JP2013180945A - マグネシア−カーボン系煉瓦 - Google Patents

マグネシア−カーボン系煉瓦 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、マグネシア−カーボン系煉瓦におけるマグネシアとカーボンとの反応を抑制することにより、高温で使用する際の劣化を抑制し、長時間高温環境下に曝されても煉瓦組織が安定である高耐用のマグネシア−カーボン系煉瓦を提供することにある。
【解決手段】本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦は、マグネシア及びカーボンを含有してなる不焼成煉瓦において、25℃における粘度が200〜1400mPa・sの範囲内にある有機バインダーを外掛けで0.5質量%以上、2.0質量%未満配合することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、マグネシア−カーボン系煉瓦に関し、更に詳細には、マグネシアとカーボンとの反応を抑制することで高温で使用した際の劣化を抑制することができる高耐用のマグネシア−カーボン系煉瓦に関する。
マグネシア−カーボン煉瓦は、1980年頃から広く製鋼用容器などに使用され、種々の改善がなされ、現在に至っている。一方、生産される鉄鋼製品の品質向上・高性能化のニーズに応えるため、製鋼用転炉などにおいては、高温処理される鋼種が増加し、更に高耐用のマグネシア−カーボン煉瓦の開発が要求されている。高耐用を有するマグネシア−カーボン煉瓦を得るための改善の主なものをまとめると以下のようになる:
原料のマグネシアとカーボン源である黒鉛の純度を上げること;電融マグネシアを使用し、特に、結晶粒径の大きいマグネシアを利用すること;マグネシア等の粒度配合を調整して緻密化すること;真空脱気プレスによる高圧成形機を用いて低気孔率成形すること;高残炭率のフェノール樹脂を用いて炭素結合を強化すること;金属Al、BCなどを添加して高温での酸化を防止すること;Al−Mg合金などを添加して高温でのマグネシア−カーボン反応によって生成したMgガスを稼動表面にマグネシアとして析出させて緻密な保護層を作ることなどである。
しかしながら、近年では新しい改善はほとんど報告されておらず、マグネシア−カーボン煉瓦は成熟された技術であるかのように見なされている。
これに対し、近年、長時間高温環境下に曝されたマグネシア−カーボン煉瓦の組織の安定性について着目した改良もなされている。高温下でマグネシア−カーボン煉瓦の組織は、マグネシアとカーボンとの反応
MgO(s)+C(s)=Mg(g)+CO(g) (1)
により劣化すると知見が報告されており、特許文献1には、マグネシア系耐火材と炭素系耐火材とを主成分とするマグネシア−カーボン質耐火物において、80〜97質量部のマグネシア系耐火材と、3〜20質量部の炭素系耐火材とを含んで構成され、前記マグネシア系耐火材80〜97質量部のうち、粒度0.1mm以下の材料の含有率が7質量%未満であることを特徴とするマグネシア−カーボン質耐火物(請求項1)が開示されている。また、特許文献1には、有機バインダーとしてピッチ、タール、フェノール樹脂、フラン樹脂などを外掛けで1〜10質量部添加することができることが記載されているが、実施例及び比較例においては、有機バインダーとしてフェノール樹脂を3質量部配合した例のみが記載されている。
また、特許文献2には、焼結マグネシアクリンカ60〜95重量%、りん状黒鉛5〜40重量%からなるマグネシア・カーボンれんがにおいて、両原料中不純物の合量が1重量%以下であり、かつ焼結マグネシアクリンカーのかさ比重が3.40以上であることを特徴とするマグネシア・カーボンれんがが開示されている。また、特許文献2には、マグネシア・カーボンれんがを製造する際に使用するバインダーは、カーボン結合を強化するために、固定炭素量の多いフェノール樹脂類が好ましいことが記載されているが、実施例及び比較例においては、フェノール樹脂を外掛けで4質量%使用した配合例が記載されているのみである。
更に、特許文献3には、マグネシア骨材70〜95重量%とカーボン粉末5〜30重量%を含有せしめてなることを特徴とする冶金炉用マグネシア−カーボン耐火物が開示されている。なお、特許文献3には、熱硬化性樹脂としては、液状フェノール樹脂が用いられ、該樹脂の量は2〜6%であり、2%未満での添加ではカーボンの濡れ性が低下し、製造が困難であり、6%を超える添加はラミネーションが発生し、製造が困難となる旨の記載もある。また、特許文献3の実施例及び比較例では、液状フェノール樹脂として、25℃で15〜600ポイズの範囲内の粘度を有するものが使用されている。
また、特許文献4には、マグネシア原料とカーボン原料との配合物にクロム鉄鉱を3〜50質量%添加することを特徴とするマグネシア・カーボンれんがが開示されている。また、特許文献4には、有機バインダーの配合量は1〜20%程度であることが開示されているが、実施例及び比較例では、それぞれ外掛けで4質量%の有機バインダーが添加されている。
このように、マグネシア−カーボン煉瓦を製造する際の通常の成形工程では、有機バインダーは、外掛けで3〜5質量%添加されていた。
更に、有機バインダーの添加量が少ない例として、例えば、特許文献5には、重量割合で、カーボン3〜40%、残部マグネシアクリンカーを主材とした配合物100%に対し、ノボラック型フェノール樹脂にホウ酸または酸化ホウ素を変性させたホウ素変性ノボラック型フェノール樹脂を添加し、混練後、成形することを特徴とした不焼成マグネシア−カーボン煉瓦の製造方法が開示されている。また、特許文献5の実施例及び比較例では、1質量%のホウ素変性ノボラック型フェノール樹脂または通常フェノール樹脂が添加されている。
