JP4734180B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属の連続鋳造方法に使用される浸漬ノズルを予熱する予熱工程を含む連続鋳造方法に関する。
従来、溶融金属を連続的に冷却凝固させて所定形状の鋳片を形成する連続鋳造方法が知られており、この連続鋳造方法では、浸漬ノズルを介してタンディッシュからモールド(水冷鋳型)内に溶融金属を注入する鋳造工程が実施される。
浸漬ノズルは、タンディッシュの底部に取り付けられて、タンディッシュ内の溶融金属をノズル下端の吐出口よりモールド内に吐出するように構成されている。この浸漬ノズルは、下端側をモールド内の溶融金属中に浸漬させた状態で使用され、これにより、注入溶融金属の飛散を防止すると共に、注入溶融金属の大気との接触を防止して酸化を抑制している。また、浸漬ノズルは、整流化した状態で注入可能であるため、溶融金属に浮遊するスラグや非金属介在物などの不純物が溶融金属中へ巻き込まれることを防止している。結果、鋳片品質を改善できると共に、操業の安定性を確保できる。
このような浸漬ノズルは、一般的に、Al−SiO−C(カーボン)耐火物やAl−C耐火物にて形成されている。これらAl−C含有耐火物製の浸漬ノズルは、Alが耐火性および溶融金属に対する耐食性に優れ、Cが介在物(スラグ成分)に対して濡れ難く、低膨張率および高熱伝導性を有することから、現在、溶融金属の連続鋳造において最も広く用いられている。
通常、浸漬ノズルは、その内外層で曝される環境が異なるため、内外層には別材質の耐火物が使われ、また、モールド湯面上に浮遊するスラグからパウダーライン部を保護するためにも、パウダーライン部には別材質の耐火物が用いられている。
しかしながら、Al−C含有耐火物製の浸漬ノズルは、溶融金属が流通するノズル内周部に析出物が付着しやすいという性質を有している。析出物の付着は、特に非浸漬部のノズル内周部の温度勾配の大きな部分および吐出口付近の溶融金属流速の低下する部分に多く、付着物によって鋳造作業が困難になることがある。また、鋳造中に付着物を除去する作業を行う必要があり、ここで除去された付着物は鋳片中に取り込まれて大型介在物となり、鋳片品質を悪化させる原因となる。付着する析出物の主成分はαAlであり、脱酸生成物として溶融金属中に含まれているAlがノズル内周部に析出して堆積するものと考えられる。ノズル内周部への析出物付着は、特にアルミキルド鋼の連続鋳造において顕著に観察される。
この問題に対して、従来、ノズル内周部をCaO:20質量%以上、黒鉛:30質量%以下であり、構成粒子の最大粒径が0.5mm以下であるCaO−MgO−黒鉛含有耐火物で形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のCaO−MgO−黒鉛含有耐火物では、溶融金属に含まれるAlが析出してノズル内周部に堆積しようとしたとき、当該耐火物中のCaOと堆積したAlとが反応して低融点物質を形成する。これにより、Alがノズル内周部に堆積せずに順次溶融金属で洗い流されることになり、ノズル内周部への析出物の付着を防止できる。
また、上記問題に対して、ノズル内周部をスピネル(MgO・Al)50〜95質量%、ペリクレース(MgO)0〜20質量%、黒鉛5〜30質量%、不可避の不純物3質量%以下のスピネル−ペリクレース−黒鉛系の耐火物で形成するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
この特許文献2に記載のスピネル−ペリクレース−黒鉛系の耐火物では、溶融金属が流れて当該耐火物が高温環境下に曝されることにより、当該耐火物中のMg成分とO成分あるいはCO成分とが反応して、当該耐火物表面に緻密なMgO層が生成される。このMgO層は、気孔率が略ゼロに近く非常に緻密な組織を有するため、溶融金属中のAl介在物がMgO層の上に付着することが少ない。これにより、ノズル内周部への析出物の付着を防止できる。
ところで、上記鋳造工程では、浸漬ノズルの温度が低い場合、溶融金属の注入を開始する際に浸漬ノズルの割れや閉塞が起こる等の不具合が発生することがある。このため、浸漬ノズルを予熱しておくことで、溶融金属の注入を開始した際に浸漬ノズルに生じる温度差を減少させて、上記不具合の発生を防止することが考えられる。
このような予熱法としては、例えば図4に示すようにバーナー100により燃焼ガスを吹き付けるものが考えられる。
また、浸漬ノズルの外周を電熱器で囲み伝熱・輻射により加熱する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平2005−60128号公報 特開平11−320047号公報 特開平10−118746号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のCaO−MgO−黒鉛含有耐火物や、上記特許文献2に記載のスピネル−ペリクレース−黒鉛系の耐火物は、いずれも高熱膨張材である。このため、これらの耐火物を使用した浸漬ノズルを予熱した後、鋳造工程を実施する場合、次の(A)、(B)のような問題がある。
