JP2020179412A - 浸漬ノズル用誘導加熱装置および浸漬ノズルの予熱方法 - Google Patents

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裕貴 山内
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Masahito Shinohara
雅人 篠原
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正統 高橋
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健太 宮原
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Abstract

【課題】浸漬ノズルの上端部まで均等に加熱できる浸漬ノズル用誘導加熱装置、および、その加熱装置を用いて、溶融金属の連続鋳造時における低融点化合物の付着を抑制できる浸漬ノズルの予熱方法を提供する。【解決手段】溶融金属の連続鋳造で使用される浸漬ノズル5を電磁誘導加熱によって予熱する加熱装置7であって、浸漬ノズル5の外周側に配置される外コイル32と、浸漬ノズル5の内周側に配置される内コイル33とを有し、内コイル33は、浸漬ノズル5の内孔24に挿入される軸部41と、軸部41の上端から連続し、浸漬ノズル5の上端の開口を覆う天井部42と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、溶融金属の連続鋳造において使用される浸漬ノズルを予熱する際に用いられる電磁誘導加熱装置および予熱方法に関するものである。
従来、鋼などの金属において、溶融金属を連続的に冷却凝固させて所定形状の鋳片を形成する連続鋳造方法が知られている。連続鋳造方法では、浸漬ノズルを介してタンディッシュからモールド内に溶融金属が注入される。
浸漬ノズルは、タンディッシュの底部に取り付けられ、タンディッシュ内の溶融金属をノズル下部の吐出口よりモールド内に吐出するように構成されている。この浸漬ノズルは、下端部をモールド内の溶融金属中に浸漬させた状態で使用されることにより、注入溶融金属の飛散を防止すると共に、注入溶融金属の大気との接触を防止して酸化を抑制している。また、浸漬ノズルは、整流化した状態で注入可能であるため、溶融金属中に浮遊するスラグや非金属介在物などの不純物が溶融金属中に巻き込まれることを防止し、鋳片の品質を改善するとともに操業の安定性を確保することができる。浸漬ノズルは、溶融金属に対する耐食性に優れた耐火物により形成され、例えばAGノズルやZCGノズル等が用いられる。
鋳造工程では、浸漬ノズルの温度が低い場合、溶融金属の注入を開始する鋳造初期に浸漬ノズルの割れや閉塞が起こり、溶融金属の流れが乱れてスラグが十分に浮上せずに鋳片の品質が低下してしまう等の不具合が発生することがある。これに対し、浸漬ノズルを予熱しておくことで、溶融金属の注入を開始した際に浸漬ノズルに生じる温度差を減少させて、不具合の発生を防止することが考えられる。
浸漬ノズルの予熱法として、従来、例えばバーナーによって燃焼ガスを吹き付ける方法が実施されている。ところが、ガスを用いて予熱する場合、浸漬ノズル全体を均等に加熱することが困難であり、浸漬ノズルの長さ方向に予熱温度のばらつきが発生する。すなわち、浸漬ノズルの下部は1400℃を超える高温となることがあるのに対して、上部の加熱は不十分であり、温度差に伴う熱膨張差に起因して応力割れなどが発生することがある。さらに、高温となる下部では浸漬ノズルの脱炭が進行して劣化が促進され、一方で加熱温度が不十分な上部は、鋳造初期に浸漬ノズルの内孔に高融点化合物(Al)が付着してノズル詰まりが起こるという問題がある。
そのため、浸漬ノズルを均等に加熱し、且つ短時間で所望する温度までの予熱を完了できる方法として、例えば特許文献1に、高周波誘導加熱方法を採用することが開示されている。この加熱方法は、誘導加熱装置に、浸漬ノズルの外周側から加熱する外コイルと、浸漬ノズルの内孔に挿入して内周側から加熱する内コイルとを備えている。
特開2007−326110号公報
しかしながら、浸漬ノズルの内孔の上端部は空気に触れやすく、また浸漬コイル上部は空気に触れる面積が大きいことから、上記特許文献1に記載されているような外コイルと内コイルとで構成された誘導加熱装置では、浸漬ノズル上部が高温を保持しにくいという問題は依然解決されていない。そのため、鋳造初期に、温度が低い内孔の上部に地金が付着し、ノズル詰まりが発生しやすい。