また、特許文献6には、ノボラック型フェノール樹脂、分子量1000以下のポリエーテルポリオール、ヘキサメチレンテトラミン及び耐火性骨材を含有することを特徴とする定型耐火組成物が開示されている。また、特許文献6の実施例及び比較例には、ノボラック型フェノール樹脂を外掛けで0.5、0.7質量部添加されている。
また、有機バインダーの粘性に関して、上記特許文献2に記載のような固定炭素量の多いフェノール樹脂類は高粘性であるため、一般的には、固定炭素分の多く、粘度の高いフェノール樹脂が使用されてきた。有機バインダーの粘性について、例えば特許文献7には、マグネシア質原料、炭素質原料、金属粉原料からなる組成物に、有機結合剤として混合比5/95〜15/85の範囲にあるレゾール型のフェノール樹脂とノボラック型のフェノール樹脂との液状混合物を添加して、混練し、得られた坏土を減圧を行いながら常温下で成形することを特徴とするマグネシア・カーボンれんがの製造方法(請求項1);硬化剤としてヘキサミンを添加した上記ノボラック型フェノール樹脂の25℃での粘度が30000〜50000cps、不揮発分が70±2%、固定炭素が40±2%であり、レゾール型フェノール樹脂の25℃での粘度が250〜350cps、不揮発分が70±2%、固定炭素が40±2%としたことを特徴とする前記マグネシア・カーボンれんがの製造方法(請求項2)が開示されている。
更に、特許文献8には、耐火性原料、炭素原料、バインダーを含有する炭素含有耐火物において、該耐火性原料は、該耐火性原料全体を100質量%とした場合に、0.3mm以下の粒子を30質量%以下及び1mm以上の粒子を20〜90質量%含有し、該バインダーは、バインダーの残炭率が30質量%以下であることを特徴とする炭素含有耐火物(請求項1);前記バインダーの粘性が100ポイズ以下であることを特徴とする前記炭素含有耐火物(請求項2)が開示されている。また、特許文献8の実施例においては、粘度が5〜60ポイズの範囲内にある有機バインダーを使用している。
特開2007−297246号公報 特開昭61−232264号公報 特開昭60−122771号公報 特開平3−205347号公報 特開平4−280858号公報 特開2004−352586号公報 特開平4−310560号公報 特開2000−7422号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているマグネシア−カーボン質耐火物では、上記のようなマグネシアとカーボンとの反応による組織劣化を、マグネシア系耐火材の粒度を特定の範囲としてマグネシア系耐火材とカーボン系耐火材との反応面積を少なくすることにより解決しようするものであるが、その効果は限定的なものであった。
また、特許文献2ないし4に開示されているマグネシア−カーボン煉瓦では、有機バインダーの添加量が多く、マグネシア−カーボン煉瓦における有機バインダーの添加量とマグネシア−カーボン反応との関係について言及するものはない。
更に、特許文献5は、1質量%のフェノール樹脂を有機バインダーとして添加するものであるが、有機バインダーの添加量が2%未満での添加ではカーボンの濡れ性が低下し、成形性に問題があり、また、マグネシア−カーボン煉瓦における有機バインダーの添加量とマグネシア−カーボン反応との関係について言及するものはない。
また、特許文献6は、耐火物組織中に炭素成分を残留させないことを目的としてなされたものであり、また、耐火性骨材としてカーボンが例示されていないことから、マグネシア−カーボン煉瓦を意図したものでなく、従って、マグネシア−カーボン煉瓦における有機バインダーの添加量とマグネシア−カーボン反応との関係について言及するものはない。
また、マグネシア−カーボン煉瓦を成形するに際して、有機バインダー量を低減すると、成形後の気孔率は増大する。一方、高耐用のマグネシア−カーボン煉瓦を得るためには、上記の通り低気孔率とすることが有利であると考えられてきた。このため、有機バインダー量を特許文献5や6のように低減することは、気孔率の増大を引き起こして有害であるとこれまで一般的には認識されている。
更に、特許文献7及び8は、有機バインダーの一般的な特性として粘性が論じられているだけであり、マグネシア−カーボン煉瓦におけるマグネシア−カーボン反応との関連性についての言及はない。
従って、本発明の目的は、マグネシア−カーボン系煉瓦におけるマグネシアとカーボンとの反応を抑制することにより、高温で使用する際の劣化を抑制し、長時間高温環境下に曝されても煉瓦組織が安定である高耐用のマグネシア−カーボン系煉瓦を提供することにある。
即ち、本発明は、マグネシア及びカーボンを含有してなる不焼成煉瓦において、25℃における粘度が200〜1400mPa・s(1mPa・s=1cp)の範囲内にある有機バインダーを外掛けで0.5質量%以上、2.0質量%未満配合することを特徴とするマグネシア−カーボン系煉瓦に係るものである。
また、本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦は、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率が9.0%以下であることを特徴とする。