(A)図4に示すようなバーナー100を用いて予熱する場合、ノズルの上端からバーナー100を挿入して、内部に燃焼ガスを吹き付け下端側の吐出孔より排気する。このため、ノズル全体を均一に加熱することが困難であり、この温度差による熱応力や材質間の熱膨張差に起因した割れが発生してしまう。
また、バーナーによる予熱の場合、予熱に要する時間が長く、かつ、燃焼ガスより生じる酸化性雰囲気により、耐火物中のC成分が酸化によりCOガスあるいはCOガスとなって消失してしまう。このため、耐火物中に大径の気孔が形成されて、鋳造工程において当該気孔内に溶融金属が侵食し易くなり、溶損が進行し易くなってしまう問題がある。
(B)上記特許文献2に記載の電熱器を用いて予熱する場合、C成分の消失は防止できるものの、伝熱・輻射によりノズルを加熱しているので、部分的には1400℃に達するが全体を均一に加熱することはやはり難しい。
本発明の目的は、浸漬ノズルを予熱する予熱工程を含む連続鋳造方法を提供することにある。
本発明は、浸漬ノズルを均一に加熱するためには、高周波誘導加熱を用いるのが良いとの知見に基づいて案出されたものであり、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)本発明に係る溶融金属の連続鋳造方法は、マグネシアと、スピネルと、ドロマイトクリンカーと、マグネシアおよびスピネルの混合物と、マグネシアおよびドロマイトクリンカーの混合物のうちいずれか、および、フリーカーボンを含んで構成された耐火物にて形成されている浸漬ノズルを使用し、当該浸漬ノズルを高周波誘導加熱の予熱装置により予熱する予熱工程と、前記予熱工程にて予熱された前記浸漬ノズルをタンディッシュの注入口に取り付け、当該浸漬ノズルを介してタンディッシュからモールドに溶融金属を注入する鋳造工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の浸漬ノズルは、ノズル内周部のみを上記耐火物にて形成する構造や、ノズルの全てを当該耐火物にて形成する構造など、少なくともノズル内周部を上記耐火物にて形成する構造とすることが好ましい。また、予熱終了時の温度は最低でも1100℃以上となることが好ましい。
マグネシア、スピネルおよびドロマイトクリンカーは、通常、添加できる石状のものが原料として用いられる。
マグネシアであれば、主成分としてMgOを90質量%以上と不可避な不純物を10質量%以下含むもの、より好ましくはMgOを95質量%以上と不可避な不純物を5質量%以下含むものをいう。
スピネルはAl・MgOを90質量%以上と不可避な不純物を10質量%以下含むもの、より好ましくはAl・MgOを95質量%以上と不可避な不純物を5質量%以下含むものをいう。
ドロマイトクリンカーは天然ドロマイトを高温焼成した、MgOおよびCaOの焼結体を主成分とするものをいう。
フリーカーボンは、例えば通常鱗状黒鉛、電極屑、無煙炭、土状黒鉛等の添加黒鉛の他、バインダが焼成した際に残留した炭素分をも含む。
このような浸漬ノズルは、例えば、各種無機物、鱗状黒鉛とバインダとしてのフェノール樹脂などを混練したものを、CIP法などにて所定の形状に成形し、これを還元焼成することにより形成される。
なお、スピネルとドロマイトクリンカーとの組み合わせは、スピネル中のAlとドロマイトクリンカー中のCaOとで低融点物質を形成するため不適である。
このような発明によれば、耐火物中にフリーカーボンが存在することにより、高周波誘導加熱にて当該フリーカーボンを選択的に加熱でき、図4や上記特許文献3に示すような従来の加熱法にて予熱する場合に比べて、浸漬ノズルを均一に予熱できる。このため、鋳造工程にて溶融金属の注入を開始する際において、溶融金属により浸漬ノズルが受ける熱衝撃を緩和でき、割れ等の不具合が発生することを防止できる。
また、高周波誘導加熱によれば、従来のように燃焼ガスを使用せずに短時間で予熱を完了できるので、耐火物中のフリーカーボンの消失が少なく、溶融金属によるノズル内周部の溶損速度を低減できる。
そして、マグネシアは言うに及ばず、スピネルおよびドロマイトクリンカーはそれぞれMgO成分を含んでいるので、鋳造工程においてはノズル内周面に緻密なMgO層を生成でき、Al介在物がノズル内周部に付着することを防止できる。
また、ドロマイトクリンカーを使用してノズルを形成した場合、ドロマイトクリンカー中のCaOと溶融金属に含まれるAlとで低融点物質を形成するので、Al介在物がノズル内周部に付着することを防止できる。さらにこの場合、耐火物中で当該低融点化合物が形成された後、耐火物中に残存したMgO粒子同士が合体・粗大化して比較的融点の高い反応生成物を形成し、これにより、ノズル内周部の溶損を抑制できる。
さらに、マグネシアとスピネル、あるいはマグネシアとドロマイトクリンカーとの混合物を使用する場合、マグネシアの分量を調整することにより、溶損速度を任意に制御できる。
したがって、浸漬ノズルの耐用性を向上させることができる。
