JP4734180B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
通常、浸漬ノズルは、その内外層で曝される環境が異なるため、内外層には別材質の耐火物が使われ、また、モールド湯面上に浮遊するスラグからパウダーライン部を保護するためにも、パウダーライン部には別材質の耐火物が用いられている。
この特許文献1に記載のCaO−MgO−黒鉛含有耐火物では、溶融金属に含まれるAl2O3が析出してノズル内周部に堆積しようとしたとき、当該耐火物中のCaOと堆積したAl2O3とが反応して低融点物質を形成する。これにより、Al2O3がノズル内周部に堆積せずに順次溶融金属で洗い流されることになり、ノズル内周部への析出物の付着を防止できる。
この特許文献2に記載のスピネル−ペリクレース−黒鉛系の耐火物では、溶融金属が流れて当該耐火物が高温環境下に曝されることにより、当該耐火物中のMg成分とO成分あるいはCO成分とが反応して、当該耐火物表面に緻密なMgO層が生成される。このMgO層は、気孔率が略ゼロに近く非常に緻密な組織を有するため、溶融金属中のAl2O3介在物がMgO層の上に付着することが少ない。これにより、ノズル内周部への析出物の付着を防止できる。
このような予熱法としては、例えば図4に示すようにバーナー100により燃焼ガスを吹き付けるものが考えられる。
また、浸漬ノズルの外周を電熱器で囲み伝熱・輻射により加熱する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、バーナーによる予熱の場合、予熱に要する時間が長く、かつ、燃焼ガスより生じる酸化性雰囲気により、耐火物中のC成分が酸化によりCOガスあるいはCO2ガスとなって消失してしまう。このため、耐火物中に大径の気孔が形成されて、鋳造工程において当該気孔内に溶融金属が侵食し易くなり、溶損が進行し易くなってしまう問題がある。
マグネシア、スピネルおよびドロマイトクリンカーは、通常、添加できる石状のものが原料として用いられる。
マグネシアであれば、主成分としてMgOを90質量%以上と不可避な不純物を10質量%以下含むもの、より好ましくはMgOを95質量%以上と不可避な不純物を5質量%以下含むものをいう。
スピネルはAl2O3・MgOを90質量%以上と不可避な不純物を10質量%以下含むもの、より好ましくはAl2O3・MgOを95質量%以上と不可避な不純物を5質量%以下含むものをいう。
ドロマイトクリンカーは天然ドロマイトを高温焼成した、MgOおよびCaOの焼結体を主成分とするものをいう。
フリーカーボンは、例えば通常鱗状黒鉛、電極屑、無煙炭、土状黒鉛等の添加黒鉛の他、バインダが焼成した際に残留した炭素分をも含む。
このような浸漬ノズルは、例えば、各種無機物、鱗状黒鉛とバインダとしてのフェノール樹脂などを混練したものを、CIP法などにて所定の形状に成形し、これを還元焼成することにより形成される。
なお、スピネルとドロマイトクリンカーとの組み合わせは、スピネル中のAl2O3とドロマイトクリンカー中のCaOとで低融点物質を形成するため不適である。
また、高周波誘導加熱によれば、従来のように燃焼ガスを使用せずに短時間で予熱を完了できるので、耐火物中のフリーカーボンの消失が少なく、溶融金属によるノズル内周部の溶損速度を低減できる。
また、ドロマイトクリンカーを使用してノズルを形成した場合、ドロマイトクリンカー中のCaOと溶融金属に含まれるAl2O3とで低融点物質を形成するので、Al2O3介在物がノズル内周部に付着することを防止できる。さらにこの場合、耐火物中で当該低融点化合物が形成された後、耐火物中に残存したMgO粒子同士が合体・粗大化して比較的融点の高い反応生成物を形成し、これにより、ノズル内周部の溶損を抑制できる。
さらに、マグネシアとスピネル、あるいはマグネシアとドロマイトクリンカーとの混合物を使用する場合、マグネシアの分量を調整することにより、溶損速度を任意に制御できる。
したがって、浸漬ノズルの耐用性を向上させることができる。
アルミナであれば、Al2O3を主成分とするものである。
ムライトは、3Al2O3・2SiO2を主成分とするものである。
シリカは、SiO2を主成分とするものである。
ジルコニアは、ZrO2を主成分とするものである。
CaO―ZrO2クリンカーは、CaOおよびZrO2の焼結体を主成分とするものである。
ジルコニアムライトは、ZrO2 32〜42質量%、Al2O340〜50質量%およびSiO2 13〜23質量%を主成分とするものである。
炭化珪素は、SiCを主成分とするものである。
なお、マグネシア、スピネルおよびドロマイトクリンカーについては前述の通りである。
これら原料は、いずれも主成分を90質量%以上と不可避な不純物を10質量%以下含むもの、より好ましくは主成分を95質量%以上と不可避な不純物を5質量%以下含むものである。