本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦を、転炉等の特に高耐用が要求される損傷の激しい部位に適用することにより、転炉の耐火物寿命を向上することができ、耐火物原単位と耐火物コストの削減に寄与することができる。また、本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦は、原料を高純度化することなく、単に有機バインダーを変更するのみで、耐火物特性を向上させることもできるので、製造コストを抑制しつつ高耐用のマグネシア−カーボン系煉瓦を提供することができる。
本発明者らは、前記式1のマグネシア−カーボン反応によるマグネシア−カーボン系煉瓦の組織劣化に注目し、その原因について鋭意研究を行ったところ、下記の知見を得た:
まず、転炉で使用したカーボン15質量%の高純度マグネシア−カーボン煉瓦を解析したところ、稼動面から数mm〜数十mmの範囲でマグネシア粒子の周囲に隙間が観察された。この隙間は、使用前のマグネシア−カーボン煉瓦には存在しないことから、使用中に生成されたものであると判断された。
これを確認するために、同一のマグネシア−カーボン煉瓦を用い、各種温度で還元焼成し、このような現象が観察されるか、否かを実験した。その結果、1500℃で3時間以上、コークスブリーズ中で還元焼成すると、気孔率の増大と、マグネシア粒子の周りの隙間が観察された。この隙間の原因を式1のマグネシア−カーボン反応によるものと推定した。
前記式1のマグネシア−カーボン反応の素反応は、式2、式3のように記載することができる:
MgO=Mg(g)+1/2O(g) (2)
C(s)+1/2O(g)=CO(g) (3)
式(2)と式(3)の平衡定数をそれぞれK、Kとすると
Figure 2013180945
となる。
ここで、p(Mg)は、Mg(g)の蒸気圧、p(O)は酸素分圧、p(CO)はCOガスの分圧、a(MgO)はMgOの活量、a(C)はカーボンの活量である。
式(2)は、MgOの蒸発反応であり、平衡定数から酸素分圧p(O)が決まると、Mgの蒸気圧p(Mg)が決まり、酸素分圧p(O)が低下することでMg(g)の蒸気圧p(Mg)は上昇する。一方、式5は、CとCOとの平衡を示し、この関係から酸素分圧p(O)が決まる。
従来の考え方では、式4と式5において、a(MgO)=1、a(C)=1と考え、マグネシア−カーボン煉瓦中では、大気中の酸素はほとんどすべてCO(g)になっていると考えて、p(CO)=1と仮定し、熱力学データ(例えば、JANAF熱化学データ表)を利用して蒸気圧を計算してきた。この仮定下での計算により求められるMg(g)の蒸気圧p(Mg)は1500℃に近い1800Kで2.09×10−3atmと小さく、マグネシア−カーボン反応は顕著ではないが、1700℃に近い2000Kでは1.24×10−1atmと大きくなり、マグネシア−カーボン反応は顕著となるとされてきた。
しかし、本発明者らは、上記仮定を見直すこととした。即ち、カーボン源として黒鉛のみが存在する状態では、1500℃におけるCの標準状態は黒鉛であるから、a(C)=1であって差支えない。しかし、マグネシア−カーボン煉瓦では有機バインダー起因の活性な炭素が共存する。この場合、活性であるからCの活量a(C)>1.0となるはずであり、この結果、式3、式5から酸素分圧p(O)は、a(C)=1と仮定した場合より小さくなる。その結果、1500℃においてもマグネシア−カーボン反応が顕著になってMg(g)の蒸気圧p(Mg)が上昇し、組織劣化を促進するはずである。してみると、マグネシア−カーボン反応の主因は有機バインダー起因の活性な炭素であると考えることができる。
換言すれば、有機バインダー量を少なくすることで、マグネシア−カーボン反応を抑制することができるはずである。これについは以下の実施例並びに比較例において詳述する。具体的には、有機バインダーとしてフェノール樹脂を使用し、フェノール樹脂量を従来マグネシア−カーボン煉瓦を製造していた条件と比べて少なくし、1500℃、3時間の還元焼成を行い、フェノール樹脂量とマグネシア−カーボン系煉瓦の気孔率の関係について検証した。その結果、フェノール樹脂量と、焼成後の気孔率には良い相関があり、フェノール樹脂量を少なくすることで焼成後の気孔率の増大を抑制できることを見出した。
また、フェノール樹脂量を更に低減することができれば、マグネシア−カーボン反応を抑制することができるはずだと考えた。しかし、上述の通り2質量%未満のフェノール樹脂量では成形が困難であった。また、フェノール樹脂量を低減すると、成形気孔率が上昇する。このため、フェノール樹脂の低減は、前記のように緻密化が阻害されるものと従来考えられていた。そこで、成形性に及ぼすフェノール樹脂の役割と必要な要因について検討した。
その結果、フェノール樹脂量を低減すると、気孔率は上昇するものの、粒子の充填性は向上していることが判明した。この理由は以下の通りである。成形体に占める体積の割合は、(1)粒子の占める割合、(2)フェノール樹脂の占める割合、(3)気孔とに分けられる。仮に、フェノール樹脂量を低減した時の粒子の占める割合(1)が変化しないものと仮定すると、(2)のフェノール樹脂の占める割合の低下量と気孔の増大量は一致する。更に、フェノール樹脂量を低減した際に充填性が悪化して粒子の占める割合が低下したと仮定すると、気孔の増大量はフェノール樹脂の低下量を上回るはずである。逆に、粒子の充填性がフェノール樹脂量の低減に従って向上したとすれば、気孔の増大は、フェノール樹脂の低減量を下回ることになる。