(2)本発明に係る連続鋳造方法は、上記(1)に記載の浸漬ノズルにおいて、溶融金属が流通するノズル内周部を形成する内層、および、前記内層の外側を被覆する状態に積層形成された外層からなる2層構造となっており、前記内層は、マグネシアと、スピネルと、ドロマイトクリンカーと、マグネシアおよびスピネルの混合物と、マグネシアおよびドロマイトクリンカーの混合物のうちいずれか、および、フリーカーボンを含んで構成された耐火物にて形成され、前記外層は、前記内層とは組成および配合のいずれかが異なる耐火物であって、アルミナ、ムライト、シリカ、ジルコニア、CaO―ZrO2クリンカー、スピネル、マグネシア、ジルコニアムライトおよび炭化珪素のうち1〜3種と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物、または、ドロマイトクリンカーと、ジルコニア、CaO―ZrO2クリンカーおよびマグネシアのうち1種あるいは2種と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物にて形成されていることを特徴とする。
ここで示した原料はいずれも天然に採取された、もしくは、合成された原料である。
アルミナであれば、Alを主成分とするものである。
ムライトは、3Al・2SiOを主成分とするものである。
シリカは、SiOを主成分とするものである。
ジルコニアは、ZrOを主成分とするものである。
CaO―ZrOクリンカーは、CaOおよびZrOの焼結体を主成分とするものである。
ジルコニアムライトは、ZrO 32〜42質量%、Al40〜50質量%およびSiO 13〜23質量%を主成分とするものである。
炭化珪素は、SiCを主成分とするものである。
なお、マグネシア、スピネルおよびドロマイトクリンカーについては前述の通りである。
これら原料は、いずれも主成分を90質量%以上と不可避な不純物を10質量%以下含むもの、より好ましくは主成分を95質量%以上と不可避な不純物を5質量%以下含むものである。
このような発明によれば、内層および外層を構成する耐火物中にはいずれもフリーカーボンが存在するので、高周波誘導加熱にて当該フリーカーボンを選択的に加熱でき、浸漬ノズルを均一に予熱できる。このため、鋳造工程にて溶融金属の注入を開始する際、割れ等の不具合が発生することを防止できる。
また、外層には、内層と組成が異なる耐火物、あるいは、内層と使用原料が同一でも配合比が異なる耐火物を使用するので、内層および外層のそれぞれに異なる機能を付与することができる。
すなわち、内層の機能により、上記(1)記載の浸漬ノズルと同様に、溶融金属中のAl介在物がノズル内周部に付着することを防止でき、かつ、溶融金属による当該内層の溶損を抑制できる。
そして、例えば外層を構成する耐火物にマグネシアや、スピネル、ドロマイトクリンカーを含有させた場合、内層および外層の熱膨張係数が略等しくなるので、当該熱膨張差に起因する応力割れを防止できる。
また、例えば外層を構成する耐火物にジルコニアを含有させた場合、モールド内の溶融金属湯面上に浮遊しているスラグに対する耐食性を向上でき、当該スラグによる外層の溶損を抑制できる。
さらに、例えば外層を構成する耐火物にアルミナ、シリカ、ムライト、CaO―ZrO2クリンカー、炭化珪素、ジルコニアムライトを外層に使用した場合には、ノズルの構造体として、マグネシア等よりも、耐熱衝撃性を向上させることが可能である。
(3)本発明に係る連続鋳造方法は、上記(1)または(2)に記載の浸漬ノズルにおいて、少なくとも溶融金属が流通するノズル内周面は、シリカを含む酸化防止材にて被覆されていることを特徴とする。
一般に、酸化防止材は、溶融金属によるノズル内周面の酸化を防止する目的で設けられる。このような酸化防止材は、例えば、シリカ粉体60〜100質量%で構成されていることが好ましい。シリカ粉体が100質量%未満の場合、残部としては、Al2O3の粉体をバインダで混練してペースト状とし、これをノズル内周面に塗布・焼成することにより形成されている。なお、この酸化防止材は、ノズル内周面を含めノズルの露出面全てを被覆する状態に設けられていてもよい。
そして、従来、このような酸化防止剤にて内周面が被覆された浸漬ノズルを、図4に示すようなバーナー100を用いて予熱した場合、溶融金属によりノズル内周部が激しく溶損されてしまう問題が生じる。すなわち、バーナー100を用いた加熱法では予熱時間が長く、かつ、バーナーからの熱は酸化防止材を介してノズル内周部側に伝熱されていくために、ノズル内周部よりも酸化防止材の方が高温となってしまう。このため、酸化防止材中のSiOがノズル内周部中に拡散してしまい、ノズル内周部中で低融点物質が形成されてしまう。これにより、溶融金属によりノズル内周部が激しく溶損されてしまう。
この点、本発明によれば、高周波誘導加熱にて耐火物中のフリーカーボンを選択的に加熱するため、酸化防止材を介さずとも耐火物自体を加熱することができ、かつ、予熱時間も短時間で済む。このため、酸化防止材中のSiOがノズル内周部に拡散することがなく、内部を流通する溶融金属によりノズル内周部が溶損されることを防止できる。したがって、酸化防止材の機能を確保でき、かつ、ノズル内周部の溶損も防止できるので、浸漬ノズルの耐用性をさらに向上できる。
(4)発明に係る連続鋳造方法は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の連続鋳造方法において、前記高周波誘導加熱の予熱装置は、耐熱容器と、外コイルと、内コイルと、誘導電流印加装置とを備え、外コイルは、耐熱容器の内部に収用されて、コイル内周側にノズル本体の下端部から中間部上方までを収容可能に構成され、内コイルは、ノズル本体の上部開口より内部に挿入可能に構成されていることを特徴とする。