また、外層には、内層と組成が異なる耐火物、あるいは、内層と使用原料が同一でも配合比が異なる耐火物を使用するので、内層および外層のそれぞれに異なる機能を付与することができる。
すなわち、内層の機能により、上記(1)記載の浸漬ノズルと同様に、溶融金属中のAl2O3介在物がノズル内周部に付着することを防止でき、かつ、溶融金属による当該内層の溶損を抑制できる。
そして、例えば外層を構成する耐火物にマグネシアや、スピネル、ドロマイトクリンカーを含有させた場合、内層および外層の熱膨張係数が略等しくなるので、当該熱膨張差に起因する応力割れを防止できる。
また、例えば外層を構成する耐火物にジルコニアを含有させた場合、モールド内の溶融金属湯面上に浮遊しているスラグに対する耐食性を向上でき、当該スラグによる外層の溶損を抑制できる。
さらに、例えば外層を構成する耐火物にアルミナ、シリカ、ムライト、CaO―ZrO2クリンカー、炭化珪素、ジルコニアムライトを外層に使用した場合には、ノズルの構造体として、マグネシア等よりも、耐熱衝撃性を向上させることが可能である。
一般に、酸化防止材は、溶融金属によるノズル内周面の酸化を防止する目的で設けられる。このような酸化防止材は、例えば、シリカ粉体60〜100質量%で構成されていることが好ましい。シリカ粉体が100質量%未満の場合、残部としては、Al2O3の粉体をバインダで混練してペースト状とし、これをノズル内周面に塗布・焼成することにより形成されている。なお、この酸化防止材は、ノズル内周面を含めノズルの露出面全てを被覆する状態に設けられていてもよい。
このような発明によれば、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の効果を奏することができる。したがって、浸漬ノズルの耐用性を向上させることができる。
〔連続鋳造機の概略構成〕
図1に本実施形態における連続鋳造機の概略構成を示す。図1において、1は連続鋳造機であって、この連続鋳造機1は、溶鋼を連続的に冷却凝固させて、所定形状の鋼塊を形成するものである。このような連続鋳造機1は、取鍋2と、ロングノズル3と、タンディッシュ4と、複数の浸漬ノズル5と、複数のモールド6とを備えている。なお、図1では、浸漬ノズル5およびモールド6をそれぞれ1つだけ図示している。
ロングノズル3は、取鍋2の注入口21に取り付けられて、取鍋2内部に貯留された溶鋼をノズル下端開口部31よりタンディッシュ4内に吐出するように構成されている。
タンディッシュ4は、ロングノズル3の下方に配設されて、取鍋2からロングノズル3を介して注入された溶鋼を貯留する耐熱容器である。このタンディッシュ4は、底面部には各モールド6に対応した複数の注入口41が形成されており、この注入口41の内部には注入口41より流出する溶鋼の流量を調整する流量調整機(図示しない)が設けられている。このようなタンディッシュ4により、取鍋2からの溶鋼が整流化され、当該溶鋼が各モールド6に所定量ずつ分配されるようになっている。
モールド6は、浸漬ノズル5の下方に設けられた水冷式の鋳型である。このモールド6内には浸漬ノズル5を介してタンディッシュ4からの溶鋼が連続的に注入される。このようなモールド6により、モールド6内の溶鋼は冷却されて、モールド6の内周面側から凝固シェルが形成・成長して、凝固した鋼が形成されるようになっている。
次に、浸漬ノズル5の構成について、図2に基づいて説明する。図2は、本実施形態に係る浸漬ノズルを示す側断面図である。
図2において、浸漬ノズル5は、ノズル本体51と、注入口41の下部に取り付けられてノズル本体51の上端部を保持するホルダー52とを備えている。このような浸漬ノズル5は、後述する予熱工程において高周波誘導加熱により予熱されてから使用される。
■1種骨材:マグネシア
スピネル
ドロマイトクリンカー
■2種骨材:マグネシアとスピネル
マグネシアとドロマイトクリンカー
■1種骨材:アルミナ
ジルコニア
CaO―ZrO2クリンカー
スピネル
マグネシア
■2種骨材:アルミナとシリカ
アルミナとジルコニアムライト
アルミナとムライト
アルミナとスピネル
スピネルとシリカ
マグネシアとスピネル
ジルコニアとCaO―ZrO2クリンカー
ドロマイトクリンカーとジルコニア
ドロマイトクリンカーとマグネシア
■3種骨材:アルミナとシリカとジルコニアムライト
アルミナとシリカとジルコニア
アルミナとムライトとシリカ
アルミナとスピネルとシリカ
アルミナとシリカと炭化珪素
アルミナとジルコニアムライトと炭化珪素
アルミナとムライトと炭化珪素
マグネシアとスピネルとシリカ
ドロマイトクリンカーとジルコニアとマグネシア
アルミナとムライトとジルコニア
■1種骨材:マグネシア
スピネル
ドロマイトクリンカー
■2種骨材:マグネシアとスピネル
マグネシアとドロマイトクリンカー