それに対して実験結果は、気孔率は上昇するものの、その上昇量はフェノール樹脂の低減量を下回った。換言すれば、気孔率は上昇するが、粒子の充填性が向上したことになる。概念的には、阻害されると考えられてきた粒子の充填性はあまり阻害されず、フェノール樹脂量が少なくなると粒子表面に付着したフェノール樹脂の厚さが薄くなるため、粒子間距離が小さくなり、粒子の緻密性は向上するためと考えられる。
換言すれば、従来、フェノール樹脂量の低下は成形気孔率が上昇するため、緻密化による耐用性向上に不利だと考えてきたが、粒子の充填性を上げるためにはフェノール樹脂量が低い方が好ましいことが解った。このため成形気孔率が上昇するとしても、フェノール樹脂量を低下させることが有効と言える。
一方、フェノール樹脂はある程度の粘性を持つが、好ましい粘性についても検討した。成形の際には、耐火粒子表面がフェノール樹脂で覆われる状態になっていることが好ましい。耐火骨材にフェノール樹脂を添加して混練した際、フェノール樹脂は粒子間に発生する剪断力を受け粘性流動して粒子表面に広がる。粘性流動する際には粘度が低い方が移動し易く、広がり易くなるために好ましい。また、粘度が小さければ粒子表面へ付着するフェノール樹脂の厚さを薄くすることが可能となる。また、成型時に圧力をかけると、粒子間に存在するフェノール樹脂の粘性流動によって粒子が移動する。一定の圧力をかけた場合、移動の速度は粘性に反比例する。従って、移動し易くするためには、粘性を下げることが好ましい。このように低粘性にすると、フェノール樹脂量の低減が可能となる。
しかし、前述の通り従来から一般的には、固定炭素量の多いフェノール樹脂は高粘性であるため、低粘性にすることは固定炭素量が低下し、不利だと考えられてきた。しかし、それ以上に、成形の容易さ、成形による粒子の緻密化、フェノール樹脂の熱分解による気孔の生成、及びマグネシア−カーボン反応を抑制できるのであれば、そのデメリットを克服することができる。
一方、低粘性にしてフェノール樹脂の固定炭素分が小さくなると、カーボン結合が弱くなって耐酸化性の低下が懸念された。そこで、低粘性のフェノール樹脂を用い、その添加量を少なくしたマグネシア−カーボン煉瓦と、従来方式によるマグネシア−カーボン煉瓦を作成し、耐酸化性の比較を行った。その結果、前者で耐酸化性が向上することが解った。これは、カーボンボンドの低下よりも、粒子の緻密化の寄与が大きかったためと推定された。
また、フェノール樹脂量を変化させて1500℃還元焼成で焼成時間を変えた際の質量変化及びマグネシア−カーボン煉瓦中のマグネシア粒子の変化を観察することで、マグネシア−カーボン反応が起こっているか、否かを検証した。質量減少率は時間に比例して増加した。質量減少率は、フェノール樹脂量の多いもので多くなった。一方、フェノール樹脂から残留したカーボンのみを還元状態で加熱した際には、質量変化の時間依存性はなく、マグネシアとフェノール樹脂起因のカーボンが共存することで質量減少が大きくなることが解った。なお、このマグネシア−カーボン煉瓦には高純度の電融マグネシアを使用しており、上記マグネシア粒子は劈開面をもつ。その劈開面はどれも同一の状態であると考えることができるので、焼成時間を変えることでマグネシア粒子の劈開面の状態変化を追跡した。その結果、時間とともに、劈開面の凸凹は大きくなり、また、その凸凹はフェノール樹脂添加量が多くなるほど大きくなることが解った。このようにマグネシア−カーボン反応が実際に起こっていることを確認することができた。換言すれば、フェノール樹脂量を低減することで、マグネシア−カーボン反応は抑制されることが確認できた。
また、低粘性のフェノール樹脂を用い、その添加量を少なくしたマグネシア−カーボン煉瓦と従来方式になるマグネシア−カーボン煉瓦を作成し耐食性試験を行い、両者の比較を行った。その結果、前者で耐食性の著しい向上を確認できた。
これらの知見を総合してマグネシア−カーボン煉瓦を作成し、実機で使用したところ、従来品にない高耐用を得ることができることを確認できた。
本発明は、かかる知見に基づきなされたものである。
即ち、本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦は、25℃における粘度が200〜1400mPa・sの範囲内にある有機バインダーを外掛けで0.5質量%以上、2.0質量%未満使用することを特徴とするものである。
ここで、有機バインダーの配合量は、外掛けで0.5質量%以上、2.0質量%未満、好ましくは0.8〜1.8質量%の範囲内である。有機バインダーの配合量が外掛けで0.5質量%未満であると、成形性が悪くなるために好ましくなく、また、外掛けで2.0質量%以上であると、マグネシア−カーボン反応を十分に抑制することができないために好ましくない。
また、有機バインダーの粘度は、25℃で200〜1400mPa・s、好ましくは300〜1200mPa・sの範囲内である。この粘度範囲にある有機バインダーを使用することにより、有機バインダー量を低減して、マグネシア−カーボン反応の原因となる有機バインダー起因の活性な炭素の生成を抑制することができる。ここで、有機バインダーの粘度が200mPa・s未満では、十分な残炭率が得られず、使用中における酸化が顕著になるために好ましくなく、また、1400mPa・sを超えると、有機バインダー量を上記範囲内とした際に十分な成形性が得られないために好ましくない。