このような発明によれば、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の効果を奏することができる。したがって、浸漬ノズルの耐用性を向上させることができる。
本発明によれば、浸漬ノズルを構成する耐火物中にフリーカーボンが存在することにより、高周波誘導加熱にて当該フリーカーボンを選択的に加熱でき、浸漬ノズルを均一に予熱できる。このため、予熱後、鋳造開始時において浸漬ノズルに割れ等の不具合が発生することを防止でき、かつ、溶融金属によるノズル内周部の溶損を抑制できる。そして、スピネルおよびドロマイトクリンカーはそれぞれMgOを含み、ドロマイトクリンカーはCaOを含み、これらの鉱物を含む耐火物で浸漬ノズルを形成しているので、溶融金属中のAl介在物がノズル内周部に付着することを防止できる。したがって、浸漬ノズルの耐用性を向上できる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔連続鋳造機の概略構成〕
図1に本実施形態における連続鋳造機の概略構成を示す。図1において、1は連続鋳造機であって、この連続鋳造機1は、溶鋼を連続的に冷却凝固させて、所定形状の鋼塊を形成するものである。このような連続鋳造機1は、取鍋2と、ロングノズル3と、タンディッシュ4と、複数の浸漬ノズル5と、複数のモールド6とを備えている。なお、図1では、浸漬ノズル5およびモールド6をそれぞれ1つだけ図示している。
取鍋2は、連続鋳造において最初に溶鋼が導入される耐熱容器であり、底面部には注入口21が設けられている。
ロングノズル3は、取鍋2の注入口21に取り付けられて、取鍋2内部に貯留された溶鋼をノズル下端開口部31よりタンディッシュ4内に吐出するように構成されている。
タンディッシュ4は、ロングノズル3の下方に配設されて、取鍋2からロングノズル3を介して注入された溶鋼を貯留する耐熱容器である。このタンディッシュ4は、底面部には各モールド6に対応した複数の注入口41が形成されており、この注入口41の内部には注入口41より流出する溶鋼の流量を調整する流量調整機(図示しない)が設けられている。このようなタンディッシュ4により、取鍋2からの溶鋼が整流化され、当該溶鋼が各モールド6に所定量ずつ分配されるようになっている。
浸漬ノズル5は、具体的には後述するが、タンディッシュ4における注入口41の下部に取り付けられており、このノズルを介してタンディッシュ4内の溶鋼がモールド6内に注入される。
モールド6は、浸漬ノズル5の下方に設けられた水冷式の鋳型である。このモールド6内には浸漬ノズル5を介してタンディッシュ4からの溶鋼が連続的に注入される。このようなモールド6により、モールド6内の溶鋼は冷却されて、モールド6の内周面側から凝固シェルが形成・成長して、凝固した鋼が形成されるようになっている。
また、図示省略したが、モールド6の下方には、モールド6の内部にて形成された鋼を、モールド6内の下方開口部から下方に連続的に引き抜くローラーエプロンおよび引抜ロールが設けられている。さらに、引抜ロールの下流側には、引抜ロールにて引き抜かれて、モールド6内から連続して延びた状態の鋼を、所定の長さ寸法に切断する切断機(図示省略)が設けられている。この切断機にて鋼が切断されることにより、例えば板状や棒状など所定形状の鋼塊が形成されるようになっている。
〔浸漬ノズルの構成〕
次に、浸漬ノズル5の構成について、図2に基づいて説明する。図2は、本実施形態に係る浸漬ノズルを示す側断面図である。
図2において、浸漬ノズル5は、ノズル本体51と、注入口41の下部に取り付けられてノズル本体51の上端部を保持するホルダー52とを備えている。このような浸漬ノズル5は、後述する予熱工程において高周波誘導加熱により予熱されてから使用される。
ノズル本体51は、略円筒状に形成されて、その下端を閉塞する底面部511が設けられている。このノズル本体51における側面部の底面部511近傍には、一対の吐出口512が、互いに対向する状態で設けられている。また、ノズル本体51は、その下端側がモールド6内の溶鋼に浸漬された状態で使用される。このようなノズル本体51により、ノズル本体51の上端開口より流入した溶鋼が、一対の吐出口512を介してモールド6内へと吐出されるようになっている。
このようなノズル本体51は、図2に示すように、溶鋼が流通するノズル内周部を形成する内層513、および、この内層513の外側を被覆する状態に積層形成された外層514からなる2層構造となっている。
内層513は、次のいずれかの骨材と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物で形成されている。
■1種骨材:マグネシア
スピネル
ドロマイトクリンカー
■2種骨材:マグネシアとスピネル
マグネシアとドロマイトクリンカー