次に、上記した構成の浸漬ノズル5を予熱する予熱装置について、図3に基づいて説明する。図3は、浸漬ノズルが装着された状態の予熱装置を示す側断面図である。
図3において、7は予熱装置であって、この予熱装置7は浸漬ノズル5を高周波誘導加熱により予熱する。このような予熱装置7は、耐熱容器71と、外コイル72と、内コイル73と、図示しない誘導電流印加装置とを備えて構成されている。
内コイル73は、外コイル72と同様の誘導加熱コイルであって、ノズル本体51の上部開口より内部に挿入可能に構成されている。
誘導電流印加装置は、外コイル72および内コイル73のそれぞれに高周波の誘導電流を印加する装置である。
本実施形態に係る連続鋳造方法について、上記のような構成の連続鋳造機1および予熱装置7を使用した例で説明する。
本実施形態の連続鋳造方法は、予熱工程と、鋳造工程と、引抜工程と、鋼塊形成工程とを備えて構成されている。
そして、高周波誘導加熱によれば、従来のように燃焼ガスを使用せずに短時間で予熱が完了するので、ノズル本体51中のC成分が消失し難く、ノズル本体51中における気孔の拡大が防止される。また、酸化防止材中のSiO2がノズル内周部に拡散することがなく、ノズル内周部中に低融点物質が形成されることがない。このため、後述する鋳造工程において内部を流通する溶鋼により、ノズル内周部が溶損されてしまうことを防止できる。
鋼塊形成工程では、当該引抜ロールにて引き抜かれた鋼を切断機により所定の長さ寸法で切断して、所定形状の鋳片を連続的に形成する。
〔実験試料〕
実験に当たって、以下の浸漬ノズル(実施例1〜14、比較例1〜3)を作成した。これら浸漬ノズルは、図2に示す上記実施形態の浸漬ノズル5と同様の構造であり、ノズル本体51の最大外径寸法はφ140mm、内径寸法はφ80mm、長さ寸法は700mmとした。また、各試料におけるノズル本体51は、各種無機物の微粉と、フリーカーボンとしての鱗状黒鉛をフェノール樹脂とともに混練したものをCIP法にて成形し、これを還元焼成することにより形成した。以下に各試料の耐火物組成を示す。
また、すべてのノズルについて、ノズル内周面は、酸化防止材で被覆した。酸化防止材は、SiO2が80質量%、Al2O3が20質量%の配合のものに、珪酸ソーダを外掛けで30質量%(SiO2が35質量%、Na2Oが18質量%、 残りは水分)添加して混練したものを用い、酸化防止材としては、SiO2が78質量%、Al2O3が16質量%、Na2Oが6質量%のものを採用した。
この酸化防止材の塗布方法としては、スプレーによりノズル内周面に塗布し、その後、乾燥させる方法を用いた。
(内層)ドロマイトクリンカー79質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ66質量%、シリカ4質量%、ジルコニア5質量%、黒鉛23質量%、バインダー2質量%
■実施例2(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ66質量%、シリカ4質量%、ジルコニア5質量%、黒鉛23質量%、バインダー2質量%
■実施例3(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)マグネシア70質量%、黒鉛28質量%、バインダー2質量%
■実施例4(一体品)
マグネシア70質量%、黒鉛28質量%、バインダー2質量%
■実施例5(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ80質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例6(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)CaO―ZrO2クリンカー80質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例7(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ75質量%、シリカ5質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例8(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)マグネシア30質量%、スピネル50質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例9(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ73質量%、シリカ3質量%、ジルコニアムライト4質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例10(