JP2024062775A - アルミナ-カーボン質耐火物および浸漬ノズル - Google Patents

アルミナ-カーボン質耐火物および浸漬ノズル Download PDF

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Abstract

【課題】浸漬ノズルのスラグラインの耐久性を向上する。【解決手段】浸漬ノズル1の内孔用のアルミナ-カーボン質耐火物であって、カーボン原料を25質量%以上35質量%以下、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が106μmを超えるアルミナ原料である第一アルミナ原料を30質量%以上45質量%以下、粒径が20μm以下のアルミナ原料である第二アルミナ原料を15質量%以上30質量%以下、および、粒径が100μm以下である金属シリコン原料を0.5質量%以上3.0質量%以下、含むアルミナ-カーボン質耐火物。【選択図】図1

Description

本発明は、浸漬ノズルの内孔用のアルミナ-カーボン質耐火物、および、当該アルミナ-カーボン質耐火物を用いた浸漬ノズル、に関する。
鋼の連続鋳造工程において、溶鋼をタンディッシュからモールドへ安定的に導入するため、浸漬ノズルの耐火物が使用されている。浸漬ノズルの使用寿命は、鋼連続鋳造の生産性および鋼鋳片の品質に大きな影響を与える。
モールド内において溶鋼が大気と接触して酸化することを防ぐため、鋳造中の溶鋼の湯面をカルシア―シリカ系のパウダースラグで覆う手法が汎用される。パウダースラグと接触する浸漬ノズルの部位(スラグライン)は、溶鋼と溶融スラグとの両方から浸食作用を受けるので、溶損が速い。したがって、スラグラインの耐食性が、ノズル全体の使用寿命を左右しうる。
浸漬ノズル用材料として、通常、ノズルの本体および浸漬部にアルミナ-カーボン質の耐火物が使用されるが、スラグラインには耐食性が比較的高いジルコニア-カーボン質の耐火物が適用される場合がある。カーボンは自身の熱膨張率が低く、ノズルに十分な耐スポーリング性を付与する役割がある。
浸漬ノズル用アルミナ-カーボン材質に関連して、特開2003-145265号公報(特許文献1)には、ノズル本体の少なくとも内周面部分に、化学組成でアルミナが80~90質量%、マグネシアが5~10質量%、シリカが1~10質量%、および炭素成分として3~10質量%を配合してなる耐火材が配設された鋳造用浸漬ノズルであって、前記アルミナ100質量%に対して、粒度10μm以下のアルミナ微粉末15~30質量%を含み、前記マグネシアは、粒度30μm以下のマグネシア微粉末を配合してなる耐火材が配設されることを特徴とする鋳造用浸漬ノズルが提案されている。
また、特開平10-34295号公報(特許文献2)には、アルミナ含有量99重量%以上のアルミナクリンカーを主成分とし、アルミナ含有量が70重量%以上、カーボン含有量が1重量%未満、シリカ含有量が1重量%以上の耐火物組成を有し、しかも、0.21mm以下の粒度の素材が20~70%を占める粒度構成となった連続鋳造用ノズル内孔体が提案されている。
特開2003-145265号公報 特開平10-34295号公報
しかし、特許文献1および2の技術を含む従来の浸漬ノズルは、特に鋳造速度が速い場合においてスラグラインの耐久性が不足し、折損する場合があった。
そのため、浸漬ノズルのスラグラインの耐久性を向上しうる、浸漬ノズルの内孔用のアルミナ-カーボン質耐火物、および、浸漬ノズルの実現が望まれる。
本発明に係るアルミナ-カーボン質耐火物は、浸漬ノズルの内孔用のアルミナ-カーボン質耐火物であって、カーボン原料を25質量%以上35質量%以下、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が106μmを超えるアルミナ原料である第一アルミナ原料を30質量%以上45質量%以下、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が20μm以下のアルミナ原料である第二アルミナ原料を15質量%以上30質量%以下、および、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が100μm以下である金属シリコン原料を0.5質量%以上3.0質量%以下、含むことを特徴とする。
