JP2018114507A - スライドプレート耐火物 - Google Patents

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【課題】本発明の目的は、十分な機械的強度および耐スポーリング性を確保すると同時に、優れた耐水和性および耐食性を有するスライドプレート耐火物を提供することにある。【解決手段】本発明のスライドプレート耐火物は、耐火骨材および炭素質原料からなる耐火材料、およびアルミニウム−クロム系合金を含有してなることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、鉄鋼製錬工程における溶鋼の流量制御に用いられるスライドプレート耐火物に関するものである。
鉄鋼の製錬において、溶鋼の流量を制御するためにスライドプレート耐火物が一般的に使われている。内孔を設けたスライドプレート耐火物を2枚または3枚重ね合わせ、拘束され、しかも面圧が付加されているスライドプレート耐火物を摺動させて孔の開度を調節することにより、取鍋やタンデイッシュなどの容器から排出される溶鋼の流量を制御することができる。このような厳しい条件で使われるスライドプレート耐火物は、拘束・面圧付加に耐える機械的強度、受鋼時の急激な熱衝撃に抵抗できる耐スポーリング性および溶鋼の侵食に対する耐食性などをすべて具備しなければならない。
まず、スライドプレート耐火物の耐スポーリング性を確保するためには、スライドプレート耐火物にカーボンを含有させることが一般的である。すなわち、スライドプレート耐火物を構成する耐火材料として、カーボン含有耐火物が一般的に使われている。ここで、骨材原料には、アルミナ、スピネル、マグネシアやジルコニア、特に、アルミナが用いられている。ここで、骨材材料およびカーボンのみからなる耐火材料は、原料粒子間の結合がカーボンボンドのみで形成されているため、スライドプレート耐火物の強度が低く、また、スライドプレート耐火物中のカーボンが雰囲気中の酸素に酸化されやすいという欠点がある。これに対応して、金属アルミニウムの添加が非常に有効であることが知られている。金属アルミニウムの添加により、アルミニウムが雰囲気中の酸素を取り込みカーボンの酸化を防止すると同時に、生成するアルミナがセラミックスボンドとなり、スライドプレート耐火物の強度を向上させることができる。
しかしながら、金属アルミニウムの添加は別の問題をもたらす。すなわち、添加される金属アルミニウムは雰囲気中の酸素だけでなく、カーボンとも反応して炭化アルミニウムが生成する。炭化アルミニウムは水分と反応しやすく、水和しやすい性質をもつ。したがって、金属アルミニウム単独添加のスライドプレート耐火物は、耐水和性が低い。スライドプレート耐火物内で水和が発生すると、プレートは亀裂が生じ、さらに崩壊してしまい、使用または再利用が不能となる。
金属アルミニウム添加スライドプレート耐火物における炭化アルミニウムの生成を抑制し、スライドプレート耐火物の耐水和性を向上させるために、金属アルミニウムの代わりにアルミニウム−シリコン合金を利用する対策が実際に取られている。また、種々の提案もなされている。
例えば、特許文献1には、耐火性原料、フェノール系レジン及び球状のアトマイズ粉からなるアルミニウム粉末の配合物を混練、成形した後、550〜650℃の温度で加熱処理することを特徴とするスライドゲート用プレートの製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、(A)一種もしくは二種以上の耐火性無機材料から成る耐火物骨材が73重量%以上、96重量%以下、(B)ファイバー状金属アルミニウムが0.1重量%以上、0.5重量%以下、(C)フレーク状の金属アルミニウム粉末が、1重量%以上、5重量%以下、(D)炭素質粉末が2重量%以上、10重量%以下、(E)金属シリコン粉末が0.1重量%以上、5重量%以下の原料から成る混合物100重量%に対して、バインダーとして、外配で熱硬化性樹脂を3重量%以上、10重量%以下添加し、混練、成型、焼成して得られた焼成耐火物より成ることを特徴とするスライドゲート用プレートが開示されている。
さらに、特許文献3には、アルミナを主成分とする耐火性骨材、炭素粉末及び金属アルミニウム粉末を含む耐火材料100重量部に対し、少なくとも1種類以上の熱硬化性樹脂1〜10重量部と,窒化硼素0.3〜6重量部を外掛けで添加してなるスライディングノズル用不焼成れんがが開示されている。
