07質量%の範囲内であり、鋳造時間は100〜500分であった。
実機使用の結果、本発明品及び比較用浸漬ノズルともスポーリングの問題はなかった。また、使用後の浸漬ノズルの損傷厚みを測定した結果、比較用浸漬ノズルの最大損傷厚みを1とすると、本発明品の浸漬ノズルの最大損傷厚みは0.3〜0.4の範囲内であった。
また、鋳造された鋼中の単位体積当たりのZrO介在物の個数を調べたところ、比較用浸漬ノズルを用いて鋳造した鋼中のZrO介在物の個数を1とすると、本発明品の浸漬ノズルを用いて鋳造した鋼中のZrO介在物の個数は0.2〜0.3の範囲内であった。
本発明の連続鋳造用浸漬ノズルは、各種鋼の連続鋳造用の浸漬ノズルに適用することができる。
本発明の連続鋳造用浸漬ノズルの配材パターンの1実施態様を示すものである。 本発明の連続鋳造用浸漬ノズルの配材パターンの他の実施態様を示すものである。 本発明の連続鋳造用浸漬ノズルの配材パターンの更に他の実施態様を示すものである。 本発明の連続鋳造用浸漬ノズルの配材パターンの他の実施態様を示すものである。 本発明の連続鋳造用浸漬ノズルの配材パターンの他の実施態様を示すものである。 比較用浸漬ノズルの配材パターンを示すものである。
符号の説明
1 Al−C質耐火材料等
2 ZrO−C質耐火材料等
3 ZrO−MgO−C質耐火材料
4 ZrO−MgO−C質耐火材料
5 比較用耐火材料
6 比較用耐火材料

Claims (6)

  1. ノズル本体、スラグライン部、溶鋼通過部及び浸漬部から構成される連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、少なくとも溶鋼通過部及び/または浸漬部の一部が、MgO:0.5〜10質量%、ZrO:50〜99質量%、CaO、Y及びCeOの合計量:0〜10質量%及びC:0.5〜40質量%の化学組成を有するZrO−MgO−C質耐火材料からなることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル。
  2. ZrO−MgO−C質耐火材料は、合計量として10質量%以下の量でその他の成分を含有する、請求項1記載の連続鋳造用浸漬ノズル。
  3. その他の成分は、Zr、Al、Si、Mg、Ca、W、Ta、La、Hf、Th、Ce、Mo、Ba、Zn、Sr、Be、Li、Y、Ti、Ni、Cr、Nb、Mn、Fe、B、Pbからなる群から選択される1種または2種以上の元素の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、ほう化物、塩化物、フッ化物、金属及び/または合金である、請求項2記載の連続鋳造用浸漬ノズル。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項記載の連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法において、少なくとも溶鋼通過部及び/または浸漬部の一部を構成するZrO−MgO−C質耐火材料が少なくともMgO含有原料、ZrO含有原料及びC含有原料から構成され、前記MgO含有原料及び/またはZrO含有原料の一部または全量として、MgO含有ZrO原料を使用することを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法。
  5. MgO含有ZrO原料は、MgOの含有量が0.5〜10質量%の範囲内にある、請求項4記載の連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法。
  6. 粒度が0.1mm以上のZrO含有原料を5〜80質量%使用し、且つ粒度が0.1mm以上のZrO含有原料中のMgO含有ZrO原料が20質量%以上である、請求項4または5記載の連続鋳造用浸漬ノズルの製造方法。
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