外層514は、内層513とは組成および配合のいずれかが異なる耐火物であって、前述したように、アルミナ、ムライト、シリカ、ジルコニア、CaO―ZrOクリンカー、スピネル、マグネシア、ジルコニアムライトおよび炭化珪素のうち1〜3種と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物、または、ドロマイトクリンカーと、ジルコニア、CaO―ZrOクリンカーおよびマグネシアのうち1種あるいは2種と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物にて形成されている。このうち、例えば次のいずれかの骨材と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物が通常よく用いられる。
■1種骨材:アルミナ
ジルコニア
CaO―ZrOクリンカー
スピネル
マグネシア
■2種骨材:アルミナとシリカ
アルミナとジルコニアムライト
アルミナとムライト
アルミナとスピネル
スピネルとシリカ
マグネシアとスピネル
ジルコニアとCaO―ZrOクリンカー
ドロマイトクリンカーとジルコニア
ドロマイトクリンカーとマグネシア
■3種骨材:アルミナとシリカとジルコニアムライト
アルミナとシリカとジルコニア
アルミナとムライトとシリカ
アルミナとスピネルとシリカ
アルミナとシリカと炭化珪素
アルミナとジルコニアムライトと炭化珪素
アルミナとムライトと炭化珪素
マグネシアとスピネルとシリカ
ドロマイトクリンカーとジルコニアとマグネシア
アルミナとムライトとジルコニア
なお、ノズル本体51は、上記した2層構造でなく、次のいずれかの骨材と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物で、一体品として形成されてもよい。
■1種骨材:マグネシア
スピネル
ドロマイトクリンカー
■2種骨材:マグネシアとスピネル
マグネシアとドロマイトクリンカー
さらに、ノズル本体51においては、溶鋼が流通するノズル内周面を含めノズル本体51の露出面全てが、シリカを含む酸化防止材にて被覆されている。これにて、溶鋼によるノズル本体51の酸化が防止される。
〔予熱装置の構成〕
次に、上記した構成の浸漬ノズル5を予熱する予熱装置について、図3に基づいて説明する。図3は、浸漬ノズルが装着された状態の予熱装置を示す側断面図である。
図3において、7は予熱装置であって、この予熱装置7は浸漬ノズル5を高周波誘導加熱により予熱する。このような予熱装置7は、耐熱容器71と、外コイル72と、内コイル73と、図示しない誘導電流印加装置とを備えて構成されている。
外コイル72は、耐熱容器71の内部に収用された誘導加熱コイルであって、コイル内周側にノズル本体51の下端部から中間部上方までを収容可能に構成されている。
内コイル73は、外コイル72と同様の誘導加熱コイルであって、ノズル本体51の上部開口より内部に挿入可能に構成されている。
誘導電流印加装置は、外コイル72および内コイル73のそれぞれに高周波の誘導電流を印加する装置である。
〔連続鋳造方法〕
本実施形態に係る連続鋳造方法について、上記のような構成の連続鋳造機1および予熱装置7を使用した例で説明する。
本実施形態の連続鋳造方法は、予熱工程と、鋳造工程と、引抜工程と、鋼塊形成工程とを備えて構成されている。
予熱工程では、図3に示す予熱装置7を用いて、浸漬ノズル5を高周波誘導により予熱する。具体的には、まず、タンディッシュ4から外された状態の浸漬ノズル5に対して予熱装置7をセットする。このセットされた状態では、ノズル本体51は、外コイル72内に収容され、ノズル本体51の上部開口より内部に内コイル73が挿入された状態となっている。そして、誘導電流印加装置により、外コイル72および内コイル73に誘導電流を印加する。これにより、ノズル本体51に含まれるフリーカーボン近傍に高密度のうず電流が発生して大きなジュール熱が発生し、ノズル本体51全体が均一に加熱される。
この高周波誘導加熱により、例えば0.5〜2時間程度の加熱時間で、ノズル本体51の温度は1100℃以上に達する。また、例えばノズル本体51を1100℃以上に加熱する場合、従来の如くバーナー100(図4参照)で加熱する場合には各部間で最大500℃〜600℃の温度差が生じるが、高周波誘導加熱によれば各部間で最大300℃程度の温度差しか生じない。
そして、高周波誘導加熱によれば、従来のように燃焼ガスを使用せずに短時間で予熱が完了するので、ノズル本体51中のC成分が消失し難く、ノズル本体51中における気孔の拡大が防止される。また、酸化防止材中のSiOがノズル内周部に拡散することがなく、ノズル内周部中に低融点物質が形成されることがない。このため、後述する鋳造工程において内部を流通する溶鋼により、ノズル内周部が溶損されてしまうことを防止できる。
鋳造工程では、図1に示した連続鋳造機1を用いて溶鋼の鋳造を行う。まず、予熱工程にて予熱された浸漬ノズル5をタンディッシュ4の注入口41に取り付けた後、取鍋2の内部に溶鋼を導入する。この溶鋼は、ロングノズル3を介して取鍋2からタンディッシュ4内部へと流動し、タンディッシュ4の内部にて整流化される。この後、整流化された溶鋼を、流量調整機(図示)にて流出量を調整しながら、浸漬ノズル5を介してモールド6内に注入し、モールド6において一定の湯面レベルを維持する。