また、特許文献4には、MgO含量が30〜70重量%、Al2O3+MgOの合計量が95重量%以上のマグネシア・アルミナ質スピネル原料5〜25重量%、Al2O3含量が80重量%以上のアルミナ原料60〜85重量%、カーボン質原料3〜15重量%、金属アルミニウム粉1〜6重量%及び金属シリコン、炭化硼素、炭化珪素及び窒化珪素からなる群から選択される1種または2種以上を10重量%以下含有してなることを特徴とするスライドバルブプレートれんがが開示されている。
さらに、特許文献5には、耐火性無機材料および炭素質原料と、アルミニウム−マグネシウム合金及びアルミニウムの内の少なくとも1種と、有機質結合剤と、有機アルミニウム化合物0.1〜5重量%からなることを特徴とする不焼成スライディングノズル用プレート耐火物が開示されている。
特開2000−94121号公報 特開平11−199313号公報 特開2002−308676号公報 特開平5−105506号公報 特開2004−82125号公報
しかしながら、上述のような対策および提案には、まだ多くの問題が残っている。例えば、金属アルミニウムの代わりにアルミニウム−シリコン合金を使用することによって、炭化アルミニウムの生成量をある程度抑制し、スライドプレート耐火物の耐水和性を向上させることができるが、使用現場の湿度が高い場合や製品が長期間保管される場合、スライドプレート耐火物の耐水和性はやはり不十分である。さらに、アルミニウム−シリコン合金中のシリコン成分はスライドプレート耐火物の焼成および使用中にシリカへ変化するため、溶鋼、特に、Ca処理鋼、高酸素鋼や高Mn鋼などの鋼種に対するスライドプレート耐火物の耐食性が大幅に低下する。この理由は、これらの鋼種に対するシリカの耐食性が極めて低く、また、生成するシリカは、主として、気孔率が大きく、溶損が生じやすいスライドプレート耐火物組織のマトリックスの部分に存在するためである。
また、特許文献1に開示されているような球状のアトマイズ粉からなるアルミニウム粉末の使用によって、アルミニウム粉末とカーボンの接触面積が小さくなり、炭化アルミニウムの生成量をある程度抑制することができるが、炭化アルミニウム生成の抑制効果は限定的である。
さらに、特許文献2では、ファイバー状およびフレーク状の金属アルミニウムと、金属シリコンを併用するものであるが、アルミニウム−シリコン合金を配合する場合と同様に、スライドプレート耐火物の耐水和性が不十分であり、また、金属シリコンに起因するスライドプレート耐火物の耐食性の低下の問題がある。
また、特許文献3は、金属アルミニウムと窒化硼素を併用するものであり、アルミニウムと窒化硼素の反応によって窒化アルミニウムが生成し、その結果、炭化アルミニウムは生成せず、スライドプレート耐火物の耐水和性を向上させることができる。しかしながら、アルミニウムと窒化硼素の反応によって最終的に耐火物の耐食性を低下させる酸化ホウ素も生成する。また、金属アルミニウムを窒化アルミニウムに変化させるには、多量の窒化硼素の添加が必要となり、それに伴って、酸化硼素が多量に生成し、スライドプレート耐火物の耐食性が大幅に低下するという問題点がある。
さらに、特許文献4は、金属アルミニウムおよび金属シリコンの他、炭化硼素、炭化珪素および窒化珪素からなる群から選択される1種または2種以上を併用するものであるが、上記と同様に、金属シリコンや炭化硼素、窒化硼素に起源するシリカおよび酸化硼素によりスライドプレート耐火物の耐食性が大幅に低下するという問題点がある。
また、特許文献5は、アルミニウム−マグネシウム合金またはアルミニウムを用いたものであるが、アルミニウム−マグネシウム合金を配合する場合において、マグネシウムの存在は炭化アルミニウムの生成を阻止できない。また,マグネシウムの蒸気圧が非常に高く、高温でマグネシウムの蒸発によるスライドプレート耐火物組織の崩壊が生じやすいという問題点がある。
したがって、本発明の目的は、十分な機械的強度および耐スポーリング性を確保すると同時に、優れた耐水和性および耐食性を有するスライドプレート耐火物を提供することにある。
本発明者らは、スライドプレート耐火物により適した金属系添加物を見出すため、種々検討の結果、アルミニウム−クロム系合金が有用であることを見出した。
アルミニウム−クロム系合金を配合したスライドプレート耐火物は、800〜1500℃の高温で焼成したものでも、耐水和性が非常に高かった。また、還元雰囲気中で焼成したスライドプレート耐火物の微組織を調べたところ、その中にアルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物(AlCrCと推定される)および少量のアルミナ、窒化アルミニウムが生成するが、炭化アルミニウムは生成しないことが判明した。水和テストにおいて、炭化アルミニウムが速やかに水和したが、アルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物は水和しなかった。これが、アルミニウム−クロム系合金を配合したスライドプレート耐火物の耐水和性が高かった理由であると考えられる。