また、本発明に係る浸漬ノズルは、内孔と吐出口とを有する浸漬ノズルであって、カーボン原料を25質量%以上35質量%以下、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が106μmを超えるアルミナ原料である第一アルミナ原料を30質量%以上45質量%以下、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が20μm以下のアルミナ原料である第二アルミナ原料を15質量%以上30質量%以下、および、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が100μm以下である金属シリコン原料を0.5質量%以上3.0質量%以下、含むアルミナ-カーボン質耐火物が前記内孔に面して配置されている補強部分を備えることを特徴とする。
本発明者は、鋭意検討を行い、浸漬ノズルの内孔に緻密性が高く、かつ高温環境下においてもその緻密性が損なわれにくいアルミナ-カーボン質耐火物を配置することで、高温環境下における耐火物から溶鋼へのガスの移動を阻害し、これによって耐火物の劣化を防ぎうることを見いだした。上記のアルミナ-カーボン質耐火物の構成は、緻密性に関する上記の作用効果を奏する構成を、本発明者らが初めて見出したものである。また、上記の浸漬ノズルの構成は、当該アルミナ-カーボン質耐火物を用いて補強された浸漬ノズルを提供するものである。
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
本発明に係るアルミナ-カーボン質耐火物は、一態様として、前記第一アルミナ原料、前記第二アルミナ原料、ならびに、前記第一アルミナ原料および前記第二アルミナ原料のいずれにも該当しないアルミナ原料である第三アルミナ原料、の含有量が合計で、55質量%以上75質量%であることが好ましい。
この構成によれば、耐火物の高温における緻密性を必要な水準に確保しやすい。
本発明に係るアルミナ-カーボン質耐火物は、一態様として、カーボン原料、アルミナ原料、および金属シリコン原料以外の成分の含有量が15質量%以下であることが好ましい。
この構成によれば、耐火物の緻密性が特に高くなりやすい。
本発明に係る浸漬ノズルは、一態様として、前記補強部分の外周側に、ジルコニア-カーボン質耐火物が配置されていることが好ましい。
この構成によれば、補強部分の外周側に耐食性が高いジルコニア-カーボン質耐火物を配置して、パウダースラグによる侵食を抑えることができる。また、当該ジルコニア-カーボン質耐火物の内周側に配置したアルミナ-カーボン質耐火物の作用によって、ジルコニア-カーボン質耐火物の分解により生じる一酸化炭素が溶鋼に溶解することを防ぎ、ジルコニア-カーボン質耐火物の分解反応を抑制できるので、ジルコニア-カーボン質耐火物が劣化しにくい。以上の作用により、浸漬ノズルの寿命を延長しうる。
本発明に係る浸漬ノズルは、一態様として、鋳造速度が毎分2m以上の鋳造に使用されることが好ましい。
鋳造速度が毎分2m以上であると、従来の浸漬ノズルを用いると折損が生じやすいため、本発明を用いる利益が特に大きい。
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
実施形態に係る浸漬ノズルの使用状態を表す縦断面図である。 実施形態に係る浸漬ノズルの横断面図(図1のII-II線における断面図)である。 模擬試験片の縦断面図である。 模擬試験片の横断面図(図3のIV-IV線における断面図)である。
本発明に係る浸漬ノズルの内孔用のアルミナ-カーボン質耐火物および浸漬ノズルの実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る浸漬ノズル1は、内孔2と吐出口3とを有し、内孔2に面して本実施形態に係るアルミナ-カーボン質耐火物が配置されている補強部分4を有する(図1、図2)。すなわち本実施形態に係るアルミナ-カーボン質耐火物は、内孔2を流通する溶鋼に接触する環境で使用される。
〔アルミナ-カーボン質耐火物の構成〕
本実施形態に係るアルミナ-カーボン質耐火物(以下では単に「耐火物」と称する場合がある。)は、必須成分として、カーボン原料、アルミナ原料、および金属シリコン原料を含む。また、後述する任意成分を含みうる。
(カーボン原料)
本実施形態に係る耐火物は、カーボン原料を25質量%以上35質量%以下含む。カーボン原料の含有量が25質量%以上であると、耐火物が溶鋼に接した際の膨張が生じにくいので、当該膨張による耐火物の緻密性の低下を抑制できる。また、カーボン原料の含有量が35質量%以下であると、耐火物から溶鋼へのカーボンの溶出が生じにくいので、当該溶出による耐火物の緻密性の低下を抑制できる。