この鋳造工程において、溶鋼の注入を開始する際、予熱工程にてノズル本体51を均一に予熱してあるので、浸漬ノズル5が溶鋼により受ける熱衝撃が緩和されて、割れ等の不具合の発生を防止できる。そして、ノズル内周部中のマグネシアは言うに及ばず、スピネルおよびドロマイトはそれぞれMgOを含み、ドロマイトはCaOを含むので、溶融金属中のAl介在物がノズル内周部に付着することを防止できる。したがって、浸漬ノズル5の耐用性を向上できる。
引抜工程では、モールド6内において冷却・固化された鋼を、図示しないローラーエプロンおよび引抜ロールにより下方に連続的に引き出す。
鋼塊形成工程では、当該引抜ロールにて引き抜かれた鋼を切断機により所定の長さ寸法で切断して、所定形状の鋳片を連続的に形成する。
なお、予熱工程では、浸漬ノズル5の他にも、ロングノズル3およびタンディッシュ4をも予熱する。また、予熱工程において浸漬ノズル5をタンディッシュ4に組み付けない状態で予熱するとしたが、浸漬ノズル5をタンディッシュ4に組み付けた状態で予熱を施してもよい。
上述した本実施形態の効果を確認するための実施例について説明する。
〔実験試料〕
実験に当たって、以下の浸漬ノズル(実施例1〜14、比較例1〜3)を作成した。これら浸漬ノズルは、図2に示す上記実施形態の浸漬ノズル5と同様の構造であり、ノズル本体51の最大外径寸法はφ140mm、内径寸法はφ80mm、長さ寸法は700mmとした。また、各試料におけるノズル本体51は、各種無機物の微粉と、フリーカーボンとしての鱗状黒鉛をフェノール樹脂とともに混練したものをCIP法にて成形し、これを還元焼成することにより形成した。以下に各試料の耐火物組成を示す。
また、すべてのノズルについて、ノズル内周面は、酸化防止材で被覆した。酸化防止材は、SiOが80質量%、Alが20質量%の配合のものに、珪酸ソーダを外掛けで30質量%(SiOが35質量%、NaOが18質量%、 残りは水分)添加して混練したものを用い、酸化防止材としては、SiOが78質量%、Alが16質量%、NaOが6質量%のものを採用した。
この酸化防止材の塗布方法としては、スプレーによりノズル内周面に塗布し、その後、乾燥させる方法を用いた。
■実施例1(2層構造)
(内層)ドロマイトクリンカー79質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ66質量%、シリカ4質量%、ジルコニア5質量%、黒鉛23質量%、バインダー2質量%
■実施例2(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ66質量%、シリカ4質量%、ジルコニア5質量%、黒鉛23質量%、バインダー2質量%
■実施例3(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)マグネシア70質量%、黒鉛28質量%、バインダー2質量%
■実施例4(一体品)
マグネシア70質量%、黒鉛28質量%、バインダー2質量%
■実施例5(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ80質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例6(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)CaO―ZrOクリンカー80質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例7(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ75質量%、シリカ5質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例8(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)マグネシア30質量%、スピネル50質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例9(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ73質量%、シリカ3質量%、ジルコニアムライト4質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例10(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ74質量%、シリカ3質量%、炭化珪素3質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例11(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ70質量%、ムライト7質量%、ジルコニア3質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例12(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)アルミナ74質量%、シリカ3質量%、ジルコニア3質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例13(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)マグネシア50質量%、スピネル25質量%、シリカ5質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■実施例14(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)マグネシア14質量%、ドロマイトクリンカー65質量%、黒鉛17質量%、バインダー3質量%