また、アルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物は、炭化アルミニウム(Al)より熱力学的に安定なため、アルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物の生成によって炭化アルミニウムの生成を抑制できるものと推定される。
さらに、アルミニウム−クロム系合金を配合したスライドプレート耐火物は、溶鋼に対する耐食性も非常に高いものであった。この理由については、以下の2つのことが推定される。1つは、アルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物の生成によって、アルミナなどの骨材とカーボンの反応が進行し難くなり、これに起因するスライドプレート耐火物組織の脆化は起こり難くなることである。もう1つは、アルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物の存在により、溶鋼中の溶融介在物スラグのスライドプレート耐火物内部への侵入が起こり難くなることである。なお、通常、溶融介在物スラグが耐火物の内部へ侵入すると、溶融介在物スラグによる耐火物の溶損が速くなる。また、更なる原因として、アルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物は、酸化物に比べてと溶融スラグの濡れ速度が小さく、また、アルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物から生成する酸化クロムはアルミナ、シリカなどの他の酸化物に比べて溶融介在物スラグに対する耐食性が高いことが考えられる。
本発明者らは、以上得られた知見を基に本発明を完成した。
すなわち、本発明は、耐火骨材および炭素質原料からなる耐火材料、およびアルミニウム−クロム系合金を含有してなることを特徴とするスライドプレート耐火物を提供することにある。
また、本発明のスライドプレート耐火物は、前記アルミニウム−クロム系合金の組成が、クロムの質量割合を「a」、アルミニウムの質量割合を「b」とした時、クロムとアルミニウムの質量比a/bが0.1〜5.0の範囲内にあることを特徴とする。
さらに、本発明のスライドプレート耐火物は、前記アルミニウム−クロム系合金の粒度が、180μm以下であることを特徴とする。
また、本発明のスライドプレート耐火物は、前記アルミニウム−クロム系合金の含有量が、前記耐火材料100質量%に対して外掛けで1〜15質量%の範囲内であることを特徴とする。
本発明のスライドプレート耐火物は、十分な機械的強度および耐スポーリング性だけでなく、優れた耐水和性および耐食性を有する。
本発明のスライドプレート耐火物は、耐火骨材および炭素質原料、およびアルミニウム−クロム系合金を含有してなるところに特徴がある。アルミニウム−クロム系合金を配合することによって、スライドプレート耐火物は十分な機械的強度を有し、また、カーボンの酸化が防止されると同時に、優れた耐水和性および耐食性を具備したものとなる。
従来の金属アルミニウムを含むスライドプレート耐火物においては、高温で水和しやすい炭化アルミニウムが生成するので、耐水和性が低いが、アルミニウム−クロム系合金を含むスライドプレート耐火物は、高温で水和しないアルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物が生成し、水和しやすい炭化アルミニウムは生成しないので、耐水和性も非常に優れたものとなる。
また、アルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物の生成により、アルミナなどの耐火骨材とカーボン質原料の反応が進行し難くなり、耐火骨材とカーボン質原料の反応に起因するスライドプレート耐火物組織の脆化は起こり難くなる。さらに、アルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物の存在により、溶鋼中の溶融介在物スラグのスライドプレート耐火物内部への侵入が起こり難くなるので、アルミニウム−クロム系合金を含むスライドプレート耐火物は優れた耐食性をも示す。
このアルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物は、スライドプレート耐火物の焼成中に生成するが、スライドプレート耐火物使用前の予熱および使用中にも生成する。
本発明のスライドプレート耐火物に使用するアルミニウム−クロム系合金の組成が、クロムの質量割合を「a」、アルミニウムの質量割合を「b」とした時、クロムとアルミニウムの質量比a/bが0.1〜5.0、好ましくは0.2〜3.0の範囲内にある。クロムとアルミニウムの質量比a/bが0.1未満であると、クロムの含有量が低くすぎて、耐水和性および耐食性に劣ることがあるために好ましくない。また、クロムとアルミニウムの質量比a/bが5.0を超えると、アルミニウムの含有量が低すぎて、スライドプレート耐火物の機械的強度およびカーボン酸化防止効果が劣ることがあるために好ましくない。なお、クロムとアルミニウムの質量比a/bが0.1〜5.0の範囲内にあれば、クロムの含有量が低いアルミニウム−クロム系合金を使用しても、炭化アルミニウムは生成せず、また、仮に炭化アルミニウムが生成するとしても、アルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物からの生成速度が非常に遅く微量であり、炭化アルミニウム生成による弊害を生ずることはない。
アルミニウム−クロム系合金の粒度は特には限定されるものではないが、例えば180μm以下、好ましくは150μm以下の範囲内である。アルミニウム−クロム系合金の粒度が180μmを超えると、スライドプレート耐火物の成形時の充填性が悪くなる傾向がある。なお、本明細書に記載する「アルミニウム−クロム系合金の粒度」は、JIS Z 8801−1:試験用ふるい−第1部:金属製網ふるいによって、篩分けた粒度である。
本発明のスライドプレート耐火物におけるアルミニウム−クロム系合金の含有量は、耐火骨材および炭素質原料100質量%に対して外掛けで1〜15質量%、好ましくは2〜10質量%の範囲内である。アルミニウム−クロム系合金の含有量が1質量%未満であると、含有量が低くすぎて、スライドプレート耐火物の機械的強度、カーボン酸化防止効果および耐食性が不足する傾向にある。また、アルミニウム−クロム系合金の含有量が15質量%を超えると、高温で発生するアルミニウム−クロム系合金のアルミニウム−クロム−カーボン3元系複合炭化物への変化に起因する組織の体積変化が大きすぎ、スライドプレート耐火物が崩壊することがある。
なお、前記アルミニウム−クロム系合金は、アルミニウムおよびクロム以外の成分を15質量%以下、好ましくは10質量%以下の量で含むものであってもよい。ここで、アルミニウムおよびクロム以外の成分が15質量%を超えると、スライドプレート耐火物の機械的強度、カーボン酸化防止効果および耐食性が不足するために好ましくない。適宜含有することができる成分としては、Fe、Mn、Mg、Ca、Ti、V、Si、Ni、Cu、Zr、Ce、La、Co、Zn、Nbなどの金属元素、およびC、B、N、P、S、H、Oなどの非金属元素が挙げられる。
次に、本発明のスライドプレート耐火物の耐火材料を構成する耐火骨材は、特に限定されるものではなく、例えば、慣用の原料であるアルミナ、マグネシア、ジルコニア、アルミナ−ジルコニア、ジルコニア−ムライト、スピネル、ムライトなどの単独もしくは組み合わせを使うことができる。なお、これらの耐火骨材は、焼結原料または電融原料として使用することができる。
また、本発明のスライドプレート耐火物の耐火材料を構成する炭素質原料としては、カーボンブラック、ピッチ、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などの単独もしくは組み合わせを使用することができる。
上記耐火骨材と炭素質原料の割合は、耐火骨材90〜99質量%、炭素質原料1〜10質量%、好ましくは耐火骨材92〜98質量%、炭素質原料2〜8質量%の範囲内である。ここで、炭素質原料の割合が1質量%未満であると、スライドプレート耐火物の耐スポーリング性が低下するために好ましくない。また、炭素質原料の割合が10質量%を超えると、スライドプレート耐火物の脱炭による組織脆化が発生するために好ましくない。