そこで、本発明は、浸漬ノズルの上端部まで均等に加熱できる浸漬ノズル用誘導加熱装置、および、その加熱装置を用いて、溶融金属の連続鋳造時における高融点化合物の付着を抑制できる浸漬ノズルの予熱方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、溶融金属の連続鋳造で使用される浸漬ノズルを電磁誘導加熱によって予熱する加熱装置であって、前記浸漬ノズルの外周側に配置される外コイルと、前記浸漬ノズルの内周側に配置される内コイルとを有し、前記内コイルは、前記浸漬ノズルの内孔に挿入される軸部と、前記軸部の上端から連続し、前記浸漬ノズルの上端の開口を覆う天井部と、を有することを特徴とする、浸漬ノズル用誘導加熱装置を提供する。
また、本発明は、請求項1に記載の誘導加熱装置を用いて、前記浸漬ノズルの溶鋼界面部の予熱到達温度が1200℃〜1400℃となるように、前記浸漬ノズルを予熱することを特徴とする、浸漬ノズルの予熱方法を提供する。
本発明によれば、浸漬ノズルの上端部まで均等に加熱できるので、鋳造時のノズル閉塞を低減することができる。
連続鋳造機の構成の概略を示す図である。 本発明の実施の形態にかかる誘導加熱装置に浸漬ノズルを設置した状態を示す断面図である。 本発明の実施の形態にかかる誘導加熱装置の内コイルの斜視図である。 本発明の異なる実施形態にかかる誘導加熱装置に浸漬ノズルを設置した状態を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、浸漬ノズルが用いられる連続鋳造機の一例として、鋼の連続鋳造機の構成の概略を示す。連続鋳造機1は、溶鋼10を連続的に冷却凝固させて、所定形状の鋼塊を形成するものである。連続鋳造機1は、取鍋2と、ロングノズル3と、タンディッシュ4と、複数の浸漬ノズル5と、複数のモールド6とを備えている。なお、図1では、浸漬ノズル5およびモールド6をそれぞれ1つずつのみ図示している。
取鍋2は、連続鋳造において最初に溶鋼10が収容される耐熱容器であり、底面には注入口11が設けられている。ロングノズル3は、取鍋2の注入口11に取り付けられ、取鍋2内部に収容された溶鋼10を下端の開口部12からタンディッシュ4内に吐出するように構成されている。
タンディッシュ4は、ロングノズル3の下方に配置され、取鍋2からロングノズル3を介して注入された溶鋼10を収容する耐熱容器である。タンディッシュ4の底面には、各モールド6に対応して複数の注入口13が形成されており、この注入口13の内部には、注入口13から流出する溶鋼10の流量を調整する流量調整機(図示省略)が設けられている。このようなタンディッシュ4により、取鍋2からの溶鋼10が整流化され、溶鋼10が各モールド6に所定量ずつ分配されるようになっている。
浸漬ノズル5は、タンディッシュ4の注入口13に取り付けられ、浸漬ノズル5を介してタンディッシュ4内の溶鋼10がモールド6に注入される。浸漬ノズル5は、ノズル本体21と、注入口13の下部に取り付けられてノズル本体21の上端部を保持するホルダー22とを備えている。ノズル本体21は、略円筒状に形成されて、その下端が閉塞され、下端近傍の側面には、一対の吐出口23が互いに対向して設けられている。このようなノズル本体21により、浸漬ノズル5の上端開口から流入した溶鋼10が、一対の吐出口23を介してモールド6内へと吐出されるようになっている。ノズル本体21は耐火物で形成され、後述する高周波誘導加熱装置により予熱された後、下端側がモールド6内の溶鋼10に浸漬された状態で使用される。
モールド6は、浸漬ノズル5の下方に設けられた水冷式の鋳型である。モールド6内は所定の断面形状を有し、このモールド6内に、浸漬ノズル5を介してタンディッシュ4からの溶鋼10が連続的に注入される。そして、モールド6内の溶鋼10が冷却され、モールド6内の内周面側から凝固シェルが形成、成長して、凝固した鋼が形成される。さらに、モールド6の下方には、モールド6内で形成された鋼をモールド6の下方開口部から連続的に引き抜く図示しないローラーや、連続して延びた鋼を所定の長さに切断する切断機等が設けられている。このようにして、例えば板状や棒状等、所定形状の鋼塊が形成される。
以上のような連続鋳造機1で用いられる浸漬ノズル5は、上述したように、溶鋼10の注入を開始した際に生じる温度差を減少させるために、予熱してから使用される。次に、浸漬ノズル5を予熱する装置について、図2に基づいて説明する。図2は、加熱装置に浸漬ノズル5を設置した状態を示す断面図である。
図2に示すように、浸漬ノズル5を高周波誘導加熱により加熱する加熱装置7は、耐熱容器31、外コイル32、内コイル33、および、誘導電流印加装置9を備えている。また、外コイル32および内コイル33のそれぞれのコイル内部には、図示しない配管を介して冷却のための水が供給される。
外コイル32は、浸漬ノズル5の外周側に配置されて浸漬ノズル5の外周部から加熱する誘導加熱コイルである。外コイル32は耐熱容器31の内部に収容され、外コイル32の内側に、浸漬ノズル5のノズル本体21の下端部から側方が収容される。 内コイル33は、浸漬ノズル5の内孔24に挿入されて浸漬ノズル5の内周部から加熱する誘導加熱コイルであり、ノズル本体21の上部開口より内孔24に挿入可能に構成される。外コイル32および内コイル33にはそれぞれ、誘導電流印加装置9から高周波の誘導電流が印加される。