カーボン原料の種類は特に限定されず、各種の黒鉛、カーボンブラック、ピッチ、および樹脂炭などの公知のカーボン原料でありうる。また、カーボン原料は、単一種類のカーボン原料であってもよいし、複数種類のカーボン原料の混合物であってもよい。カーボン原料が混合物である場合、複数種類のカーボン原料の含有量の合計量が、25質量%以上35質量%以下である。
カーボン原料としては、たとえば粒径0.3mm以下のカーボン原料を使用しうるが、これに限定されず、耐火物原料として通常使用されるカーボン原料を使用できる。なお、カーボン原料の粒径および粒度分布は、JIS Z 8801-1:2019に従って決定されうる。
カーボン原料の純度は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましい。
(アルミナ原料)
本実施形態に係る耐火物は、アルミナ原料を含む。アルミナ原料はJIS Z 8801-1:2019に従って分級され、粒径が106μmを超える第一アルミナ原料、粒径が20μm以下の第二アルミナ原料、ならびに、第一アルミナ原料および第二アルミナ原料のいずれにも該当しない第三アルミナ原料、に区分される。すなわち第三アルミナ原料は、粒径が20μmを超え106μm以下の成分である。なお、第一アルミナ原料の最大粒径(アルミナ原料の最大粒径でもある。)は特に限定されないが、たとえば1mm程度でありうる。また、第二アルミナ原料の最小粒径(アルミナ原料の最小粒径でもある。)は特に限定されない。
アルミナ原料の含有量(すなわち、第一アルミナ原料、第二アルミナ原料、および第三アルミナ原料の含有量の合計)は、55質量%以上75質量%以下であることが好ましい。アルミナ原料の含有量が55質量%以上であると、耐火物の高温における緻密性を必要な水準に確保しやすい。また、アルミナ原料の含有量が75質量%以下であることは、カーボン原料の含有量を25質量%以上とするために必要である。
本発明者らは、第一アルミナ原料の含有量が30質量%以上45質量%以下であり、第二アルミナ原料の含有量が15質量%以上30質量%以下である場合に、溶鋼に接する際の高温環境下においても耐火物の緻密性が維持されることを見出した。その作用機序は完全には定かではないが、粒径が106μmを超える第一アルミナ原料と粒径が20μm以下の第二アルミナ原料とが適度に組み合わされていることによって、従来の耐火物に比べて原料間粒子の気孔を減らすことができているためだと推察される。なお、ここでいう第一アルミナ原料および第二アルミナ原料の含有量は、耐火物全体の質量に対する比率である。
アルミナ原料の種類は特に限定されず、電融品や焼結品などの公知のアルミナ原料でありうる。また、アルミナ原料は、単一種類のアルミナ原料であってもよいし、複数種類のアルミナ原料の混合物であってもよい。アルミナ原料が混合物である場合、当該混合物を分級したものとして、上記の第一アルミナ原料、第二アルミナ原料、および第三アルミナ原料が規定される。すなわち、第一アルミナ原料、第二アルミナ原料、および第三アルミナ原料のそれぞれが、複数種類のアルミナ原料の混合物となる。
アルミナ原料の純度は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましい。
(金属シリコン原料)
本実施形態に係る耐火物は、金属シリコン原料を0.5質量%以上3.0質量%以下含む。耐火物が金属シリコン原料を含む場合、アルミナ原料と金属シリコンとが関与する高温反応によって原料粒子間の気孔が減少し、これによって耐火物の緻密性が向上するが、この効果が最大に得られる金属シリコン原料の含有量の範囲が上記の0.5質量%以上3.0質量%以下である。
本実施形態に係る耐火物において、金属シリコン原料の、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径は、100μm以下である。金属シリコン原料の粒径が上記の範囲にある場合に、耐火物の緻密性が特に向上する。
アルミナ原料の純度は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましい。
(任意成分)