■比較例1(一体品)
コランダム66質量%、シリカ4質量%、ジルコニア5質量%、黒鉛23質量%、バインダー2質量%
■比較例2(2層構造)
(内層)ドロマイト79質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)コランダム66質量%、シリカ4質量%、ジルコニア5質量%、黒鉛23質量%、バインダー2質量%
■比較例3(2層構造)
(内層)マグネシア17質量%、ドロマイトクリンカー62質量%、黒鉛18質量%、バインダー3質量%
(外層)マグネシア70質量%、黒鉛28質量%、バインダー2質量%
〔高周波誘導加熱による予熱〕
■予熱対象:実施例1〜14
■予熱装置:図3に示す予熱装置7と同様である。外コイル72には径寸法φ200mm、長さ寸法500mmのものを使用し、内コイル73には径寸法φ70mm、長さ寸法300mmのものを使用した。
■誘導電流:外コイル72には周波数30kHz、電流200A、電力量15kWの誘導電流を印加した。内コイル73には、周波数37kHz、電流200A、電力量12kWの誘導電流を印加した。
■予熱時間:40分
〔バーナー加熱による予熱〕
■予熱対象:比較例1〜3
■予熱装置:図4に示すバーナー100を用いて予熱した。図4において、浸漬ノズル5を耐熱容器101中に収容した状態で、浸漬ノズル5の上端開口部より内部にバーナー100を挿入して燃焼ガスを吹き付けている。
■燃焼ガス:COG(Coke-oven Gas:コークス炉ガス)
■空気比:1.2
■予熱時間:90分
〔鋳造実験〕
■実験対象:実施例1〜14、比較例1〜3
■連続鋳造機:図1に示す上記実施形態の連続鋳造機1と同様のものを使用した(8チャージ)。
■鋳造方法:上記実施形態における鋳造工程と同様である。具体的には、各浸漬ノズル5を単体で予熱した後、それぞれタンディッシュ4に取り付けて、予熱終了の時点から5分後に鋳造を開始した。
■鋼種:低炭素鋼
■モールドパウダーの塩基度:1.0
■操業時間:合計360分
〔実験結果〕
実施例1〜14、比較例1〜3の浸漬ノズル5について、上記鋳造実験の結果(アルミナ付着指数、溶損速度指数、トラブル発生指数)を、各耐火物の組成および構成鉱物と併せて以下の表1〜3に示す。
■アルミナ付着指数:比較例1についてのアルミナ付着量(鋳造後におけるノズル内周面に付着したアルミナ層の最大厚み寸法を操業時間で除算したもの)を100とした場合における、実施例1〜14および比較例2,3についての当該アルミナ付着量を指数化したものである。
■溶損速度指数:比較例2についての溶損速度(鋳造後におけるノズル内周部が溶損した量を操業時間で除算したもの)を100とした場合における、実施例1〜14および比較例1,3についての当該溶損速度を指数化したものである。
■トラブル発生指数:比較例2についてのトラブル発生率(鋳造した回数と、折損や割れなどの不具合が発生した回数との比)を100とした場合における、実施例1〜14および比較例1,3についてのトラブル発生率を指数化したものである。
Figure 0004734180
Figure 0004734180
Figure 0004734180
〔検討1:アルミナ付着指数について〕
実施例1のノズル内周部はドロマイトクリンカーと黒鉛等からなる耐火物で構成され、実施例2〜14のノズル内周部はマグネシア、ドロマイトクリンカー、黒鉛等からなる耐火物で構成されている。そして、比較例1のノズル内周部はアルミナ、シリカ、ジルコニアおよび黒鉛等からなる耐火物で構成されており、マグネシアやドロマイトクリンカーが含まれていない。
表1〜3のアルミナ付着指数より、比較例1のノズル内周部にはアルミナが付着し、実施例1〜14のノズル内周部にはいずれもアルミナが付着しなかったことが分かる。なお、表1〜3には示さなかったが、ノズル内周部にスピネルを含む場合も同様に、ノズル内周部にはアルミナが付着しなかった。
これより、ノズル内周部に少なくともMgOが含まれることで、アルミナの難付着性を向上できることが分かった。
〔検討2:溶損速度指数について〕
実施例1と比較例2とは、内層および外層を構成する耐火物が同一であり、実施例1の予熱方法が高周波誘導加熱(IH)で、比較例2はバーナーによる予熱であるという点で異なっている。表1において、これらについての溶損速度指数を見ると、実施例1の溶損速度指数は比較例2に対して20%低い値となっている。これより、単純に高周波誘導加熱にて予熱するだけで、溶鋼による溶損を抑制できることが分かった。