ここで、本明細書に記載する「有機バインダー」とは、成形時には液体として存在して結合材として働き、キュアリングによって硬化し、高温で熱分解して一定量のカーボンが残留する有機物を指す。有機バインダーから残留するカーボンは活性であり、マグネシア−カーボン反応を促進するが、この活性の高い残留カーボンの量を極力少なくすることがマグネシア−カーボン反応を抑制し、高耐用のマグネシア−カーボン系煉瓦を提供するのである。有機バインダーとしては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、糖類の加水分解物、ピッチ、タールなどが利用できる。さらには、これらの2種以上の混合物であっても差し支えない。
また、有機バインダーには、エチルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、アセトン、ジオキサン、フェノール、アントラセン油、ガソリン、ケロシン、水などの溶媒やこれらの混合物を含んでいても差し支えない。有機バインダーを合成する際に、一般的には合成の過程でこれらの溶媒、混合物が共存、あるいは生成するので、それらを含んでいて差し支えない。更に、これらの溶媒を含有、あるいは添加することによって、上記範囲の粘性とした有機バインダーであっても差し支えない。
これらの有機バインダーの中でも、特に、フェノール樹脂、とりわけノボラック型フェノール樹脂はマグネシアによる樹脂硬化の影響を受けにくく、キュアリング・硬化後の強度が十分に高く、固定炭素分が多い、安価であるなどの理由で、最も好ましい。ノボラック型フェノール樹脂を使用した際、このままでは硬化しないので1/10程度の量のヘキサンを加えて加熱硬化させるのが一般的であるが、本発明においてもノボラック型フェノール樹脂を使用する場合は、ヘキサミンを添加する。ヘキサミンは固体であるため、その添加量は、有機バインダー量には含めないこととする。
固定炭素分は、有機バインダーを不活性雰囲気中で800℃、30分加熱した際に残留する炭素量の割合を示すものであるが、本発明に使用される有機バインダーの固定炭素分は、30〜70%、好ましくは、35〜60%の範囲内である。有機バインダーの固定炭素分の30%未満では、カーボン結合が十分でなく、使用中の酸化による劣化が起こりやすくなるために好ましくなく、また、70%を超えると、粘性を下げることが困難となるために好ましくない。
本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦において、マグネシアの含有量は、5〜97質量%、好ましくは10〜95質量%の範囲内であり、カーボンの含有量は、3〜55質量%、好ましくは5から25質量%の範囲内である。ここで、マグネシアの含有量が5質量%未満、またはカーボンの含有量が3質量%未満の場合は、マグネシア−カーボン反応は顕著でなく、上述のような有機バインダーを使用することは必ずしも効果的ではない。
なお、上述のような有機バインダーを使用すると共に、マグネシア−カーボン系煉瓦を構成する材料を高純度化することにより、耐食性を更に向上させることができる。マグネシ原料の純度は、92質量%以上、より好ましくは95質量%、更に好ましくは98質量%以上とすることが好ましい。マグネシア原料は、特には限定されるものではないが、供給源による分類では天然マグネシア、海水マグネシアがあり、処理方法として焼結マグネシアクリンカー、電融マグネシアクリンカーがあるが、それらのいずれも使用することができる。なお、特に、極めて高度な耐用が要求される場合、結晶粒径の大きい、高純度の電融マグネシアを使用することが好ましい。
また、カーボン原料の純度は、85質量%以上、より好ましくは92質量%、更に好ましくは97質量%以上とすることが好ましい。カーボン原料としては、例えば、鱗状黒鉛、土壌黒鉛、膨張黒鉛、人造黒鉛、コークス、無煙炭、キッシュグラファイト、電極屑などの黒鉛結晶の発達したカーボン原料や、カーボンブラック、無定形カーボンなどを使用することはできるが、土状黒鉛、膨張黒鉛、人造黒鉛、コークス、無煙炭、キッシュグラファイト、電極屑などを使用することが好ましい。なお、カーボン原料の粒度は、特に規限定されるものではなく、一般的なものが使用でき、例えば、上記黒鉛結晶の発達したカーボンにおいては0.010mm〜1.0mmのものが使用できる。また、粒度配合を考慮して、0.15mm〜0.4mmの粒子と、0.04〜0.025mmの粒子の量比を変えて適宜組み合わせて使用することもできる。
また、本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦において、原料の粒度配合は特には限定されるものではなく、例えば、カーボン原料以外の耐火骨材の粒度について、耐火骨材の全量を100質量%とした場合、粒径1mm以上の粗粒25〜50質量%、0.15〜1mmの中粒30〜45質量%、0.15mm以下の微粉5〜25質量%の粒度構成を選択することができる。また、20μm以下の超微粉を20質量%以下使用することができる。しかし、マグネシアの超微粉の使用は、マグネシア−カーボン反応を助長する恐れもあり、使用に際しては注意を要する。
更に、本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦には、金属等の添加物を添加することもできる。金属等の添加物は特定に限定されるものではないが、例えばAl、Mg、Si、Ca及びZrからかる群から選ばれる1種または2種以上からなる金属及びそれらの合金類を使用することができる。また、Al、Si、B及びZrからなる群から選ばれる1種または2種以上からなる元素の炭化物を使用することもできる。更に、CaB、ZrB、TiB、NdB、Si、BN,AlN、TiNなどからなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物を使用することもできる。これらの添加物の添加量は、外掛けで0〜6質量%、好ましくは0.5〜4質量%の範囲内である。