本実施形態に係る耐火物は、上述のカーボン原料、アルミナ原料、および金属シリコン原料の他の成分(任意成分)を含みうる。かかる任意成分としては、炭素、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、タングステン、モリブデン、およびホウ素などの、単体、合金、酸化物、炭化物、ホウ化物、および窒化物などが例示される。典型的な任意成分としては、二酸化ケイ素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭化ケイ素(SiC)、ホウ化炭素(BC)、などが例示されるが、これらに限定されない。
本実施形態に係る耐火物において、任意成分の含有量が、15質量%以下であることが好ましい。カーボン原料、アルミナ原料、および金属シリコン原料の含有量の合計が85質量%以上であることが好ましい、ともいえる。これは、本実施形態に係る耐火物が有する、緻密性が高く、かつ当該緻密性が維持されやすいという性質の発現に寄与するのはこれらの三成分であり、これらの成分が耐火物の一定以上の割合を示すときに上記の性質が特に発現しやすいためである。
〔浸漬ノズルの構成〕
次に、本実施形態に係る浸漬ノズル1について説明する。前述の通り、浸漬ノズル1は、内孔2と吐出口3とを有し、内孔2に面して本実施形態に係るアルミナ-カーボン質耐火物が配置されている補強部分4を備える(図1、図2)。また、補強部分4の外周側には、ジルコニア-カーボン質耐火物が配置されている。以下の説明では、補強部分4の内周側を内周側4aと称し、外周側を外周側4bと称する。補強部分4は、いわゆるスラグラインである。
浸漬ノズル1の補強部分4以外の部分は、アルミナ-カーボン質耐火物により構成されうる。このアルミナ-カーボン質耐火物は、本実施形態に係るアルミナ-カーボン質耐火物であってもよいし、従来の一般的なアルミナ-カーボン質耐火物であってもよい。いずれにせよ、熱膨張率が低いカーボンを配合した耐火物を用いることで、浸漬ノズル1に対して高い耐スポーリング性を付与できる。
また、浸漬ノズル1の補強部分4以外の部分は、アルミナ-カーボン質耐火物以外の耐火物により構成されていてもよい。かかる耐火物としては、スピネル-カーボン質耐火物、マグネシア-カーボン質耐火物、および、マグネシア-スピネル-カーボン質耐火物、などの公知の耐火物が例示される。
なお、補強部分4以外の部分の全部が同一の材料により構成されている必要はない。たとえば、補強部分4および浸漬部(補強部分4より先端側の部分)が本実施形態に係るアルミナ-カーボン質耐火物により構成され、補強部分4より基端側の部分が従来の一般的なアルミナ-カーボン質耐火物により構成されていてもよい。
使用状態の浸漬ノズル1は基端側において、スライドプレート6を介してタンディッシュ5に接続される。また、浸漬ノズル1の遠端側(図1下側)は、モールド7に挿入されている。溶鋼Mは、タンディッシュ5、スライドプレート6、浸漬ノズル1の順に経由して、浸漬ノズル1の吐出口3からモールド7内に吐出される。モールド7内においては、溶鋼Mが大気と接して酸化することを防ぐ等の目的で、溶鋼Mの湯面がパウダースラグSで覆われている。パウダースラグSとしては、カルシア―シリカ系のものが汎用されるが、これに限定されない。
使用状態において、補強部分4の外周側4bがパウダースラグSに接するように、浸漬ノズル1とモールド7との位置関係が調整される。外周側4bは、溶鋼MおよびパウダースラグSの双方と接することになるので、浸漬ノズル1の他の箇所に比べて溶損しやすい環境にある。そこで本実施形態では、耐食性に優れるジルコニア-カーボン質耐火物を外周側4bに配置することによって、パウダースラグSに接する外周側4bの溶損を抑制している。
ジルコニア-カーボン質耐火物は、高温環境下において以下の式(1)に表される反応を生じる。
ZrO(固体)+3C(固体) → ZrC(固体)+2CO(気体) (1)
式(1)の反応により炭化ジルコニウム(ZrC)が生じるが、この炭化ジルコニウムは、酸化ジルコニウム(ZrO)に比べて焼結しにくい。また同時に、耐火物に耐スポーリング性を付与する役割を果たすカーボン(C)が失われる。さらに、失われるカーボンの一部が一酸化炭素(CO)として耐火物自体から離脱するので、耐火物の組織が多孔化する。以上の理由により、式(1)の反応により耐火物の強度が低下する。そのため従来の浸漬ノズルでは、パウダースラグSに接する箇所に配したジルコニア-カーボン質耐火物の劣化に起因してノズルが折損しやすいという課題があった。
式(1)の反応は、反応生成物の一酸化炭素が除去される条件下において加速される。式(1)の反応により生じた一酸化炭素は、内周側4aを経由して、内孔2を流れる溶鋼Mに達し、溶鋼Mに溶解して流出する。このような経路で一酸化炭素が除去されることから、溶鋼Mの流速を早くすると、一酸化炭素が除去されやすくなり、式(1)の反応が促進される。そのため従来の浸漬ノズルでは、鋳造速度を早くした場合に、上述の折損の問題が特に顕著だった。