内コイル33は、図3に示すように、軸部41と天井部42とを有する。軸部41は、浸漬ノズル5の内孔24に挿入される部分であり、コイルが鉛直方向に連なっている。天井部42は、軸部41の上端から連続し、平面上を略同心円状にコイルが巻回されていて、浸漬ノズル5の上端の少なくとも開口を全て覆うように取り付けられる。なお、天井部42は、コイルが浸漬ノズル5と直に接触しないように、適宜隙間を開けて配置される。
連続鋳造機1で用いられる浸漬ノズル5を予熱する際には、図2に示すように外コイル32が収容された耐熱容器31の外コイル32の内側に浸漬ノズル5を設置し、内コイル33の軸部41を浸漬ノズル5の内孔24の適宜位置まで挿入する。内コイル33を挿入する際に、軸部41の外周に、例えばアルミナとシリカをシート状に成形したアルミナ系耐火物製の保護シートを巻き付けてもよい。
保護シートは、内コイル33を浸漬ノズル5に出し入れする際に、内孔24に付着した酸化防止剤等との接触によって、軸部41が破損するのを防止するために設ける。この保護シートは、内コイル33を取り外した後で浸漬ノズル5の内部に残留しても、鋳造時に溶融し、且つ、浸漬ノズル5の予熱時の温度(1200℃〜1400℃程度)には耐えられる耐熱性を有するものとする。
また、内コイル33の破損や、コイル間のスパーク防止のために設けられている絶縁板34が脱落したりするのを防止するために、内コイル33の周囲に不定形または成形品による保護耐火物を取り付けてもよい。
こうして浸漬ノズル5が加熱装置7に取り付けられた後、高周波の誘導電流が印加され、外コイル32および内コイル33によって、誘導加熱方式で、浸漬ノズル5を予熱する。予熱は、浸漬ノズル5が鋳造時にモールド6内の溶鋼10の界面に接する位置の予熱到達温度が1200℃〜1400℃となるように行う。
本発明によれば、空気に触れやすい浸漬ノズル5の上端部を内コイル33の天井部42で加熱することにより、浸漬ノズル5の上端部の温度低下を防ぎ、鋳造初期に浸漬ノズル5の内孔24に地金等が付着するのを抑制し、ノズル詰まりを防止することができる。
また、本発明は、浸漬ノズル5を電磁誘導加熱する際に用いられるものであり、短時間で高温且つ均等な加熱が可能であるため、ガスによる予熱に比べて浸漬ノズル5の内孔24の地金付着が低減し、閉塞を抑制することができる。したがって、従来、浸漬ノズル5の閉塞対策として実施していた酸素洗浄作業を省略できる。また、鋳造歩留が向上し、鋳片の品質向上も図ることができる。
なお、図2に示す加熱装置7において、外コイル32と内コイル33の温度制御を一括制御してもよいし、部分的な過熱を防止するために、外コイル32と内コイル33とを独立して温度制御してもよい。また、浸漬ノズル5の上部は外コイル32と内コイル33の両方から加熱され、下部は外コイル32のみによる加熱となることで、上下方向に温度差が生じることがある。その場合には、図4に示すように、外コイル32の下部のコイル間隔を狭くし、上部のコイル間隔を広くすることで、均等加熱を図ってもよい。
また、内コイル33には、予熱前後の出し入れのための取っ手を設けてもよい。取っ手は、例えば、天井部42の上面に、誘導加熱の影響を受けない真鍮やセラミック等の絶縁板を取り付け、さらに取っ手部を取り付ける。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、耐火物の内孔に誘導加熱コイルを挿入して電磁誘導加熱する加熱装置の誘導加熱コイル、および、それを用いて溶融金属の連続鋳造で使用される浸漬ノズルを予熱する方法として適用できる。
1 連続鋳造機
2 取鍋
3 ロングノズル
4 タンディッシュ
5 浸漬ノズル
6 モールド
7 加熱装置
8 保護耐火物
9 誘導電流印加装置
10 溶鋼
21 ノズル本体
22 ホルダー
23 吐出口
24 内孔
31 耐熱容器
32 外コイル
33 内コイル
41 軸部
42 天井部

Claims (2)

  1. 溶融金属の連続鋳造で使用される浸漬ノズルを電磁誘導加熱によって予熱する加熱装置であって、
    前記浸漬ノズルの外周側に配置される外コイルと、前記浸漬ノズルの内周側に配置される内コイルとを有し、
    前記内コイルは、前記浸漬ノズルの内孔に挿入される軸部と、前記軸部の上端から連続し、前記浸漬ノズルの上端の開口を覆う天井部と、を有することを特徴とする、浸漬ノズル用誘導加熱装置。
  2. 請求項1に記載の誘導加熱装置を用いて、前記浸漬ノズルの溶鋼界面部の予熱到達温度が1200℃〜1400℃となるように、前記浸漬ノズルを予熱することを特徴とする、浸漬ノズルの予熱方法。
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