また、昇温中の軟化変形による応力緩和を目的として、粉末状のピッチや固体の樹脂類を添加することができる。ピッチや樹脂類の添加量は、外掛けで0〜4質量%、好ましくは0〜2質量%の範囲内である。ピッチや樹脂類は、熱分解し、活性な炭素を生成してマグネシア−カーボン反応を助長する恐れがあるため、ピッチ類や樹脂類を配合することにより得られる効果と、欠点を勘案して使用することが好ましい。
なお、本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦の具体的としては、例えば、マグネシア−カーボン煉瓦、マグネシア−カルシア−カーボン煉瓦、アルミナ−マグネシア−カーボン煉瓦などを挙げることができる。特に、マグネシア−カーボン煉瓦においては、上述のような有機バインダーを使用することによって顕著な効果を発揮できる。また、マグネシア−カルシア−カーボン煉瓦において、高耐用とするためには不純物はできるだけ少なく、実質的にマグネシアとカルシアとカーボンを構成要素とすることが良く、カルシアの量は20〜70質量%が好ましく、より好ましくは30〜55質量%である。また、アルミナ−マグネシア−カーボン煉瓦においても、高耐用とするためには不純物はできるだけ少なく、実質的にアルミナとマグネシアとカーボンを構成要素とすることが良く、アルミナの量は40〜90質量%が好ましく、より好ましくは40〜85質量%である。
本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦を 転炉などの高温で使用される金属精錬炉で使用する際には、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率を9.0%以下とすることが好ましく、8.0%以下とすることがより好ましい。1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率が9.0%を超えると、実機使用における耐食性が劣り、高耐用が得られないことがあるために好ましくない。これは上記気孔率が9.0%を超える状態では、マグネシア−カーボン反応を十分に抑制できないことを示すものである。
なお、「1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率」を規定した理由を以下に記載する:
マグネシア−カーボン系煉瓦の評価試験は、一般的に用いられる装置を用いて、比較的簡便に評価できることが好ましい。還元焼成は、マグネシア−カーボン系煉瓦の試験方法において、カーボンの酸化を抑える慣用の方法で、例えば、コークスブリーズ中で焼成される。一方、マグネシア−カーボン反応は高温で起こるため、できるだけ高温で焼成することが好ましいが、1550℃以上の高温を得られる炉は、通常得難く、これ以下の温度を採用することが好ましい。他方、低温、例えば、1400℃で還元焼成してもある程度の判定できるが、マグネシア−カーボン反応は顕著でなく、評価のための条件としては十分でない。1400℃で長時間(例えば、12時間以上)焼成することで明確な差を得ることが可能となるが、簡便さの面から優位ではない。そこで、気孔率評価のための試験条件として1500℃、3時間の還元焼成を選んだ。
また、「気孔率」を高耐用性を示す基準として選定した理由は以下の通りである:
マグネシア−カーボン系煉瓦が長時間高温環境下に曝された場合、その組織の安定性が重要となる。還元焼成後の気孔率を小さくすることで、耐食性が向上する。特に、高充填、低気孔率とすることが、転炉用などに使用される高耐用のマグネシア・カーボン系煉瓦には要求される。
1500℃、3時間の還元焼成後の気孔は、(1)耐火粒子間の空隙による気孔;(2)有機バインダーの分解によって形成される気孔;及び(3)高温でのマグネシア−カーボン反応によって新たに生成する気孔の3種類に分類される。前述のように、有機バインダー量を少なくすることで粒子の充填性は向上し、耐火粒子間の空隙を少なくすることができる。有機バインダー量を少なくすることで、有機バインダーの分解によって生成する気孔率は少なくなる。更に、マグネシア−カーボン反応によって、マグネシア粒子の表面部分が、MgOの蒸発によって失われ、粒子表面近傍で隙間が発生する。その隙間の生成量を気孔率によって評価できる。この高充填、低気孔率化することと、高温におけるマグネシア−カーボン反応の抑制を合わせて、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率によって評価し、基準とする。
なお、本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦を製造するにあたり、煉瓦を成形するための練り土の混合に使用する混合機は特に限定されるものではなく、例えばウエットパン、万能ミキサー、アイリッヒミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダーミキサー、ハイスピードミキサー、オムニミキサー等のミキサーを使用することができる。また、得られた練り土は、通常用いられるオイルプレス、フリクションプレス、静水圧プレス等のプレス機を用いて所定の形状に成形する。その際、真空脱気をすることで、より緻密な成形体を得ることが可能となる。また、有機バインダーの添加方法は特定されるものではなく、例えば混練時に耐火性粉末と同時に、有機バインダーを添加するなどの方法とすることができる。