本実施形態に係る浸漬ノズル1では、従来のものに比べて緻密性が高く、かつ、高温環境下においてもその緻密性が維持されやすいアルミナ-カーボン質耐火物を内周側4aに配置しているので、式(1)の反応により生じた一酸化炭素が、内周側4a内を拡散しにくい。そのため、一酸化炭素が内孔2を流れる溶鋼Mに到達しにくく、一酸化炭素が係中から除去されにくい。これによって、従来の材料を内周側4aに配置した場合に比べて式(1)の反応を抑制できるので、外周側4bのジルコニア-カーボン質耐火物が劣化しにくい。
浸漬ノズル1の寸法は特に限定されないが、たとえばその外径は100mm以上200mm以下でありうる。また、溶鋼Mの流路を十分に確保して流通量を大きくする観点から、内孔2の直径は50mm以上150mm以下でありうる。同様に、溶鋼Mの流路を確保する観点から、浸漬ノズル1の肉厚は10mm以上50mm以下でありうる。補強部分4の肉厚は、浸漬ノズル1の他の部分の肉厚と同様に5mm以上50mm以下であってよい。
内周側4aの肉厚は5mm以上10mm以下でありうる。内周側4aの肉厚が5mm以上であると、式(1)の反応により生じた一酸化炭素が内孔2を流れる溶鋼Mに到達することを防ぎやすいので、浸漬ノズル1の折損を防止しやすい。また、内周側4aの肉厚が10mm以下であると、浸漬ノズル1の寸法が当分野において使用される頻度が高い寸法範囲にある前提条件のもとで、外周側4bの肉厚および内孔2の直径を確保しやすいため、浸漬ノズル1の強度を損なうことなく溶鋼Mの流通量を大きくしやすい。
以上の特徴により、本実施形態に係る浸漬ノズル1は、特に鋳造速度が速い鋳造(高速鋳造)への適性が高い。本実施形態に係る浸漬ノズル1が使用される際の鋳造速度は特に限定されないが、たとえば鋳造速度が毎分2m以上であると、従来の浸漬ノズルを用いると折損が生じやすいため、本実施形態に係る浸漬ノズル1を用いる利益が特に大きい。
〔浸漬ノズルの製造方法〕
本実施形態に係る浸漬ノズル1は、この種の浸漬ノズル1を製造する際に適用される従来の製造方法において、補強部分4の内周側4aに本実施形態に係るアルミナ-カーボン質耐火物を使用することで得られうる。本実施形態に係る浸漬ノズル1の製造方法は、典型的には、混合工程、成形工程、および焼成工程を有する。
混合工程は、浸漬ノズル1の各部を構成する耐火物の原料を混合する工程である。たとえば、補強部分4の内周側4aに供するアルミナ-カーボン質耐火物の原料として、カーボン原料25質量%以上35質量%以下、第一アルミナ原料30質量%以上45質量%以下、第二アルミナ原料15質量%以上30質量%以下、金属シリコン原料0.5質量%以上3.0質量%以下、の質量割合になるように各原料を秤量し、これらを混合する。原料を混合する方法は、複数種類の粉体を均一に混合しうる方法である限りにおいて特に限定されず、たとえば、各原料をミキサーに入れて当該ミキサーの撹拌羽根を駆動して混ぜる方法などが例示される。なお、任意成分を含むアルミナ-カーボン質耐火物を用いる場合は、本工程において任意成分を混合する。また、次の成形工程に用いるバインダーを併せて混合してもよい。
本実施形態では、浸漬ノズル1の部位ごとに異なる耐火物を使用するので、部位ごとの耐火物を与える混合物をそれぞれ製造する。
成形工程は、混合工程で得られた混合物を成形して、所望の形状の浸漬ノズル1を成形する工程である。成形工程において浸漬ノズル1を成形する方法としては公知の方法を適用でき、典型的には、混合物の秤量、混練、成形、乾燥、焼成、および加工などの手順を含みうる。当該方法は、概して、混合物を型に入れて所望の形状を形成する予備成形ステップ(秤量、混練、成形、乾燥)と、予備成形された混合物を焼成する焼成ステップ(焼成、加工)と、を含みうる。本実施形態では、浸漬ノズル1の部位ごとに異なる耐火物を使用するので、成形の段階で、部位ごとに用いる耐火物に対応した混合物(混合工程で製造したもの。)を配置する。
予備成形ステップにおいて用いるバインダーとしては、公知のものを使用できる。かかるバインダーとしては、フェノール樹脂、フラン樹脂、ピッチ、およびタールなどの有機質バインダー、ならびに、リン酸塩およびケイ酸塩などの無機バインダー、を例示できる。
また、予備成形ステップにおいて浸漬ノズルの形状を形成する際に用いられる成形方法としては、たとえば冷間静水等方圧プレス(CIP成形)などの成形方法を利用できる。