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ74質量%、シリカ3質量%、炭化珪素3質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例11(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ70質量%、ムライト7質量%、ジルコニア3質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例12(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ74質量%、シリカ3質量%、ジルコニア3質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例13(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)マグネシア50質量%、スピネル25質量%、シリカ5質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例14(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)マグネシア14質量%、ドロマイトクリンカー65質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■比較例1(一体品)
コランダム66質量%、シリカ4質量%、ジルコニア5質量%、黒鉛23質量%、バインダー2質量%
■比較例2(2層構造)
(内層)ドロマイト79質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)コランダム66質量%、シリカ4質量%、ジルコニア5質量%、黒鉛23質量%、バインダー2質量%
■比較例3(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)マグネシア70質量%、黒鉛28質量%、バインダー2質量%
■予熱対象:実施例1〜14
■予熱装置:図3に示す予熱装置7と同様である。外コイル72には径寸法φ200mm、長さ寸法500mmのものを使用し、内コイル73には径寸法φ70mm、長さ寸法300mmのものを使用した。
■誘導電流:外コイル72には周波数30kHz、電流200A、電力量15kWの誘導電流を印加した。内コイル73には、周波数37kHz、電流200A、電力量12kWの誘導電流を印加した。
■予熱時間:40分
■予熱対象:比較例1〜3
■予熱装置:図4に示すバーナー100を用いて予熱した。図4において、浸漬ノズル5を耐熱容器101中に収容した状態で、浸漬ノズル5の上端開口部より内部にバーナー100を挿入して燃焼ガスを吹き付けている。
■燃焼ガス:COG(Coke-oven Gas:コークス炉ガス)
■空気比:1.2
■予熱時間:90分
■実験対象:実施例1〜14、比較例1〜3
■連続鋳造機:図1に示す上記実施形態の連続鋳造機1と同様のものを使用した(8チャージ)。
■鋳造方法:上記実施形態における鋳造工程と同様である。具体的には、各浸漬ノズル5を単体で予熱した後、それぞれタンディッシュ4に取り付けて、予熱終了の時点から5分後に鋳造を開始した。
■鋼種:低炭素鋼
■モールドパウダーの塩基度:1.0
■操業時間:合計360分
実施例1〜14、比較例1〜3の浸漬ノズル5について、上記鋳造実験の結果(アルミナ付着指数、溶損速度指数、トラブル発生指数)を、各耐火物の組成および構成鉱物と併せて以下の表1〜3に示す。
■アルミナ付着指数:比較例1についてのアルミナ付着量(鋳造後におけるノズル内周面に付着したアルミナ層の最大厚み寸法を操業時間で除算したもの)を100とした場合における、実施例1〜14および比較例2,3についての当該アルミナ付着量を指数化したものである。
■溶損速度指数:比較例2についての溶損速度(鋳造後におけるノズル内周部が溶損した量を操業時間で除算したもの)を100とした場合における、実施例1〜14および比較例1,3についての当該溶損速度を指数化したものである。
■トラブル発生指数:比較例2についてのトラブル発生率(鋳造した回数と、折損や割れなどの不具合が発生した回数との比)を100とした場合における、実施例1〜14および比較例1,3についてのトラブル発生率を指数化したものである。
実施例1のノズル内周部はドロマイトクリンカーと黒鉛等からなる耐火物で構成され、実施例2〜14のノズル内周部はマグネシア、ドロマイトクリンカー、黒鉛等からなる耐火物で構成されている。そして、比較例1のノズル内周部はアルミナ、シリカ、ジルコニアおよび黒鉛等からなる耐火物で構成されており、マグネシアやドロマイトクリンカーが含まれていない。