本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦は、製鉄用の各種容器の内張、具体的には、各種の高炉用の樋、溶銑輸送用容器、溶銑装入用容器、転炉、取鍋、RH、DH,電気炉、タンディッシュ、各種のノズル、各種のランスなどに使用できる。また、これに限らず、1500℃以上の高温で処理される各種の精錬炉、灰溶融炉などにも適用可能である。
以下、実施例により本発明のマグネシア−カーボン系煉瓦を更に説明する。
実施例1
表1に記載する配合割合のマグネシア−カーボン系煉瓦について、各種の実験を行い、得られた結果を表1に併記する。なお、使用したマグネシア原料の純度は98.5質量%であり、黒鉛の純度は、99質量%である。また、ノボラック型フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂量の10質量%のヘキサミンを添加したものである。なお、ヘキサミンは固体であるため、その添加量は、ノボラック型フェノール樹脂の量には含めない。ここで、ノボラック型フェノール樹脂Aは、25℃での粘度が2000mPa・s、固定炭素分42%のものであり、ノボラック型フェノール樹脂Bは、25℃での粘度が900mPa・s、固定炭素分41%のものであり、ノボラック型フェノール樹脂Cは、25℃での粘度が600mPa・s、固定炭素分39%のものである。
混練はハイスピードミキサーを用いて通常方法で行い、成形は真空フリクションプレスを使用し、通常方法で行った。
Figure 2013180945
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本発明品1〜8及び比較品1〜9のマグネシア−カーボン系煉瓦について、キュアリング後の気孔率、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率並びに耐食性を評価した。キュアリングとは樹脂を硬化させるための熱処理を指し、キュアリング後の気孔率は、成形後の成形体を220℃で10時間キュアリングした後の気孔率であり、成形気孔率とほぼ同等であると評価した。
なお、気孔率の測定は、JIS 2205に準じて行い、耐食性試験は、塩基度2.5の転炉スラグを用いた1680℃、5時間の高周波炉内張り法によって行い、溶損面積を比較品1を100として指数で表し、数字が大きくなるほど、溶損面積が大きくなることを示す。
比較品1〜4は、本発明の範囲外のノボラック・フェノール樹脂Aの量と、各種特性との関係を調査したものである。ノボラック・フェノール樹脂Aの量を低減させるとキュアリング後の気孔率は上昇しており、これは成形気孔率が上昇したことを示す。なお、比較品4では、成形できるものの、やや成形が困難であった。比較品2〜比較品4では、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率は比較品1に比べて低下しており、溶損指数も低下した。比較品4は、成形がやや困難であったため、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率は上昇し、耐食性もやや増加した。
比較品5〜7並びに本発明品1〜5は、ノボラック型フェノール樹脂Bを用い、比較品5をベースに、ノボラック型フェノール樹脂Bの量を低下させたマグネシア−カーボン系煉瓦の結果である。ノボラック型フェノール樹脂の添加量が同一の場合、ノボラック型フェノール樹脂Aに比べてノボラック型フェノール樹脂Bを使用したマグネシア−カーボン系煉瓦のキュアリング後の気孔率は低下し、ノボラック型フェノール樹脂の粘度が低下すると、成形し易くなることが解る。ノボラック型フェノール樹脂Bを用いることで成形に必要な樹脂量は低下するが、0.4質量%(比較品7)では成形が著しく困難となった。しかし、ノボラック型フェノール樹脂量の低下に伴うキュアリング後の気孔率の増大は、ノボラック型フェノール樹脂Aを用いた場合と同様に認められた。1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率及び溶損指数は、比較例5から本発明品4へのノボラック型フェノール樹脂B量の低減によって低下した。なお、比較品6では、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率及び溶損指数の低下は十分ではなかった。更に、ノボラック型フェノール樹脂Bの量を低減すること(本発明品1〜本発明品5)、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率は9.0%以下に低下し、溶損指数も低下して90以下とすることができた。一方、ノボラック型フェノール樹脂Bの量を低減しすぎると(比較品7)、成形が困難になり1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率及び溶損指数は上昇した。
比較品8及び9並びに本発明品6〜8は、ノボラック・フェノール樹脂Cを用いたマグネシア−カーボン系煉瓦の結果である。ノボラック・フェノール樹脂の粘度を下げることで、成形が容易になることは変わりがないが、ノボラック・フェノール樹脂A、Bと同様に、ノボラック・フェノール樹脂量低減によるキュアリング後気孔率の上昇、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率及び溶損指数の低下が確認された。しかし、比較品8ではその効果が十分ではなく、また、比較品9では、成形が困難になるため、十分に効果を発揮できない。ノボラック・フェノール樹脂Cの使用においても、本発明品6〜本発明品8の優位性は明らかである。