焼成ステップにおける焼成条件は、特に限定されない。たとえば、焼成雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気、還元雰囲気、および不活性雰囲気などから適宜選択されうる。また、焼成温度も特に限定されず、たとえば700℃以上1200℃以下でありうる。
〔その他の実施形態〕
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
以下では、実施例を示して本発明をさらに説明する。ただし、以下の実施例は本発明を限定しない。
〔模擬試験片による評価〕
(1)試験方法
円柱状の試験片8(図3および図4)を作成した。試験片8の外側8aをアルミナ-カーボン質耐火物とし、内側8bをジルコニア-カーボン質耐火物とした。試験片8の直径を40mmとし、高さを150mmとした。内側8bの直径を30mmとし、高さを140mmとした。すなわち、外側8aの肉厚を、試験片8の底面部分において10mmとし、側面部分において5mmとした。
外側8aに用いたアルミナ-カーボン質耐火物の構成は、実施例および比較例の例ごとに異なるものとした。詳細を後掲の表に示す。なお、いずれの例においても、原料としたアルミナ原料の粒径を1mm以下とした。また、金属シリコン原料は、比較例9および10においてのみ粒径が100μmを超えるものを用い、その他の例では粒径が100μm以下のものを用いた。
内側8bに用いたジルコニア-カーボン質耐火物は、実施例および比較例のすべての例において、ジルコニア88質量%およびカーボン12質量%を含むものとした。
耐火物製の容器に25kgの鋼を投入し、これを容器ごと電気炉で1560℃に加熱して溶鋼を作成した。実施例および比較例の各例について、試験片8の下端から100mm分を溶鋼に浸漬した状態で、試験片8を200rpmで回転させた。1時間後、回転を停止して試験片8を溶鋼から引き上げたのちに室温まで冷却した。冷却後の各試験片8を、軸心Xに沿う平面で切断した。下端から50mmの高さ位置から、外側8a(アルミナ-カーボン質耐火物)および内側8b(ジルコニア-カーボン質耐火物)の観察用試料を得た。各観察試料を精密研磨したのちに、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。
(2)評価方法
(緻密性の評価)
外側8a(アルミナ-カーボン質耐火物)の観察用試料について、緻密性を評価した。電子顕微鏡の観察像において耐火物部分と気孔部分とを区別した上で、気孔部分の面積割合に基づいて以下の三水準に区分した。ただし、今回試験を行った実施例および比較例の範囲では、B水準に該当する例はなかった。
A:気孔部分の面積割合が20%以下である。
B:気孔部分の面積割合が20%を超えて40%以下である。
C:気孔部分の面積割合が40%を超える。
(炭化ジルコニウムの生成状態の評価)
内側8b(ジルコニア-カーボン質耐火物)の観察用試料について、炭化ジルコニウムの生成状態を評価した。具体的には、走査型電子顕微鏡による組織の形態観察および定量分析に基づいて、炭化ジルコニウムの有無を判断した。
A:炭化ジルコニウムの生成が認められない。
B:炭化ジルコニウムの生成が認められる。
(3)結果
実施例および比較例の各例における外側8a(アルミナ-カーボン質耐火物)の構成、ならびに、緻密性および炭化ジルコニウムの生成状態の評価結果について、表1~表5に示す。
カーボン原料の含有量が異なる五つの例の比較を表1に示す。カーボン原料の含有量が25質量%以上35質量%以下である実施例1~3では、外側8aの緻密性が高く、かつ、内側8bにおける炭化ジルコニウムの生成が見られなかった。一方、カーボン原料の含有量が過小の比較例1および過大の比較例2では、外側8aに気孔部分が多く見られ、かつ、内側8bにおける炭化ジルコニウムの生成が見られた。
表1:カーボン原料の含有量が異なる例の比較
Figure 2024062775000002
第一アルミナ原料の含有量が異なる六つの例の比較を表2に示す。なお、アルミナ原料の総量は、いずれの例においても72質量%とした。第一アルミナ原料の含有量が30質量%以上45質量%以下である実施例4~7では、外側8aの緻密性が高く、かつ、内側8bにおける炭化ジルコニウムの生成が見られなかった。一方、第一アルミナ原料の含有量が過小の比較例3および過大の比較例4では、外側8aに気孔部分が多く見られ、かつ、内側8bにおける炭化ジルコニウムの生成が見られた。
表2:第一アルミナ原料の含有量が異なる例の比較