表1〜3のアルミナ付着指数より、比較例1のノズル内周部にはアルミナが付着し、実施例1〜14のノズル内周部にはいずれもアルミナが付着しなかったことが分かる。なお、表1〜3には示さなかったが、ノズル内周部にスピネルを含む場合も同様に、ノズル内周部にはアルミナが付着しなかった。
これより、ノズル内周部に少なくともMgOが含まれることで、アルミナの難付着性を向上できることが分かった。
実施例1と比較例2とは、内層および外層を構成する耐火物が同一であり、実施例1の予熱方法が高周波誘導加熱(IH)で、比較例2はバーナーによる予熱であるという点で異なっている。表1において、これらについての溶損速度指数を見ると、実施例1の溶損速度指数は比較例2に対して20%低い値となっている。これより、単純に高周波誘導加熱にて予熱するだけで、溶鋼による溶損を抑制できることが分かった。
そして、実施例4では骨材はマグネシアのみであり、表1において溶損速度指数を見ると、実施例4の溶損速度指数は実施例1と同値となっている。これより、ノズル内周部中の骨材としてドロマイトのみ、あるいはマグネシアのみを使用した場合、同程度に溶損を抑制できることが分かった。なお、表1には示さなかったが、ノズル内周部の骨材としてスピネルのみを使用した場合も同様に、溶損を抑制できた。
実施例1と比較例2とは、内層および外層を構成する耐火物が同一であり、実施例1の予熱方法が高周波誘導加熱(IH)で、比較例2はバーナーによる予熱であるという点で異なっている。表1において、これらについてのトラブル発生指数を見ると、実施例1のトラブル発生指数は比較例2に対して80%低い値となっている。これより、単純に高周波誘導加熱にて予熱するだけで、鋳造工程において溶鋼の注入を開始する際に、割れ等の不具合が発生する頻度を著しく減少できることが分かった。
2 …取鍋
21 …注入口
3 …ロングノズル
31 …ノズル下端開口部
4 …タンディッシュ
41 …注入口
5 …浸漬ノズル
51 …ノズル本体
511…底面部
512…吐出口
513…内層
514…外層
52 …ホルダー
6 …モールド
7 …予熱装置
71 …耐熱容器
72 …外コイル
73 …内コイル
100…バーナー
101…耐熱容器
Claims (4)
- 溶融金属の連続鋳造方法であって、
マグネシアと、スピネルと、ドロマイトクリンカーと、マグネシアおよびスピネルの混合物と、マグネシアおよびドロマイトクリンカーの混合物のうちいずれか、および、フリーカーボンを含んで構成された耐火物にて形成されている浸漬ノズルを使用し、
当該浸漬ノズルを高周波誘導加熱の予熱装置により予熱する予熱工程と、
前記予熱工程にて予熱された前記浸漬ノズルをタンディッシュの注入口に取り付け、当該浸漬ノズルを介してタンディッシュからモールドに溶融金属を注入する鋳造工程と、を備える
ことを特徴とする連続鋳造方法。 - 前記浸漬ノズルは、
溶融金属が流通するノズル内周部を形成する内層、および、前記内層の外側を被覆する状態に積層形成された外層からなる2層構造となっており、
前記内層は、
マグネシアと、スピネルと、ドロマイトクリンカーと、マグネシアおよびスピネルの混合物と、マグネシアおよびドロマイトクリンカーの混合物のうちいずれか、および、フリーカーボンを含んで構成された耐火物にて形成され、
前記外層は、
前記内層とは組成および配合のいずれかが異なる耐火物であって、
アルミナ、ムライト、シリカ、ジルコニア、CaO―ZrO2クリンカー、スピネル、マグネシア、ジルコニアムライトおよび炭化珪素のうち1〜3種と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物、または、
ドロマイトクリンカーと、ジルコニア、CaO―ZrO2クリンカーおよびマグネシアのうち1種あるいは2種と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物にて形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方法。 - 前記浸漬ノズルは、
少なくとも溶融金属が流通するノズル内周面は、シリカを含む酸化防止材にて被覆されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造方法。 - 前記高周波誘導加熱の予熱装置は、耐熱容器と、外コイルと、内コイルと、誘導電流印加装置とを備え、
外コイルは、耐熱容器の内部に収用されて、コイル内周側にノズル本体の下端部から中間部上方までを収容可能に構成され、
内コイルは、ノズル本体の上部開口より内部に挿入可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の連続鋳造方法。
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