比較品1と、本発明品2を、上底吹きの320t転炉の側壁部の特に損傷が大きくて寿命を決定する部位に使用し、実機における耐用性比較試験を行った。比較品1は従来の工程材でその平均損傷速度は0.29mm/ch(ただし、n=6)であったのに対して、本発明品2の平均損傷速度は0.23mm/ch(ただし、n=3)となり、21%損傷速度が低減した。その結果、転炉の耐用回数は増加し、耐火物原単位の低減ならびに耐火物コストにおいて約20%の低減を図ることができた。このように本発明の優位性は、実機での使用においても明らかである。
実施例2
表2に記載する配合割合のマグネシア−カーボン系煉瓦について、各種の実験を行い、得られた結果を表1に併記する。なお、使用したマグネシア原料の純度は97.0質量%であり、黒鉛の純度は、94.0質量%である。また、ノボラック型フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂量の10質量%のヘキサミンを添加したものである。なお、ノボラック型フェノール樹脂Aは、25℃での粘度が2000mPa・s、固定炭素分42%のものであり、ノボラック型フェノール樹脂Bは、25℃での粘度が900mPa・s、固定炭素分41%のものであり、ノボラック型フェノール樹脂Cは、25℃での粘度が600mPa・s、固定炭素分39%のものである。
混練はハイスピードミキサーを用いて通常方法で行い、成形は真空フリクションプレスを使用し、通常方法で行った。
Figure 2013180945
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評価は、実施例1と同一の条件で実施し、キュアリング後の気孔率、1500℃、3時間還元焼成後の気孔率並びに耐食性を評価した。耐食性については溶損面積で比較したが、実施例1に比較して使用したマグネシアとカーボンの純度が劣るため、溶損面積は増加した。使用したノボラック型フェノール樹脂の効果だけを取り出す方が分り易いため、溶損面積を比較例10を100とした指数で示した。
比較品10〜13は、本発明の範囲外のノボラック型フェノール樹脂Aの量と、各種特性との関係を調査したものである。ノボラック・フェノール樹脂Aの量を低減させるとキュアリング後の気孔率は上昇した。ノボラック・フェノール樹脂Aの量を2質量%低下させた比較品11は、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率及び溶損指数の低下が確認されたが十分な低下量ではなかった。ノボラック・フェノール樹脂Aの量が1.8質量%及び1.5質量%である比較品12及び比較品13では、成形が困難であった。
比較品14〜16及び本発明品9〜13は、ノボラック型フェノール樹脂Bを使用したマグネシア−カーボン系煉瓦の結果である。この場合、ノボラック型フェノール樹脂Aを使用した場合と比較して成形が容易となった。しかし、ノボラック型フェノール樹脂Bの量の低下によってキャリング後の気孔率が増大する傾向には変化が無かった。なお、比較品16は、成形が困難であった。1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率及び溶損指数は、ノボラック型フェノール樹脂Bの量の低下とともに低下する傾向にあったが、比較品15)では、その効果が十分ではなかった。一方、本発明品13まで低下すると1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率及び溶損指数はやや上昇する傾向があり、比較品16では、上昇が著しく好ましくない。このように本発明品9〜13の優位性は明らかである。
比較品17及び18並びに本発明品14〜16は、ノボラック型フェノール樹脂Cを使用したマグネシア−カーボン系煉瓦の結果である。ノボラック型フェノール樹脂の粘度を下げることで、成形が容易になることは変わりがないが、ノボラック型フェノール樹脂A、Bと同様に、ノボラック型フェノール樹脂C量低減によるキュアリング後気孔率の上昇、1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率及び溶損指数の低下が確認された。しかし、比較品17ではその効果が十分ではなく、また、比較品18では、成形が困難になるため、十分に効果を発揮できないものであった。ノボラック型フェノール樹脂Cの使用においても、本発明品14〜16の優位性は明らかであった。
290t溶鋼取鍋スラグライン部において、比較品10と、本発明品10の耐用性ついて比較試験を行った。比較品10の平均寿命は117chであったのに対して本発明品10の平均寿命は135chにまで増加し、約15%の耐用性向上が認められた。このように本発明品10の優位性は明らかである。

Claims (2)

  1. マグネシア及びカーボンを含有してなる不焼成煉瓦において、25℃における粘度が200〜1400mPa・sの範囲内にある有機バインダーを外掛けで0.5質量%以上、2.0質量%未満配合することを特徴とするマグネシア−カーボン系煉瓦。
  2. 1500℃、3時間の還元焼成後の気孔率が9.0%以下である、請求項1記載のマグネシア−カーボン系煉瓦。
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