Figure 2024062775000003
第二アルミナ原料の含有量が異なる六つの例の比較を表3に示す。なお、アルミナ原料の総量は、いずれの例においても71質量%とした。第二アルミナ原料の含有量が15質量%以上30質量%以下である実施例8~11では、外側8aの緻密性が高く、かつ、内側8bにおける炭化ジルコニウムの生成が見られなかった。一方、第二アルミナ原料の含有量が過小の比較例5および過大の比較例6では、外側8aに気孔部分が多く見られ、かつ、内側8bにおける炭化ジルコニウムの生成が見られた。
表3:第二アルミナ原料の含有量が異なる例の比較
Figure 2024062775000004
金属シリコン原料の含有量および粒径が異なる八つの例の比較を表4に示す。金属シリコン原料の粒径が100μm以下であり、かつ含有量が0.5質量%以上3.0質量%以下である実施例12~15では、外側8aの緻密性が高く、かつ、内側8bにおける炭化ジルコニウムの生成が見られなかった。一方、第二アルミナ原料の含有量が過小の比較例7および過大の比較例8、ならびに、金属シリコン原料の粒径が100μmを超える比較例9および10では、外側8aに気孔部分が多く見られ、かつ、内側8bにおける炭化ジルコニウムの生成が見られた。
表4:金属シリコン原料の含有量および粒径が異なる例の比較
Figure 2024062775000005
任意成分の種類および含有量が異なる三つの例の比較を表5に示す。少なくとも、任意成分の含有量を15質量%以下とした実施例16~18の限度では、他の実施例と同様に、外側8aの緻密性が高く、かつ、内側8bにおける炭化ジルコニウムの生成が見られなかった。
表5:金属シリコン原料の含有量および粒径が異なる例の比較
Figure 2024062775000006
本発明は、たとえば鋼の連続鋳造に利用できる。
1 :浸漬ノズル
2 :内孔
3 :吐出口
4 :補強部分
4a :内周側
4b :外周側
M :溶鋼
S :パウダースラグ

Claims (6)

  1. 浸漬ノズルの内孔用のアルミナ-カーボン質耐火物であって、
    カーボン原料を25質量%以上35質量%以下、
    JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が106μmを超えるアルミナ原料である第一アルミナ原料を30質量%以上45質量%以下、
    JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が20μm以下のアルミナ原料である第二アルミナ原料を15質量%以上30質量%以下、および、
    JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が100μm以下である金属シリコン原料を0.5質量%以上3.0質量%以下、含むアルミナ-カーボン質耐火物。
  2. 前記第一アルミナ原料、前記第二アルミナ原料、ならびに、前記第一アルミナ原料および前記第二アルミナ原料のいずれにも該当しないアルミナ原料である第三アルミナ原料、の含有量が合計で、55質量%以上75質量%である請求項1に記載のアルミナ-カーボン質耐火物。
  3. カーボン原料、アルミナ原料、および金属シリコン原料以外の成分の含有量が15質量%以下である請求項1または2に記載のアルミナ-カーボン質耐火物。
  4. 内孔と吐出口とを有する浸漬ノズルであって、
    カーボン原料を25質量%以上35質量%以下、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が106μmを超えるアルミナ原料である第一アルミナ原料を30質量%以上45質量%以下、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が20μm以下のアルミナ原料である第二アルミナ原料を15質量%以上30質量%以下、および、JIS Z 8801-1:2019に従って決定される粒径が100μm以下である金属シリコン原料を0.5質量%以上3.0質量%以下、含むアルミナ-カーボン質耐火物が前記内孔に面して配置されている補強部分を備える浸漬ノズル。
  5. 前記補強部分の外周側に、ジルコニア-カーボン質耐火物が配置されている請求項4に記載の浸漬ノズル。
  6. 鋳造速度が毎分2m以上の鋳造に使用される請求項4または5に記載の浸漬ノズル。
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