また、実施例1では内層の骨材はドロマイトクリンカー1種を含み、実施例2,3では内層の骨材はドロマイトクリンカーおよびマグネシアの2種を含む。表1において、これらについての溶損速度指数を見ると、実施例2,3の溶損速度指数は実施例1に対して12.5%低い値となっている。これより、内層にマグネシアおよびドロマイトクリンカーの混合物を使用することにより、溶鋼による溶損をさらに抑制できることが分かった。
そして、実施例4では骨材はマグネシアのみであり、表1において溶損速度指数を見ると、実施例4の溶損速度指数は実施例1と同値となっている。これより、ノズル内周部中の骨材としてドロマイトのみ、あるいはマグネシアのみを使用した場合、同程度に溶損を抑制できることが分かった。なお、表1には示さなかったが、ノズル内周部の骨材としてスピネルのみを使用した場合も同様に、溶損を抑制できた。
〔検討3:トラブル発生指数について〕
実施例1と比較例2とは、内層および外層を構成する耐火物が同一であり、実施例1の予熱方法が高周波誘導加熱(IH)で、比較例2はバーナーによる予熱であるという点で異なっている。表1において、これらについてのトラブル発生指数を見ると、実施例1のトラブル発生指数は比較例2に対して80%低い値となっている。これより、単純に高周波誘導加熱にて予熱するだけで、鋳造工程において溶鋼の注入を開始する際に、割れ等の不具合が発生する頻度を著しく減少できることが分かった。
なお、本発明は上述の実施例に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。例えば、各耐火物の組成および構成鉱物は実施例1〜14のものに限定されない。すなわち、少なくともノズル内周部にマグネシア、スピネルおよびドロマイトクリンカーの少なくともいずれかが含まれていれば、本発明に含まれるものである。
本発明の一実施形態における連続鋳造機の概略構成を示す。 前記実施形態に係る浸漬ノズルを示す側断面図である。 前記実施形態における浸漬ノズルが装着された状態の予熱装置を示す側断面図である。 従来のバーナーを用いた加熱法により浸漬ノズルを予熱している状態を示す側断面図である。
符号の説明
1 …連続鋳造機
2 …取鍋
21 …注入口
3 …ロングノズル
31 …ノズル下端開口部
4 …タンディッシュ
41 …注入口
5 …浸漬ノズル
51 …ノズル本体
511…底面部
512…吐出口
513…内層
514…外層
52 …ホルダー
6 …モールド
7 …予熱装置
71 …耐熱容器
72 …外コイル
73 …内コイル
100…バーナー
101…耐熱容器

Claims (4)

  1. 溶融金属の連続鋳造方法であって、
    マグネシアと、スピネルと、ドロマイトクリンカーと、マグネシアおよびスピネルの混合物と、マグネシアおよびドロマイトクリンカーの混合物のうちいずれか、および、フリーカーボンを含んで構成された耐火物にて形成されている浸漬ノズルを使用し、
    当該浸漬ノズルを高周波誘導加熱の予熱装置により予熱する予熱工程と、
    前記予熱工程にて予熱された前記浸漬ノズルをタンディッシュの注入口に取り付け、当該浸漬ノズルを介してタンディッシュからモールドに溶融金属を注入する鋳造工程と、を備える
    ことを特徴とする連続鋳造方法。
  2. 前記浸漬ノズルは、
    溶融金属が流通するノズル内周部を形成する内層、および、前記内層の外側を被覆する状態に積層形成された外層からなる2層構造となっており、
    前記内層は、
    マグネシアと、スピネルと、ドロマイトクリンカーと、マグネシアおよびスピネルの混合物と、マグネシアおよびドロマイトクリンカーの混合物のうちいずれか、および、フリーカーボンを含んで構成された耐火物にて形成され、
    前記外層は、
    前記内層とは組成および配合のいずれかが異なる耐火物であって、
    アルミナ、ムライト、シリカ、ジルコニア、CaO―ZrO2クリンカー、スピネル、マグネシア、ジルコニアムライトおよび炭化珪素のうち1〜3種と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物、または、
    ドロマイトクリンカーと、ジルコニア、CaO―ZrO2クリンカーおよびマグネシアのうち1種あるいは2種と、フリーカーボンとを含んで構成された耐火物にて形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方法。
  3. 前記浸漬ノズル
    少なくとも溶融金属が流通するノズル内周面は、シリカを含む酸化防止材にて被覆されている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造方法。
  4. 前記高周波誘導加熱の予熱装置は、耐熱容器と、外コイルと、内コイルと、誘導電流印加装置とを備え、
    外コイルは、耐熱容器の内部に収用されて、コイル内周側にノズル本体の下端部から中間部上方までを収容可能に構成され、
    内コイルは、ノズル本体の上部開口より内部に挿入可能に構成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の連続鋳造方法。
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