また、本発明のスライドプレート耐火物には、炭素質原料の酸化防止効果やスライドプレート耐火物の機械的強度などをより向上させるなどの目的で、シリコン、マグネシウム、チタンなどの金属または合金、炭化珪素や炭化硼素などの炭化物、窒化珪素や窒化硼素などの窒化物を配合することもできる。なお、これらの成分の含有量は、耐火骨材および炭素質原料からなる耐火材料100質量%に対して外掛けで10質量%以下、好ましくは8質量%以下である。これらの成分の含有量が10質量%を超えると、アルミニウム−クロム系合金の効果が低下するために好ましくない。
また、本発明のスライドプレート耐火物には、結合剤としてタールやフェノール樹脂などを使用することもできる。これら結合剤の添加量は、特に限定されるものではなく、慣用の添加量、例えば1〜10質量%を使用することができる。
本発明のスライドプレート耐火物は、記の各原料を所定の配合割合で調整し、混練、成形、乾燥することにより製造することができる。なお、乾燥後、高温焼成(800〜1500℃)や、低温焼成(500〜800℃)を行うことができ、また、乾燥品をそのまま、すなわち、不焼成品とすることもできる。焼成を行う場合、焼成雰囲気は、ブリーズ埋めなどの還元雰囲気、アルゴンガスなどの不活性雰囲気、窒素ガス雰囲気や混合ガス(例えば、N、CO、COおよびHなど)の非酸化雰囲気などにすることができる。
実施例1
以下の表に記載する種々の組成のスライドプレート耐火物の試料を作製し、耐水和性評価テストおよび耐食性評価テストを行った。なお、試料は、非酸化雰囲気、1000℃で5時間焼成したものである。
表中、
「耐水和性評価テスト」は、オートクレーブ装置を用い、0.51MPaの加圧条件において154℃で試料を3時間保持し、テスト前後の試料の質量増加率を測定したものである。質量増加率が小さいほど、試料の水和程度が小さく、耐水和性が高いことを示す;
「耐食性評価テスト」は、高周波炉にてアルゴン雰囲気中で、Ca処理鋼を溶解し、1560℃で、試料を3時間浸漬した。テスト後の試料の浸漬部の幅を測定し、テスト前後の試料の幅の変化を溶損量とした。溶損量が小さいほど、耐食性が高いことを示す。
テストの結果を以下の表に併記する。
Figure 2018114507
表1から、金属アルミニウムを含有する試料(比較品1、2)およびアルミニウム−シリコン合金を含有する試料(比較品3、4)に比べて、アルミニウム−クロム系合金を含有する試料(本発明品1〜7)は、耐水和性、耐食性とも優れていることがわかる。なお、金属アルミニウムを含有する試料(比較品1、2)は、耐水和性評価テスト中において水和程度が大きいため、崩壊してしまった。
Figure 2018114507
表2は、種々のa/bを有するアルミニウム−クロム系合金を含有する試料(本発明品8〜12)についての結果を示すものである。アルミニウム−クロム系合金のa/bが変化しても、比較品より本発明品の方が良いことがわかる。
Figure 2018114507
表3は、種々の粒度のアルミニウム−クロム系合金を含有する試料(本発明品13〜17)についての結果を示すものである。アルミニウム−クロム系合金の粒度が変化しても、比較品より本発明品の方が良いことがわかる。
Figure 2018114507
表4は、種々の耐火骨材を用いた試料(本発明品18〜22)についての結果を示すものである。耐火骨材の種類および含有量が変化しても、比較品より本発明品の方が良いことがわかる。
実施例2
表1の本発明品1を取鍋用スライドプレートとして実機の鋳造に使用した。比較品2よりなる取鍋用スライドプレートの使用寿命が6chであったのに対し、本発明品1よりなる取鍋用スライドプレートの使用寿命は11chに達した。
本発明のスライドプレート耐火物は、十分な機械的強度および耐スポーリング性を確保すると同時に、優れた耐水和性および耐食性を有するものであり、鉄鋼産業界における利用可能性が極めて高い。

Claims (4)

  1. 耐火骨材および炭素質原料からなる耐火材料、およびアルミニウム−クロム系合金を含有してなることを特徴とするスライドプレート耐火物。
  2. アルミニウム−クロム系合金の組成が、クロムの質量割合を「a」、アルミニウムの質量割合を「b」とした時、クロムとアルミニウムの質量比a/bが0.1〜5.0の範囲内にある、請求項1記載のスライドプレート耐火物。
  3. アルミニウム−クロム系合金の粒度が、180μm以下である、請求項1または2記載のスライドプレート耐火物。
  4. アルミニウム−クロム系合金の含有量が、耐火材料100質量%に対して外掛けで1〜15質量%の範囲内である、請求項1ないし3のいずれか1項記載のスライドプレート耐火物。
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